2023/12/30

良い子はいねがぁ

 クリスマスには良い子にサンタさんがプレゼントをくれるのだ。
でも、秋田では、大みそかに悪い子のところにはなまはげが来るのだ。
このギャップ!
欧米では、よい子にしていると報酬としてサンタさんからプレゼントがもらえるわけでインセンティブ付与型なんだよね。
一方、日本の場合は、何か悪いことをするとペナルティがある、ディスインセンティブ型なんだよね。
だからと言って日本が陰湿とかいう単純な話じゃないけど。

欧米では、よい子にしていないと悪魔とか怪物が来るなんて教訓めいた俗信はあるので、それがたまたまクリスマスとは関係ないというだけ。
っていうか、むしろ、クリスマスに無理やり教訓が結び付けられているんだよね。
サンタクロースの起源は聖クラウスの逸話と言われていて、この人は、貧しさのあまり三人の娘を身売りせざるを得なくなった家族のところに真夜中に訪れ、窓から金貨を投げ入れたのだ。
すると、暖炉のところに下げられていて靴下に入って、それを朝見つけたこの家族は娘の身売りを免れたんだよね。
これが夜中に靴下の生にプレゼントが入っているというオリジナル。
なお、この話はクリスマスの話ではないみたいだけど、聖ニコラウスの祭日は西方教会でも東方教会でも12月なのでクリスマスの習俗と習合していったのかも。

ちなみに、キリスト教のクリスマスは「降誕祭」で、神の子イエスの誕生を祝う宗教行事。
本来は教会にミサに行く日。
ツリーやリースなどの飾りつけはするし、御馳走でお祝いする風習もあるのだ(ディケンズのクリスマス・キャロルを見ると近代英国のクリスマスの風習がよくわかるよね。)。
このとき、クリスマスのお菓子として、フランスはブッシュド・ノエル、イギリスはクリスマス・プディング、イタリアはパネットーネ、ドイツはシュトーレンを食べるんだけど、これが今のクリスマス・ケーキの源流。
日本は「キリスト者」の国ではなかったので、表面的なクリスマスの風習だけが取り入れられた結果、飾りつけやクリスマスのお菓子、サンタさんだけが浸透したわけ。

実は、キリスト教以前から欧州地域では冬にお祭りをする風習があったんだよね。
それが「冬至祭り」。
ちょうど新暦のクリスマス直前くらいが冬至で、昼間の時間が一番短い=太陽の力が最も弱っている日なのだ。
なので、太陽の力の再生を祝ってお祝いをするというわけ。
クリスマスをいつにするかはローマ時代に会議で決めているんだけど、すでにいつかわからなくなっていたキリスト降誕の日をローマ歴の冬至に合わせたようなのだ。
先日のようにお祭りもやっていたし、ちょうどよいからね。

で、日本だけど、日本は正月になると「歳神」様が来る、という習俗があるのだ。
折口信夫先生言うところの「マレビト」としての来訪神。
なんだかよくわからないのだけど(笑)、この来訪神をきちんとお迎えすることで、その年の幸福や豊穣を願うのだ。
門松は来訪神を迎えるための飾りつけ、鏡餅はお越しいただいた来訪神の依り代となるものだよ。
で、その来訪神がお帰りになったところで鏡割りをして、歳神様の運気と力の宿った餅を食べて自分に一体化させるんだよ。
そのとき、邪を払うと考えられている小豆(赤い色が邪を払うと考えられているのだ。)と一緒に食べるので、お汁粉にすることが多いのだ。

秋田のなまはげ、甑島のトシドン、能登のアマメハギなどは、仮面をつけた来訪神に扮した人が実際に各家庭を回って戒めを行うという習俗で、ユネスコの無形文化遺産にも登録されているんだよ。
本来歳神様は見えない存在だけど、それを仮面をつけて紛争して「見える化」したうえで、年の瀬の忙しい時期に怠けている人を懲らしめるという教訓的な意味合いが持たされているのだ。
東北から北陸、九州・沖縄まで似たような習俗があるので、やはり何か根底に共通のコンセプトがあるんだよね。

歳神様は豊穣をもたらす存在なわけだけど、お正月に来るのだ。
早くて大晦日、遅くて小正月までなのだ。
「年越し」というものにはカレンダー以上の意味はないけど、かつての日本社会ではおそらく唯一のまとまった休みの期間なんだよね。
逆に、ここで休むために、日持ちのするお正月料理や餅を用意したりとお正月の準備をするわけで。
そういうみんなが忙しくしている時にさぼっている連中は、豊穣を約束してくれる存在である歳神様に懲らしめてもらわないと困るのだ。
そんなことでは豊穣は約束できないぞ、と。
となると、現代社会でもせめてお正月にはニートの皆さんを懲らしめる現代版なまはげが活躍してくれることを祈るしかないね(笑)

2023/12/23

ゆっくりやれば上品に

 最近、煮干しの出汁が気に入っているのだ。
子供のころはなんか生臭くて少し嫌だったんだけど、この頃、煮干し系ラーメンを食べて、改めてそのうまみに気づいたというか。
むしろ、ここのところは煮干し系の出汁を求めている気がする。
なんか、濃厚なうまみを感じるんだよね。
で、さっそくスーパーで煮干しを買ってきて、味噌汁用の出汁をとってみたんだけど、こっちは普通。
あの濃厚さは、大量に使うとか、ぐつぐつ煮るとか、そういう要素があるんだろうなぁ。

煮干しは、鰹節や昆布と並んで日本の出汁文化を支えるもの。
西日本では「いりこ」と呼ばれ、「いりこ出汁」はさっぱりとしていて上品な出汁とされるのだ。
そのうまみの主成分は鰹節と同じグルタミン酸なんだけど、カツオの身の部分だけ使って加工される鰹節とは違って丸ごと使うので、カルシウムやミネラルなども豊富らしいよ。
また、鰹節はほとんど脂肪分のない赤身のカツオを使うわけだけど、煮干しの場合は、小さなカタクチイワシなどの青魚が原料。
小さいうちなのでそこまで脂はのっていないけど、青魚特有の不飽和脂肪酸があるのだ。
この不飽和脂肪酸は酸化されると、いわゆる「生臭み」になるので、煮干しにはその風味がどうしても付きまとうわけ。
煮干しも地鰹節同様に長期保存可だけど、不飽和脂肪酸の酸化による劣化があるので、冷暗所に保存して早めに使ってしまう方がよいみたい。
市販されているものは劣化を遅らせるために脱酸素剤が入っていたりするよ。

煮干し出汁の取り方はいくつかあるんだけど、短時間で出汁を引きたい場合はに出すのが一般的。
頭とワタからは雑味・苦味・えぐみが出るので、頭を外し、身を三枚におろすように割って黒いワタを取り出してから入れるとよいらしいよ。
それでもアクは出るので取らないと嫌な味が残るのだ。
量的には、1リットルに30gというのだけど、これは思ったより多くの量を入れるイメージかな。
1~2匹でよいかと思っていたら、10匹分くらいは入れないとだめみたいだ。

時間をかけてよいなら、水出しが上品な出汁になってよいらしい。
やはり頭とワタを取って水につけて数時間。
翌朝のお味噌汁に使うなら夜のうちからつけておけばよいみたい。
この方が雑味が出ないんだそうだよ。
でも、家庭の場合は、出汁を取った後に煮干しのガラを取り出さないことが多いので、その場合は煮出すのとあんまり変わらないかも・・・。
とにかく出汁のうまみが欲しい、という場合は、フードプロセッサーで煮干しを粉末状にして、粉末出汁のように使ってもよいのだ。
雑味なんかも多くなるはずだけど、カルシウムも丸ごと取れるのでメリットもあるのだ。
ラーメンにも煮干し子ってトッピングで使われるけど、あれが入ると一気に出汁が濃厚になるんだよなぁ。

鰹節は加工にけっこうな技術がいるけど、煮干しは割と単純。
小魚を塩水で煮てから干すだけ。
比較的に手に入れやすい食材だったのだ。
西日本の場合は、北海道でとれた昆布を日本海ルートで開運で運べたので、昆布が手に入りやすかったのだ。
それで昆布だしが多いのだけど、東日本、特に太平洋側はそれが使えないこともあって、昆布は手に入りにくかったそうな。
で、江戸の食文化はかつお出汁がメインになるけど、鰹節が普及するまでは煮干しを使うわけだよね。
田舎料理では煮干し出汁が多いのはそれが理由。
もちろん、だしを取った後にそのまま汁物の具として食べることもあるけど、お正月に食べる「田作」のように、乾煎りして味付けして食べる場合もあったのだ。
意外と便利な加工食品だったのかも。

2023/12/16

超電磁力

 世の中には磁気治療器というものがあるのだ。
磁力によって治療をしようというもの。
もっとも身近な例で言えば、ピップエレキバン。
肩や腰にばんそうこうで強力な磁石を貼っておくと、血行が良くなくなってコリがほぐれるというやつね。
これは旧薬事法で「管理医療機器」の許可を得ているので、臨床試験をして安全性があり、一定の効果もある、と認められているのだ。

なぜ磁石をくっつけておくと血行が改善されるのか。
ちょっとネットで調べてみると、赤血球の中で酸素運搬に使われているヘモグロビンの中にある鉄イオンに磁力が影響を及ぼして云々とかあるんだけど、どうもこれはいめーじでそう語られているみたい・・・。
ピップの公式説明によると、磁気が血管内皮細胞に働きかけ、血管拡張物質である一酸化窒素(NO)の合成が活性化されるから、と書いてあるよ。
血管内皮細胞からNPOが放出されると、まわりの平滑筋が弛緩し、血管が拡張するのだ。
これにより血流が良くなる、というわけ。
心臓病の薬で使われるニトログリセリンは、体内で一酸化窒素を出し、同じメカニズムで血管を拡張することで作用を発揮しているんだ。
バイアグラも局所的に血流量を増やすわけだけど、これもNOを介したメカニズムみたい。
はじめは心臓の薬として開発されていながら今では発毛役になっているミノキシジルも同じ(笑)

おそらく、最初に旧薬事法で最初に承認を受けたときは、周りの体温が上がったとかなんとか状況証拠で結構改善効果が見込める、としていたと思うんだよね。
でも、今となっては、血流量や、場合によっては、NOの放出も計測できるので、公式見解で出すくらいで嘘はないはず。
なので、磁石を貼っておくと血管拡張により血流が改ざんされる効果はあるんだよ。
それが肩こりや腰痛の緩和にどこまで意味があるのか、というのが問題なだけで。
ここから先は「感覚」の問題になってくるから、効果測定が難しいんだよね。

海外の論文では、磁石を貼るだけでは効果なし、というのが主流で、そういう論文も多いのだそうだけど、これは主に「
痛みの緩和」という効果についてのものなんだって。
痛みについてはもともと「疼痛緩和」みたいな分野があって、効果検証はそれなりにできるようになっていて、そのスケールで測ると、有意な影響は観測できない。
っていうか、偽薬効果(プラセボ効果)以上のものはない、という結論みたい。
それが正しいなら、腰痛や四十肩みたいな痛みの症状はそうなんでしょう。
問題は、肩こりや腰のはりみたいな、なんかこわばっていて違和感を感じる、みたいな症状に対してはどうなのか、ということ。
これらは極めて感覚的だから、本当に聞いているのか、プラセボ効果なのかはなかなか判別できないよね・・・。

逆に言えば、もっとポジティブに受け止めて、肩や腰の不調の原因は「血流の滞り」なんだと信じ切って、血行が改善されればよくなる、と思い込めば、けっこう症状は緩和されるはずなんだよね。
「病も気から」の世界ではあるけど。
リハビリや整体もけっきょくはほぐして動かして血流をよくする、っていうことなので、それと同じ。
それより簡単に磁石で血行が改善する、ということなのだ。
こればかりは「信じる者は救われる」方がよさそうだ。
もともと磁石そのものにはほぼほぼ有害な影響はないし、肩こりや腰痛は生死に直結する症状でもないから。
これが抗ガン治療とかだったら困るわけだけど・・・。

2023/12/09

植物の乳

 最近、「第3のミルク」というのをよく目にするようになったのだ。
「第1のミルク」はもちろん牛乳。
「第2のミルク」は羊乳や山羊乳ではなく、豆乳なんだよね。
スタバでもかなり前から「ソイミルクに変更」なんてオプションがあったくらいで。
で、さらにその豆乳に変わる、植物性のミルクというのが「第3のミルク」なのだ。

具体的には、アーモンドミルクやライスミルク、オーツミルクなど。
どれも固形物を水と一緒にミキサーにかけてからろ過した乳濁液。
ものによっては粒子が大きいので沈殿ができることもあるみたい。
水に溶ける、あるいは、ろ過されない微粒子として均一に分散して懸濁されるものだけが残ったものだよ。
大豆で言えば、大豆をゆでてミキサーにかけ、ろ過したものが豆乳、残った残渣がおからだよね。

この中でも、どうもオーツミルクに注目が集まっているとか、いないとか。
というのも、ちょっとオーツミルクの場合は栄養面で性質が違うんだよね。
もともと健康食品としてオーツ麦(オートミール)が注目を集めたいたこともあるのかも。
オーツ麦は低カロリーでミネラルに富み、グルテンフリーなので、オートミールやグラノーラ、ミューズリーが健康的な朝食として注目を集めたんだよね。
グラノーラはかなり甘くしてあるからわりとおいしいのだけど、低カロリーというメリットが生かせないんだよね。
かといって、ミューズリーは正直味気なくていまいち。
オートミール(ポリッジ)に至ってはまずいと言われるからね。

そこでオーツミルクになるわけ。
ろ過しちゃうので食物繊維の多くは失われることになるんだけど、オーツ麦の場合は水溶性の食物繊維も多く含まれているので、完全にゼロにはならないのだ。
これは豆乳との大きな違い。
もそもそした触感がなくなって、ほのかな甘みだけが残るので、ミルクとして使うのにちょうどよいみたい。
しかも、オーツ麦はもともとカルシウムを多く含んでいて、それがオーツミルクにもそのまま残るのだ!
豆乳の場合はタンパク質は多いけど、カルシウムはないんだよね。
なので、乳糖不耐症や牛乳アレルギーがある場合は、オーツミルクがけっこういい代替品になるんだって。
ヴィーガンの人なんかはカルシウムが不足しがちだから、これはありがたいかもね。
ただし、タンパク質や脂質は少ないので、牛乳の代わりに使うとかなりあっさりにはなるのだ。

ちなみに、このオーツミルクはミキサーがあれば普通に作れるみたいだよ。
ただし、手作りの場合はどうしても粒子が荒くなるので、沈殿しやすいから使うたびによくかき混ぜた方が良いみたい。
保存性もわりと高いので、都度都度作るということでもないみたいだよ。
とはいえ、鉄づくりの場合は衛生環境に限界があるから、そこまで長期保存はできないだろうけど。
ちなみに、ろ過して残った残渣はオートミールクッキーの材料なんかにもなるそうなので、買ったはいいけどおいしくないから食べていないオートミールがあったらオーツミルクにしてしまうのもありなのかもね。

ライスミルクはオーツミルクと同じようなものだけど、いまいちはやらないのは、もともとコメは糖質の塊なので、ライスミルクにするとカロリーの高いデンプン液になるんだよね。
玄米のままミキサーにかければある程度ビタミンやミネラルは残るけど、食物繊維はほぼほぼ残らないよね。
それよりも、同じようなものなら発酵食品である甘酒の方が優れているのだ。
デンプンが糖化されて甘みがあるし、発酵過程でビタミン類なんかもあり、かつ、ろ過しなくても液状なので多少の食物繊維があるのだ。
ま、コーヒーにちょっと入れようとかはあまり思わないかもだけど。
甘酒は「飲む点滴」と言われるくらい栄養価は高いから、ミルクの代替品っていうよりは、カロリーメイトのドリンクみたいなものなのだ(笑)

2023/12/02

アンチ・ハードボイルド

 うちはわりと温泉卵を常備しているんだよね。
何かあとちょっとトッピングしたい、という時に便利なのだ。
生卵だとチャんちょ料理しなきゃ、って感じだけど、温泉卵ならのっければいいか、って軽く使えるから。
それと、納豆には生卵はよくない(納豆に含まれるビオチンが白身の中のアビジンにより吸収を阻害されるため)、ということを聞いてから、納豆と混ぜる時もできるだけ温泉卵にしているんだ。
納豆の件は気にするほどじゃないとも聞くけど。

でも、この温泉卵って作ろうと思うとコツがいるんだよね。
原理が分かっていれば簡単なだけど、ゆで卵を作るときに時間を短縮すればいいはず、なんて思っているとだめなのだ。
君だけ固まってない半熟卵になってしまって、白身が固まるんだよね。
もっと短い時間でってやろうとすると、白身がちょっと固まったくらいで黄身は生のままとか。
問題は時間じゃなくて、温度なのだ。

なぜ温泉卵ができるのか。
それと、白身と黄身で固まる温度が違うから。
黄身(卵黄)は70度くらいで固まるんだけど、白身(卵白)は80度くらいないと固まらないんだよね。
つまり、この間の温度で温めれば、黄身は固まるけど白身は完全に固まらない温泉卵ができるのだ。
もともとはお風呂にしては熱めのオン繊維卵を付けておくと、黄身だけ固まって白身は流動性があるままに温まる、というところから「温泉卵」と呼ばれるんだよね。
なので、ゆでながら作ろうとすると逆に難しくて、魔法瓶とか保温できる環境で卵を温めてあげると失敗しないのだ。
スーパーなんかで普通に温泉卵が売っているけど、温度管理すればいいだけだから、実は工業的には作りやすいんだよね。

では、なぜ白身が固まって黄身が固まりきっていない半熟卵ができるのか?
これは、熱伝導の問題なんだ。
卵をお湯の中で温める時、表面から中心に向かって徐々に熱が伝わっていくわけだけど、中心温度が黄身が固まる温度になる手前で加熱を止めればいいのだ。
通常は、80度、90度を超える熱湯に卵を入れて数分ゆでるんだよね。
表面に近い白身はすぐに熱が伝わって固まり、中心部の黄身は徐々にしか加熱されないので、70度になる前に火を止め、すぐに冷やしてそれ以上熱が伝わっていくのを防ぐ、ということ。
そうなんだけど、これは難しくて、多くの場合、経験則で語られるのだ(笑)
常温に戻した卵なら、〇度のお湯に入れて数分温める、水からの場合は〇分で火を止める云々。
熱伝導の問題なので、黄身の中心にサーモスタットを入れたりすればまた別だけど、これはパラメータを振って最適条件を導き出すしかないのだ。

ちなみに、お湯に割った卵を入れて作るポーチドエッグの場合は見た目でわかるので、コツさえつかめば作るのは楽なのだ。
白身が広がりすぎないように少しお湯を入れたお湯の中に静かに卵を落とし、周りの黄身が少し固まってきたところで引き上げ、冷水にとって熱を冷ます。
すると、黄身はほぼ生、白身が流動性を残す程度に半熟に固まったポーチドエッグができるのだ。
ポーチドエッグというと日常的じゃないけど、半熟卵入りのお味噌汁でもこれは同じだよ。
白身が固まってきたかな、というところで火を止めてお椀に移せば、半熟卵入りのお味噌汁が出来上がるよ。

ちなみに、牛丼とかのテイクアウトで生卵が温泉卵に変更になることがあるけど、これはあんまり意味がないみたい・・・。
というのも、温泉卵であるという以上、卵の全体は絶対に75度以上にはなっておらず、完全に熱殺菌できていないのだ。
衛生管理上は生卵とほぼ同様の扱いが必要なんだって。
半熟卵でもこれは同じで、中心部はやっぱり75度未満のはず。
というわけで、ハードボイルドのゆで卵にするか、いっそ炒り卵(スクランブルエッグ)にするかしないと駄目なわけだ。
気持ちの問題なのかもだけど。

2023/11/25

くさいものには・・・

 「デスマフィン」なるものがネット上をにぎわせているのだ。
そう、デザフェスで3,000個販売されたというマフィン。
納豆のようなにおいがした、糸を引いていた、食べたらおなかを壊した、などの報告が相次ぎ、食中毒事案として報告され、回収されることになったんだよね。
その回収と返金の対応が、ということでさらに炎上しつつあるけど。
どうも、個人でやっているお店のようで、対応にも限界はありそう。
だからこそ、そういうイベントで大量販売というのはリスクがあったわけだけど。

厚生労働省の食品リコール情報のページで公開されているものはこれ
「食品衛生法違反のおそれ」という名目になっているんだけど、回収数・回収率なんかも公開される仕組みなんだね。
こんなのがあるの初めて知った。
消費者庁の方は食品以外も含めてリコールのあったものについて情報を公開しているけど、やはり厚生労働省の方のサイトの方が情報量が多い。

で、この厚生労働省の方のサイトで、今回のリコール事案が「CLASS I」になっていることも話題なのだ。
最悪死亡事例も出るおそれがある、という最上位クラスらしい。
今回報告されているのは「腹痛、嘔吐、下痢」なんだけど、こういう食中毒は、老人や子供がなくなるケースもあるからね。
で、このクラスは最強の毒と言われているボツリヌス毒素やフグ毒のテトロドトキシンと同じ分類になるので、「デスマフィン」なんて呼ばれ始めたのだ。
せいぜい「腐敗したマフィン」だとは思うんだけど。
まずはものを回収したうえで今後分析してから、ということなんだろうけど、おそらくは普通に「雑菌が繁殖して腐っている」だけだとは思うんだ。
ボツリヌス菌があるのかどうかは今のところ不明。

すでに情報があふれているけど、このお店は個人で回しているようで、こういうイベントに参加する際は、普段やっているお店を閉め、「作りだめ」して臨むようなんだよね。
本人がSNSで発信していた内容によれば、5日間朝から晩までお菓子を作り続けていたらしい(マフィン以外にもクッキーなどの商品あり。)。
で、この先に作っておいた商品の保存状態が悪くいて、ダメになってしまったのだ。
これも本人が発信しているところによると、冷房を聞かせた常に18度以下を保った部屋に置いておいた、というんだけど、4度の冷蔵ならまだしも、それって温度高すぎじゃない?、と直感的に思うよね・・・。
買った後は冷蔵保存を推奨しているみたいだし。
しかも、放送されているラップの状態などを見るに、完全に冷め切っていない、まだ温かい状態でラップでくるんでいるのではないか、とみられているのだ。
そうなると、ラップで保温・保湿が保たれて、まさに雑菌が繁殖しやすい環境になっている。
過去にも同様のイベントに出店していたみたいだけど、そのときはこういう話は出なかったのだろうか?

大企業の工場で作られる食品の場合、衛生管理がめちゃくちゃ厳しくて、可能な限り雑菌に触れないように製造されるんだよね。
例えば、防腐剤がたっぷり入っているからなかなか腐らないといわれているヤ〇ザキのパンだけど、実際はほぼほぼ無菌状態で製造されているので、未開封状態であればほぼ雑菌フリーで腐りにくいのだ。
一方で、街中にあるパン屋さんの場合はそこまで衛生管理ができないわけで、どうしても雑菌に触れてしまうから腐りやすいのだ。
つまり、防腐剤の有無の問題じゃなく、製造過程の腐敗の原因となる菌の有無の問題なのだ。
今回のマフィンの場合、本人がSNSで発信していた画像を見る限り、正直、5日間常温で放っておいていいような環境ではなさそう。
これはもう知識不足からくる「人災」なんだよなぁ。

ちなみに、ボツリヌス菌の場合は、そこらへんの地面に普通にいる「芽胞」の状態だと熱に強く、いわゆる「オートクレーブ」(密閉容器に入れて120度で4分以上加熱)しないと常温保存可にはならないのだ。
普通に焼き菓子として招請してラップにくるんだけじゃなねぇ・・・。
しかも、金は死んでも、毒素は毒素として残っていて、この毒素を失活させるには、80度で30分以上(100度なら数分以上)の過熱が必要。
今回の場合で言えば、焼く直前まで作業したものを低温で冷蔵又は冷凍しておいて、当日焼いてその日のうちに消費、というのが正しいみたいだ。
でも、イベントでは「焼きたて」として売られていたみたいなんだよなぁ。

2023/11/18

反省してまーす

 タカラジェンヌのいじめの問題で、運営側が調査結果を会見で発表したのだけど、案の定というか、やっぱり炎上したのだ。
そもそもやる気なさそうだったけど、「いじめはなかった」というのは終始言い訳するような形だったからね。
そりゃあ、反菅感情を抱かれるよ。
おそらく、後世に語り継がれる「失敗謝罪会見」の例のひとつになってしまったね。

欧米式だと、「謝罪する」=「自らの非を認める」で、会見でもなんでも謝ってしまうとその時点で賠償することをコミットすることになるので、絶対に謝らないんだよね。
それはそういう文化だから仕方ない。
そもそも基本的にもめごとは司法で判断して決着させる、というのが基本の人たちだから。
訴訟する、ということに躊躇がないし、下手に和解などせず、自らの正当性を主張するんだよね。
で、バックグラウンドがそうであればいいわけだけど、日本は違うのだ。

日本の場合、一般的にさいばんいなる、ということ自体がハードルが高いんだよね。
訴訟を抱えている、というのがネガティブに受け取られるのだ。
しかも、民事でも刑事でも裁判には数年かかるのが通例なので、できるだけ訴訟を避け、調停に臨んで和解・示談を目指すわけ。
その意味では、裁判で白黒つけることが目的ではないので、いかに誠意を見せて少しでも自分に有利なように和解・示談をまとめていくか、という方が大事。
基本的には和解でも示談でもお互いに歩み寄るわけだけど、謝罪会見が必要な場合は往々にして自分の方が悪いと思われているわけで。
ここで「自分は悪くない」という態度をとるのは日本の文化の中では「悪手」にしかならにのだ。

多くの失敗謝罪会見はそうなのだけど、ぼうとう頭を下げてすぐに「言い訳」を始めてしまうんだよね。
そうすると、形式上謝ってはいるけど、けっきょく悪いとは思っていないんだな、形ばかりの反省・謝罪なんだな、と受け取られ、かえって印象が悪くなるのだ。
今回の宝塚の件についても、「こういう不幸な事態が発生したことの責任を運営側としても強く感じており、今後二度とこうしたことが起きないよう最善の努力をしていきたい」といった話から始めるべきだったわけ。
そのうえで、「第三者により内部調査をした結果、かならずしもいじめがあったのかどうかは明確に確認できなかったが、実際にそこまで悩んでいた生徒がいたことを重く受け止め、〇〇など対応策を講じるとともに、さらなる対応策についても検討していきたい」みたいに続けないといけないのだ。
「いじめは確認できなかった」とだけ言うと、運営側には非はない、と開き直っているようにしか見えないからね。
っていうか、本心では「自分は悪くない」と思っていて、それが前面に出てしまっているのだろうけど。

こういうのは組織の危機管理の一環で、リスク・コミュニケーションという分野なんだよね。
そういうのが得意なコンサルもいるんだけどなぁ。
阪急ほどの大手の会社ならそういう専門スキルを持った部署もあるだろうに。
例えば、欧米式の「決して非を認めない謝罪会見」でも、まず頭を下げて、「(自分に非はないんだけど)このような形で関係各所に御心配・ご迷惑をおかけしたことについては申し訳なく思っています」と、謝罪する中身をうまくすり替えるのだ。
やっぱり何かトラブルや不祥事が起きている中で、開き直っているように見えるのは得策ではない、ということなんだよね。

そういう意味では、自分は悪くないという説明に終始するような会見だと、スノボの國母選手の「反省してまーす」という受け答えと大して変わらないことになるのだ・・・。
で、突っ込まれると逆切れして「ち、うるせーな」となるわけで。
少なくとも人がなくなっているんだし、もうちょっとやりようがあったなんじゃないかとは思う。
ま、後からだから言えることかもしれないけど。

2023/11/11

いつの間にか闇バイト

 ネットの記事でおそろしいものを発見したのだ!
X(旧ツイッター)の「お金配り」が特殊詐欺の闇バイトの入口だった、という話。
某社長が本当に配ったりしているから「全部詐欺」とは言わないけど、普通に考えればそんなうまい話はないよねぇ。
せいぜい銀行口座ほかの個人情報を抜かれる程度かと思っていたら、いつの間にか詐欺に加担させられていたんだって。
当然、本人にその意識はないので警察に逮捕されても否認・・・。
拘留が長引くのだ(>_<)

単純化した図式はこういうことらしい。
よくわからないアカウントが「お金配り」を実施。
「このアカウントをフォローしてリツイートしてくれたアカウントから抽選で〇名様に〇万円が当たります」とかなんとか。
フォローだけならとやってみると、「当選したので振込先の銀行口座を教えてください」との連絡が来る。
やったー!、と思ってそれに返信すると、確かに〇万円が振り込まれた♪
詐欺かと思ったけど本当だったんだ、とここで安心する。
その後、よく知らない人からいきなり大金が銀行口座に入金されてびっくり。
ほどなくして、〇万円くれたアカウントから、「誤ってそちらの口座にお金を入金してしまったので返してほしい、大金なのでできれば手渡しで、持ってきてくれたら謝礼は払う」とかなんとか連絡が来る。
前に〇万円くれた人だし、またなんかもらえそうだし、と思って言われた通り、自分の口座に振り込まれた大金を引き出し、指定された場所までもっていく。
すると、そのうちのいくらか(〇万円よりさらに多いくらいの金額)を謝礼でもらえた、ラッキー。
ところが、しばらくして警察がやってきて詐欺容疑(受け子)で逮捕。

特殊詐欺の場合、被害者に振り込ませる銀行口座から身元が割れるので、多くの場合はそれを避けるように金のやり取りをするのだ。
ひとつあるのは、借金などで首の回らなくなった人に持ち掛け、その人の口座を詐欺の振込先に使うこと。
その人は被害者から振り込まれると現金を下ろして元締めのところに持っていくと、いくらか分け前がもらえる、という仕組み。
これがいわゆる「出し子」。
長続きしないし、基本はトカゲの尻尾きりで、本当の元締めが誰かもわからず、という感じなんだよね。
銀行口座を使わずに、被害者に指定場所まで現金を持ってこさせて、それを代わりに受け取るのが伝統的な「受け子」。
こっちは特殊詐欺の形態によって少し演技が必要で、「オレオレ詐欺」で「興津事故を起こして示談金が必要」とか「会社の金を横領して補填しないと首になる」みたいなやつはそれ相応の受け取り方をしないといけないのだ。
そういう意味でちょっと難しいんだけど、詐欺グループからすれば、やはり使い捨てにしないとまずいポジション。

そこで、この二つのいいとこどりで組み合わせたのが、うえで照会したような新たな手法。
そもそも本人は詐欺の片棒を担いでいるという認識もないし、むしろ、間違って入金されたお金を返してあげてる、いいことした、くらいに思っているのだ。
実際は、詐欺の被害者から入金された金を詐欺グループのもとへと運んでいるだけなんだけど・・・。
捨てアカで最初の「お金配り」をしておけば足もつきづらいし、最初にちょっと必要経費はいるけど、あまり考えなしに引っかかってくれる人が次々と現れるしで、闇バイトを募集するよりはいいみたいだ。
ルフィ一味も場合も、闇バイトにスマホで指示していた内容がばれて捕まるに至ったわけで、そもそも相手に犯罪行為に加担していると意識させずに行動させれば足がつきにくいのだ。
いやあ、巧妙になっていくなぁ。

もうこういうのはイタチごっこで次から次へと新しい手法が開発されるわけで、恐ろしいことこの上ないよね。
自分がいつの間にか犯罪者になるんだから。
やっぱり、世の中に早々うまい話はない、ということで、そういうのには飛びつかず、地道にやる、というのがよさそうなのだ。

2023/11/04

100時間後に食べるワニ

 広島県の山間部には「ワニ料理」というのがあるのだ。
かつてヤクルト・スワローズにいたパリッシュは本物のワニの肉を食べていたけど、こっちはサメの肉。
サメは古語で「ワニ」と言うんだよね。
記紀神話の「因幡の白兎」に出てくるやつ。
これももともとは出雲の話だけど、山陰地方ではワニを食材として獲っていたみたい。
ただ、なぜ山間部?

答えは単純で、サメやエイなどの軟骨魚類は体内の浸透圧調整のために尿素を用いているんだけど、これが死後に分解されて出てくるアンモニアが身を腐りにくくしているのだ。
アンモニアが発生すると臭くはなるけど(世界で最も臭い料理のひとつであるホンオフェはエイの肉をツボの中で発酵させたものだよね。)、これにより身がアルカリ性になるので、腐敗菌の繁殖を妨げるのだ。
なので、可能などせず、生の肉のまま比較的長距離運べるのだ。
若狭湾でとれたサバを京都に届ける鯖街道というのが有名だけど、輸送に丸一日かかるので、塩をしてから運んだんだよね。
そうすると京都につく頃ちょうどよいつかり具合で、それを使って京料理の代表でもある鯖寿司が作られたりしたのだ。
京の都は海に面していない内陸なので、川魚以外の魚介類は基調で、非常に丈夫で生きたまま運べるハモが珍重され、塩サバや身欠きニシンのような加工食材が京料理によく使われていたんだよね。

サメを食べる習慣は実は栃木にもあって、こっちでは「モロ」とか「サガンボ」と呼ばれるんだよね。
普通にスーパーでサメ肉が生で売っているほど。
ちなみに、栃木で売られているサメ肉の「モロ」は、気仙沼で水揚げされたサメのフカヒレをとった後のものが流通しているみたい。
無駄がないけど、宮城はほかに雄々しい魚介がたくさんあるから自分たちは別のものを食べるのだ(笑)
今は冷蔵輸送ができるので臭くないけど、当時はちょっとアンモニア臭がするけど生で食べられるサメ肉は貴重な食材で、臭みけしにショウガを薬味に使ったりしたみたいだよ。
川魚はサケ・マス類を代表に寄生虫がいて生食がきついから、どうしても刺身を食べたい場合はサメになるんだよね。
北海道まで行けば半分凍らせて「ルイベ」のような形で食べることはできるのだけど。

で、その頃の食習慣が現在も残っている地方が山間部に残っている、というわけなのだ。
サメ肉は低脂質・高たんぱくでヘルシーなんだけど、火を通すとパサつきがちなので、伝統的な食べ方は刺身か湯引き(ちょっと臭みが抑えられる)にするか、いっそよく煮込んで煮凝りにしたんだよね。
現在ではフライなんかの揚げ物にもするみたいで、あまり火を落としすぎないとプリッとした良い歯ごたえの白身フライになるそうなのだ。
工業的には練り物の材料に使われているくらいで、臭みがなければ白身魚としては優秀な食材なのだ。

実は、サメはわりと簡単に獲れるものなので、むかしから食べられてはいるみたい。
三内丸山遺跡からもアブラツノザメを食べていた痕跡が見つかっているくらい。
他の魚を取る場合も「外道」として一緒に取れてくるので、干物にしたり、山間部に流通させたりと無駄なく食べていたようなのだ。
特に食味が良いのは、「サガンボ」と呼ばれるアブラツノザメと、「モロ」と呼ばれるネズミザメで、臭みが少なく身がおいしいとされているよ。
こういうのを聞くと、見かけたら食べてみたくなるよね。

2023/10/28

死中に活を見出す

アンパンマンは自分(の顔の一部)を食べさせて弱っていくだけだけど、自然界はもっとしたたか。
果物なんかは甘い果実を動物や鳥に食べさせ、種子を遠くに運んでもらって広がっていく、という戦略をとっているのだ。
なので、種子は簡単に消化できないようにかたい殻に覆われているわけだよね。
人間なんかは種を取って食べてしまったり、種なしの品種を作ったりもするけど、スイカなんかだとついつい飲み込んでいて、排泄物と一緒に出てくることもあるのだ。
動物や鳥なら、自分の行動範囲でそうやって未消化の種子を運んでくれるわけ。

で、実はこれと同じ戦略を昆虫もとっているのではないか、と話題になっているのだ。
それが神戸大による「ナナフシモドキ」の研究
ナナフシ目の昆虫の中でもナナフシモドキはオスが極めてまれで端正生殖をすることで知られているのだけど、この昆虫がその戦略をとっているのではないか、と調べてみたんだそうな。
羽がなく、飛翔能力が欠如しているので、自分で動ける範囲ではそこまで広がってはいかないはずなんだけど、様々な場所で遺伝子解析をした結果、どうも同じ遺伝的バックグラウンドのものが広がっていることがわかったのだ。

で、実際、ヒヨドリのフンの中には未消化のナナフシモドキの卵があって、それは実際に孵化させることが可能なんだとか。
で、ナナフシモドキ自体は枝などに擬態していてむしろ鳥に食べられにようにしているのだけど、仮に鳥に食べられても、メスの場合はおなかのなかにすでに固くなっている卵がたくさん入っていて、そのうちの一部は未償還御状態でフンの中に排出されるんだとか。
そうすると、捕食された場所から離れたところで卵がかえって、ナナフシモドキの生息範囲が広がるのだ!
まさに、「転んでもただでは起きない」を地で行く戦略。
今後は、ナナフシモドキ以外の昆虫でも同様の現象がないかさらに調査を進めるんだそうだよ。
将来世代を捕食されて遠くに運んでもらうのは植物だけではなかったのだ。

そして、ほぼ同時期に、同じような話がやはり話題になったのだ。
それは、ニホンリスが毒キノコの代名詞とも呼べるベニテングダケをかじっている写真。
どうも、ニホンリスはベニテングダケや天狗岳のような人間には毒性のあるキノコを普段から食べているらしいんだよね。
まだ詳細が解明されたわけじゃないけど、おそらく、リスの場合はこれらのキノコの毒に耐性を持っているのだ。
でもでも、キノコも食べられるわけじゃないのは当たり前。

もともと「キノコ」と呼ばれるものは、胞子を放出・拡散させるための器官である子実体と呼ばれるもの。
外から刺激を受けると粉上の胞子を放出して、周りに生息域を広げるのだ。
ただ単に放出しただけだとすぐ近くにしか広まらないけど、風に乗ったり、昆虫や動物の体表面に付着すればもっと遠くまで行けるわけ。
触ると粉を吹くキノコはまさにこういう戦略。
で、今回の場合は、キノコを食べたリスが遠くで未消化の胞子の入った排泄物を出すことにより、生息域を広げる、ということのようなのだ。
もともと胞子の状態はわりと強いので、そうではないか、と考えられているようだよ。

リスといえば、クルミやドングリを後で食べようと地中に隠しておくんだけど、その一部は結局食べられないまま忘れられ、そこから新しい目が出る、というのも有名。
そういう木の実だけでなく、どうもキノコを拡散するのにも貢献しているようなのだ。
イノシシやシカのような大型の動物に食べられてしまうと根こそぎいかれるけど、リスくらいの大きさなら多少たべっれても大丈夫、ということなんだろうか?
謎は深まるばかりだ。
僕は前から秋になると出てくる「リスがキノコをかじっているイメージ」というのはリアルではないと思っていたんだけど、リスはこうして毒キノコを食べるそうなので、むしろリアルなことだったようなのだ。
びっくり。

2023/10/21

世を忍ぶ、仮の・・・

日本の風俗の中には、いろんな宗教がごちゃまぜで混ざっているんだよね。
例えば、多くの日本人は初詣に神社に行き、お彼岸やお盆にはお寺に墓参りに行き、ハロウィンに仮装して大騒ぎし、クリスマスにプレゼント交換をするわけだよね。
すでに神道と仏教、儒教、ケルト信仰、キリスト教が混在している!
これはいまに始まったことではなくて、仏教伝来以降、徐々に徐々に日本古来の進行と仏教は混ざっていって、そこに中国の道教や儒教も影響も加わり、という感じだったのだ。
そもそも、仏教が日本に伝来する段階で、インドで生まれた原始仏教は地元でヒンドゥー教を取り込み、チベットを経て中国に伝わる間にさらに変容し、それが伝わっているわけで、純粋な仏教ではなく、すでにいろんなものが混ざった状態で来ているのだ。
そもそも、お釈迦様の教えでは偶像崇拝で禁止で、そのために「仏足石」やら「舎利」やらをありがたがっていたはずなのに、日本に伝来するころにはもう仏像があるわけ。
これは世界宗教化していく過程でいろんなところの土着の進行や風俗を取り込んでいくから仕方がないこと。

で、日本におけるその最たるものが、「本地垂迹説」。
日本の神様の本体は仏様で、日本においては神様という仮の姿をとって顕現しているのだ、というもの。
これを「権現」というのだ。
「権」は「仮の」とか「臨時の」という意味。
例えば、東大本郷キャンパスのすぐ近くにある根津神社は根津権現とも呼ばれるけど、御祭神はスサノオノミコトで、その本地仏は十一面観音と言われるのだ。
世界遺産でもある比叡山延暦寺と日吉神社の関係で言うと、伝教大師最澄が開山する前から土着の信仰(山王信仰)を集めていた地主神が日吉神の本地仏が大日如来で、この日吉神こそは大日如来の権現である、とするのが、天台宗から出てきた山王神道の考え方なのだ。
キリスト教において地元の神様を「守護天使」のような形で取り込んでいったのと同じようなことなんだけど。
(敵対していた異教徒の神は悪魔にされてしまうんだよね・・・。)

で、中世以降、仏教と神道は「神仏習合」して、一体不可分な形で信仰されていたんだよね。
っていうか、新党には明確な教義とかないし、一般大衆は深く宗旨などを理解して信仰していたわけでもないので、そういうありがたいものだ、という信仰形態だったのだ。
そもそも修験道なんかは仏教なのか神道なのかよくわからない信仰だよね。
大きな神社には別当寺や神宮寺と呼ばれるお寺が併設され、お坊さんたちが神社のお世話もしていたのだ。
なので、日光なんかは、今でいう日光山輪王寺と日光東照宮、二荒山神社が混然一体となって日光権現として信仰されていたんだよね。

転機が訪れたのが維新後の明治期。
天皇中心の統治機構を整備しようと国家神道の枠組みを作ろうとしたわけだけど、その時に出た神仏分離の方針(神仏判然令)が問題だったのだ。
お寺と神社を明確に分けろ、という話になったんだよね。
とはいえ、金勝日体となっていたわけで、そうそう簡単に分離できるわけもなく、というわけで大混乱が起きるのだ。
また、明治政府は必ずしもそういう意図があったのではないかもしれないけど、廃仏毀釈の流れもできて、寺院はすたれていくことに・・・。
東京深川の冨岡八幡宮は百貫神輿で有名だけど、そのお隣の深川公園にはもともと永代寺というお寺があったのだ。
でも、この時の神仏分離でお寺と神社が切り離され、廃仏毀釈でお寺だけなくなっちゃったんだよね・・・。
そのあと、成田山新勝寺の東京別院である深川不動堂ができたので、今では別のお寺があるのだ。
永代寺は、江戸六地蔵があって江戸庶民の信仰を集めていたお寺なんだけど、そういうおテレでも時代の波には乗り切れなかったのだ。
都内には上野と芝に東照宮があるけど、これらもそれぞれ寛永寺と増上寺からそのときに分離されたんだよね。
徳川将軍家の菩提寺で墓所もあるようなお寺だからこそ東照宮も造営されたわけだけど、そういうのも無視して、切り離すしかなかったのだ。

こうして、いわゆる「権現」という名称は正式には消えていったのだ。
今でも残っているのは通称で、明治期にだいたい「〇〇神社」という名前に改称させられているのだ。
神道を中心にしようとすると、仏教の神様が本体で、日本の神様としての姿は仮のものです、というのはあんまり都合がよくないのだ。
このとき、巻き添えを食ったのが「明神」という呼び方。
もともとは霊験あらたかな神様の尊称として、地域名に明神号をつけて呼んでいたんだよね。
神田明神も通称では残っているけど、正式には神田神社になっているよ。
神社のヒエラルキーを無理矢理整備しようとしてなんの神様が祀られているのかよく分からない神社のご祭神も一つ一つ決めていったんだよね。
この明神号というのは便利で、その土地の有力な神様という呼び方なんだよね。
なので、そうやってこじつけでも神様を特定しちゃうとそっち系統の名前に変えるように、となるのだ。

神田明神の本来の御祭神はオオナムチノミコトで、そののちに御霊信仰の祟り神として平将門公がまつられたんだけど、明治になって陛下が御幸するにあたり、逆進である将門公が祭神ではまずいと、茨城大洗の磯前神社からスクナビコナノミコトを勧請し、差し替えたりしているんだよね。
そんなに足したり引いたり簡単にできるのか、と感心しちゃうけど。
でも、おそらく江戸庶民の間では将門公をまつった経緯なんてあんまり意識されていなくて、江戸の総鎮守として信仰されていたんだよね。
こういう、どの神様がまつられているかよくわからないんだけど信仰を集めている神様の名称としては「明神」というのは便利なんだよね(笑)
実際、御祭神不明の神社はたくさんあって、明治期に無理やり記紀神話に出てくるメジャーな神様を比定したなんて話もあるので、神話上の神様の特徴とその地元で信仰を集めているかどうかはまた別の話ということなんだろうね。

2023/10/14

因果で因縁

ジャニーズ問題も引き続き炎上しているけど、旧統一教会問題も、いよいよ解散命令かと再燃してきたのだ。
宗教としての教義とか儀式とかについてとやかく言うモノではないんだろうけど、問題は、その宗教団体がいわゆる「霊感商法」のような悪質な活動を行っていることが問題なんだよね。
それが宗教法人法の解散要件に当たるようなものかどうか、というので裁判所の判断が必要なんだよね。
ま、「幸せになる壺」とか「悪運を払うお守り」みたいなのは、「信じる人は救われる」の世界があるにはあるのだけど、それがあまりにも高価なもので、破産したり、多額の借金を背負ったり、生活が破綻したあり、というところまで金を吸い取ろうとすると問題なんだよね。
ま、そこが「程度の問題」で難しいわけ。

程度の差こそあれ、この手のものは歴史的にもいろんな宗教で集金メカニズムで使われてはいるんだよね。
墓地の管理とか永代供養なんかもそうだし、後の宗教改革につながった贖宥状(免罪符)なんかもそう。
神社とかで祈祷をしてもらってお布施を納めたり、各種お守りを授与してもらうのもある意味は近いよね。
おそらく悪質性のポイントは、過度に不安を煽ったり、半ば洗脳していってそうせざるを得ないように追い込んでいくこと。
かつてオウム真理教では、セブンデイズとか呼ばれる合宿に参加させてもうろう状態にして入信させ、全財産を教団に寄付させる、みたいなのをやっていたわけだけど、これはやりすぎってこと。
この壺を買うと幸せになります、はいいとして、買わないと不幸になる、地獄に落ちるなどと脅すのはまずいのだ。
なんか紙一重だけど。

宗教はもともと人の知り得ない、不可知の世界に対する漠然とした不安を払拭するためのツールとして機能してきているのだ。
死んだらどうなるのか、この世界はどのようにできたのか、など。
これに加えて、集団による社会生活が円滑なものとなるような倫理規範を示してきたのも宗教に寄るところが大きいんだよね。
なぜ悪いことをしてはいけないのかにつうて、ゲーム理論などを使って、各自がそう行動する方が最終的には集団にとってプラスになる、なんてのはおそらく証明できるのだけど、それを万人に理解してもらうのはほぼほぼ不可能。
だったら、神様が常にご覧になっていて、悪い子とすると地獄に落ちる、良いことをすれば天国に迎えられる、とした方が受け入れやすい、ということなんだよね。

これと同じようなものが、祈祷であったり、お守りであったりするわけで、物理的には、それによって何らかの効果があるとは証明できないのだけど、気持ちの問題として、そうすると「安心感」を得られる、ということなのだ。
大事なのは、それぞれが心の安定を手に入れることができる、というポジティブな面で機能していること。
キリスト教における教会での懺悔も、あらかじめ神に自分の罪を告白し、許しを請う、ということで、死後地獄に落ちるかもしれないという不安を軽減するのだ。
実は江戸時代以降に出てきた「水子供養」というのもそうで、もともとは東横線の祐天寺駅に名前を残す祐天上人が始めたと言われるシステムで、生まれることなくなくなった胎児、或いは、生まれてもすぐになくなってしまった嬰児たちに、戒名を付けてちゃんと供養をしてあげる、というものだったのだ。

もともと仏教式の供養というのは、使者を敬うものに見えつつ、生者のの中できちんと区切りを付ける、ということが目的なんだよね。
死んでしまってもういない、それを儀式をとして受け入れさせる、というものなのだ。
でも、この水子供養というものができるまでは、七つまでは神のうち、なんていうくらいで、幼くしてなくなるのも当たり前で、ましてや、生まれてもいないような胎児はきちんと供養されていなかったのだ。
でも、親、特に母親にしてみれば大事な我が子であって、その命が失われた、ということなんだよね。
そこで、そうした水子もきちんと供養してあげれば来征に命をつなぐことができる、だから安心してあの世に送ってあげましょう、ということをわからせるのが水子供養の本質。
実は、祐天上人はこれにより女性信者の信仰を多く集め、五代綱吉公の生母の桂昌院やその他大奥の女性は深く帰依していたんだそうだよ。
女性の悩みを救ったわけだよね。

ところが、現代の霊感商法ではこれを逆にして悪用されているんだよね・・・。
あなたが不幸なのは水子をきちんと供養しなかったからたたっているんだ、とかなんとか。
これはむしろ不安を増大させるわけで、それにより心の平穏を欠いて、正常な判断ができにくくなった人をダマして、という構図。
確かに運もあるけど、「運がない」と感じる場合、けっこう自業自得なこともあるわけだけど、多くの人はそれを認めたくないからその原因を外に求めるんだよね。
そういうついてないな、運が悪いな、と感じている人に近づいて、そういう責任転嫁的な自分への甘さをくすぐって、悪い人が近づいてくるわけ。
で、あなたの不運や悪運は呪いや祟りによるものだから、それを祓わないと大変なことになる、と持ちかけるわけだよね。
このとき重要ななのは、全員が引っかかる必要はなくて、百人に声をかけて一人でも引っかかれば、この詐欺的な行為は成立するということ。
けっこう搾り取ればいいだけだから。

こういう極端な例だけ挙げていけば悪質なものは取り締まるべき、とはなるんだけど、厄除けだとか、地鎮祭だとか、おそらく物理的には何も意味をなさない宗教的な行為、しかも、けっこうお金がかかるものが普通な風俗、慣習として世間に受け入れられている中、どこから取り締まるのか、という線引きは実は難しいんだよね。
今回の件はそれの一つのメルクマールにはなるのだ。
ここで一定の基準ができれば、外にも引っかかるところが出てくるんじゃないかな。

2023/10/07

かおる季節

 なんか一気に秋めいてきた。
朝晩の気温がぐっと下がったよね。
でも、今年の紅葉はちょっと遅めになりそうとのことだけど。
で、この時期、足下がちょっとにおってくるのだ。
イチョウの落とし物、オレンジの憎いあいつ、ぎんなん。
でも、これからの時期ににおってくるのはそれだけじゃないのだ。
それは・・・。
足臭!

夏の間は汗をかいている実感もあって、オフィス内では積極的に靴を脱いだりしてサンダルとかに履き替えるから、実はひどくならないのだ。
問題は、涼しくなってきて汗をかかないなぁ、と感じでずっと革靴を履いているとき。
脱ぐと一気に鼻に来る!
女性の場合はブーツでにおいが醸成されるというよね。
確かに革靴より広い範囲にわたって密閉されているし、何より、女性の場合は全く汗を吸わないナイロンのストッキングをはいたりするからなぁ。
なので、実はこの時期くらいから足臭対策のスプレーとか石けんとかそういうのが売れるのだ。
そのうちコンビニやドラッグストアでもよく見かけるようになるはず。

このにおいのもとは主にイソ吉草酸(3-メチルブタン酸)。
低級な(=炭素数の少ない)カルボン酸は炭素数が2の酢酸や炭素数が3のプロピオン酸、炭素数が5の酪酸も不快な臭気なんだよね。
ちょっと酸っぱい感じのやなにおい。
中でもイソ吉草酸はまさにくさい靴下のにおいだよ(そのまま)。
いわゆる汗臭いにおいは主にアンモニアだけど、それが目が痛くなるような刺激臭だけど、それとはまた違って、なんだかじわじわくる臭さなんだよね。
ぎんなんの臭さは酪酸なので、似たような傾向かも
職場で足下の方がくさいとき、それはぎんなんを踏んだからなのか、もっと「中」のことなのか・・・。

このにおいのもとであるイソ吉草酸は、人間自身が分泌しているわけではないんだよね。
足の裏は手のひらと同じくらい良く汗をかく部位なんだよね。
これはもともと滑り止めの意味があったのだ。
で、その汗をかくときに、汗の中に皮脂や古くなった角質なんかが混ざって、それを皮膚の表面上にいる常在菌のバクテリアが分解する過程で不快なにおいのもとができてくるのだ。
なので、においのもとを断つには、

①指の股も含めて足を良く洗い、きれいに保つ(汗の中の皮脂や角質を少なくする)。
②靴の中の通気を良くする(じめじめしている環境だt菌が繁殖しやすいので、できるだけ乾燥した状態に近づける)。
③スプレーや塗り薬で対処する(汗を出にくくしたり、においを出す菌を物理的に減らす)。

なんてのが効果的。
ストレスがかかったり食生活が乱れていると、汗の中にあらかじめ分泌される皮脂やタンパク質の量が増えて、ちょっととろっとした感じになるんだよね。
汗がこういう状態になるとよりくさくなるので、そういうところの見直しもにおいの軽減には役立つのだ。

でもでも、においなので靴や靴下にしみこむこともあるわけで・・・。
靴下なんかは煮沸してから洗うなんて荒技もできるけど、靴はこまめに陰干しするのが基本。
革靴は2日連続ではかない。
網においが染みついちゃっているよ、というときは、薄めの重曹水を用意して、それを布などにしみこませて靴の中をふく、というのもあるのだ。
においのもとはすべてカルボン酸で塩基性溶液にとけるので、においのもとが布の方に移るというわけ。
逆に、アンモニア経の汗のにおいがしみこんでいる場合は、ちょっとお酢を入れて酸性にしてすすいであげるとにおいが取りやすいのだ。
こういうときに化学って役立つよね。

結構前、職場の同僚でけっこう強烈な人がいたんだよなぁ。
靴を脱いだ瞬間がわかる人(笑)
ぜひぜひこういう対策を進めたいね。
よろしく。

2023/09/30

飲めば鍛えられるか

ボクは昔から牛乳が苦手だったのだ。
給食で飲むのがせいぜいで、自分からの婿とはほとんどなし。
というのも、おなかがゆるくなりがちだから!
これって「あるある」だよね。
俗に言う乳糖不耐症なのだ。
小腸で乳糖が分解できず、大腸まで言ってしまうとまわりの水分を抱き込んでしまうので便がゆるくなる、ということなんだって。

でもでも、これってちょっと不思議だよね。
だって、赤ん坊の頃は母乳にせよ、粉ミルクにせよ、乳糖をたくさん摂取しているわけで。
それでいちいちおなかを下していたのでは大変だ!
と思ったんだけど、この小腸の中で乳糖を分解する酵素であるラクターゼは、授乳期にたくさんあるけど、離乳とともに減少していくことが知られる酵素。
多くのほ乳類でそのように遺伝的な制御がなされているみたい。
で、大人になったとき、多少乳糖が分解できる人は牛乳を飲んでもなんでもないんだけど、まったく乳糖が分解できない人だとおなかを下すのだ。

これには遺伝因子と環境因子があると言われているよ。
単純に言えば、むかしから酪農をしていて食生活の中で乳(牛乳、羊乳、山羊乳など)を摂取してきた欧州系人種のコーカソイドだと乳糖不耐症の発現率は低く、逆に、日本を含む東アジア人種や南北米大陸のネイティブアメリカンのようなモンゴロイドでは乳糖不耐症の発現率が高いのだ。
これはそういう文化的背景である程度淘汰圧がかかっていて、日常的に乳を摂取しない生活をしていると乳糖を分解できようができまいが関係ないけど、貴重な栄養源として乳を摂取している場合は乳糖を分解できないのは痛手になるのだ。
それが遺伝因子。

でもね、これはちょっとおかしな話なのだ。
というのも、冷蔵保存技術が発達している近大であれば生乳を飲むこともよくあるだろうけど、そういう技術がない時代は保存性を高めるために加工していたわけだよね。
バターやチーズやヨーグルトに(伝統的なバターは発酵バターで、発酵乳から脂肪分をとりだして作るのだ。)。
で、その時代の方がはるかに長いのだ。
で、発酵乳の場合は特に、乳酸発酵の過程で乳糖が減っていくので、そもそも不耐症を気にするようなものでもないはずなのだ。
本当に乳糖が分解できる人の方がその文化的背景で生存上有利だったなんて言えるのだろうか、という疑問が出てくるよね。

じゃ、環境因子ということになるんだけど、こっちもよくわからない。
もともと苦手でも飲んでいるうちにおなかを下さず飲めるようになる、という現象が知られていることから考えられているもの。
もともと持っている遺伝子で、それが大人になると発現しなくなるだけなので、なんかの拍子でまた酵素が出てくれば問題ないわけだよね。
で、体も馬鹿じゃないから、乳を飲み続けてそのたびにおなかを壊していると改めて酵素が出てくるんじゃない、ということらしい。
でも、調べた限りでは、そういう乳糖不耐症がかわされるような場合で実際に小腸の中でラクターゼ活性がどう変わっているかとかいうのはきちんと調べられていないみたいなんだよね。
そういうのもあるかもだけど、日本人の場合、小中学校の給食ではほぼほぼ毎食牛乳を飲まされているのに、乳糖不耐症の人はけっこういるのだ。
本当に訓練すれば飲めるようになるのか?

ちょっと視点を変えると、そういうことはあるかもしれないとは思うんだよね。
ただし、人間のラクターゼが再活性化するのではなく、腸内細菌叢で変化があって、乳酸を分解できる細菌(ビフィズス菌)などが増えることで回避しているんじゃないか、ということ。
実際に食生活の変化で腸内細菌叢は変わることが知られているので、乳酸菌を含む発酵乳をよく摂取しながら牛乳も飲むようにすれば、乳糖不耐症はちょっと解消するような気がするわけ。
これも実験的に確かめられたわけじゃないけど。
改めて遺伝子が発現するようになる、というよりはあり得ると思うんだよね。

ボクの場合は、牛乳でないとダメという栄養素があるわけでもないし、ヨーグルトは味が好きなので、基本はヨーグルトを摂取するようにしているんだ。
っていうか、本当はそれでいいんだよね(笑)
ま、生クリームなんかを大量に楽しみたい、というときに乳糖不耐症だとちょっと不利かもしれないけど、ボクはそこまで生クリーム好きなわけでもないからなぁ。
学校給食でも牛乳かヨーグルトを選べるようにしてくれたらいいのに。

2023/09/23

残暑は続くけど季節はずれ

 もう秋分というのに残暑が続いているのだ。
まもなく昼の時間の方が短くなるのに30度を越える暑さってなんかすごいよね。
なので、なかなか冷房をつけない日はないわけで。
電気代は上がっているし、光熱費負担も大きいよね。
そんなときの先人の知恵のひとつが風鈴。
このまえ近所でまだぶら下がっているのを見つけたよ。
夏休みの終わりの頃には片付けられるイメージがあるけど、こう暑い日が続くとそのままぶら下げておきたい気持ちもわかる(笑)

でもでも、風鈴って音が鳴るだけで別に涼しくなるわけでもなんでもないわけだよね。
こういうことを言うとみもふたもないけど。
風鈴はその音で涼しく感じさせるものなのだ。
そう、某マンガでラーメンはげ(通称)が言っている、「あいつらはラーメンを食っているんじゃない、情報を食っているんだ」というのと同じ。
風鈴の音は基本的に高温で、その材質はガラスや金属だから、そもそもなんか冷たいイメージがあるのだ。
さらに、その音がするってことは外には風が吹いているわけで、風があれば涼しいか、と思わせるわけ。
これは実際に風が家の中に入ってこなくても。
脳の情報処理において、ガラスや金属、そして、風というのが認識されると、「涼しい」という概念が連想されて、なんだか涼しい気がする、涼しげに感じる、ということなんだよね。
これはテレビで川のせせらぎの映像を見たりしても同じ。

でもでも、映像との違いは、映像は直接「涼しい」という概念とつながりやすいのに対し、音の場合は、ある程度文化的背景がないと「涼しい」まで連想が及ばないこと。
ちりんちりんと甲高い音が聞こえてきたとき、日本人はすぐに風鈴を思い浮かべるので、そとでは風が吹いていて、それがガラス製の風鈴を鳴らしている、と認識するわけ。
でも、風鈴という存在を知らない人からしたら、なんか音がしているな、と思うだけで、その先がつながらないんだよね。
これは秋の虫の声も同じで、日本人は鈴虫などの秋に鳴く虫の鳴き声を認識しているので、それが聞こえてくると網秋が来て涼しくなってくるんだなぁ、と連想するわけだけど、それを知らない外国人は何かよくわからない、りんりんという音が聞こえる、と思うだけなんだよね。
それが虫であるとか、その虫の鳴く季節とは結びついていかないのだ。

そういうわけで、風鈴の音を涼しく感じるのは、極めて文化的なものなんだよね。
でも、実際はそこまで古いものではなくて、せいぜい江戸中期以降のもの。
というのも、透明ガラスの製法がオランダ経由で日本に広まったのがその頃。
で、そこから風鈴とか金魚鉢をはじめとした「ギヤマン細工」が作られるようになるわけ。これも最初のうちはきっと高価なものなので一部の人だけのものなわけだけど、ある程度安価に作れるようになると庶民にも普及するわけだよね。
それが文化として根付くと「風物詩」みたいに季節とモノのが強く結びついて、そういう連想を生むような土壌が形成されるのだ。
ウナギも一年中食べられるし、むしろ夏じゃない方がおいしいらしいけど、どうしても「土用の丑の日」のキャッチフレーズと強く結びついて「うなぎ」=「夏の食べ物」的なところがあるよね。
これもやはり江戸時代以降の話だけど。

こういうのを踏まえてついつい夢想してしまうのが、すでに「風鈴」というものがなんであるかさえ忘れ去られてしまった遠い未来において見つかった古代の風鈴。
ガラス製のただ風が吹くと音が鳴るだけの道具。
それなのに、かなり技術が発達した後でもなぜか使われていた痕跡がある。
これはきっとなにか「呪術的な意味」があるに違いない、なんて考古学者は想像するわけだよね。
おそらく、遺跡から見つかっているもので、現代的視点から見るといまいちなんだかよくわからないものって、そういう時代的・地域的な文化的背景の中で意味を持っていたモノがあるんじゃないかぁ、と思うんだよね。
「きっと祭祀に使っていたに違いない」と思われている「銅鐸」も案外このたぐいかもしれないなぁ、なんて思うんだよね。

2023/09/16

残された・・・

 今年は特に残暑が厳しい。
このまま10月まで暑いとかいう長期予報も出ているよね・・・。
このまま日本は亜熱帯になってしまうのか?
春とか秋が過ごしやすいんだけど、それが短くなってきている気がするんだよなぁ。

それはそれとして、気になったのは「残暑」という言葉。
暑さのピークを越えてからの暑さ、ということなんだけど、言葉の使い方としては、二十四節気の「立秋」を過ぎてもまだ暑い場合に「残暑」というだよね。
で、その「残暑」になる前は「暑中」。
そう、暑中お見舞いの「暑中」だよ。
二十四節気で言うと、小暑と大暑を合わせた約1ヶ月くらいが「暑中」。
名前からして暑そうな時期だよね。

で、二十四節気で「大暑」の次が「立秋」。
ここから「暦の上では秋」ということになるんだけど、もともとの二十四節気の考え方として、「立秋」は暑さのピークを過ぎてこれから徐々に涼しくなっていきますよ、というポイントで、涼しくなり始めるポイントではないのだ。
なので、暑さが当然続くわけで、そこを「残暑」と呼ぶわけだね。
二十四節気はもともと中国のものなので日本とは少しずれるんだけど、日本でも暑さのピークはだいたい夏の土用のあたり。
つまり、「立秋」の前の18日間だよね。
この時期に精力をつけるためにウナギを食べるわけだ。
「土用の丑の日にウナギ」というのはあくまでもキャッチフレーズだし、この時期はウナギの旬でもなんでもないんだけど、伝統として残っているのにはこういう理由があるんだよね。

例年「立秋」は8月上旬なので、お盆の頃はまさに「残暑」の時期なんだけど、確かにお盆くらいになると朝晩はけっこう涼しくなってヒグラシもカナカナと鳴く、みたいなのが日本の風物詩だよね。
ちょっとは涼しくなるイメージはあるのだけど、これが崩れつつあるのが最近の傾向なんだよね。
原因が気候変動なのかどうかはよくわからないけど。
気象学的には、「立秋」を過ぎた当たりから徐々に太平洋高気圧の勢力が弱まって南下していき、逆にシベリア高気圧が精力を増して南下してくるので、ピーク時から涼しくなるのだ。
その境目が日本列島の真上に来た当たりが秋雨(秋霖)の時期だよね。
今年は太平洋高気圧が待った弱まる気配がなくて残暑が長引いているらしい。

暑さのピークがあればその逆の寒さのピークもあるんだけど、それが冬の「小寒」と「大寒」を合わせた「寒中」。
寒中見舞いの「寒中」だよね。
「寒中」に入る時期を「寒の入り」とも言うのだ。
「立春」の直前の約1ヶ月間で、この時期は関東でも雪が降るくらい冷え込むよね。
「立春」を過ぎても寒さが残ることを「余寒」というのだそうだよ。
あんまり使わないけど。
なので、年賀状出し忘れて松の内を過ぎた、さらに>寒中見舞いも出しそびれた、となると、余寒見舞いということになるんだとか。
そこまで季節の御挨拶状を出すことはほぼほぼないのだとは思うけど、設定はあるわけだね。

2023/09/09

その頃ソ連では

 一種のネットロアみたいなものだと思うけど、米ソ冷戦時代の宇宙開発競争に関する小話があるんだよね。
米国がマーキュリー計画、ジェミニ計画、アポロ計画と段階的に有人宇宙飛行を重ねてきて、あることを発見したのだ。
それは、宇宙空間ではボールペンが使えない!
ボールペンって、重力で押し出されたインクがペン先のタマのyら側に付着し、そのタマが回転すると同時にそのインクが紙面に転写される、という仕組みなのだ。
なので、実はペン先を上に向けて天井に字を書こうとしてもうまく書けないんだよね。
すぐにインクの供給がなくなってかすれてしまうのだ・・・。

そこで、米国航空宇宙局(NASA)はかなりの開発費をかけて無重力環境でも書けるボールペンを開発したのだ。
インクの押し出しを重力に依存するのではなく、圧縮空気などで押し出す方式。
これで無事に宇宙空間でもボールペンが使えるようになったわけ。
それが「スペースペン」。
科学館とかのお土産コーナーとかでも買えるよ。
一説には開発に100万ドルかかったとかなんとか。

一方、その頃ソ連では・・・。
鉛筆を使っていた!
というのがオチ。
NASAが一生懸命技術開発にいそしんでいる中、無理にボールペンを使うのではなく、宇宙空間でも使える鉛筆を使った、ということ。
過剰に技術開発に血道を上げる米国に対して、発想の添加でソ連は技術や金がなくてもうまくやってた、みたいな話なんだよね。
ちなみに、鉛筆の芯の主成分である黒鉛は、無重力環境ではその粉末がそこら中に飛び散って漂ってしまうので、現在は宇宙ステーションの中とかでは使えないよ。
昔は使っていたのかもだけど。

同じような宇宙開発のスタンス、というか、宇宙船の設計思想の話として、米国は宇宙船を航空機の延長で見ているの対し、ソ連は船舶の延長で見ている、というのもあるのだ。
米国の発想では、宇宙空閑に出てしまったら直したりなんかできないから、とにかく故障しないように作る(頑健性)、ひとつ故障があってもそれをカバーできるように作る(冗長性)、とおうのが基本コンセプト。
これは飛行機と同じで、飛行機は飛んでいる間は修理ができないという前提で安全な航行を確保するためにそういう発想でデザインされているんだよね。
一方、ソ連の場合は、船は途中で穴が空いたってふさぐことができればリカバリーできる、宇宙船も同じで、簡単に直せるのであればシンプルな作りにしておいて直しながら使えば良い、という発想だったらしいんだよね。
この設計思想の違いがまさに実感されたのが国際宇宙ステーション(ISS)計画。
それぞれが担当のユニットやモジュールを作って宇宙に打ち上げ、宇宙空間で組み立てていくわけ。
ISS計画は冷戦下での東西陣営の平和的な協力プロジェクトとして重要な意義があったわけだけど、ひとつのものを作るに当たってそれぞれの設計思想を知ることになり、きっと良い刺激にもなったと思うんだよね。

宇宙関係で面白いのは、地球に帰ってくるときの宇宙船の設計も。
NASAは打上げや再突入時の衝撃から宇宙飛行士を守るために低反発素材であるテンピュールを開発・実用化したのだ。
背中やおしりに係るGを分散させることで宇宙飛行士にかかる負担を軽減するため。
でも、ソ連は違ったんだよね。
宇宙飛行士一人一人石膏で型を取ってオーダーメードで座席を作るのだ。
こうして背中とおしりにぴったりの座席ができるので、Gは均一にかかるからテンピュールみたいなのは不要。
逆に言うと、NASAは誰が宇宙飛行士になっても使えるように、規定の形の座席にテンピュールを使うようにしてるのだけど、宇宙飛行士なんてそうはいっても限られているので、ソ連・ロシアのやり方の法がかしこい気もするよね・・・。
ただし、両方乗ったことのある日本人宇宙飛行士に寄れば、やっぱり米国の宇宙船の方が乗り心地がよいらしい(笑)

宇宙船関係ではもう一つあって、標準搭載品が違う、というのもあるのだ。
米国の場合、宇宙船は帰還自に海に落とすことが多いのだよね。
で、あらかじめ計算して落下地点を割り出して置いて、船を待機させて置くわけ。
なので、宇宙船には浮き輪が積み込まれているのだ。
一方、ロシアは基本地上(シベリアの森林遅滞)に落とすのだ。
なので、宇宙船にはオノやナイフなどが搭載されているんだよね。
サバイバル用に・・・。
そのサバイバルキットだけで48時間生き残る、という訓練もあるらしい。
ワイルドだろぉ?

2023/09/02

シン路面電車

 宇都宮で新しくLRTが開業して話題になっているのだ。
LRTはいわゆる次世代型路面電車で、「Light Rail Transit」のこと。
伝統的な路面電車よりは輸送力があるけど、地下鉄ほどじゃない、という中間形態の交通システム。
専用又は自動車道との併用の軌道を敷設するのだけど、鉄道や地下鉄に比べると低コストで整備できるというので最近注目を浴びているのだ。
ちょっと前は富山のライトレールも話題になったよね。

宇都宮の場合は、全くの新規の路線であることがさらに注目を集めているのだ。
地図で見るとわかるけど、南北の縦のラインはJRや私鉄(東武線)があるのだけど、東西の横のラインは基本は自動車に依存している都市なんだよね。
で、市街地も大きくなってくると、渋滞問題が出てきたのだ。
それを解消するため、多くの人が活用するであろう横の移動について、新交通システムとしてライトレールが採用されたんだって。
まずはJR宇都宮駅の東側で、追って西側も開通するみたい。

最近のLRTは専用軌道を用意することが多いけど、それでも、幹線道路の車線を減らさないとそんな軌道は作れないわけ。
併用軌道だと信号で自動車とLRTの交通整理が必要。
宇都宮のような規模の都市の場合、朝夕の通勤時間帯に自家用車で移動する人が多くて渋滞が発生するけど、昼間の間はそこまで流通のための輸送利用はないから、自家用車を使わなくても通勤できるようになれば渋滞は解消するのだ。
一方で、都心部のように、そもそも四六時中交通量が多くてちょっと何かあると渋滞するような状態の場合は、かえって邪魔になるのだ。
それが理由で都内からはほぼほぼ路面電車がなくなったんだよね。

江戸時代は基本全員徒歩移動。
お金を持っていれば駕籠で移動。
それが御一新以降、明治になって馬車鉄道が整備されるんだよね。
これは一定の路線に沿って運行されるバス的な位置づけの馬車。
で、これが明治の終わりから電化され、路面電車(東京市電)に発展していくのだ。
特に大正期、第一次大戦の頃は景気も良くなって最盛期を迎えたようなのだ。
23区内に縦横無尽に路面電車が走っていたんだよね。
関東大震災の後に徐々に利用者が現法していくのだけど、これは自動車が普及してきてモータリゼーションが広がってきたことなどが要因だそう。
このころ、私鉄線の整備も進み、バス路線も増えたみたいで、それまで都内の公共交通をほぼ一手に担っていた市電の役割が減ったということなのだ。

とはいえ、路面電車は戦後も主要な公共交通機関だったんだよね。
戦後に東京市が東京都になってからは「都電」と呼ばれるようになったけど、今の地下鉄のように、都心部で移動するなら都電が便利だったはずなのだ。
この時点では地下鉄路線は少なくて、戦前にできていた銀座線と戦後復興の象徴として整備された丸ノ内線くらい。
でも、このころから流通量増加から交通量が爆発的に増え、路面電車は交通の妨げと見なされるようになるのだ。
で、都の方針として、基本的に路面電車は順次廃止していって、地下鉄やバスで代替の輸送手段を用意する、ということになったのだ。
なので、かつての都電の路線のうち、特に輸送力が必要なところは地下鉄路線になっているし、そこまでじゃないのはバス路線になったのだ。

で、最終的に残った都内の路面電車は、都電荒川線(東京さくらトラム)と東急世田谷線のみ。
荒川線は、ほぼほぼ専用軌道のみから構成されていたこともあって、廃止を免れたのだ。
けっこう便利に使える路線ではあるんだよね。
荒川車庫の周辺の明治通り沿いは基本的に他に公共交通機関がないし。
雑司ヶ谷なんかも副都心線ができるまでは池袋まで出ないといけなかったし。
世田谷線は、もともと渋谷と二子玉川をつないでいた路面電車の玉川線の支線で、三軒茶屋と下高井戸を結ぶ路線。
本線の渋谷・二子玉川の間は地下鉄化され、新玉川線となるのだ。
今で言う田園都市線だよね。
むかしは多摩川を越えて、二子玉川から先が田園都市線だったのだけど、2000年に全体が田園都市線になったのだ。

実は、優先的に整備すべきと答申が出されている路線はまだ未着工のものがあるんだけど、これをすべて地下鉄で実現しようとするときついんだよね・・・。
最近はかなり深く掘らないといけないしでとにかく高いのだ。
なんとか作ったのが大江戸線や南北線で、地下鉄では無理、というのが日暮里舎人ライナー。
日暮里舎人ら否はまさに公共交通空白区域だったので乗降者数が多くていつも混んでいるけど、より輸送力の高い地下鉄では整備できなかったのだ(南北線にくっつける計画もあったらしい。)。
で、今でも話題に上るのが、エイトライナーとセブンメトロ。
それぞれ環八、環七に沿った環状路線なんだけど、距離も長いので、地下鉄はかなりきびしいわけ。
大江戸線のさらに外側だからね。
これをLRTで実現しては、というのは時々言われるのだ。
確かに、あれば非常に便利だけど、それでもむずかしいだろうなぁ。

2023/08/26

製菓用には酸味があるものの方がよい

 むかしからアップルパイが好きなんだよね。
ほどよい酸味のあるものがベター。
その方がリンゴらしさを感じるから。
デザートを選ぶとき、リンゴ系のものがあるとたいていは選ぶほど(笑)
パリに住んでいたときは、その辺のパン屋さんで売っているショソン・オ・ポムとかタルト・タタンがおいしくて、そこだけは素晴らしい街だと思ったものだよ。

で、日本でステレオタイプでイメージされるアップルパイ、パイ生地の上のまだ形の残るリンゴのフィリングがあってその上があみあみになっているやつ、は、米国式のアップルパイなのだ。
リンゴは温帯から亜寒帯、寒帯にかけて栽培される果物で、欧州の北の方の寒い地域では重要な果物だったのだ。
水分がそこまで多くないから、干したり、砂糖漬にしたりと長期保存もできるしね。
で、そうしたリンゴはお菓子の材料に使われるのも必然で、フランスの北の方(ノルマンディーやブルターニュ)、イギリス、スウェーデン、オランダなんかではリンゴを使ったお菓子が生まれていったのだ。
フランスの場合は、ブドウが育たないノルマンディーやブルターニュではリンゴのお酒のシードルまで作っているよね。

それが、新大陸発見後に北米大陸に持ち込まれることに。
持っていったのはおそらく清教徒のピルグリム・ファーザース。
最初の入植者たちは、欧州からいろんな種や苗木とかを持ち込んで現地で栽培しようとしたんだけど、気候の違いからあまりうまくいかず、餓死者が多く出るほどだったんだって。
その際に現地の原住民族のネイティブ・アメリカンに助けてもらったわけ。
これが後に感謝祭(サンクス・ギビング)につながっていくのだ。
このとき食料として重要になったのが七面鳥とトウモロコシ。

七面鳥はすでにネイティブ・アメリカンは家禽化していたようだけど、入植者にとっても貴重なタンパク源になったのだ。
感謝祭では七面鳥の丸焼きを食べてお祝いするよね(それが日本に伝わる過程でなぜかクリスマスにチキンという形で魔改造されるけど・・・。)。
もうひとつはトウモロコシ。
小麦の収量が少ないのでトウモロコシ粉と混ぜて作ったのがコーンブレッドのはじまりなのだ。
ベーキングパウダーを混ぜて作る非発酵系の黄色いパンだよ。
米国ではけっこうコーンブレッドって出てきて、日常の味的な位置づけ。
でも、正直ぱさぱさであんまりおいしくなかったので好きではなかったのだ。
これも入植当初からの経緯があって米国の伝統的な食べ物になっているわけだね。

でも、持ち込んだものの中でもうまく栽培できたものもあったわけ。
それがリンゴ。
後に西進・南進して行くに当たってオレンジも栽培できるようになるけど、最初に入植したのはいわゆるニューイングランド地方という北東の寒冷な地域。
グレートブリテン島北部のスコットランドでも栽培できるリンゴは、新天地ニューイングランドでも育てられたのだ。
で、貴重な食料となったわけ。
そんな入植当時の北米で、英国式のアップルパイから派生した、米国式アップルパイが生まれたのだ。
こういう経緯があるので、感謝祭の食事は、メインは七面鳥の丸焼き、デザートはアップルパイ、添えられるのはコーンブレッド、というのが多いみたい。
ただ単にアップルパイ好きなのかと思っていたけど、歴史的な経緯があるものだったのだ!

ちなみに、アップルパイをはじめとしたお菓子に使う場合は、酸味のあるリンゴの方が風味がよくなるし、味のアクセントにもなるんだよね。
生食するなら日本のフジをはじめとしためちゃくちゃ甘いリンゴがあるけど、お菓子にする場合はどのみち砂糖をたくさん使って甘みは補強するので、甘み以外の部分が大事ってわけ。
そういう意味では、おそらく入植当初に収穫できたリンゴは、大して甘くないだろうし、酸味も強いだろうから、生で食べる、なんてことはあんまりなくて、加工したんだろうなぁ、とは思うよ。

2023/08/19

旅人算で割り出せ

 すっかり残暑本番。
そして、夕立というか、スコールのような突然の雷雨に見舞われる季節になったよね。
いきなり空が暗くなって、雷が鳴り出すからびっくりするよ。
で、ぴかっと光って、しばらくして轟音が響いて、その後にざーっと雨。
夏の風物詩みたいなものではあるけど。

で、こういうときって、ついつい、光ってから音が聞こえるまでの時間で雷の近さを計算しちゃうよね
光速は約300,000km/s、一方で音速は約340m/s。
光はめちゃくちゃ速いので(1秒間で地球を7周半)、基本的にほぼ光ったと同時に観測できていると考えてよいのだ。
なので、光ってから音が鳴るまでに係った時間に音速をかけてあげると、雷までの距離が出るんだよね。
仮に光ってから5秒後に鳴ったら1.7kmほど離れたところに落ちているのだ。
光が来た方角もわかるので、実はだいたいの落雷地点はこれで割り出せるんだよね。
多少の誤差はあるけど、異なる地点にいる複数人で同じようなことをすれば、ほぼほぼ落雷のあった場所は絞り込めるんだよね。

実はこれとまったく同じようなことは、地震の震源地を割り出すときに使われるのだ。
ボクたちが感じている地震波は実は何種類かあって、この推定で使うのは、いわゆる「横揺れ」のP波と「縦揺れ」のS波。
Pはprimaryのことで、先にやってくる地震波だから。
逆にSはsecondaryで、次にやってくる地震波だから。
これはそれぞれ疎密波と呼ばれる物質中のゆがみが波として伝わっていくもの。
音波も同じなんだけど、平衡状態では均一な状態になっているわけだけど、外から衝撃を受けたりすると、その部分がへこむんだよね。
すると、そこは密度が高くなるのだ。
で、その後、反動で膨らむんだけど、そのときは密度が低くなるわけ。
この密度の高い・低いのゆがみが波として物質の中を伝わっていくのが疎密波だよ。
「波」と言われてイメージするものとは少し違うのだ。

で、このP波とS波は伝わる速度が違うんだよね。
P波は岩盤中で5~7km/s、S波は3~4km/s。
この速度差=S波とP波が到達する時間差で震源までの距離が推定できるわけ。
これを公式化したのが、珍しく日本人の名前がついている「大森の公式」。
中学の理科で習うやつだ。

厳密にはP波の揺れの向きで震源方向は推定できるのだけど、通常は複数地点で地震波を計測して、それぞれからの距離を割り出して震源を推定するんだ。
これは地震波が二次元ではなく三次元であるため。
そう、地表上の座標に加えて深さ情報があるんだよね。
地震速報でも震源の深さには常に触れるのだ。
なので、地震波の場合は確実に麩食う地点で計測しないと震源がわからないんだよね。
(震源までの距離を割り出し、各観測点を中心とする球面を作ってその球面が接するところが震源になるのだ。)

ちなみに、今の地震計は、揺れを3方向に分解して計測できるみたい。
つまり、横揺れはXY両軸の二次元計測で、これにZ軸の縦揺れ計測が加わるのだ。
揺れたかどうかしか計測できない時代は、最初に揺れが来てから次に揺れが来るまで、ということでP波とS波を見分けていたみたいだけど、現在は、XYで揺れているのか、Zで揺れているのかで区別できるんだよね。
あんまりないことだと思うけど、複数の震源でほぼ同時に地震が起こると、こうやって方向を分解して計測できないと震源が割り出せなくなるのだ。
それにしてみも、地震計ってそんなに進化しているんだ。

2023/08/12

東京タワーを超える

 今秋、東京に日本一高いビルができるのだ。
現時点では大阪のあべのハルカスが300mでトップ。
で、新たに六本木・麻布エリアにできる麻布台ヒルズの森JPタワーは東京タワーにせまる325mの高さ。
地上64階、地下5階だって。
もともとは旧逓信省の本庁舎ビルだった飯倉ビルがあったところだそうだよ。
ここのあたりの土地では、300mを超える建物は原則ダメだったらしいんだけど、すぐ近くに東京タワーがあっても問題なく航空機が運航できているので特例で認めてもらったとか。
そこまでして建てたのか。

でも、これはすぐに追い抜かれる予定・・・。
現在、東京駅近傍の常盤橋エリアのTokyo Torchで再開発が進んでいて、そこに2027年度に竣工するTorch Towerは390m!
そう、東京タワーを超える高さになるんだ。
すでにこの地区には212mの常盤橋タワーができているんだけど、その2倍弱の高さのものがさらにできるのか。
なんか心配になる高さだよね。

でもでも、世界的に見るとまだまだの高さ。
これでやっとトップ100に食い込めるのだ。
森JPタワーじゃまだダメ(>_<)
99位の上海・上海世茂国際広場は333.3m、100位の釜山・LCT ザ・シャープ タワーBは333.1mだそうなので、東京タワーの高さでやっと100位に入るくらいなんだね。
それでも、390mだと、トップ40に入るくらいだというのだから、世界にはすごい高いビルがあるものだ。

もともと地震の多い日本の場合は高層建築には限界があるのだ。
世界一の高さのビルはドバイにあるブルジュ・ハリファで828m
っていうか、Tokyo Torchができても、すでにその2倍以上の高さか。
高いビルというとニューヨークのイメージだけど、実はアジア圏が多くなっていて、特に中国の躍進がすごいんだ。
国威発揚の意味もあるんだろうか?

日本でも超高層ビルの計画はあって、東京と千葉の間の海上に1,700mの高さのビルを建てようという計画があるみたい。
その名もスカイマイルタワー。
2045年建設予定と言ってるけど、実際はまだ「絵に描いた餅」。
仮想的な案があるだけなんだって。
地震対策もあるけど、風もすごそうだよなぁ。
ポキッといきそう・・・。

ちなみに、夏の風物詩の打ち上げ花火。
通王の花火大会で打ち上げられる一番大きな玉は、直径29.5cm、重さ8.5kgの10号玉。
これは開くと半径160mの球になるんだけど、その打ち上げ高さは330m。
つまり、東京タワーくらいの高さ。
森JPタワーができると、花火を見るイメージになるよ。
Tokyo Torchだと、少し斜め下に見えるのだ!
世界最大級の花火は、直径88.5cm、重さ28.0kgの40号玉なんだけど、この場合は600mの高に打ち上げて、半径275mで開くのだ。
そう、世界一のブルジュ・ハリファだと、この花火でも見下ろせるのだ!
恐ろしいことだぜ。

2023/08/05

やったら意味ないよ

 日大アメフト部にまたスキャンダルが出たのだ。
寮における大麻や覚醒剤使用の疑いだって。
大学の運動部の寮というとかなり閉鎖的な環境っぽいけど、その中でそういうことが蔓延してしまったのだろうか?
繁華街でいわゆる脱法ドラッグが広まっている、みたいな報道はよくあったけど、今回は完全に規制対象薬物なんだよなぁ。
入手ルートの解明とかも重要だよね。

日本においては、こういう薬物規制は、主に5つの法律で規制されているのだ。
大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法、あへん法、覚醒剤取締法と、麻薬特例法とも呼ばれる国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律の5つだよ。
このうち、最後の麻薬特例法は直接薬物規制をするものではないので、その所持や使用などについて規制をしている法体系は4つ。
まとめた方がよさそな気がするけど、歴史的な経緯なんかもあってわかれているんだ。
それに、例外的に認められている使用方法なども異なるので、運用上は分かれている方がよいみたい。

まずは大麻取締法。
大麻はその樹液にドラッグ成分であるテトラヒドロカンナビノールやカンナビジオールが含まれているんだよね。
一方で、古代から麻の繊維として成熟した茎を利用してきたし、その種子(麻の実)も食用にしてきたのだ。
これらはドラッグ成分をほぼほぼ含んでいないんだよね。
なので、ドラッグ成分を規制しつつ、歴史的に利用してきた部分は残す、という思想で規制の枠組みができているのだ。
そのため、規制対象から成熟した茎や種子が除かれているんだよね。
また、大麻だけは「使用」が禁止されていないんだよね。
これは、茎や種子にもほんのわずかにドラッグ成分が含まれるため、尿検査等で調べたとき、マリファナをきめたのか、大量の朝のみを食べたのかは判別できないのだ・・・。
なので、「所持」は規制されるけど「使用」は規制されない、という不思議なことになっているよ。
もちろん「所持」せずに「使用」というのはまずあり得ないので、概念的な整理のような気もするけど。
また、これはアヘンも同じだけど、大麻やアヘンの場合は、それぞれ農作物である大麻草やケシそのものを規制する必要があるという特徴もあって、許可なく内バイすることが禁じられているのだ。

続いてあへん取締法。
けしの樹液を乾燥させたものがアヘンで、これはこの法律の規制対象だけど、ここからモルヒネを抽出すると、今度は麻薬及び向精神薬取締法の規制対象になるのだ。
この法律上も「医薬品として加工を施したものを除く」と明確に書いてあるよ。
もう一つの規制対象が「けしがら」。
これは「けしの麻薬を抽出することができる部分(種子を除く。)をいう」と定義されていて、基本的にはけし坊主なんかが想定されているわけ。
わざわざ趣旨を除いているのは、歴史的にけしの実(ポピーシード)は食用とされてきたから。
アンパンの上に乗ってるよね。
なので、これもわりと大麻に近い規制体系になっているよ。
ちなみに、大麻取締法とは異なり、栽培の許可のところがかなり充実しているんだけど、これは、大麻の樹液は使わないものだけど(一部で医療用大麻の解禁を臨んでいる声はあるけど)、あへんは医療用麻薬の原料でもあって厳しい管理で栽培しないといけないので、その分だけいろんな規定が必要なのだ。

次はて麻薬及び向精神薬取締法。
実はこの法律が一番カバー範囲が広いんだよね。
いわゆる「違法ドラッグ」はこの法律で規制されるものだし、「脱法ドラッグ」や「合法ドラッグ」と呼ばれるものは、この法律の規制の網の目を逃れたものなのだ。
麻薬や向精神薬は医療上必要なものだけど、依存性が高いので、医療目的以外で濫用されるとまずい、ということで規制されるのだ。
そういう思想なので、副作用が強すぎて医療用には使われないジアセチルモルヒネ(ヘロイン)は、「何人も、輸入し、輸出し、製造し、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、施用し、所持し、又は廃棄してはならない」ということで、原則全部禁止になっているよ。
医療上の有用性があるものは許可制で輸出入や製造・製薬、施用・所持ができるのだ。
ちなみに「違法ドラッグ」は、この法律の別表3の向精神薬に該当するもので、第十一号に「前各号に掲げる物と同種の濫用のおそれがあり、かつ、同種の有害作用がある物であつて、政令で定めるもの」とあって、政令改正で順次追加できるんだけど、これが間に合わないと「脱法ドラッグ」になるというわけなのだ。

最後は覚醒剤取締法。
戦前は規制されていなくて薬局でヒロポンが買えたりしたわけだけど、戦後になってその依存度の高さから麻薬並みの規制をしよう、ということで新たに設けられた法律。
基本は麻薬と同じような規制の枠組みなんだけど、特徴は罰則の量刑が他に比べて重いこと。
これは、我が国で検挙される薬物濫用事案の多くが覚醒剤であり、社会的にインパクトが大きいからなんだって。
例えば、単純所持で比較すると、覚醒剤が10年以下の懲役なのに対し、麻薬(ヘロイン以外)とアヘンは7年以下の懲役、大麻は5年以下の懲役なのだ。
というわけで、覚醒剤は今では割と簡単に手に入ると言われているけど、罰則は重いので、うかつに手を出すと大変なことになるよ。
っていうか、基本的にはドラッグには手を出しちゃいけないわけだけど。

2023/07/29

がーせー

 ツイッター(今は「X」?)の新機能が話題になっているのだ。
コミュニティノートと呼ばれるもので、誤解を招くような内容のツイートがあった場合、ユーザーが協力して背景情報などを匿名で追加できるようになったんだよね。
事実上のファクトチェックとして機能していて、わざと古いデータを持ち出してきたり、ごく一部の自分に都合のよい部分だけ抜き出してきたり、そもそもエビデンスのない話であったりすると、背景情報が追加されるんだって。
すでに大手マスコミの記者のツイートもやり玉に挙がったりしているようなのだ。
これまでは自分でそれが事実かどうか確かめないといけなかったわけだけど、多くの匿名のユーザーの協力によりファクトチェックができるようになったので、画期的と言われているんだ。
しかも、リプライのようにブロックできない!
あえて匿名になっているので、特定の誰か(特に影響力のある人)がこう言っている、ということではなく、エビデンスをきちんと示してその中身で判断してもらおう、ということらしい。

この流れは、偽情報(disinformation)対策としてけっこう有効だと思うのだ。
ツイッターのようなテキスト系のSNSが普及した結果、内容の審議の吟味や判断をせず、それが印象的だった、インパクトがあったと言うだけで拡散するユーザーがけっこうな数いて、そうして拡大再生産されていくと、まるでまるであたかもそれが申述だから広まっているような誤解につながるのだ・・・。
むかしであれば、風説の流布というのはじっくり時間をかけて、また、情報を流すルートもしっかりと考えて、ということが大事だったわけだけど、とにかくインパクトがあって、そういうユーザーの関心を引きそうな内容で発信できれば勝手に拡散していく、というわけなのだ。
これに対し、ファクトチェックというのはけっこう大変な作業で、いちいちそれを公的な主体が確認・検証していく、というわけにもいかないんだよね。
政治的な色合いを持ったデマとかフェイクニュースみたいなのも実際にあるので、政府としても何か対応を考えざるを得ないけど、そういう状況だと、どこまで手が回るかはわからないわけ。

そんなとき、この手法は、匿名の集合知を使ってかなりのファクトチェックを実現できているようなのだ。
皮肉にも、一度流布したデマやガセを否定するような訂正情報って言うのは拡散しづらいんだよね。
なので、せっかくファクトチェックしても、その内容をどうやって広めるかも課題なのだ。
このコミュニティノートの場合は、拡散元の情報に直接背景情報が追加できるので、そのお騒がせな情報に触れた人に直接届けられるという利点があるんだ。
これはなかなかうまくできた仕組みだと思うんだよね。
どこまで狙って作ったのかはわからないけど。
少なくとも、東日本大震災後の「EM菌は放射能も除去する」だとか、新型コロナがはやり始めたコロの「トイレットペーパーが品薄になる」みたいなデマ情報の拡散がかなりの部分防げるかもしれないんだよね。
コミュニティノートがつく前にそれを見知った人が口コミで広めるのまでは押さえ込めないけど。
陰謀論がはやるのもそうなんだけど、どうも人は心理学的に自分が信じたいものを真実だと思う傾向があるんだよね。
そうなると、いくら客観的事実をエビデンスと示してもダメな場合はあるのだけど、いわゆる盲目的な信者以外は目覚めさせることができる可能性はあるわけ。

愉快犯で面白おかしくうその情報を広めると言うくらいなら迷惑だなぁ、で済むこともあるんだけど、最近は政治的な目的で偽情報を拡散し、社会を混乱させたり、偏った方向に煽動したりという動きも出てきているので、これはよりシビアに対応が求められるわけだよね。
しかも、ネットの世界だと拡散力が段違い、そして速い!
真偽判定だけで言えば、ビックデータとの照合でAIを活用すればかなりのことができるようになるけど、仮に「偽」だった場合、それをどのようにただしていくか、というのはまた別の問題で、今回の方法はそこがきれいにうまくセットになっていたというのがポイントなのだ。
イーロン・マスクさんに買収されてから批判が多かったけど、この心機能は賞賛すべきだよね。
一部のデマを垂れ流していた人たちは批判しているようだけど(笑)

ちなみに、「ガセ」というのはもともとはテキ屋界隈の隠語で、「おさわがせ」の「がせ」らしいよ。
本物でなく、人騒がせなものだから、というのが語源だとか
ここから、偽物、まがい物そのものを「ガセ」と呼ぶようになったのだ。
今回のように背景情報を追加されて、うそ認定されることでかえって話題になることもあるから、「偽物」というよりは「人騒がせなもの」という感じなのだ。
そういう意味では、SNSのガセ情報というのは語源に近い使い方をしているわけだね。

2023/07/22

本当に好物か?

ゼルダの関係で任天堂が米国で炎上しているそうなのだ。
なんでも、リンクがスイカにかぶりついている絵が「黒人差別」らしい・・・。
っていうか、日本の文化としては、スイカは夏を代表するもので、夏らしさを描こうとしていると思うんだけど、米国では、スイカ=黒人奴隷の好物、というステレオタイプな受け止めがあって、それで差別という話につながるんだとかなんとか。
よくわからないけど。
多様性を認める世界を目指すなら、自国の価値観を外に押しつけるんじゃなくて、相手側の価値観にも理解を示すべきじゃないの?、とは正直思うよね。

19世紀の米国、特に大規模プランテーション農業で黒人奴隷を多く使っていた南部では、黒人のイメージとして、少しの休憩とスイカさえ与えておけば満足している、というのがあったんだって。
これが事実かどうかはよくわからないけど、当時の奴隷には人権なんて概念は適用されないし、過去の文献を見ると黒人奴隷の扱いは相当ひどかった例も報告されているよね。
だとすると、休ませてやるだけでもありがたく思え、甘いものとしてスイカを与えているだけでも喜べ、と思っていた可能性はあるんだよね。
ただし、本当に黒人がスイカのことを好んでいるかというと、実際の消費傾向を見ると、別に黒人が特に好んでスイカを買って食べているわけではないらしい。
まさに、イメージ先行のもので、後に絵のイメージとともに米国文化の中にすり込まれていったみたいなのだ。
その後、テレビショーなどで黒人の扱いを揶揄するような場面でも、わざと「スイカに異様な執着を見せる」みたいな形で扱われてきたようなのだ。まさにステレオタイプ。
そこから脱却できていないのが差別が残っている証拠のような気もする。


こういうステレオタイプの刷り込みというのはいろんなところにあるんだよね。
例えば、日本画の世界では「梅にウグイス」というのが絵になる取り合わせとなっているのだ。
で、2月の梅の時期に緑色の鳥が梅の木の枝にとまっていると、ついついウグイスだと思ってしまうわけだけど、たいていの場合、これじゃメジロ。
まず、メジロは明るい緑で、ウグイスはくすんだ緑(ウグイス色)なので色が違うし、メジロの場合は名前のとおり目のまわりが白いのだ。
メジロは梅の花の蜜を吸いに来るのでよく梅の木にとまっているけど、そもそもウグイスは昆虫などを食べるので、たまたま近くに梅の木があればとまるだろうけど、梅の木をめがけてくることはないのだ。
春を告げるかのごとく「ホーホケキョ」と鳴くウグイスが、やはり春の訪れを告げる梅の花の咲いた木にとまっている、というのが観念的に「絵になる」だけで、実際の自然現象で春にそういう場面が多く見られる、ということではないんだよね。
黒人とスイカもまあそんなところで、重労働の農作業の休憩時間に甘みがあって水分補給もできるスイカが与えられれば喜ぶのだろうけど、普段からスイカを好んで食べているわけではない、ということだと思うんだよね。

で、黒人の食文化としてもう一つwすれてはいけないのがフライドチキン。
南部では白人が食べるものではないとまで言われるのだけど、ケンタッキー・フライドチキンのおかげもあって広く食文化として浸透してきているんだよね。
日本なんかは独自の進化もしているけど。
で、こっちは本当に黒人につきものだったのだ。
というのも、奴隷制の残っていた時代の黒人が肉を食べようと思うとフライドチキンくらいしか食べられなかったようなのだ。
そもそもウシやブタは食べさせてもらえない。
トリは食べさせてもらえるのだけど、西洋で好まれる胸肉をとった残りの食べにくい部分(=手羽やモモなど)を多少悪くなっても食べられるようにする調理法である油で揚げるという手法でのみ許されたのだ。
油で揚げると全体が柔らかくなって軟骨とかも食べられるようになるしね。
で、黒人たちがおいしそうに食べているので、白人たちも食べてみたくなった、ということで、黒人だけのものじゃなくなったみたい。
そのフライドチキンがドライブインの名物になり、それがチェーン展開して、というのがケンタッキー・フライドチキンなのだ。

では、お金があれば何でも食べられるようになったこの現代においても黒人はフライドチキンばかりを食べるのか?、好むのか?
これはなんとも言えないけど、米国のケンタッキー・フライドチキンのお店に行くと、黒人やヒスパニックの人ばかりなのは事実。
これはそういう人種というより、低所得者層ということのようで、マクドナルドも同じような傾向があるのだけど、中所得者層以上でもハッピーセットの魅力にはあらがえないらしく、それだけ持ち帰りで買って帰る白人はいるのだ。
けっきょく、お金があれば食べるものは自由だけど、貧困状態であれば食べられるものが限られてくる、ということで、安価でカロリーの高いフライドチキンは低所得者層向けの料理、ということなんだと思う。
フライドチキンって米国発祥の料理でかなり有名なものであるとは思うけど、あまり米国料理の代表選手として出てこないのは、こういう事情があるからなのかも(米国料理の代表って、ハンバーガーが圧倒的だよね。)。

いずれにしても、食べ物と差別感情のつながりはどうしても文化的背景に根ざしているので、外部者からはわかりづらいのだ。
だからといって見過ごしていいわけではなく、不快な思いを抱く人がいるなら配慮はすべきだけど、自分たちの価値観を押しつけて攻撃してくるのはどうかと思うんだよね。
こういうのって、多くの場合、「不快に思っている」人々ではない人が声高に叫ぶから問題のような気も。
それはともかく、相互理解のためにはお互いのことをよく知ることが大事で、その上でどうしたらよいのかを話し合うってことかな。
 

2023/07/15

酸味は危険

ネットのレシピは危ないものも多いと言われているけど、新しいやつが出てきたのだ。
これまで問題になったのは、豚肉ユッケとかだったけど、今度は自家製サワークリーム。
ツイッターで拡散されているのは、特濃牛乳を買ってきて、瓶に移し替えてから日陰に2~3日間常温で放置、そうするとクリームが分離してくるので、それを取り出すと酸味のあるサワークリームのできあがり、別の容器に移して冷蔵庫へ、というものらしい。
っていうか、いきなり牛乳を常温で数日放置って危険すぎる・・・。
酸味が出てきているかもしれないけど、同時に刺激臭もあるのでは?
つまり、腐敗しているのでは。

本物のサワークリームは、生クリームを乳酸発酵させたもの。
つまり、このレシピとは順番が逆で、先に牛乳を静置して生クリームと低脂肪乳に分け(工業生産的には遠心分離)、その生クリームをヨーグルトとか発酵バターの要領で乳酸発酵させるのだ。
生クリームは脂肪分が多いからちょっとくどいけど、これを乳酸菌発酵させることでさわやかな酸味が出てくるんだよね。
ちょっと乳酸発酵させると保存性が高くなるので(これはヨーグルトも同じ)、最初はそのために発酵させてたと思うんだけど、生クリームそのものとはまた違った使い方ができるのも今につながっている理由なのだ。

ちなみに、ボルシチやビーフストロガノフにかかっているのは「スメタナ」と呼ばれる東欧の発酵乳。
こちらは低温で発酵させた乳で、好気性菌と嫌気性菌が共存して発酵しているのが特徴。
基本的に乳酸菌と呼ばれる一群のバクテリアは通性嫌気性菌(酸素があったもなくても生きていけるもの)で、乳酸発酵は酸素の非存在下で進むんだよね。
これにはちょっと熱をかけてあげないといけないし、殺菌もしたいので、鍋に入れてじっくりあたためながら、ゆっくりかき混ぜる、ということをするのだ。
これはヨーグルトも発酵バターも同じ。

今回のレシピでまずいのは、瓶に移し替えるという部分。
特濃牛乳を買ってきた状態だと、牛乳は加熱殺菌されているし、パックの中は清潔なので、問題ないのだ。
ただし、開封後は早めにお召し上がりください、ということで、外気に触れると雑菌が混入するおそれがあるので冷蔵庫で保存しつつ早めに消費してね、ということ。
なのに、滅菌しているかどうかもわからない瓶に入れて常温で数日放置、ということなので、ほぼほぼ腐敗するような気がするんだよね・・・。
用王のスメタナの場合は、もともと気温も低く、低温発酵ガス済んでいくので、雑菌が繁殖しにくいという事情があるのだ。
これをより気温が高く、湿度もある日本でやる、というのはちょっと危険。
せめて、冬とかに限定しないと。

どうしても試してみたい場合は、
①冬の寒い時期に
②煮沸消毒して滅菌した容器に移し替え
③そこにヨーグルトなどの乳酸菌煎りの発酵乳を種として少しまぜ
④しっかり栓をして、直射日光の当たらないところで静置
という感じかなぁ。
買ってきた生クリームを少しあたためてヨーグルトをほんの少しだけ添加、その後滅菌容器に移して発酵させる、でもよいような気はするけど。
納豆菌だとほかの雑菌より強いから失敗はしづらいのだけど、乳酸発酵はけっこう難しいんだよねぇ。
数日おいてみて、刺激臭や腐敗臭がしていたら失敗なので、素直にあきらめましょう。

一番安心なのは、しゃんされているヨーグルトメーカーで作ることかな。
普通の牛乳を使えばヨーグルトができるけど、生クリームを使えばサワークリームになるはずなので。
無調整乳を買ってきて、クリームと低脂肪乳に分けた後、それぞれ乳酸発酵させると、クリームはサワークリームに、低脂肪乳はカッテージチーズになるよ。
カッテージチーズの場合は、凝固分が多く含まれる「カード」というものができるので、それを水切りする必要があるけど。
そう考えてみると、ヨーグルトメーカーというのはけっこう面白い機械かも。

2023/07/08

ガ~ス~

東京新橋でガス爆発事故があったのだ。
カフェバーで店員さんが雷太0でたばこに火を付けたらどかん、ということのようなんだけど、このお店はオール電化でガスは使っていなかったらしい。
どうも、原因は上階の内装工事の際に工事業者さんがガス管の接合部を謝って外してしまったそこからガスが漏れたらしい。
火を付けた人は無事だったようだけど、なんかガス臭いと思っていたんだって。
でも、自分のところはオール電化だからまさかそんなことが起きてるとは思わなかったようなのだ。

でも、この話に少し不思議なところがあるんだよね。
上階でガス漏れがあったのはそうなんだろうけど、これは都心部なので漏れていたのはおそらく都市ガス。
つまり、メタンガスを主成分として液化天然ガス(LNG)なのだ。
で、これは空気より軽いんだよね(空気1に対して都市ガスは0.6くらい)。
そう、普通に都市ガスが漏れると空気より軽いので上に行くのだ。
おそらく、今回は配管の位置だとか、建物の構造で下の階に漏れ出てしまったのだろうとは思うけど。

これに対して、郊外に多い液化石油ガス(LPG)、通称「プロパンガス」は、プロパンやブタンと言ったガスが主成分で空気より重いのだ(空気1に対して石油ガスは1.5くらい)。
なので、この場合は漏れると下に行くよ。
一戸建ての建物でプロパンガスが漏れると床下にたまったりして、そこにポイ捨てのタバコが投げ込まれると床下からどかん、となるわけ。
今回仮に漏れていたのがプロパンガスだった場合、重さにより下の階全体にガスが広がることが想定されるので、ライターで火を付けた店員さんは助からなかったかも。
本来茎より軽いガスが上の階から漏れ出してきて、天井付近にたまっている幹事だったからなんとか助かったような気がするのだ。

こういうガスの違いっていうのはやっぱり知っておいた方がいいんだよね。
一般には、都市ガスは安い、プロパンガスは割高、というイメージだけど、これは規制のかけ方とかもあるんだよね。
都市ガスはガス事業法で規制されていて、かつては地域独占が認められていた一般ガス事業者が提供していたのだ。
独占を認める代わりに規制料金で、経済産業省の認可を得た料金設定になっていたわけ。
一方で、プロパンガスは高圧ガス保安法なんかで安全規制はあるけど、料金は自由設定。
もともとガスボンベを運んで交換して、という人件費がかかる形式だし、多くの場合協働は働かないので、料金は高めになりがちではあるんだよね。

でも、実は、都市ガスが安いのは、すでにパイプラインが整備されているから。
ガス管網から少し外れたところに都市ガスを引こうとすると、そこまでのパイプラインの整備費用を要求されるんだけど、それはめちゃくちゃ高いのだ。
これは電気も同じで、すでにある配電網から外れたところに電気を引こうとすると、引き込み線を引くのにとてもお金がかかるんだよね・・・。
そうなると、月々の料金は少し割高でも、プロパンガスが優位になるのだ。

プロパンガスはそんな消極的なメリットしかないかというと、そうでもないんだよ。
ひとつは、災害に対する強さ。
都市ガスの場合はガス管が折れて使えなくなってしまうと復旧にものすごく時間がかかるんだよね。
でも、プロパンガスの場合は新しいボンベを持ってくればよいので、すぐに普及できるという利点があるのだ。
それと、ガスの成分から来るものとして、プロパンガスの方が火力が強いんだよね。
中華のような強い火力を求める飲食店は好んでプロパンガスを使う場合もあるほど。
最近はIHヒーターでもいろんな料理が作れるようになっているけど、やっぱり高火力のガスで、というのもプロの世界ではあるようなのだ。

ちなみに、どちらのガスも本来は無臭。
でも、ガス漏れを検知しやすいように、わざと「ガス臭い」においを付けているんだよね。
今回もなんかくさかったと言っているようなので、やっぱりそういうにおいがしたら、念には念の入れて気をつけた方がいのだ。
あれほどの大爆発が起こるほど漏れていたのに、しかも、おそらくにおいにも気づいていたのに、誰もガス漏れを気にしなかったのは逆にすごいような気もするけど。

2023/07/01

で、いつなの?、いまでしょ!?

各種調査で内閣の支持率ががた落ちしているらしいのだ。
その原因は、長男による公邸でのはっちゃけ忘年会と、毎なカードに関する不祥事、そして、首相が解散権をもてあそんだからだって。
なんか、最後のやつは違うような気もするけど、特に今の政権は「けっきょく何がやりたいの?」というのが明確に見えないから、そういうのもあいまって、「国民に信を問う」という部分が見えず、政略のためだけに解散をちらつかせた、ってことみたい。
ま、こういうのはマスコミも中立的に報道するわけではないし、SNSとかでも声が大きいのがそういう人が多いから、実際に国民がどう思っているかはよくわらないのだけど。
で、ちょうどよい機会になったので、衆議院の解散について少し調べてみたのだ。

日本国憲法では、衆議院の解散に関する条文は2つだけ。
1つは天皇の国事行為を規定した第7条で、「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ」として、第3号に「衆議院を解散すること」というのがあるのだ。
基本的に天皇の国事行為は政治性を帯びないもので、実務上には内閣が決定したことを形式的に行う、という整理だから、内閣が解散について権限を持っている、というように読めるのだ。
もちろん、諸説はあるけど。

よく解散は首相の専権事項と言うけど、それは別の憲法の規定との組み合わせ。
それは第68条第2項の「内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる」で、仮に内閣の中に解散について反対する国務大臣がいても、その人を罷免することで解散に踏み切れるから。
理論上は首相だけで構成される「一人内閣」でもよいのだ。
実際には、小泉内閣における郵政解散のとき、解散に反対した島村農水大臣が罷免されたのが唯一の事例だそうだけど。
でも、首相が解散すると決めたらそれが実行できるようにはなっているのだ。
これが「首相の専権事項」と言われる由縁。

もうひとつの解散に関する憲法の規定は、第69条の「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」というもの。
これは、衆議院において不信任決議案の可決又は信任決議案の否決があった場合は、衆議院の解散か内閣総辞職をしなければならない、という規定。
どうも、戦後のGHQとのやりとりを見ると、戦前の明治憲法下では、議会を黙らせるために内閣が恣意的に解散権を行使して、みたいなものがあったので(例えば、近衛内閣における国家総動員法)、内閣が自由に衆議院の解散を決めるのはよくなくて、あくまでもこの第69条にあるような、内閣に行政を任せられない旨の議会の決議があってはじめて、ということにしたかったみたいなんだよね。

戦後すぐは、第69条の規定に関係なく内閣は解散権を有するという考え方と、解散はあくまでも第69条のシチュエーションに限定されるべきとの考え方で対立があったみたいなんだ。
まだGHQの影響下にあった1948年(昭和23年)の吉田内閣における「馴れ合い解散」は、第69条に縛られずに解散できるとする政権側と、第69条の場合に限定されるべきとの野党側の対立があったときに、GHQかた第69条に限定されると解釈されるべきと言われ、形式上内閣不信任決議案を可決させてから解散したのだ。
なので「馴れ合い」なわけ。
ところが、2回目の解散が行われた1952年(昭和27年)の段階では、野党側も早期解散へと主張を転換していて、政界では第69条に限定すべきとの主張がうすくなっていて、第7条の規定のみをもって解散が行われたんだ。
このときから、実質上第69条とは関係なく解散が行われるようになったわけ。

じゃあ、首相が「あ、解散しよ」って思ったら自由にできるかというと、そういうことでもないみたい。
やっぱり解散総選挙にはお金もかかるわけだし国政について民意を問う必要性がないとダメだ、として、解散権の濫用は牽制されているのだ。
そういう議論の中で憲法学者から示された、解散してもよい限定的な場合が4つあるんだよね。
①予算案や内閣の重要案件が否決されたり、審議未了廃案になるなど、内閣不信任と同等の判断が国会で下されている場合
②長期の審議中止等で国会機能が実質的に麻痺している場合
③党利党略により不信任決議案が提出されないまま国政・国会が停滞した状態になっている場合(野党が解散をおそれて不信任決議案を出さないのはよくあること)
④是階層選挙では争点となっていなかった重要案件が新たに発生していて、それについて国民の判断を求めるのが当然とされる場合
逆に言うと、こういう大義名分がない場合は、解散権をもてあそんでいると批判されるわけ。
で、今回はまさにそうなんじゃないか、っていうことみたい。
ただし、防衛力強化や異次元の子育て政策のための増税という話が出てきているから、真っ向からそれに対して国民の信を問う、というのはないわけではないけど。
でもでも、増税を争点に選挙すると与党は負けるので、普通はそういう切り口では解散しないんだよね(笑)

2023/06/24

危険な甘さ

恐ろしい事件が起きたのだ。
赤ちゃんの粉ミルクに有毒な鉛が混入された事件。
しかも、親戚だって。
小さなお子さんもいるみたいだし、なぜそんな強行に至ったのか、不明な点も多いのだ。

今回混入されたのは「酢酸鉛」という化合物。
普通、異物が入ると、変なアジがするので赤ちゃんもはき出したりするのだけど、不幸なことに、この酢酸鉛は甘いのだ!
そう、ミルクに混ぜられても違和感なし。
それで気づくのが遅れた面もありそう。

鉛中毒の場合、疲労、睡眠不足、便秘なんて軽いものから、腹痛、貧血、神経炎など重いものがあって、さらには、脳変性というのもあるのだ。
どうも脳神経系にも作用するようで、子どもの場合は発達障害や学習障害という形で後遺症が残ることも多いみたいなのだ。
赤ちゃんだからけっこうきついなぁ(>_<)
で、取り除くのも簡単ではなくて、錯体(キレート)にして尿中への排出を促進するみたいなんだけど、これも時間がかかる治療法だよなぁ。
というわけで、この赤ちゃんは予断を許さない状況だと思うよ。

で、この鉛についてはむかしから中毒になる人が多く、けっこういろんなことがわかっているのだ。
それは、鉛は比較的低温でとけ、加工しやすい金属として、いろんなものに使われてきたから。
古代ローマでは、水道管に鉛が使われていて、鉛が溶け出した上水を飲んでいたんだよね。
(溶け出すほど長く水と鉛が接触することはなかったとの反論もあり。)
さらに、ワインを飲むときには、アナ理煎りの甘味料が添加されていたのだ。
完熟したブドウ果汁を青銅に鉛メッキした鍋で煮詰めた「サパ」と呼ばれるシロップを使っていたんだって。
当時のワインは発酵がうまく制御できないし、そもそものブドウも糖度はそこまで高くないので、けっこう酸っぱいものだったらしいのだ。
あので、甘みのある私ぽっるを入れていたんだけど、砂糖がない古代ローマで甘味料というと、はちみつ以外にはこのサパしかなかったらしい。
ちなみに、青銅はすぐに表面がさびて青緑色の緑青が出てくるから青銅というのだけど、この緑青は毒なので、鉛でコーティングするわけだけど、それでもけっきょく毒がある・・・。

ちなみに、当時、すでに鉱山関係で鉛毒のことは古代ローマでも知られていたみたいなんだけど、鉛でコーティングした鍋で煮ても溶け出すとまでは思っていなかったのかなぁ?
実際にカタコンベとかにある古代ローマの人の人骨を調べると高濃度の鉛が検出されたりするらしいから、鉛中毒の事実はあったわけで、甘美な誘惑に勝てなかったのか、考えが及ばなかったのか。
日本でも、昔はおしろいに鉛が使われていて、役者の間では鉛中毒が多かったみたい。
昭和9年(1934年)に使用が禁止されるまではそうだったのだ。
はんだごての「むえんはんだ」も「無鉛」で、それまで鉛の蒸気を吸い込んでの鉛中毒が出るので、鉛フリーのはんだが求められて出てきたものなのだ。

2023/06/17

ぐちゅぐちゅ、ごしごし

 最近は定期的に歯医者さんに行ってメンテしてもらっているんだよね。
3ヶ月に1回の頻度で、そこまでお金が関わるわけでもないのだ。
むしろ、歯科治療は自由診療領域も広くて、特に虫歯がひどくなってかぶせものなんかをする場合、レジンや銀歯でないと保険はきかないので、かなり高くつくのだ。
なので、普段から気をつけておくのが一番よいわけだよね。
歯医者の回し者じゃないけど(笑)

この定期メンテでは、虫歯のあるなしを見てもらうわけではなく、あれば歯石を取ったり、水流を使って普段は取り切れない歯垢をとってもらったりするんだよね。
で、そのときに、歯科衛生士さんから歯磨き指導なんかもあるのだ。
これが何度言われてもなかなか完璧にはできないんだよなぁ。
行ってすぐは気にしていても、やがていつもどおりに戻っちゃうんだよね(笑)
それでも、洗口液やらデンタルフロスやらは使うようにはなったのだ。
その方が口の中がさっぱりするしね。

我が国ではわりと歯磨きの習慣が古くて、江戸時代には房楊枝という、先がふさ状になった楊枝(爪楊枝が先がとがっているけど、房楊子は先が細かく咲かれていてほうきのように広がっているのだ。)を使い、きめの細かい砂や粗塩を付けて葉の掃除をしていたんだよね。
当時は虫歯になると無理矢理抜くしかなく、逆に、それをしないで悪化させると命の危険にもつながったので、けっこう重要なことなんだよね。
で、そのときも砂や塩に漢方などを混ぜて香りを付けた「歯磨き粉」がすでに市販されていたというのだからすごいよ。
その当時の売り文句でも、「歯が白くなる」、「口臭を抑える」というものだったらしいから、今とあんまり変わらないんだよね。

で、戦前くらいまでは、「歯磨き粉」の名のとおり、粉だったのだ。
戦後になって今のようなペースト状の「練り歯磨き」が出てくるわけだけど、すでに一般名称は「歯磨き粉」になっていたんだよね。
現在の歯磨き粉、いわゆる練り歯磨きの基本構成は、①清掃剤(研磨剤)、②発泡剤、③湿潤剤(保湿剤)、④粘結剤(結合材)、⑤薬用成分といったもの。
①は無水ケイ酸や炭酸カルシウムのような固体成分で、歯の表面についた汚れや歯垢を削り取る役目。
でも、あんまりごしごし磨くと葉のエナメル質表面に細かい傷がついてしまうので、かえって虫歯になりやすいとの指摘もあるんだよね。
なので、この清掃剤を入れない歯磨きが液体歯磨きなのだ。

②は歯磨きをしているときのあわあわのもと。
弱い界面活性剤で、歯磨き粉の成分が口の中に十分に広がるように加えられるものだよ。
液体歯磨きの場合は入っていないことも多いのだ。
③と④は粉をペースト状にするもの。
安定的に有効成分を安定的に分散させる必要があるんだよね。

歯磨き粉ごとの違いが出るのが⑤の薬用成分。
最も安い歯磨き粉、ホテルのアメニティとかで置いてある歯ブラシにあらかじめついているやつなんかだとこれがは言っていないモノもあるけどね。
例えば、フッ素は脂質強化による虫歯予防、デキストラナーゼ(酵素)は歯垢除去、トラネキサム酸やグリチルリチン酸ジカリウムなんかは出血防止や殺菌といった作用による歯周病予防、といった感じ。
最近はフッ素入りが多いよね(フッ化ナトリウム又はモノフルオロリン酸ナトリウムが入っているのだ。)。
歯磨き粉を選ぶ場合、清掃剤の有無の好みと、ほしい薬用成分で選べばよいのだ。

これらのほか、香料(果物やミントの香り)とか清涼剤(=メントール、歯磨き粉のすーすー感のもと)なんかが入っているよ。
でも、これらの成分は危なくて、あんまりちゃんと磨けてなくても、歯磨きした、というやった感につながるんだよね。
なので、今は余計な香料不使用、清涼剤も不使用、みたいなストロングスタイルのものもあるのだ。

液体歯磨きの仲間のようなもので、洗口液というのもあるんだよね。
お口くちゅくちゅモンダミンとかリステリンみたいなやつ。
これらはその後に歯ブラシを使うことを想定していないもので、口の中をゆすいで終わり、というものだよ。
アルコールが入っているものが多くて、そのために刺激があるのだ。
リステリンなんかは刺激が強めだよね。
気をつけないといけないのは、アルコール入り洗口液を使った後に車の運転をすると、アルコール検査で引っかかる可能性があるということ。
それと、何でもかんでも洗口液で口をゆすげばいいというわけでもないらしく、常在菌も含めて殺菌してしまうのであまりに使いすぎるとよくない影響もある、と言われているのだ。

歯磨きもあんまりやり過ぎると歯の表面が削れたり、歯茎にダメージがあってよくないというよね。
何事も限度が大事なのだ。
やり過ぎない程度できちんとメンテナンス。
こういうのが一番難しいんだよなぁ。

2023/06/10

ごはんがなければパンを食べたらいいじゃない

 日本人の米離れが進んでいるらしい。
学校給食はほとんどが米飯食になって、揚げパンやらコッペパン+マーガリンみたいな昭和の給食の定番は今の若い子には通じないそうなのだ・・・。
それもこれも、備蓄していた古米、古古米の消費を助けるためなんだよね。
でも、逆に家庭では米の消費が減っているようで。
食事の洋食化に伴い、朝食はパンなんて家も多いだろうし、パスタやうどんなどの麺類を食べる機会も多いよね。
ピザもハンバーガーも小麦食だ。
江戸時代までは武士の給料が米で払われていたほどの米中心社会からの大変革だね。

ところが、この小麦って、実は食糧として重要になってきたのはごく最近。
せいぜい江戸時代からなんだって。
その理由は簡単。
小麦はかたすぎて粒のままでは食べられないので、石臼でひいて小麦粉とふすまに分ける必要があるのだ。
ところが、稲作を中心としてきて、そのまま炊けば食べられる米を扱っていた日本では、あんまり石臼が普及していなかったのだ。

基本的に、米と小麦だと、米の方が食べるのが楽なので、十分な水と温暖な気候が確保される地域では稲作がメインになるんだよね。
東南アジアや南インド、中国南部なんかがそう。
逆に、乾燥していて寒冷な気候だと、稲作ができず、麦作になるのだ。
中央アジアや北インド、中国南部がそう。
さらに条件が悪くなるとそばくらいしか作れなくなるよ・・・。
で、そういう小麦しか生産できない地方であれば背に腹は替えられないので、早い段階で石臼も普及し、様々な小麦粉を使った料理が発展するのだ。
麺類や餃子なんかは中国から欧州まで広く似たような料理が広がっていることは有名だよね(中国の餃子、ネパールのモモ、東欧のピエロギ、イタリアのラビオリなど)。

小麦自体は記紀神話で五穀のひとつとして出てくるくらいで、かなり早いタイミングで大陸から伝わってきていたのだ。
で、仏教関係とかでは使われていたのだ。
でも、庶民は石臼がないからあんまり食べなかった、ということみたい。
逆に、大麦の場合は粒のまま食べられるので、むしろ、江戸時代までは麦と言えば大麦なわけ。
麦飯がまさに大麦を混ぜたものだよね。

これが様変わりするのが江戸時代。
農業技術の進歩により、石臼で小麦粉を引くことが普及したのだ。
麦稲の裏作で作れるので、二毛作で麦の生産量も上がったのだ。
で、大麦はそのまま食べられるけど、もの自体は小麦の方がおいしいので、小麦が広まるわけ。
そうしてできていた郷土料理が、うどんやすいとん、おやきなどなど。
天ぷらも小麦粉が使えるようになったから衣ができるわけだよね。
まんじゅうやどら焼、や今川焼きのような小麦粉の皮を使う和菓子もこの頃出てくるのだ。

とはいえ、やはり石臼で小麦粉をひくのはそこまで日常的なものではないので、ハレの日の料理になっていることが多いそうだよ。
米ならそのまま炊けば食べられるし、米が足らない場合は、米の代わりに同じように調理できる大麦やその他の雑穀(ひえ、あわなど)があるしね。
一方で、気候の問題で米がそんなにとれない痴呆ではかなり小麦に力を入れていて、例えば、北関東や埼玉、山梨では小麦食がさかん。
大洗の名物のみつだんごはみたらしあんのかかった小麦粉団子だよね。
群馬や埼玉で食べるおっきりこみ、山梨のほうとう、栃木の耳うどんなんかはうどん系。
同じように、瀬戸内海見面した地方は降水量が少ないのもあって小麦を栽培していて、讃岐のうどん、播州のそうめんなんかも有名だよね。
そして、長野では小麦粉の生地であんを包んでいろりで焼いたお焼きを食べるのだ。

そういう意味では、和菓子は別としても、お米が足りなければみたいなところで小麦食は広まっていくんだけど、現代では洋食も増えてきて、むしり小麦の方が増えているという逆転まで出てきたんだね。
しかしながら、欧米では、小麦粉に含まれるタンパク質のグルテン(麺類のコシのもと)が体に悪いと言って、グルテンフリーの食事が施行され初めてもいるんだよね。
そのため、欧米では米粉パンなんかがはやっているのだ。
ということで、欧米では和食の普及もあるけど、米の消費が増えているみたい。
うまいことバランスとれているのか?

2023/06/03

頭をやわらかく

 テレビで見て、めっちゃ気になっているのがあるのだ。
それは「悟空のきもち」というお店のヘッドスパ。
あまりにも気持ちよくて絶対寝ちゃう、という触れ込み。
なんでも、予約可能な3ヶ月先までは常に満席状態で、キャンセル待ちは60万人を越えるんだとか・・・。
どっきりGPで見たんだけど、確かに気持ちよさそうなんだよな。

このヘッドスパというやつ、ボクは頭蓋骨の整骨みたいなものだと思っていたんだよね。
頸椎や腰椎のゆがみを直すみたいな感じ。
頭蓋骨はひとつの骨ではなく、複数の骨がつながっているらしいので、そのつなぎ目がちょっとずれたりするのを直すのだとばかり。
でも、これは大きな勘違い。
頭蓋骨の各骨のパーツの継ぎ目は「縫合」という接合になっていて、ちょっとのずれも許さないほどの緊密さなんだとか。
子どもの時はこれがある程度ゆるいんだそうだけど(頭も大きくなっていくので)、大人になるとこれがずれるようなことはないのだ!
ヘルメット状に中の脳を守っているのだからそんなものなのかも。

では、ヘッドスパと言われる施術は何をほぐしているのか?
これは、頭を覆っている、頭皮の下の筋肉なんだって。
前頭、後頭、側頭(左右)の4つに分かれるらしいんだけど、これがいわゆる頭皮のハリを維持しているのだ。
逆に、この筋肉が疲労等でへたってくると、重力に逆らえなくなってだらんと頭皮が下に引っ張られて下がってくるのだ。
そうなると、頭頂部付近は頭皮が常に引っ張られた状態になって、「かたく」なるんだって。
これをもみほぐすというのが施術の目的らしいよ。

当然、人の皮や肉はつながっているわけで、この頭の筋肉がだれてくれば、すぐしたの肩あたりにも影響は出てくるのは自然だよね。
なので、特に首筋がこるなんて場合は、ひょっとしたら頭皮を柔らかくした方がよいかもしれない、となるわけだ。
けっきょくは血流は全身を回っているわけで、どこかで滞っているとそれなりに影響は出るよね。
ほぐれているのにこしたことはないのだ。


それにしても、頭皮がかたいってどこかで聞いたような・・・。
そう、髪の毛の問題!
頭皮がかたくなると頭皮の血流が滞って髪に栄養が行き渡らず、薄毛につながる、というやつ。
すなわち、頭皮マッサージはそっち方面でも意味があると言われているらしいのだ。
ボクが気になっているやつは、頭がすっきりする、よく眠れるようになる、みたいなうたい文句だけど、アデランスなんかは、頭皮マッサージでうんぬんかんぬんなんてのも宣伝しているね。
ひょっとしたら、そっちにも効果があるのかも。
これはますます気になる。

ちなみに、ヘッドスパの場合、単にもみほぐすだけではなくて、多くの場合は頭のツを押したり、オイルや薬液を塗り込むようなのだ。
刺激を与えてさらに血流を活性化し、頭皮に栄養を与える、ということみたい。
つまり、これらはやっぱり髪の毛対策だ。
体のオイルマッサージの場合は、滑りやすくしたり、香りでリラックス効果を出した理が目的だけど、頭の方はもうっとプラクティカルなんだね。

2023/05/27

幽霊なんか怖くない

 週刊誌報道で、総理の長男が首相公邸に親戚を招いたときに不謹慎な写真を撮っていた、というのが騒がれているのだ。
首相の住居なのでプライベート・スペースでもあるんだけど、海外からの賓客を迎えたりとかそういう公的な側面もあるパブリック・スペースでもあるんだよね。
そういう写真が漏れちゃうことがまずもって問題のような気もするけど、自分の家で写真を撮っただけじゃないか、ということでもないのだ。


この首相公邸は、現在の首相官邸でできるまでは、首相官邸として使われていた建物で、場所を移して公邸にしたもの。
関東大震災で東京が壊滅的被害で焼け野原になったとき、官庁街も例外ではなく、その後に新たな官庁街の省庁として最初に建てられたものだそうだよ。
これがいわくつきになったのは昭和に入ってから。
そう、あの2.26事件の現場なのだ!
なので、そのときの昇降の幽霊が出る、という噂があるんだよね。
歴代首相や首相夫人の間でも目撃証言があるのだ・・・。

この噂について、平成25年(第二次安倍政権)に民主党の加賀谷健参議院議員から質問主意書が出ているんだ。
「幽霊が出るとの噂があるが事実か。安倍首相が公邸に引っ越さないのはそのためか。」と・・・。
そんなこと聞かなくても、とは思うものの、政府は質問主意書には閣議決定をして答弁を返さないといけないのだ。
そのときの答弁では、「(幽霊の噂については)承知していない」となっているんだって。
ま、見たとか、いないとか、そういうのは答えづらいよね(笑)

この質問主意書にも出てくるんだけど、安倍総理は公邸には居住せず、富ヶ谷の私邸から官邸に通い続けたんだよね。
その次の菅総理も公邸には居住せず、赤坂の議員宿舎から通い続けたのだ。
なので、野田総理が出た後、公邸に再び入居したのは岸田総理、というわけ。
報道ではその長男と二人暮らしらしいけど。
そこに親戚を招いたりしたときの写真が問題になっているみたい。

実は、この公邸には幽霊以外にもジンクスがあって、公邸に入居すると政権が短命に終わる、と言われているんだ。
実際、第一次安倍政権では、安倍総理は公邸に住んでいたのだ。
そのときはわずか1年で退陣・・・。
でも、公邸に入らなかった第二次政権は約8年も続く長期政権に。
小泉政権も長く続いた印象があるけど、ちょうど小泉政権時代に新鑑定が建築され、旧官邸が公邸になったんだよね。
で、その新たにできた公邸に入るとその1年半後に退陣・・・。
政権交代後、公邸に入った民主党の総理はみな短命。
これは運命的なものを感じるよね(笑)

ちなみに、岸田総理は公邸に入ったのは令和3年の12月。
ということは、今で1年半近くが経過。
もうすぐ選挙があるとか言われているけど、ここでジンクスが覆されるかどうかが決まるわけだ!
そこも注目しよう。

2023/05/20

失礼ですがお年は・・・

ニュースで見たのだけど、コンビニでお酒か何かを買って年齢確認を受けた外国の人が暴れた、という動画あるのだ。
こんなのおかしい、未成年じゃないことは見ればわかるだろ、変なルールを押しつけるな、ということらしい。
これって、コンビニやスーパーでタバコやお酒を買うときに年齢確認をするようになって、主に高齢の男性が怒り出す、というのも聞くよね。
そうはいっても、お店の人もルールだからやっているわけなんだけど。
でも、ルールが何に基づいているのかよくわからないから、ちょっと気持ち悪いのだ。
ということで調べてみたよ。

基本的には、20歳未満の人が飲酒・喫煙をしてはいけない、というのは法律で決まっていること。
これは、「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律」と「二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律」のそれぞれで規定されているんだ。
成年年齢は変わったけど、飲酒・喫煙のボーダーは20歳のままなんだよね。
この法律のみそは、相手が20歳未満で自分で飲酒・喫煙するために買おうとしているとわかっていがら売ってしまった場合はその販売者には罰金、ということ。
法律名がカタカナ出あることを見ればわかるけど、どちらも古い法律で(それぞれ大正と明治)、子どもが親のお使いで買いに来る、というのを当然のことながら想定しているので、買うこと自体までは禁止していないのだ。
でも、販売する際には年齢確認など適切な措置をとることと義務づけはしているよ。

そんなこと言われても、自分で飲酒・喫煙するのか、お使いで買っているのかなんてわかりようがないよね。
というわけで、業界団体(一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会)でガイドラインを作ったりしているみたい。
法律だけを頼りにするとどうしてもお店の野人の判断で、ということになるからね。
で、そういう中で生まれてきたのが、今の年齢確認制度。
警察や国税庁は、年齢確認に当たってはどういう証明で確認してね、みたいな指導はしているみたいだけど、これは一般的なルールに落とし込んでいるわけだ。

現在よくあるのが、まう見たからに怪しそうな和回避地には声をかけて年齢確認する、というもの。
といっても、幼く見える人もあれば、老けて見える人もいるわけで・・・。
そこはもうどうしようもないんだよね。
でも、俺がそんな風に見えるのか、と切れられることもあるので、コンビニやスーパーでは、お酒やたばこを買う際はレジのところで「年齢確認ボタン」をタッチしてください、と言われるよね。
これは買おうとする人の自己申告をまずもらおう、ということなんだけど、これが面倒だ、という人がいて、もめる原因になっているのだ・・・。
近所のドラッグストアなんかだと、年齢確認シートみたいなのがレジに置いてあって、「20代以下」か「30代以上」かを指さしで確認するんだよね。
で、「20代以下」の場合は年齢確認で証明書の確認も含めて対応する、というわけ。
指さしくらいならいいでしょ、ということだよね。

でも、どこまで行っても自己申告ベースだとトラブルが起こるので、デジタル社会においてもう少し工夫できないか、という動きもあるのだ。
もうすでに普及しているモノとしては、タバコの自動販売機で使うタスポ。
これはあらかじめ年齢を証明するものを示して申請することでもらえるカードで、これがないと自動販売機でタバコは変えないのだ。
人のを借りるなんてのはできるけど。
ただ、このために新たにカードをシンセしてもらう、というのは面倒なわけで。
けっきょく対面販売してくれるところで買う,みたい話になり、カード申請が面倒な人なので、年齢確認されるともめがち、ということになるのだ。

なのでかどうかはわからないけど、今すでにある証明書類で電子的になんとかできないか、ということで検討されているのが、マイナンバーカードなどができないか、ということみたい。
デジタル庁も協力して、さっきの日本フランチャイズチェーン協会でガイドラインを作ったりいているのだ。
これも面倒だ、と怒る人はいるけど、もうそういう世の中ではなくて、デジタルで本人の年齢確認できなければ売りません、としていくかないのかもだよね。
喫煙者は減っているし、若者はお酒を飲まなくなっているとは言われているけど、そういう厳格なシステムになっていきそうな気がしているのだ。

2023/05/13

ぴき、ばし、べき、みし

夜中にいきなり家がきしむような音がしてびびることがあるのだ。
海外で言うところのラップ現象だけど、日本では「家鳴り」と読んでいるよね。
「家鳴り」という怪異は、海外のポルターガイストに比されているんだけど、伝統的には、音だけ出なくて物理的に揺れるそうなのだ。
なので、鳥山石燕が「画図百鬼夜行」で描いた絵は、子鬼が家の柱を揺らそうとしているイメージなのだ。そこから派生して、絵によっては大きな木槌を持っている場合もあるよ。
畠中恵さんの「しゃばけ」シリーズではかわいらしい子鬼として描かれているけど、家屋を壊すようなものではなく、あくまで揺らしたり、大きな音を当てるだけなんだよね。
なので、実害はそんなにないのだ。

夜中にいきなりなる音については、木造建築である日本家屋の宿命的なところがあって、使われている木材の乾燥具合によっては、さらに乾燥が進んでひびが入ったりする場合があるのだ。
このとき、みしっ、とか、ぴきっ、とかそういう泳がするんだよね。
そういう木材のひび割れだけじゃなく、比較的築浅の場合は、まだしっくりと柱や梁がかみ合っていなくて、それが気温や湿度の変化でゆがみが出ると音を発することがあるのだ。
これは超常現象でもなんでもないんだけど、家の中にいる人からすれば、柱や梁の状態がどうなっているかなんて当然わからないから、あるときとつぜん音がしてびっくりする、というわけなのだ。
東日本大震災の後なんかは、地震の揺れでひずみが入ったので、しばらくこういう現象が多かったような気がするよ。

音はそれでよいとして、問題は揺れ。
日本家族はそこまで頑丈な作りではないので、風で揺れるなんてのは当たり前だけど、風が強いときにゆれるのを怪異だと見なす人はいないわけで。
一見何もないのにいきなり揺れるから怪異なのだ。
その原因はおそらく一つではなくて、いろんなケースがあるんだろうけど、ひとつは、錯覚。
何らかの理由で自分の近くの方がおかしくなっているケース。
風邪を引いて高熱が出ると、まわりが回っているように感じて目が回る、というようなことがあるけど、それと同じで、何らかの理由で揺れていないのに揺れているように感じた、ということ。

実際に揺れるケースとしては、最近になってそういうのもあるかも、とわかってきたのが、低周波振動が増幅されてそういうのが起こることがあるということ。
その振動自体は微弱なので人間は感じることはできないんだけど、何かの拍子で共鳴現象が起こってものが揺れたりするケースがあるのだ。
これがわかってきたのは、工場などの大型機械がある施設が近くにあると、不思議な揺れが発生するという現象があって、それを調べてみると、その大型機械由来の低周波振動が家の中のものと共鳴してそういう現象が起きていることがわかってきた、というもの。
特命リサーチ200Xで紹介された例は、地中に埋まっている水道管が共鳴していた、みたいなのもあるみたい。

まだまだ未解明な点もあるけど、そうはいっても、世の中のことは基本的に起こるべくして起こっていて、それがはっきりと説明できない場合に、怪異とか超常現象ということで「納得」しようとするわけだよね。
これはまったくわからないものを受け止めがたい、という心理で、わかってないんだけど、なんだかわかったように受け止めたい、ということなんだよね。
それは人間の性なのか。
でも、子鬼みたいな家鳴りという妖怪を考えてしまうというのはなかなかユニークだよね。
こういう発想は大切にしたい。

2023/05/06

虫愛づる

 ものすごい嫌悪感を持って。俺は絶対いやだという人もいるけど、なにやら世の中では昆虫食が注目を集めているのだ。
もとはと言えば、将来的な食糧問題の解決のため、として、国連食糧農業機関(FAO)が昆虫食がその方策のひとつだ、と言い出したから。
その理由は、牛や豚と比べ、少ない飼料で育てられるので、動物性タンパク質がより効率的に肥育できるということ。
それと、昆虫には必須アミノ酸や必須脂肪酸など、人間が必要とする栄養素がだいたい含まれていて、栄養価が高い、というのだ。
そりゃあ、そうだよね、まるごと食べるから。
牛も豚も一頭で見ればそうだけど、普通は切り身の肉しか食べないからそうなるわけで。

そこで増えてきているのが、コオロギ。
まるごとの乾燥コオロギの入ったものもあるけど、多くの場合はコオロギパウダーを使った食品。
低カロリー高タンパクなんだって。
コオロギせんべいなんかはスーパーでよく見かけるになった。
あまり売れないのか、割引されているけど・・・。
コオロギって言われるとやっぱりハードル高いし、何より値段も少しお高めなんだよね。

昆虫食自体を嫌う向きもあるけど、伝統的には、人類はけっこう虫を食べてきているのだ。
日本でも、カイコのさなぎやハチの子、イナゴ、ザザムシなんかを食べるよね。
郷土料理レベルで全国的というわけではないかもしれないけど。
もともとおサルさんは雑食で、昆虫なんかもよく食べるので、人間も食べて不思議ではないのだ。
要は文化的な慣れの問題が大きいのだけど、現代まで来るとあまり昆虫というのが食材として魅力的ではない、ということで、あまり食べなくなっているんだよね。

ます、農業や畜産が発達し、野菜や獣肉が比較的簡単に手に入りやすくなっていること。
昆虫の方が効率的に生産できるのかもしれないけど、牛や豚はすでにシステムとして確立されているからね。
昆虫の場合は、養殖しようと思えばできるけど、基本は捕まえてきたものを食べる、そこにあるものを食べるという感じ。
日本では、養蚕業で繭糸をとった後のカイコガのさなぎはゆでて食べる、イネの害虫となるイナゴは大量にとれれば佃煮にして食べる、ということで、食材として割と多くの量が簡単に手に入るから食べているのだ。

これは他の国も一緒で、よほどおいしいとかではない限り、苦労してまで食べなくてもほかに食べるものがあればそれで済ますわけだよね。
ましてや、昆虫は一般的に可食部が少ないわけだし。
おいしければ、なんとしてでも食べようとするのが人間の業で、日本では田んぼに大量にいるからと言う理由でタニシを食べるけど、フランスはおいしいからという理由でエスカルゴ(リンゴマイマイなど)を養殖して食べているのだ。
もともとはブドウ畑にいるカタツムリを食べていたようだけど、こりゃうまい、となったら養殖するわけ。
昆虫の場合は、おいしさという点でそこまで至るようなものはなかったということなんだろうね。


昆虫は形態が気持ち悪いという人もいるけど、よくよく見てみれば、同じ節足動物のエビやカニもそんなにフォルム的には変わらないんだよね。
外骨格で足がたくさんあってごつごつしていて。
食材として見慣れているからおいしそう、なんて思うけど、形状は大差ないのだ。
ただし、海の節足動物の方が大きいものもいて可食部が多いけど。
それに、日本ではナカモやイソギンチャクなんかも食べるけど、外国の人からするとそれも気持ち悪いみたいだから、やっぱり慣れが重要なのだ。
中国ではカエルの肉は割とごちそうだけど、日本だとどうしてもゲテモノ扱いになるよね。

なので、このままみんながコオロギの有用性を認め、自然に食材として見なしていくようになれば。状況は変わってくるのだ。
とはいっても、パウダーで使っている間は、コオロギを見て「おいしそう」という乾燥を抱くことはないだろうけど(笑)
今コオロギに注目が集まっているのは、育てるのが比較的楽で低コスト・低エネルギーというところ。
とにかく牛や豚は育てるのにエネルギーがかかるんだよね。
だからこそおいしいのかもしれないけど・・・。
よくSF小説の未来世界には、合成食品みあたいなのが出てくるけど、栄養素として動物性タンパク質だけがほしくて、あおは加工技術でそれっぽくできる、ということであれば、牛や豚の純正の肉で亜ある必要はなくて、コオロギでもいいわけだ。
そういう未来が近づいてきているのかも。

2023/04/29

砂も水も

 あたたかくなってくると、公園でぼーっとするのもよいものなのだ。
そうすると、いきなり砂場にスズメが乱入してきて暴れ回ったりするんだよね。
かといえば、カラスは噴水で行水をしていたりするのだ。
これが「砂浴び」とか「水浴び」と言われる行為。
暑いからやっているわけではなくて、体表面についている寄生虫を落としたり、羽についた汚れを落としたりするんだって。
砂まみれになるとかえって汚れそうな気もするけど。

鳥の羽は基本的には水をはじく構造になっていて、それは、羽毛表面に脂粉(しふん)というのがついているのだ。
これは尾脂腺から出る脂が粉状になって分布したもの。
固形油脂なので当然古くなると酸化してべとべとしてくるので、それは落とさないといけないのだ。
それが汚れをくっつけるので、まとめて落とす、ということだよね。
畳の掃除にお茶っ葉を膜のと同じような感じ。

スズメの場合は砂浴びも水浴びもするんだけど、もともと水をはじくので砂をさらにくっつけて重量を増して落とすこともできるわけ。
多くの鳥は水浴びをするので、分泌されている脂の質の差もあるような気はするけど。
人間も古い皮脂が残っているとよくないので、それを取り除くという意味では同じなのだ。
このとき、鳥の羽の構造の問題もあると思うんだよね。

ボクたちがいわゆる「羽」としてイメージするような形の羽は「正羽(せいう)」と呼ばれるもので、これは表面にある羽。
その下に「綿羽(めんう)」と呼ばれる不定形のふわふわの羽毛があるのだ。
そう、羽毛布団の中に入っているやつ!
この綿羽が高温動物としての鳥類にとっては重要で、空気で断熱することで保温効果をもたらしているのだ。
その恩恵にあずかるのが、羽毛布団やダウンジャケット。

おそらく、体表面の汚れを落とすだけならきっと砂浴びでも十分なんだけど、この中の綿羽について汚れまでとる、となると、水にくぐらないとダメなのだ。
スズメの場合は砂浴びも水浴びもするようだけど、多くの場合は砂浴びか水浴び課のどちらかなんだよね。
そうすると、おそらく汚れ方というのも影響してきそうなのだ。
生息環境に水のあるなしは当然大きいけど、飛んで移動できるわけで、それが決定的というわけでもないはずなのだ。

で、よくカラスの行水なんてたとえがあるけど、鳥たちからしてみれば、水浴びは汚れを落とすためのもので、がっつり羽毛に水がしみこんでしまってもらっては困るんだよね。
実際に羽毛布団やダウンジャケットを水で洗濯するとくぁくの二めちゃくちゃ時間がかかるし。
なので、表面の汚れだけをさっと水で払いたい、ということなんだろうね。
なので、カラスは何も悪くなくて、瞬間的にしか水の中に入らないのが当然なのだ。

2023/04/22

暑くなくても熱さに注意

春はそんなもののような気もするけど、気温が乱高下しているのだ。
寒いと感じる日もあれば、暑い日もある。
実際、すでに何度か東京は夏日になっているんだよね。
で、すでに熱中症アラートも出ているんだよね。
その日その日の気温もあるんだけど、寒暖差が激しいと発生しやすいんだって。

というのも、もともと熱中症というのは体温が上がりすぎて体に不具合が出る状態なんだけど、その原因は端的に言えば二つ。
もともと人間に備わっている体温調節機能を超えるほどの暑さなのでどうやってもダメ、というのが一つ。
これは猛暑日とかだよね。
気温がそもそも体温を越えていれば日陰で休むくらいでは足りなくて、冷房に頼るしかないのだ・・・。
もう一つは、本来ならキャパ内のはずなんだけど、体温調節機能が不調で発生する場合。
これは体調が悪かったり、水分や塩分が不足しがちだったすると起こるケースなんだけど、ここに寒暖差が激しい、というのも入るのだ。
というのも、体温調節機能はいきなりフルスロットルでマックスまでいけるわけではなく、エアコン同様に試運転がいるのだ。

暑いときの体温調節機能は、基本はどうやって熱を発散するか、だよね。
普通に体表面から熱輻射として熱を発散しているけど、これは熱勾配があるから出て行くわけで、体温と周囲の温度差が小さければこれだけではあまり熱は発散できないのだ。
そうなると出てくるのが汗。
汗は、蒸発するときに気化熱を奪っていってくれるので、それで冷却するんだよね。
なので、水分をぐんぐん吸ってどんどん蒸発させていく対応の布地は厚いときに来ていてひんやりと気持ちよいのだ。
それがユニクロのエアリズムとかそういう肌着。
でも、原理的に蒸発しないと熱を奪わないので、そもそも湿度が高いと冷却効果ががくんと落ちるわけだよね。
蒸し暑いと汗がだらだら出るけどあんまり涼しく感じない。
なので、扇風機やうちwで風を送ってあげると多少蒸発が促進されて少し涼しく感じるのだ。

これが熱中症のリスク要因にもなっていて、特に気をつけるのは、気温よりも湿度なんだよね。
気温が大して高くなくても、湿度が高い場合は気をつけないといけないんだ。
これは梅雨の時期によくある話で、雨が降っていて気温はそこまで高くないと、冷房つけないでも大丈夫かな、と油断していると危ないのだ。
そうすると、春先の寒暖差の大きな時期、気温はそこまで高くないけどとにかく高湿な時期が危ないということ。
ということは、4月や6月が要注意ということだね。

熱中症には症状により3つのグレードが設定されているんだけど、一番軽度なI度はめまいがしたり気持ち悪くなったりするくらいの症状。
この段階で日陰に入ったり、水分補給をしたりすればよいのだけど、それをせずにさらに症状が悪化していくと中等症のII度になるのだ。
こうなると、強い疲労感、頭痛、吐き気、倦怠感、脱力感、大量発汗、頻脈、と外から見てもヤバいとわかるような状況。
これは休むだけでは回復は難しくて、基本は病院に運んで輸液の注入など治療が必要になるよ。
これを越えて重度のIII度になってしまうと、深部体温が上昇し、意識混濁、譫妄状態に陥るのだ。
このとき、体の中では肝機能や腎機能にも障害が出始めてしまうんだ。
こうなってしまうと救急車で緊急搬送が必要で、脳や腎臓に後遺症が残ることもあるのだ。
これは独居老人がいつの間にか熱中症で倒れていた場合とか、自動車の中に閉じ込められてしまった子どもがぐったりして意識を失う場合みたいなやつ。
こうなる前に気をつけることはできるので、まずはよくリスクを知って、対策をしておくことが大事なのだ。

2023/04/15

黄色い風

 黄砂の季節になったのだ。
天気予報ではかなり詳しく到達予測をしているよね。
ま、来るのは防げないから、対策をするしかないのだけど。
それにしても、はるか中国の内陸部から砂が飛んでくるというのはすごいことだよね。
それがひどい場合には大気もけぶるんだから。

黄砂は、東アジア中央部、主に中国の砂漠地域の砂が風に巻き上げられ、偏西風ジェット気流に乗って東に飛来していくもの。
重い砂粒から落ちていくこともあり、日本海を越えて日本列島まで来るのはかなり小さな砂粒。
花粉の数分の1の大きさだそうなので、目の粗いマスクでは防げないのだ。
砂粒自体はただの砂なんだけど、これが飛んでくる間に大気中の汚染物質などを付着させてくるらしく、健康被害にもつながると言われているのだ。
空気がきれいな頃ならそういう弊害はなかったんだろうけど、今は中国も工業化が進んでいるからなぁ・・・。

年中飛んできてもよさそうなものだけど、偏西風の強さには季節変動があって、半年間隔で強弱があるしいのだ。
夏至と冬至の頃がピークですっごい強風。
逆に言うと、春分や秋分のあたりは弱くなっているんだよね。
どうも、この弱い時期に砂が巻き上げられ、はるか上空の偏西風に乗ってしまうようだよ。
タクラマカン砂漠なんかは高い山々に囲まれた盆地的な砂漠で、そこに秒速10m以上の風が吹くと、数km上空まで砂が巻き上げられるんだって。
それが偏西風に乗るのだ。
偏西風が強すぎるとうまく偏西風に砂が乗らないなんてことがあるんだろうね。
そうすると、秋にも飛んできそうだけど、秋くらいになると東アジア中央部はの内陸地域は相当冷え込んでいて、すでに積雪が始まっているらしく、砂が巻き上がりにくくなっ手いるんだって。
なので、風の条件と砂地の条件が合わさった春に多い、ということみたい。
春の風物詩なんだよね。

かつては、黄砂が来ると環境放射線が上がるというデータが出て、中国による核実験の影響ではないか、と見られていたのだ。
その影響はゼロではないのかもしれないけど、黄砂が環境放射線の数字を上げている主な原因になっているセシウム137を調べてみたところ、どうも核実験由来のものではなく、過去の原子力事故等で上空に舞い上がり、地上に降下したセシウムの残りだったようなのだ。
通常は水分とともに地中に吸収されていくのだけど、降水がほとんどない砂漠地方では表面にうっすらつもったままになっていて、それが風で巻き上げられる、ということみたい。

ここまではネガティブな話ばかりだけど、黄砂が飛来すること自体は悪いことでもないみたい。
例えば、日本海に落ちる砂もあるんだけど、それは海に貴重なミネラル分をもたらす存在であり、日本海における豊富なプランクトンの栄養素になっているみたい。
陸域では、今では有害な微粒子扱いだけど、人間を無視すれば、土壌にミネラル分をもたらす存在として意義があるみたい。
桜島の火山灰も人の生活だけで見ると邪魔なものだけど、周辺の生態系にとっては必ずしもデメリットばかりのものではないのだ。
来るのは拒めないので、そういう広い視点を持って、広く受け止めるしかないね。

2023/04/08

うっすぃいなぁ

 スーパーでセールになっていたので、ペットボトル入りのブラックコーヒーを買ったのだ。
徐々に熱くなってきて、冷たいコーヒーがほしいときもあるからね。
で、いざ飲んだときにびっくり。
「コーヒー飲料」と書いてある。
これって、薄いやつなんじゃなかったっけ・・・?
と思って、少し調べてみたよ。

コーヒーの食品表示については、「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」において分類が定められていて、

(1)コーヒー:内容量100g中にコーヒー生豆換算で5g以上のコーヒー豆から抽出又は溶出したコーヒー分を含むもの
(2)コーヒー飲料:内容量100gにコーヒー生豆換算で2.5g以上5g未満のコーヒー豆から抽出又は溶出したコーヒー分を含むもの
(3)コーヒー入り清涼飲料:内容量100g中にコーヒー生豆換算で1g以上2.5g未満のコーヒー豆から抽出又は溶出したコーヒー分を含むもの
(4)コーヒー入り炭酸飲料:内容量100g中にコーヒー生豆換算で1g以上のコーヒー豆から抽出又は溶出したコーヒー分を含むものに二酸化炭素を圧入したもの

となっているのだ。
つまり、「コーヒー」となるのか、「コーヒー飲料」となるのかは、コーヒー豆をどれだけ使っているかの違い。
「コーヒー飲料って薄いやつだよね」という認識はあながち間違っていないわけ。

ミルクなしのコーヒーであれば、まさにこれでスッキリするんだけど、ミルクが入ってくるとまた複雑に。
というのも、カフェオレのようにミルクの量が多くなると、今度は乳飲料になるものが出てくるのだ。
いわゆる「乳等省令」(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)と「飲用乳の表示に関する公正競争規約」の方に該当するようになるのだ。
省令で言う「乳飲料」は、「生乳、牛乳、特別牛乳若しくは生水牛乳又はこれらを原料として製造した食品を主要原料とした飲料であって、第二項から第十二項まで及び第十四項から前項までに掲げるもの以外のもの」で、ここで除かれている各号列挙のものは、2項:生乳、3項:牛乳、4項:特別乳、5項:生山羊乳、6項:殺菌山羊乳、7項:生めん羊乳、8項:生水牛乳、9項:成分調整牛乳、10項:低脂肪乳、11項:無脂肪乳、12項:加工乳、14項:クリームだよ。
液状の乳でその他、みたいな定義だよね。
で、公正競争規約の方で、省令で定義する乳飲料のうち固形成分が3.0%以上の場合に「乳飲料」と表示することになっているのだ。
で、この基準が満たされるようになると、カフェオレは、コーヒー飲料やコーヒー入り清涼飲料から外れて乳飲料になるわけ。
カフェオレは語源的に「coffee into milk」でミルク主体だからそうなんだろうけど。

で、ペットボトルコーヒーにもどるのだ。
実は、ペットボトルのコーヒーは、薄いかどうかは別として、各社ともあっさり目の飲み口で作っているようなのだ。
これはまさに飲み方の違いで、缶コーヒーが休憩期間中に飲むシーンを想定しているのに対し、ペットボトルの方は、常にそばに置いておいて飲みたいときにちょっとずつ飲むシーンを想定しているからなのだ。
米国のスタバでは超巨大なサイズのグランデやヴェンティでコーヒーやラテを買っていく人たちがいるのだけど、このひとたちは、保温タンブラーに入れて半日くらいかけて飲むんだよね。
冷温の差はあるけど、まさにそういう飲み方なんだよね。
ま、コーヒー500mlは一気飲みしないよね。

で、そういう飲み方をするときって、がつんと重い、濃厚な飲み口ではなく、あっさりとした飲み口の方がいいのだ。
このペットボトルコーヒーの先駆けになったと言われているのはサントリーのクラフトボスなんだそうだけど、こちらは表示も「コーヒー」。
だけど、浅煎りで飲み口は軽いけど、芳醇な香り、というコンセプトで作ったそうなのだ。
そのために豆も厳選して、ブレンドして、ということらしい。
一方で、普通に深入りで薄めに淹れるアメリカン的なやつでもよいわけで、そういうのだと生豆換算のコーヒー量が少なくなるので、「コーヒー飲料」になるのだ。
でも、こういうのは味の好みであって、コーヒー量が多いことが即すばらしい、というものではないので、自分が好きなものを飲めばいいんだよね。

2023/04/01

江戸のメディアミックス

 今度のだめカンタービレが舞台化されるんだって。
マンガがアニメになり、実写ドラマ・映画になり、そして舞台へ。
人気コンテンツの王道の流れだよね。
でも、中には「歌舞伎」化されるものもあるんだよね。
ワンピースやナウシカなんかは歌舞伎になっているのだ!

でも、実は歌舞伎はむかしからいろんな流行り物を取り入れてきたんだよね。
そもそも「時代物」と言われる演目は、過去にあった有名な事件をもとにしたもので、幕府の規制があるので舞台を室町時代に移したりはするけど、話の流れを見ると、「あの事件か」とわかるような作り。
興行としてやっている以上は客が入らないといけないわけで、受けるなら何でも取り入れる、という姿勢だったんだよね。
今では伝統芸能になっているけど、そもそも江戸時代においては「現代芸能」なわけだし。
その根底のところは今でも受け継がれていて、伝統的な演目でも時事的なトピックを混ぜ込んだりするんだよね。

そうした流れの中で大きなものが、人形浄瑠璃の人気演目の歌舞伎化、というのがあるのだ。
人形浄瑠璃は、浄瑠璃(三味線を伴走として太夫が物語を歌うように語る演芸)に合わせて人形劇を行うもの。
今では文楽座のみが残っているので文楽とも呼ばれるよね。
徳島や淡路には地域の伝統芸能としての人形浄瑠璃が残ってはいるけど(これは蜂須賀公の庇護によるもの)。
で、人形浄瑠璃の演目で受けたものの一部が、実写化というか、人間の芝居に翻案されて、歌舞伎の演目になっているんだよね。
そういうのを丸本物というのだ(浄瑠璃の全場面を収めた台本を「丸本」と呼ぶことから)。
有名なのは、仮名手本忠臣蔵や菅原伝授手習鑑、義経千本桜など。
義太夫の語りに合わせてストーリーが進行していくのが特徴で、今で言う、ナレーション付のドラマなのだ。
音楽的、様式的演出に富むとか言われるけど、例えば、菅原伝授手習鑑の「車曳」」のような、牛車をぐるぐる回してから藤原時平が登場して場を収めるようなシーンは人形芝居がもとだからこそ。
義経千本桜では、吉野山(道行初音旅)のような所作事、いわゆる踊りを中心とした演出もそう。

逆に言うと、純粋に歌舞伎のために作られた演目、例えば、助六由縁江戸桜や暫みたいなやつは、決めポーズとかはかっこいいし、殺陣も見応えがあるんだけど、はっきり言ってストーリーは荒唐無稽で破綻しているんだよね・・・。
もともとは浄瑠璃というストーリーテリングがもとになっている丸本物との違いがまさにこれ。
もう純粋歌舞伎の方はエンタメに振り切っているのだ。
ある意味潔い(笑)

で、人形浄瑠璃の演目が歌舞伎にもなってまた人気になると、その名場面が浮世絵になったり、そのストーリーが黄表紙(絵付きの物語本)にもなったりするんだ。
つまり、今で言うと、画集が出たり、ノベライズされたり、ということ。
まさにメディアミックス!
伝統芸能とか言われると古くさいようにも思うけど、そのエンタメの展開はツールの差こそあれ今と変わらず、いや、むしろ、もっと貪欲なのだ。

2023/03/25

Everyone has a beautiful name!

 フジテレビの社会部記者の女性で、「中澤しーしー」さんという人がいるのだ。
レポーターとして現場取材をすることもあって、それでニュースに出てくるとそのたびに話題になるんだよね。
名前のインパクトから。
で、ここで気になったのは、名前に使ってもじって確か法令で決まっているけど、長音符「ー」っていいんだっけ?、ってこと。
この「しーしー」さんは本名だそうなので、使えるということなんだろうけど、気になったので調べてみたのだ。

今はきらきらネームの関係で人名用漢字がよく話題になるけど、そのおおもとは戸籍法。
戸籍法では、戸籍の記載に使ってよい字に関する規定があって、第50条第1項で「子の名には、常用平易な文字を用いなければならない。」とした上で、続く第2項で「常用平易な文字の範囲は、法務省令でこれを定める。」ろしているのだ。
これを受けているのが戸籍法施行規則で、第60条で3つの類型を示しているのだ。
それは、
①常用漢字表(平成二十二年内閣告示第二号)に掲げる漢字(括弧書きが添えられているものについては、括弧の外のものに限る。)
②別表第二に掲げる漢字
③片仮名又は平仮名(変体仮名を除く。)
というもの。

常用漢字は文化庁がちょいちょい更新しているけど、よく使う感じを定めていて、新聞では常用漢字表にない字や読みの場合は仮名書きにする、みたいなルールがあるんだよね。
学校で習う漢字も基本は常用漢字表にあるもの。
もっとも身近な漢字のカテゴリーだよね。
でも、歴史的な経緯もあって、常用漢字表だけでは足りないのだ。
その集まりが②の別表第二。
よく見る字だと、「乃」、「也」、「之」、「弘」、「杏」みたいなやつ。
有名な話だと、しょこたんこと「中川翔子」さんの本名は「中川しようこ」なんだけど、もともと「薔子」と名付けようとしたら、「薔」の字が人名に使えないと言われ、「しょうこ」と書いたつもりが「よ」が大きく書かれすぎていて「しようこ」で処理された、ということらしいのだ。

ひらがな、カタカナも簡単ではなくて、ワ行の「ゐ/ヰ」、「ゑ/ヱ」、「を/ヲ」は使っていいよ、と明示的に通達で示しているんだよね。
明治期に仮名を一音一文字に定めて変体仮名を使わないようにしたので多少混乱がある、ということだと思うのだ。
で、その同じ通達で、どう考えても上の法令では読めないような気がするんだけど、4つの記号は使ってもいいよ、となっているんだ。
それが、長音「ー」、畳音「ゝ(ひらがな)/ヽ(カタカナ)」とその濁音の「ゞ・ヾ」、踊り字「々」だよ。
なので、最初の例の「しーしー」さんは人名に使っていい字だけを使っているのだ。
仮に「ー」が使えないと、ヾ読みにしようとすると「しいしい」みたいになるわけだよね・・・。
ちなみに、これらの記号は、限定的な使い方に限り認められる、という整理になっていて、長音の場合は前の音を引き延ばす場合、畳音の場合は前と同じ仮名を繰り返す場合、踊り字の場合は前の漢字を繰り返す場合だよ。
「金子みすゞ」みたいな例は最近はないけど、「奈々」みたいなのはたくさんあるよね。
正直、長音はあまり見ないけど、これからはフジテレビの「しーしー」さんがその代表例になるのだ(笑)

2023/03/18

やめてくれや

 ガーシー参議院議員が除名処分になったのだ。
現行法制下では72年ぶり3人目だそうで。
そもそも日本国内にいないからなぁ。
下手な議員よりはお騒がせで有名にはなったけどね。
それにしても、選挙で受かっても議員を辞めさせられるっていうのはそれだけのことなのだ。

日本国憲法では、第58条第2項で「両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。」と定めていて、これが今回の根拠規定。
国会法では、懲罰の種類を定めていて(第122条)、低い方から、「公開議場における戒告」、「公開議場における陳謝」、「一定期間の登院停止」、そして、「除名」になっているんだ。
今回の場合で言うと、2番目に軽い「陳謝」をせよ、と決定したのにしなかったので、改めて懲罰委員会にかけられたわけだよね。

憲法で言うところの「会議その他の手続及び内部の規律に関する規則」というのは、両議院の規則のことを言っているんだけど、参議院規則では、懲罰について第232条から第247条まで16の条文で規定しているのだ。
このうち、第245条が「除名」に関するもので、「議院を騒がし又は議院の体面を汚し、その情状が特に重い者に対しては、登院を停止し、又は除名することができる」とされているんだ。
確かに騒がし、体面を汚しているから、あとはその上場が特に重いかどうかを懲罰委員会で判断するわけ。
で、懲罰委員会では3月14日(火)に除名すべき旨を決定したのだ。
でも、これだけでは当然議員資格を失わせることはできないんだよね。

憲法の時点で、但し書きにあるように、出席議員の2/3以上の参政がないとその処分は下せないのだ。
ちなみに、参議院本会で除名処分が決定できなかった場合、それで無罪放免というわけには行かない仕組みにもなっているのだ。
具体的には、参議院規則第246条で「懲罰委員会が、除名すべきものとして報告した事犯について、出席議員の三分の二以上の議決がなかつた場合に、議院は、他の懲罰を科することができる」となっていて、次に重い登院停止処分にすることができるようになっているんだ。
実際にそういう例もあるみたい。
ちなみに、登院停止については、どんな内容であっても、また、複数の案件が同時進行で重なっていたとしても、トータル30日間までとなっているのだ(参議院規則第242条)。
なので、一月の停学処分みたいなものだよね。

除名された場合は、その時点で直ちに議員資格を失うようなのだ。
なので、ガーシーさんはもうもと参議院議員、というわけ。
それと、ガーシーさんは比例区選出でまだリストに候補者がいるので、別の人が繰り上げ当選になるのだ。
元N党、現政治家女子48党としては議席を失うことはないわけ。
仮に選挙区選出の場合は補欠選挙になるけど、国会法第123条は「両議院は、除名された議員で再び当選した者を拒むことができない」としているので、除名されても補欠選挙でもう一度勝てば戻れる仕組みにはなっているよ。

それにしても、大変な騒ぎになったのだ。
ま、国会議員として選出されていながら国会に登院しないというのはいかがなものかと思うけど、我が国の場合は必ず登院しないと議決権が行使できないからこうなるんだよね。
仮にデジタルで議決権が行使できるようになると、ガーシーさんもドバイにいながら国会の議論に参加できたかもしれないのだ。
質問主意書は出したりしているみたいだから、議員活動を全くしていなかったわけではないみたい。
それより、今回のこの騒動で浮かび上がってきた、大物議員で日本にいながら全然国会の会議に出ていない人たちがいる、という方が問題な気がする。
かつては収監中に当選した人もいたくらいだしね・・・。

2023/03/11

できればあたたかく

 東京ではあんまり聞かないけど、地域によってはコンビニでおにぎりを買うと「あたためますか?」って聞かれるんだってね。
おにぎりは冷めたままでもわりとおいしく食べられるけど、冷や飯じゃなくて、温かいごはんが食べたい、ということのようなのだ。
確かに、駅弁敷かない時代はお弁当のごはんは冷たいもの、というのが当たり前だったけど、ほか弁が登場し、さらには、コンビニ弁当が出てくると、弁当であっても暖かいものを食べる、というのがスタンダードになってきているよね。
高校時代はお弁当をストーブの上に置いたら怒られたものだけど、今では電子レンジで温められるようになっている学校もあるらしい・・・。

もともとお米を炊いたり蒸したりするのは、主成分であるデンプンをかたい状態から、すいぶんをおおくふくんでやわらかくもっちりとさせる糊化(アルファ化)するためなんだよね。
でも、熱を加えてから時間が経つとだんだん劣化していって、かたくなっていくのだ。
これが冷や飯の状態であり、合血コチにかたまった鏡餅の状態。
でも、ここでもう一度熱を加えると再びやわらかくなるんだよね。
お持ちで言うと焼いたりゆでたりした後の状態。

炊いたお米の場合、炊き直しというのもないわけではないけど、これは大変。
現在のような電気炊飯器がない時代、釜で炊いていたときは、炊きあがったごはんはおひつに移して保存したので、わりとすぐに冷めるんだよね。
なので、炊きたてのt機以外は冷や飯を食べることになるのだ。
これを炊き直ししようとするとまたかまどに火をおこさないといけないから・・・。
でも、やおおあり冷や飯でなく、暖かくして食べたい、という需要があったわけで、工夫をしていたのだ。

そのひとつが湯漬け。
簡単な話で、冷や飯にお湯をかけて温める、というもの。
江戸時代広範になると煎茶文化が普及して、ただのお湯ではなくてお茶をかけて茶漬けになるのだ。
汁物の中に冷や飯を入れて一緒に煮てしまう、雑炊やおじやみたいなのも同じ考え方。
関西のねこまんまは、冷や飯に味噌汁などの汁物をかけたものだけど、これもまったく同じコンセプトだよね。
あたたかい液体があればそれと一緒にあたためる、ということなのだ。

原理的には再加熱すればいいだけなので、熱水であたためる以外に、焼いたりしてもいいわけだよね。
で、もちろんそういうのもあって、代表的なのは秋田のきりたんぽ。
冷や飯を少しつぶしながら棒を包むように巻き付けて焼くのだ。
鍋物・汁物に入れたり、味噌をつけて食べたりするんだよね。
新潟では、おにぎりに味噌をつけて焼いたようなけんさ焼きというのがあるよ。
検診公が遠征中に剣先におにぎりをさして焼いて味噌をつけて食べた、ということが由来らしい。
現代では、炊きたてをすぐ冷凍しておくとレンチンでまるで炊きたてのようなごはんになるけど、昔はこうやって工夫をしていたわけだよね。
栄養的にもカロリーのかなりの部分をお米に頼っていたので、お米をおいしく食べることが最重要課題なのだ(笑)

今度は、同じような米食のアジアの国ではどうか。
中国のチャーハンや韓国のクッパくらいしか思い浮かばないけど、まずもって重要な前提は、食べているお米の種類が違うということ。
基本的には日本以外のアジアの国は長粒米を食べるのが基本なのだ。
なので、よりぱさぱさしていて、粘りけも弱いわけ。
こういうお米は冷や飯になるとおいしく食べるというのは無理のようなのだ。
インドのように温かい汁物のカレーと混ぜて食べる、というのはありだけど、にぎりめしみたいに冷めたまま食べるのはなしなんだよね。
なので、チャーハンは冷や飯の長粒米をなんとかおいしく食べる調理法で、初日は炊きたてのごはんをおかずを食べ、残ったお米をチャーハンにして食べる、というものなのだ。

一方で、中国やタイの一部では餅米も食べるよね。餅米は冷めてももっちりしているので、冷めたものが食べられることがあるのだ。
中国のちまきなんかがそうだよね。
タイ北部にも同じような料理があるらしい。
これは日本のおこわと同じで、十分に水に浸漬した餅米を蒸して作るんだよね。
温め直しは蒸すのだと簡単なので、それも可能。
逆に汁物と一緒にするととろけちゃうので、それは向かないのだ。

というわけで、茶漬けみたいな文化は以外と日本特有なんだよね。
かつてCMでラモスが「日本人ならお茶漬けやろ」と言っていたのはあながち間違いではないらしい(笑)
というわけで、ぶぶ漬けでも食べて、さっさと家に帰ろう。

2023/03/04

かしこく(?)乗る

 最近よくTVのCMで「カーリース」を見るのだ。
自動車を買わずに借りるという形にして乗るもの。
「車のサブスク」なんて表現されることもあるよね。
不特定多数の人に貸し出すレンタカーとは違って、自己所有と同様に自分で用意した駐車場に止め、自部tんだけが使うのだけど、所有権はない、ということなのだ。
これは何が得なのか?

法人契約の場合はメリットがあるんだよね。
それは、自動車を所有しちゃうと固定資産になってバランスシート(貸借対照表)上に計上し、減価償却をしていくことになるんだ。
これが自己や不具合で使えなくなると損金も発生したりするんだよね。
一般に固定資産が増えすぎると経営の柔軟性が失われるので(例えば、使わなくなったからと言ってすぐに処分できない、残存価格に見合う下取り価格で売れない場合は損金が発生する、など)、いやがられるんだよね。
実際に、ある時期は大量に車が必要だけど、長期的にはそこまでの台数はいらない、みたいな事情がある場合、自己所有しちゃうとその資産がだぶつくのだ。

そこで、借りるという形をとると、固定資産ではなく、賃貸料を払う、という形式になるので、(キャッシュフロー(損益計算書)にだけ出てくることになるのだ。
メンテ費なんかも含めて費用の固定化できるのも魅力なんだよね。
これはコピー機とかパソコンとかでも同じようなやり方がなされているよね。
メンテナンスや消耗品とセットで契約してもらえれば、貸している方にもメリットがあるのだ。
そう考えると、石油会社がカーリース事業をしているのもわかる気がする。
ガソリンは必ずうちの系列店で入れてくださいね、という形で貸し出せば有料顧客がゲットできるわけだ。
多少リースの手数料を値引いてもうまみが出てくるよね。

個人リースの場合、そこまで個人に対してメリットがあるというと、どうもあやしいんじゃないか、というのがよく言われるところ。
最大の魅力は、初期費用なく、月々定額を払うだけで辰砂が手に入るところ。
カーローンと違って頭金とかも不要なんだよね。
で、このリース料の中には、契約期間後の残存価額の下取り額をさっ引いた自動車の価額を月割りにしたものに、自動車税などの税金、自賠責保険、メンテ費、リース手数料などが上乗せされるのだ。
初期費用は抑えられるけど、月々支払う金額が安いというわけではないのだ。
仮にそうなったらビジネスとして成り立たないし。

で、リース契約期間終了後については、
①次の車に乗り換える(想定されていた残存価額で査定されれば何も金銭のやりとりナシ、仮に雑に乗ってしまって残存価額が低めに査定されると費用がかかることも)
②残存価格で買い取って自分のものにする(途中でリース手数料を支払っているのでローンを組んだ場合より支払総額は多め)
③リース期間を延長する
のどれかになるよ。
③は契約期間を延長しているだけだけど、最終的に②のように買い取るとすると、一番そんな選択肢なのだ。
すぐには乗り換え需要がないから、ということで①じゃなくて③ならあり得るんだけど、もうこの後ずっと乗る、ということであれば②を選んだ方がお得ではあるんだよね。

で、CMなんかだと、次から次へと新車に乗り換えられる、という点をアピールするんだよね。
それは①がポイントで、中古車として他に売れる(或いは、貸し出せる)ニーズを持っているからこそこれがビジネスになるのだ。
自動車会社でなく、中古車事業者もカーリースを始めているのはこれ。
貸し出しように新車を買うんじゃなくて、最初はカーリースで貸して、ある程度古びてきたら不特定多数にカスレンタカーにシフト、という感じに回すわけ。
レンタカーで貸す場合も車の古さである程度メニューの差別化はできるけど、新車をいきなりレンタカーで貸すのはもったいない、それよりはカーリースにした方が利益率が上げられる、ということだと思うんだよね。

ちなみにこのカーリースについてネットで調べようとすると、それこそ無数の「デメリットばかり」というのが出てくるんだよね・・・。
どういう観点で評価するかだと思うけど、とにかく数年ごとに新しい車に乗り換えたい、ということであればよいものなのだ、
逆に、自分で車を持ちたいけど初期費用が出せないからリースで借りてから最後買い取る、みたいな発想だと、かえって支払総額が増えている、ということなんだよね。
なんだかリボ払いに似ているところがあるのかも。

2023/02/25

るーるるるでコンコン

 最近、油揚げが好きなんだよね。
消費期限が近くなって安売りしているとつい買っちゃう。
すぐに使わない場合は冷凍で保存もできるし。
不足しがちなタンパク質をとるためにもよい食材なのだ。

で、我が国ではなぜか油揚げはキツネの好物とされているのだ。
一説には、貯蔵している米を食べてしまうネズミをとるので、古代から農耕関係で信仰されていたのだ。
その形のひとつが稲荷信仰。
これは実はよくわからない神様で、神道の世界では、ウカノミタマノミコトやウケモチノカミとされることが多いけど、もともとは仏教の荼枳尼(だきに)天とも言われるのだ。
キツネは神使(みさき)で、神様の眷属なんだけど、いつの間にかキツネ自体が神様的に扱われるようになるのだ。
で、このキツネに最初は油で揚げたネズミを備えていたらしいんだけど、仏教で肉食が忌避されるようになると、油揚げに代わったとか。
で、稲荷神社には油揚げを備えるようになり、稲荷と油揚げがくっつくのだ。


もともとの荼枳尼天の方は本来的には農耕とはあんまり関係ないんだけど、図象では野干にのっている姿で描かれるんだよね。
この野干というのはジャッカルのことなんだけど、中国にはジャッカルがいないので、代わりにキツネとされたのだ。
で、それが日本に入ってきて、稲荷信仰と集合していくわけ。
キツネに乗っている神様なら稲荷神の本地だろう、ってな具合で。
インドでは屍肉を食べる夜叉女神だったのが、豊穣を司るようになるとは・・・。


それはいいとして、稲荷と油揚げが強い結びつきになって、甘く煮た油揚げの中に酢飯を詰めたものがいなり寿司と呼ばれるようになるのだ。
酢飯を詰めずに甘く煮た油揚げをうどんの上に載せればきつねうどん。
これは明治中頃に大阪の松葉屋(今の「うさみ亭マツバヤ」)が発祥と言われるけど、すでに江戸時代から同様のものがあったという説もあるようなのだ。
もともとはうどんの付け合わせとして、酢飯を詰めていない甘く煮た油揚げを別皿で出していたのを、いつしかうどんの載せるようになったのだとか。
多くのお客さんがそうして食べているので、もうメニューにしちゃえ、ということらしい。
これが真実とすると、実はけっこう新しい食べ物だね。

で、油揚げ関係の料理は、キツネと名前がつく以外に、「シノダ」と呼ばれることも多いのだ。
これは「信太の森」のことで、平安時代の貴台の陰陽師、安倍晴明にまつわる「葛の葉伝説」から来るもの。
安倍晴明の父親の阿部保名(やすな)が信太の森でけがをしている白狐を助けるんだけど、その過程でけがをしてしまうんだよね。
すると、どこからか美女が現れ、介抱をしてくれるうちに恋仲になり、夫婦となるのだ。
その女性の名前が葛の葉で、生まれた子が後の安倍晴明、というわけで、安倍晴明の類い希なる陰陽師としての能力は人外のもの、という伝説なんだよね。
中性に成立したと言われる金烏玉兎集の注釈に出てくる話だそうだけど、これが近世になって仮名草子として広まり、「芦屋道満大内鑑」として浄瑠璃・歌舞伎になって一気にメジャーになるのだ。
でも、こっちの方はキツネがあってからのシノダなので、まずはキツネという発想がないといけないわけだよね。
キツネありきの命名なのだ。

で、思い出したんだけど、小学校の時の給食の人気メニューでこぎつねごはんというのがあったんだよね。
なんてことはない、油揚げと椎茸、タケノコにんじんを甘く似たものとごはんに混ぜ込んだもの。
炊き込みではなかったのだ。
それにしても、なぜ子ぎつねだったのか。
きつねごはんだと、甘く煮た油揚げがごはんの上にどーんとのっているイメージになるからか?
それって、包んでないいなり寿司だよね(笑)

2023/02/18

江戸で花開く

 今では日本料理の代表のような顔をしているけど、今の「寿司」って江戸中期以降に出てきたものなんだよね。
かつての寿司は近江の鮒寿司、加賀の蕪寿司のような「熟れ鮨」で、米と一緒につけ込んで発酵させることで保存性を高めたものなのだ。
これは単純に、海産物には旬があってとれない時期があるし、流通も発達していないので生のままでは遠くまでは運べない、という制約条件の中で生まれた文化なのだ。
塩漬けとか干物とかもあるけど、もう少し生っぽいものが食べたかったのかも。
発酵によりにおいはきつくなりがちだけど、うまみが増すのもあるし。

酢飯の上にネタを載せるような寿司が出てくるのが江戸時代。
大阪では箱の中に酢飯を敷き詰め、その上にネタを並べるタイプの箱寿司が出てきたけど、江戸では、俵型に固めた酢飯の上にネタを載せる江戸前寿司が出てきたのだ。
今では高級な感じを醸し出すけど、江戸時代は屋台で提供されるファストフードで、さっと出されたものを手づかみで食べる、というものだったのだ。
なので、今でも高級寿司であろうが出されたものを手づかみで食べる、という食べ方になるのだ。

このタイプの寿司の普及に一役買ったのが、安価な醤油の普及。
それまでは、醤油的な液体の塩味の調味料は味噌を造る過程で出てくる副産品の「たまり」。
味噌の醸造糧腕出てくる上澄み液だよ。
でも、これはかなり貴重なもので、超高級品だったんだけど、江戸時代に今のタイプの醤油の大量生産製法が確立され、庶民にも行き渡るようになるんだよね。
それまでは酢や塩、煎り酒(清酒に梅肉、鰹節などを入れて煮詰めたもの)などが使われていて、生の魚介類とあえて「なます」にされていたのだ。
でも、この「なます」という食べ方の場合、白身の魚だと問題なんだけど、脂の多い青魚やマグロやカツオのような赤身の魚にはあまり合わないんだよね。
青魚は味噌と一緒にたたいて「たたき」にして食べられるし、干物とか塩漬けでもいけるので問題なんだけど、マグロなんかは塩漬けや加熱調理があまり合わないので、食べようがなかったのだ(鰹は鰹節に加工していたよ。)。
なので、江戸初期は「下魚」扱いで、猫も食べない、なんて言われたのだ。

ところが、醤油が登場すると、醤油、酒、昆布と一緒につけ込む「漬け」にすることで本領発揮。
改めておいしいもの魚であることが認識され、人気の食材になるんだ。
で、江戸時代にはやった寿司ネタとしても、漬けマグロは人気のネタになるのだ。
この醤油漬けにするという調理法は、保存性も高まるので、一石二鳥でもあったんだ。
ただし、特に傷みやすいトロの部分は、そもそも漬けにしてもおいしくないこともあり、江戸時代には捨てられるような部位だったんだよね。
ま、当時の技術じゃなかなか食べようがないから仕方ないんだけど。

こうして、江戸中期からはやり始めた寿司は、赤身の魚の漬け(マグロ、カツオなど)や、昆布締めの白身の魚(タイ、ヒラメなど)、酢締めの青みの魚(サバ、コハダなど)で、生のまま、ということではなかったんだよね。
やっぱりそこは流通に問題が宛て、目の前に海がある江戸でさえ、そこまで新鮮な取れたての魚が食べられるというわけではなかったのだ。
今のような生のネタがのった寿司になるのは、さらに時代が下って、氷などで冷やしながらわりと高速で運べるようになってから。
今なんかは海なし県でも寿司が食べられるんだから、それを考えるとすごいことだよね。


ちなみに、この醤油漬けや酢締めの場合は、多少保存性が高まるというだけで、寄生虫対策にはなっていないんだよね
当時どこまでアニサキスが広がっていたかは不明だけど、そのリスクはあったのだ。
寄生虫リスクのさらに高いサケ・マス類なんかだと、蝦夷地で発達した「ルイベ」に加工することで、規制ちゅを死滅させていたんだ。
極寒の中につるして冷凍し、それを溶かしてから食べることで多少の水気も抜けて味も引き締まる、というわけ。
さすがに本土だとそこまで寒く名からこの方法は採れなかったわけだけど。
なお、越中富山名物の「鱒寿司」は伝統的には川に遡上してきたサクラマスを使うんだけど、塩漬けにしたものを酢飯に載せりので、実は寄生虫リスクはあるのだ・・・。
今は寄生虫フリーの養殖物を使ったりしているみたいだけど。

2023/02/11

日支センとは呼ばないで

 ここのところ、TVのCMで、「法律関係で困りごとはないですか?」みたいあフレーズが聞こえてきたので、てっきり法律事務所や司法書士事務所のCMかと思ったんだよね。
借入金の過払い金請求やら、B型肝炎給付金やら。
アディ○レなんてよく耳にするよね。
でも、それは違ったのだ!
広告主はなんと、法テラス。
そう、公的団体だったのだ。
そのわりにCMがうさんくさい・・・。

法テラスこと日本司法支援センターは、総合法律支援法に基づき設立される法務省所管の法人。
通常、「特別の法律に基づき設立される法人」というと「特殊法人」になるんだけど、ここは違うのだ。
「独立行政法人に準じる法人」という扱いなんだよね。
でも、いわゆる独法の枠から少しはみ出ているところがあるので、「準じる」となっているんだ。
その要因は業務の中身。
「総合法律支援」という建て付け上、その業務内容が行政にとどまらず一部司法の要素が含まれるので、政府から独立した民間の運営手法を導入した法人で一部の行政事務を担う、という独立行政法人の枠組みを逸脱するわけ。

法テラスの主要業務は、次のようなもの。
まずは法律相談の総合窓口。
これは地方自治体がかつてはよくやっていた「無料法律相談」を常時できるようにしたようなもの。
訴訟対応や和解案の調整などの具体的な法律相談まではしないんだけど、困りごとを聞いた上で弁護士を紹介したり、使えるお役立ち制度を紹介したり、ということをしているのだ。
個別事案の中身の紹介はその後。
で、こういうところに来る人は、あまり裕福でなく、弁護士への相談料をいくらでも払える、という人出はないことが多いので、この先の支援として、弁護士・司法書士へ支払う費用や訴訟費用の立て替えてのも行っているよ。なので、相談した後で、後は個別に弁護士なりに相談してくださいね、といきなり手を引くわけではないのだ。
これは多くの人が法律支援を受けられるという点で重要で、特に、司法過疎地域と言われる、弁護士や司法書士が極めて少ない地域では重要なお仕事になるよ。

ここまでは民事の話だけど、刑事についても役割があるのだ。
金銭的余裕のない被告人・被疑者については国選弁護人制度があるけど、ここにも関わっているんだ。
裁判所が、その被告人・被疑者に国選弁護人をつける、と決めたとき、法テラスに弁護士の候補を指名するよう通知するんだ。
つまり、法テラスが選んでくれるわけ。
で、その国選弁護人tの契約や報酬の支払いも法テラスがやってくれるのだ。
自分がそれを体験することはなかなかないと思うけど、いろんなところで法律に関する手助けをしてくれるわけ。

で、そういう業務なので、当然業務内容について何か判断をするときは、裁判所の意見が反映される仕組みになっているんだ。
ここも普通の独法との違い。
具体的には、
①理事長・監事の任免に当たってはあらかじめ最高裁判所の意見を聞く。
②法テラスの業務実績の評価や中期目標・中期計画に意見を言う役割の評価委員会には必ず最高裁判所の推薦する裁判官を一人入れる。
③法務大臣による中期目標の作成や中期計画の認可に当たってはあらかじめ最高裁判所と評価委員会の意見を聞く。
などなど。
こうしてみると、最高裁判所っていわゆる裁判所的な仕事だけでなく、けっこう事務的な仕事が多そうだよね・・・。

で、なんでCMをやっているのかというと・・・。
霊感商法の被害者救済みたい。
そう、例の「つぼ」案件。
でも、なんだかこのCMがうさんくさいんだよなぁ(笑)
肝いりでやっているのだろうけど。

というわけで、法テラスはいろいろと便利なところなのだ。
何か困ったら、まずは相談して見よう。
ちなみに、都心部では、新宿や上野にあるよ。
全国各地に地方事務所や地域事務所、出張所などを置いているので、相談したい人は公式ウェブサイトをクリッククリック。
https://www.houterasu.or.jp/

2023/02/04

ねばーる

 最近はスーパーやコンビニですり下ろして味付けしてあるとろろが売られているよね。
これがけっこう便利。
1人前のとろろそばとか山かけ丼とかって、とろろ芋をすり下ろすところからはなかなかなしないから。
ボクはこどものころからけっこうとろろが好きなので、時々買っているのだ。

で、よく知られてはいるけど、2種類のとろろ芋があるのだ。
ひとつは自然薯。
最近は栽培もできるようになったらしいけど、基本は秋以降に山に堀に行くのだ。
縦にまっすぐと伸びているので、掘るのが大変(>_<)
途中で折れないように掘るのも一苦労で、それで高級品なんだよね。
水分が少なめで、すり下ろすと極めて粘性が高く、とろっというより、どろっとした感じ。
多めの出汁で溶かないと伸びずに、スライムのようにかたまり状になるよ。

この自然薯は生物種としてはヤマノイモと呼ばれるもので、なんと日本原産。
記紀にも出てくるので古代から日本人に親しまれてきているのだ。
ちいっても、それは高貴な人だけ。
芥川龍之介の「芋粥」に出てくる芋がこのヤマノイモで、高級品だから貧乏貴族はなかなかな食べられない、というあこがれのものなのだ。
ちなみに、あの話に出てくる芋粥は米と芋を一緒に炊いたものではなくて、ヤマノイモを短冊切りにしたものを甘葛(あまづら)の煮詰め汁(サトウキビがまだ入ってきていない当時としては最高級の甘みのあるシロップ)で炊いたもので、お菓子に近いものだそうだよ。
砂糖がない世界なので、発芽玄米や麦芽から作る水飴や干し柿以外に甘いものっていうのはそうそうなく、貴重なものだったのだ。
削り氷(ひ)に甘葛をかけて、なんてかき氷もあったことが枕草子に出てくるけど、こっちは氷も貴重なので、最高級品だったようだよ。

これと似て非なるものが山芋。
生物種としてはナガイモなのだ。
中世以降に大陸から入ってきた、と言われているけど、現在日本で栽培されているナガイモは中国には全くないので、日本に来てさらに品種改良されたものが食べられているのか、大陸三と似たものが日本にもあったのかはよくわからないみたい。
こちらは畑で栽培するのが比較的容易で、スーパーなんかで売られているとろろ芋は基本はナガイモだよね。
水分が多めで、すり下ろしてもさらっとしているので、こちらは濃いたれで溶いた方がよいのだ。
また、そのまま千切りにして鰹節と醤油をかけて、なんて食べ方もされるよね。
自然薯だとそれはきついのだ・・・。

ナガイモにも種類があって、棒状に長く伸びたものがよく出回っているけど、手のひら状に広がったものもあるのだ。
こちらは銀杏芋とか、関東でヤマトイモと呼ばれるもので、いわゆるナガイモより水分が少なめで粘りけが強く、とろろ汁に向いていると言われるよ。
関西にはつくね芋とか大和芋と言われているごつごつしたかたまり状の芋もあって、こちらはかなり自然薯に近く、粘りけが強いので、和菓子材料に使われるみたい(薯蕷饅頭やかるかんなど)。
ちなみに、奈良の伝統野菜にもなっているのだ。

どちらの芋もヤマノイモ科で、これはいわゆるヤムイモの仲間。
ヤムイモは熱帯から温帯にかけて広く分布するけど、多くの場合は火を通して食べられるんだよね。
熱帯産のヤムイモなんかはバナナの葉に来るんで比の中に入れて蒸し焼きにするとほくほくになるのだ。
でも、これらのいもは珍しく生食されるんだよね。
かつてはアミラーゼを多く含み、デンプンが酵素の作用で分解されるので吸収されやすく生食可能、とか言われていたんだけど、最近になって、これってあんま関係なくない?、疑問視されているみたい。
多くの場合は生食しづらい理由があって、熱で分解されるような苦み成分がある、熱で変性させないと消化できないなどなんだよね。

こんにゃく芋にいたっては、すり下ろして熱を書けてさらにアルカリ性にしてかためないと食べられないのだけど、それでもカロリーはゼロなんだよね・・・。
おいしいからいいけど。
こんにゃく芋がそのまま食べられないのはシュウ酸カルシウムを多く含むからだけど、自然薯でかぶれるのもこのシュウ酸カルシウムのせい。
なので、シュウ酸カルシウムが多くなければ、生でもなんとかいけるのだ。
あとはそのまま食べておいしいかどうか。
ということは、ナガイモや自然薯の場合は、シュウ酸カルシウムが多くなく、かつ、そのまま食べてもおいしかった、ということなんだろうね。

2023/01/28

大切なのはうるおい

 夏の生まれだからか、むかしから冬の寒さが苦手。
そもそも寒いのがいやなんだけど、それと同時に乾燥もつらいのだ(>_<)
手足、指先ががさがさになるんだよね・・・。
もうハンドクリームが欠かせない!

人間の皮膚の構造上、一番外側にあるのが角質。
これは硬質なタンパク質であるケラチンを主成分とするもので、網目構造なのだ。
その間に、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸のような保水力の高いムコ多糖がタンパク質の軸にくっついたプロテオグリカンとして絡まっているんだよね。
このままだと水分はどんどん蒸発してしまうので、皮膚表面では皮脂が分泌されていて、それが表面をふたすることによって水分が抜けていくのを防いでいるのだ。
これが正常な状態。
強い界面活性剤で手を洗ったり、アルコール消毒をしすぎたりすると、この皮膚表面の皮脂がなくなってしまい、水分が蒸発しyすくなるので、乾燥してきてがさがさになるのだ。
また、皮脂が残っていても、外気の乾燥が激しくなれば抑えきれなくなって、やっぱり水分が失われてがさがさするんだよね。
こういうのが冬の手荒れの原因。

なので、これを回避するには単純に二通りの方法があるのだ。
まず、どんどん水分を足す、という方法。
尿素やヘパリン配合なんてのをよく見るけど、これらは極めて保水力の高い物質で、それを角質に浸透させ、水分の保持力を上げる、という考え方。
もうひとつは、ふたをする油分を増やそう、ということで、馬油やワセリンなんかは天然由来の油脂をさらに皮膚表面に塗りつけているわけだよね。
というわけで、水分量を増やした上で、蒸発も防ぐ、これが黄道なのだ。

そもそも化粧水は皮膚に浸透しやすい水分で、皮膚表面近くの水分量を増やすもの。
その後に乳液を塗るのは、その上に油のふたをして蒸発を防ぐため。
ということで、基本的なスキンケアもこの原理。
ハンドクリームとして売られているものも、保水力を高める成分として、水分量を増やす系(尿素、ヘパリン、グリセリンなど)と蒸発を防ぐ系(スクアラン、ワセリン、脂肪酸エステルなど)の両方が入っていることが多いよ。
ちなみん、水分と油分が半々くらいだとクリーム、油分が8割くらいになると軟膏と呼ばれるのだ。

手足のケアはそれでするとしても、そもそも手荒れしないように気をつけたいこともあるわけだよね。
まずは、皮脂をはがしすぎないこと。
コロナ禍の中では難しい面もあるけど、石けんによる手の洗いすぎ、消毒用アルコールのつけすぎはよくないのだ。
それと、これもむかしからよく言われるけど、お湯で食器洗いなんかすると、より皮脂がとれやすので、我慢して水で行くか、ゴム手袋を使うかなどした方がいいわけ。
でも、水で洗うと今度は「あかぎれ」になるよね。
面倒ではあるけど、ゴム手袋を使うというのは手が荒れやすい人には重要なのだ。

で、手足が荒れやすい体質の人として今回実感したんだけど、どうもハンドクリームにも相性があるようなのだ。
先日たまたま買った馬油入クリームというのはなんだか怪しかったんだけど、かなり合っているみたい。指先のかさかさがなくなった!
乾燥先進国のフランスに住んでいたときは、やはり乾燥対策も進んでいて、ロクシタンのシアバターも強力だけど、スーパーで普通に売っているプライベートブランド製品でも日本のものと比べるとだんちで効くんだよね。
やっと良さそうなのが見つかって安心したけど、もっと買っておけばよかったと後悔したものだったよ。

2023/01/21

流感の捲土重来

今年はインフルエンザがはやっているらしいのだ。
コロナとダブル感染なんて話もあるよね。
なので、インフルエンザところなの両方が同時に検査できるキットなんてのも薬局で売ってるんだね。
コロナだけじゃなく、インフルエンザの予防接種もしましょうといろんなところで見るようになったよ。

コロナがはやってから、コロナの感染対策を徹底したおかげか、ここ最近はインフルエンザの流行はかなり抑えられていたんだよね。
インフルエンザの予防対策に有効なのはなんと言っても手指の洗浄・消毒。
そして、目や口など粘膜のある部位を触らないこと。
インフルエンザウイルスは粘膜から体内に侵入するので、手や指にウイルスが付着した状態で触るとよくないのだ。
ちなみに、かなり早く入り込んでしまうのと、もともとは鼻の奥の粘膜から侵入するので、うがいはあまり意味がないんだそうで。
それこそしょっちゅううがいをしていれば別だけど、そんなに頻繁にできるわけでもないので、それよりは手指の消毒が大事ということみたい。

そして、予防接種。
インフルエンザの場合は型がいろいろあって、どれがはやりそうかを予測した上で複数の型に対応した対応したワクチンを混ぜてあるんだよね。
でも、必ずしもその予測が当たるわけではないのだ・・・。
かつては小中学校での予防接種はマストだったんだけど、インフルエンザワクチン製造には鶏卵が使われることもあって、鶏卵アレルギーの問題から、今は選択制で任意接種だよ。
当たるも八卦、当たらぬも八卦なら打たなくてもいいか、と言うことなんだけど、どんぴしゃではまらなくても、感染したときの症状の緩和(コロナと同じような話)が期待されるので、子どもや高齢者は摂取が推奨されるんだよね。

マスクについてはコロナも同じなんだけど、感染者からウイルスが飛沫で拡散されるので、口や鼻から出たウイルスの含まれる飛沫の拡散を防ぐ、という意味において重要なのだ。
感染を防ぐのではなく、感染の拡大を防ぐ、ということ。
とはいえ、季節性インフルエンザの流行くらいではそこまでマスクは普及していなかったよね。
むしろ花粉症対策では広まったけど。

インフルエンザの場合は、感染症予防法の5類感染症で、2類相当のコロナみたいに感染を理由に入国拒否をしたりはできないんだけど、感染が確認されたら登校・出社してはいけないのだ。
これは感染力が強くて集団感染につながりからで、人混みに行かないようにする、定期的に換気する、なんてのが求められるのはまさにこのため。
全数把握対象になっているから、病院や保健所で感染が確認されると都道府県を通して国に報告されるんだよ。
なので、毎年どれくらいはやっているかのデータがあるのだ。


で、これらの対策は基本は同じように飛沫感染するコロナと一緒。
なので、コロナ対策をしていると、そのままインフルエンザ対策にもなっていたのだ。
そのおかげもあってここ2年くらいはインフルエンザの大きな流行はなかったのだけど、ここに来てまたはやりだしたのだ・・・。
これの意味するところは、単純に考えて、コロナ対策がだれてきてなおざりになってきた、と言うことなんだろうね。
ということは、インフルエンザの流行は、そのままコロナ対策の不十分さを示している可能性が高いんだよね。
コロナの感染も全く減っていないけど、今一度気を引き締める必要がありそうなのだ。

2023/01/14

鉄はどこから

 ほぼほぼ不足することはなさそうな気もするんだけど、なんとなく鉄分補給と思って毎朝ドライプルーンを一粒食べているのだ。
味も好きなんだけどね。
時々献血している限りにおいては、赤血球数も問題ないので、鉄分は欠乏していないはず。
男性の場合はよほど栄養状態が悪くない限りは鉄欠乏にはならないんだけどね。
とはいえ、気になるので鉄分をとろうとすると、そんなに選択肢はないのだ。
鉄分が多く含まれているとされる食品は、ほうれん草(特に根に近い赤いところ)、レバー、プルーン、そしてヒジキ。
この中だとプルーンが食べやすいのでそうしているのだけど、学校給食なんかだと、ほうれん草やひじきが選ばれているよね。

でも、数年前、けっこう衝撃的な話が出てきたのだ。
文部科学省の日本食品標準成分表の改定の時(2015年の第7改定)、ひじきに含まれる鉄分量が大きく引き下げられtのだ。
およそ9分の1のレベル。
それでも鉄分含有量は多いのだけど、これは学校給食の献立に大きな影響を与えたんだよね。
それえまではたまにひじきの煮物を出せば鉄分は問題なくクリアできたのに、そのジョーカー的なカードが使えなくなったから。
これにより、小松菜やほうれん草の登場回数が増えることになったのだ。
給食でレバーは出しづらいからね。

そのときに、鉄分量を下方修正する理由として挙げられたのが、製法の変化による影響というもの。
従来は鉄釜で煮て乾燥させて作っていたんだけど、それがステンレス製になったため、鉄分含有量が減ったというのだ。
つまり、鉄釜から煮汁中に溶け出した鉄イオンをひじきが吸収していたんだけど、それがなくなった、というわけ。
これは未だに信じられているんだけど、どうもあやしいんだよね。
そこまでひじき中に残るほど鉄が溶け出しているのか、と単純に思うし、業界団体である「日本ひじき協議会」の独自調査によると、この鉄釜説とは不整合なデータも出ているんだよね。

それは、中国産や韓国産のひじきも鉄釜ではなくステンレス釜でに煮られているにもかかわらず、鉄分量は引き続き多いままだということ。
このため、同協議会では、製法の違いというより、産地の違いの方が大きいのでは、と考えているようだよ。
我が国に実際に流通しているひじきは、9割が輸入(中国産・韓国産)で、残り1割が国産。
なので、実は普通に食べているひじきは従来どおり非常に多くの鉄分を含んでいるもの。
ということは、国産ひじきしか使っていない、ということでもない限りは、学校給食ではむかしどおりの扱いでひじきを献立に入れればいい、ということになるんだよね。

でも、産地の違いというのもまた不思議な話だよね。
国産ひじきでは、昔に比べて減っているので、それだけ環境の変化があったということだけど、それもどうなのか?
ちなみに、国産はほぼほぼ天然もので、中国産・韓国産は養殖もの。
天然物は荒磯でもまれているんだけど、養殖物は並の静かな入り江で育てられているとか。
すると、養殖ものの場合は「富栄養化」している可能性があって、ひじきが成長するまわりの環境でもともと鉄イオンが多い可能性があるんだよね。
海水中の鉄イオン濃度がどこまで変化しているのかは不明なんだけど、一般には、表層では薄く、深いところで濃い、栄養塩型の分布といわれているんだよね。
天然ひじきは浅いところに生えているので、まわりの環境ではそこまで鉄イオンは多くないのだ。
これが海洋環境の変化(海水温上昇など)によってより薄くなっている可能性はあるんだよね。

とはいえ、大きく落ち込んでいるので、そこまで急激な変化が本当にあるかはちょっと疑問。
これは検証しにくいのだけど、ちょっとあやしいな、と個人的に思っているのは、同じステンレス釜と言っても、日本と中韓では違うのでは、ということ。
つまり、日本ではきれいなぴかぴかのステンレス釜を使っているけど、中韓では古くなってすでにさびの浮いているような釜を使っているのではないか、というのがそこはかとなく思い浮かぶのだ。
ステンレスはきちんとメンテナンスしているとさびないけど、さびたものと接触させておいたりするとさびが浮いてくるんだよね。
そのさびはまさに酸化された鉄で、水の中にも一部溶け出すので、きれいなステンレス釜うを使ったときより多くの鉄が煮汁中に含まれる可能性がるんだよね。
なんとなく、中国産・韓国産で多い、といわれると、そう思ってしまうんだよなぁ。
これが一番しっくりするんだけど、実際はどうなんだろう?

2023/01/07

おせちもいいけどカレーもね、には何をつけあわす?

 最近は見なくなった気がするけど、、昔はお正月の三が日明けくらいによくカレーのCMを見たのだ。
ククレカレーは、「おせちもいいけどカレーもね」なんてキャッチフレーズだったよね。
お正月におせち料理と雑煮が続くと飽きるから、大きく味を変えてカレーなんかどう?、ということなんだけど、確かになぁ、と思ったものだよ。
でも、今気になっているのは、カレー本体ではなく、その付け合わせ。
ほぼほぼカレーを食べるときにしか見かけない福神漬なのだ。

なんとなく、現在は「口直し」的にとらえられているよね。
でも、それが本旨だとすると、酸味のあるらっきょうの方がメジャーになってもおかしくないと思うのだ。
本場英国式カレー&ライスにはピクルスがつくので、その代わりにらっきょう、というのが最初らしいから。
福神漬はあまじょっぱいという感じなので、そこまで口の中がすっきりするわけでもないような・・・。
と言うことを思っていたら、東洋経済の面白い記事を見つけたのだ。

フードライターの人が書いているのだけど、福神漬そのものの歴史とカレーに付け合わされるようになった経緯を考察したもの。
今ではカレーと一体不可分的なイメージがあるけど、福神漬はかつて独立した漬物だったのだ!
そう、たくわんなんかと同じ扱い。
それがなぜカレーとセットみたいになったか、という考察だよ。

ボクなりに簡単にまとめると、
①福神漬はごはんを食べるための漬物として開発されたもので、開発者とされる上野の「酒悦(当時は山田屋)」によれば、「ほかにおかずがいらないのでお金が貯まる」とも言われたほど人気があった。
②御一新後に洋食がはやりだしたとき、皿盛りのごはんには漬物が添えられるのが通例で、その際、もともtも細かく刻まれていてフォークでも食べやすく、大量に用意しておいても保存が簡便な福神漬が選ばれた。
③つまり、カレーライス以外でも、洋食のごはんには漬物として福神漬が添えられるがスタンダード化していった(ライスのみオーダーして福神漬だけで食べたり、ごはんに備え付けのソースをかけて「そーライス」にして食べるなんてことも。)。
④それは、戦前までは今以上に大量のごはんを食べていたからで(成人男子の場合一色で1.5合~2合)、おかずのほかに漬物でごはんを食べていたから。
⑤カレーの場合も例外ではなく、ルーだけでは足りないので、漬物でもごはんを食べていた。
⑥戦後になるとごはんを鯛御量に食べる習慣がなくなっていくとともに、洋食を箸で食べる習慣が出てきたので、付け合わせは「フォークでも食べやすい」福神漬である必要はなく、より薄味の浅漬けなどが添えられるようになっていった。
⑦しかしながら、カレーだけはスプーンで食べるので、福神漬が継続して添えられ続け、今のようなセットになっていった(ただし、福神漬の塩分濃度を見ると、ごはんのおともだった時代はしょっぱいが、単なる付け合わせになっている現在は薄い。)。
といったところ。

この話で一番びっきりするのは、カレーを頼んだとき、たっぷりのごはんとそれにはr足りない量のルー、そして、残りのごはんを食べるための福神漬が出てきた、というところだね。
そんなにごはんを食べていたのか。
っていうか、カレーをもう少し増量しろよ、と思ってしまう。
カレー自体が納豆みたいな感覚で、おかずのひとつ、ということなのかな?
考えてみると、江戸時代の食事を再現したもの、なんて見ると、大量のごはんに漬物、少しの魚、味噌汁、みたいな献立なんだよね。
岡zは少量でしょっぱいのが基本、それで大量のごはんをかっこむ、というもの。
結局明治になってもしばらくはその習慣がそのまま続いたってことなんだね。
表面上は洋風でハイカラになっても、ごはんの食べ方は実は変わってない・・・。
これが和魂洋才なのか(笑)