2014/05/03

煮て、ほぐして、よる

群馬県の富岡製糸場が世界遺産登録の候補になったのだ!
日本の近代化を象徴する産業遺産として認められたみたい。
我が国の工業化を支えたもので、この官営工場から全国に近代的な製糸業が広がっていくことになるのだ。
連休突入直前にその報道がなされたので、観光客が一気に増えたそうなのだ。
グンマーもびっくりかな?

蚕の繭から繊維をとりだして絹を作る技術は中国発祥で、およそ紀元前3世紀には始まっていたみたい。
ところが、この技術はしばらく西洋世界には伝わらず、中国産絹が高級品としてもてはやされていたらしいのだ。
6世紀になってはじめて東ローマ帝国にネストリウス派キリスト教(景教)を通じて伝わって、そこから欧州における生産が始まったみたい。
でも、長らく製法が伝わらなかったおかげで、絹を取引するための交易路としてシルク・ロードができあがったのだ。
これで大きく文化交流は進んだから、それよかったのかな。

日本には弥生時代には伝わっていたそうで、古事記や日本書紀の神話には養蚕の由来の話が出てくるよね。
古事記ではスサノオがオオゲツヒメを殺したときに頭から蚕が発生して、日本書紀ではツクヨミがウケモチを殺したときにやはり出てくるのだ。
この神話は、イネ、ムギ、ダイズなどの主要食物の起源譚なので、それほど蚕は重要な位置を占める農産物だったということが伺えるのだ。
今でも皇室は女系皇族が養蚕業を行っているよね。

ところが、江戸時代以前の日本の絹は品質が悪く、高級な中国産絹が輸入されていたようなのだ・・・。
幕府は天領で養蚕業を奨励し、日本でも盛んにしようとするんだけどなかなかうまくいかず、八代吉宗公の享保年間になって全国的に奨励して、技術も向上してきたんだって。
江戸末期には日本を代表する輸出産業になっていて、開国以降は、関東甲信地方で生産された生糸が八王子に集結し、それが横浜に運ばれて海外に出て行くことになるのだ。
こうして新たに開港した横浜港が大きく栄えることになるのだ。
この明治期の殖産興業を代表する存在が、富岡に作られた官営の製糸工場なんだよね。
蚕の繭から絹は作るのはなかなか大変で、それが機械化されて大量生産できるようになったんだ。
欧州で蚕の疫病がはやって生産量が落ちたこともあって、一気に伸びるんだよね。
その後すぐにすいたいが始まるのだけど・・・。

養蚕農家は、蚕がさなぎになって繭を作ったところで出荷するのだ。
この繭は乾燥され、中のさなぎを殺すとともに、水分を飛ばしてカビや細菌が増えないようにするのだ。
しばらく乾燥させた状態で保存し、まとまったところで、繭の一つ一つをチェックするんだって。
穴が空いていたり、繭が薄かったり、汚れていたりという品質を落とすものをここでふるいにかけるんだよ。
そうして選ばれた繭は大きな釜の中でぐつぐつと煮られるのだ。
蚕の繭は絹を較正する繊維タンパクであるフィブロインのまわりにセリシンという膠質状のタンパク質がついた状態になっていて、水の中で加熱することでこのセリシンを溶解させ、繭をほぐれやすくするのだ。
そうすると、糸口も出てきて、繭をほどけるようになるよ。
手作業でやっていた時代は、収穫した繭を自分の家で煮て、この工程までやっていたのだ。

ほぐれた糸を収束してまとめていくとできるのが生糸。
小さく巻き取った後、大きく巻き直したりして出荷できる生糸ができあがるのだ。
今度はこの生糸を複数本束ねて、さらに糸をよるんだよね。
こうすることで、絹糸の太さが均一にでき、また、伸びと弾力が出るのだ。
さらに、この後の精錬という作業をして絹糸ができあがるよ。
「精錬」する前だから「生糸」と言うんだよね。

精錬工程では、生糸の中にまだ残っているセリシンとその他の不純物を除くのだ。
古くは灰汁で処理したんだけど、最近は石けんや炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)などのアルカリ水応益で処理したり、タンパク質分解酵素を使ったりするんだって。
環境に優しくするために、高温高圧下の水の中でセリシンを溶解させる、というのもあるみたい。
ただし、絹独特の光沢はセリシン由来なので、完全に落としてしまうとつややかな風合いが失われるんだって(>o<)
なので、着物などに使う場合は処理の仕方を工夫しないといけないのだ。
草木染めをする場合は、このセリシンがないと色が乗らないそうだよ。
逆に、化学染料で染色する場合は、セリシンが残っていると色むらができるので、完全に落としてから染色するんだって。
この場合、光沢は染色によってつけることになるのだ。

ちなみに、富岡製糸場では、繭の乾燥(乾繭)し、貯蔵(貯繭)してから煮て(煮繭)、小枠に糸を巻き(繰糸)、大枠に巻き直す(揚返し)ところまでをやっていたのだ。
写真などで徐行山がぎっこんがっこんやっているのは繰糸の工程だよ。
繭の糸口から糸を引き出し、何本か束ねて巻き取っていって、一つの繭が終わらぬ打ちの次の繭を用意して・・・、とけっこう大変そうな作業なのだ。
今は全自動なんだろうけど、当時は人手に依存しているところが大きかったみたい。

当時この作業をしていた女性は「工女」さんと呼ばれていて、いわゆる紡績工場の「女工哀史」とは違って、かなり環境はよかったみたい。
住み込みだけでなく通勤の人もいたみたいだし、教育の機会も確保されていたとか。
この富岡から各地の向上に技術を伝える役割も担ったんだそうだよ。
最先端の働く女性だったのかなぁ?

2014/04/26

国を挙げての歓待?

昨日まで米国のオバマ大統領が国賓として来日していたのだ。
米国大統領を国賓として迎えるのは、平成8年(1996年)のクリントン大統領以来なんだって!
って、てっきり米国大統領が公式に来日する際は国賓として迎えているものだと思っていたから、逆にびっくり。
調べてみると、国賓であるかどうかというのは「接遇」の仕方に差があって、必ずしも政治的な意味を持っているわけではないんだって。

昭和59年(1984年)に閣議決定された(平成元年に一部改正)「国賓及び公賓並びに公式実務訪問賓客の接遇について」によると、外国の元首(国王・女王、大統領など)又はこれに準ずる者(英連邦所属国家の首相など)を招聘する場合、外務大臣が宮内庁長官と連絡して共同で請議し、閣議で決定することで国賓として接遇することができるとされているのだ。
今回のオバマ大統領の場合は、4月4日(金)の閣議で国賓としての接遇が決定されているよ。
ちなみに、「公賓」は、外国の皇族又は行政府の長若しくはこれに準ずる者を招聘する場合、外務大臣が閣議で了解を得ることで接遇できるものなのだ。
ちなみに、「又は」と「若しくは」は使い分けがあるので、「皇族」or「行政府の長若しくはこれに準ずる者(すなわち、首相、副大統領など)」と読むのが正しいのだ。
それから、平成元年の改正で加わったのが「公的実務訪問賓客」という概念で、これは、外国の元首若しくはこれに準ずる者、皇族又は行政府の長若しくはこれに準ずる者が実務を主たる目的として訪日することを希望する場合に、外務大臣が閣議で了解を得て接遇することができる様式。
この3種類の接遇の場合は、賓客本人+随行者について、日本政府が滞在費等を支出して迎えるということになっているようなのだ。
逆に言うと、賓客として迎えられない場合は相手もちで来ているってことだよね。

この国賓や公賓の接遇様式は、閣議決定では細かく定められていなくて、「政府として儀礼を尽くして公式に当該賓客を接遇するにふさわしいものとし、その接遇様式については国際慣例等を勘案して、外務大臣が関係大臣と協議の上、決定する」となっているだけ。
公的実務訪問賓客についても、「賓客の地位、訪問目的にふさわしいものとし、その接遇様式については国際慣例等を勘案して、外務大臣が関係大臣と協議の上、決定する」となっているのだ。
一般に国賓として迎える場合は、首脳会談に加えて、儀仗隊による栄誉礼付の歓迎式典、宮中における両陛下への会見、宮中晩餐会、退京時の両陛下による迎賓館への御訪問(すなわち両陛下が迎賓館までお見送りに来られる、ということ)などの公式行事が行われるよ。
国賓はこれらの公式行事が入るので、自動的に2泊以上滞在してもらうことになるんだって。
その意味では、今回のオバマ大統領の2泊3日は最低限のラインなのだ!

公賓の場合は、儀仗隊の栄誉礼がなかったり、晩餐会でなく午餐会になったり、両陛下のお見送りがなくなったりと格落ちになるのだ。
国賓・公賓の場合は通常迎賓館に宿泊してもらうんだけど、今回のオバマ大統領は米国側の希望もあって迎賓館には宿泊していないのだ。
公的実務訪問賓客の場合は、迎賓館には宿泊できず、かつ、宮中の午餐会も開かれないことがあるんだって。
宮中で陛下に会見することもあるけど、こっちもマストではないみたいで、要望があって時間が合えば、的なものみたい。
さらに、本当かどうかはわからないけど、ネットで調べると、随行者の滞在費が何人まで認められるかとかそういうところでも差があるみたい。
ちなみに、国ではなく外務省としておもてなしする「外務省賓客」というのもあるそうで、こちらは宮中行事が全く含まれなくなるのだ。

国賓は英語では「state guest」で、まさに国家としての賓客として迎えるんだけど、外交慣例上の接遇様式なので、日本だけで勝手に決めてやっているものではないのだ。
「お互い様」のところがあるので、海外でも似たような形式で接遇することになっているのだ。
日本での運用でいうと、国賓を迎えるのは概ね10年に一度で、10年以内に国賓として遇された経緯のある対象国や元首は国賓として迎えないようにしているのだ。
皇室日程もあるので、年間で国賓待遇で接遇できるのは1~2件に限られるというから、そんなものかな?
そうなると、よほどの長期政権でもない限り、国賓として接遇してもらえるのはほぼ一度きりってことだよね。
その代わり、多少格落ちにはなるけど、公賓とか公式実務訪問賓客として迎えるんだって。
国家元首の場合は公賓で迎えるのは厳しいので、「公式実務訪問賓客」という概念が作られているみたいなのだ。

東京では国賓を迎えるに当たって、JRや地下鉄の駅で自動販売機やコインロッカーが使えなくなったり、首都高が交通制限をしたりと、けっこう不便な点も多いんだよね・・・。
都心部ではいろんなところで警官が警護にあたっているし。
これも首都の運命なのかな。

2014/04/19

ないものは証明できない

理研の小保方さん騒動はさらに盛り上がってきているねぇ。
理研側がデータ改ざんの不正行為があった、と認定すれば、悪意のないミスであり不正に当たらない、と小保方さん側が不服申し立て。
なんだか泥仕合の様相を呈してきたような・・・。
個人的に気になるのは、人間関係とかのどろどろしたところじゃなくて、やっぱり化学的成果が妥当なものだったかどうかだよね。
でも、今回の一連の報道を見ていると、どうしても「常温核融合」の話が思い出されるのだ。

常温核融合は、平成元年(1989年)に観測されたと発表された現象で、通常超高温・超高圧下でないと起きないと思われていた核融合反応が常温で確認された、というもの。
英米の研究チームが発表したところによると、重水中にパラジウムとプラチナの電極を入れてしばらく電気を流すと、電解熱以上の熱が発生し、なおかつ、核融合反応の際に生じるトリチウム、中性子、ガンマ線などを検出したというのだ。
発表直後、全世界的に追試が試みられたんだけど、ほとんどの場合は過剰熱すら観測できず、過剰熱が観測できる場合も再現性が低かったんだよね。
中性子線やガンマ線などの核反応を示す証拠もほとんど得られなかったのだ。
このあたりが今回のSTAP細胞の騒動と酷似しているんだけど、大きな違いは、常温核融合の場合は単に研究成果が発表されただけで、査読付の学術誌で公表されたものではなかったのだ。
けっきょく、再現ができないということで学会の権威者からは否定され、メジャーな学術誌では常温核融合関係の研究というだけで掲載拒否(リジェクト)されるような状態になっているよ。

でも、この現象自体に興味を持っている研究者は少なからずいて、国際常温核融合学会なる組織もあって、学術的な研究は進められているのだ。
おそらく、夢のエネルギー源として常温核融合を選択肢のひとつとして考えている研究者はいなさそうだけど、現在の理論だけでは説明しきれない現象が観測されていると考えられる実験結果が得られるので、それは一体何なのかを突き詰めようとしているようなのだ。
ちなみに、現在の物理学・素粒子学理論でも、トンネル効果や宇宙線由来のミューオンにより極低頻度で常温でも水素の核融合反応が起きることは予想できるんだけど、それにしては得られる実験結果は確率が高すぎるんだよね。
何かあるはずだ、というのが研究者の探求心をくすぐっているようなのだ。
この話が出たとき、絶対零度近くでしか発生しないと思われていた超伝導現象が、もっと高い温度(と言っても零下百何十度だけど)でも発生することが証明されたので、研究者の期待は高まっていたんだよね。

ただし、有象無象も混じっていて、データのつじつまが合わない不正確なものなども玉石混交していて、議論が混乱しているのも確かなのだ。
大事なのは、「常温核融合」という現象の有無かどうかというより、現在の理論では説明できない現象が起こっているかどうか、のはずなんだけどね。
常温核融合や、それに近い常温での核変換が実現できる、と言われると一気にうさんくさくなって、疑似科学に近づいていくんだよね(>o<)
この手の研究は、もともと機器の較正がきちんとなされないまま実験しているとか、解釈に誤りがあるとか、いろいろと批判があるんだよね。
しかし、それをさっ引いても、何かありそうではあるのだ。
実際、日本でも米国でも、国費を使ったプロジェクトが実施されたことがあったみたいだけど、高温核融合現象自体は確認できなかったものの、過剰熱が観測されることは否定していないのだ。
中性子やガンマ線がまず確認できないことからも、核反応ではないのかもしれないけど、未知の現象が起きている可能性はあるというわけ。

でも、実はこれは「悪魔の証明」に陥っていて、「何かある」という時はその何かの存在を立証できればそれでいいんだけど、「何もない」ということの証明はどこまで行ってもできないのだ。
常温核融合も同じで、ひょっとしたら現在知られている現象以上のことは何も起きていないのかもしれないけど、一見すると未知の現象と思われる実験結果全てについて説明をつけたとしてもそれでは証明にならないのだ。
「ないということは証明できない」ということなんだよね。

STAP細胞の件もそれに近づいているような気がして、ある・できたと言っている人がいる以上、その人が事実を語っているなら、「何か」は存在して、できているのだ。
それが「STAP細胞」という体細胞を脱分化して作った幹細胞かどうかは別として。
再現性がないからといってそれはないことの証明には何もならなくて、たまたまある研究者だけができる「神業」がないとできないだけかもしれないのだ。
ただし、同じプロトコールに則れば同じ結果が出せる、という再現性が科学の基本だから、「ゴッドハンド」みたいな世界は科学ではなくなるんだけど(笑)
「ないこと」自体が証明できない以上、「ある」と主張している根拠が正当なものかどうかを突き詰めていって、証拠と呼ぶに当たらない、とするくらいが関の山。
だから「泥仕合」になるんだよね。
今回の場合、明らかに研究成果の発表までに至るプロセスには瑕疵があったと思うけど、できれば、「STAP細胞」のもの自体は真実であってほしいけどね。

2014/04/12

さくらって何の味?

春になった!
東京は急にあたたかくなって、桜もあっという間に開花♪
でもでも、今年はすぐに散ってしまったね・・・。
そのはかなさがよいのだけど。
で、この時期になると、ちまたに「さくら味」の食べ物・飲み物が増えるのだ。
って、「さくら味」って何?

おそらく、「さくら味」は「さくら風味」なんだよね。
いわゆる「桜餅」の香りと同じで、さわやかな春らしさを感じるようにしているのだ。
その正体はなんなのかな?、と探ると、すぐに答えに出会ったよ。
それは「クマリン」という芳香族化合物。
シナモンのシンナムアルデヒドや、コーヒーのコーヒー酸と同じくらい有名な香料成分なんだとか。
抗菌作用もあるけど、肝毒性もあるので、大量摂取はおすすめできないみたい・・・。
ま、桜の葉をkg単位で食べないとそこまでいかないだろうけど。
ちなみに、食品添加物としても認められていないようで、飲食物に使う場合は、天然材料(桜の葉)を使うか、似たような香りの香料を使うみたい。

桜餅になんで桜の葉が巻かれるようになったのかは定かではないようだけど、効果としては、桜の葉に含まれるクマリンによる抗菌効果のほか、もち本体の乾燥を防ぐ、ほのかな塩味で甘さを引き立てる、桜の風味で清涼感を出すなどなど。
東京向島の長命寺桜餅の場合は、3枚の葉でくるんであるのだ。
だた、そのまま食べるとしょっぱいし、葉っぱを食べている感じになるので、2枚ははがして、1枚だけ巻いた状態で食べるのがよいよ。
ボクは葉柄がひっかかるので、それも取り除いてから食べることが多いけど。

桜餅に使われるのは塩蔵したオオシマザクラの葉っぱ。
オオシマザクラは、葉の表面に毛が少なく、葉自体も柔らかいので、食用に使われるのだ。
そのシェアのほとんどは伊豆半島の松崎町でとれたものだとか!
ちなみに、桜湯はがくをとった桜の花を梅酢と塩で漬け込んだもの。
こっちは神奈川の秦野がシェアのほとんどを占めているみたい。
意外と距離が近いけど、静岡周辺の温暖な気候が桜の生育に適しているのかな?

さくら味の中でも伝統的なものは、和菓子のさくら餡。
桜色で、桜の風味がするのだ。
どうやって作っているのかと思ったら、白インゲンを使った白あんに桜の葉の塩漬けを刻んだものを混ぜ、そこに食紅で淡く色づけているようなのだ。
なので、本当のさくら餡は刻んだ葉が点々と見えるはずだよ。
そうでないのは香料だけを使ったものなのだ。
クマリン自体は食品添加物に使えないから、また別物ということになるよね。
そうすると本当にパチモンだなぁ。

というわけで、「さくら味」というのは、桜の葉の塩漬けの味だったのだ!
花のイメージが強いけど、葉っぱの味なんだね。
でも、さすがに「桜の葉風味」じゃあれだから、「さくら味」なんだろうね(笑)
今年も春のうちに、たくさん「桜の葉」の風味を楽しみますか。

2014/04/05

奈良の春日の青芝に♪

和食を食べるときにあるとうれしいのは漬け物。
自宅では買っても消費しきれないことが多いので、なかなか家で食べることは少ないけど。
外でおいしい漬け物に出会うとうれしいよね♪
先日は、近為の大丸東京店で食事をしたんだけど、さすがに漬物屋さんだけあっておいしかったのだ!
その中でも、おいしいなぁ、と感じたのが奈良漬け。

奈良漬けはアルコール分があるので前は苦手だったんだけど、どうもそれはおいしい奈良漬けを食べていなかっただけのようなのだ(笑)
よい奈良漬けは、酒の風味があるくらいで、塩辛くもなく、深みのある味わい。
むかしから口の中をさっぱりさせるからと、鰻の蒲焼きのような脂の多い料理と取り合わせになってきたんだよね。
確かに、脂ののった魚の後に食べるとさわやかな感じがするよ。

奈良漬けは歴史が古く、平城京移籍から出土した木簡にも「かすづけ」という名前で登場するのだ。
当時のお酒はいわゆるどぶろくでにごり酒なので、酒を濾過した後に残ったものではなく、ワインの澱のように酒瓶の底に沈殿しているものだったみたい。
これ自体が貴重なものなので、当然「かすづけ」も高級品で、庶民が食べられるようなものではなかったのだ。
江戸時代になると清酒が登場し、酒粕が普通に手に入るようになるので、そこから庶民のものとなるのだ。
幕府に献上されたり、奈良を訪れる旅人に供されたりして徐々に普及していったらしいよ。
ちなみに、「奈良漬け」という名称は、江戸時代初期の慶長年間に名付けられ、それが定着したもので、奈良以外の地で作っても、一般名称なので「奈良漬け」と言うのだ。

奈良漬けの作り方は手が込んでいて、まずは白瓜や胡瓜などの野菜を塩漬けにするのだ。
この下漬けの段階で歯ごたえが決まるらしいので、こつがあるようだよ。
水分をよく取り除いてから、酒粕に砂糖、みりんなどを加えた粕床に漬けていくのだ。
そのまま放っておくのではなくて、粕床は定期的に替え、漬け替えを行うんだって。
これにより塩分が適度に抜け、酒粕からアミノ酸などがしみこんでくるのだ。
と同時に、独特のべっ甲色、琥珀色に染まっていくよ。
ボクは醤油か何かの色かと思っていたけど、酒粕に漬けることで出てくる色だったのだ。

ここで使う酒粕は、スーパーなどでも見かける「板粕」ではなく、「踏込み粕」と呼ばれるものだよ。
シート状に固められている板粕は、日本酒の副産物で、最後にもろみを絞って清酒を取り出した後に残るもので、圧搾されて固まっているのだ。
酒成分が多く残っていたり、大吟醸のように米粒がまだ形状を残したままである場合などは板状に固まらないので、それは「ばら粕」と呼ばれるんだって。
この板粕やばら粕をタンクに入れ、足で踏み込んで空気を抜いてから数ヶ月から半年くらい発酵を進めたものが「踏込み粕」。
ペースト状になっていて、なおかつ、少し色がついているのだ。

これはメイラード反応によるもので、酒粕中で糖分とアミノ酸が反応し、褐色の色素ができるんだよね。
なので、発酵が進んだ酒粕が、黄色、茶色、黒とどんどん味噌のような色に変わってくるのだ。
醤油や味噌も同じメイラード反応で茶色くなっているので、まさに同じような色なわけ。
このメイラード反応が進むと独特の香気も出てきて、それが奈良漬けの風味にもつながるんだ。
最近はあまり長期間漬けないのが多いようだけど、長期間漬けて真っ黒になった奈良漬けは、塩も抜けているし、風味が強くなっているのだ。
醤油漬けではないから決してしょっぱくないんだよ。

奈良漬けと言えばアルコールが含まれていることでおなじみだけど、切りたてはちょっとアルコールが強いんだって。
切ってからしばらく置くと、適度にアルコールが飛んで、お酒が苦手な人でも食べやすくなるそうな。
ボクの場合がまさにこれだね(笑)
ちなみに、水で洗うと風味が飛ぶので、酒粕を手や布でぬぐって、そのまま切るのが正しいみたい。

ちなみに、奈良漬けに含まれる程度のアルコールの場合、よほど大量に食べなければ飲酒運転で捕まることはないそうだよ。
食べてからしばらくするともう検出されなくなるのだ!
以前、直前に奈良漬けを食べて・・・、といいわけをした人がいたみたいだけど、やっぱり飲酒していたことが判明したみたい。
アルコール分を5%ほど含んでいる奈良漬けの場合、400g(60切れくらい)も食べないと反応しないという実験結果も出ているのだ。
念のため30分以上は時間を置いた方がいいんだろうけど、奈良漬けだけならそんなに気にしなくてもよいみたい。
油断は禁物だけど。

2014/03/29

慣例により首相が答弁します

参議院でも予算が成立し、国会はいよいよ後半戦に突入!
これからは様々な法案が審議されることになるのだ。
その中でも、特に注目を集めるのが「重要広範議案」と呼ばれるもの。
新聞などの報道でも、その成立の見通しが記事になるのだ。

日本の国会制度は委員会審議制をとっているので、基本的に議案の中身の審議は各委員会に付託して行うのだ。
各委員会への付託は、議院運営委員会によって決定され、付託が決まれば、各委員会で趣旨説明、質疑、採決と続いて、最終的に本会議で採決されるんだ。
委員会ですでに賛否が出ているので、通常本会議においては、その議案を審議した委員会の委員長から、委員会ではこういう議論があって賛否はこうなった、と報告があって、その上で採決されるんだけど、これは「議了処理」と呼ばれるのだ。
なんだか本会議による議決は形式的と言っているような感じだけど。

ただし、たまに本会議の議決の前に討論することもあって、これは議院内の各会派の申し出により、賛成討論や反対討論を述べてから採決に突入することもあるよ。
また、議決の方法も複数あるんだ。
ひとつは、起立を求めるもので、この場合は「賛成多数により可決します」みたいな感じでぱっと見てすぐに賛否がわかるものに限られるよ。
二つ目は、記名投票を行うもので、賛成の場合は白票、反対の場合は青票を投じるよ。
事務総長が議員の名前を読み上げて、一人一人議長の前に札を持っていくのだ。
この場合、「牛歩戦術」がとられることがあるよ。
次に、異議の有無を確認するもので、議長が「御異議ございませんか」と聴いて、議場から「異議なし」と言ってもらうんだけど、基本的にはあらかじめ全会一致であることがわかっている場合にだけ使うのだ。
最後が、押しボタン式投票によるもので、参議院にだけ導入されている、議員席の手元にある賛否のボタンを押して投票を行う方式。
参議院広報を後で見ると各議院がどっちのボタンを押したか確認できるんだけど、間違えて押すこともあるみたい(笑)

一方、入口の段階で本会議で議論することもあるのだ。
それらの議案は「登壇もの」と呼ばれて、担当大臣が本会議においても法案の趣旨説明をして、それに対する質疑を行うのだ。
本会議における質疑の後、委員会に付託されて、より詳細な議論が行われることになるよ。
さらに、「登壇もの」のうち、「重要広範議案」と呼ばれるものもあって、この場合は、趣旨説明質疑で首相に質問することができるとともに、委員会の質疑でも各党一巡の基本的質疑や締めくくり総括質疑で首相に質問できるのだ。
ただし、これは与野党間の申合せによる慣例で、与野党の国会対策委員会が協議して決めるのだ。
「重要広範」に指定されると、本会議でも質疑が入るし、委員会の審議でも十分時間をとって議論することになるので、一般に法案審議に時間がかかるようになるのだ。
なので、内容的にはとても重要であっても、審議時間の関係で与党がいやがって「重要広範」とならないことも・・・。
一般的には4件程度の議案が「重要広範」指定されるんだけど、与野党間の駆け引きでこの数は増減するのだ。

予算が終わってから法案の審議が本格化するわけだけど、「重要広範議案」の場合は首相が答弁するので、当然注目を集めるのだ。
こういうのをあらかじめ知った上で報道を見てみると、国会の仕組みがよくわかっておもしろいよ。
意外に下手なバラエティを見るより、国会中継を見ている方がおもしろいこともあるからね(笑)

2014/03/22

実は公平?

いよいよ4月からは消費税率が上がるのだ。
駆け込み需要で高いものが売れているみたいだね。
かくいう我が家もいろいろとほしいものを3月中に買おうと画策しているけど。
実際、3%も税率が上がれば、1万円の価格で300円違うわけで、これがもっと高額なら大きいよね!
とは言え、むしろ目先の10円、20円の方が感覚的にはしっくり来て、節約節約と買いだめしたくなるのだけど(笑)

この消費税増税は、導入時点で「逆進性」の問題が指摘されたのだ。
ここで言う「逆進性」は、所得の低い人ほど消費税による税負担率が高くなる、というもの。
単純化すると、消費に占める食費の割合を示すエンゲル係数との関係で考えるとわかりやすいんだ。
つまり、収入が多く、生活に余裕がある人はエンゲル係数も低く、そのため、食費に係る消費税の負担率は低くなるのだ。
一方で、収入が少なく、食い詰めている人はエンゲル係数が高くなって、食費に係る消費税の負担率は大きくなるんだよね。
食費のように生活を営む上で絶対に必要な消費支出に着目すると、低所得者の方が消費税が重くのしかかっているように見えるというわけ。

もっと一般化して生活必需品の消費を考えた場合、生活必需品は所得が高ければそれだけ多く必要になるというものではなくて、一人あたりに必要な数・量が決まるものなので、所得が高くなれば生活必需品が消費支出に占める割合が少なくなるんだよね。
そうなると、生活必需品に係る消費税の負担率は所得に反比例することになるのだ。
これが消費税の逆進性と言われるもので、低所得者に税負担を押しつけているのではないか、という主張なんだよね。

ところが、これは論理的におかしいと反論もされているんだよね。
わかりやすい例で言えば、高所得者は高価なものを買うし、低所得者は割安なものを買うわけで、それぞれ所得に見合った消費をする限りにおいては税負担率は公平だ、というもの。
お金持ちはデパートで高級食材を買う一方で、庶民はスーパーのタイムセールで値引き品を買うのだから、お金持ちは庶民に比べて確かにたくさん税を払っているんだよね。
また、お金持ちは生活必需品だけでなくて嗜好品や美術品などの高価なものも買うわけで、生活必需品だけの消費支出で考えるのは適当ではないのだ。

こういう話があるので、いわゆる逆進性対策として、生活必需品については低減税率を適用して、低所得者の税負担率を下げよう、なんて話が出てくるんだよね。
ただ、海外では品目ごとに税率を変えている例もあるけど、それってけっこうシステムとして機能させるのは大変なんだよね・・・。
それに、何をもって「生活必需品」とするかの問題もあって、そうそう単純な話でもないのだ。
なので、とりあえずは8%に上げる段階では低減税率は適用されないことになっているのだ。
でも、将来的な課題として議論は残っているんだよね。

ところが、この話もおかしいと言われているんだよね。
ある一時点で見ると確かに高所得者は生活に余裕があって、収入に占める消費支出が低いように見えるんだけど、実際には生涯期間で考えると、

 生涯収入 = 生涯納税額 + 生涯消費支出 + 相続・贈与額

の式が成り立つはずで、相続や贈与しない分は最終的にはなんらかの形で消費に回っているんだよね。
それが数年に一度自動車を買うとか、一生に一度豪邸を買うとかだからいまいちこの議論で補足しきれないだけで。
そもそも相続税や贈与税は消費税よりはるかに高い税率だからとやかく言われる筋合いはないし、生涯消費で考えると、下手に食料品に低減税率を適用すると、高所得者の方が生涯に食費に充てる金額は高いので、税額負担軽減効果では得をすることにもなってしまうんだ!
そうなると、一定の税率で等しく全員に消費税を課税した方がよいということになるんだよね。

これは数式だけのことだけど、やっぱりなんかダマされた感は残るんだよね。
で、つらつらと考えてみると、この「不公平感」は「金持ちはたくさん税金を払うべき」というところから来ているような気がするのだ。
所得税なんかは累進課税になっているから、所得が増えるほど税率も上がって、高所得者ほど多くの税金を納める仕組みになっているんだよね。
これが「富の再配分」につながっているわけだけど、消費税の場合は、上で見たように、所得の多寡に関係なく等しく、公平に税負担が来るので、別のところで低所得者が優遇されていただけに、低所得者に一見厳しいように見えるんだよね。
おそらくここがポイント。

となると、むかしあった物品税のように、贅沢品にはむしろ高い税率で消費税をかける、ということになるんだけど、そうなると、庶民が一世一代の高い買い物として自動車や住宅、婚約指輪なんかの高額のものを買うのに支障が出るから、それも難しいんだよね・・・。
こうやって詰めて考えてみるとなかなか奥が深いことがよくわかったのだ。
でも、まずは3月中に何を買ったらいいのか考えないとね(笑)