2011/07/02

まもなく最終便です

今月、いよいよスペースシャトルの最後の打上げが行われるのだ!
1981年4月にコロンビア号が打ち上げられて以来、30年もの長きにわたって運用され続けてきたんだよね。
30年前と言えばインターネットも携帯電話もない時代・・・。
最先端技術が駆使される宇宙開発の分野でそのころからの宇宙機が継続して運用されているというのはある意味すごいよね。
でも、さすがに米国も限界を感じていて、今回でいよいよラスト・フライトとなったのだ。

もともとはブッシュ(息子)政権が2004年1月に打ち出した宇宙探査構想(Vision for Space Exploration)の中に示された方針で、2010会計年度まで(2010年9月中)にスペースシャトルを退役させ、まずは有人月探査を再開した上で将来的な有人火星探査を行うための新しい有人ロケット・宇宙船を開発する、という方向性が打ち出されたのだ。
これを受けて始まったのがコンステレーション計画で、有人ロケットのアレスI、貨物運搬用ロケットのアレスV、カプセル型有人宇宙船のオリオン、月着陸船アルタイルなどが含まれていたんだ。
ところが、次のオバマ政権になって2010年に新しい宇宙政策が出されると、この方向性は中止されて、コンステレーション計画もキャンセルになったのだ。
ただし、この件では予算を作る連邦議会ともめていて、決着がついていないんだ・・・。
とりあえず次世代型の大型ロケットと多目的カプセル型宇宙船を開発する方向では合意しているみたいなんだけど。

で、もともとは去年の夏には退役しているはずのスペースシャトルだったんだけど、諸般の事情で退役できなかったのだ。
その大きな理由は「代替の手段がない」こと。
人の運搬についてはロシアのソユーズに頼らざるを得ないんだけど、物資の運搬は独自に民間の輸送サービスを調達することでまかなおうとしていたんだよね。
それが商業軌道輸送サービス(COTS:Commercial Orbital Transportation Services)というやつで、米国航空宇宙局(NASA)が民間企業を資金援助しながら、宇宙輸送系を開発してもらい、それを使って国際宇宙ステーション(ISS)へ物資の輸送をしようという計画だよ。
これにはOrbital Sciences社やSpace X社が参加しているんだ(それぞれ、トーラスIIロケット&キグナス輸送機、ファルコン9ロケット&ドラゴンカプセル輸送機)。
開発は進んでいるけど、スペースシャトルが退役するまでには間に合わない、というのが最大のネックなんだよね。

その間はロシアのプログレス、日本の宇宙ステーション補給機(HTV)、欧州の欧州補給機(ATV)などで補う予定だったんだけど、スペースシャトルに比べると輸送量がはるかに違うのだ!
さらに、スペースシャトル関連には大きな雇用問題がからんでいて、一気にリストラするわけにもいかず、できるだけ運用を延長したいという地元の意向(特にフロリダ、テキサス、アラバマなど)もあったんだよね。
さらに、スペースシャトルの不具合問題もあって、打上げが延期され、さらに、緊急用として確保していたアトランティスの打上げも正規に行うこととして、今回の135回目の打上げが最終となったのだ。
ちなみに、今回打ち上げられるアトランティスは初期に作られたオービターなので、30年以上前のもの。
といっても、打ち上げるたびに改修しているし、改造もしているので、まるで同じものではないんだけど。

ポスト・アポロ計画の中で出てきた「往還型宇宙機」の構想では、全部を再使用する予定だったんだけど、予算的な制約などもあって、現在の一部再使用型のスペースシャトルになったのだ。
実は、一部再使用と言いつつ、使い切りのロケット以上の運用経費がかかるもので、あんまり効率的じゃないんだよね・・・。
完全再使用ならまた別なんだろうけど。
さらに、チャレンジャーとコロンビアの二度の大事故を経て、チェックや改修の基準がきびしくなったので、ますます運用コストは上がったのだ。
もともとオービターと呼ばれる飛行機型の機体(宇宙空間に出るスペースシャトルの本体)と固体補助ブースター(打上げの時にオレンジの外部燃料タンクの両脇につける2本の固体ロケット)が再使用の対象。
一番大きな外部燃料タンクは使い切りだよ。

オービターはもどってきた時点でほぼオーバーホールの大改修。
コロンビアの事故では、宇宙空間で機体表面の耐熱タイルに傷がつき、それがもとで大気圏突入児に大爆発をしたので、入念なチェックが行われるのだ。
それ以降は、宇宙空間に出た後、ロボットアームの先につけた鏡で傷がついていないかどうかを確認しているんだよ。
固体補助ブースターは会場に落ちたものを改修するんだ。
固体ロケットは花火みたいなものなので、筒の中に火薬がつまっているだけなんだよね。
その筒を拾いに行くわけだけど、実際には、傷がついていたり、さびが出たりするとそれがもとで変な飛び方をしたり、場合によっては爆発するおそれがあるので、慎重にチェックして再使用するのだ。
ま、あんまり再使用感はないよね。

最初の構想では、人工衛星の打上げなんかもすべてスペースシャトルで行う予定で、必ず宇宙飛行士がついて行くので、場合によってはちょっと故障した人工衛星の修理なんかもできるんじゃ、と機体があったんだけど、現実はそんなに甘くなかったのだ。
それが端的に表れたのはチャレンジャーの事故。
ロケットの打上げというのが本来危険な作業で、必ずしも人がいなくてもいいような場合でも、人が乗り込んで宇宙に行かなければならないスペースシャトルでの人工衛星の打上げはキャンセルされることになったのだ。
そうなると、スペースシャトルは必然的に有人ミッションのためだけに使われることになり、ISSの建設が始まるまでは各種の宇宙実験を行うくらいのものだったんだよね。
そして、スペースシャトルを人工衛星の打上げに使えなくなったので、代わりに米国空軍が使い切りの人工衛星打上げ用のロケットを開発したのだ。
それがデルタIVとアトラスVだよ。

というわけで、当初想定していたほど効率もよくないし(これはそもそも打ち上げる回数が予定よりもはるかに少ないというのも大きいんだけど)、二度の大事故もあったこともあり、次世代の有人輸送系が求められることになったのだ。
2003年のコロンビアの事故の事故調査委員会の報告書ではすでに次の有人輸送系を開発する計画を明らかにするべき、という勧告が出ているんだけど、新しいものを開発するにも時間も労力もお金もかかるので、ブッシュ(息子)大統領が宇宙探査構想を打ち出すまではそれは棚上げにされていたんだ。
それでようやく次世代型の有人輸送系の開発がスタートしたと思ったら、政権交代もあってまだもめているのだ・・・。
政権交代で混乱しているのは日本だけじゃないんだね(笑)

ちなみに、開発時に大気中での滑空試験などに使っていたエンタープライズはワシントンDCの空の玄関、ダレス国際空港横の国立航空宇宙博物館ウドバー・ハジー・センターに展示されているんだけど、退役した各オービターもいろんな場所で保管・展示される予定なんだって。
なので、実際に宇宙から帰ってきたスペースシャトルをもうすぐ見られるようになるのだ。
二度の大事故を引き起こしたスペースシャトルだけど、世界的に有人宇宙船はこう、というイメージを植え付けたスペースシャトルが退役するというのは感慨もひとしおなのだ。
宇宙に興味ない人でも知っているものだからね。
最後のフライトを無事に終えることができるよう、陰ながら応援したいのだ。

2011/06/25

いつかは白いごはんを・・・

最近は外食するとごはんは白米だけじゃなくて、玄米や十穀米も選べたりするよね。
ついつい健康に良さそうだという理由でそっちを選んでしまうよね。
でも、むかしは「貧乏人は麦を食え」なんて話があったように、むかしは白米を食べることがひとつのステータスだったのだ。
江戸時代も貧しい農民は稲作をしていながら自分ではお米は食べられなくて、粟や稗などを食べていたんだよね。
そういう点で言うと、ぜいたくになったものなのだ。

玄米は精米する前のお米だけど、白米に精米すると量が減るし、それだけ手間もかかるので高級品だったのだ。
でも、お米を食べられるのはまだいい方で、お米が食べられないと、いわゆる雑穀と言われるものを雑炊とかにして食べていたんだよね。
明治以降は大麦(押麦)をお米と一緒に炊いた麦飯は代表的だけど、それより以前は粟や稗を雑炊にしたり、餅・団子にしたりするのがメジャーだったのだ。
今では家畜や小鳥のえさになっている粟や稗だけど、かつては重要な主食だったんだよね!

いわゆる雑穀の定義は微妙で、狭い意味では、イネ以外のイネ科キビ亜科の穀物を指すのだ。
すなわち、アワ、ヒエ、キビなんかがそう。
広い意味では、穀物だけでなく豆類なんかも含まれ、主食として食べられるもの全般を指すよ。
その場合は、イネ科のオートミールにするエンバク、麦茶でおなじみのハトムギ、マメ科ではダイズやアズキ、イネ科ではない穀物的な植物(擬穀類)のソバ、アマランサスなどなどが入るんだ。
これに油を取るゴマ、ナタネ、ヒマワリ(種子)なんかも含むこともあるみたい。
いわゆる十穀米は広い意味の雑穀なので、豆なんかも入っているんだ。

日本雑穀協会というい団体によると、穀物は主穀、雑穀、菽穀、擬穀の4種類に分けられるんだって。
主穀はイネ科植物のうち主食食物として食べられているイネ、コムギ、トウモロコシ、雑穀はイネ科のうち小さい穎果(籾殻に包まれた乾燥した実)をつけるアワ、ヒエ、キビなどの総称。
菽穀は豆類のことで、擬穀は上に出てきたように、ソバなどのイネ科でないのに穀物的な実をつける植物のこと(イネ科が単子葉植物であるのに対して、ソバなどは双子葉植物でだいぶ系統が異なるのだ!)。
でも、同協会ではより広く、主食以外に利用している穀物全般を対象にしているみたいだよ。

日本の食物起源神話に出てくる五穀は、稲、粟、麦、豆(大豆・小豆)、稗(又は黍)で、それが代表的な主食になる植物だったんだろうね。
五穀豊穣というのはこれらの植物の方策を願っているのだ。
でも、五穀には正確な定義がなくて、代表的な穀物くらいの意味で、さらに十穀になるともっと広い範囲、というくらいの認識みたい。
5とか10という数字にはほとんど意味がないようなのだ(>o<)
ま、そういうのはままあることだよね(笑)

ここにも表れているように、古代社会では雑穀も重要な位置を占めていたのだ。
そもそも乾燥地帯だとイネよりもムギの方が育てやすいし、より貧困な土地だとアワやヒエでないと育てられないなどの理由もあったんだよね。
だいだんと新田開発の技術も進み、農業技術も向上したので、水田稲作へとシフトしていったけど、春に収穫できるムギや荒れた土地でも栽培できる雑穀は引き続き受け継がれてきたのだ。
それが明治以降だんだんと廃れてきたわけだけど、いままた注目を浴びているのだ。

その理由は栄養価の高さ。
玄米であればまだビタミンBが補えるけど、白米だとビタミン類はほとんど失われているんだよね。
そのせいで、白米を大量に食べ始めた江戸時代は脚気が流行することになるのだ。
雑穀類は亜鉛、リン、カリウム、水溶性ビタミン類、ポリフェノールなどの栄養価が豊富で食物繊維が多い分、デンプンが少なめなのでカロリーは控えめ。
まさに飽食の現代にあった食物になっているみたい。
それで白米至上主義から徐々にゆりもどしが来ているのだ。

さらに、現代的な理由はそれだけじゃなく、アレルギーの問題というのもあるのだ。
お米はあんまりきかないけど、小麦のアレルギーって言うのはけっこうあるんだよね・・・。
そうなると麺類もパンも食べられなくてかわいそうだけど、そういう人たちのために雑穀を小麦の代わりに使うこともあるみたい。
ただし、雑穀はグルテンを含まないので、そのままでは麺やパンにはできないのが難点なのだ(ToT)
そこはずいぶん技術的に改善できているようだけどね。

というわけで、雑穀が見直されているわけ。
全世界的な食糧事情で考えると、稲や麦の栽培に向いていない土地が多いので、収量が少ないという欠点はありながらも、雑穀をもっと主食に振り向けていくことが重要なんだよね。
そのときも、米や麦に劣る位置づけというのではなくて、それはそれとして重要な主食と認識することが重要なのだ。
実はたいした手間をかけなくても育つという利点もあるので、今後は主要食糧としてますます評価がなされるかも。
これからがさらに注目が集まりそうなのだ。

2011/06/18

やんのか、やらへんのか、どっちやねん?

退陣表明をしたと思われた総理はまだしばらく居座るつもりみたいだね。
それもあって、今やっている通常国会の会期を延長するとかしないとかでもめている、というニュースが盛んに流れているのだ。
でもでも、一般国民からすると「会期の延長ってそもそも何?」っていうのが正直なところだよね(笑)
そこで、ちょろっと調べてみたのだ。

国会の会期については衆議院のHPの説明がわかりやすいよ。
って、それだけじゃ終わっちゃうので、少し解説すると、常に開催することが決まっているのが「常会」とも言われる「通常国会」。
国会法第2条では、「常会は、毎年一月中に召集するのを常例とする」とあるので、通常は1月中に招集されるのだ。
通常国会の会期は150日間と決められていて(途中で衆議院が任期満了となる場合はその日まで)、1回だけ延長できるんだ。
現在も通常国会の最中で、それがほうっておくと6月22日で会期末となるので、延長するしないという話題になっているわけ。

通例秋に招集されているのが「臨時会」こと「臨時国会」。
これは内閣が求めた場合、いずれかの議院に所属する総議員の1/4以上の要求があった場合、任期満了後の衆議院総選挙後又は参議院通常選挙後の場合に招集されるのだ。
「特別会」こと「特別国会」は解散後の衆議院総選挙の後に開かれるよ。
二つともその会期(開いている期間)は両議員の一致の議決で定めることになっていて(国会法第11条)、衆参で異なる議決となった場合は衆院の議決が優先するんだ(国会法第13条)。
で、この臨時会と特別会は2回まで延長ができるんだ。
特別会は解散総選挙後のみだけど、臨時会は普通は9月~12月にかけて開いているのだ。
常会を延長したり、臨時会を早めに開いたりしてほぼ1年中国会を開いている状態を「通年国会」と呼んでいるよ。
「震災対応は通年国会で対応」なんてことを言っている人もいるよね。

会期の延長を定めているのは国会法第12条で、その第1項では、両議員の一致の議決をもって延長することができると規定しているんだけど、さっきと同じで、第13条により、衆参で異なる議決となった場合は衆院の議決で決まるのだ。
なので、「ねじれ国会」でも衆院の議決だけで延長自体は可能なわけ。
ところが、そうやって無理に延長をすると野党が審議拒否をするおそれがあって、そうなると延長した意味がなくなるので、普通は与野党で合意してから延長するのだ。
その調整でもめているのが今の状況。
ただし、日本国憲法で定められた衆議院議決の優越を使って時間稼ぎをしたいときは無理やり延長することもあるんだよね(予算は衆院が参院に送ってから30日以内に議決しない場合は衆院の議決で決まるし、法案も衆院から参院に送られてから60日以内に議決しないと否決したものと見なされて、衆院の2/3以上の賛成で再可決で成立させることが可能なのだ。)。

これで延長問題が本質が何となく見えてきたけど、今回与党が会期延長をしたいのはいくつかの法案を成立させるためなので、やっぱり野党の協力がないときついんだよね。
一方、震災対応があるのに審議拒否をするとなると野党が責められるおそれもあって、野党も慎重なのだ。
そこにつけこんでけっこう与党が強引に延長を持ちかけているのもあるんだろうけどね。
で、例えば報道されているように90日延長すると9月下旬までになって、総理が言っている震災対応の三次補正までなんとかなりそう、ということになるのだ・・・。
とりあえず、今変性指示が出ている二次補正(1.5次補正?)を通すためには、多少は延長しないといけないのは確かなのだ。
どうなるかわからないけどね。

ちなみに、退陣を表明していて執行をしないであろう内閣が次の補正予算を編成して国会に提出するのはおかしい、というのは正論だけど、延長をいやがっているのは他にも大きな理由があるのだ。
それは「内閣不信任案」の提出問題。
これは国会法等で定められているものではなく、言わば「不文律」のルールなんだけど、「一事不再議」の原則というのがあるのだ。
同一会期中に同じ議案を再び審議しない、というもの。
すなわち、一度不信任案を出してしまって否決されているので、このルールを守る限りは、次の臨時会以降でないと再び不信任案が出せない、となるのだ。
法的拘束力のない参議院の問責決議なら出せるし、可決もできるけど、無視を決め込む可能性があるんだよね・・・。
通常はそれに対して審議拒否をすることで対抗するんだけど、やっぱり震災対応で大事な時期に、と批判されるので、この手も使いづらいのだ。
なので、会期延長に慎重にならざるを得ないわけ。

というわけで、今回は今般の政局を解説してみたのだ。
なんだか池上なんちゃらさんになったみたいだね(笑)
でも、法律のこととか、国会のルールなどの背景情報を知ってからニュースに接すると、よくわかっておもしろいよ♪

2011/06/11

アライグマの気持ちで

ネットで見かけてちょっとおどろいたんだけど、今般の福島の原発事故に関連して、「放射性セシウム減らす調理法は?」なんてのがあったのだ!
女性誌なんかでも食べ物の放射線をどうするか、みたいな特集が組まれているのだ。
確かに、食事を作ることが多い女性の関心事項なのかも。
でも、女性誌の中にくは、あれも汚染されている、これも汚染されている、と不安をあおるようなものもあるので注意しないといけないんだよね(>o<)
その点、ネットで見つけた「放射性セシウムを減らす調理法」はきわめめてまともなのだ。

放射性セシウム(137Cs)は、ナトリウムやカリウムと同じアルカリ金属というカテゴリーに入る元素で、性質的にもカリウムによく似ているんだよね。
なので、水に溶けやすく、カリウムと同様に体に取り込まれると血液を会して体中に広がるのだ。
ただし、尿中にすぐ排出されるものでもあるので、長く体の中にとどまって悪さをするようなものでもないんだよね。
とは言え、心配なのは確かなのだ。

そこで何をするかというと、まずは食材をよく洗うこと。
それで表面についた放射性セシウムは洗い落とすことができるのだ。
野菜や果物が中にセシウムを取り込んでしまっている場合は、塩をしたり、酢に漬けたりして水分を抜くことで、一緒にセシウムを出すこともできるよ。
といっても、100%取り除けるわけではないので、減らすだけだけどね。
さらに、もっと減らそうと思ったら、塩水に長時間つけるなどして置換する方法もあるのだ。
ナトリウムよりカリウムの方が性質が似ているので、天然塩の方が効果はあるかな?
ま、そこまでして抜く必要があるとも思えないんだけど・・・。

この薄めるという方法は、放射性物質の取り込みを減らすための手法として一般的なんだよね。
今回の事故でわりと有名になった「安定ヨウ素剤」がまさにそう。
ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料なので、のどの甲状腺に貯まる性質があるのだ。
なので、放射性ヨウ素(131」I)も甲状腺に集まり、そこで悪さをするので甲状腺がんのリスクが高まるんだよね。
チェルノブイリ原発事故の後、ウクライナでは子どもの甲状腺がんが増えたんだけど、その原因といわれているのがこの放射性ヨウ素。
子どもの方が甲状腺に多くのヨウ素を集めるのでリスクが高いのだ。
ただし、そこまでひどくなったのは、放射性ヨウ素に汚染された牛乳を規制せずにそのまま飲み続けたためで、そのリスクはかなりコントロールできるので、必ずしも福島で同じことが起きるわけではないんだよ。

このリスクを減らすための措置が「安定ヨウ素剤」の摂取で、安定ヨウ素剤というのは放射性でない天然のヨウ素でできた、ヨウ化カリウムのことなのだ。
外から放射性でないヨウ素を過剰に摂取することで、放射性のヨウ素を薄めようというわけ。
ヨウ素は取れば取るだけ貯まっていくわけではなくて、ためられる量に限界があって余剰な分は次々に排出されるので、放射性ヨウ素を追い出せるのだ。
ただし、ヨウ化カリウムは甲状腺の機能異常などの副作用があるので、きちんと専門家や医師の指示の下に服用しなきゃいけないよ。
予防的に、ということで飲めばよいというものではないのだ。
どうしても心配なら、ヨウ素を多く含む海藻をたくさん食べたりしてもよいけど。

ほとんど検出されていないけど、心配されているのにストロンチウム(放射性なのは90Sr)という元素もあるのだ。
これはマグネシウムやカルシウムと同じアルカリ土類に分類される元素で、カルシウムによく似た性質を持っているんだ。
そのため、摂取してしまうと骨に取り込まれた長い間体に影響を与えるおそれがあるのだ(>o<)
そのために危険視されているわけ。
これも心配な場合は、外からたくさんカルシウムを入れるしかないよね。
骨代謝は筋肉をよく動かすと活性化されるので、カルシウムを多く摂取して、体を動かすのがよいのかな?

ちなみに、食品が放射性物質に汚染されていてがんになる、なんて不安になるような報道がなされているけど、厚労省や農水省で暫定的な安全基準を定めているので、基本的には流通しているものであればそんなに危険はないのだ。
基準値を超えていても出荷していた、なんてケースがあるから完全に信用できるわけでもないんだけど(ToT)
とは言え、自然界にも放射線を出す放射性同位体はあって、それは食品中に微量ながら含まれているのだ。
放射性炭素(14Cなんかはもともと食べているんだ。
とは言え、今回問題視されているような放射性のセシウムやヨウ素、ストロンチウムは基本的には核分裂反応から出てくるもので、自然界には存在しないので、今回の事故がなければまず口にしないものであるのは確か。
そういう意味では気をつけるに越したことはないけど、それを必要以上に気にして、何を食べたらいいかわからない、なんてパニックを起こすのはよくないのだ。
とりあえず今のところはいつもよりよく食品を洗う程度でかなり効果はあるはずなので、それくらいでよいはずなんだよね。

2011/06/04

リキッド・メタル

最近歯医者に通っているんだけど、それは小学生くらいの時に治療した歯のつめものがとれたから・・・。
それはいわゆる「銀歯」。
むかしはキャラメルみたいな粘性の強いものを食べているとときどきとれたりしたよね(>o<)
ボクの場合は知らないうちにとれていたようなのだ。

この「銀歯」の正体は、銀錫アマルガムと呼ばれる合金。
銀と錫の合金に亜鉛や銅を添加した粉末を水銀で練ったものなんだよ。
それ自体は粘着性はないんだけど、しばらくすると膨張しながら固まるので、やわらかいうちに歯の隙間につめ、時間がたつとそこにしっかりはまって固まるのだ。
なので、むかしは歯につめものをした後はしばらくものを食べられなかったのだ。
簡単かつ手軽に患部をふさぐことができ、しかも安価なのでむかしはよく使われたんだけど、最近ではほとんど見られないんだ。
見た目的に目立って美しくないのと、つめものに含まれる水銀や銅などの金属が溶け出すおそれがあるからなのだ。
口中に溶け出したこれらの金属イオンが金属アレルギーの原因になることもあるので、このごろはチタンやセラミックスを使うんだよね。
セラミックスだと見た目も歯と同じようにきれいに仕上がるのだ!
保険がきかないから高価だけど。

水銀と言えば、むかしは体温計でも水銀を使っていたのだ。
水銀は熱に対する膨張率が一定で、体積が温度にほぼ線形に比例して増加するので、その性質を使って水銀の体積膨張を目盛りで刻んで温度計にしたわけ。
かつては気圧計も水銀を使っていて、mmHgなんていう単位もあるよね(1気圧は、760mmHgで、これは1013mb=1013hPaなのだ。)。
これは1気圧というのは、76cm分水銀を持ち上げるだけの力がある、という意味なんだよね。
今はあんまり使われないけど。

現代ではその強い毒性から使われることが少なくなった水銀だけど、近代までは工業技術的に非常に重要な金属だったのだ。
それは、金や銀などの金属を溶かし込んでアマルガムと呼ばれる合金を作る性質から来るんだ。
まるで水が塩を溶かすように、水銀の中には金属を溶かし込むことができるんだよね。
この液体の合金を作る性質を利用していたのが、メッキや鏡を作る技術。
これは古代から使われていた技術なのだ!

水銀は自然界では、辰砂(又は丹砂)と呼ばれる赤褐色の鉱石か、自然水銀と呼ばれる液体金属の形で算出されるのだ。
ほとんどは辰砂でそのまわりに自然水銀はあるみたい。
この辰砂は硫化水銀で、半透明から透明な赤い鉱石なんだけど、その色から、血が固まったもののように見えるんだよね。
そこから、古代中国では不老長生の霊薬として用いられていて、中国では王族が飲んでいたこともあるんだよ。
中国では不老不死の妙薬を作る技術を練丹術と呼び、その薬を金丹などとして服用していたんだけど、かえって水銀中毒で毒性があったんだよね(>o<)
水俣病で問題になった有機水銀ほど水溶性が高くないので毒性は相対的に低いとは言うけど、あまりよくないのだ。
また、その色が鮮やかなので粉にして顔料に使われていたけど、毒性があるので今はあまり使わないのだ。

この辰砂を数百度まで加熱すると水銀蒸気と亜硫酸ガスが出てくるのだ。
この水銀蒸気を集めて冷やしてあげると液体金属の水銀が得られるわけ。
ただし、この水銀蒸気は有毒なので、この作業は非常に危険なんだよ。
むかしはそれを人力でやっていたんだよね・・・。
で、こうして得られた水銀に金や銀を溶かし込んで、それをメッキに使っていたんだ。
仏像なんかの場合、銅で鋳造した仏像の表面を梅酢を使ってよく磨き上げ(梅酢に含まれるクエン酸で汚れを落とすのだ!)、そこに金や銀を溶かし込んだ水銀を温んだよね。
これを火にかざすと、その熱で水銀が蒸発し、銅の表面に金や銀が残るのだ。
このままだとまだ表面がでこぼこしていて光沢がないので、さらにへらで表面を平均化し、磨き上げ、ぴかぴかにするんだ。
まさに奈良の大仏がこの方法で金メッキされていたと考えられているんだけど、大量の水銀蒸気が閉鎖空間で発生するため、多くの作業者が水銀中毒になったと考えられているんだ(>_<)

鏡の作成にも当初から水銀は重要な役割を果たしているのだ。
原初の金属鏡は、銅や青銅の表面を磨いただけのもの。
それだとどうしても鈍いので、そこに錫メッキがなされるようになるのだ。
このとき、錫を水銀に溶かして塗ったわけ。
その後、カタバミやザクロの果汁で磨き上げるんだけど、カタバミやザクロにはシュウ酸が含まれていて、その還元力で「くもり」の原因である微細な金属の錆をとっていたのだ。

現代の鏡はガラスやプラスチックなどの裏面に金属を付着させたものだけど、最初はガラスに錫箔を貼り、そこに水銀を注いでアマルガムを作らせて付着させる方法をとっていたんだって。
ただし、これには非常に時間がかかる作業なのだ。
すなわち、超高級品というわけ。
19世紀になると、硝酸銀を使った銀鏡反応で直接ガラス表面に銀を付着させることができるようになったので、ガラス製の鏡がぐっと身近な存在になるのだ。
工業的に大量生産できるようになったんだよね。
今ではガラスだけじゃなく、プラスチックやアクリルなどの透明な板にアルミなどの金属を蒸着させて作っているのだ。
可視光の反射率という点では銀がよいみたいだけど、アクリル+アルミだと安価に軽く作れるんだよね。

というわけで、ついこの間まではだいぶ身近だった水銀も、今ではあまり見かけなくなってきているのだ。
それでも、人類の歴史の上では非常に重要な役割を演じてきた金属なんだよね。
常温で液体という特異な性質が有効利用されてきたのだ。
電池も水銀フリーになってきてますます見かけなくなったけど、今後も活躍の場は出てくるかな?

2011/05/28

大きすぎて目が点

かつて期間限定メニューとして公表を博したメガマックが復活するんだって。
ビーフパティが4枚で、一つ食べただけで800kcal近くも摂取してしまうおそろしいハンバーガーだよ。
ま、話題になると一度は食べてみたくなるんだけど(笑)
そんなメガマック、ビッグマックがベースで、「ビッグ」よりさらに大きいからと「メガ」にしたんだよね。
ところで、メガってなんじゃらほい?、ということで、少し調べたんだ。

メガ(mega)はギリシア語で「大きい(great)」の意味を持つ「μέγας(megas)」という言葉に由来しているのだ。
拡声器のメガホンとか、ストーンヘンジなどの巨石群を指すメガリスなんて単語にはまさにそういう意味合いで使われているのだ。
最近では、原発事故関係でメガフロートなんてのも有名になったよね。
あれも海上に浮かぶ巨大な人工物なのでそう呼ばれるんだ。

一方、一般によく聞くのは、メガバイトとか、メガトン(TNT火薬の爆発力の何倍かを示す単位)とかの、単位につける接頭辞の使用法だよね。
こちらの「メガ」は百万倍を意味していて、1と0を区別する1バイトの百万倍(実際には220で1,048,576倍)がメガバイト(MB)だよ。
かつてのフロッピーディスク(通常の2DDの場合)はだいたい1MBだけど、CDだと640MB、DVDになると片面一層でも4,700MBで、通常はそのさらに上の「ギガ=十億倍」を使って4.7ギガバイト(GB)と言うのだ。
コンピュータの世界は容量が飛躍的に大きくなってきているから、まさにこういう接頭辞があると桁数が少なくてすむんだよね。

この単位の接頭辞には決まりがあって、増える方では、十倍がデカ(ほんとど使われないけど・・・。)、百倍がヘクト(畑の広さなどで使うヘクタールという単位はよく出てくるよね。)、千倍がおなじみのキロ。
その上は3桁ずつ上がっていって、百万倍がメガ、十億倍がギガ、一兆倍がテラ、千兆倍がペタ、百京倍(19桁!)がエクサ、十垓(がい)倍(22桁!!)がゼタ、一秭(じょ)倍(25桁!?)がヨタというんだよ。
スパコンの計算速度でペタフロップスというのがあるので、新聞なんかでもペタくらいまでは出てくるけど、その先はまずみないし、そもそも漢字の数の単位が読めないよね・・・。

これは逆に減る方もあって、十分の一がデシ(デシリットルという単位は小学校で出てくるよね。)、百分の一がセンチ(センチメートルくらいしか使わないのだ。)、千分の一がやっぱりおなじみのミリ。
その下は3桁ずつで、百万分の一がマイクロ(最近は放射線量率でよく聞く?)、十億分の一がナノ(ナノテクノロジーのナノだよ。)、一兆分の一がピコ、千兆分の一がフェムト、百京分の一がアト、十垓分の一がゼプト、一秭分の一がヨクトなんだって。
半導体なんかの微細加工にフェムト秒レーザーというごくごく短時間だけレーザー光を照射する技術があるんだけど、そういうのでぎりぎり「フェムト」が専門紙で見かける程度かな?

大きいことを表すメガと同じように、小さいことをマイクロということがあるよね。
ミニスカートよりさらに短いマイクロミニとか、かつては超小型機械をマイクロマシンなんて呼んでいたのだ。
ところが、さらに微細化高技術は高度化されていったので、半導体の分野なんかで分子や原子のレベルで制御する技術が出てきて、それがマイクロの下のナノを使ってナノテクノロジーと呼ばれるようになったのだ。
そこから、ものすごく小さいモノをナノと呼ぶようになって、ナノ加工とかナノ洗浄とか聞くようになったよね。
iPod nanoなんてのもあるのだ。

ということは、ちょうだいえっとメニューの小さいハンバーガーはナノマック?
かつては米国ではカロリーを抑えたハンバーガーが発売されていたみたいだけど、日本でも、ハンバーガーは食べたいけどカロリーは抑えたい、というニーズに対応して出たりして。
商標登録するならいまのうちだよ(笑)

2011/05/21

にがずっぱい!

気温もぐんぐん上がってきて、なんとなく梅雨も近づいて、いよいよ夏が近づいてきたのだ♪
今年は冷房がなくてきつそうだけど、やっぱりボクは夏が好きなんだよね。
そんな夏好きがそわそわする季節に出てくる果物が夏みかん。
最近はほとんど食卓でみかけなくなったけど、初夏の風物詩なのだ。

この夏みかん、江戸の中期に萩藩青海島(現在の山口県長門市)の砂浜に流れ着いた柑橘類のタネを植えて育ててみたのが始まり、という不思議な出自。
今でもその原木は残っているそうなんだけど、これは史跡かつ天然記念物に指定されているのだ(ちなみに原木部分は根本のみで、上は接ぎ木されたものだって。)。
皮が厚くて実が大きなブンタンが何か別の柑橘類と自然交配してできたものだろうと言われているんだ。
確かに、皮の厚みや実の水分の少なさはブンタンゆずりだけど、あの独特の甘さはないよね・・・。
むしろ、酸っぱくて、ちょっと苦みがあって、という印象で、味的には大きく異なるのだ。

そんな味なので、江戸中期に栽培され始めたころは生食用ではなく、大きな実を子どもがおもちゃにしたり、酸っぱい果汁を食酢のかわりにしたりしたのだ。
食酢の代わりというのはスダチやカボスに似た使い方だね。
でも、明治になると生食されるようになったのだ。
そのきっかけは、秋から冬にかけて色づいて来た実を収穫せず、初夏まで放っておいてから食べてみたこと!
すると、酸味が減って、その分甘みが感じられ、爽快な甘酸っぱさになったというのだ。
ここで「初夏」と言っているのは5~6月なんだけど、今の感覚だとちょっと「初夏」には早い気がするよね。
でも、東洋的な季節のとらえ方だと、気温がぐんぐん上がり始める時期である「立夏」を過ぎたら「夏」だったので、ちょうど新暦の5月くらいが「初夏」だったのだ。

夏みかんはナツダイダイとも呼ばれるんだけど、これはダイダイと同様に実が色づいてからも長く木になり続けるからみたい。
ダイダイはそれこそ2~3年もなり続けるので、それが「代々」にかけられ「だいだい」と呼ばれるようになったのだ。
それで縁起がいいからと正月飾りなんかにつかうんだよね。
夏みかんも同様で、冬に熟してからも放っておけば木になったまま。
あるとき、誰かが気がついて初夏に食べてみたら、酸味成分であるクエン酸や酒石酸が減り、もともとある糖分の甘さが目立つようになったのだ。
(6月を過ぎるとまた実の色が薄くなり、やがて緑色にもどる「回青」という現象が起きるので、それまでに収穫するようだよ。)
糖度は12くらいで、温州ミカンとほぼ変わらないそうなので、実は結構甘い果物なのだ。。
糖度の比較はこの表がわかりやすいよ。

現代では露地もの、ハウスもの、輸入ものとそれこそ1年中いろんな果物が食べられるけど、明治の初期は果物の旬は通常の収穫時期のみ。
初夏に食べられる夏みかんは貴重な存在だったのだ。
それで萩藩では、明治維新で職を失った下級士族に夏みかんの栽培を奨励し、一気に栽培量が増えていったみたい。
さらに、昭和10年(1935年)になると、大分県の果樹園で川野さんがより甘みのある変わり種を発見したのだ。
それが「甘夏」で、発見者からカワノナツダイダイと呼ばれるんだよね。
戦後は夏みかんから甘夏に徐々に置き換わっていったみたい。
糖度が上がったというより、酸味が早めに抜けるようなのだ。

実は、日本人は無類の夏みかん好きで、その独特の苦みがある甘さと酸っぱさを楽しんでいたのだ。
グレープフルーツの自由化が始まると夏みかんの生産量は減っていくんだけど、昭和61年(1986年)に伊予柑にぬかれるまでは、柑橘類ではダントツの温州ミカンに次ぐ消費だったみたい。
今でも夏みかん味のガムやアメは人気があるよね。
さすがにグレープフルーツや伊予柑、スイーティーなんかが出てきているので、生食する機会はほとんどないけど、それでも、夏みかんの皮の砂糖漬とか夏みかんのマーマレードなんかはけっこうよく見かけるよ。
和菓子では、夏みかんをくりぬいて果汁を寒天で固めた夏柑糖なんてのもあるよね。
これがまたさっぱりとした味わいでおいしいのだ(^o^)/

ちなみに、夏みかんの木は意外と街中でも見かけるよね。
ボクも小学生くらいのころよく気になっていたのだ。
見ているとおいしそうで、もらったこともあったんだけど、食べられたものじゃないんだよね(>o<)
記憶が定かでないけど、きっと時期がダメだったんだろうな。
5月くらいにもらえば、生食もできるはず。
今度もらうなら今の時期だね!