2014/05/17

高額納税者はどいつだ

最近は少なくなってきたけど、うちの職場にも喫煙者はそれなりにいて、喫煙スペースでの雑談で独特のコミュニティが形成されているんだよね(笑)
それにしても、現在のタバコの価格は400円超!
子どもの頃は200円台だったと思うから、もう2倍くらいになっているのだ・・・。
牛丼が300円だったのが300円以下になっているんだから対照的だなぁ。

タバコの価格でよく言われるのは、そのほとんどが税金であると言うこと。
実際に日本たばこ(JT)のサイトでは、430円の商品の場合、価格のうち64.4%が税金だと説明されているのだ。
そのうちわけは、国たばこ税が106.04円(24.7%)、地方たばこ税が122.44円(28.5%)、たばこ特別税が16.40円(3.8%)、消費税が31.85円(7.4%)で、総計276.73円(64.4%)なんだって。
ちなみに、地方たばこ税は、都道府県税と市町村税があって、都道府県たばこ税が17.20円、市町村たばこ税が105.24円だよ。

この数字を見ただけでも、喫煙者は多くの税金を納めているなぁ、と思うけど、実際に税収の面でもたばこ税収はかなりの額に上るのだ。
財務省のサイトにあるデータによると、平成26年度予算で言うと、地方財政計画額ベースで、国税分は1兆646億円(国たばこ税:9,220億円、特別たばこ税:1,426億円)、地方税分は1兆739億円(都道府県たばこ税:1,509億円、市町村たばこ税:9,230億円)とされていて、総計2兆1,385円にものぼるのだ。
ちなみに、決算ベースの数字で見ると、平成24年度の国税の税収全体は43.9兆円で、国たばこ税とたばこ特別税を合わせて1兆1,754億円なので、2.7%に相当するのだ。
同じように地方税で見ると、平成24年度決算ベースで、地方税収全体は34.4兆円で、地方たばこ税は1兆1,760億円なので3.4%だって。
一部の人が納税しているだけでこれだけのインパクトなんだねぇ。
いくら税額が高いと言っても、軽々にやめられないわけだ。

タバコへの課税は明治期から始まっていた、日清戦争後に財政収入を増やすために専売制が開始されたのだ。
日露戦争の戦費調達でこれが拡大されて、戦後、国の直営から日本専売公社による独占販売に変わったのだ。
この時代は税金として徴収されるのではなく、国の会計にタバコの売上げ収入として入ってくるとともに、地方には納付金という形でお金を渡していたみたい。
これが、三公社五現業の見直しで、日本専売公社が廃止され、日本たばこ産業ができると、また税金の形で徴収することになったのだ。
このときにできたのが「たばこ消費税」で、後に一般消費税が導入されるときに「たばこ税」に名称が変更されたんだって。
地方たばこ税も日本専売公社がなくなったときに導入されたのだ。

国たばこ税はタバコの製造業者(主にJT)と海外産タバコの輸入業者に課税されるもので、紙巻きタバコだと本数当たりの税額が決められているのだ。
地方たばこ税は、卸売販売業者等が小売販売業者に売り渡す場合、小売り販売業者の営業所の所在の地方自治体に支払うもので(卸売販売業者等が直接消費者に売り渡しなどをする場合はその卸売業者等の所在地の自治体に払うことになるよ。)、やはり紙巻きタバコなら本数当たりで税額が決まっているよ。
さらに、たばこ特別税は、国鉄を民営化したときの累積赤字を精算するために作られた日本国有鉄道清算事業団と、国有林野事業特別会計の負債を一般会計に承継させるときに負担を補うために作られた税なのだ。
日本国有鉄道清算事業団はすでに解散しているんだけど、まだ負債は残っていて、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構がその業務を引き継いでいるよ。
国有林野事業特別会計の負債は、現在は一般会計から国有林野事業債務管理特別会計に承継されているのだ。

ちなみに、タバコに係る消費税は、国と地方のたばこ税がかかった上に消費税がかかるので二重課税だ、と言われるんだけど、実は厳密には二重課税ではないのだ。
国のたばこ税の納税義務があるのは製造業者や輸入業者で、その納税負担分を小売り価格に上乗せされているだけなんだよね。
地方のたばこ税も同様で、納税義務があるのは卸売販売業者で、その納税負担分がやはり小売価格に上乗せされているのだ。
消費税は物品又はサービスを取引する度に課税されるんだけど、税負担は製造業者、卸売業者、小売業者と転嫁されていって、最終的には消費者が負担する仕組み。
ただし、課税の累積を防ぐため、売上げにかかる消費税額から仕入れに係る消費税額を控除した額を納税する仕組みなんだよね。
つまり、100円の価格の商品を消費者が108円で買ったとき、小売業者が卸売業者から50円の価格で仕入れていたら、小売業者の納税額は100×8%-50×8%で4円になるんだよね。
卸売業者が製造業者から25円で仕入れたとすると、卸売業者の納税額が2円、製造業者の納税額が2円で、トータルで消費者の支払った8円が分担されて納税されることになるんだ。

これを踏まえると、国のたばこ税の場合は、製造業者に課税されるので、卸売業者が買うときにはすでに商品のコストに含まれているんだけど、地方のたばこ税は卸売業者に課税されるので、小売業者や消費者から見るとコストに含まれているけど、卸売業者にとってはコストになっていないのだ。
すなわち、国のたばこ税は、製造業者から消費者までのタバコの売り渡しのすべての取引で課税対象に含まれてしまうんだけど、地方のたばこ税は卸売業者以降でしか課税対象に含まれないわけ。
なので、タバコ一箱当たりの消費税は「8%」になっていなくて、「7.4%」だったのだ。
卸売業者が製造業者から商品を仕入れるときは地方たばこ税相当分に対する消費税は納税されていないのだ。

430円のタバコの場合、税金を除いた本体価格は35.6%に相当する153.08円で、これが製造業者から卸売業者に行くときに国のたばこ税として122.44円が課税されて、275.52円になるのだ。
この取引に係る消費税はその8%で22.04円で、この時点で価格は297.56円になっているのだ。
卸売から小売りに行くとき、この価格に地方のたばこ税122.44円が付加されて、420円になるよ。
小売りから消費者に渡るときは、仕入れ価格である297.52円を控除して消費税を計算するので、小売業者が納税する消費税は、実際は地方のたばこ税相当分にかかる部分だけになって、9.80円になるのだ。
これが420円に加わると、429.80円で、430円となるわけ。
消費税だけ足すと、31.84円になって、一番最初に出てきた数字の31.85円とほぼ一致するのだ!
いやあ、自分で計算してみて初めて理解できたけど、複雑だねぇ。

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