2014/07/26

穴場的職業?

号泣県議が特に話題になっているけど、最近のニュースでは地方議会の不祥事がよく報道されているような気がするのだ。
ひとつが大きな話題になったから、今まで報道されなかったようなものまで目に触れるようになっただけかもしれないけど・・・。
それにしても、都道府県会議員や、市区町村議会議員って、けっこう偉い人たちだと漠然と思っていたわけだけど、実態はそうでもないらしいね。
年寄りだけでなく、若手が増えてきたのはよいことなんだろうけど、なんだかなぁ、という人もいるようで。

地方の議会は、明治憲法下からあるにはあるんだけど、法律できちんと位置づけられたのは戦後からなんだって。
日本国憲法第九十三条第一項では「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。」と規定されていて、これを受けて、地方自治法第八十九条で「普通地方公共団体に議会を置く。」と規定されているのだ。
これが地方議会の設置根拠。
その後の規定で地方の議会に関していろいろと定めているんだけど、おもしろいのは同法第九十四条で、「町村は、条例で、第八十九条の規定にかかわらず、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる。」としていて、条例で定めさえすれば、地方では間接民主主義ではなく、直接民主主義もとれるようになっているのだ!
通常は議員定数なんかを条例で定めるんだけどね。

地方自治体については、国とは違って「首長制」をとっているので、都道府県知事や市区町村長と議会との関係は、むしろ米国の大統領と議会との関係にちかいところがあるのだ。
例えば、国会の場合は、国会の議決を内閣総理大臣が差し戻すことはできないけど、地方議会の場合は、首長に拒否権が認められていて、「再議に付す」ことができるのだ。
もちろん、議会で再議決されるとその議決は確定するので、あくまでも再考を促すという意味合いでだけど。
米国のように大統領が署名しないと法律として発効しない、というほどではないのだ。

また、首長には専決処分というのが認められていて、あらかじめ議会から権限がゆだねられている場合や、議会を開催する余裕がないほどの緊急時、議会が解散していて開けないときなど、本来的には議会の議決・決定が必要な事項について、首長の判断で処分を行うことも認められているんだって。
事後的に議会の承認を得たり、議会に事後報告をすることを求められたりはするんだけど。
ここも政府と国会との関係とは大きく違うのだ。
これも地方自治法により定められた手続なんだよ。

現在問題になっているのは、議員報酬や政務調査費など。
この議員報酬は自治体によってだいぶ違うんだけど、フルタイムの職業ではなく、パートタイムの職業として議員活動をするには高いと言われているんだ。
日本の地方議会は、短いと国民から批判を受けることが多い国会の会期よりさらに短くて、実働は40~50日と言われるんだよね。
ということは、週一。
それなのに、多くの都道府県、市町村では、平均的なサラリーマンの給与をはるかに超える給与を出しているんだって。

さらに、問題になるのが、その議員活動を支えるために支出されている経費。
ひとつは「費用弁償」というやつで、議員としての職務を行うに当たって必要となる旅費や通信費が支給されるというもの。
例の切手代のやつだ!
これは地方自治法第二百三条第三項で規定されているんだ。
ちなみに議員報酬自体はその第一項で、議員への期末手当の支給については第四項で定めているよ(期末手当は別途条例で支給する旨を定める必要あり。)。

加えて、地方自治法第百条第十三項では、条例の定めるところにより、議員の調査研究に視するための必要な経費として政務調査費を交付することができるとしているのだ。
ただし、その次の第十四項で、政務調査費の交付を受けた場合は、条例の定めるところにより、その収入及び支出の報告書を議長に提出することが義務づけられているんだ。
この報告書の内容がずさんで、コピペばっかりだった、なんて話も前にあったよね。
今回は領収書すらないとか、異常なものもあったけど・・・。

こうしてみると、地方の議会の議員はけっこう金銭的に恵まれていることが多いんだよねぇ。
自宅のある地区でもそうだけど、市区町村議会くらいだと、当選確率がめちゃめちゃ高くて、立候補した人のうち、一人二人だけしか落選しない、みたいな地域も多いようで。
上位何名が当選、というのではなくて、下位何名が落選というのじゃねぇ。
国会議員でも変な人がいると話題になることがあるけど、地方議会の現場はもっとすごいことになっていたりして。
選挙に出るノウハウと、実は当選確率が高い地域がルということを知っていれば、けっこう穴場な職業だと思うんだよね。

2014/07/19

誇り高く腐る

ボクは家系的にもお酒が苦手なんだけど、甘いワインとかだとついくいっとやっちゃって、一気に酔いが回ったりするんだよね・・・。
そういう飲み口のお酒は危ないので牽制しているのだ。
でも、お酒を飲む人の間では、デザートワインなどの甘いお酒の需要もあるんだよね。
食前や食後に楽しんだり、方向の強いチーズと合わせたり。
そんな代表選手が貴腐ワイン。

「貴」の字はついているけど、文字どおり「腐」ったぶどうから作るからこの名前なのだ。
腐っても鯛、じゃなくて、腐敗したブドウのみを使っているんだけど、芳醇な香りと強い甘みのワインができあがるので、「貴」の字をつけているんだ。
日本語の「貴腐」はそのままの訳語だそうで、欧州でも「高貴なる腐敗」を意味する言葉で表されているとか。
見た目は、皮はしわくちゃで、表面にカビが生えているんだけど、そこから取り出した実から搾り取った果汁は、とろりとした黄金色の香り高いもので、それを発行させてワインにするのだ。

現象的には、白ワインの原料となるブドウの果皮に、灰色かび病の病原菌のボトリティス・シネレアという糸状菌(かび)が感染したもの。
このかび自体はありふれたもので、普通に葉や茎などに感染すると大変な被害になるんだけど、一度成熟したブドウのみの果皮にだけ単独で感染すると、「貴腐」という現象を引き起こすことになるのだ。
果皮の表面には、ワックスを主成分とするクラチラ層というものに覆われていて(照葉樹の葉っぱのてかりもこのクラチラ層によるもの。)、内部の水分の蒸発を防いでいるんだけど、かびの感染によりこのクラチラ層が溶かされ、水分がとんでいってしまうことになるのだ。
このために外見上ブドウの実はしわくちゃになるんだけど、その分だけ果汁は凝縮されるので、はちみつのような濃い甘さになるんだって。
天然に果汁を凝縮した感じになっているわけだね。

実はアイスワインも同じようなもので、気温が零下になった厳寒の季節に凍ったブドウの実を収穫し、凍ったまま果汁を搾るのだ。
すると、凍った氷の部分は液体の果汁と分離できるので、果汁の方は凝縮された状態になっているわけ。
これで貴腐ワインと同様、糖度の高い果汁が得られ、そこから甘いワインが作られるのだ。
ある程度ブドウを干してから作る干しぶどうワインなんていうのもあるみたいだけど、どれここれも水分を飛ばすことで、糖度の高い凝縮された果汁を使うことになっているのだ。
貴腐ワインの場合は、かびの代謝によって独特の香りがつくというおまけもあるんだけど。

ブドウ果汁は酵母によるアルコール代謝によってワインになるんだけど、アルコール濃度がある程度高くなると、酵母がアルコール(エタノール)により死滅してしまうので、いくら糖分があっても、酵母による発酵ではアルコール度数には限界があるのだ。
これはだいたいアルコール濃度で16~20%なんだけど、普通のブドウ果汁を使う場合、このくらい発酵が進むと、もうそんなに糖が残っていないので、そこまで甘くはないんだよね。
ところが、貴腐ワインなどのようにもともと糖度を高めた果汁を使っている場合、このアルコール濃度に達してもまだ糖が多く残っているので、甘みが強くなるのだ!
逆に、発酵途中でそとからアルコールを入れて発酵を止め、中の糖分を残したままにする製法もあるんだって。
そういうのは「酒精強化ワイン」といって、多くの場合はブドウ果汁を原料としたブランデーなどを加えて作るのだ。
代表選手は、スペインのシェリー酒、ポルトガルのポートワイン(ポルト酒)やマディラなんかだよ。

それにしてもい、甘いワインを作るためにいろいろ工夫をしているんだねぇ。
それだけ需要があるってことだろうけど。
日本の場合、清酒でも焼酎でも甘いお酒はないような気がするから、この辺は食習慣とかの関係もあるのかな?
脂っこいものを食べると甘いお酒がほしくなるとか。

2014/07/12

我は海の子

7月にしては最大級の台風が来たのだ!
本州はまだ梅雨だけど、沖縄はもう台風の季節か。
それにしても、木が倒れたり、道路が水浸しだったり、衝撃的な映像だなぁ。
で、そんな被害状況の報道を見ながら思ったのが、台風或いは熱帯低気圧はどうやって出てくるんだろうってこと。

調べてみると、熱帯低気圧というのは海上でしか発生しないのだ!
赤道付近の低緯度地域の海水が、太陽光により温められ、高温高湿の空気の塊ができるところから始まるのだ。
この暖かく湿った空気は上昇していくんだけど、冷却されつつ上昇していく中で、含まれていた水蒸気が結露するのだ。
水は蒸発して水蒸気になるときに気化熱を奪っていくけど、逆に水蒸気が結露するときには、その気化熱と同じ熱量の潜熱というのが発生するのだ。
つまり、暖かい空気は上昇して行くに従って冷やされていくんだけど、中に含まれている水蒸気が結露すると発熱するのだ。

通常気温は100m上昇するごとに0.6度ずつ下がるけど、結露して発熱しながら上昇していく場合、100m上昇するごとに0.5度くらいしか下がらないんだよね。
そのままだと常に周りの空気より暖かいので上昇を続けていくことになるんだけど、水蒸気は無限にあるわけではなくて、ある時点で結露は止まるのだ。
そうなると、今度は断熱膨張(まわりの空気と熱の交換をせずに膨張していくこと)していくので、打って変わって、100mごとに1度近く温度が下がることになるんだ。
これで急ブレーキがかかって、一定の高度で上昇が止まるわけ。

海上でこの上昇気流が発生すると、まわりの湿った空気が巻き込まれて、一緒に上昇していくのだ。
すると、この巻き込まれた空気の中の水蒸気も結露するので、熱を発生しながら上昇していくわけ。
これにより上昇気流が大きくなるのだ。
まさに「マッチポンプ方式」でまわりの湿った空気を巻き込みながら、発達していくんだ。
上昇気流が発生するときには、地球の自転による「コリオリの力」が働くので、渦を巻いたようになるんだよ。

しかしながら、まわりに湿った空気がなくなると、「燃料」が供給されなくなるので、徐々に弱まっていくことになるのだ。
特に、陸上に出てしまうと、もう湿った空気はほぼ供給されないので、急速に弱まるよ。
台風が上陸すると徐々に弱まって、最後には温帯低気圧になっていく、というのはこのため。
いったん陸上に出てもまた海上に出ると、再び活性化することもあるのだ。

ちなみに、温帯低気圧は、暖かい空気の塊と冷たい空気の塊が接触するときに発生することが多いのだ。
暖かい空気は軽く、冷たい空気は重いので、冷たい空気の上に暖かい空気が乗り上げるんだよね。
すると、暖かい空気は強制的に上昇させられ、断熱膨張で冷えていくことになるんだけど、水蒸気を多く含んでいる場合、結露が発生して雲を作りながら上昇していくことになるのだ。
熱帯低気圧で巻き込まれたまわりの湿った空気のような感じで。
この暖かい空気と冷たい空気の接触面が「前線」で、そこで雲が発生するので、前線の下で雨が降るんだ。
温帯低気圧はよく前線を伴っているけど、これは温帯低気圧の発生の過程からすると必然なんだよね。

というわけで、台風が発達する原理はなんとなくわかったんだけど、なんで最初に上昇気流が発生するかってよくわからないよね(笑)
広い海上では、まわりの空気も同じように暖められているはずで、限られた空気の塊だけがより暖められる、或いは、まわりの空気がなんらかの理由で冷やされて相対的に暖かくなることが必要なのだ。
偏西風やら貿易風やらそういうのが関係しているのかもしれないけど。
ただ、寝たいの海上で一度それなりの規模の上昇気流が発生してしまうと、熱帯低気圧になって発達していくことだけは確かなのだ。

2014/07/05

生乾き?

テレビで大評判と紹介されていたので、我が家でも成城石井の「ちりめん山椒」を買ってきたので。
さっそく食べてみたんだけど、山椒の香りは鮮やかだけど、全体的に甘いような・・・。
こういうのは好みがあるからね。
これよりは、大根おろしと大葉と一緒にごはんに釜揚げしらすをのせたしらす丼の方が合うみたい。
で、気になったのが、ちりめんじゃことしらすって何が違うんだろう?、ということ。

調べてみると、かなり境界はあいまいなようで、明確な定義はない、なんてのも見かけるんだけど、一般的には使い分けがあるみたい。
それは、基本的に関西での呼び名が「ちりめんじゃこ」で、カタクチイワシの稚魚などの塩水でゆでたものを指し、ゆでただけの「釜揚げ」と、ゆでてから天日干しにして乾燥させた「上乾(じょうぼし)」があるのだ。
一方で、幼魚でまだ透明感がある状態の稚魚はゆでると白くなるので「しらす」と呼ばれていて、関東ではこれを生乾きの状態である「しらす干し」として食べるのが一般的なのだ。
最近は「釜揚げしらす」なんていう干していないしらすもあるんだけど・・・。

「ちりめんじゃこ」は漢字で書くと「縮緬雑魚」で、小さな魚をゆでて平らに広げて干したものが、細かいしわが特徴の織物の「縮緬」に似ているのでそう呼ばれるようなのだ。
シート状に干すと「たたみいわし」になるけど、これも畳表に似ているから。
こういうネーミングセンスってけっこう好きなんだよね(笑)
しらすは、まだ体に色素がない稚魚はゆでると白くなることからそう呼ばれるんだけどこれはその稚魚を指す言葉なのだ。
なので、正確には、食卓に上がるのは「しらす干し」になるんだよね。

ちなみに、しらすやちりめんには時々エビやカニの幼生、小さなタコ、タツノオトシゴなんかが混ざっているよね。
基本的には主にカタクチイワシなんだけど、一緒にとってしまうので入っているのだ。
一部では「ちりめんモンスター」なんて呼んでどういうのが混ざり込んでいるか楽しんでいる人たちもいるけど、確かに子供の時しらすをかき分けて探したっけ。
最近は見ないなぁ、と思っていたら、アレルギーとかの関係で取り除いているとか!
むかしは手作業で取り除くのが大変だから混ざったままだったんだろうけど、そこまでするんだねぇ。

我が家でも買ってきたちりめん山椒は、カタクチイワシの稚魚などを塩水でゆでた後、軽く天日干ししてから、山椒の実と炊き合わせたもの。
京都発祥の料理で、京の花街、上七軒の料理人が考案したとか。
僕も京都のイメージが強かったけど、最近はいろんなところで見かけるよね。
それこそ普通にスーパーでも売っているわけだし。
京都の市街は海からわりと離れているので、流通が発達していない当時は新鮮な魚介類はなかなか食べられなかったんだよね。
ハモみたいなとにかく生命力の高い魚を運んでくるか、ある程度保存のきく状態(=干したものなど)を持ち込むか、のどちらか。
なので、干したちりめんじゃこをおいしく食べる工夫としてこの料理が生まれたんだよねぇ。