2020/07/25

うなー

例年のように、土用の丑の日に大量にウナギを見かけたのだ。
資源量が乏しくなっているはずなんだけど、専門店だけでなく、コンビニの弁当、牛丼系ファストフード店などなどでもうなぎ・・・。
よっと心配になるよね。
ウナギが好きだからこそ、サステイナブルなものとしたいのだ。

ウナギは世界の各地で食用になっていて、日本では古くは万葉集に「みなぎ」として出てくるんだそうで。
その当時から、脂ののっているウナギは勢力のつくものと考えられていたみたいだよ。
夏の土用にウナギを食べるのは江戸時代からのもので、しかも、実は油が落ちていてあまりおいしくない時期なんだよね・・・。
春先か秋が脂がのっていてよいらしいのだ。
でも、現在でも日本では圧倒的に夏に消費量が上がるんだって。

日本で食べられているのは主にニホンウナギ。
これがいわゆるウナギで、四万十川の天然物とか鹿児島の養殖物なんてのは基本的にこれ。
技術的にはやっと完全養殖(卵からふ化させてシラスウナギに成長させ、それを養殖、さらに産卵までさせる。)ができるようにはなっているんだけど、コスト的にはまだまだ。
怪しい出自のシラスウナギもあるようなんだけど、シラスウナギからの養殖の方が安いのでそっちがメインだよ。
このほか、日本にはオオウナギというのも生息していて、これは名前のとおり、大きいのだ。
食用にはなるんだけど、ニホンウナギには劣るので、メジャーには慣れないんだよね。
どうしても大型だと味も大味になるし、何より皮が固すぎることが多いのだ。

ローマ人がむかしから好んで食べていたのはヨーロッパウナギ。
向こうでは燻製にしたり、スープにしたり、ゼリー寄せ(これは英国の伝統料理)にしたりするんだよね。
スペインではシラスウナギのアヒージョもあるみたいだけど。
で、これに目をつけたのが中国。
中国でも日本食ブームでウナギが大量に消費されるようになり、もともと人件費の安い中国で養鰻・加工を行う業者も出てきたりで、ウナギ関連産業が発展したのだ。
で、希少なニホンウナギだけでなく、このヨーロッパウナギも養殖するようになっているらしいのだ。
スーパーで売っている中国産ウナギの中にはヨーロッパウナギもあるみたいだよ。

ヨーロッパウナギの方が身が柔らかい、脂がのっているなんて言われるんだけど、ほとんど素人じゃわからないみたい。
っていうか、養殖だともともと脂がのるものだから、区別つきづらいよね。
それぞれの天然物を食べくれべればわかるのかもしれないけど。
で、このヨーロッパウナギも実は絶滅に瀕していると言われていて、かなり危ういのだ。
スペインのシラスウナギのアヒージョも代替材料を使うようになってきているらしいよ。

そこで次に出てくるのがアメリカウナギ。
これは北米大陸にいるウナギで、実は米国ではあまり食べないらしいのだ。
でも、けっこう厳しい漁獲制限をしているとのこと。
これは「ロスタラータ種」と呼ばれていて、一時期養殖して日本式の食べ方をしてみる、ということも検討されたようなんだけど、けっこう風味が違うみたい。
見た目はそこまで変わらないんだけどね。
生息域が違うと食性も変わってくるから、そういうのの影響なのか。

で、現在最も注目を集めているのが、東南アジアに生息するウナギ。
「ビカラ種」というもので、インドネシアでは日系商社が養殖も開始しているようなのだ。
ニホンウナギに比べて頭が大きく、体長が短い、つまり、ずんぐりむっくりなんだけど、風味は蒲焼きにしてしまうと素人には区別できないくらいなんだとか。
こちらも資源量は豊富というわけでもないし、土地柄、なかなか厳しい漁獲量管理などはできないんだけど、シラスウナギの値段はニホンウナギの1/10!
今はまだ養殖技術が未熟で、成体に成長させるのが難しいので、最終的なウナギの値段はニホンウナギの1/3~半額くらいのようだよ。
養殖技術が成熟すれば、もっと安く提供できるのだ。
その前に、資源管理手法をしっかり確立することが先決だけどね。

こうして、日本人はウナギを求めて世界中に手を伸ばしているのだ。
ウナギ風味のかまぼこを作ったり、ウナギに近い風味のナマズを養殖したりと代替食品の開発も進んでいるんだけど、やっぱりウナギが食べたいんだろうね。
なんにせよ、サステイナブルにウナギを後世に残していくことが大事なのだ。
はるかむかしにはウナギというおいしい魚がいたらしい、なんて歴史の教科書に書かれるのはいやだよね。

2020/07/18

有料になりますが、よろしいですか?

いよいよレジ袋の有料化が始まったのだ。
っていうか、すでにスーパーでレジ袋は有料だったり、レジ袋不要の場合はポイント上乗せだったりと、任意の取組は行われていたんだよね。
でも、今回は法律上の制度というところが大きく異なるのだ。
もともとは、海洋のプラスチック問題が世界的な問題になっている中、オリパラに向けて環境対策をしっかりしてます、と政府としてアピールするため、と言われているよね。
で、レジ袋は実は氷山の一角どころか、小手先注の小手先のことなので、政府が旗を振ってやるような話か、という批判も出ているのだ。
欧米ではコロナの影響で感染を広めかねないエコバッグを使わせないよう、レジ袋が暫定的に無料化されているみたいだし。
どこまでこれが環境問題に貢献するのかはなんとも言えないけど、ひとつの「姿勢の問題」ではあると思うのだ。

で、今回ネット上で大きく批判されている大きな要因は、コンビニの対応だと思うんだよね。
スーパーなんかではもともと有料化されているところが多かったわけで、コンビニでもっとも大きな影響が出るのだ。
さらに、実は有料化対象のレジ袋という概念があって、一定の基準を満たすものは引き続き無料にしてもよいのだ。
ファストフード系はそれを利用して無料を継続しているから、それもあってコンビニに批判が集まるんだよね。
しかも、大手コンビニはみんな実はその無料基準を満たす袋に切り替えているらしいし・・・。
やっぱり弁当やホットスナックなんかを買うコンビニだと、エコバッグを使うのには抵抗が出るんだろうね。

で、その無料にしていい基準だけど、ひとつは、厚手のもので繰り返し使えるものであること、というもの。
つまり、実質上のエコバッグみたいなものというわけだよね。
それから、海洋生分解性プラスチック100%のもの。
海のプラスチックがもんだいになっていたわけで、これもさもありなん。
最後は、バイオマス素材の配合率が25%以上のもの。
基本的に無料でやっているところはこのタイプの袋を使って居るみたいだよ。
コンビニは有料だけど、このタイプのようなのだ。


まず、生分解性プラスチックだけど、これはわりと歴史のあるもので、大きく注目されたのは、長野の冬季五輪のとき。
会場で提供される飲食物に使う食器に生分解性プラスチックであるポリ乳酸が使われていたのだ。
生ゴミと一緒に捨てるとバクテリアが分解してくれるんだよね。
一方で、このポリ乳酸のような伝統的な生分解性プラスチックは海洋では必ずしも分解されないんだって、。
もともとぬれに強い(=撥水性がある)、腐食しづらい、というのがプラスチックの最大の利点なわけで、生分解性歩浦須チックといえども、そのまま放置するだけで分解されるようでは使い物にならないのだ。
なので、生分解性プラスチックと呼ばれるものでも、土壌中に埋める、他の生ゴミと一緒に捨てるなど、もともと分解してくれるバクテリアが繁殖している環境中に置かないと分解されないわけ。
で、海洋というのはその環境ではないんだよね。

そこで、現在は海洋環境中で分解されやすいプラスチックの開発が進められているそうだよ。
実は、漁具(ブイ、漁網など)が海洋プラスチックの大きな割合を占めるようなので、こういうものが時間をかけてゆっくり分解されるような海洋生分解性プラスチックに置き換われば、かなり状況は改善するんだよね。
どのみち耐用年数はあるものなので、コスト的に見合えば使われると思うのだ。
それと、レジ袋以上に問題なのはペットボトルのようなので、代替する容れ物も必要なんだろうなぁ。
ペットボトルは非常に便利なのだけど。

バイオマス素材配合のプラスチックというのは、原材料が違うというだけで、ものとしてはこれまで使われていた一般的なポリエチレンのレジ袋と同じもの。
石油系材料ではなく、カーボン・ニュートラル(=炭酸ガスの増減に影響を与えない)な材料を使うというだけだよ。
なので、無料になっているレジ袋も基本的にはこれまでのレジ袋と何ら変わるものではないのだ。
おそらく製造コストがちょっと高いだけ。
一方で、さっき出てきたポリ乳酸のようなバイオマス由来の生分解性プラスチックを使って、バイオマス材料使用+生分解性ありというレジ袋も作ろうと思えば作れるのだ’(例えば、生ゴミを発酵させると、乳酸ができて、その乳酸を化学的に重合させると生分解性プラスチックのポリ乳酸が作れるのだ。)。
これはかなり高価になるので、なんらかの認証制度と組み合わせて環境意識高い系の人々に積極的に買ってもらうようにするような戦略がないと実用性はなさそうだけど。
ま、民間企業にとってはこれは大きな話なんだろうけど。

2020/07/11

マメの底力

遅ればせながら、家で豆苗の再生を試みているのだ。
といっても、水につけておくだけの水耕栽培なので、ほとんど手はかからないのだけど。
そんなわずかの手間で、あれよあれよと芽が伸びてくるのでびっくりしているよ。
すごい生命力だよね。
テレビなんかでたびたび再生できるというのを見てやってみたくなったのだ。

この豆苗、名前のとおり、マメから出た新芽(スプラウト)を食べるもの。
マメ由来のスプラウトと言えばもやしも同じだけど、灯明の場合は光を当てて育てるので、鮮やかな緑なのだ。
ちなみに、豆苗はエンドウマメ、もやしはリョクトウやダイズを使うよ。
スプラウトとしてはカイワレダイコンがメジャーだったんだけど、ちょっと辛いんだよね。
で、エンドウマメのスプラウトの場合、ほのかなマメの香りと甘み、しゃきしゃきとした食感、アクのなさなどで、そのままでも食べられるし、さっとゆでるだけ、炒めるだけでも食べられるので、広がってきているそうなのだ。
そして、極めつけは、再収穫。
もともと豆苗は水耕栽培により植物工場で栽培されていて(畑じゃない!)、マメ本体と根と脇芽さえ残っていれば、そこから新しいスプラウトができてまた食べられるのだ♪
脇芽というのは、豆本体のすぐ上くらいにある芽の部分だよ。

もともとは中国の高級食材で、栽培しているエンドウの「若菜」をわざわざ摘み取ったものなんだって。
これはとても手間がかかるので上流階級のヒトの食べ物だったんだよね。
ところが、米国でブロッコリーのスプラウトがブームになった頃、エンドウマメのスプラウトも同様に作れることがわかり、そこで豆苗の植物工場による水耕栽培が始まったのだ。
20世紀の終わりくらいから市場に出始め、中華料理の炒め物などで食べられるようになるんだ。
リーマン・ショック行こう、節約志向が高まると、再生できるというメリットで家庭にも普及。
生でも、ゆでても、炒めても、という使い勝手の良さで一気に普及したらしいのだ。
もともとエンドウマメはいろんな食べ方をしていて、日本では伝統的に成熟・乾燥させた豆を煮豆(うぐいす豆)などに加工していたし、西洋では熟し切る前の豆をグリーンピースとして食べるのだ。
このほか、未成熟のままさやごと食べるサヤエンドウ、まめができたところでさやごと食べるスナップエンドウもあるよ。
そして、この豆苗なのだ。
エンドウマメは重要な栽培種なんだよね。

スプラウト系の大手の村上農園によれば、豆苗の再生の場合、毎日水を取り替えるとよいんだって。
これは雑菌などの繁殖を防ぐためだとか。
肥料を上げた方が育ちはいいけど、余計なもが生えたりもするので、栄養はマメ本体に完全に依存して、水だけあげるのがよいそうなのだ。
そして、直射日光ではなく、室内で割と日当たりのよいところに置くのがベストらしいよ。
直射日光かだと育ちがまばらになって、すぐ育ちすぎで堅くなるみたい。
そして、マメ本体は水につからないようにするのも大事みたい。
1回の再生は確実で、2回目もまあまあいけるんだけど、さすがに3回目以降はきついみたい。
ま、1回でも再生できれば得した気分だよね(笑)

2020/07/04

ゆれてゆられて

ボクも小さい頃はけっこう乗り物酔いしたんだよね。
長距離のバス移動なんかはきついし、船もよく揺れるようなやつはダメ。
なので、よく乗り物酔いの薬のお世話になったのだ。
正直、聞いているかどうかはあやしいのだけど(笑)
気休めくらいにはなっていたのだ。
まさにプラシーボ効果だね。

この乗り物酔い、実は今もってどういうメカニズムで発生しているかよくわかっていないんだって。
っていうか、「乗り物酔い」っていうのをどう定義するかの問題もあるんだよね。
バランス感覚を司っている三半規管に影響が出て諸症状が起こっているのは確かなんだけど、その症状は、頭が重くなる、気持ち悪くなって場合によっておう吐する、冷や汗が出る、血の気が引くなどなど。
どういうメカニズムでそういう症状が出てくるかの詳細はわからないのだ。

本音を言えば、死ぬような症状ではなく、不快だ、というだけなので、医学者がしのぎを削って突き詰めていく、ということがなかったんだよね。
でも、この不快感をなんとかしてほしい、というニーズはあるので、酔い止めの薬というのは存在しているのだ。
ところが、この酔い止めの薬の開発が大変だったんだ。
というのも、小型実験動物としてよく使われているネズミやウサギは乗り物酔いをしないのだ!
ひょっとしているとしているのかもしれないけど、外から見ただけでは撚っているかどうか判断できないのだ。

人間と同じように乗り物酔いするのは、イヌ、ネコ、サルなどの大型の動物ばかり。
これらの動物は乗り物酔いをすると「吐く」んだよね。
なので、撚っているかどうかが明らかなのだ。
でも、実験動物としては大きいし、何より1匹1匹が高い!
そこで、小型の実験動物が求められていたのだ。
そこで目をつけられたのが、ジャコウネズミ。
ネズミと言ってもむしろモグラの仲間でげっ歯類ではないのだ。
なので、実験動物そしては「スンクス」と呼ばれることが多いよ。
ちなみに、このスンクスを実験動物の傾倒して確立したのは日本なのだ。

スンクスはネズミくらいの大きさで、揺れる台の上に固定して適宜揺らすと乗り物酔いをして、吐くんだよね。
なので、薬を投与してその様子を観察すると、吐き気が抑えられたかどうかがわかるのだ。
こうしていろんな薬が試されていって、今では確立した酔い止めの薬というのが存在しているのだ。
なんで聞くのかわからないものもあるのだけど。

その中で、比較的作用がわかっているのが、抗ヒスタミン剤。
風邪薬や花粉症の薬に入っているもので、眠気をもたらす副作用もあるよ。
この副作用は中枢神経系に対して鎮静作用を持っているからなんだけど、どうもこれが他にも聞いているのだ。
実は、吐き気についてはわりとよくわかっていて、脳の中にあるCTZ(化学受容トリガー領域)という部分があって、そこが刺激されるとおう吐反応が起こるのだ。
なので、そこを抑制すると吐き気が止まるわけ。
まさに抗ヒスタミン剤はここに作用することが知られているよ。
ただし、実は問題があって、ここに薬を作用させると吐き気は止まるんだけど、気持ち悪さ(悪心)までが解消されるわけではないらしいのだ。
つまり、ここだけをターゲットにして薬を作っても、「気持ち悪いんだけどはけない」という最悪な状況をもたらしかねないのだ。
なので、実験動物で調べた後、ヒトがどのように感じるかを詳細に調べる必要があるんだよね。
こういう「気持ち悪さ」みたいなのは数値化もしづらいので、けっこう大変なんだと思うよ。
でも、酔い止めというのは、臨床現場で使われるようなくすりではないし、ある程度プラシーボ効果も見込まれるもので、そこまで厳密でなくてもなんとかなっているんだよね。
とはいえ、つわりの軽減や抗がん剤の副作用である悪心・おう吐への対応という他の用途もあるので、さらに研究は進められているみたい。

この乗り物酔いという状態には、加速度の時間変化である躍度又は加加速度が関係していると言われているお。
距離の時間変化(時間による微分)が速度、速度の時間変化hが加速度で、加速度がどのように時間変化をするか、というもの。
このままだとイメージしづらいし、直線運動だと理解しづらいんだよね。
ある点を中心にそのまわりをぐるぐる回る等速円運動を考えると比較的イメージしやすいのだ。
等速円運動をしているとき、その物体は円の中心方向に引っ張られるように力がかかっていて、進行方向から見て円の中心方向に90°ずれた方向に加速度がかかっているのだ。
この加速度が一定だと同じ速度で円を描くんだけど、この加速度がぶれると、その円がぐちゃぐちゃになるのだ。
まさにカーブを曲がるときにきれいになめらかな曲線を描いて曲がるのではなく、ふらふら揺れながら曲がる感じ。
そういう動きを思い浮かべると、確かに乗り物酔いしそうだよね。
それと、加速度の時間変化というのは、来るまで言えばアクセルやブレーキのきかせ方ということなのだ。
アクセル踏みっぱなしでどんどん速度を上げている時は快適だけど、頻繁にアクセルの踏み込み具合を変えたり、ブレーキをちょこちょこ踏んでみたりすると車の動きがぎこちなくなるよね。
下手な運転で車酔いしやすいのはこういうところに原因があるみたい。