2026/07/25

謎音In'n'Out

 テレビの超常現象特集でよく出てくるのがラップ音。
ポルターガイストまで行くとウソ度が強い気がするけど、謎の音がする、程度の話はだれしも経験するよね。
これはなにがしかの音を聞く、という事象は起こっていて、その音が何に起因するかが不明なだけなんだよね。
それを心霊現象と短絡的に結びつけるからダメなわけで。

日本でも古来より「家鳴り」として知られているのだ。
水木しげる大先生の妖怪図鑑を見ると、小型の鬼みたいな妖怪が柱や床をガタガタさせて音を出している絵があるよね。
でも、この現象の肝は音で、原因・音源が特定できない音が家の中で聞こえる、というのがすべてなのだ。
で、それを妖怪の仕業ととらえるとそういう絵になるわけ。
今ではそういう風に考える人は少ないとは思うけど。

現象に名前がついてしまったものにありがちなんだけど、その音のもとにはいろんな正体があって、有名なのは、温度や湿度の変化により柱などの構造部材がきしむ、というもの。
特に、十分に乾燥しきれていないまま使われた木材はしばらくしてから内部に亀裂が入ったりすることもあって、その場合はかなり大きな音がするようなのだ。
このほか、共振現象によりたままたま風による揺れと周波数があってしまってガタガタ揺れるというのもあるみたいだね。
道路を大型の自動車が通ったり、鉄道の揺れで共振するような場合もあるけど、それは横に見えているからあまり家鳴りとはとらえられないのだ。
逆に、地下鉄の揺れで共振する場合は、電車は見えないので家鳴りと認識される場合もあるんだよね。

屋内はそうだとして、この現象は屋外にもあるのだ。
それが「天狗倒し」とか「古杣」と呼ばれる、木が切られたり、倒れたりする音が聞こえる怪。
田墨が倒れたような大きな音がして、そっちに行ってみても木なんか倒れていない、という音が聞こえるだけというものだけど、一般には、「凍裂」と呼ばれる、冬の乾燥した時期に気の内部に大きな亀裂が入る現象だと言われるのだ。
でも、それだと冬の乾燥した時期にしか聞こえないわけで。
でも、「天狗倒し」の伝承は冬には限らないんだyね。
つまり、他にも正体があるのだ。
一つは、こだまのような反響音が聞こえてきているもので、複雑な地形で思いもよらない方角の音が反射して聞こえている場合があるのだ。
この場合、音がしたと思われる方向に行っても当然何もないわけ。
周りの知己を見て、反響音の方向まで計算すれば何か見つかるかもしれないけど、普通はそんなことしないのだ。

屋外で聞こえるのはそんな音だけではなく、「子泣き爺」みたいなものもあるよね。
人っ子一人いないような深山でなぜか赤子の泣く声がする・・・。
これはたぶん、鳥や動物の鳴き声を赤子の泣き声と誤認しているのだ。
発情期の猫の声は比較的人間の赤ちゃんの声に似ているけど、鳥の声でもそんな感じのものがあるよね。
よくよく聞き比べれば違うのはわかるんだけど、単独で聞いてしまうと自分が知っている音に「聞きなして」しまうんだよね。

これらとは全く毛色が違って、正直よくわからないのが「小豆洗い」のような音の怪。
しょきしょき、という小豆を研ぐような音、というのだけど・・・。
虫の鳴き声なのか、なんなのか。
こちらはもともとそんなによく聞く音でもないから、イメージ先行でそういう名前にしてしまっているのかもしれないけどね。
オケラとかチスイバッタは「じー」と割と大きな音で泣くけど、これに川のせせらぎの音が重なったりするとそんな感じに聞こえなくもないかな。
夜行性の動物の足音なんかもあるかもしれないし、意外と音の聞こえ方、というか、音としての認識の仕方は個人間や文化間で差があるので(例えば、日本では鶏は「こけっこっこー」となくけど、米国では「クックドゥードゥルドゥー」だよね。)、なんだかわからないけど、こういうのは場所が特定されているので、そこに特有の現象はあるんだよね。

そうは言いながら、井上円了博士のようにすべてを暴き立てるのも野暮は野暮。
そういうものとして受け入れるのがよいのだろうね。
本当に信じちゃうのはまずいのだけど。

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