2012/12/08

太陽系を越えて、無限大の彼方へ

最近ニュースで知ったんだけど、米国の探査機ボイジャー1号が太陽系の「へり」を航行していて、まもなく太陽系を脱出するらしいのだ。
ここで言う「太陽系」というのは、太陽風の影響が及ぶ範囲のことで、その外側に行くと星間物質のみで構成される宇宙空間になるよ!
これこそまさに未踏のフロンティアなんだけど、そもそもどこまで太陽風が来ているのかもわかっておらず、思ったより太陽系が広くってまだ出られていない、っていうのが米国航空宇宙局(NASA)の発表なんだよね(笑)

ボイジャー1号が現在飛んでいるあたりはへリオポーズと呼ばれる領域。
ここは太陽風(太陽から出ている超高温で電離したプラズマ)と星間物質が混じり合っている領域で、境界面にあたるそうなんだ。
身近な例で言うと、河口付近の汽水域みたいなものかな?
太陽から発せられる太陽風は、外側に行けば行くほど薄まって弱まっていくけど、星間物質と衝突したり、星間地場で減速されたりして、やがて速度がゼロになる=太陽風が止まる地点があるのだ。
そこが末端衝撃波面。
そこから先は星間物質と太陽風が混ざり合う領域のヘリオシース。
完全に混ざり合って均一な状態になっているのが今いるへリオポーズ。

へリオポーズは太陽の周りにあって、太陽と一緒に銀河の中を公転しているんだけど、このへリオポーズが公転する際に星間物質と衝突して、バウショックと呼ばれる衝撃波面が形成されるのだ。
これが正真正銘の太陽系の境界面で、この先に行くと、太陽からの磁場の影響がなくなり、星間物質からの磁場の影響のみを受けるようになるので、磁力線の向きが変わるはずなのだ。
なので、その時点で太陽系を脱出したかどうかがわかるらしいよ。
ただし、バウショック自体も100~1000kmくらいの厚さがあると考えられているので、ある一瞬を越えるといきなり磁場の向きが変わるということではないみたい。
いずれにせよ、ボイジャー1号は太陽から最も遠いところにある人工物なのだ!

もともとボイジャー計画は惑星探査計画であるマリナー計画の一部として始まったもので、たまたま惑星の配置がよく、木星・土星に行くついでに天王星、海王星にも寄れる可能性があったことから、より遠くの外惑星を探査することも視野に入れて計画されたのだ。
後にも先にも天王星や海王星の画像を撮ったのはボイジャーだけだよ。
この計画では、マリナー計画に引き続き、惑星の重力をうまく使ってか減速するスイングバイ航法が採用されていて、それによって木星を越えてさらに航行することが可能となっているのだ。
ボイジャー計画では、1号と2号の2つの探査機が昭和52年(1977年)に打ち上げられ、以来ずっと宇宙を旅しているんだよ。
両方とも750kgくらいの大きさだから、はやぶさとあんまり変わらないんだね。

でも、はやぶさの場合は太陽電池搭載で、太陽光発電で電力をまかなっていたけど、ボイジャーはそうではないのだ。
通常太陽光発電で電力がまかなえるのは火星と木星の間の小惑星帯くらいまで。
がんばれば木星あたりでもいけるらしいけど、その先の土星となるともう光が弱くなってしまってだめなのだ(>o<)
そこで、さらに遠くに行くボイジャーに採用されているのは原子力電池。
プルトニウムが熱源として搭載されていて、アルファ崩壊するときに出てくるアルファ線が吸収されるときに出てくる熱を熱電変換素子で電気に変えているのだ。
発電効率は悪いのだけど、長期間にわたって安定的に電力を供給できるんだよね。
どうしても火星より先に探査機を飛ばそうとすると必要な技術なのだ。

この電池は、打上げが失敗すると放射性物質がばらまかれるおそれがある、という大きなリスクがあるのだけど、電源としては優れもので、ボイジャーも2020年くらいまでは観測したデータを地球に送るくらいの電気がまかなえるらしいのだ。
ということは、50年くらいもつんだね。
ちなみに、地球から一番遠いところ、太陽から約180億km離れたところにいるのだ。
すると、地球と通信するだけで片道13時間超。
実は、携帯電話より弱いくらいの電波を出しているだけで、地上の超大型アンテナでその微弱な通信電波を補足しているんだとか。
ちなみに、太陽から最も近いとされる恒星はケンタウルス座のアルファ星で、太陽から約4.37光年の距離なんだけど、今のスピードで飛び続けても、ボイジャーが到達するには8万年以上かかるらしい・・・。
宇宙って広い!

現在は太陽系脱出ミッションになりつつあるボイジャーだけど、もともとは外惑星探査ミッションで、初めて天王星や海王星の鮮明な画像を撮ったり、木星・土星の新しい衛星を発見したりと大活躍。
それが、ろくにコンピュータもない、1970年代に開発されているんだからすごいよね・・・。
2号の方はトラブルもあったみたいだけど、まだ現役でデータを送っているんだからすごいよ。
日本ではちゃんと帰ってきて「おつかい」を果たしたはやぶさが人気だけど、ボイジャーも別次元ですごいのだ!
太陽系の外側がどうなっているのか、ボイジャーが教えてくれる日も近いよ♪

2012/12/01

命がけの交流

最近、井上靖作「天平の甍」を読み始めたのだ。
入唐した留学僧が、日本に正式に戒壇を設置し、戒律を伝えるために、鑑真和上を招来した話だよ。
淡々と書かれているんだけど、これがなかなか興味深いのだ。
鑑真和上の渡日以降、日本でも正式に受戒が行えるようになり、仏教がさらに交流していくことになるのだ。
その後、戒壇院設立でもめて頼豪阿闍梨が妖怪の鉄鼠になった、なんて話も出てくるのだけど・・・。

遣唐使は、遣隋使に引き続き、大和朝廷が大唐帝国に国使として使者を送るとともに、留学生を送り込んで最新の技術や文化を学ばせるためのものだったわけだけど、中国側からはあくまでも「朝貢」とみなしていたんだよね。
日本は対等の立場で国使をやりとりしていた、というスタンスだったのかもしれないけど。
で、通常朝貢は年1回が原則なんだけど、日本の場合は海を隔てていて遠いこともあり、20年に1度で言い、と言われていたのだ。
ただ、日本側としてはパイプも作っておきたいし、最新の情報もほしいので、それより高い頻度で送っていたみたい。
数え方はいろいろあるようだけど、だいたい十数年に1回の頻度。
これだと少ないようにも思えるけど、実際には身命を賭した航海が必要だったし、莫大な費用もかかるので、けっこうすごいことだと思うよ。

遣唐使船として使われていたのは、西洋式の竜骨が中央にある船ではなくて、東洋式の「ジャンク船」と呼ばれる船に似た箱形の船だったようなのだ。
大きな箱が海に浮かんでいるイメージ。
非常に不安定な船で、強風や波浪に弱かったと考えられているのだ。
宋代以降のジャンク船は技術も発達し、同時代の西洋船舶より優れたところもあったんだけどね・・・。
この当時の日本では、百済から伝わったと思われる技術で独自の様式で作っていたようなのだ。

大きさは、幅7~9m、長さ30mほどの船で、通常は100~150名が乗り込んで、4隻で出港したのだ(当初は1~2隻だったみたいだけど。)。
造船技術の問題もあるけど、航海技術も未熟ということもあって、すべてでなくてもどの船かが到着できればいい、というリスク回避の意味もあるのだ。
乗り込んでいたのは、国使であるところの大使や副使などの官僚のほか、船を航行させる技術者や水夫(かこ)、訳語(通事)、船大工、医師・薬師、陰陽師(主に吉凶の占いを担当)、鋳物師・画師などの職工などが乗り込み、留学生や留学僧が加わっていたみたい。

留学組で有名どころだと、阿倍仲麻呂、吉備真備、空海、最澄なんかだけど、歌人としてもメジャーな山上憶良も行ったことがあるみたい。

遣唐使の派遣が決まると、派遣する人(留学生・留学僧を含む。)を決めるとともに、大型船の建造が始まるんだよね。
朝廷が命令して各国に作らせるので、大きさと形状はだいたい同じでも、船自体は4隻ともばらばらだったようなのだ。
この準備に数年かけ、いよいよ出港となるわけだけど、中国側からは「朝貢」と見なされていることもあり、年賀(旧暦)の祝賀に参加するべく、夏前に出港することが多かったようなのだ。
2~3ヶ月かけて海路を行くんだけど、まさに台風シーズン。
基本は暴風雨に見舞われることになるんだよね・・・。
もともと、もっと多くの人を連れて行きたい、もっと多くのものを持ち帰りたいと積載オーバー気味だったこともあり、転覆しやすかったようなのだ。
まさに命がけで渡っていったんだよね。

もともと遣唐使船は、大阪の難波津を出た後、瀬戸内海を航行し、福岡から朝鮮半島西側沿岸を通って遼東半島・山東半島に向かっていたらしいんだけど、任那日本府が消滅し、新羅が朝鮮半島を統一してからは日本はまったく半島に足がかりがなくなったので、この航路がとれなくなったのだ。
この北路だと途中で何度も朝鮮半島沿岸部で碇泊・補給できるし、安全なルートだったんだけどね・・・。
そこで考え出されたのが危険な南路。
福岡から五島列島に出て、そのまま東シナ海を横断、中国の蘇州当たりを目指す、というものなのだ。

東シナ海は、春夏に西南の風、秋冬に北東の風が季節風として吹くので、通常は秋冬に大陸に向かい、春夏に帰ってくるのがよいのだ。
帰りは対馬海流もあるので、順風であればわりと安全に航行できるはず。
ところが、出発が夏前なので、まさに逆風の中を進むことになっていたんだ。
順風や凪になるまで碇泊し、ちょこっと航行して、暴風雨や強い波浪に耐えながら中国まで漂着する、という感じだったみたい。
風向きが悪いと、更に南の奄美諸島を通ったルートもあったみたい。
当時は羅針盤もなく、星を見て方角を定めているだけだし、航海技術も未熟なので、ねらった港に行き着くことはほぼ不可能で、なんとか近辺にたどり着ければ御の字だったのだ。
場合によっては、もっと南のヴェトナム(チャンパ)やインドネシアに行ってしまうこともあったみたい。
なので、中国にうまく辿り着けた場合は、その地の役人に自分が国使であることを伝え(長汀からの信書などを見せる等々)、陸路で長安又は洛陽に向かったようなのだ。

平城遷都1300年記念の時には平城京跡に遣唐使船が復元されたみたいだし、上海万博に併せて、実際に海を航行する遣唐使船が復元されるプロジェクトもあったみたいだよ。
ボクもちょうどそのころ、ゴールデンウィークを活用して大阪に遊びに行っていて、天保山のアリーナに碇泊している遣唐使船を見ていたのだ!
この船は日本国内は自分で航行し、最後は貨物船に引かれながらだけど上海まで行ったみたい。

この遣唐使を終わらせたのは菅原道真さんだけど、実は最後の遣唐使大使に任命されているんだよね。
命の危険があるにもかかわらず、当時の唐は衰退し始めていて、すでに危険を冒してまで施設を送る必要はないのではないか、ということで終わらせたのだ。
きっと自分も行き着く気がしなかったんじゃないかな?
全船が往復できることはまずなく、行きや帰りで何名も亡くなっているからね・・・。
それに、文化・技術の交流という点では、すでに民間ベースの交易もあったみたいだし(こっちは季節風をうまく使って行き来できるので比較的安全。)、わざわざ国の使節として送る必要性は乏しくなっていたんだろうけど。

それにしても、当時のことを考えると、感慨深いよ。
中国大陸は文明の頂点にあって、そこに技術と情報を求めて命がけで人々が渡り、日本に持ち帰ったのだ!
今の日中関係はというと、なんだかなぁ、というところだよねorz
でも、中国には潜在力があるはずで、今は政治状況の問題もあっていろいろ難しいけど、やっぱりアジアを代表する大国だから、日本との関係は続いていくはずなのだ。
遣唐使を廃止したときのように、今現在も中国とのこれからのつきあい方を考えていかないといけないターニングポイントに来ているような気がするのだ。

2012/11/24

吉兆か凶兆か

島根で白いカラスが見つかって話題になっているのだ。
こういうのはままあることなんだろうけどね。
ただ、もっと神々しい姿を想像していたら、意外にこきたない、じゃなくて、普通のカラスでおどろいたけど(笑)
これは都会でも見かけるハシブトガラスのようで、目は青いが特徴のようなのだ。

白い動物というと真っ先に思い浮かぶのはアルビノ。
アルビノは先天性の色素欠乏症で、遺伝的にメラニン色素を作ることができず、体毛などの色が真っ白なんだよね。
実際には色がついていないんだけど、透明な毛は光を乱反射するので白く見えるのだ。
有名なのは実験用のラットやマウスだよね。
日本でメジャーなシロウサギ(ジャパニーズ・ホワイト)もアルビノだって。
懐かしいところではウーパー・ルーパーも(笑)

アルビノの場合は、メラニン色素が作られないので皮膚も透明感があるんだけど、そのせいで下の血管がすけて薄赤く見えるんだよね。
通常ならメラニン色素が紫外線を吸収してくれるので、日焼けやDNA損傷から身を守ってくれるんだけど、アルビノはそれができないから、日光に弱いのだ(>o<)
すぐに皮膚が赤く腫れちゃうし、紫外線によるDNAへのダメージも大きいので、皮膚がんのリスクが高まるんだ。
自然界では白くて目立つことの方が生存競争上は不利だろうから、これがどこまで寿命に影響を与えるかはわからないけど。

それに、目の瞳(光彩)の色はメラニン色素の色なので、それがないと目も透明になるわけ。
実際には裏の血管が透けて見えるので赤くなるのだ。
シロウサギや実験用マウスの目は赤いよね。
でも、光彩で色素が欠乏しているということは、視覚障害を伴っているということなのだ。
目に色がついているのには分けがあって、光彩の中の色素が光を屈折させてうまく網膜状に光を集めて像を結ぶようにするんだけど、それがうまくできず、光が散乱するので、網膜に届く光が少なくなってしまうのだ。
よって、アルビノの場合はたいてい弱視になるよ。
そのわりに、眼球内には光が散乱されるので、普通よりも光をまぶしく感じるみたい。
不便だなぁ(ToT)

でも、今回見つかったカラスは目が青いので、おそらくアルビノではないのだ。
青い目は極端にメラニン色素が少ない場合に見られる瞳の色なんだけど(なので青い目の白人はブラウンの目の日本人より光をまぶしく感じるし、サングラスが必須になるのだ!)、今回のカラスの場合も、メラニンはゼロではなくて、多少はあるってことなんだよね。
メラニンが作れないのと、作れるけど作らないのは違うのだ。

で、この色素を作らないことで白くなってしまうのを白変種と呼んでいるよ。
ホッキョクグマみたいにほぼすべての個体が白いのもいるけど、ホワイトライオンやホワイトタイガー、シロクジャク、シロフクロウなんかがわりと有名かも。
目の色がきちんとついているのでアルビノと区別がつくんだけど、ホワイトライオンとかホワイトタイガーは純白でなくて、ちょっと薄い色がついている感じがするよね(ホワイトタイガーなんかは縞もあるし。)。
今回のカラスも、おそらくはこの白変種だと思われるのだ。

雪の中に生息するので保護色として白を選んだがホッキョクグマやキタキツネ、ハクチョウみたいな、ほぼすべての個体が白いもの。
白馬の場合は、なんか笑えるけど、白い斑が体全体に広がっている、ということみたい(笑)
白いネコも、本来は白と黒、白と茶とかの斑なんだけど、その斑が体全体に広がっているのだ。
たまに出てくる白変種は、なんらかの理由で色素を作らなくなっているんだけど、理由はよくわからないんだよね。
そういう個体が出てくることだけが知られているのだ。

今回の白いカラスも何かの予兆か、みたいな感じで報道されているけど、古来より白い動物は瑞祥として捕らえられることが多かったんだよね。
有名なのは、日本書紀にも出てくる「白雉」という元号の由来。
長門国(当時は穴門)の国司が朝廷に白いキジを献上し、これが瑞祥だと言って最初の元号である「大化」から「白雉」に変えたんだよ。
白雉の後はしらばく元号が絶えてしまうんだけどね・・・。
そのほかにも、白い亀が見つかったときには、宝亀や神亀なんて元号も使われているよ。
今でも白い蛇は神の使いとか言うよね?

というわけで、今回もなんだか解散・総選挙が決まったときに見つかるというタイミングから、何かの予兆では?、的な取りあげ方がされているのだ(笑)
ま、あんまり関係ないと思うけどね。
でも、こういうのって、白いカラスが発見された後の選挙の結果、政治が良くなれば吉兆だったって言われるし、悪くなれば凶兆だったって言われるってだけなんだよね。
印象に残る出来事がその後の社会状況とまるでまるで因果関係かのように結びつけられているだけなのだ。
何にせよ、これが瑞祥とされることを祈るばかりだけど(-人-)

2012/11/17

な・ご・み

11月15日は七五三。
着物を着たちびっ子をよく見かけるよね。
ボクは2歳離れた兄がいたので、まとめてだったみたいだけど、最近は一人っ子が多いし、子どもにお金をかける家が多いから、豪勢なんだろうなぁ。
おじいちゃん・おばあちゃんががんばっちゃうのかもしれないけどね(笑)

七五三は、文字どおり、3歳、5歳、7歳のそれぞれのタイミングでするお祝いだけど、古来からある「髪置き」、「袴着」、「紐落とし」又は「帯解き」として行われていたものがシステム化されたみたい。
「髪置き」というのは、それまで剃っていた髪を伸ばし始めるお祝いで、2~3歳で行われていたんだって。
むかしは、赤ちゃんのうちは髪を剃る習慣があったのだ。
ちなみに、これは男女共通なので、七五三も3歳は男女共通らしいよ。
ボクは女の子だけと思っていたよ・・・。

「袴着」は男の子のお祝いで、文字どおりはじめて袴をはくというもの。
男性の和装の正装は袴がいるからね。
これは3~7歳だったみたい。
それまでは着流しだけのバカボンスタイルなのだ(笑)
「紐落とし」・「帯解き」は女の子のお祝いで、それまでは着物を留めるのに紐を使っていたのを帯に変えるというもの。
これも女性の和装の正装にするということなのだ。
こっちは5~9歳だったみたい。

「髪置き」は別として、「袴着」や「紐落とし」はともに和服に関する儀式なので、呉服屋がこの行事を商業的に取り入れて、江戸中期に広めたのが今の七五三の原型と言われているのだ。
なんだか、クリスマスやバレンタインと同じにおいがするねぇ(笑)
歴史的には、第5代将軍綱吉公の長男で、2歳にして上州館林藩の藩主になった徳川徳松の健康を願う催しが嚆矢と言われているんだ。
盛大に行われたそのイベントにヒントを得て、呉服屋さんが広めたのかもね。
これが武家や有力な商家に広まり、明治以降は一般庶民にも普及したのだ。
でも、基本は関東圏のもので、それが全国区になっていったみたいだよ。
ちなみに、子宝に恵まれなかった綱吉公待望の長男だっただけに、根津神社に豪華な社殿を寄進したりといろいろしたんだけど、残念ながら徳松は夭逝してしまうのだ・・・。

徳松の例もそうなんだけど、むかしは衛生状態・栄養状態も悪く、乳幼児の死亡率も高いし、幼くしてなくなる子どもも多かったのだ(ToT)
なので、「7つまでは神のうち」なんて言って、7歳を過ぎるまでは人別帳にも載せず、地域コミュニティの構成員としてもカウントされていなかったんだよね。
なので、無事に子どもが成長しているというお祝いでもあるのだ。
今ではだいぶそういうのは薄れてきたけどね・・・。

でも、その残滓が残っているのが、七五三に欠かせない千歳飴。
名前のとおり、長命を寿ぐ縁起物なのだ。
細く長く生きるようにと、切らずに細長く伸ばした飴を、「かまずに」食べさせるんだよ。
紅白に着色し、袋には鶴や亀などの図案もあって、まことにめでたいのだ。
ボクはミルキーの印象だったんだけど、本来的には日本式の水飴を練って作る甘いだけの飴のはずだよね。
七五三の原型のできた江戸中期の元禄・宝永のころ、浅草の飴売りの七兵衛さんが売り出したらしいのだ。
当時は甘いものは高級品だから、子どもの無事な成長を祈る親の気持ちが込められていたのかも。

そんなわけで、七五三は子どもの健康な成長を祝い、社会の構成員として迎え入れる儀式だったのだ。
ただ子どもにきれいな服を着させて写真を撮る日じゃないんだよ(笑)
社会状況はだいぶ変わったけど、本来の意味を忘れず、残していきたい伝統なのだ。

2012/11/14

【号外】いきなり解散でどうなる?

総理が党首討論でいきなり16日解散を打ち出したのだ!
年内解散が確定して、12月4日公示、16日投票だって。
いやあ、いきなり動いて驚いたねぇ。
でも、問題となっていた特例公債法とかってどうなるの?、ということで調べたよ。

もともと、特例公債法というのは赤字国債を発行するための法律。
我が国では、財政法第4条第1項で「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」と規定していて、借金をして歳出をまかなってはいけない原則が存在しているのだ。
でも、そのすぐうしろに「ただし書」として「但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」とも規定していて、公共事業などに使われる建設公債は例外的に認められているんだ。
これは、後世に渡って国民が広く利用できる社会インフラを整備するものだから、という理由なんだけど、対象経費は厳密に予算で定められていて、人件費や事務経費は使えないのだ。

で、その原則の下で、財源に充てるために国債を発行してまかなうのが赤字国債。
財政法では原則禁止されていることなので、特別法でオーバーライドする必要があるのだ。
それこそが特例公債法だよ。
昭和40年にはじめて成立したもので、その後10年間はなかったんだけど、昭和50年から平成元年までは連続して制定されたのだ。
その後しばらくバブルの時期は税収が大幅増だったので赤字国債を発行しなくても大丈夫だったんだけど、バブル崩壊後は、いきなり歳出が絞れない一方で歳入が減っていったので、またまた特例公債法の出番となり、平成6年から毎年制定されているよ。

これがないと赤字国債が発行できず、歳出に見合った歳入が期待できないので、「執行抑制」をする必要が出てくるのだ・・・(>o<)
これが「特例公債法を盾に国民を苦しめる・・・」と言われる所以なんだよね。
国民生活に必要な予算であっても「ない袖は振れぬ」で支出できない、と脅すことになる、というわけ。
実際には本当に必要なところ(例えば警察や消防の活動費など)は優先的に支出していくはずなんだけど。
一応、去年今年の反省もあって、政争の具とならないよう、今回の与野党合意で平成27年までの赤字国債発行が見込まれる予定なのだ。

実際に平成24年度の政府予算の歳入歳出を見てみると、歳入は、税収や雑収入のいわゆる真水の収入が46兆円で、国債を発行してまかなう公債金が44兆円で、全体は90兆円規模(つまりは半分は借金でまかなっている!)。
そのうち、特例公債金(=赤字国債)は38兆円にもなるよ。
歳出で見ると、国債の償還や利払いに使われる国債費が22兆円で、残りの68兆円が基礎的財政収支対象経費と言われる、国が事業を行う予算。
44兆円借金しておきながら、22兆円しか返済に回していないので、借金はふくらむばかり・・・。
いわゆる「基礎的財政収支(プライマリーバランス)の均衡」というのは、国債を発行する額と返済する額が釣り合っている状態(=それ以上借金が増えていかない状態)をさしたものだよ。
それでも自転車操業なんだけど(ToT)

で、この特例公債法を通さないと国の財政は立ちゆかないので、なんとか通さないといけない、という話になっていて、今週から野党の協力の下で質疑が始まっていたのだ。
で、今日の党首討論で、定数削減を次期通常国会で確約してもらえれば今週末にも解散すると言いはなって、それが実現することになったんだけど、そうなると、特例公債法はどうなるの?、ということになるよね。
憲法では、第54条第2項で「衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。」としていて、衆議院が解散されると国会が自動的に閉会になってしまうので、法案が成立できなくなるのだ。
ただし、この条項にもただし書があって、「但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。」となっていて、衆議院が解散されても重要な議題があるときは参議院だけが緊急集会を開いて審議することもできるのだ。
これは解散総選挙の間に国会機能が完全に不能にならないようにするセーフティガードだよ。

ただし、今回は参議院でも成立させてから、ということのようなので、金曜日までに仕上げる必要があるのだ・・・。
今日は衆議院で財務金融委員会の審議・議決が終わったばかりで、明日衆議院本会議で議決をするので、明日中に参議院に送っても1日で仕上げる必要があるわけ。
通常は国会での審議は本会議だけで議論するのではなく、委員会に付託して議論を尽くしてから本会議で議決するんだよね(重要広範法案は先に本会議で議論してから委員会に付託するよ。)。
でも、これにも例外規定があって、国会法第56条第2項で「議案が発議又は提出されたときは、議長は、これを適当の委員会に付託し、その審査を経て会議に付する。但し、特に緊急を要するものは、発議者又は提出者の要求に基き、議院の議決で委員会の審査を省略することができる。」と定めていて、原則は委員会に付託するけど、本会議だけで議決してもよいことになっているのだ。
おそらく、今回はこれを使って委員会審査を省略すると思われるのだ。
※けっきょく15日(木)に衆議院で可決された後、夕方から参議院の財政金融委員会で審査をしたみたい。

というわけで、明日明後日と国会議員の先生はけっこういそがしい日程になるんじゃないかな?
当初はTPP解散なんて言われていてけど、また今日の状況を踏まえて、「いきなり明後日解散」とかなんとかそんな名前がつくかもね(笑)
このまま民主党がそのまま政権にとどまるとも思えないので、政局はまた流動化するんだろうなぁ。
米国は大統領が再任したのにね。

2012/11/10

爆歩兄弟!タッチ&ゴー

駅のポスターを見て知ったんだけど、今日から明日にかけてSUICAとPASMOはシステムメンテナンスのために一部のサービスが停止されるんだって。
で、改めて気づいたんだけど、SUICAやPASMOが使えなくなって電車に乗れなかった!、っていう事態ってないよね?
どれだけ堅固なシステムなんだろうって感心するよ。
その仕組みを調べてみると、意外な(でもいつはけっこう有名な)ことがわかったのだ。

SUICAとかPASMOって実は使うたびにセンター・サーバーと情報のやりとりをしていないんだって。
クレジットカードの場合、通信にけっこう時間がかかるよね。
あれはカードの認証をするのにセンター・サーバーに問い合わせていて、そのとき、限度額を越えていないか、不正なカードでないか、盗難などで使用停止になっているカードでないかなどなどを確認しているんだ。
でもでも、SUICAとかPASMOはまさに「タッチ&ゴー」でピッっていう間に決済が終わるんだよね。
これは、センター・サーバーまで問い合わせをしていないからこそできる芸当なのだ。

では、どうしているかというと、各端末(駅で言うと自動改札機)とICカードとの間だけで情報のやりとりをしているんだって。
で、カードにも端末にもそれなりに履歴を蓄積することができて、後でそれを照合しながらまとめていって、最後にセンター・サーバーに集約するみたい。
自動改札の場合は、通信が生きている限りは一定時間ごとに各改札機から駅のサーバーに情報を上げ、駅のサーバーはまた通信が生きている限り一定時間ごとにセンター・サーバーに情報を上げていくのだ。
最後に全部の情報を集約して矛盾がないかどうか確認して、最終的に電子的決済が完了する、という仕組みのようだよ。

駅で運賃が引き落とされたり、コンビニで代金が引き落とされたりしても、その時点ではカードに記録されているチャージ情報が書き換えられているだけで、まだ確定していないのだ。
なんらかの理由で不都合が出てきて、数字が合わない場合は、それぞれの取引をさかのぼって確認することになるんだろうね。
ちなみに、紛失時の再発行や、カード内のデータが死んで復旧するときに時間がかかるのは、まさにこのため。
センター・サーバーに情報を集約して処理し、取引の決済が完全に完了するまでは「確定」できないからなのだ。

これがSUICAとPASMOのシステムを難攻不落にしている要因で、通信が死んでいても、端末やローカル・サーバーに情報が蓄積しておけるので、しばらくは使い続けることが可能なのだ。
これはセンター・サーバーやローカル・サーバーが落ちた場合も同じ。
後でまとめて情報を送ってやって処理できればいいわけ。
これが自律分散型システムなのだ!
最近では電子マネーとしての利用も増えているし、相互利用も進んできているから取引量がのびているけど、だいたい3日くらいまでならサーバーが落ちても使い続けられるらしいよ。
なんというロバストネス(堅牢さ)♪
今回はまさにサーバーのメンテナンスをするため、情報を確定しないとできない手続である再発行や払い戻しができなくなるみたいだね。
普通にサーバーは落ちているみたいだけど、こういう手続はそんなに頻繁じゃないし、そもそも乗車券や電子マネーとしては使い続けられるから問題にならないというだけなのだ。

そもそもこの非接触型のICカード利用が検討されたのは90年代なんだって。
ちょうど磁気カードを挿入する自動改札が普及してから10年くらい経つと、読み取り部の摩耗やら機器の更新やらでメンテナンス費用が高くつき、システムの拡張性も乏しいので、磁気カードが本格導入されたそのタイミングから検討が始まったみたい。
ちょうどそのころそういう技術も出てきていたんだよね。

磁気カードの場合、挿入してからデータの読み出し、正規なものかどうかの判定、データの書き込みと確認という処理を0.7秒でやっていたらしいのだ。
ところが、すーっと自動改札の横をストレスなく歩き過ぎる速度は都心部では1.2m/s、毎分72mくらいの早さで、改札の横を通る時間はなんと0.2秒しかないのだ。
しかも、カードとの通信(往復)で0.1秒かかるので、データの処理を0.1秒以内に行う必要があるんだって。
この一瞬間に、認証、読み出し、判定、書き込み、確認という処理をしているらしいよ。

現在カードと端末の間で使われているのは無線通信で、実際は「タッチ」する必要はなく、10cm以内に近づければいいんだって。
でも、この0.2秒を確実に稼ぐために「タッチ&ゴー」を推奨しているそうだよ。
無線通信は準マイクロ波と呼ばれる、1~3GHzの周波数の極超短波。
今の第三世代携帯(3G)の通信帯域と同じだね。
だからモバイルSUICAなんてのもできるのかな?

それにしてもなんとなく使っていたけど、これはすごい技術だねぇ。
そう言えば、出始めのときはおどろいたっけ。
慣れっていうのはこわいこわい。
でも、これってデータ処理の分野で言うと、画期的なシステムだったらしいよ。
開発者はこのシステム構築で博士論文を書いたらしいけど、こんなのが現実に動くわけがない、と批判する学者もいたとか(笑)
でも、この各端末が自律的に動くシステムを組み上げることで、堅固なシステムと高速処理を実現したのだ。
ちょっとこれからは自動改札を通るときもその技術に敬意を表さないとね。

2012/11/03

かわぎしがおいしいんだよ

最近、ローソンでパンを買うとき、「ふすまパン」をよく買うのだ。
低カロリーで食物繊維とミネラルが豊富なんだよね。
これはありがたい!
ちょっと食感はかたくてざらつくけど、もともとライ麦パンとかが好きなボクには気にならないもんね。
で、「ふすま」ってなんじゃらほい?、と調べてみたよ。

ふすまは小麦の表皮の部分で、米で言うとぬかに当たる部分なのだ。
イネ科の穀物は、種子が硬い表皮で覆われていて、その中に胚乳と胚芽があるのだ。
胚乳が精白して食べる部分で、白米本体や小麦粉になる白い部分。
胚芽は芽になって発芽する部分で、ここにも栄養素が多いから、胚芽米なんてのもあるくらいだよね。
米などの場合は、表皮がわりともろいので、ついてやると表皮が細かく割れ、はがれて落ちるのだ。
それが精米だよ。
これをふるいにかけると、一番大きい白い粒が白米、細かい粒が胚芽、微細粉がぬかだよ。

小麦の場合はちょっと特殊で、表皮が硬くてはがれにくいのだ。
なので、小麦をからごと荒くひいてあげると、中の白い胚乳部分は粉になり、外側の硬い表皮は大きな破片として残るんだよね。
これをふるいにかけて小麦粉を取り出すのだ。
米の場合は粉になる部分と残る部分が別なんだよね。
で、その残った大きな表皮の部分だけを集めたのがふすま。
粗挽きではなく、最初から細かく表皮ごとひいたのが全粒粉だよ。

一般に穀物のぬかには繊維質と鉄、亜鉛、銅などのミネラルが豊富で、しかも、糖質をほとんど含まないのでカロリーは低いのだ。
繊維質も不溶性の食物繊維なので、便秘にもいいし、腸の中で余分な油脂を吸着してくれたりもするとか言われているよ。
米ぬかなんかはぬか床に使ったり、かつては洗剤代わりに使われたりもして大活躍だけど、小麦ふすまは健康食品とかシリアル食品に使われるくらいしかあまり使い道がなかったんだよね。
やっとふすまを使った食品が出始めたのだ!

もともと全粒粉のパンは存在していて、小麦粉で作ったパンに比べて栄養素が豊富なので一部で好まれていたのだ(ホールウィートというやつね。)。
でも、ちょっと硬くてざらつくので、避ける人も多いんだよね。
クッキーなんかだとわりとましなので、全粒粉クッキーはけっこう普及しているけど。
さらに、ふすまで作るとなると・・・。

さらに問題はあって、ふすまの中にはほとんど糖質とタンパク質が含まれていないので、そのまま水でこねても形にならないし、それを焼いてもパンとしてうまくふくらまないのだ(>o<)
こねて形にならないのはタンパク質のグルテンが少ないため。
いわゆる麺類のこしを出すタンパク質だよね。
多ければもっちりとし、少ないと食感はやわらかくなるのだ。
なので、もちろんふすまでは麺類は作れないよ・・・。
それと、イーストで発酵させようとすると、中に糖質がないとダメなんだよね。
イーストは糖質を分解して炭酸ガスを作り、ふわふわ感が出るのだ。
イーストが発生させた炭酸ガスの泡がパンの生地の中に行き渡って、焼くとそのその泡が大きくなるので、ふわふわにふくらむんだよ。
で、ふすまだけだと糖質も足りないわけ。

なので、ふすまパンをつくるときには、別に小麦粉グルテンを足したり、大豆粉や小麦粉を少し入れて糖質を加えたりするのだ。
それでも、普通に小麦粉で作るパンよりは糖質が少ないので、糖尿病の患者さんでも食べられるパンができるんだ。
ふすまだけをこねて焼くと、ケロッグの「オールブラン」のような食感。
それはそれでよいんだけどね(笑)

というわけで、おいしいふすまパンを作るにはブレンドが大事なのだ。
おそらく、それがコツにもなっているんだろね。
とりあえず、ローソンで売っているふすまパンはなかなかいけるよ。
最近ではホームベーカリーで作る人もいるみたい。
ふすま粉も売っているんだって。
ボクはとりあえずは買う派だけどね。