2015/06/27

煙にダマされるな!

そろそろ蚊を見かけるようになってきたのだ。
うっとうしいよね。
職場は高層階なんだけど、エレベーターに乗ってやってくることもあるのだ。
で、虫除けのぶら下げるやつなんかを下げている人も。
でもでも、一番効果があるのは蚊取り線香なんだって。
電気蚊取りとかいろいろあるけど、持続性・拡散性に優れているそうなのだ。
熱帯地域でマラリア蚊を防ぐのにも蚊取り線香と蚊帳が一番いいらしいよ。

蚊取り線香と言えば「金鳥」が有名だけど、会社名はずばり「大日本除虫菊」なのだ!
当初の蚊取り線香はまさにこの除虫菊を乾燥して粉末にしたものが練り込んであったので、この名前なんだとか。
7割方花が開いたところで花を摘み取り、陰干しでよく乾燥してから臼でひいて粉にし、デンプンなどと混ぜて形にしていたんだ。
渦巻き状なのは、夜寝ている間中効果を持たせるため、7時間くらい燃焼させる必要があったため。
直線上だと長さがかせげないので、渦巻き状にしたのだ。
今では型抜きなので、円いシートから重なり合った渦巻き2つを切り抜くんだ。
今でも蚊取り線香を買うと2つの渦巻きがくっついた形で入っていて、切り離して使うよね。

もともと除虫菊は地中海地方のセルビア原産で、日本には観賞用として明治期に入ってきたもの。
生花の状態でも虫除け効果はあることが知られていて、大日本除虫菊の創業者の上山栄一郎氏がその乾燥粉末を使って作ったのが始まり。
最初は、伝統的な蚊遣火と同じように、モグサのようにおがくずと除虫菊の乾燥粉末を混ぜたものを火鉢で燃やすことを考えたみたいなんだけど、蚊のよく出る夏に火鉢を使うのもあれなので、線香に練り込んでみたんだそうだよ。
線香は火をつけてからふっと消して上げるとくすぶりながら比較的長時間燃え続けるのでいけるとおもったみたい。
でも、棒状だと燃焼時間がそんなに長くないし、倒れて火災の原因になるおそれもあって、先に触れた横置きの渦巻き型になって普及するのだ。
これはすごい工夫だよね。

この蚊取り線香、煙の中に虫除け成分があるように思えるけど、実はそうではないんだって。
煙は煙で、虫除け成分はその手前から見えない状態で拡散しているのだ。
もともと揮発性成分なので、燃焼点手前の高温になったところで揮発していっているみたい。
これはちょっとおどろきだよね。
なので、蚊取り線香の煙を集めても意味がないんだよ!
煙の流れでどっちの方向に拡散しているかの見当はつくけどね。

そう考えると、リキッドタイプとか、蚊取りマットとかでは煙が出ていないのに効果があるのもうなづけるよね。
蚊遣火だった時代はまさに煙で蚊を追い払っていたわけだけど、現代は虫除け成分を拡散すればよくて、それは煙と関係ないので、熱して揮発させてあげればよいのだ。
なので、煙の少ない蚊取り線香なんてのもあるみたい。
煙がないと風情がなくなるような気もするけど。

ちなみに、現在は実際に除虫菊を乾燥・粉末化したものを使っているのではなく、化学的に合成した類似物質を混ぜ込んでいるんだって。
戦前は瀬戸内地方が除虫菊の一大生産地で、花が咲く初夏にもなるときれいな白い花であふれていたそうだよ。
もともと観賞用で入ってきただけあって、花もきれいなのだ♪
今でも広島の因島には観光用の花畑があるみたい。
たぶん、この花畑なら蚊に刺されないんだよね(笑)

2015/06/20

すーすー系

職場の新人君が、ときどきオリジナルドリンクを持ってくるのだ。
中身は、レモンスライスとミントを水に入れたもの。
ほのかな酸味とミントの風味でさっぱりするんだって。
近頃の若者はしゃれおつなものを飲むんだねぇ、と関心。

ミントの葉には揮発性油のメントールが多量に含まれていて、そのすーすーする感じが爽快感や清涼感を与えるのだ。
それで食べ物・飲み物に入れられたり、シャンプーや歯磨き粉に使われたりするのだ。
この精油成分の了でミントは大きく2つに分かれるんだって。
すなわち、ペパーミントとスペアミント。
そういえば、アイスやガムのフレーバーでペパーミントだったり、スペアミントだったりするけど、そういうことだったのか!

ペパーミントはメントールが多めで香りも強いのだ。
なので、生のままの葉っぱを飾りに使うというよりも、精油成分を水蒸気蒸留で抽出して、香料として使うことが多いみたい。
例えば、アイスやガム、キャンディーなど。
我が国のハッカ油なんかに使われるニホンハッカもこのペパーミントの一種。
ちなみに、水蒸気蒸留をするときは、釜の中に隙間なくミントの葉っぱを充填して、そこに高圧水蒸気を吹き込むことで抽出する方法。
ミントの「フィルター」をくぐった水蒸気を冷却すると、水の上に少し精油成分が浮いていて、それを集めるのだ。

スペアミントはメントールは少なめだけど、代わりにカルボンという甘い香り成分を持つのだ。
こっちはすーすー感もマイルドで、甘い香りもあるので、生のままの葉っぱを使うこともあるのだ。
こじゃれたお菓子についてくるミントの葉っぱはたいていこっちだよ。
もちろん、精油成分を抽出して使うこともあって、甘い香りのもとのカルボンも精油に含まれるので、そこにペパーミントとはまた違った需要があるのだ。
ガムの中でもすーすー感が弱いのはスペアミント系であることが多いよ。
ボクはあんまりすーすーするのが好きではないので、スペアミントの方がよいのだ。
ただし、葉っぱのまま飾るのはスペアミントの方がよいわけだけど、モヒートのようなカクテルに使うにはそれだとミント感が弱いので、ペパーミントが基本みたい。
もちろん、モヒートにはそれこそ無数にレシピがあるので、あまり清涼感が出すぎないようにスペアミントを使う場合もあるんだけど。

このミント、繁殖力が強いことでも知られているのだ。
ミントは水さえあればすぐに種が発芽し、なおかつ、地下茎で栄養繁殖もするので、一度生えると他の植物を押しのけてはびこってしまうのだ・・・。
下手に家庭菜園で植えると、他のハーブを全て押さえ込んでミントだけになってしまうので、個別に育てないと大変なことになるんだって。
匿名掲示板でも、「いやがらせ」として大事に育てている花壇にミントを混ぜるというのがあるけど、植物テロになるくらいの破壊力なのだ。
しかも、ミントに含まれるメントールには防虫効果もあるので、虫にも強く、仮に虫がついても地上部を切り取ってしまえばまたすぐに地下茎から新しい芽が出てくるんだって。
ハーブとして使い道はあるけど、そこらの雑草よりはるかに生命力旺盛なので注意が必要だよ。

2015/06/13

ダメ!ゼッタイ!!

厚生労働省が「改めて」豚レバーの生食を禁止して話題になっているけど、正直「えっ!?」って思ったんだよね。
だって、もともと豚肉は生食しないでしょ。
豚肉を食べるときはよく加熱して、っていうのは一般常識だよね。
飲食店が赤みが残るレアな状態で豚肉料理を出したらそれこそ問題になると思うけど・・・。
でも、どうも世間一般では、「レバー」は別扱いみたい(>o<)
特に牛のレバーの生食ができなくなってから需要が高まっていた(?)ようなので、駆け込み需要とか、嘆く声とか、よくわからないものが報道されているのだ。

豚肉(イノシシ肉)は古くから食肉として扱われてきていて、日本でも弥生時代の遺跡からイノシシと骨とおぼしきものが出土したりしているらしいのだ。
その後仏教政策で肉食が禁止されるので、しばらく豚肉食習慣は表に出てこなかったんだけど、江戸時代にはももんじ屋などで他の獣肉とともにイノシシが食されていたのだ。
全国的に広まったのは明治維新以降で、牛肉よりくせがなく、安価なことから、関東では「肉」と言えば一義的に豚肉を指すまでに広まっているのだ。

でも、この現代の豚肉食習慣では加熱調理が必須とされているよね。
これはブタが保有している病原体の関係なのだ。
トキソプラズマのような原虫もあるんだけど、特に問題と考えられているのはE型肝炎。
これはウイルス性肝炎を引き起こすもので、シカやトナカイの肉も同様なので、必ず加熱して食べる必要があるんだ。
また、屠畜流通段階で食中毒原因菌汚染の可能性も指摘されているのだ。
もともとは生食が可能とされている牛肉と違って、加熱調理を前提としている豚肉の場合は諸中毒原因菌フリーで流通させる仕組みがないのだ。

市場には特定病原菌に感染していない「SPFポーク」というのもあるけど、これは、日本SPFブタ境界が規制している5つの病気(マイコプラズマ肺炎、トキソプラズマ感染症、萎縮性鼻炎、豚赤痢 、オーエスキー病/ブタヘルペス)に感染していないということなので、E型肝炎は別なのだ。
なおかつ、流通経路としては一般の豚肉と基本は同じなので、食中毒のリスクは変わらないんだよね。
特に今般の生肉食規制は、O157をはじめとする食中毒病原菌汚染から来ているので、SPFポークだからいいということにはならないんだよね。
そして、E型肝炎のリスクがある以上、牛の生レバーよりたちが悪いのだ(>o<)

最近はSPFポークだからと、たたきにしたり、レアな焼き加減で出したりするような飲食店もあるようだけど、実はリスクは残っているんだね。
「SPF」という言葉を過信してはいけないということなのだ。
きっと生レバーとか、レアな豚肉にはそれなりの魅力があるんだろうけど、それこそ伝統的に豚肉を加熱しておいしく食べる調理法は山ほどあるわけで、正直リスクを冒してまで生食する必要はないんじゃないかと思うんだよね。
それもこれも全部承知で、オウンリスクで食べるんだというのなら仕方がないのかもしれないけど、あまりリスクを認識していないままに食べているのだけはやめた方がよいのだ。

ちなみに、実は豚肉の脂肪は馬肉と同じくらい融点が低いので、いわゆる「口の中でとろける」食感があるはずなんだよね。
牛刺しよりも馬刺しがメジャーなのは脂肪の融点の低さのおかげで、ちょうど体温で脂肪が融けるので口当たりがよいのだ。
牛肉の場合は若干融点が高いので、多少温めた状態がおいしく感じるんだよね。
その点しゃぶしゃぶはよい調理法ということになるのだ。
豚肉も性質的にはそうなんだけど、生食はやめた方がよいので、これが生かし切れていないのか、残念だなぁ、と思っていたら、そうでもないみたい。

そう、ハムやソーセージなどの加工食品にしたときに真価が発揮されるのだ!
ハムやソーセージは、塩蔵、乾燥、燻蒸などで加工しているわけだけど、これらは温めずに食べてもけっこうおいしいのだ!
特に生ハムなんかはそうだよね。
牛肉の生ハムがないのはもともと生で食べられるから、という以上に、脂肪の融点の関係で口の中でとろけないからなのだ!
むしろビーフジャーキーにしてしまうわけ。
なので、何も生食せずとも、生ハムという形で豚肉の底力は感じることができるのだ。

2015/06/06

金はカジノの回りもの

国会議員の間で統合型リゾート(IR)に関する議論が行われているのだ。
できれば2020年の東京五輪に間に合わせて、外国人観光客を呼び込んで、お金を落としていってもらいたいんだよね。
一方で、国内にそういう施設ができると治安が悪くなるとか、ギャンブルに入れ込みすぎて破滅する人が出てくるとかの負の側面も指摘されていて、全体としてはイケイケ派と慎重派が主張をぶつけ合っているんだよね。
確かに、おとなり韓国のカジノは原則外国人のみを対象としていたんだけど、一部で韓国人に開放したら、身を崩す人が続出したという悪事例もよく紹介されているのだ・・・。

で、テレビでその話を見ていたとき、ある慎重派の人が言ったことが気になったのだ。
それは、「カジノは所詮プレーヤーの金を集めて再配分しているだけで、そこからは胴元の取り分が引かれるんだから期待値としては損をするだけ」という話。
カジノと言われると胴元とプレーヤーの勝負のような気もするんだけど、どうなんだろう?
というわけで、少し調べてみたのだ。

このような主張がもっともよく当てはまるのは、国内でも認められている公営ギャンブル(競馬、競輪、競艇、オートレース)や宝くじ・totoくじ。
これは投票券・くじの売り上げをプールし、そこから胴元の取り分を引いたものを再配分するのだ。
これを控除率と言っていて、宝くじやサッカーくじではだいたい50%、公営ギャンブルでは25%くらいなのだ。
これらの場合はあらかじめ胴元の取り分をさっ引いて再配分するので、胴元は確実にもうけられるのだ。
逆に言うと、競馬の場合は馬券の総売上の25%は日本中央競馬会又は地方公共団体の収益になるのだ。
ただし、実際には事業実施コストも発生しているので、まるまるもうけというわけではないよ。
宝くじの場合は半分は収益になるんだけど、そのうちの一部は公益的な事業に使われることになっているんだよね。
最近では復興宝くじがまさにそうだけど、街中でも公園の遊具やベンチに宝くじの収益で買ったものだ、なんて書いてあるよね。

これこそが公的に認められた賭博である所以で、社会福祉の向上に資するから例外的に賭博行為が認められるし、その胴元は当然のことながら悪い儲け方をしない公的な主体に限られることとなるのだ!
日本でもむかしから富くじやら勧進相撲というのがあったけど、それと同じなんだよね。
寺社の建て替えや改修の費用を捻出するのにギャンブルの売り上げを利用するものだったわけだけど、それと同じようなものだよね。
江戸時代も勝手に富くじをするのはやはり禁止されていたのだ!

逆に、胴元の側も少しリスクを負うものがあるんだよね。
それがポーカーやパチンコ、丁半ばくちなど。
基本的には賭場への参加料として寺銭やらハウスエッジというものを胴元にとられるので、その分は確実に胴元のもうけになるんだけど、それ以外は原則としては偶然性に左右されるので、プレーヤーが勝ち続けて胴元が損することもあり得るんだよね。
でも、実際はそんなに損をしないからこそカジノや賭場の胴元は成り立つのだ。
何もいかさまをしているわけじゃないよ。

というのも、大勢の人が何度も何度もギャンブルに興じる場合、それこそ無限回に近い回数で行われることになるのだ。
すると、確率・統計論的には「大数の法則」が働いて、当たりの目もはずれの目も出る確率は限りなく期待値に近づいていくんだよね。
ルーレットの赤黒で言えば、多く回せば回すほど、赤と黒の出る確率は1/2に近づいていくんだ。
このため、適切に倍率が設定されている限りは、胴元が大きな損をする確率はゼロに近づくわけ。
とにかく数をこなすことが重要で、そのために海外のカジノでは太い客に特典をつけて、ホテルに無料で泊まれたり、レストランで無料に食事できたりするよう便宜を図ることもあるみたい。

さらに、カジノのギャンブルでも、ルーレットは先に紹介した公営ギャンブルや宝くじに近いところがあるのだ。
ルーレットでは、盤が赤と黒に分けて1~36の数字がふってあって、どの数字のタマが落ちるかを賭けるわけ。
で、一点がけなら36倍、赤黒なら2倍とかけ方によって倍率が変わっていて、これは当たる確率の逆数に設定されているのだ。
ところが、実はルーレットには0や00といった数字もあって、この場合は胴元の総取りなんだよね。
なので、本当は1/36で当たるんじゃなくて、1/38で当たるのだ。
この差の分だけ胴元が有利だし、プレーヤーが得られる報酬の期待値は下がっているというわけ。
プレーヤーから参加費用をとらずとも、ルーレットに参加してもらえれば胴元はもうけることが可能なんだ。

パチンコやスロットマシーンの場合は、そもそも当たりの出る確率を調節できるんだよね。
いわゆる「出玉調整」というやつ。
でも、あんまり当たらないとやる人がいなくなるので、適度にしておくことが大事なんだけど。
よくあるのは、大当たりは多少でやすくするけど、小当たりを抑えるというもの。
人間は不思議なもので、ちょろちょろ小当たりで稼ぐより、一発逆転の大当たりにかけたいものなのだ。
パチンコなんかはあまりにも射幸心を煽らないように、一定の制限があるみたいだけどね。
とは言え、これも確率の世界の話なので、やっぱり数をこなすことが重要で、まずはプレーヤーに魅力的に映るような設定が必要なのだ。

というわけで、調べてみると確かに期待値だけで見るとプレーヤーが損しているだけなんだよね。
胴元の取り分を除いて少なくなった分を取り合っているのだ・・・。
なんか、そう考えると悲しいね。
ま、ボクはもともとあんまりギャンブルには興味ないけど。