2020/12/26

際立つ塩辛さ

 かつて、お正月用品として、新巻鮭をよく見かけたのだ。
お歳暮の定番でもあったよね。
大家族でもない限りは、もらっても量が多く得消費に困るのだけど・・・。
最近は減塩ブームもあって失敗ものをあまり食べなくなったこともあり、見かけないよね。
お正月にサケを食べる場合も、スモークサーモンとかマリネとかになっているのだ(>_<)
でも、実はお正月に新巻鮭を食べ始めたのは江戸後期で、全国的に流通するようになったのは明治になってから。
平安時代からモノは存在していたようだけど、あくまでも地域の名産品という位置づけだったみたい。
江戸時代も、コンブと並んでアイヌとの貴重な交易品の一つだったみたいだよ。

もともと日本、といっても北海道で漁獲され知多のはシロザケ。
昔は河口付近でとるか、川に遡上してきたのをとったようなのだ。
産卵のために遡上を開始してしまうと、かなり脂が落ちてしまうし、栄養も生殖器(白子と卵)にいってしまって身の味が落ちるので、海でとれたモノが珍重されたようなのだ。
それでも、河口付近に来ているモノはすでに産卵期に入っているので、脂は落ち始めているんだけどね。
現在のようなたっぷりと脂ののったサケは遠洋漁業でとれた、覆う間¥ナバラを事由に回遊しているものか、洋食ででっぷりしているものだよ。
ボクが子供の頃食べていたサケって塩がきつい塩鮭で、そこまで脂がのっていないイメージだったけど、その頃は養殖物なんて出回っていないから、沿岸でとれたのがメインだったんだろうな。

新巻鮭の作り方はわりとシンプルで、えらと内臓を除いてきれいにした後、重量ベースで15%位の量の塩を丁寧にすり込んで数日塩漬けにするのだ。
ほどよいところで真水にさらして塩抜きをし、そこから干して乾燥させればできあがり。
塩抜き工程は入るけど、身の塩分濃度はかなり高く、しょっぱいのだ。
もともとは腐りやすい内臓を外して塩漬け+乾燥で保存食にしていたものだから当たり前なんだけど。
さらに迎え塩をして水で塩抜きしてから食べる場合もあるけど(ちゃんちゃん焼きや三平汁など)、多くはそのまま切り身にして焼いて食べるんだよね。
基本的にかつての日本の食文化は、しょっぱいおかずでたくさんごはんを食べる、というものだったので、塩のきいた鮭はよいおかずだったのだ。

実は、新巻鮭よりさらに塩辛いのがあるんだよね。
それが、新潟の塩引き鮭。
基本的に製法は同じなんだけど、すり込む塩の量が違うのだ!
もっと大量に塩をするんだって。
北海道は亜寒帯で1年を通じて湿度はそこまで高くないけど、豪雪地帯とはいえ温帯に属する新潟はそこそこ湿度勝手腐敗しやすいし、カビも生えやすいので、より塩をきつくしているのかもね。
これもそのまま焼いて食べていたみたいだけど、これはすごいごはんが進みそうだ・・・。

ちなみに、いわゆるスーパーで売っている塩鮭は、「定塩鮭」といわれるもののようで、新巻鮭よりさらに塩分が弱めのもの。
それなのに、今ではさらに減塩になったものがあるんだよね。
ムニエルなどの西洋料理に使えるように塩をきかせていない切り身もあるのだ。
これらは流通が発達したからできるもので、もともと鮭は脂がのっている魚でそのままだと日持ちしないので塩蔵していたわけで、技術の進歩でできるようになったものなのだ。
そこまでの技術がない時代は沿岸地域でのみ食べられるものなんだよね。
その点、塩鮭は昔でも山間部まで運搬できる貴重な魚だったのだ。

ボクが子供の時に食べていたイメージだと、新巻鮭ってしょっぱくて、ぱさぱさしていて、あんまりおいしくないな、というものだったんだよね。
これはお値段のせいかもしれないけど、一般に、塩鮭は保存食なので、脂がそこまでのっていない酒を使っていたようなのだ。
冷凍後に回答したものを食べるサーモンの刺身やスモークサーモンは、たっぷり脂がのったもなので趣が異なるわけ。
それでも、塩鮭にも当然のことながらグレードがあって、川に入ってきてしまったものは加工でとれたものより劣る、メスは卵に栄養をとられる分オスより劣る、ということみたい。
つmり、一番安いやつだと、すでに川を遡上してきたメスの卵(=筋子)をとった後のものを加工していることになるのだ。
そりゃあ、脂なんかのっていないし、身にうまみも少ないだろうなぁ。

お節料理はもともと。正月の間に炊事をせずにすむように日持ちのする料理を集めたものだけど、日持ちがして、切り身にして焼けば食べられる荒巻鮭は重要な食べ物だったわけだよね。
少量がごはんが進むし(笑)
今では正月三が日でも買い物に行けるのであんまりその重要性が認識できないけど。
でも、なんだかたまには、あのめちゃくちゃしょっぱい塩鮭も食べてみたい気もする。
焼くと塩の結晶が浮いてくるくらいのやつ。

2020/12/19

羽化登仙

日本でもかなりベジタリアン対応の食品が増えてきているよね。
欧米セレブの間ではやると一足遅れてはやることが多いけど、宗教上の理由も含めてベジタリアン食を求める海外の人は多いので、インバウンド増を狙うというところもあるんだろうな。
本来であればオリンピックもやっていたわけだし。
和食の場合、精進料理があるので、ベジタリアンに優しいと思われがちだけど、一般の和食については、多くの場合、鰹だしが使われるので、アウトなのだ。
なので、かなり本格的な精進料理でないとベジタリアン対応じゃなかったんだよね。
今では、本来的には豚や鶏、魚の出しをスープに使うラーメンまでベジタリアン対応のものがあるから、かなり進んだ感があるよ。
ボク自身は何でも食べる方だけど、食は基本だから、いろんなものを選んで食べられるのはそれはそれでよいことだよね。
他人に思想的背景も含めて押しつけてくる人たちは苦手だけど。

一般にベジタリアンの中でも特に厳格なのがヴィーガンと呼ばれているけど、実は、それをさらに越える存在があるんだよね。
植物にも生命がある!、だからベジタリアンは自己欺瞞、なんて批判をする人もいるけど、これに対応している人がいるのだ。
それが「不食」の人たち。
呼吸を通じて宇宙エネルギー(?)を取り込むなんて語っている(騙っている?)有名人もいて、自分たちを「ブレサリアン」と呼んでいるよ。
あくまでも本人談だけど、一切の飲食物を口にしないで生活しているんだそうな・・・。
これって、中国の仙人が霞を食べて生きている、というのと同じにおいが。

一部の人たちは「ほとんど食べない」というだけで、少量の野菜スープなどを摂取しているんだって。
それならまだわかる。
健康のために一度体をリセットするとか言って「断食合宿」なるものが国内でも開催されているけど、そこでも水は飲むし、具のないうっすい味噌汁は提供されたりするんだよね。
完全に飲まず食わずだと急激に衰弱するから。
事前に十分蓄え(=脂肪)があって、あまり代謝を上げないようにじっとしているのであれば、入ってくる量が少なくてもなんとかなるのだ。
海や山で遭難した人が数週間水だけでなんとか生き延びた、みたいな例は昔からあるしね。
俳優の榎木孝明さんも「不食」を実践したことで有名だけど、きちんと水分はとっていたようなのだ。

ところが、世界には、一切の水もとらずに、特殊な呼吸でまわりのエネルギーを取り込むことで意起きていられる、と主張する人がいるのだ(>_<)
何の刃だ?
霞を食べると言われる仙人も、元気玉のようにまわりのエネルギーを体内に取り入れる、ということらしいんだけど、実は、仙人は、薬膳や生薬にも通じていて、必ずしも食事をとらないわけではないのだ。
そもそも不老不死を実現するために金丹薬を作ったり、火を通さないもの(ナッツやドライフルーツなど)を食べるなんて話もあるから。
インドのヨガ行者にも、一切の飲食をせず、また、一切の排泄もせず数十年ヨガの呼吸だけで生きている、なんてがりがりのおじいさんがいたけど、その人は隠れて食べていることが後で判明したりしているのだ。
っていうか、腸管の上皮細胞は毎日はがれて新陳代謝するので、便として排出されないとおかしいんだよね。
それが腸管内の細菌に完全に分解され、腸から吸収されるというなら別だけど。
どうも虚構のにおいしかしないのだ。

水分はもっと重要で、仮にまったく尿を排出しなかったとしても、体表面から常に水分は蒸発していっているし、呼気の中にも水蒸気は含まれるので、その分は最低限補わないとひからびていくはずなのだ。
外から水分を足さなければ、干物を作っているのと同じだからね。
さすがに空気中の微量な水蒸気を体に取り込むだけでは無理だよ。
それだけ空気中に水分があるなら洗濯物は乾かないことになるし、仮にそれができるメカニズムがあるなら、世界的な飲料水不足の問題が一気に解決するよね。
光合成できるナメック星人だって水は必要だよ。

というわけで、このブレサリアンに関する書籍なんかも販売されていて、日本人で実践している人は各地で講演もしたりしているのだけど、「眉唾」としか思えないのだ。
少なくとも、一般に認められている科学知識ではどうしても説明できない世界がそこにあるんだよね。
現代科学が万能なわけではないけど、エネルギー保存則を超えているので、量子化学のさらに先にあるもの、ということになってしまうよ・・・。
こういう人たちはさすがに他人にまでブレサリアンの生活を勧めるわけではないからいいんだけどね
(笑)

2020/12/12

冬に到来

来週は、寒波が来るらしいのだ。
東京でも最高気温が10度くらいで、かなり冷え込むとか・・・。
さすがに12月も中盤に入るし、冬本番か。
ただでさえ寒くなってきているのに、さらに冷えるんだよねぇ。

この寒波の正体は、極圏にある非常に冷たい空気の塊(北極気団)が膨らんで中緯度地域まで下がってくる現象。
この北極回りの冷たい気団はもともと膨らんだり、縮んだりしていて、それが寒気の南下、北上という現象になっているのだ。
もともと地球上の空気は均一に混ざることはなく、いくつかの大きな空気の塊に分かれていて、それぞれの塊の中で対流が起こっているんだよね。
で、空気の塊(=気団)の境界のところに、湿度の違いや気圧の違いで様々な気象現象が発生するのだ、。
有名なものでは、寒気団と暖気団の間に発生する前線。
多くの場合、暖気団は赤道付近で暖められた空気なので湿っていて、それが北から来る乾いた寒気団と出会うのだけど、空気は温度が高いほど密度が低い=気圧が低くなるので、寒気団から暖気団の方に風が吹くんだよね。
そうすると、湿った暖気団が寒気団からの風に冷やされて、雨が降るのだ。
露なんて現象はこれが季節的に大きな規模で日本上空で起こっているわけ。

で、この寒波の場合は、北極回りの非常に冷たい気団が、中緯度地域の冷たい気団とセ氏いているところで起きるんだよね。
北極気団の周りには寒帯ジェット気流というのが流れていて、そこが中緯度地域の気団との境界になっているんだけど、双方の気団の気圧差が小さくなると、このジェット気流が弱まって、北極気団が広がりやすくなるのだ。
この気圧差は、数週間~数十年レベルの様々な周期で変動することが知られていて、その周期がいろんな気象現象を起こすことになるんだ。
冬に寒波が到来するのも、冬のこの時期に気圧差が想定的に小さくなって、北極木だが膨らんで中緯度地域まで降りてくる(=なんかしてくる)から。
で、毎年のパターンもあるのだけど、もっと長期的なパターンもあって、特に気圧差が小さくなるようなときは、大きな損害をもたらす大寒波になるのだ・・・。

現象としては冷たい空気が来るだけなんだけど、それで気温が下がると、大雪や地面の凍結につながったり、時に強風が吹くこともあるのだ。
大きなブリザードになったりもするよ。
普段から雪の多い地域はさらに積雪が増えてそれはそれで大変なんだけど、寒波が到来すると、普段あまり雪gは降らない地域で積雪するから大変なのだ、。
東京なんかはちょっと積雪下だけで交通が麻痺するよね(>_<)
九州などの普段雪が全く降らない地域はたまに降ると売れr恣意かもしれないけど、東京や大阪など、毎年それなりに降るけど数cmレベルの積雪しかないようなところで、10cmを超えるような積雪があって、さらにその後路面凍結とかが起こると大変なことになるのだ。
このあたりは、大きな気団の動きなどの地球規模の気象観測であらかた予想はできるんだよね。
どれくらいの規模の風谷行き化まで詳細はわからないけど、寒波の到来はわかるので、備えましょう、というアラートは発することができるわけ。

ボクが気になっているのは、最近はあまり「平年並み」の気候が少なくなってきている、ということ。
これが地球温暖化の影響かどうかはよくわからないけど、確かに極域での平均気温は上がっているので、北極気団の形成にはなんらかの変化が起きているはずなのだ。
そうすると、その北極気団のなんかによる寒波の到来も何か変わってしかるべし。
それがひどくなる方向なのか、緩くなる方向なのかわからないけど。
気象で言う「平年値」は、過去30年間の平均なので、将来はその「平年並み」というもの自体が代わっていくことになるんだよね。
遠い未来の世代には当時は損寒波なんて現象があったのか、ということになっているのかも。

2020/12/05

冬の間はまるくなる

いよいよ冬になってきたのだ、。
毎日寒い。
こうなってくると、おふとんやこたつから出られなくなる・・・。
ぬくもりがこいしいよね。
そんなときに考えてしまうのが、冬眠できたらいいのになぁ、ということ。
寝て起きたらあたたかい春になっているなんて最高だよね(笑)
でもでも、実際の冬眠はそんな簡単なものじゃなさそう。

いわゆる「冬眠」は、温帯地域や亜寒帯地域にいる補m乳類や鳥類が、気温が下がってえさが少なる冬の間に活動量を下げて代謝を抑え、眠ったように過ごす状態のこと。
基本的には恒温動物の話で、本来的には体温を維持するためにけっこうなエネルギーを使わなくちゃいけないところ、ある程度寒さがしのげる場所で低体温ですごすのだ。
昆虫や両生類、は虫類なんかも冬の間はじっと土の中でじっとしていて、広義では冬眠と呼ばれるのだけど、こちらは「越冬」と呼ぶのだそうだよ。
変温動物の場合、もともと気温が下がれば自動的に活動量が下がるので、動けなくなってしまうのだ。
ペットのトカゲはヒーターが切れるとえさを昇華できなくなって死んでしまうこともあるよね。
でも、越冬の場合は、この状態を逆手にとって、えさが少ない時期には、わざと気温の低いところに行ってさらにエネルギー消費量を下げ、じっとしてしるのだ。
変温動物の場合は、気温が零下になっても生き残れるように細胞質中の水分が凍らないようになっている種もあって、こういうのはむしろ寒い間は「仮死状態」になっているんだよね。
で、あたたかくなると復活するわけ。

ほ乳類の場合はクマの冬眠が有名だけど、実はクマは少し特殊なのだ。
冬眠するほ乳類のほとんどは小型のもので、モグラ、ネズミ、リス、コウモリなどなど。
これらは、10度以上も体温を下げてじっとしているみたい。
リスなんかは、秋のうちにあらかじめえさをためておいて、時々覚醒してはえさを食べ、排泄し、また冬眠に入る、という夢のような引きこもり生活をするのだ!
冬眠状態では、体温が下がるだけじゃなくて心拍数もかなり低下していて、人間だったらとっくに気絶しているくらいのバイタルの数値になっているんだそうだよ。
それでもなぜか平気でいられるというのがみそで、これを研究して、人間も冬眠できないか、ということを本気で考えている研究者もいるみたい。

クマの場合は、秋までの間に体にたっぷりと脂肪をつけておいて、冬眠中は覚醒せず、排泄もしないんだって。
春になったらとてもかたくなった、栓のような状態になっているふんをするんだそうだよ。
そして、最近の研究でわかったことなんだけど、アメリカのクロクマの場合は、実は体温もさほど下がっておらず、5~6度くらいしか低下していないんだって。
心拍数はきっちりと抑えているらしいんだけど。
なぜその状態で冬眠できるのかのメカニズムはよくわかっていないみたい。
聖闘士星矢に出てくる老師・童虎のような状態なんだろうか?

そして、クマの場合、妊娠中のメスは冬眠中に出産までするんだって!
さらに、冬眠しながら小熊に授乳もするそうなのだ。
多くのほ乳類は、子供を出産して授乳すると多くのエネルギーを使うので、その分たくだん食べる、ということになるんだけど、絶食中に子供にエネルギーを分け与えるっていうのがすごいよね。
それだけため込めるということでもあるのだけど。

人間の場合も寒い冬はため込んだエネルギーを切り崩しながらずっと寝ていられるとよいんだけどなぁ。
そうしたら、秋においしいものを食べ過ぎても、冬の間にダイエットになって、春にはやせているし(笑)
実はいいことずくめだ。
早く人間の冬眠研究が実を結んでほしい。

2020/11/28

しもしも

まもなく11月も終わるのだ。
今年も押し迫ってきた!
11月の別名は霜月だけど、これは霜が降り始める時期、というところから来ているんだよね。
実施には旧暦なのでまさにこれからの季節が「霜月」なのだ。
日本でも初霜は代替このくらいの時期だよね。

この「霜」というのは、空気中の水蒸気が昇華して物体の表面に細かな氷がつく現象のこと。
夏なんかの高温多湿の時期に冷たいものの表面に「結露」で水滴がつくことがあるけど、もっと冷たいと水蒸気がいきなり氷になって「霜」になるのだ。
冬の場合、風も穏やかで放射冷却で地表面がどんどん温度が下がっていくので、最低気温が5度を下回るくらいだと、地表面では零度くらいの温度になって、霜が降りることになるのだ。
ちないに、春先になると空気中の水分が凝結して舞台の表面に水滴が付着するけど、こちらは「朝露」なのだ。
これになると冬が終わるのだなぁ、と思うよね。

どちらにしても、大事なのはその場の空気が湿っているかどうか。
そもそも空気中に水蒸気が含まれていなければ霜も露も降りることはないのだ。
大陸の内陸部の砂漠地帯なんか、夜間には氷点下になることもあるわけだけど、そういうところではそもそも空気が乾燥しているから霜が降りることはないんだよね。
砂漠に住むトカゲの仲間の中には、わずかに空気中に存在する水蒸気が目の表面で結露したのをなめて水分補給をする種もいるようだけど、この水分ごく微量なので、霜という現象で観測されることはまずないと思うよ。

下が土壌でそこに十分な水分があって、そのために地表面近くの空気が湿っていて、それでなおかつ冷え込む、ということが重要なのだ。
なので、風物詩でもある初霜というのは対外は植物の葉に微細な氷の粒が就いているのを発見して冬を感じる、というものなのだ。
最近では車のフロントガラスなんかの方がよく見かけるけどね(笑)
空気中の水蒸気が昇華して氷の粒になるのが大規模に起こると、ダイヤモンドダスト(氷霧)になるのだ。
日本だと北海道の内陸部なんかで時折観測されるよね。

これと似ているようで違うのが「霜柱」。
霜柱も放射冷却による冬の冷え込みの結果として発生するんだけど、こちらは徐々に土壌中の水分が凍結していって起こる現象。
まず最初に地表面の土が凍り、そこに土壌中の水分が毛細管現象で吸い上げられていくと、そこで水も凍ってしまうんだよね。
でも、下から水分はちょっとずつ吸い上げられるので、地表面付近で氷が細長く成長していくのだ。
これが霜柱の正体。

こちらは氷の結晶が成長していく過程で周りの土を持ち上げるので、あの、踏むと楽しいふわふわの状態ができるんだよ。
逆に、土の部分が柔らかくないと、氷の結晶が上方向には成長できないので、単に地表面近くで水分が平面上に凍りながら広がっていくことになるのだ。
霜柱の発生の重要な条件は、土壌中の水分、十分な冷え込み、そして、土の軟らかさ、なんだよね。
しもばしらについても、地表面近くで水分が凍る必要があるので、地表面温度が冷夏であることが必要。
おそらく土壌中に微細な氷の粒はできるのだけど、霜柱として認識されるためにはけっこう成長しないとわからないので、霜よりは冷え込みの条件は厳しいのだ。

2020/11/21

発酵豆は世界を渡る

よく、納豆は日本独自の食品、みたいなことを言われるよね。
実際にボクもそう思っていたのだ。
韓国には、ひきわり納豆に似た「チョングッチャン」というのがあるのは知っていたんだけど(ドラマ「孤独のグルメ」でたまたま見た。)、それも戦前に持ち込まれたものが韓国で独自の発展をしたのだと思っていたんだよね。
でもでも、どうもそうではないらしいのだ。
ダイズなどの豆を発酵させた食品はもっとグローバルで、アジアを越えてアフリカまで広がっているらしい!
っていうか、欧米以外にはあるようなのだ。

豆を発酵させたものの最も古い記録は中国のもの。
今でも中華食材として使われている「豆豉(とうち)」だよ。
刻んだものが麻婆豆腐の味付けに使われたりするよね。
黒いつぶつぶのやつ。
あれは、乾燥黒大豆を戻したものに塩と麹を加えて発酵させ、さらにそれを天日干しした保存食品なのだ。
そのままポリポリかじってもいいし、刻んで調味料のように使ってもいいしい、というもの。

これは古い時代に仏教徒とも似日本にも伝わっていて、それが本来の「納豆」だったようなのだ。
今で言う「寺納豆」や「塩辛納豆」という糸を引かない方。
おそらく、鑑真和上が壊れてやってきたくらいのタイミングで伝わってきたもの。
ところが、どうも室町時代くらいの今のいわゆる納豆、糸引き納豆が出てきて普及した結果、「納豆」という名前をとられ、いったん忘れられてしまうようなのだ・・・。
その後、もう一度中国から留学僧たちが持ち帰り、また寺院を中心に作られるようになり、「寺納豆」と呼ばれるようになったのだ。
すでに「納豆」の名を取られていたので「寺納豆」という名称が改めてつけられたのはこのため。

この豆豉とか寺納豆は、塩蔵の上で麹で発酵させたもの。
なので、原料的には味噌や醤油に同じなのだ。
中国では、肉や魚、穀物などを塩に漬け、麹で発酵させた保存食をよく作っていて、それがペースト状になったものを「醤(ひしお)」と呼んでいたのだ。
豆を原料にした醤醢が味噌・醤油の源流。
豆豉を作る途中で、乾燥させずに豆をつぶせば味噌になるのだ。
そして、味噌を造っている途中に出てくる液性成分だけ集めると「たまり」。
この液性成分だけを効率よく作るようにすると醤油になるんだよね。

で、おおもとの中国のものは麹で発酵させるんだけど、どうも東南アジアやアフリカまで広がっている「納豆的な食品」は、日本の納豆と同じく、枯草菌の仲間で発酵させたものみたい。
ご存じのとおり、納豆は納豆菌で発酵させるわけだけど、納豆菌は常在菌で、もともとそこら中に付着しているもの。
他の雑菌との違いは、芽胞を形成しているときは熱に強く、一度煮沸したくらいでは死滅しないこと。
なので、蒸し大豆を稲わらで包むと納豆ができるのだ。
まだ豆が熱いうちに包むので、周りの雑菌は死滅し、生き残った納豆だけが後で増えるわけ。
これと同じようなことを東南アジアでもやっているみたいで、東南アジアの場合は、バナナの葉など、そこら辺の大きな葉っぱで包むみたい。
菌の違いがあるからか、日本の納豆ほどは粘つかないものが多く、乾燥させるものもあるみたい。
発酵の過程でタンパク質が分解されてうまみ成分であるグルタミン酸が豊富に含まれるので、昆布、チーズ、トマトなどに含まれるうまみ成分がたっぷりとあるんだよね。
なので、調味料的に使われることも多いみたい。

おそらく、こっちの系統の納豆はどこかが製法を編み出して、それが広がっていったというより、多くの地域で同じようなことをした結果、同じようなものができあがった、ということだと思うんだよね。
豆はかたくてゆでたり蒸したりしないと食べられず、それを何らかの形で保存しようと包んで置いておいたら発酵した、みたいな。
欧米の人にはそのねばりとにおいで嫌われることの多い納豆だけど、アジアやアフリカでは、その味が好まれ、それぞれ独自の発酵食品として親しまれてきているみたい。
これはなかなか興味深い。
アフリカの納豆ってちょっと食べてみたい。

2020/11/14

「生」の意味

すごいニュースがあったのだ。
船橋の30代男性が、スーパーで購入した「秋鮭(生)」を生食して食中毒になったというもの。
この男性曰く、「(生)」と書いてあったので、生食できると思った、らしい。
っていうか、これはどう見ても「冷凍じゃない」という意味だよね。
普通にスーパーで買い物をしたことがあればわかりそうなものだけど・・・。
でもでも、よくよくこのニュースを見てみると、ちょっと怪しい記述も。
それは、「ルイベ風に食べようと、買った切り身をしばらく冷凍庫に入れてシャリッとさせた後、調味液に浸し、一口大に切って食べた」という部分。
サーモンの刺身のようにしたわけではなく、「ルイベ」風に、というところがあやしいのだ。

ルイベとは、ご存じ北海道の名物料理で、鮭の身をいったん冷凍して「から薄切りにしたもの。
普通の刺身とは違ってしゃりしゃりとした食感があるのだ。
でも、このルイベで大事なのは冷凍の度合い。
市販されているものは、-20度いかにある業務用冷凍庫で凍らせたもの。
家庭用冷蔵庫の冷凍庫の場合、だいたい-15度くらいまでしか冷やせないので、温度が高いのだ。
すると、鮭の身の中にいるかもしれない寄生虫(アニサキス)を死滅させるには、相当長時間冷凍保存しないとダメみたい。
この人の場合、ちょっと凍らせただけなので、それでは寄生虫は死滅していないのだ!


もともとルイベは、サケ・マス類の魚を冬のさなかに屋外に釣るし、冷凍と乾燥を繰り返すことで保存食としたもの。
夜のうちに凍ったものが昼間少し融けるときに、水分が少し抜けるので、一夜干し程度の乾燥度合いになって、味が濃くなるのだ。
そして、そのとき余分な脂も落ちるので、よりさっぱり食べられるようになるそうだよ。
そういう伝統的なルイベが今も流通しているのかどうかはよくわからないけど。
凍み餅とか凍み豆腐みたいな作り方なのだ。
この場合、じっくりと長時間かけて冷凍されるので、寄生虫は死滅させられるよ。
欧米だと魚の保存食は主に燻製だけど、同じような気候の土地は北欧にもあるから、魚を生で食べたい、という意識の違いが出ていおるのかもしれないね。

鮭の場合、えさとなるオキアミにアニサキスなどの寄生虫が潜んでいるので、それを食べて寄生虫を持つに至るわけ。
鮭が生きている間は主に内臓にいるわけだけど、死んでしまうと身の方にも移ってくるんだって。
とはいえ、いくらとりたてであってもリスクはあるので、寄生虫対策はしないと危ないのだ。
同じアニサキスでも、鯖の場合は酢締めにして「シメサバ」にされるけど、実は、酢締めに使う程度の酢の濃度ではアニサキスは死滅しないので、シメサバであっても当たることはあるらしいよ・・・。
鯖は傷みやすいから酢締めにするわけだけど、新鮮な状態ですぐに酢締めにしたものでないと危険なんだって。
こうなると、バッテラ著利焼き鯖寿司の方が安全ということか(笑)

一方で、現在はノルウェー・サーモンなどの生食できるものが売られているのも事実。
普通に切り身の刺身も売っているし、寿司ネタでも好まれているよ。
でも、これは完全養殖で管理された状態で育てられたもの。
アニサキスはえさから入ってくるので、そこを気をつけているのだ。
なので、名称も「サーモン」という表記で、生食のものは「鮭」とは表記されないのだ。
この辺はリテラシーの問題なんだけど、このあたりの食品の知識はきちんと持っていないと危ないよね・・・。

ちなみに、サケマス類は、海に下って大きくなって川を遡上するものと、そのまま川にとどまるものがあるよね。
例えば、イワナとかヤマメ、サクラマスなどなど。
これら陸域でしか生息していない「陸封型」のサケマス類は、海で寄生虫を持っているえさを摂取しないので、寄生虫がいることはまれ。
でも、完全にフリーというわけじゃないみたい。
渓流で釣ったイワナはその場でおろして刺身に、なんてのもたまに見るけど、リスクはあるみたいだよ。
養殖物なら問題ないんだけどね。

2020/11/07

ファックスでもOK?

 米国大統領選が、予想どおり混乱しているのだ。
その主要な原因は、増えに増えまくった郵便投票。
一部不正の噂も出てきているけど、米国の場合は舟ごとにルールも違うので、選挙当日の消印が有効だったりしてすぐに開票できないのだ。
いつもならごく少数しかないから大きな問題にはならないのだけど、今回はコロナ禍の中で郵便投票が増えたので、当落を左右するものになってしまったんだよね。

で、実は、日本でも「郵便投票」というのは存在するようなのだ。
公職選挙法では、選挙日当日に指定された投票所で投票する以外の方法として、①期日前投票と②不在者投票の2つの制度があるんだ。
期日前投票は実は再起名始まったばかりのもので、平成15年12月から新設されたもの。
イメージ的には投票所にちょっと早く行ける、というものかな。
期日前投票所というのがもうけられて、そこに行って選挙日より前に投票できるのだけど、投票の仕方などは基本的には選挙当日の投票とほぼ同じ。
投票所で通知書と選挙人名簿を照合して投票用紙が交付され、立会人の前で投函するのだ。
この前の都知事選では人臣をさけるために利用した人が多かったみたいだね。
こちらは公職選挙法第48条の2に規定されている制度だよ。

一方、戦前から存在しているのが不在者投票制度。
こっちは公職選挙法第49条だよ。
住民票のある市区町村で投票する場合は期日前投票が利用されることが多くなったけど、長期の出張や旅行中に住民票のない市区町村で投票したい場合には使えるのだ。
何らかの理由で住民票を移していないで、現住所と住民票の住所が異なる場合、現住所のある市区町村で投票する場合にも使えるよ。
で、この不在者投票にはいろんな投票の仕方があって、その中に、極めて限定された場合に〒による投票が認められているのだ。

それは、身体障害者や戦傷病者(もはやかなり少なくなってきているだろうけど)、要介護者であって、障害の程度が重く投票所に行くことが極めて困難な場合は、あらかじめ選管に申請することで郵便による投票が認められるのだ。
そういう人が多くいる施設、例えば、病院や老人ホームの場合は、あらかじめ選管が「不在者投票指定施設」として指定することで、そこでの投票が可能になるので、郵便投票ではなくなるのだ。
在宅介護で寝たきり、みたいな場合が該当するということかな?
長期航行中の船員さんも船舶内で不在者投票ができるよ。

おそらく、米国の郵便投票もこれと同じように限定的な場合に認められていた制度だったんだろうけど、コロナ禍でその要件が緩和され、誰でも使えるようになったので増えたのだ。
ただし、郵便を介するのでタイムラグが発生する、集配・配達ミスのおそれがある、選管に届くまでに不正が行われるリスクがあるなどの問題もあるわけで。
米国の場合、けっこう信頼できるし、普通に小切手を郵便で送る習慣もあるからそこまで大きなリスクではないような気もするけど、でも、日本と比べると、ちょっと信用度は落ちるんだよね・・・。
仏国ほどじゃないにしても(笑)、やっぱり管理がずさんなところがあるから。
そこをもってトランプ大統領は「郵便投票は不正の温床」なんて言い方をしていたわけ。
極論ではあるけどね。

ちなみに、日本の不在者投票の場合、ファックスでも投票できるのだ。
それは、指定された船舶の乗組員や南極観測隊の隊員が投票する場合!
あくまでも衆議院議委員総選挙と参議院議員通常選挙に限定されるんだけど。
その際は、選管の委員長宛に「ファクシミリ装置を用いて送信する方法により」投票することができるんだって。
法律の中にこのカギ括弧の中の表現が入っているのも感慨深いけど、メールじゃダメで、あくまでもファックスなんだよね。
まだファックス文化が根強く残っている日本だけど、いずれファックスが消えた暁には、この条文も改正されるのだろうか?

2020/10/31

変わって大変

今年から年末調整のやり方が変わったのだ。
で、電子化推進で、電子ファイルに記入して出すことになったこと自体はきっと歓迎すべきなんだけど、抄紙機の変更が面倒すぎる・・・。
なんか、これまで書かなくてもよかったことを書かなくちゃいけなくて、それを調べるのが一手間。
というわけで、変わったポイントをまとめるのだ。

まず大きな変更点は、給与所得控除と基礎控除の変更。
給与所得控除は、もともと給与としての収入の額に応じて改装が分かれているのだけど、全階層について一律10万円の減。
このままだと税額算定の対象額が増えるので増税になるんだけど、その分基礎控除を増やす改正をしていて、多くの人には増税にならないようにしているのだ。
具体的には、合計所得金額が2400万円以下の場合は控除額が10万円増。
ただし、それより所得が高い一の場合は、合計所得金額が2400万円超2450万円以下の場合は控除額が6万円減。
2450万円超2500万円以下の場合はさらに控除額が22万円減となっているのだ。
そして、2500万円超のセレブになると、基礎控除なしっ!
つまり、高額所得者は、給与所得控除が減ったのに加え、基礎控除も減るので増税になるよ!
これまでは所得税率を段階的にして高額所得者の税負担割合を上げていたんだけど、今回は控除の方で税額算定対象額を上げることで増税にしてきたのだ。
ま、多くの人は所得が2400万円以下になるので、基本は給与所得控除と基礎控除でプラマイゼロというわけ。

しかし、この改正の余波が様式変更に来ているのだ・・・。
これまでは基礎向上は一律だったので特段申告書などは必要なかったんだけど、所得制限が出てきたので、別途合計所得金額を確認する必要が出てきたのだ。
そこで「給与所得者の基礎控除申告書」が必要になったんだよね。
これには、給与所得のほか、副業などの事業所得、印税や年金などの雑所得、株式配当金などの配当所得、不動産所得、退職金などの退職所得、そこに含まれないその他の所得(公営ギャンブルの払戻金、保険の満期返戻金など)を書き込む必要があるんだ。
で、給与所得も自分で書く必要があるので、前の年の源泉徴収票の総支給額を参照するか、月給額から年間収入見込額を算出するか市内といけないんだ。
こんな作業今までなかった!
しかも、これまでは確定申告酢一だけ気にすればよかった給与所得以外の所得もこの時点で金額は書かないといけないんだよね。
※もちろん、別途確定申告は必要!

そして、新たに、所得金額調整控除というのができて、世帯内に「特別障害者:が含まれる場合、年間所得が850万円超の場合、新たな控除が得られることになったんだ。
これはさっきの基礎控除の申告書と同じ様式(実際には、さらにくっついていて「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という長い名前なのだ。)の中に書き込むことになっているよ。
扶養家族以外にも控除が認められるようになったのはいいけど、ますます複雑になってきた・・・。

例年同じものを書いてきていても、毎年書き方を忘れて調べまくっていたのに、今年からは様式自体が違う!
書く内容も増えていて、参照する書類も増えている・・・。
うちの職場の担当の人も混乱していてかなり手間どっているようだよ。
だから、不明な点があって質問しても、すっきりと答が返ってくるわけでもないんだよね。
いやあ、これは大変だ。

ただし、電子化のおかげで、必要な数字(所得金額など)を入れれば自動的に経産はしてくれるので、前よりは少し楽なところもあるんだよね。
ごくわずかだけど。
それと、申告書類は電子的に提出するんだけど、証書類は依然として紙で提出なので、紙と電子ファイルが混在しているんだよね。
これも混乱原因。
生命保険の支払い証明とかも電子的に交付されるようになるといいし、もっというと、マイナンバーで火もつけてもらえばそもそも本人が書かなくても自動的に記入されているものが作れるはずなんだけどなぁ。

2020/10/24

焼きたて、ふわふわの、懐かしい味

コンビニで、「台湾カステラ」というカップデザートを見つけたのだ。
テレビで名前は聞いていたので、思わず購入。
いわゆる「カステラ」とは全く別物だね。
でも、なんだか「これがはやる」と言われながら、はやらないうちに消えてしまいそうな・・・。
というわけで、ここに「台湾カステラ」とはなんだったのか、まとめておこうと思うのだ。

どうも、日本には台湾から直接入ってきたわけではなくて、韓国ではやっているものとして入ってきたみたい。
韓国発のスイーツやジャンクフード系は、本当にはやっているのかどうかはよくわからないけど(笑)、メディアがよく取り上げるので、話題には上るよね。
どうもその一環。
鶏排(台湾式スパイシーフライドチキン)や豆花(デザート豆腐)とはちょっと違うみたい。
台湾の名を冠しながら、なんだか不思議だね。

でも、もの自体は台湾発のもの。
台湾には、戦前の日本統治時代に日本式のカステラが伝わっていて、いわゆる「長崎カステラ」に近いものもあるのだ。
それは「長崎蛋糕」と呼ばれているよ。
「蛋糕」がカステラとかケーキという意味みたい。
で、この台湾カステラは、「古早味蛋糕」と呼ばれる種類で、「古早味」は「むかし懐かしい味」ということで、シンプルな材料で作ったどこか懐かしい感じの味のもの、ということなんだって。
おそらく、日本から伝わったカステラが台湾で独自の発展を遂げて、家庭でも簡単に作れるような形になり、それが「なつかしい」といわれるくらいまでポピュラーになったんだと考えられるのだ。
韓国ではやった台湾カステラは、その後出てきた「現烤蛋糕」というもので、「現烤」は「焼きたて」という意味らしいよ。
つまり、店頭で焼きたてで、ふわふわ、ほかほかののカステラを売り出したものが取り入れられたみたい。

なんでこれが「むかし懐かしい味」かというと、それは材料のシンプルさにつきるのだ。
材料は、小麦粉、卵、砂糖、植物油、牛乳だけ。
しかも、砂糖はあまり入れずm、甘さは控えめなのだ。
実は、これはシフォンケーキとほぼ同じ材料なので、カステラと言うよりは、シフォンケーキやスポンジケーキに近いものなのだ。
長崎カステラの場合は、伝統的には牛乳は入れず、かつ、水飴を入れてしっとりとした、割と重めの食感にするんだよね。
台湾カステラの場合は、牛乳も入れるので生地も軽くなるし、よりふわふわっとした感じに仕上がるよ。
冷めてからも生地が柔らかく、ふるふるするんだって。

シフォンケーキとの違いは、焼き方。
シフォンケーキはそのままオーブンで焼くのだけど、台湾カステラは蒸し焼きにするため、「湯煎焼き」にするのだ。
水を張ったトレイに乗せて焼くことにより、表面はあまりかりっとせず、むしろ蒸しパンのようなふわっとした感じになるのだ。
台湾カステラはとにかく大きく作って、大きく切り分けるのが特徴。
長崎カステラほど生地が詰まっていないので、それでも食べられちゃうんだって。

で、そのままでは甘さは控えめで、むしろ、卵の風味がしっかり生きているんだとか。
なので、そのまま食べると「優しい味」なんだけど、チーズを入れたり、ハチミツをかけたり、クリームを挟んだりとアレンジもできるんだそうな。
さらに、できたてでも、冷やしてから食べても、温め直して食べてもいいんだって。
これが新しいスイーツとしてはやった要素なのかもしれないね。
アレンジによっていろんな人の好みに合うようになるのだ。

もともと長崎カステラはポルトガルから伝わった南蛮菓子が日本で独自の発展を遂げてできたものだけど、それが今度は台湾に渡ってさらに変貌を遂げ、韓国経由で日本に戻ってきたというのはおもしろい軌跡だよね。
ボクが食べたものは、冷やしてしっとりしたもので、何も書けていないやさしい味のものだったけど、がっつり甘いものが食べたいときには少し物足りない感じかな。
ま、自分で何か書けて食べてもいいのかもしれないけど。
すでにネットには台湾カステラのレシピもあふれているようで、かつ、犯しにしては比較的簡単に作れるようなので、買うものと言うよりは、自宅で作るものとしてはやっていくかもしれないね。

2020/10/17

渋いうちはダメ

 秋になって、柿のシーズンになったのだ。
ボクは昔から柿が好きなんだよね。
生食も干したのもどっちも。
でも、古来から日本人は柿を食べるために様々な工夫をしてきたのだ。

そのままおいしく食べられる「甘柿」は突然変異と考えられていて、基本は渋いものなのだ。
品種改良の過程で甘柿同志を掛け合わせても渋柿になることもあるらしいから、実は渋みは柿のアイデンティティに関わるものと言っても過言ではないのだ。
でも、この渋みは柿が完熟して「熟柿(じゅくし)」という実がとろっとろの状態になると感じなくなるんだよね。
つまり、本来はその状態が食べ頃ってこと。
柿的には渋いうちは食べられたら困るのだ。
これは柿の生存戦略上重要で、中にある種がしっかり熟す状態になるまでは食べられても困るということだよね。
熟した状態で種ごと食べてもらって、鳥や動物に遠くまで運んでもらってそこで種を出してもらうことで生息域が広がるのだ。

この渋みの正体はタンニン。
お茶なんかの渋みもこのタンニンだけど、お茶の場合はそこまで量が多くないのでそのまま楽しめるのだ。
でも、渋柿をガリッとかじると口の中がしびれるほどの渋さだよね・・・。
未成熟の渋柿の中にあるタンニンは水溶性で、それが唾液に溶けて粘膜に付着すると渋みを感じるという仕組み。
なので、タンニンが溶け出さないようにしてあげれば、いいわけ。
むかしはこういう科学的な部分はわかっていなかったわけだけど、いろいろと試して、経験的に、いわゆる「渋抜き」の方法が確立されてきたのだ。

一番単純なのは干し柿。
実がとろとろになるまで熟せば渋はなくなるものの、そこまで行くとほぼ流通はできないし、日持ちなんかもしないわけだよね。
またかたいうちに収穫して追熟、というのもあり得なくはないけど、同時にいたんでも来るわけで、きちんと保管して、適切な時期に食べなくちゃいけないのだ。
※現代なら、リンゴと一緒に袋に入れておくとリンゴから出るエチレンガスの効果で追熟が促進され、すぐに甘くなるよ。
そこで、他の多くの果物で行われているのと同様に、干して水分を飛ばす、という方法がとられるわけ。
干し柿にすれば運搬もしやすくなるし、日持ちもするようになるし、何より、水分が飛んで甘みも増すので、これはかなりよい方法なのだ。
なので、基本は、完全に熟すのを待つか、干し柿にするのが選択肢だったわけ。

でもでも、生食で甘い柿を食べたいという欲望は捨てきれなかったようで、そのために更なる工夫がなされたのだ。
それが今にも残る渋抜きの方法だよ。
有名なのは、焼酎に漬けるというもの。
これは樽柿というやつ。
つけ込まないまでも、アルコール度数の高いお酒を吹きかけ、外気に触れないように密閉して1週間ほど放置する、というものもあるよ。
温泉地なんかでは、お湯につけておく、というのもあるのだ。
これらはみな、柿の中にアルデヒドを発生させ、それがタンニンと結合することでタンニンが水に溶けなくなる、という原理を使っているのだ。
もちろん、そんな仕組みがわかったのは後のことだけど。
で、仕組みがわかった後に編み出されたのは、炭酸ガスの充満したところに億というもの。
柿は酸素がない状態に置かれると中の頭分がアルコール発酵され、それがさらにアルデヒドに変わるのだ。
お湯につけておくのと基本は同じ反応が起きているみたい。

こんな感じで工夫して、普通に食べたら渋い柿をおいしく食べてきたのだ。
今では最初からそのまま食べられる甘柿があるわけだけど、実は甘柿より渋抜きした渋柿の方がおいしい、という話もあって、渋抜きも続いているんだよね。
富有柿や次郎柿は甘柿だけど、平核無(ひらたねなし)や刀根早生(とねわせ)のような渋抜きした柿も関東では好まれるんだよね。
ちなみに、柿は糖分が多いので敬遠されがちだけど、カリウムやビタミンCの含有量も多く、果物として非常に優秀なものなのだ。
今は値段もそんなに高くないし、なんと言っても、日本が誇る果物なので、秋は柿を食べよう!
なお、フランスでは、とろとろに熟した柿を冷凍庫で凍らせてから少し溶け出したものをスプーンですくって食べるのがはやっているみたい。

2020/10/10

御不在の間

 十月と言えば「神無月」。
国中の神様が出雲に集まるので、各地で神様が不在になるから「神無月」、逆に、出雲は神様が集まるので「神在月」なんて言うのだ。
でも、これって後付けのものなんだって。
先に「カンナヅキ」という音の言葉があって、それに「神無月」という字を当ててから出てきた俗信らしいよ。
といっても、すでに中世、平安時代には広まっていたと言うから古い話ではあるのだ。
でも、そのころすでに「カンナヅキ」の語源がよくわからないようになっていたんだね・・・。

これはわりと広く信じられていたようだけど、ひと月の間神様が全く不在ではさすがに困ってしまうよね(>o<)
で、「留守神」というものがあるのだ。
これは、神無月になっても出雲に行かず、地元に残ってくれる神様のこと。
多くの場合、かまど神や田の神のような、日常生活に密着していて、不在にされたら困るような神様と認識されているのだ。
かまどは生活に不可欠なものである一方、火元の不始末は火事につながるわけで、きちんと神様をまつらないんだよね。
1日かそこらなら火を使わない、というのもできるかもだけど、もっと長いからね。
それに、旧暦とは言え、神無月だと米の収穫が終わった後の収穫祭なんかもあって、農耕地では秋祭りがある場合もあるので、お祭りの時に神様がいないというのも都合がよくないのだ。

そうした流れで「留守神」という概念ができてくるわけ°、なぜかそこにかまど神と同一視されることの多い大黒天だけでなく、恵比寿神が入ることが多いというのだ!
これは不思議。
大黒・恵比寿の二柱セットでお祭りする例が多いからなのか、豊漁の神様として漁村地域で「留守神」になっていたのがひろまったのか、「商売繁盛」の福神としおてひと月も不在にされたら困るということなのか。
よくわからないのだけど、「留守神」というと「恵比寿が多い」と言われるくらいには広まっているんだって。

こういう系列とはさらに別に、出雲に行かない神様もいるのだ。
もっともメジャーなのが諏訪大明神。
諏訪大社にまつられている竜神だけど、あまりにも恐ろしく大きな姿なので、他の神様が驚いてわざわざ諏訪明神には来ていただかなくても、となったとかいう話なのだ。
もともとなんで集まっているかは諸説あるんだけど、「縁組みの相談」をしているとかいうのもあって、確かにそういう話なら荒ぶる竜神にわざわざおこしいただかなくても、とはなるよね(笑)
一方で、むしろ竜という蛇身なので、八岐大蛇が退治された出雲の地へ行かないようにしているなんて説もあるそうな。
実際、この時期にはちょうど、おとなりの石見国では伝統的に神楽の奉納が行われるんだけど、それは八岐大蛇退治の話なんだよね。

そして、出雲に行かない神様として有名なのは、能登国羽咋の鍵取明神。
この神様は、他の神様が不在にする間鍵を預かって守る、という伝承があるのだ。
なので「鍵取」なんだよね。
そんなに大きな神社ではないようだけど、延喜式にも載る式内社で、崇神天応の時代に創建と言うから由緒ある神社だよ。
現在は「志乎(しお)神社」という名前で、戦前の社格は郷社。
「鍵取」という名前が先なのか、伝承があるから「鍵取」になったのかはよくわからないみたい。

ちなみに、諏訪明神も鍵取明神も、再試されている神様は武御名方(タケミナカタ)なんだよね。
そして、恵比寿といえば、事代主(コトシロヌシ)のこととされることもあるよね。
さらに、かまど神と同一視されることのある大黒天といえば大国主(オオクニヌシ)。
なぜか国譲りの三柱の神がそろってしまうのだ。
これは意味があることなのか、偶然なのか?
出雲に集まるのは国津神だけという伝承もあるんだけど、その場合は他の神様に会いたくないなんて事も考えられちゃうよね。
もっとも、出雲大社の祭神は大国主なので行くも行かないもないのだけど(笑)

2020/10/03

さそわれる?

 芸能人の自殺とみられる不審死が続いたのだ。
かなり若い人たちなので、ショックが大きいよね・・・。
日本の場合、死亡判断は医師しかできないので、どんな状態であっても、病院等に運んで医師が「死亡」と判断しないと死んでいるかどうかは確定していない、という整理になるのだ。
なので、よくニュースでも「病院に運ばれ、死亡が確認されました」という言い方をするんだよね。
「死亡を確認」というのがまさにそのこと。

で、今回の人たちの不審死は、その状態から自殺ではないかと見込まれているんだよね。
自宅で争った形跡がないので、ほぼほぼそうなんだろうけど、場合によっては、死ぬ意図はなかったけど誤って、というのもあるかもしれないので、これも断定できないんだよね。
遺書なんかが残されていればかなり状況証拠としては固まるんだけど、偽装自殺の可能性も否定しきれないので、そこは司直・司法の判断があるのだ。
でも、今回の場合はほぼほぼ「自殺」として報道されているよね。
そして、勝手に「コロナ鬱」という前提で話がされているのだ。
芸能人はコロナ禍で仕事もなくなって、将来への不安感が増していたのではないか?、みたいな文脈で。
子供を産んだばかりの女性が将来に不安を感じて・・・、というのもにわかには考えづらいけど。

こういう、まわりから見るとなぜ自殺するのかよく理由がわからないような事件については、昔の人は妖怪のせいにしたんだよね。
その名も「縊鬼(いつき)」または「くびり鬼」。
もともとは中国の妖怪で、首をつって死んだ人の妄念が強いと、他の人にとりついて自分と同じように首つりをさせる、というもの。
中国では「鬼」は姿が見えない精神対のようなもので、日本で言うと幽霊やら霊魂といったイメージのもの。
なので、首をつって亡くなった人の妄念・執念が首つりを連鎖させる、という発想なのだ。
なんでも、冥界には死者の定員があって、転生しようとしたときに次の死者が来ないと転生できないから、自ら次の死者を作り出すのだそうで。
恐ろしい辻褄合わせだ!

これが日本にも入ってきていて、最初は中国と同じでいきなり「首つり」をさせるものだったようだけど、徐々に、理由不明な自殺一般の原因として担がれるようになったようなのだ。
今では自殺というと、経済的困難とか精神的な病気(鬱など)などに無理くりこじつけるんだけど、昔はよくわからなければ妖怪の仕業ということでみんな納得したのだ。
本当にそういうものが存在していると信じていたかどうかは別として、そういうわからないもの、不可知なものについては「魔が差した」的な受け止め方をするというのはリーズナブルでもあるよね。
河川で不審な水死体が見つかればカッパが引き込んだ、いきなりよくわからないことをわめいたり、暴れたりする人が出てきたら狐が憑いた、などなど。

実は今でもそうなんだけど、すべての事象が科学的に説明できるわけでもないし、死人にむち打つようにほじくり返したところで十分な証拠がそろうわけでもないし、なんでもかんでも「真相」を解明することがよいことではないのだ。
ならばいっそ、「わからない」ままにしておいて、運悪く「怪にに魅入られた」としてしまった方が、コミュニティの中では傷つく人も少なく、処理できる方法だったんだよね。
なので、非科学的と言って馬鹿にできるものではないよ。
正直なところ、根掘り葉掘り調べても故人は帰ってくるわけではないし。

一方で、割り切ってそうするのなら問題ないのだけど、オカルト的にそういう怪にとりつかれないようにはこうすべき、とかなってくるとこれはまた問題。
すでに起きてしまっている事象をどう説明するか、どう納得するか、というコンテクストで「怪」が出てくるのはかまわない。
でも、これから起きるかもしれないことも含めて「怪」の世界にからめてしまうとろくなことがないのだ。
もともと「原因不明」なものをそのように理解しよう、というお約束ごとだったので、当然「怪」での説明体系を使ったとしても防ぐことなんかできないし、仮に防げても偶然。
ところが、たまたまの成功例が変な風に喧
伝されると霊感商法的になるわけで・・・。
百害あって一利なし。
壺を買ったから防げた、壺を買っていなかったらもっとひどい目に遭っていた、なんていうのは詐欺なんだよね。

2020/09/26

酒臭い息

TOKIOの元メンバー、山口容疑者が酒気帯び運転で現行犯逮捕されたのだ。
追突事故を起こしたのがきっかけ。
休日の午前中にバイクで友人宅へ向かう途上だったそうだよ。
確か、もともとの事件を起こした際にお酒はやめたはずなんだけど・・・。
やはりなかなかアルコールの依存は断ち切れないようだね(>o<)

いわゆる「酔った」状態での車の運転は世界中どの国でもたいていは禁止されていて、日本では、道路交通法第65条で「酒気帯び運転等の禁止」が定められていて、その第1項では「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」とするほほか、第2項や第3項では、酒気帯び運転する可能性のある人に車両を提供したり、さける意を提供したりしてはいけない、となっているのだ。
お酒を飲んだ人に車を貸したり、車で来ていることをわかっていながらさける意を提要したりする行為も同様に罰せられるよ。

でも、実は実際の罰則では、「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」に区別されているのだ。
罰則を定めているのは第117条の2と第117条の2の2で、前者の第1号では「第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの」としていて、これが「酒酔い運転」に当たるのだ。
ポイントは、アルコールの摂取量等に関係なく、アルコールの影響でふらついたり、正常な判断ができないような状態にあるにもかかわらず車両を運転した場合が該当するということ。
お酒に弱い人だと少し飲んだだけでもふらついたりするからそこでアウト。
そして、この場合は自動車だけでなく車両全般が対象になるので、軽車両足る自転車もダメだし、大八車を引くのもダメだよ。

一方、「酒気帯び運転」は後者の第3号「第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの」に規定されるもの。
これは呼気中のアルコール濃度を測定して、その範囲で罰則の適用の可否が判断されるのだ。
ふらついていたりする「千鳥足」状態だと「酒酔い運転」で即アウトなんだけど、お酒に強くて多少飲んだだけでは平常と変わらないような人であっても、測定結果で呼気中アルコール濃度が基準を超えれば引っかかるのだ。
翌検問で取り締まっているのはこっち。

基準は法律にあるように政令である「道路交通法施行令」の第44条の3で「血液一ミリリットルにつき〇・三ミリグラム又は呼気一リットルにつき〇・一五ミリグラム」とされているよ。
実際には検問等で血液検査をするわけにはいかないから、呼気中のアルコール濃度を測ることがほとんどなのだ。
ちなみに、ビール中瓶1本だと、500ml×5%で約25gのアルコールが含まれるんだけど、これが代替呼気中アルコール濃度0.15mg/lに相当すると言われているよ。
時間をおけば代謝されて減っていくけど、個人差はあるし、そもそもビール500mlですでに日か係るような基準なので、飲んだ日は運転しないが鉄則なのだ。

で、これは法律上の「酒気帯び運転」に該当するかどうかの基準で、このほか、「行政処分」の法の基準もあるんだ。
いわゆる「違反点数」の方。
こちらは、呼気中アルコール濃度が①「0.15mg/l以上0.25mg/l未満」と②「0.25mg/l以上」があって、このほかに③「酒酔い運転」があるよ。
①の場合は違反点数13点で、90日の免許停止。
②の場合は違反点数25点で、免許取消+2年間の欠格。
③の場合は違反点数35点で、免許取消+3年間の欠格なのだ。
②や③の場合は、免許の取消後、2年又は3年間再取得ができないよ!
ちなみに、検問で引っかかった場合はこれだけだけど、事故等を犯して酒気帯びが発覚した場合は、これに別の違反(信号無視、速度超過など)がプラスされるよ・・・。
①の場合でも他に違反があれば一発で免許取消になるのだ(例えば、25km/h以上の速度超過で違反点数2点なので、これが追加で即免許取消だよ。)。

今回の山口容疑者の場合、呼気中アルコール濃度は0.7mg/lくらいだったというから、相当量のアルコールを摂取しているようなのだ。
ビールで言うと中瓶で6~7本くらい。
前に問題になったときは、焼酎1本を飲んだ酩酊状態で・・・、ということだったけど、そのときに匹敵するくらいの酒量。
なんだかアルコール依存の怖さを物語る事件だよね。

2020/09/19

何のネギ?

 先日、お寿司屋さんにいったとき、ネタの中に「芽ネギ」があったのだ。
まだ一度も食べたことないけど、けっこうよく見るよね。
で、そのメニューには、外国人用に英語も書いてあったんだけど・・・。
「オニオン・スプラウト」と書いてあったのだ。
なので、てっきり「芽ネギ」はタマネギの若芽かと思ったんだよね。
ところが、どうもこれが違うみたい。

調べてみると、「芽ネギ」は「姫ネギ」と呼ばれる種類のネギで、水耕栽培で密集させて作られるもの。
10cm未満の丈の柔らかい状態で収穫され、強すぎないネギの風味としゃっきりした食感を楽しむもののようなのだ。
これは長ネギの仲間で、関西で好まれる青ネギ(葉ネギ)の一種だよ。
確かに、万能ネギみたいな細めの青ネギを早めに収穫したらこんな感じかな、という見た目だね。
実は、その万能ネギ自体も、九条ネギを品種改良したもので、細めのものを早取りしているんだって。
そのさらに「青田買い」なのだ。

万能ネギに似たようなものとしてアサツキがあるよね。
実は、これはまた別の種類で、欧米でハーブとして使われるチャイブ(仏ではシブレット)の変種にあたるもの。
日本とシベリアの一部に自生するものみたい。
万能ネギとは見た目で区別できて、万能ネギは根の付近がちょっと太くなっている程度で、づお見ても長ネギの形態。
一方、アサツキの場合は小さな為義のような鱗茎がついているのだ。
これが大きな特徴だよ。
根の方が丸く膨らんでいたら、それは万能ネギではなく、アサツキなのだ!

ちなみに、実はチャイブには鱗茎ができないんだよね・・・。
日本ではまず見かけないからいいんだけど。
そして、チャイブは中国原産のニラに近縁の種なんだけど、欧米では、チャイブと言いつつ、ニラを細いときに収穫したものが売られていることもあるそうなのだ。
これはだまそうとしているわけではなくて、単純に区別がつかないから・・・。
人の往来に伴って地域性のあった植物種が入ってくることでこういう混乱が起きているみたい。


タマネギはタマネギで、葉の部分を食べることもあるんだよね。
それが「葉タマネギ」。
あまり出回らないんだけど、長ネギより肉厚で、ネギの辛みも薄いので、何にでも合う、と最近注目を集めているようだよ。
千葉産が多く出回っているみたい。
これは主に春先に出回っていて、季節性が強く、時期を外すとまず手に入らないのだ。
木の葉タマネギは欧米でも食べられているようで、フランスでは、オニオン・ヌーボー、イタリアではチポロットと言うらしいよ。
確かにパリのスーパーでも見たような。
エシャロットの中かなんかだと思っていたんだけど、葉タマネギだったのか。
青ネギの代用で使っている人もいたんだよね。

2020/09/12

医療用もダメ!

 また芸能人が大麻所持で逮捕されたのだ・・・。
今回は結構な量を持っていたみたいだね。
殺伐とした世の中になったからはびこるのか、ネットや通信機器の普及で素人でも手に入りやすくなったから広まるのか。
俗に「たばこより健康への害悪は少ない」だとか「海外では合法」なんて言われるから、軽い気持ちで手を出してしまうのかも、
でも、ルールはルールだから、ダメなものはダメだよね。
まさに「ならぬことはならぬのです」なのだ。

日本においては、大麻は「大麻取締法」により規制されているのだ。
実は、他の麻薬は「麻薬及び向精神薬取締法」で規制されているので、大麻だけ別に規制法が作られているんだよね。
戦前は他の麻薬と一緒に帰省されていたらしいんだけど、戦後、繊維としての「麻」の産業があるとともに、「麻の実」を食品として利用してきた歴史があることなどから、大麻だけ少し規制の枠組みを変えて、別の法律が作られたみたい。

大きな違いはいくつかあるんだけど、まず、大麻は一切の利用が認められていないのだ。
先に言ったように既存産業があるので、「成熟した茎と趣旨及びその製品を除く」とされていて、麻の繊維や種子(七味唐辛子に入っていたり、小鳥のえさに使われたりするよ。)は規制の対象からはずれているんだ。
あくまでもトリップするのに使われるものが規制対象というわけ。
で、特徴的なのは、目的を問わず利用が禁止されているという点。
モルヒネのような麻薬や覚醒剤の一部は、医師の処方があれば特別の場合に医療利用が認められているのだ。
海外では大麻の医療利用を認めている例もあるようなんだけど、日本では認めていないので、一部の人たちが「医療用大麻解禁」と主張しているんだよね・・・。

大麻取締法で認められている大麻の取扱いは、大麻草の栽培と研究利用だけ。
その栽培と研究を合わせて「大麻利用」としているのだ。
これらは都道府県知事からの免許制だよ。
栽培はもちろん、繊維と実をとる目的での栽培のみが認められていて、国内では、トチギシロというトリップ成分の含有量の極めて低い栽培品種が確立されているよ。
研究については、研究利用のための栽培と使用が認められていて、研究で使う場合については、厚生労働大臣の特別の許可があれば輸出又は輸入もできることになっているよ。

完全に野生種の大麻草はすでにないらしいんだけど、大麻草は栽培が比較的簡単で、普通に自生していたりもするのだ。
蛍光灯の光でも栽培できるので、押し入れで隠れて栽培したり、大学の裏でこっそり栽培したり、なんてのが時々摘発されるのだ。
大麻は、「単純所持」で五年以下の懲役になるんだけど、そもそも大麻取扱者は大麻取扱者以外に大麻を譲り渡してはいけないので、誰かが大麻を所持していた場合、
①国内で人からもらったものなら、それを譲り渡した大麻取扱者が違法行為をしている
②海外から持ってきたなら、輸入が禁じられているので持ってきた人が違法行為をしている
③自分で育てたなら、無免許栽培なのでその育てた人が違法行為をしている
といった整理になて、さらに罰を受ける人が出てくるのだ。
いずれにせよ、大麻取扱者でない人が大麻を所持していた段階で、「単純所持」以外のなんらかの違法行為が行われていたことにはなるわけ。
なので、大麻が摘発された場合、その入手ルートが問題となって、さらに逮捕者が出るかどうかが変わってくるのだ。
所持しているのがある程度の確度を持ってわかっていても、容疑者を「泳がす」のはこのためなのだ。

麻薬の場合は医療利用があるため、製造とか販売とかの他の規制が必要になるんだけど、一切の利用が禁じられている大麻については非常にシンプルな規制になっているよ。
万が一医療用大麻が解禁されたとしても、麻薬の方の規制の枠組みに合流すればいいので、おそらくそこまで複雑な枠組みを新しく作ることにはならなさそう。
問題は、大麻は医療用に使う必要性がほぼ認められていないことだね。

2020/09/05

北の国から~サラダ編

最近、またポテトサラダが話題だよね。
料理都市お手はやっているわけではなくて、主婦がスーパーでポテトサラダを買おうとしたら初老の男性に嫌みを言われた、とかいう話で。
作り方は確かにシンプルではあるけど、手間はかかるよねぇ。
そこまで大量に食べるわけでもなく、ちょっとした付け合わせにしたい程度であれば、スーパーのお総菜で十分と思うけど。
へたに手作りするよりそっちの方がおいしいこともあるし。

そんなポテトサラダだけど、実は世界中に広がっている料理なのだ。
中国にもあるそうで、生野菜を食べなれていない中国人向けにロシア料理店で考案された「上海サラダ」というのがひろまったんだって。
ロシアには、オリヴィエ・サラダという名物料理があって、モスクワのホテル「エルミタージュ」のレストランのシェフだったベルギー人のオリヴィエさんが19世紀後半に考案したもの。
別名「首都サラダ」とも呼ばれているのだ。
ゆでたジャガイモをさいの目に切り、固ゆで卵やにんじん・j中利などの他の野菜、鶏胸肉の蒸したものと一緒にマヨネーズで和えるのが基本形。
鶏胸肉に変わってハムや課になんかが入ることもあるとか。
考案者のオリヴィエさんのレシピでは、そのマヨネーズの味が絶妙で評判になったんだけど、そのレシピはすでに失われているらしいのだ・・・。
というわけで、今残っているのはそれを模したものだよ。

これが欧州やトルコ・中東にも広まっていて、ゆでたジャガイモをマヨネーズで和えるサラダは「ロシア風サラダ」と呼ばれるのだ。
このため、ポテトサラダの起源はロシアと言われることがあるのだ。
ボクのいたフランスでも「サラダ・ルッス(ロシアのサラダ)」と呼ばれていたよ。
フランスは生野菜のサラダを結構食べるので、名前はサラダでもどちらかというと前菜扱いだったけど(笑)

一方で、wikipediaでは、ポテトサラダの起源をドイツとしているんだよね。
日本語版は明確に書いていないけど、英語版だと、「広くドイツを起源とすると信じられていて、それが欧州やその植民地に広まった」と書いてあるよ。
米国のポテトサラダは割と日本のものと見た目が似ていて、おそらく日本のものは米国由来。
ジャガイモは形は残っているけど少しつぶれてもいて、全体にもさっとしているのだ。
ロシアのやつは角切りのものがマヨネーズで和えているだけなので、そのもっさり感はないんだよね。

で、その補b名と言われるドイツには、マヨネーズで和えてすらいないポテトサラダがあるようなのだ!
普通にゆでたジャガイモを油と酢を混ぜたドレッシングで和えたもの。
ゆでたジャガイモを葉物野菜と同じようにサラダにしたものだよ。
北欧ドイツは寒冷な気候で葉物野菜が豊富には手に入らないんだよね。
なのでキャベツを発酵させたザワークラウトなんかも伝統食としてあるわけで。
つまり、ジャガイモも野菜だということでそのままサラダにしたものなのd。
そう考えると、それがオリジナルかも、と思えるよね。

マヨネーズは、もともとスペインで発展したソースで、それがフランスに伝わって洗練されたもののようなのだ。
マヨネーズ自体はフランス語で、メノルカ島マオンやマヨルカ島などの地名から来ている、とする説が有力だよ。
どうも三銃士の時代、18世紀後半くらいにフランスに伝わったようなのだ。
それから約100年経ってロシア風サラダが生まれているわけだね。
ジャガイモが欧州に広まったのは17世紀からのようなので、おそらく、マヨネーズが広まる前にすでにドイツではジャガイモを食べるようになっていて、ゆでたジャガイモを普通のドレッシングで和えたポテトのサラダはあったはずなのだ。
その後マヨネーズが伝わると、普通のドレッシングに変わってマヨネーズが使われた可能性もあるよね。
今でもゆでたジャガイモにマヨネーズをつけて食べる人は多いし。

でも、それが洗練された料理となって評判になったのはおそらくオリヴィエさん以降。
推測するに、ゆでたジャガイモをサラダに使う風習はすでにドイツを中心とした文化圏に存在していて、その中にはマヨネーズを使うような種類もあったのだ。
それを参考に洗練された料理として完成させたのがベルギー人のオリヴィエさん。
おいしいと評判になって似たようなものが各地で作られ、世界中に広まる、という流れじゃないかと思うんだ。
そういう意味で、最初に「コロンブスの卵」的発想で、サラダにゆでたジャガイモを使うことを始めたのがドイツ、マヨネーズをベースとして和えた料理として完成した地がロシア、ということなんじゃないかな。

2020/08/29

和ハーブ

 海外でも注目されている和のハーブと言えばシソ。
ユズやサンショウなど、和のフレーバーがかなり市民権を得てきているんだよね。
欧米の人からしたら「エキゾチック」なものなのかも。
日本人からすると、この時期にはそうめんやそばの薬味として大活躍するし、刺身や冷や奴にも欠かせないよね。
実は、葉物として食べるシソは春の終わりから夏にかけてが旬なのだそうだよ。
ほぼ1年中買えるけど。

シソは、もともとはヒマラヤやミャンマー、中国南部あたりが原産地。
日本にも相当早い時期に伝わっていて、縄文時代の遺跡で見つかっているほか、平安時代には本格的に栽培していた、というような記録もあるとか。
古くから親しまれてきたようなのだ。
香味食材というよりは、薬用植物としての扱いだったみたいだけど。
こうした背景の一つには、シソが極めて生命力の強い植物種である、という事実があるんだよね。
繁殖力ではミントも有名だけど、シソも劣らないものがあって、すぐに増えてしまって、駆除しようとしてもなかなかできないみたい・・・。
独特の清涼感のある香りは虫を寄せ付けない効果がある、というのも大きいみたい。
薬味に使うのもシソの精油成分に殺菌力があるためで、口中をさっぱりさせるだけでない、実用的な意味合いもあるのだ。

当たり前のことだけど、シソには大きく2つの種類があって、それが赤じそソと青じそ。
名前のとおり、葉が赤い(実際には村先っぽい色)なのが赤じそで、普通の緑色のものが青じそ。
実は、赤じそが基本で、青じそは変種だそうなのだ。
赤じそは酸性条件下にする(例えば、酢の中に入れる)とアントシアン系の赤橙色のシアニジンという色素が真っ赤に発色するのだ。
梅干しの赤はこの色で、塩漬けにした梅からしみ出てきた梅酢(主成分はクエン酸)によって発色したもの。
京都の柴漬けの場合は発酵して出てくる乳酸で発色したものだよ。
ただし、強いアクもあるので、いったん塩もみしてアクを抜いてから使う必要があるみたい。

青じそのうち、特にわかめの柔らかい葉を摘み取ったものが「大葉」。
シソという植物は花や実も食用になるので、わざわざ「葉」ということを強調しているわけだよね。
戦後になって愛犬の農協が販売時の名称で使ったものが一般名詞化したものなのだ。
一般的に薬味に使われるのはこの大葉を刻んだものだよね。
そのままでもにおいはするけど、刻むことで香りが強くなるのだ。
これは細胞がつぶれて中から香り成分である精油が揮発しやすくなるため。
でも、すぐに香りは飛んでしまうので、直前に刻む必要があるよ。
シソチューブなんてのもあるけど、あれはその香り成分が飛ばないようにペーストに練り込んであるのだ。

似た形の葉ものに「エゴマ」があるよね。
こちらは独特の香りがないのだ。
やはり東南アジアの方の原産で、むしろ、東南アジアではシソではなく、エゴマが薬味としてよく使われるようなのだ。
韓国料理の薬味にも出てくるよね。
エゴマも縄文時代には日本にあったようだけど、葉を使うというよりは、実から油を取るのがメインだったみたい。
もともとの植物名は「え」で、ゴマのように種子から油を摂るから「エゴマ」なのだ。
逆に、シソは古代には「イヌエ」と呼ばれていて、「え(=エゴマ)」に似て非なるもの、という語源なんだよね。
おそらく、縄文時代だと葉ではなく実の方が重要で、油がとれるエゴマがより重要であったからなのだ。
現代日本ではシソの方がはるかにメジャーになっているけどね。

2020/08/22

脱ぱさぱさ

 最近はどこに行っても「サラダチキン」を見かけるようになったのだ。
そして、味のバリエーションもたくさん!
胸肉をそのまま加工したもの、成型したもの、細かくさいたものなど、形状もいろいろとあるよ。
それだけ売れているんだろうね。
確かに、最近の健康志向で、高タンパク、低カロリー・低糖質のサラダチキンは人気があるようなのだ。

もともとは大船渡にある食品加工会社が、卸用に展開していた「蒸し鶏加工製品」を個別包装しm、そのままサラダの具材に使えるサラダチキン」として売り出したのがはじまりなんだとか。
その当時はまだ皮付きだったんだけど、皮を除くようにしたところ、低カロリーかつ高タンパクということで、ジムに通っているような体を鍛えている層に受け、売り上げが一気に伸びたそうなのだ
さらに、健康志向の高まりにより一般層にも広く受け入れられ、各メーカーが同じような商品を展開。
今では、どのコンビやスーパーにも独自製品があるほどだよ。

一時期糖質制限ダイエットがはやったけど、これって短期的には体重が落ちるものの、サステイナブルではなくて、糖質制限をやめたとたんにっりばうんどするんだよね・・・。
だったらずっと糖質制限すればいい、となるんだけど、それをしてしまうと、いわゆる「ガス欠」状態になって体を壊すのだ。
そこで、もともと王道なんだけど、カロリーを抑えつつ、基礎代謝を上げて緩やかに、でも、着実に体重を落としていく、というダイエット法が見直されたのだ。
この方法の場合、筋肉をつけていかないといけないので、適度に炭水化物は摂る必要があるし、何より、タンパク質をちゃんと摂らないとダメなんだよね。
そこでこのサラダチキンが救世主となるのだ。
ボクもごはんや麺類などの炭水化物大好き人間なので、ついついそういうものばっかり食べようとするんだけど、最近はそれを抑えつつ、サラダチキンを加えてタンパク質摂取を心がけるようにしているのだ。

似たようなものに、2ちゃんねる発祥の「鳥はむ」というのがあるんだよね。
そのまま焼くとぱさつきがちな鶏胸肉をおいしく食べる方法として紹介されたもので、胸肉に塩こしょうをして保冷バッグに入れて空気抜きをしてから冷蔵庫で2日間ほどなじませ、その後袋から出して15分ほどお湯でゆでる、というもの。
できあがりがハムのような食感になるので、、熟成させたり燻製したりしていないけど「鳥はむ」と呼ばれているのだ。
その後、派生レシピもたくさん誕生し、大盛り上がりだったんだよね。

これとは別に、料理好きで知られるタモリさんがテレビで紹介した、鶏ささみのおいしい食べ方というのもあるのだ。
これは、沸騰したお湯の中にささみを投入し、すぐに火を止め、鍋に蓋をして1~2時間放置して余熱で火を通す、というもの。
実際にやってみるとわかるけど、ささみがふっくらしっとりとゆであがるのだ!
そのままさいて棒々鶏にしたり、麺類の具にしたり、と使えるのだ。
サラダチキンや鳥はむと違って全く下味がついていないので、さらに使い方のバリエーションは広がるよ。
最近では、鳥はむの最後のゆでる行程をこのタモリ式にするレシピもあるようなのだ。

というわけで、サラダチキン的なものは実は自宅でもそこまで手間をかけずにできるのだ。
サラダチキンを自宅で再現しようなんてレシピもたくさん見つかるし、かなり食材として浸透してきているよね。
とはいえ、袋を開ければそれでおしまいのサラダチキンはやっぱり魅力的。
これからも売れるんだろうなぁ。

2020/08/15

ペガサスじゃなくてペルセウス

 ペルセウス座流星群の見頃だったのだ。
うちの近くは夕方に少し雨が降って、その後も雲がどんよりしていたんだよね・・・。
夜中には☆がちらほら見えるようにはなったけど、やはり街中だと周りが明るすぎて流れ星は見えなかったのだ(>_<)
気合い入れて1時間くらい観察していればいけたかもしれないけど。
ピーク時は1~2分に1個見えるというから、見える環境なら少し夜空を見上げただけで見られるはずなんだよなぁ。

この流星は、宇宙に漂っていた塵のようなものが地球の引力に引き込まれて大気に突入したもの。
ボクは燃えているから光って見えると思っていたんだけど、実はそうではなくて、猛スピードで大気中に侵入してきた物質が上層の大気の分子と衝突したときにプラズマ化したガスが発生して、それが発光しているんだって。
どうしてもガンダムの忌めあー字で大気圏に突入すると摩擦熱で温度が上がって燃えそうな気がするんだけど、酸化反応が起こっているわけではなくて、大きなエネルギーで電離状態になっているわけだ。


おおもとの塵のようなものは、地球と同じように太陽を中心とした公転軌道を回っているんだけど、その塵の軌道と地球の軌道が交差したときに、地球に引っ張られてしまうのだ。
もともとは、水星や小惑星が太陽に近づいたときに放出されたもので、太陽風で熱せされた水星や小惑星表面の物質がふき流されたものみたい。
ミリメートル未満のほこりのようなものから、数cmくらいの小石くらいのものまであるらしいよ。
これが秒速数kmから数十kmの速度で突っ込んでくるのだ!

通常は大気中で消滅してしまうんだけど、まれに地表まで届くものもあるわけ。
それが隕石だよ。
隕石までいかなくても、割と大きなものが突入してきて、月よりも明るく昼間でも簡単に視認できるように発光しているものは火球と呼ばれるのだ。
時々ニュースになるけど、実際に見たらびっくりするだろうなぁ。
願い事なんて考えている場合じゃないよ(笑)

流星群といわれるものは、一度に多くの流星が観測される現象で、ある程度宇宙塵がまとまった状態であって、そこに地球が通りかかると観測されるのだ。
これは多くの場合、水星が通った後の「足跡」のようなもので、代替決まった時期に観測されるのだ。
夏のこの時期だとペルセウス座流星群というわけ。
ちなみに、「○○座」というのは、その星座のある方向を中心として流星が流れる、ということで、その星座方向から来ているわけじゃないよ。
その星座のある方向に中心があって、そこから放射状に流星が流れていくのが見えるのだ。
星座は闇でその星座のある方角を把握しておくと流星が見つけやすいよ。
ただし、その方向に月などの他の明るい天体があると見えづらくはなるのだ。

古代中国では流星は凶兆の一つととらえられていて、「天狗」と呼ばれていたんだよね。
この考えは古代日本にも来ていて、日本書紀の舒明天皇9年の記載に「天狗(アメツキツネ)」という凶兆たる大流星の話が出てくるみたい。
ただし、これはその後浸透しなくて、日本では「天狗」というと妖怪の方になってしまったのだ・・・。
中国でも流星を指すことはなくなったみたいだけど、凶兆として見る民族は残ったみたい。
有名なのは、三国志演義で、諸葛亮孔明が流星が落ちるのを見て自らの死期を悟る、というやつだよね。
やっぱり役割を終えた星がその場を去る、というように受け取れるからなのかな?

2020/08/08

大阪で推奨されてます

 大阪府知事が「コロナに効く」と会見でしゃべってしまったために、全国的にヨウ素系のうがい薬(イソジンなど)が売り切れ続出になっているのだ。
新たな「転売」のターゲットになったみたいだね。
せっかくマスクやハンドソープはまともに変えるようになったのに・・・。
それにしても、今回も動きが速くて、府知事の会見後数時間ですでにプレミア価格になったうがい薬がネットで販売されていたというからすごい機動力だ。
またすぐに転売禁止になるだろうから、さっさと売りきらないといけないから、本物のプロは短期決戦みたい。

で、今回注目したいのはそのうがい薬。
一般には「イソジン」と呼ばれているものだけど、「イソジン」はムンディファーマ社の登録商標。
かつては明治製菓がライセンス販売していたんだけど、2016年からは、明治製菓は「イソジン」ブランドをはずし、中身は同じだけど独自の「うがい薬」として売り出すことになったのだ。
おなじみのカバのキャラクターは明治製菓のものなので、明治製菓の方のうがい薬にそのまま使われているよ。
ま、殺菌成分は同じなんだけど。

その殺菌成分はヨウ素。
ヨウ素をはじめとするハロゲンは酸化作用があるので、その酸化作用によって最近のタンパク質を変性させ、殺菌作用を示すのだ。
具体的にどのタンパク質にどうきいているのかはあだよくわからないみたいだけど、一般にはタンパク質合成を阻害していると考えられているみたい。
水素元素がハロゲン元素に置換されると極性が変わるので、水素結合がうまくできなくなり、タンパク質の高次構造が維持できなくなるのだ。

ハロゲンとしては、原子番号が小さい方が反応性が高いのだけど、塩素や臭素ではちょっと反応性が高すぎるみたいで、殺菌剤として使うにはヨウ素がちょうどよいみたい。
ところが、ヨウ素はほとんど水に溶けないんだよね。
有機溶媒には溶けるので、エタノールに溶かして「ヨードチンキ」として使われていたのだ。
でも、どうしてもアルコールに溶かしたものだと刺激が強いんだよね。
そこで、アルコールフリーで水ベースの溶液になるように開発されたのがポビドンヨード。
これがいわゆる「イソジン」。

「ポビドン」というのは「ポリビニルピロリドン」の略。
これは水によく溶ける高分子なんだけど、遊離ヨウ素と錯体を作ることで、ヨウ素の水への溶解度を上げるのだ。
それで褐色の遊離ヨウ素を含む液体ができるわけだよ。
独特のにおいがあるのと、色がついたら落とせないのが難点だけど、刺激性も低く、殺菌力も即効性があって高いので、広く使われているのだ。
注射や外科手術の前に塗る褐色の消毒液もこれだよ。

で、肝心のコロナにきくかどうかだけど・・・。
タンパク質を変性させるので、きかないとも言えないのだ。
でも、それは石けんで手を洗うのと同じ意味。
このうがい薬でうがいさえすれば防げる、というものでもないわけだよね。
なので、本来は転売されたものを高値で買うようなものでもないはず。
一方で、医療用の消毒薬としては重要で、こういっちゃ一過性のもので医療現場で手に入らなくなる、というのは積極的にまずいんだよね。

2020/08/01

酵素を飲む?

ネットで、衝撃的なことを知ったのだ。
どうも、「酵素シロップ」なるものがはやり始めているらしい・・・。
一時期はやった「酵素ジュース」というのは、これを少し薄めて飲むもののようなのだ。
それを自家製で作るんだって。
っていうか、「酵素」ってただのタンパク質だから、口から摂取しても胃の中で胃酸により分解されるし、その後、各種消化酵素によりアミノ酸まで分解されてから吸収されるんだけど。
つまり、そのまま飲んでもあまり意味はないはず。

大根おろしと一緒するともちや揚げ物がさっぱりと食べられるけど、これは大根おろしの中に含まれる酵素の力で、一緒に食べている間にデンプンやタンパク質、脂質をあらかじめ分解してくれて消化を助けるため。
こういう意味であれば酵素を摂取する意味はあるんだけど。
どうも、はやっているのはそういうのではなく、とにかく「酵素」なるものは体によいので、それを接種すれば健康になるはず、という短絡的な思考。
コラーゲンやヒアルロン酸をサプリで摂取してお肌つるつる、なんていうのと同根だよ。
似非科学の餌食になっているのだ(>_<)

ネットで調べて出てくる「酵素シロップ」の作り方は簡単で、砂糖と果物を交互にして瓶に詰め、時々かき回しながら日の当たらないところに置いておくだけ。
すると、酵素がシロップの中に溶け出してくるんだそうだよ。
ぷつぷつと泡が出てきたらちょうどよいころで、あまり長い時間置いておくとよくないので、後は冷蔵庫で保存なんだそうな。
これって、微量にアルコール発酵しているだけで、冷蔵庫に入れようというのはアルコール度数が1%を超えると密造酒になるからなんじゃ?

まず、砂糖漬のようにする理由は、おそらく、果物の細胞壁を浸透圧で壊して、中のものを溶かし出すため。
これは漬け物のときの塩と同じだよ。
よくあるレシピでは砂糖を1.1倍量とあるけど、こうすることで果物の実から水分と各種成分を外に溶かし出すのだ。
その中には、ビタミンやミネラル(カリウムやマグネシウム)なんかがあるわけだけど、果物細胞中にもともと入っている「酵素」も入っているはずだよ。
ただし、これは出てくるだけで増えはしないし、果物中の酵素を摂りたいなら生食したり、生ジュース(プレスジュース)にすればいいだけだけど。

これを適宜かき混ぜながらしばらく放置するわけだけど、ぷつぷつと泡が出てくる、と言うので、おそらく何らかの発酵が起こっているのだ。
泡が出るということは、二酸化炭素が発生しているはずなので、アルコール発酵が起こっていると思われるよ。
乳酸菌もアルコール発酵させる場合もあるけど、この場合は、もともと果物に付着している酵母じゃないかな。
ワインもブドウにもともとついている酵母で発酵させるし。
酵母によるアルコール発酵は嫌気性条件下、つまり、酸素が少ない状態で起こる反応なので、時々かき回すというのは、アルコール発酵がどんどん信仰しないように、ブレーキを踏みつつちょっとずつ発酵させるためだと思うんだよね。

この発酵過程では、アルコールのほかにもいろんな成分が出てくるんだけど、重要なのは香気成分。
エステル系のいわゆる果実系芳香成分が作られるので、さわやかな香りになるのだ。
それと、酵母が中で育って増えていくので、必須脂肪酸や必須アミノ酸、各種ビタミン類なんかも少量増えるはず。
このほか、果物がもともと持っている酵素が外に出てくることで、糖質やタンパク質、脂質が分解され多ものも出てくるよ。
出てくるのはやっぱり脂肪酸やアミノ酸なんかだけど。
お酒でいうところの、香り成分やうまみ成分が出てくると思えばよいのだ。
なので、ただのジュースや砂糖漬にした後に煮詰めるジャムに比べてこの部分で味・風味が違うはず。

ただし、どうも見ていると密造酒にならないようにほとんど発酵させないみたいだし、そこまで劇的に変わるとも思えないんだよね。
かつ、酵母由来の栄養成分にしても、栄養補助食品として売っているビール酵母や英連邦ではおなじみのマーマイトやベジマイトのようなビール酵母由来の食品を食べた方が栄養は豊富だよ。
これらはおいしくはないし、むしろくさいけどね(笑)
かといって、香りを強めようと発酵を進めれば果実酒の密造になるので、アウトなのだ。

ここで気をつけたいのは、かなり怪しいレシピも出回っていること。
まず、砂糖を極力使わない、というものがあるのだ。
健康志向の人にはとても魅力的だけど、砂糖を大量に加えることで雑菌の繁殖を抑えつつ発酵をさせているので、砂糖を加える量を減らせば腐敗するリスクが高くなるよ。
ぶくぶく泡は出てきたけど酸っぱいにおいがする、とか。
同じ真菌でも酵母じゃなくてカビが生えるのだ(ToT)
そして、素手でよくかき回して、手の常在菌で発酵させましょう、というかなりやばいレシピもあるのだ。
よく手を洗っていればいいわけじゃなくて、どんな細菌がついているかもわからないのに、というのが驚き。
乳酸菌があればちょっと酸味が出る程度でいわゆる馬乳酒のような乳酸とアルコールが同時にできる発酵につながるけど、普通に腐敗するだけの方が多いんじゃないかな。
納豆をよく食べている人なら納豆菌が入るかもね。
それならまだよいけど、大腸菌とかだと食中毒のおそれもあるので要注意。

そういう意味では、自家製で作るというのはけっこう危険。
ぬか漬けほど手法が確立しているわけじゃないから、自家製ヨーグルトとか自家製天然酵母くらいのリスクかな。
ヨーグルトならヨーグルトメーカーがあるし、基本は種菌を使うのでよいのだけど、健康志向の人たちがあがめる天然酵母と同じようになると事故もそのうち起こるんじゃないかなぁ。
おなかを壊しても、「健康によいはず」の酵素シロップが原因とは思わないのかもだけど。
摂取できる栄養は他で完全にカバーできるものなので、あえて挑戦するものでもないと思うんだよね。
果実酒未満の微発酵ジュースがどうしても飲みたい場合以外は。

2020/07/25

うなー

例年のように、土用の丑の日に大量にウナギを見かけたのだ。
資源量が乏しくなっているはずなんだけど、専門店だけでなく、コンビニの弁当、牛丼系ファストフード店などなどでもうなぎ・・・。
よっと心配になるよね。
ウナギが好きだからこそ、サステイナブルなものとしたいのだ。

ウナギは世界の各地で食用になっていて、日本では古くは万葉集に「みなぎ」として出てくるんだそうで。
その当時から、脂ののっているウナギは勢力のつくものと考えられていたみたいだよ。
夏の土用にウナギを食べるのは江戸時代からのもので、しかも、実は油が落ちていてあまりおいしくない時期なんだよね・・・。
春先か秋が脂がのっていてよいらしいのだ。
でも、現在でも日本では圧倒的に夏に消費量が上がるんだって。

日本で食べられているのは主にニホンウナギ。
これがいわゆるウナギで、四万十川の天然物とか鹿児島の養殖物なんてのは基本的にこれ。
技術的にはやっと完全養殖(卵からふ化させてシラスウナギに成長させ、それを養殖、さらに産卵までさせる。)ができるようにはなっているんだけど、コスト的にはまだまだ。
怪しい出自のシラスウナギもあるようなんだけど、シラスウナギからの養殖の方が安いのでそっちがメインだよ。
このほか、日本にはオオウナギというのも生息していて、これは名前のとおり、大きいのだ。
食用にはなるんだけど、ニホンウナギには劣るので、メジャーには慣れないんだよね。
どうしても大型だと味も大味になるし、何より皮が固すぎることが多いのだ。

ローマ人がむかしから好んで食べていたのはヨーロッパウナギ。
向こうでは燻製にしたり、スープにしたり、ゼリー寄せ(これは英国の伝統料理)にしたりするんだよね。
スペインではシラスウナギのアヒージョもあるみたいだけど。
で、これに目をつけたのが中国。
中国でも日本食ブームでウナギが大量に消費されるようになり、もともと人件費の安い中国で養鰻・加工を行う業者も出てきたりで、ウナギ関連産業が発展したのだ。
で、希少なニホンウナギだけでなく、このヨーロッパウナギも養殖するようになっているらしいのだ。
スーパーで売っている中国産ウナギの中にはヨーロッパウナギもあるみたいだよ。

ヨーロッパウナギの方が身が柔らかい、脂がのっているなんて言われるんだけど、ほとんど素人じゃわからないみたい。
っていうか、養殖だともともと脂がのるものだから、区別つきづらいよね。
それぞれの天然物を食べくれべればわかるのかもしれないけど。
で、このヨーロッパウナギも実は絶滅に瀕していると言われていて、かなり危ういのだ。
スペインのシラスウナギのアヒージョも代替材料を使うようになってきているらしいよ。

そこで次に出てくるのがアメリカウナギ。
これは北米大陸にいるウナギで、実は米国ではあまり食べないらしいのだ。
でも、けっこう厳しい漁獲制限をしているとのこと。
これは「ロスタラータ種」と呼ばれていて、一時期養殖して日本式の食べ方をしてみる、ということも検討されたようなんだけど、けっこう風味が違うみたい。
見た目はそこまで変わらないんだけどね。
生息域が違うと食性も変わってくるから、そういうのの影響なのか。

で、現在最も注目を集めているのが、東南アジアに生息するウナギ。
「ビカラ種」というもので、インドネシアでは日系商社が養殖も開始しているようなのだ。
ニホンウナギに比べて頭が大きく、体長が短い、つまり、ずんぐりむっくりなんだけど、風味は蒲焼きにしてしまうと素人には区別できないくらいなんだとか。
こちらも資源量は豊富というわけでもないし、土地柄、なかなか厳しい漁獲量管理などはできないんだけど、シラスウナギの値段はニホンウナギの1/10!
今はまだ養殖技術が未熟で、成体に成長させるのが難しいので、最終的なウナギの値段はニホンウナギの1/3~半額くらいのようだよ。
養殖技術が成熟すれば、もっと安く提供できるのだ。
その前に、資源管理手法をしっかり確立することが先決だけどね。

こうして、日本人はウナギを求めて世界中に手を伸ばしているのだ。
ウナギ風味のかまぼこを作ったり、ウナギに近い風味のナマズを養殖したりと代替食品の開発も進んでいるんだけど、やっぱりウナギが食べたいんだろうね。
なんにせよ、サステイナブルにウナギを後世に残していくことが大事なのだ。
はるかむかしにはウナギというおいしい魚がいたらしい、なんて歴史の教科書に書かれるのはいやだよね。

2020/07/18

有料になりますが、よろしいですか?

いよいよレジ袋の有料化が始まったのだ。
っていうか、すでにスーパーでレジ袋は有料だったり、レジ袋不要の場合はポイント上乗せだったりと、任意の取組は行われていたんだよね。
でも、今回は法律上の制度というところが大きく異なるのだ。
もともとは、海洋のプラスチック問題が世界的な問題になっている中、オリパラに向けて環境対策をしっかりしてます、と政府としてアピールするため、と言われているよね。
で、レジ袋は実は氷山の一角どころか、小手先注の小手先のことなので、政府が旗を振ってやるような話か、という批判も出ているのだ。
欧米ではコロナの影響で感染を広めかねないエコバッグを使わせないよう、レジ袋が暫定的に無料化されているみたいだし。
どこまでこれが環境問題に貢献するのかはなんとも言えないけど、ひとつの「姿勢の問題」ではあると思うのだ。

で、今回ネット上で大きく批判されている大きな要因は、コンビニの対応だと思うんだよね。
スーパーなんかではもともと有料化されているところが多かったわけで、コンビニでもっとも大きな影響が出るのだ。
さらに、実は有料化対象のレジ袋という概念があって、一定の基準を満たすものは引き続き無料にしてもよいのだ。
ファストフード系はそれを利用して無料を継続しているから、それもあってコンビニに批判が集まるんだよね。
しかも、大手コンビニはみんな実はその無料基準を満たす袋に切り替えているらしいし・・・。
やっぱり弁当やホットスナックなんかを買うコンビニだと、エコバッグを使うのには抵抗が出るんだろうね。

で、その無料にしていい基準だけど、ひとつは、厚手のもので繰り返し使えるものであること、というもの。
つまり、実質上のエコバッグみたいなものというわけだよね。
それから、海洋生分解性プラスチック100%のもの。
海のプラスチックがもんだいになっていたわけで、これもさもありなん。
最後は、バイオマス素材の配合率が25%以上のもの。
基本的に無料でやっているところはこのタイプの袋を使って居るみたいだよ。
コンビニは有料だけど、このタイプのようなのだ。


まず、生分解性プラスチックだけど、これはわりと歴史のあるもので、大きく注目されたのは、長野の冬季五輪のとき。
会場で提供される飲食物に使う食器に生分解性プラスチックであるポリ乳酸が使われていたのだ。
生ゴミと一緒に捨てるとバクテリアが分解してくれるんだよね。
一方で、このポリ乳酸のような伝統的な生分解性プラスチックは海洋では必ずしも分解されないんだって、。
もともとぬれに強い(=撥水性がある)、腐食しづらい、というのがプラスチックの最大の利点なわけで、生分解性歩浦須チックといえども、そのまま放置するだけで分解されるようでは使い物にならないのだ。
なので、生分解性プラスチックと呼ばれるものでも、土壌中に埋める、他の生ゴミと一緒に捨てるなど、もともと分解してくれるバクテリアが繁殖している環境中に置かないと分解されないわけ。
で、海洋というのはその環境ではないんだよね。

そこで、現在は海洋環境中で分解されやすいプラスチックの開発が進められているそうだよ。
実は、漁具(ブイ、漁網など)が海洋プラスチックの大きな割合を占めるようなので、こういうものが時間をかけてゆっくり分解されるような海洋生分解性プラスチックに置き換われば、かなり状況は改善するんだよね。
どのみち耐用年数はあるものなので、コスト的に見合えば使われると思うのだ。
それと、レジ袋以上に問題なのはペットボトルのようなので、代替する容れ物も必要なんだろうなぁ。
ペットボトルは非常に便利なのだけど。

バイオマス素材配合のプラスチックというのは、原材料が違うというだけで、ものとしてはこれまで使われていた一般的なポリエチレンのレジ袋と同じもの。
石油系材料ではなく、カーボン・ニュートラル(=炭酸ガスの増減に影響を与えない)な材料を使うというだけだよ。
なので、無料になっているレジ袋も基本的にはこれまでのレジ袋と何ら変わるものではないのだ。
おそらく製造コストがちょっと高いだけ。
一方で、さっき出てきたポリ乳酸のようなバイオマス由来の生分解性プラスチックを使って、バイオマス材料使用+生分解性ありというレジ袋も作ろうと思えば作れるのだ’(例えば、生ゴミを発酵させると、乳酸ができて、その乳酸を化学的に重合させると生分解性プラスチックのポリ乳酸が作れるのだ。)。
これはかなり高価になるので、なんらかの認証制度と組み合わせて環境意識高い系の人々に積極的に買ってもらうようにするような戦略がないと実用性はなさそうだけど。
ま、民間企業にとってはこれは大きな話なんだろうけど。

2020/07/11

マメの底力

遅ればせながら、家で豆苗の再生を試みているのだ。
といっても、水につけておくだけの水耕栽培なので、ほとんど手はかからないのだけど。
そんなわずかの手間で、あれよあれよと芽が伸びてくるのでびっくりしているよ。
すごい生命力だよね。
テレビなんかでたびたび再生できるというのを見てやってみたくなったのだ。

この豆苗、名前のとおり、マメから出た新芽(スプラウト)を食べるもの。
マメ由来のスプラウトと言えばもやしも同じだけど、灯明の場合は光を当てて育てるので、鮮やかな緑なのだ。
ちなみに、豆苗はエンドウマメ、もやしはリョクトウやダイズを使うよ。
スプラウトとしてはカイワレダイコンがメジャーだったんだけど、ちょっと辛いんだよね。
で、エンドウマメのスプラウトの場合、ほのかなマメの香りと甘み、しゃきしゃきとした食感、アクのなさなどで、そのままでも食べられるし、さっとゆでるだけ、炒めるだけでも食べられるので、広がってきているそうなのだ。
そして、極めつけは、再収穫。
もともと豆苗は水耕栽培により植物工場で栽培されていて(畑じゃない!)、マメ本体と根と脇芽さえ残っていれば、そこから新しいスプラウトができてまた食べられるのだ♪
脇芽というのは、豆本体のすぐ上くらいにある芽の部分だよ。

もともとは中国の高級食材で、栽培しているエンドウの「若菜」をわざわざ摘み取ったものなんだって。
これはとても手間がかかるので上流階級のヒトの食べ物だったんだよね。
ところが、米国でブロッコリーのスプラウトがブームになった頃、エンドウマメのスプラウトも同様に作れることがわかり、そこで豆苗の植物工場による水耕栽培が始まったのだ。
20世紀の終わりくらいから市場に出始め、中華料理の炒め物などで食べられるようになるんだ。
リーマン・ショック行こう、節約志向が高まると、再生できるというメリットで家庭にも普及。
生でも、ゆでても、炒めても、という使い勝手の良さで一気に普及したらしいのだ。
もともとエンドウマメはいろんな食べ方をしていて、日本では伝統的に成熟・乾燥させた豆を煮豆(うぐいす豆)などに加工していたし、西洋では熟し切る前の豆をグリーンピースとして食べるのだ。
このほか、未成熟のままさやごと食べるサヤエンドウ、まめができたところでさやごと食べるスナップエンドウもあるよ。
そして、この豆苗なのだ。
エンドウマメは重要な栽培種なんだよね。

スプラウト系の大手の村上農園によれば、豆苗の再生の場合、毎日水を取り替えるとよいんだって。
これは雑菌などの繁殖を防ぐためだとか。
肥料を上げた方が育ちはいいけど、余計なもが生えたりもするので、栄養はマメ本体に完全に依存して、水だけあげるのがよいそうなのだ。
そして、直射日光ではなく、室内で割と日当たりのよいところに置くのがベストらしいよ。
直射日光かだと育ちがまばらになって、すぐ育ちすぎで堅くなるみたい。
そして、マメ本体は水につからないようにするのも大事みたい。
1回の再生は確実で、2回目もまあまあいけるんだけど、さすがに3回目以降はきついみたい。
ま、1回でも再生できれば得した気分だよね(笑)

2020/07/04

ゆれてゆられて

ボクも小さい頃はけっこう乗り物酔いしたんだよね。
長距離のバス移動なんかはきついし、船もよく揺れるようなやつはダメ。
なので、よく乗り物酔いの薬のお世話になったのだ。
正直、聞いているかどうかはあやしいのだけど(笑)
気休めくらいにはなっていたのだ。
まさにプラシーボ効果だね。

この乗り物酔い、実は今もってどういうメカニズムで発生しているかよくわかっていないんだって。
っていうか、「乗り物酔い」っていうのをどう定義するかの問題もあるんだよね。
バランス感覚を司っている三半規管に影響が出て諸症状が起こっているのは確かなんだけど、その症状は、頭が重くなる、気持ち悪くなって場合によっておう吐する、冷や汗が出る、血の気が引くなどなど。
どういうメカニズムでそういう症状が出てくるかの詳細はわからないのだ。

本音を言えば、死ぬような症状ではなく、不快だ、というだけなので、医学者がしのぎを削って突き詰めていく、ということがなかったんだよね。
でも、この不快感をなんとかしてほしい、というニーズはあるので、酔い止めの薬というのは存在しているのだ。
ところが、この酔い止めの薬の開発が大変だったんだ。
というのも、小型実験動物としてよく使われているネズミやウサギは乗り物酔いをしないのだ!
ひょっとしているとしているのかもしれないけど、外から見ただけでは撚っているかどうか判断できないのだ。

人間と同じように乗り物酔いするのは、イヌ、ネコ、サルなどの大型の動物ばかり。
これらの動物は乗り物酔いをすると「吐く」んだよね。
なので、撚っているかどうかが明らかなのだ。
でも、実験動物としては大きいし、何より1匹1匹が高い!
そこで、小型の実験動物が求められていたのだ。
そこで目をつけられたのが、ジャコウネズミ。
ネズミと言ってもむしろモグラの仲間でげっ歯類ではないのだ。
なので、実験動物そしては「スンクス」と呼ばれることが多いよ。
ちなみに、このスンクスを実験動物の傾倒して確立したのは日本なのだ。

スンクスはネズミくらいの大きさで、揺れる台の上に固定して適宜揺らすと乗り物酔いをして、吐くんだよね。
なので、薬を投与してその様子を観察すると、吐き気が抑えられたかどうかがわかるのだ。
こうしていろんな薬が試されていって、今では確立した酔い止めの薬というのが存在しているのだ。
なんで聞くのかわからないものもあるのだけど。

その中で、比較的作用がわかっているのが、抗ヒスタミン剤。
風邪薬や花粉症の薬に入っているもので、眠気をもたらす副作用もあるよ。
この副作用は中枢神経系に対して鎮静作用を持っているからなんだけど、どうもこれが他にも聞いているのだ。
実は、吐き気についてはわりとよくわかっていて、脳の中にあるCTZ(化学受容トリガー領域)という部分があって、そこが刺激されるとおう吐反応が起こるのだ。
なので、そこを抑制すると吐き気が止まるわけ。
まさに抗ヒスタミン剤はここに作用することが知られているよ。
ただし、実は問題があって、ここに薬を作用させると吐き気は止まるんだけど、気持ち悪さ(悪心)までが解消されるわけではないらしいのだ。
つまり、ここだけをターゲットにして薬を作っても、「気持ち悪いんだけどはけない」という最悪な状況をもたらしかねないのだ。
なので、実験動物で調べた後、ヒトがどのように感じるかを詳細に調べる必要があるんだよね。
こういう「気持ち悪さ」みたいなのは数値化もしづらいので、けっこう大変なんだと思うよ。
でも、酔い止めというのは、臨床現場で使われるようなくすりではないし、ある程度プラシーボ効果も見込まれるもので、そこまで厳密でなくてもなんとかなっているんだよね。
とはいえ、つわりの軽減や抗がん剤の副作用である悪心・おう吐への対応という他の用途もあるので、さらに研究は進められているみたい。

この乗り物酔いという状態には、加速度の時間変化である躍度又は加加速度が関係していると言われているお。
距離の時間変化(時間による微分)が速度、速度の時間変化hが加速度で、加速度がどのように時間変化をするか、というもの。
このままだとイメージしづらいし、直線運動だと理解しづらいんだよね。
ある点を中心にそのまわりをぐるぐる回る等速円運動を考えると比較的イメージしやすいのだ。
等速円運動をしているとき、その物体は円の中心方向に引っ張られるように力がかかっていて、進行方向から見て円の中心方向に90°ずれた方向に加速度がかかっているのだ。
この加速度が一定だと同じ速度で円を描くんだけど、この加速度がぶれると、その円がぐちゃぐちゃになるのだ。
まさにカーブを曲がるときにきれいになめらかな曲線を描いて曲がるのではなく、ふらふら揺れながら曲がる感じ。
そういう動きを思い浮かべると、確かに乗り物酔いしそうだよね。
それと、加速度の時間変化というのは、来るまで言えばアクセルやブレーキのきかせ方ということなのだ。
アクセル踏みっぱなしでどんどん速度を上げている時は快適だけど、頻繁にアクセルの踏み込み具合を変えたり、ブレーキをちょこちょこ踏んでみたりすると車の動きがぎこちなくなるよね。
下手な運転で車酔いしやすいのはこういうところに原因があるみたい。

2020/06/25

本物のシャリ

お釈迦さんの遺骨や遺髪は「仏舎利(ぶっしゃり)」といって信仰の対象になっているんだよね。
キリスト教で言うところの「聖遺物」なのだ(イエス・キリストの場合は復活後に昇天していてしたいが残されていないので、当然遺骨はないよ。)。
そして、聖骸布や聖十字架の信憑性が怪しまれているのと同じように、「仏舎利」も怪しいのが多いのも事実。
そもそも、世界中にある「仏舎利」といわれるものの総量はゾウ何頭分もあるとも推測されているのだ。
釈迦牟尼にはいろんな身体的特徴があって、常人とはかなり異なるんだけど、そこまでの巨人とは言われていないのだ(笑)

日本には仏教伝来初期から仏像があるのでいまいちイメージがわきづらいのだけど、世界三大宗教はどれも「偶像崇拝」はしないのが基本なんだよね。
今でも偶像崇拝の禁止が徹底されていることで有名なのはイスラム教で、そのために幾何学模様が発達したのだ。
原始仏教においては、釈尊は明示的に仏像を作ることを禁じていたわけではないのだけど、もともとバラモン教でも神像を作る習慣がなかったこともあり、仏の似姿を作って信仰の対象にする、という教えはなかったのだ。
ところが、古代インドで仏教が広まって行くに従って、ヘレニズム文化の影響を受けたガンダーラなどで「バタ臭い(=西洋っぽい造作)」の仏像が作られはじめ、ここにヒンドゥー教由来の神様なんかも混ざって、多種多様な仏像が作られるようになるのだ。
日本に伝来しているのは基本は中国でフォーマットが確立されたものだけどね。

仏像以前の世界では、お釈迦様の教えである言葉が仏典として伝えられ、それが信仰の対象になっていたわけど、これは無体物なので、深く教義を理解していない信者には信仰の対象として扱いづらいのだ。
そこで、目に見えるものとして、お釈迦さんの遺体や遺髪があがめられるようになるんだ。
それが仏舎利信仰の起こり。
当然数に限りがあるので、このほかにも、仏典を仏塔に入れて「見える化」したものや、お釈迦様の足跡を刻みつけたもの(仏足石)なんかが信仰の対象になるよ。
仏像が出てくるとそっちがメジャーになるんだけどね。

インドから東南アジアくらいまでは仏舎利も足りていたんだけど、中国まで広がるとそうもいかないわけで・・・。
そこで、仏舎利が納められた仏塔(ストゥーパ)の前で、仏舎利の代替品となるものを供養して持ち帰り、それをあがめる、という方式が編み出されたのだ。
多くの場合宝石などが代替品に選ばれたみたいだよ。
当然、日本仏教は中国仏教から来ているわけで、この方式が踏襲されているのだ。
法隆寺の五重塔には仏舎利の代替品であるダイアモンドが心礎の中に納められていたというよ。

で、代替品であることがきちんと認識されているうちはいいんだけど、いつしか「仏舎利を納めている」というところだけが残って、それが代替品なのか本物なのかがわからなくなるようになってくるのだ。
そんな状況で、もともと代替品を納めていたところからさらに仏舎利が分けられたりすると・・・。
瞬く間に仏舎利が増殖していくんだよね。
おそらく、世界中に巨人に相当するような仏舎利があるのはこのため。

でも、実は本物の仏舎利といわれるモノがあるのだ。
それは、19世紀の終わりに英国人ウィリアム・ペッペさんがインド・ネパール国境付近で発掘したもの。
非常に古い水晶の壺になにやら仏舎利らしきものが収められていて、その壺に書いてある古代の文字を解読したところ、釈迦及びその一族の遺骨である、と記されていたことがわかったのだ。
すでにインドでは仏教が廃れていたので、英国政府はこの遺骨を当時の随一の仏教国であるシャム(タイ)の国王に寄贈するのだ。
シャムの王様も立派で、その一部をさらにビルマ(ミャンマー)、セイロン(スリランカ)、日本などの仏教国に分けたんだよね。
で、日本にも来ているわけ。
ちなみに、本当の本当の仏舎利は、釈迦の入滅後その所有を巡って争いが起き、8等分されてしまうんだけど、古代インドのアショーカ王はそのうち7つを集め、さらに細分化してインド中の寺院に配ったと言われているんだ。
とすると、発見されたのはアショーカ王が手に入れられなかったやつ?

そして、日本に来ることになったその仏舎利だけど、当然国内でも誘致合戦になるんだよね。
特定の宗派の所有にすることもできなかったので、最終的には、超宗派で名古屋に覚王山日暹寺というお寺を作り、そこに納めることにしたのだ。
「覚王」とは「釈迦」の別名で「暹」は「シャム」のこと。
シャムが対に国名を変えてからはお寺の名前も「日泰寺」に変更されているよ。
その仏舎利(真舎利)は奉安塔の中に納められているんだけど、取り出すにはこの塔を取り壊すしかないらしいよ。
ま、こういうのは見ないに越したことはないのだろうね、たとえ本物であっても。

2020/06/20

まとめて処罰

先の参議院選挙における選挙違反事件が大きな展開を見せたのだ。
最初はウグイス嬢への法定上限を超える報酬が支払われた、という話だったんだよね。
ところが、さらに事件の捜査が進むと、地元有力者への金銭をわたしていたのではないか、という買収事件になったのだ。
地検特捜部がいまもっとも力を入れている政治スキャンダルなんだよね。
で、今般、ウグイス嬢への違法な報酬の件で担当秘書に実刑判決(懲役1年6月、執行猶予5年)が出たので、次の焦点が、連座制の適用の有無になってきたんだ。
とはいえ、この「連座制」というのがいまいちよくわからないので、少し調べてみたよ。

一般的に「連座制」というと、罪を犯した本人のみならず、その関係者も合わせて処罰することのようなのだ。
でも、近代の罪刑法定主義の世界では、原則的に行為者の恋又は過失があった場合のみ犯罪が成立するものとしていて、関連する集団に属していると言うだけでその周りの人が処罰されることはないのだ。
日本国憲法でも、第31条で「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」と罪刑法定主義の大原則を掲げていて、法律上定められている罪を犯さない限りは処罰されないのだ。
なので、関係者だからといってついでに処罰なんてもってのほかで、共犯であることがきちんと証明され、当該犯された犯罪に対して一定の責任を持って何らかの行為が行われた、という認定が必要なのだ。

このため、一般的に日本の刑法の世界には連座制の適用はなく、あくまでも共犯かどうかという観点で見るんだよ。
ただし、明確に法律上監督責任が定められていて、その責任を十分に果たし切れていなかったという責任に対して刑法上の罪に問われる場合はあるよ。
これも法律上定められているものなので、民法で言う一般監督義務とか善管注意義務とは少し経路が違うのだよ。
例えば、会社の部下が強盗をしたからといって、その上司は形状上の責任は問われないよね。
詐欺集団の組織的犯罪における上司部下関係だったら別だけど、これは上司も罪を犯しているのだ。

そんな中、公職選挙法だけは連座制が適用されるのだ。
候補者本人だけでなく、その塩田で選挙運動を取り仕切る人や、会計・出納の責任者、親族、秘書などが買収などの違反行為をした場合、党外候補者も罪に問われ、当選が無効となるとともに一定期間の立候補禁止などの罰が与えられるよ。
これがニュースでよく言われている連座制で、秘書に有罪判決yが出た場合、連座制が適用されれば当選が無効になるので、ここが正念場になるというわけ。
でも、国政選挙の場合、そこまで連座制が適用される例は多くないのも事実。
今回は検察が頑張っているので、「くび」をとろうとしていると思うけど。

公職選挙法上、連座制が適用される場合については第251条の2から第251条の4に規定されているんだ。
で、これに該当するような事件が発生した場合、一定の手続きを経て、連座制の適用の可否について判断が行われるのだ。
具体的には、次のようになるそうだよ。
①秘書等に有罪判決が出る。
②当該有罪判決について控訴・上告がない、或いは、控訴/上告があったが棄却されて裁判手続きが終了し、刑が確定する。
③検察が刑に処する旨の通知を申し立てる。
④最後に審判を行った裁判所が、有罪判決が出た旨を候補者に通知する。
⑤候補者は通知の費から30日以内に、「違反者は公職選挙法に定める連座制適用の範囲には該当しないこと」又は「公職選挙法に定める免責事項に該当すること」を理由に、立候補禁止や当選無効に当たらないことの確認を求める訴訟を高裁に提起する。(提起しなかった場合は自動的に連座制が適用される。)
⑥高裁で候補者の敗訴が確定すると連座制が適用される。

今は①に来たわけだけど、その後上告されればもう一度秘書の裁判をするし、そうでない場合も、候補者(現議員)が訴訟を起こして裁判所の判断を仰ぐことになるのだ。
つまり、まだまだ時間はかかりそう。
今回のケースでは、離党はしても議委員辞職はしないみたいだから、連座制が適用されることになるとしても、まだしばらく議員では居続けられることになるよ。
参議院であれば人気が6年なのでさすがに次の選挙まで引っ張ることはないんだろうけど、衆議院の場合は、連座制の適用を争っているうちに次の選挙に突入なんてこともあり得るんだよね・・・。
なんて考えていたら、議員本人の買収疑惑がいよいよ濃くなって逮捕、という流れになったね。
もはや連座ではなく、本人の罪が問われることになるよ。
こっちが検察の本命なんだろうけど。

2020/06/13

あぶらっけのぬけたやつ

高級な醤油で、「丸大豆醤油」というのがあるよね。
ボクはてっきり、「丸大豆」という大豆の高級品種をつかっているのだと思っていたのだ。
普通の大豆より球体に近い形状なので「丸大豆」みたいな。
ところが、これは「まるごと」とか「まるのまま」の「まる」で、大豆全部を使ってと言う意味だったのだ!
逆に言うと、「丸大豆」と書いていない醤油は何を原料にしているのか?
それは、「脱脂加工大豆」というやつだったのだ。

音的な響きだと「脱脂乳(スキムミルク)」に似ているよね。
脱脂乳は生乳を遠心分離して乳脂肪の多いクリームを完全に取り除いたもの。
じゃ、大豆からはどんな油脂をとるのか、というと、そのままの「大豆油」。
日本で使われている食用油の4割くらいは大豆油だって。
ごま油なんかは香りを楽しむものだけど、大豆油は色も透明で香りも薄いので、いわゆる「サラダ油」に向いているそうなのだ。
ただし、江戸時代から日本の油の主流である「菜種油」にはかなわないみたい。

ゴマや菜種は油分が多いので、圧搾法と行ってそのままぎゅっと締めて油を搾り取るのだ。
低温で絞った方が油が酸化せず、香りも飛ばないのでよいとされいるよ。
「玉締め」なんてのが有名だよね。
一方、大豆は同じように圧搾して油がとれないわけじゃないんだけど、もともとそこまで油が多くないので、極めて効率が悪いのだ。
そこで、現在採用されているのが、抽出法という方法。
原料を砕いたりした後に揮発性のある溶媒(大豆油の場合はヘキサンが使われるみたい。)とまぜ、そこに脂分を溶かしこむのだ。
溶媒と混ざった油はこの後に蒸留装置に通すんだけど、溶媒は揮発性なので、ここで分離できるのだ。
で、残った液体の油が大豆油というわけ。
この後も食用油としては生成過程があるんだけど、今回注目したいのは、溶媒に脂分を溶かした後によけられた「かす」の方。

これは「大豆粕」と呼ばれるのだけど、これこそが「脱脂加工大豆」なのだ。
確かに脱脂加工は受けているよね・・・。
脂分の抜けた、おからのようなものなんだけど、これと小麦や麹、塩などの他の原料を混ぜて発酵させて醤油や味噌が醸造されるよ。
この「大豆粕」を使わず、そのままの大豆を原料にして醤油を作った場合、「丸大豆醤油」となるのだ。
でも、もともと脂分を取り去った「大豆粕」で醤油ができるくらいで、醤油の醸造過程ではこの脂分は必要ではないのだ。
すると、「丸大豆醤油」の醸造過程ではどうなっているかというと・・・。

発酵させて「醤油粕」を取り去った後の「生揚げ醤油」にこの脂分が含まれていて、これを整地しておくと油の層が醤油の表面にできるんだ。

これは「醤油油(しょうゆあぶら)」と呼ばれるもの。
って、「油」の時が重なってる!
これは醤油として出荷するときには不要なものなので、副産物として取り去るんだけど、古くはこの油が行灯の燃料に使われたりしたんだって。
行灯の油には魚油なんかも使われたらしいけど、燃料の油によって行灯からはいろんなにおいがしたんだろうなぁ。
醤油はけっこう香ばしくてよい方だよね。
魚油はすっごいくさかったと言うから。
現在は、石けん原料や機械油に使われるほか、カーボン/ニュートラルなバイオ燃料としても使われているらしいよ。

「丸大豆醤油」の場合は、そもそも原料に大豆そのものを使うのでそこで少しコストが高くなり、さらに、醸造過程で後で油を取り除く手間が課かかるので、さらにコストが増すのだ。
これが「丸大豆醤油」が高級な理由。
後で除去するんだから最初から取り除いた大豆を原料にしても同じような感じはするけど、風味とかは変わってくるんだろうね。
それと、やっぱり「大豆粕」と言われると産業廃棄物的なイメージがあるから、「低級」という受け取られ方なってしまうよね。
そういうのもあって、「大豆粕」ではなくて「脱脂加工大豆」と呼んでいるんだろうけど。」
最後に、大豆油の生成過程では、脂肪酸だけを残して、リン脂質が取り除かれるのだ。
このリン脂質が「大豆レシチン」で、今では健康食品としてありがたがって買ってもらえるようになっているよ。
ビールの絞りかすのビール酵母がけっこう高い値段で売られているのと同じように・・・。
醤油を絞った後の「醤油粕」は古くから燃料や肥料、家畜用飼料なんかになっていて、これは今もあまり変わっていないみたい。
けっこう栄養にトムものなので、家畜用飼料としては優秀らしいよ。

2020/06/06

古代小麦

日本でも「古代米」というのが健康食品として注目を受けているけど、欧米でも「古代小麦」というものが同じように健康食品として注目されていると聞いたのだ。
「スペルト小麦」と呼ばれるもので、日本でもネットなどで買えるみたい。
これらは完全な野生種というわけではなくて、かつては主要穀物として栽培されていたんだけど、その後に現在栽培・流通が主流になっているコムギ種にとってかわられたもの。
もちろん、そうなる理由はあるんだよね。

いわゆる「コムギ」として流通しているものの主流は、パンコムギとデュラムコムギ。
パンコムギは名前が示すとおり、パンに使われるコムギなんだけど(笑)、一般に「コムギ」と言えばほとんどこれ。
他のコムギ種よりも耐寒性に優れて冷寒地でも栽培でき、かつ、脱穀がしやすいという特徴があるのだ。
これらの特徴は農業上は極めて重要なアドバンテージなので、現在主流になっているのだ。
スペルトコムギはパンコムギの近縁なんだけど、比較的脱穀しづらいので、食べるのに手間がかかるのだ。
デュラムコムギは言わずと知れたパスタに加工されるコムギ種。
タンパク質が青くて粘りが少ないのが特徴。
イタリアでは、乾燥パスタはデュラムコムギから作らないとダメなんだよね。
逆に、このコムギはあまりパン作りには向いていないのだ。

スペルトコムギの場合は、パンコムギと同じように、粉にしてから使われるんだけど、パンコムギとは少し性質が違うんだよね。
大きく違うのはグルテンの質。
時々「スペルトコムギはグルテンフリー」なんて書いてあるけど、それは嘘で、グルテンの質が違うので、いわゆる「グルテンアレルギーが出づらい」ということはあるみたいだけど、それ以上でもそれ以下でもないようなのだ。
スペルトコムギの場合は、グルテンが水になじみやすく、水と混ぜるとそんなにこねなくてもグルテンができる一方、ちょっとだれたような生地になるとか。
ふっくらしたパンにはなりづらいので、工夫が必要らしいよ。
その他、お米と同じように粒のまま食べることもあるみたい。
イタリアでは、中粒のスペルトコムギは「ファッロ」と呼ばれていて、それをゆでたものがスープの具や付け合わせに使われるようなのだ。
ぷつぷつした食感がおいしいみたい。

健康食品として注目されたのは、パンコムギより少しアミノ酸スコアがよく(必須アミノ酸の含有量が高い)、ミネラルも多いとか。
パンコムギが主要穀物として選ばれ、品種改良されていく過程では、カロリーベースで栄養価が高いことが重要だったんだよね。
つまり、炭水化物として食糧不足だから、そっちが大事で、実際にスペルトコムギはもみ殻が厚く、同じような大きさの粒でも胚乳(=デンプンの貯蔵庫)が少ないのだ。
より小麦粉が多くとれるもの、と選んでいくと、胚乳が大きくなるものが選ばれるわけ。
逆に、そこから取り残されることで、必須アミノ酸やミネラルが豊富、という特徴が残るのだ。
これって実は日本の古代米でも同じような話なんだよね。
カロリーベースの栄養価や食味を考慮するとどうしてもデンプン質が多いものが選ばれていってしまうのだ。

ほかには、独特の風味があるとか、消化によい、というのもあるのだ。
風味は雑味成分でもあるので、パンコムギからは消えてしまったものが残っているというもの。
これは好き嫌いが分かれるけどね。
消化によい、というのは、どうもグルテンの質の違いから来るものみたい。
グルテンアレルギーではなくとも、グルテンを摂取しすぎると消化しきれなくいておなかを壊すことがあるんだよね・・・。
いつもうどんを食べているうどん県の住人なら問題ないのかもしれないけど。
上にも書いたように、スペルトコムギのグルテンは水に親和性が高いので、より消化しやすいみたい。
かつ、デンプンの分解とその後のブドウ糖の吸収を緩やかにすることも知られていて、いわゆる「低GI」というやつなのだ。
これって健康食品が好きな人が求める性質だよね。

というわけで、ボクはあんまり認識していなかったんだけど、日本でもけっこう広まってきているみたい。
今度「意識高い系」のスーパーとかに行ったときに探してみようかな?
フランスにいた頃は見た覚えはなかったんだけど、ひょっとしたら健康食品などを扱う店なんかにはあったのかも。
でも、フランス人はとにかくバゲットにこだわるから、あまり普及はしていないだろうけど(笑)

2020/05/29

DEMAE

コロナによる自粛ムードの中、よく見かけるようになったのが各種デリバリー。
マックやKFCはドライブスルーも好調のようだけど、そういう専用の設備を持っていない場合は、店に来てもらえない以上は、届けるしかないよね。
そのむかしは、そば屋や寿司屋なんかの特定の業種で、いわゆる「出前」や「仕出し」が行われていて、その後、宅配ピザを皮切りに中華や弁当屋、ファミレスなどのデリバリーも増えてきたのだ。
そして、今やUber Eatsによって、それこそ多種多様なお店の料理が自宅で食べられるようになったよね。

日本における出前の歴史は江戸中期頃までさかのぼれるらしいんだよね。
もともと江戸という年は、そのほとんどの土地が武家の屋敷で、商人を含む町人が居住できるスペースは限られていたのだ。
で、すでに江戸時代に百万都市で、それにもかかわらず、基本的には平屋建築しかないわけで、とかなり込み入った都市だったんだよね。
そんな都市で繁栄したのが、露店や行商という業態。
露店としては、そばや天ぷら、寿司なんかがメジャーで、人が集まる場所・時間にそこにお店を開いて商売するんだよね。

さらにサービスがカスタマーよりになっているのが行商で、これで居住場所近くまで売りに来てくれるのだ。
当時は「棒手振り(ぼてふり)」と呼ばれて、豆腐や納豆のような昭和の時代まであったものから、野菜、魚、惣菜なんかもあったようだよ。
当時の江戸は妻帯者が少なく、とういうより、男性人口が圧倒的に多かったので独身男性が多く住んでいたんだよね。
かつ、長屋なんかの場合は居住スペースもせまく、さらに、便利な家電もないから、ごはんを宅だけでもかまどに火を入れないといけないという状況。
そんな中で独身男性が自炊するのは非常に厳しいわけで、外食産業が発達していたのだ。

そして、やっぱり店舗の外食は高いので、露店でそばや寿司を立ち食いしたりするファストフード形態が人気。
とはいえ、これらはあくまで軽食なんだよね。
家でごはんを炊くにしても、おかずだけ買うことが多くて、そのときは行商人から買うことが多かったのだ。
納豆なんかは味をつけた上でネギも混ざっていて、ごはんにのせればすぐ食べられるような状態で売られていたみたい。
このほかにも、煮豆や佃煮なんかも売りに来たようだよ。

そんな外食文化の中江生まれたのが、できた料理を家まで運んでくれる「出前」。
おそらく庶民にはなかなか手が届かないもので、ある程度余裕がある人だけだけどね。
ウナギの蒲焼きなんかはすでに江戸時代に出前がなされていて、その際、ウナギが冷めないように炊きたてのごはんの中にうずめて運んだらしいのだ。
そのときのウナギのたれのしみたごはんがおいしいというので鰻丼が生まれた、という説もあるよ。
また、花街には「仕出し」があって、遊郭で遊ぶ際は酒や料理はその店舗内で用意されているわけではなく、料理屋からの仕出しだったのだ。
こうして、料理を運ぶ文化が築かれてきたわけ。

昭和になるとそばや寿司、ラーメンなんかの出前はかなり庶民にも浸透しているんだよね。
カブで運ぶ際に揺れないようにする専用の装置まで開発されるくらいに。
おそらく、あんまり欧米ではない状況なんだよね。
無効は食べに行くか、持ち帰るの2択だったわけで。
そこで状況が変わってくるのが、「デリバリー」という概念。
べいこくでもおそらくピザが最初なんじゃないかと思うけど、家に料理を届けてもらう、という業態が出てきたのだ。
もともと「ケータリング」という形で料理を外注することはあったんだけど、「ケータリング」の場合はできた料理を持ってくる、というシンプルなものではなく、サーブする人や料理人も混みでやってきて、その場で仕上げや盛り付けをするようなものだたんだよね。
なので、持ってきて終わり、というのはなかったようなのだ。

これが日本にやってくると、日本でもピザに始まって様々なデリバリーが生まれたわけ。
それまでは店舗でも食べられるし、出前もできるし、という業態が多かったけど、ここに来て「デリバリー専門店」というのが出てくるんだよね。
ただし、これらの業態においては自前でデリバリー・スタッフを用意する必要があって、誰でもが手を出せるものではなかったのだ。
だからこそ専門店という形態をとったんだろうけど。

さらに自体が大きく変わるのが、配達行為のアウトソーシングという発想。
もともとUberは、携帯アプリを通じていわゆる白タクの斡旋・仲介を行うサービス形態を始めたわけだけど、それをデリバリーの配送部分に当てはめたのがUber Eatsなのだ。
これまでの出前やデリバリーは配達に要するコストがあらかじめ原価に乗っていたわけだけど、配達の外注によって別途配達料を取ることにしたんだよね。
で、手数料を除いて配達をした人に対価として支払うシステムにしたのだ。
欧米ではもともとかなり普及していたんだけど、独自の出前文化もあり、また、コンビニやスーパーに行けばすぐに弁当が手に入る日本においてはあまり広まっていなかったのだ。
それが、コロナによる外出自粛要請で一気に広まったんだよね。
テイクアウトするにも家から出ないといけないわけで、全く家を出ないのなら届けてもらうしかないわけで。
これまでの出前やデリバリーと比べると配達料が上乗せになるので割高感があったんだけど、既存の出前やデリバリーだとやっぱり食べられるものが限られるので、自由に外食できなくなったこのタイミングで火がついたと考えられるのだ。

自粛ムードが終わった後にどこまで根付いているかはよくわからないけど、確かに便利は便利なんだよね。
その一方で、配達をする人たちは完全に出来高制なので、配達数をかせぐために無茶な運転をしたりして事故なども増えているようなのだ・・・。
そうなると、規制やらなんやらという話が出てきて、抑制方向にいくんだよね。
とはいえ、育児や介護などの理由で家から離れられない人には非常に便利なサービスでもあるわけで。
ポスト・コロナの中でどこまでUber Eatsが生き残っていくのかはなかなかおもしろそうなのだ。

2020/05/23

HEROの世界

なんだか一気に検察庁への注目度が高まったよね。
検察庁法改正を含む「国家公務員法等の一部を改正する法律案」は今国会ではこれ以上審議されないことになったのだ。
そして、最後の最後で黒川さんが文春砲で辞任するとは思わなかったけど・・・。
でも、これって多くの人がそうだと思うけど、そもそも検察庁法ってなんだ?、という疑問があったので、少し調べてみたよ。

霞が関の中央省庁の中で、各省の下に設置されている「○○庁」や「○○委員会」という組織の多くは「外局」と呼ばれるもの。
国家行政組織法は、内閣補助機関(内閣官房や内閣府、復興庁など)を除く行政機関の在り方を規定している法律だけど、その第3条の第1項~第4項までに省、庁及び委員会の基本的な考え方が示されているよ。
別表第一には各省に外局としておかれる庁及び委員会の一覧が示されているんだけど、その中には「検察庁」は入っていないんだ。
文部科学省の下の文化庁や、国土交通省の下の海上保安庁、環境省の下の原子力規制いい内なんかは外局なので、しっかりと入っているよ。
では、「検察庁」の位置づけは何か、というと・・・。
国家行政組織法第8条の3に来ている「特別の機関」なのだ。
同条では「第三条の国の行政機関には、特に必要がある場合においては、前二条に規定するもののほか、法律の定める所掌事務の範囲内で、法律の定めるところにより、特別の機関を置くことができる。」としているよ。

「特別の機関」としてどんなものがあるかというと、外務省の在外公館、文部科学省の日本学士院、国土交通省の国土地理院などなどだよ。
これらは、専門的な行政実務を担う「準外局」的な位置づけの組織。
「庁」とするまでもないけど、一定の独立性を持って業務を行うと言うことのようなのだ。
一方で、総務省の中央選挙管理委員会のような合議制機関の特別の機関については、外局である原子力規制委員会ほどではないけど、格が高いもの、ということで「特別の機関」になっているみたい。
いずれにせよ、「外局」より下に位置づけられているのだ。
でも、「検察庁」の場合はこれらと少し色合いが違うんだよね・・・。
「外局」だと完全に「省」の下部組織になるんだけど、法務省と検察庁の関係はそれとは少し異なるのだ。
「外局」よりさらに下の下部組織的な位置づけの他の「特別の機関」との並びで言うと据わりはよくないのだけど、「特別の機関」になっているみたい。
そのあたりは、「検察庁法」の中にも明確に表れているのだ。

まず、法務省設置法第14条に検察庁についての規定があって、第1項で別の法律で検察庁を設置することを定め、第2項で検察庁については検察庁法の規定によることが規定されているのだ。
つまり、検察庁の設置も検察庁の業務のやり方もすべて検察庁法によるとされているのだ。
で、検察庁法の方に様々な検察組織の規定があるんだよね。
今回問題になった定年に関する規定は第22条だよ。
ここで定年を過ぎても必要であれば業務を継続させる云々の話があって、直前に行われた黒川さんの定年延長の特殊事例との関係が問題視されたのだ。

検察庁法の話に戻ると、まず、ボクがあまり認識していなかったのは、「検察庁」というのは各種検察組織の総称であって、文化庁やら資源エネルギー庁のような組織体があるわけじゃないこと。
検察庁は、各種裁判所に対応する組織で構成されていて、最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁及び区検察庁になっているのだ。
で、これら全部をまとめて「検察庁」と呼ぶのであって、「検察庁」の下に地方組織がぶら下がっているわけではないんだね。

検察官で一番偉いのが検事総長で、この人は最高検察庁の庁でもあって、すべての検察官の指揮監督を行うよ。
その下が次長検事で、各高等検察庁の長となるのが検事長、各地方検察庁の長となるのが検事正なのだ。
で、法務大臣との関与で言うと、第14条に規定があって、大臣は一般的な指揮監督権限は持っているのだけど、捜査や処分に関する指揮監督権は検事総長のみが持っているのだ。
これにより、行政機関の中でも内閣と一定の独立性を持って業務の遂行ができることになっているよ。
騒動の時には「三権分立が」なんて話もあったけど、検察はあくまでも行政の一部で、司法ではないのだ。
でも、政治からは独立性が必要なのでこういう規定が存在しているわけ。
本当に内閣が恣意的に検察幹部の人事に介入することこことの関係が問題になる、というのが本質だよ。

ちなみに、検事総長は英語で「Attorney General」なんだけど、米国だとこれって「司法長官」なんだよね。
つまりは閣僚級の政治任用ポスト。
大統領は検察のトップを任命しているのだ。
ただし、米国の場合は政治任用ポストの任命には上院の承認が必要なので、そこで「恣意的」な人事はできないように睨みをきかせているのだ。

というわけで、おそらく秋の臨時国会ではもう一度この検察庁法改正案を含む「国家公務員法等の一部を改正する法律案」が審議予定。
こうやってちょっと中身を知ると、より理解しやすいはずなのだ。
夏休みを挟んで覚えていなくちゃいけないけど(笑)

2020/05/16

ひろがりにくくなっている?

日本でもやっとコロナが落ち着いてきた感があるね。
でもでも、すでに海外でもそうなっているように、制限が緩和された瞬間にまたぶり返すこともあるから、油断はできないのだ。
いきなり元の生活に戻るのはまだ難しそうだよね。
で、そんな状況なんだけど、欧米と比べると、どうも東アジア一帯は重症化例や死者が少ないんだよね。
最初はBCGによる自然免疫活性化の効果か、なんて話も出たけど、最近になって、日本を含むこれらの国ではすでに「集団免疫」が獲得されているのではないか、という説が出てきたのだ。


「集団免疫」という概念は、社会やコミュニティやそういった大人数のグループの中で、一定数以上の人が免疫を獲得すると、それ以上感染が広がらなくなる、というもの。
今回のコロナで有名になったもので、「再生産数」というのがあるけど、これは一人の人が感染した後、どれだけの人にさらに感染させるかを数値にしたもの。
これが1より大きい数だと、まさにねずみ算式に感染者が増えていくんだよね・・・。
逆に、これが1以下になると新規感染者数が減っていくので、やがて収まるというわけなのだ。
で、これは数学モデルを当てはめるとある程度計算できるもので、グループの規模や人口密度、人と人の接触の度合い等々を勘案すれば、どれくらいの割合で免疫が獲得されていれば再生産数が1未満になるのかはわかるのだ。
これは「閾値(いきち)」と呼ばれるよ。
集団免疫が確立するまでは、隔離によって強制的に感染の広がりを抑えるしかないんだよね。

この集団免疫を人工的に獲得させる手段が予防接種。
インフルエンザなんかがよい例で、予防接種でしっかり多くの人が免疫を獲得できれば、壊滅的なアウトブレイクは発生しないのだ。
ボクの子供の頃は有無を言わさず予防接種をしていた記憶があるけど、今では希望性なので、ちょっと危ないんだよね。
新生児や妊婦、免疫系の疾患のある人などなどはもともと予防接種ができないので、義務化しても摂取率は100%にはならないのだけど、集団免疫の考え方で行けば、閾値を超える割合の人が予防接種で免疫を獲得していればいいので、それ自体は問題ではないのだ。
でも、予防接種が任意になると、十分な割合で免疫が獲得されないので、「はやってしまう」おそが高くなるのだ。
予防接種の場合、自分では予防接種を受けずに集団免疫のおかげで恩恵を受ける人は俗に「フリーライダー」とも呼ばれるのだけど、「ただ乗り」が多ければ集団免疫が獲得できなくなる、ということなのだ。
ただし、インフルエンザの場合は、流行しそうな株を3種混合して予防接種しているんだけど、この予想は必ずしも当たるわけではないので、予防接種しておけば流行しない、というわけでもないので、難しいんだよね。
インフルエンザ脳症などの重篤な副反応のリスクがある中、子供に対する予防接種を義務化できない、という流れになっているのだ。

今回のコロナで言うと、新しい説では、武漢で最初に流行した重症化しづらい(弱毒)ウイルスを早々に輸入した国・地域では、それに対して免疫が獲得できたので、どこかで変異して欧米で流行したより症状が重い(強毒)ウイルスの感染がそこまで広がらないのではないか、としているよ。
日本や韓国はそれこそ春節の時期にたくさんの中国人観光客を迎えていて、その際に、弱毒ウイルスも入ってきていて、重症化しづらいので目立たないけど、広く感染が広まって集団免疫につながっていたのではないか、とのこと。
確かにそう言われると説得力があるんだよね。

これから抗原検査も始まるけど、ウイルスのキャリアをより補足しやすくなるのだ。
抗原検査はPCR検査に比べれば時間も短く、より簡便にできるので、期待されているよ。
一方で、抗体検査というのもあって、これはコロナウイルスに対する交替の有無を調べるもの。
これって一度でも感染して免疫ができた人であれば陽性になるので、特に症状は出なかったけど陽性の人が非常に多く出てくれば、集団免疫獲得説はさらに信憑性が増すのだ。
新規感染者のサーベイも重要だけど、疫学的には本当にどれだけ感染していたのかもよくよく調査した方がよいかもね。
集団免疫が獲得できているかどうかで、制限解除後の対応もかなり変わってくるはずだから。
それにしても、今回のコロナでみんな伝染病に関する知識レベルは相当上がったよね。

2020/05/09

虫下しが効く?

新型コロナが日本でも落ち着きを見せつつあるよね。
もちろん、ここで油断するとまたぶり返すので、しっかりと収束させることが必要。
そのためにノーベル賞科学者の山中先生なんかもPCR検査の増強などの提言をしているのだ。
もちろん、現状では確立した治療法がないのでむやみに検査すればいいというわけではないのだけど、重要なのは、ウイルスのキャリアをしっかりと隔離する体制を作ることのようなのだ。
新規感染者数が減ってくればこれも現実的なわけで、PCR検査数を増やして可能な限り感染者(無症状を含む。)を隔離し、新たな感染を発生させないようにしよう、ということみたい。
それならやっと意味が通るよね。

で、隔離だけだと対症療法や自然治癒だけで治してもらうしかないわけだけど・・・。
「軽傷」と言いつつ、人工呼吸器を使わないだけでインフルエンザ並みの症状が出たり、間質性肺炎で修復不可能な傷が肺に生じたりするので、そうもいかないわけで。
そうなると、やっぱり効果的な治療法がほしいわけ。
今はアビガンがすっごい期待されていて、政府としては、米国で緊急に承認されたレムデシビル(抗エボラ出血熱薬)の特例承認が大きく報道されているよね(先進国で一度承認された薬剤はより簡便な審査で国内承認がとれる制度があるのだ。)。
その中で、全く毛色の違うものも注目を集めているのだ。
それが、駆虫薬のイベルメクチン。

イベルメクチンは、やはりノーベル賞受賞科学者の大村智先生は発見した抗生物質をもとに作られた、マクロライド系の経口駆虫薬。
静岡のゴルフ場にいた放線菌で発見した抗生物質がもとになった、とノーベル賞受賞の時に話題になったもの。
抗生物質でありながらいわゆる通常の細菌(バクテリア)にはほぼ抗菌活性がなかったんだけど、線虫や回虫、糸状虫などの寄生虫駆除には非常に有効だったのだ。
なので、最初は動物医薬として使われ、犬のフィラリア予防薬なんかでブレイクしたんだよ。
その後、ヒトにも使われるようになり、熱帯地域の寄生虫に由来する様々な風土病に有効だったことからノーベル賞につながったのだ。
で、豪州のグループが試したところ、この薬が新型コロナに効くかもしれない、ということなんだよね。

イベルメクチン自体はわりと大きめの化合物で、寄生虫駆除に機能していると言われているのは、無脊椎動物の神経・筋細胞に存在するグルタミン酸作動性塩化物イオンチャネルに特異的かつ高い親和性を持つことにゆらいしているのだ。
常にスイッチがオン状態になることで神経や筋肉が麻痺してしまうようになるんだよ。
でも、ウイルスへの作用はこれとはまた違ったもので、あまり詳細はわかっていないのだ。
でも、もともとHIVやインフルエンザのようなRNAウイルスに対して抗ウイルス活性がある、という報告があって、それで豪州のグループが試してみたらしいよ。

例えば、アビガンはRNAウイルスの増殖の根幹となるRNA合成酵素の働きを阻害するんだよね。
レムデシビルも同じような感じだよ。
これはウイルス活性がわかりやすい。
よくわからないけど効いてそうと言われているのがBCGワクチンや抗マラリア薬のクロロキン。
これらは、自然免疫を活性化するからでは?、と考えられているのだ。
なので、治りが早くなるかも、重症化しないかも、というもの。
さらに、ドイツでは、カモスタットとかナファモスタットというセリンプロテアーゼ(活性中心にセリン残基を持つタンパク質分解酵素)の阻害薬が試されているよ。
コロナウイルスは細胞内に侵入するときに宿主側のセリンプロテアーゼをうまく利用することが知られていて、これらの薬剤はそれを阻害するので、感染を邪魔すると考えられているのだ。

イベルメクチンについてはよくわからないのだけど、細胞内に侵入したウイルスが細胞核内へ移行するのを防ぐのではないか、と一部で考えられているようなのだ。
コロナウイルスはやっぱり宿主の細胞内にあるタンパク質の力を借りて核内へ入っていこうとするんだけど、このウイルスがくっつくタンパク質に先にイベルメクチンがくっついてしまうことで、ウイルスが細胞核内にたどり着けないようにしている、ということ。
核内まで行けなければ自分のウイルスゲノムRNAを複製したり、ウイルスタンパクを合成したりできないので、ウイルスが増えないというわけなのだ。
とはいえ、そもそもイベルメクチンの各種作用はよくわかっていないので、なんとも言えないのだけど。

いずれにせよ、すでに使われている薬で副作用もわかっているものなので、イベルメクチンが新型コロナに効くとなれば福音なのだ!
作用機序はよくわからなくても使われている薬はあるし(特に古い薬)、とりあえずは治療の手段が持てると言うことが大事だよね。
もちろん、効くメカニズムがわかれば、もっと
抗コロナウイルス活性に特化した薬剤が作れる可能性があるので、そっちの研究も大事なんだけど、まずはイベルメクチンが使える薬なのかどうかが大事だよ。

2020/05/02

特効薬か?

コロナは少し収まってきたようなデータになっているけど、緊急事態宣言は延長されそうだね。
ここで気を抜くとぶり返すおそれもあるし、第二波も来るかもしれないからね。
特に、自粛の反動で連休中に外出が増えるとまずそうなのだ・・・。
今年はもう我慢するしかないよね。
そんな中で、大きな希望となりつつあるのが、特効薬として期待されるアビガン。
これは富士フイルムの子会社の富山化学工業が富山大と共同で開発したインフルエンザ用の抗ウイルス薬。
タミフルよりも治療効果が高く、薬剤耐性も生じないと言われている薬だよ。
これが新型コロナウイルスにも効くかもしれない、ということで世界中で期待されているのだ。

アビガンというのは登録商標で、化合物名は「ファビピラビル」。
これはリボ核酸(RNA)のプリン型の核酸(アデノシンやグアノシン)に形が似ていて、RNA合成を阻害するのだ。
インフルエンザウイルスやコロナウイルスはRNAウイルスと呼ばれるもので、遺伝情報をRNAの形で保存しているんだよね。
で、感染した後、そのRNAを鋳型に複製を作らせるんだけど、この世の生物の遺伝情報はのきなみデオキシリボ核酸(DNA)の形で保存されていることもあって、そのまま感染した生物(宿主)の中に元来あるメカニズムでは複製できないのだ。

そこで出てくるのが、ウイルス特有のRNA依存性RNA合成酵素というやつで、これはRNAウイルスにとって非常に重要な遺伝子となっているよ。
まず、この合成酵素を宿主に作らせ、自分を複製していくことになるのだ。
つまり、この酵素が働かなくなれば、ウイルスは増殖できなくなる、ということで、それがこの薬の抗ウイルス作用のもとになっているよ。
もともとはインフルエンザ用に開発されたわけだけど、ノロウイルスのような他のRNAウイルスにも有効だという知見がもともとあって、それで今回の新型コロナウイルスにも使えるのでは?、と試されるようになったわけ。
まだ十分に科学的な証拠が集まっているわけではないけど、なんとなく効きそうなんだよね。
実際に石田純一さんや宮藤官九郎さんはアビガンの服用で治ったと言われているよね。

かなり細かい話になるんだけど、RNAウイルスには、どのような形で遺伝情報としてのRNAを持っているかでさらに分類されるのだ。
まず、二本鎖なのか、一本鎖なのか。
一本鎖の場合はさらに分かれて、+か-かというのがあるのだ。
これはRNAのオス・メスみたいな話で、+というのは、そのままタンパク質の設計図になる配列を持つRNAのこと。
逆に、-の方は、自分自身は鋳型にはならず、それに相補的なRNAが設計図になるもの。
つまり、+鎖を持っている場合はそこからいきなりタンパク質が作れるんだけど、-鎖の場合はいったん相補的RNAが作られないとタンパク質の合成はできず、何よりもRNA依存性RNA合成酵素がないと何もできないんだよね。
なので、インフルエンザウイルスのような一本鎖-鎖RNAウイルスの場合は、最初からウイルスの中にこの酵素が入っているんだよ。
+鎖だと感染してから作らせればいいんだけどね。

なお、+鎖はさらに二つあって、コロナウイルスやノロウイルスはそのまま自分のRNAをタンパク質の設計図にも使うし、遺伝情報の総体(ゲノム)にも使うんだけど、中には、逆転写と言っていったんゲノムRNAに相補的なDNAを作り、そのDNAからmRNAを作らせてタンパク質を合成するものもあるのだ。
この逆転写を行うものをレトロウイルスと呼ぶんだけど、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)なんかが代表例だよ。
逆転写させる場合は、ゲノムRNAに相補的なDNAを作った後、それを二本鎖にし、さらに、宿主のゲノムDNAの中に挿入するのだ。
こうすることで、宿主のゲノムにコードされている遺伝子制御領域なんかを転用できるわけ。
そして、プロウイルスとしてサイレントに細胞内に潜伏するのだ・・・。
HIVの潜伏期間が異様に長いのはこのためだよ。

で、ノロウイルスはコロナウイルスと同じ一本鎖+鎖RNAウイルスなので、ノロに効くならコロナに効くかも、という発想が出てくるわけだよね。
インフルエンザの場合は、上で見たように最初にRNA依存性RNA合成酵素が働かないと感染が成立しないから、本当の入口を押さえるわけ。
でも、+鎖の場合は、最初にすでに設計図のRNAを持っているので、それをもとにウイルスタンパク質は多少は作られてしまうんだよね。
これが感染・症状にどこまで影響を及ぼすのか、というのがおそらく鍵なのだ。
でも、+鎖でも、RNA依存性RNA合成酵素さえ阻害してしまえばそこまで増えないので、有効ではあるはずなのだ。
これが本当に特効薬だとよいのだけれど。

2020/04/25

適切なハイターを

新型コロナウイルスが収まる気配がないよねぇ。
さらに緊急事態宣言が全国規模になったこともあって、マスク不足も解消される見込みがないのだ・・・。
シャープが売り出したやつもサーバがダウンして1日で販売中止になってしまったしね。
そんな中で、注目を受けているのがマスクの再利用。
洗って消毒して数回使いましょう、という流れだよね。

布マスクはOKなんだけど、不織布のマスクは熱湯消毒がダメなことが多いし、ウレタンマスクも熱湯につけると劣化が早まることがあるんだよね。
そこで、消毒剤として人気なのがハイター。
消毒用アルコールはもう手に入りづらいけど、漂白剤のハイターはまだ手に入る、ということで推奨されていることが多いのだ。
つけ置きして、よくすすいでから陰干しすればいいということなのだ。
でも、ここで注意が必要。
ハイターという名称でも、この消毒には使えないものがあるよ!

ハイターやキッチンハイターは塩素系で、次亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムを主成分とする、アルカリ性の漂白剤なのだ。
液中に存在する次亜塩素酸イオンや電離していない次亜塩素酸に殺菌効果があるのだ。
次亜塩素酸はHClOという化学式だけど、H-O-Clという形で元素が結びついているんだよね。
酸素は-2価で、水素と塩素がそれぞれ+1価になっているわけだけど、通常塩素は-1価になりやすいので、この状態は極めて不安定。
そこで、塩素は電子を2つもらって-1価になろうとするのだ。
これが強い酸化力のもとで、殺菌や漂白の作用の源だよ。

このほかに、ワイドハイターやハイドロハイターというのがあるのだ。
ワイドハイターは酸素系の漂白剤で、過炭酸ナトリウム(炭酸ナトリウム過酸化水素水)の酸化力をつかうものなんだけど、塩素系に比べて酸化力は弱く、そのために色物にも使えるけど、殺菌作用はないよ。
酵素の力で色素を分解するだけで、ウイルスや細菌を無効化することはできないのだ。
ワイドハイターはいわゆる「カルキ臭」がしないのでマスクの消毒に使いたくなるんだけど、それじゃダメなのだ。
もうひとつのハイドロハイターは還元系の漂白剤で、ハイターが強力な酸化剤であるのに対し、こっちは電子を受け渡して還元するもの。
やっぱりこれでは殺菌力はないよ。
ハイターやワイドハイターは液体だけど、ハイドロハイターは粉末なので、まず間違えないとは思うけど。

ハイターやキッチンハイターのような塩素系漂白剤を使うときの最大の注意点は、「混ぜるな危険」。
さんと混ぜると有毒な塩素ガスが発生してしまうのだ・・・。
仮に布マスクを洗濯して、消毒して、と考える場合、強酸性の洗剤を使わないように気をつけないといけないのだ。
といっても、酸性洗剤って強いものが多くて、普通はトイレ・風呂場用のカビ取りなんかなので、洗濯に使うことはまずないはずだけど。

2020/04/18

ばっちり注射で元気を保つ?

日本では新型コロナウイルス感染で重症化する例が少ないと言われているよね。
で、その理由がいろいろ考察されていて、もともと手洗い・うがいが励行されているから、医療提供体制が充実しているから、神風に守られているから(?)、などなど様々な意見があるんだよね。
そんな中に、まことしやかに提唱されているのが、BCGが抵抗力を上げているのではないか、というもの。
これはつい先日世界保健機関(WHO)から否定する声明が出てしまったけど、その可能性があるということで科学的検証も行われつつあるんだよね。
どうも日本で接種されている株が有効らしいとかで、それが本当に効果があるかを確かめるのだ。
ちなみに、日本医師会からは、未だに科学的根拠が確かめられていない、という見解が示されているのだ。

BCGというと、ボクらの世代は「はんこ注射」を思い出すんだよね。
筋肉注射で痛いツベルクリンをやった後、陽性でないとあんまり痛くないはんこ注射を打たれたのだ。
これは皮下注射で一度にいくつもの針で刺すんだよね。
痛みはないけどきっちりと跡は残って、ボクも上腕部に跡があるのだ。
でも、結核予防法が改正され、今は生後3ヶ月程度の赤ちゃんにツベルクリン反応の有無にかかわらず接種するんだって。
若い子はあの跡がないのか・・・。

ボクは、BCGっていうのは何か英語の頭文字をとったものだと思っていたんだよね。
予防接種の三種混合は、ジフテリア(Diphtheria)、百日咳(Pertussis)、破傷風(Tetanus)の3つなので、俗にDPT注射と呼ばれたのだ。
これと同じような感じ。
でも、BCGって、フランス語で「Bacille de Calmette et Guérin(カルメット・ゲラン桿菌)」の略なんだって!
ウシ型結核菌を実験室で培養を繰り返して確立された弱毒性の結核菌で、これを生ワクチンとして使うので、そのワクチン自体もBCGと呼ばれるようになったとか。
結核といえばかつては死因の大きな部分を占めるほどの脅威だったけど、BCGによる予防でかなりリスクの低減ができたんだよね。
今でも日本では定期接種になっているのだ。

ここで言う「生ワクチン」というのは、生きた菌をそのまま接種し、感染させるタイプのワクチンのこと。
症状の軽い感染状態を作り出して、免疫を作るのだ。
天然痘の対策として考案された牛刀の流れを直接くむもの。
逆に、死滅した細菌やウイルスを用いたワクチンは不活化ワクチンと呼ばれるのだ。
この場合は毒素だけを取り出したり、病原体に特徴的なタンパク質だけを取り出したりして、それに対する抗体を作るよ。
生ワクチンで代表的なのは、BCGのほか、風疹、麻疹、おたふくかぜ、水疱瘡など。
不活化ワクチンは、さっきも出てきた三種混合、インフルエンザ、日本脳炎など。

当然このふたつには違いがあるんだよね。
生ワクチンは実際に感染させるので、細胞性免疫と言われる、感染した細胞をT細胞やNK細胞が除去する免疫システムも活性化させるのだ。
これがひょっとしたら新型コロナウイルスへの耐性を高めている可能性があるといわれているよ。
ただし、感染を引き起こすので、免疫が低下している人やもともと抵抗力の弱い人の場合は症状がひどくなるおそれもあるんだよね。
また、弱毒性の細菌やウイルスが作れないと使えないので、開発にはけっこう時間がかかるよ。

これに対し、不活化ワクチンは病原体の特徴的な部分に対してのみ抗原抗体反応(液性免疫)を惹起するもの。
生ワクチンと違って直接感染させるわけではないので相対的にリスクは低いんだけど、製剤自体の扱いが難しかったり、免疫の持続時間が短いなどのデメリットもあるのだ。
また、一気に免疫が獲得されないので、通常は何度かに分けて接種するよ。
有名なインフルエンザの予防接種だと2回接種が基本だよね。
で、こっちは原則として病原体と免疫が1:1対応になるので、BCGが新型コロナに効く?、みたいな副次効果は期待できないのだ。

2020/04/11

エマージェンシー、これは訓練ではない

ついに一都一府五県に非常事態宣言が出たのだ。
これで生活も大きく変わるのか?
といっても、実際問題として何が変わるかいまいちよくわからないんだよね・・・。
というわけで、少し調べてみることにしたよ。

まず、今回の「非常事態宣言」は2009年の新型インフルエンザの感染蔓延を契機に制定された「新型インフルエンザ等特別措置法(新型インフル特措法)」の第32条に基づくもの。
もともとこの法律の対象は、新型インフルエンザ等で、その対象は、同法第2条の定義において、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症予防法)」第6条第7項に規定する「新型インフルエンザ等感染症」及び同条第9項に規定する「新感染症」なのだ。
前者の「新型インフルエンザ等感染症」は単純で、新型インフルエンザと再興型インフルエンザのこと。
後者の「新感染症」は未知だけど脅威のある感染症を広く対象にできるように規定されているもので、「人から人に伝染すると認められる疾病であって、既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるもので、当該疾病にかかった場合の病状の程度が重篤であり、かつ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの」となっているのだ。

ところが、ここで問題が発生。
今回の「新型コロナウイルス」については、この感染症予防法が対象とする「新感染症」とするのは難しい、との法解釈があったので、そのままでは新型インフル特措法の対象にならないとされたのだ。
これは総理も厚労大臣も国会で答弁しているようだよ。
そこで、改めて、「新型コロナウイルス」が新型インフル特措法の対象になるように法改正が行われたんだよね。
それにより、最大2年間、「新型コロナウイルス」は新型インフル特措法における「新型インフルエンザ等」とみなす、ということになったんだ。

この改正法が通って施行された後、いつ「非常事態宣言」が出るかでメディアがさわがしかったわけだけど、実は、「非常事態宣言」が出ずとも、「新型インフル特措法」の対象になればこれまでできなかったことができるようになっているのだ。
例えば、政府は総理を本部長都市、全閣僚を構成員とする、法定の対策本部を設置し、新型コロナウイルス対策に関する基本的対処方針を定めることになるんだよね。
加えて、政府対策本部が設置された場合は、各都道府県にも都道府県対策本部が設置されることに安るんだよね。
これで全国規模の指揮命令系統が確立するのだ。
そして、医療関係者に対する優先的な予防接種の実施や、感染症発生国からの船舶や航空機の検疫を強化する「水際措置」が発動できるようになるよ。
で、しばらくはこれで対応していくわけ。

いよいよ切羽詰まってくると、「非常事態宣言」が出されるのだけど、その際に2つの要件があるのだ。
これは新型インフル特措法の施行令第6条に規定されているよ。
ひとつは、対象感染症の範囲で、「当該新型インフルエンザ等にかかった場合における肺炎、多臓器不全又は脳症その他厚生労働大臣が定める重篤である症例の発生頻度が、感染症法第六条第六項第一号に掲げるインフルエンザにかかった場合に比して相当程度高いと認められる」とされたいるのだ。
今回の新型コロナウイルスは微妙ではあるけど、肺炎のリスクが高いと判断されているわけだね。
もうひとつは感染・流行の態様で、ざっくり言うと、調査等を行っても感染経路がとどれないなど感染拡大のおそれが疑われる場合、ということ。
これは完全に当てはまるよね。
というわけで、今回の新型コロナウイルスもこれら要件を満たしたとされて、「非常事態宣言」が出たのだ。

「非常事態宣言」は最大2年間の期間(更なる1年間の延長は可能)に、特定の範囲(都道府県単位)で出されるもので、これが出ると更なる措置が可能となるのだ。
体系的には、都道府県対策本部に加えて、市町村対策本部も設置が義務化されるよ。
対象範囲となっている都道府県知事は「特定都道府県知事」、市町村長は「特定市町村長」となり、各種要請の主体となって対策を講じていくんだ。
実際に「非常事態宣言」が出た場合にどういうことができるかは法律で決まっているんだけど、この内閣官房の概要資料が比較的わかりやすくまとめられているよ、。

代表的なもので言えば、すでによく話題になっているけど、外出の自粛要請。
そして、補償問題で騒がれつつあるのが、人が集まる施設等の使用制限に関する要請。
こちらは、施行令第11条でより細かく範囲が規定されていて、学校、保育所、介護施設、劇場、映画館、演芸場、集会場、公会堂、展示場、百貨店や物販販売業(食品や医薬品などを除く)、ホテル・旅館、体育館、水泳場、ボーリング場、博物館・美術館、図書館、遊興施設(キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホール等)、理髪店、質屋、貸衣装屋、自動車教習所、学習塾等々。
これは各都道府県知事が各都道府県の実情に応じてそれぞれ要請するのだ。
ちなみに、法律上は制限の要請をしても国又は都道府県がその損失を補償することにはなっていない、というのが騒がれているポイント。

これとは逆に、補償されるものもあるんだよね。
それは、医療のように供するために土地や建物を使わせてもらう場合。
原則所有者の同意を得るんだけど、同意下得られなくても強制的に使用することができる、というのが特別な措置。
例えば、今進められているのは、軽症患者を収容するためにホテルを使わせてもらう、なんていうやつだよ。
この場合は国や都道府県がそのお金を支払ってくれるのだ。
これは法律に規定されているんだよね。

というわけで、政府対策本部が「非常事態宣言」を出した後は、対象範囲に入った都道府県の特定都道府県知事が各種要請をどのように出すかがポイントになるわけ。
それによってだいぶ生活の仕方も変わってくるのだ。
東京都はすでに要請先を公表、大阪とかは週明けだって。
感染拡大を未然に防ぐのはこれからが本番。
これがうまくワークすればよいのだけど、新型インフル特措法に基づく「非常事態宣言」って今回が初だから、なんとも言えないんだよね・・・。

2020/04/04

古来よりおそろしい病気

新型コロナウイルスの世界的な流行で、改めて「肺炎」という病気に注目が集まっているのだ。
でも、実は肺炎は古くから主要な死亡原因の一つなんだよね・・・。
特に、高齢者は感染症による肺炎で亡くなるケースが多くて、医療先進国を自称する日本でも毎年相応の死者を出しているおそろしい病気なのだ。
とはいえ、いまいち「カゼ」との区別もつかないので、少し調べてみたよ。

「肺炎」は字義どおり、肺における炎症のこと。
これは「胃炎」だとか「腸炎」と同じ。
問題なのは、胃や腸のような消化器系は多少臓器の中に機能を失った部分ができても、まわりでなんとかカバーできるのに対し、肺の場合はそうはいかないということ。
十二指腸なんかは最悪全摘しても生きていけるわけだけど、肺は容量が減った分だけ肺活量が減って呼吸が苦しくなるのだ。
肝臓なんかなは見事に際していて機能回復するんだけど、肺は一度ダメになると二度と機能が戻らず、人間の代謝に不可欠なガス交換ができなくなってしまうのだ。
肺は構造的にも難しいので、再生医療でもなかなか手が出ないんだよね。
再生できるとものすごいメリットがあるんだけど。

で、「肺炎」と言う場合には、下気道より先に炎症が起きている状態。
逆に、カゼの場合は上気道までの炎症だよ。
上気道は食道と気道が分岐する喉頭まで。
口腔から声帯のあるあたりまでの炎症なので、お医者さんでのどが腫れているかどうかを確認すればわかるわけ。
下気道は食道と分かれた後、いわゆる気管に入ってから、肺の本体に至る気管支まで。
肺炎がひどくなると肺の本体である肺胞にも炎症が広がって、重篤化すると肺のガス交換機能が失われるのだ・・・。
こうなると呼吸不全になるので、人工呼吸器をつけたりすることになるよ。

「肺炎」かどうかを診断するには、まず、問診と聴診が重要なのだ。
高熱や胸の痛みがあるか、激しい咳や息切れがあるかなどの症状を問診で確認した上で、「肺炎」に特徴的な呼吸音、いわゆる喘鳴(ぜいめい)があるかどうかを聴診で確認するのだ。
肺のガス交換機能に影響が出ている場合、「ぜーぜー」とか「ひゅーひゅー」といった音が呼吸音に混じるのだ。
カゼで医者にかかったときに胸に聴診器を当てられるのはこれを確認しているわけ。

ここまでで「肺炎」の疑いが濃厚な場合は、レントゲン(胸部X線)やCTで画像を撮って肺に白い影がないかを確認したり、血液検査をして白血球が増えていないか(炎症が起きている場合の兆候)、C反応性タンパク質(CRP)の量が増えていないか(炎症が起きると増えることで知られているもの)などを確認し、下気道から肺にかけて炎症があるかないかを調べるのだ。
さらに、「肺炎」というのは炎症が起きている症状であって、原因はいろいろあるので、原因を究明する必要があるんだよね。
そこで行われるのが喀痰検査や血液抗体検査。
痰の中に最近が発見されれば細菌性なので、基本的には抗生物質で対処するのだ。
痰中に最近が確認できない場合、ウイルス性である可能性が高いので、血液中に抗体ができているかどうかで原因ウイルスを特定するよ。
インフルエンザのような抗ウイルス剤がある場合はそれで対処するんだけど、ない場合は安静にするしかないんだよね・・・。
しかも、今回の新型コロナウイルスについては、抗体検査がまだできない状況なので、PCR検査で確かめないといけないんだよね。
新型コロナウイルスと確定したとしても、対症療法以外には治療法がないんだけど、感染拡大を防ぐ観点で確認しているのだ。

抗生物質や抗ウイルス剤が使えない場合は、本人の免疫力に頼るしかないわけで、子供や高齢者がリスクが高いと言われるのはこのため。
ちなみに、細菌性のものでも耐性菌が原因菌の場合は抗生物質ではどうにもならないので怖いのだ。
喫煙のリスクは、また別で、喫煙者がもともと肺のガス交換機能が低くなってしまっているので、そこに肺炎でさらに機能が失われると致命的、ということだよ。
健常な人よりダメージの許容量が少なくなっているのだ。
RPGで言えば、HPが赤字で「瀕死」になっているような状態。
なので、普段から規則正しい生活をして免疫力を保つとともに、喫煙習慣は改めて肺機能にも万全を尽くしておくことが大事なのだ。

2020/03/28

4年たったらまた会いましょう?

コロナの影響で東京オリンピックの延期が決まったのだ。
約1年程度で、必ずしも夏にはこだわらないということなので、来春開催もあるかもしれないんだよね。
で、さんざん報道でも言われているけれど、近代オリンピックの延期は史上初。
過去に2度開催中止はあったんだけど、中止ではなく、延期を選んだのだ。
日本としてはすでに競技場の整備もしているわけで、それはそうだよなぁ、とは思うけど。

過去に中止された2回というのは、1916年のベルリン大会(第6回)と1940年の東京大会(第12回)。
どちらも世界大戦による中止だよ。
っていうか、東京でオリンピックをしようとすると、なかなか一筋縄ではいかないのか・・・。
ちなみに、近代オリンピックの場合、非開催や返上になっても大会回次はそのまま。
「みなし開催」としてカウントされるんだって。
また、1940年の東京大会は、1938年に東京が開催権を返上した後にヘルシンキが代替の開催地に選ばれているんだけど、けっきょく戦争の影響で開催できなかったのだ。

ベルリン大会は、1914年に勃発した第一次世界大戦のための中止。
当初はそこまで戦争が長引くとも思われていなかったので、組織委員会も維持されたらしいんだけど、開催できず。
戦争終結は1918年だから、それはね・・・。
これは史上初の世界大戦だったこともあり、そこまでのことになるとは想像できなかったみたい。
ちなみに、第一次大戦後、ドイツは1936年に第11回大会をベルリンで開催するのだ。
ナチスのヒトラー総統がプロパガンダに使ったことでも有名だよね。
前に整備したスタジアムなどの施設は戦争でなくなってしまっているので、開催に向けて突貫工事で整備されたらしいよ。

その次が、アジア発の開催となるはずだった東京大会。
でも、1937年にシナ事変が起きて日中戦争が勃発。
このために大日本帝国は翌1938年に開催権を返上、開催地を争ったヘルシンキが代替の開催地に選ばれたのだ。
でも、1939年には第二次世界大戦が勃発し、欧州も戦火に見舞われたのでけっきょく開催中止。
その次、1944年の第13回大会はロンドンでの開催が予定されていたんだけど、これも中止になったのだ。
でも、これは実質上繰り延べ延期で、戦後最初の大会は、1948年の第14回ロンドン大会となったのだ。

今回は1年程度の延期ということなので、これとはまた別の扱い。
東京の次のパリ大会を3年後にするのか、4年後にするのかもよくわからないけど、何もしなければ3年後の2024年なんだろうね。
なんか、西暦のカウントで行くと、紀元0年というのがないので、古代オリンピックからちゃんと4年ずつずらすと、2020年より2021年の方が合っている、なんて話も出てきているけどね。
フランスもすでに準備しているだろうから、東京大会だけずらす方が賢明か?

この県に関しては、麻生大臣が、40年周期でオリンピックに関するトラブルがある、なんてコメントしていたよね。
これは、まずは1940年の幻の東京大会、次の1980年は第22回モスクワ大会への不参加、そして、今回の2020年の開催延期のことだよ。
モスクワ大会については、開催前年の1979年にソ連がアフガンに侵攻したことを受け、米国がモスクワ大会へのボイコットを呼びかけた結果、西側諸国やイスラム諸国が不参加となったのだ。
日本では、4年後のロサンゼルス大会で柔道の金メダリストの山下選手が参加できなくて泣いた話が有名だよね。
マスコットキャラクターが小熊のミーシャで、すでに日本国内ではキャラクターグッズの販売なんかも行われていたんだよね。

で、これには報復があって、次の第23回ロサンゼルス大会には、ソ連の呼びかけで東側諸国が不参加。
この2大会でオリンピックと政治、特に冷戦下の国際情勢が注目を受けるようになったのだ。
本来は政治的な背景を離れ、スポーツを通じて国際平和を願うものなんだけど。
ちなみに、オリンピックの発祥国であるギリシア、常に全方位外交を思考する英国は両大会ともに参加。
っていうか、この両国はすべての近代オリンピック大会に参加しているんだよね。
さすがだ。

2020/03/21

デザート感覚で

タピオカドリンクブームが終焉を迎えようとしているのだ。
うちの近所にもできたんだけど・・・。
ほとんど人が入っていない(ToT)
ブームっていうのは一過性のものだからこんなものだよね。
いかに早く乗って、いかに早く次に切り替えるか。
その点で、「タピオカの次に来るもの」というのに注目が集まっているのだ。

その一つが、デザート豆腐である「豆花(トウファ)」。
やっぱり台湾のデザートで、ぷるんとした豆腐に黒蜜をかけたり、フルーツのソースをかけたりして食べるんだ。
実は、今から15年ほど前にも日本に来ていて、そのころはコンビニなんかでも「豆乳花(トールーファ)」なんて名前で売られていたよ。
ボクはハウス食品から出ていたのが好きで、その頃よく食べていたんだけど、いつの間にか見かけなくなったんだよな・・・。
豆乳で作ったゼリーとプリンの間のもので、杏仁豆腐のような堅さや独特の香りがないもの、とでも言えばよいのかな。
現在は都内にもいくつか食べられる店があって、そこそこはやっているみたい。
台湾スイーツブームに乗って次に来るか?、ということらしいのだ。

基本的には豆乳を凝固剤で固めたもので、硫酸カルシウムで固めることが多いようなのだ。
実は、中国の豆腐はもともと硫酸カルシウムで固めることが多いらしく、豆腐とあんまり区別をきちんとしていないんじゃないか、と思えるる節もあるんだよね。
その起源は、紀元前2世紀の前漢時代の淮南王・劉安が豆乳を固める手法を発明した、というもの。
この時点では豆腐と豆花は区別ないんだけど、その後加工法や食べ方で呼び名を変えたんじゃないか、と考えられているのだ。

中国の場合、いわゆる「冷や奴」のように豆腐を食べることはなく、揚げたり似たりして火を通して食べるんだよね。
逆に、日本の「冷や奴」のようにそのまま食べる場合に「豆花」と読んでいて、甘くしてデザートにしたり、塩辛い味付け、辛い味付けにして食べたりするらしいのだ。
つまり、料理の素材として使う場合が豆腐で、そのまま食べるのが豆花のようなのだ。
食べ方が違うので製法も少し異なるようで、豆腐は固めに作るけど、豆花は柔らかめに作る、ということのようだよ。

日本お豆腐は伝統的に「にがり」を使うんだけど、これは海水から塩を作る際の副産物。
塩化マグネシウムは塩化ナトリウムより水への溶解性が高いので、塩化ナトリウムが結晶化して析出した後も水溶液中に残るのだ。
つまり、海水から塩を作る過程で、固体になった塩分を取り除いた起こりの液成分が「にがり」で、その主成分が塩化マグネシウムなのだ。
一方で、中国大陸は広大で、必ずしも海水・塩水が身近にないので、別の凝固剤が使われたようで、それが石膏の主成分である硫酸カルシウム。

日本でも、戦時中には、ジュラルミン(アルミニウムと銅、マグネシウムの合金)を作るために塩化マグネシウムを主成分とする「にがり」は軍に供出しなければいけなくなったので、豆腐の凝固剤として硫酸カルシウムが使われるようになったのだ。
そのときの名称が「さらし粉」。
今でも豆腐を作る際の凝固剤(添加物)として認められているんだけど、塩化マグネシウムや天然「にがり」を使った方が大豆の甘みが引き立って豆腐の味が濃くなると言われていて、再び塩化マグネシウムが主流になっているんだって。

一方で、硫酸カルシウムを使った場合は、より保水力が高く、やわらかく口当たりのよい豆腐ができるそうなのだ。
保水力がよいというのは豆乳が多少薄くても固まる、ということで、かつて某グルメ漫画では「偽物の凝固剤で固められた味の薄い豆腐」みたいな描かれ方をしていたよ。
確かに塩化マグネシウムを使った方が大豆の味は引き立つようなんだけど、ゼリーのようなぷるんとした食感を出せるのは硫酸カルシウムの方で、まさにデザートとして食べる場合にはこっちの方がよいわけ。
使い方次第ってことだよね。

ちなみに、塩化マグネシウムはすぐに凝固反応が始まるので豆腐作りに技術が必要なのだ。
豆乳の温度、凝固剤の入れ方・混ぜ方などなどこつが必要。
逆に、硫酸カルシウムの場合はもともと硫酸カルシウム自体が水にそんなに溶けないものなので反応が遅く、技術がなくても均一に分散させることができ、素人でも豆腐作りに失敗しづらいんだって。
それで戦後豆腐作りの機械化が進む中でもよく使われていたみたいだよ。
今は技術が格段に進歩したので「にがり」でも問題なく機械で豆腐が作れるのだ。

さらにちなみに、凝固剤でメジャーなものとしてはもうひとつ、グルコノデルタラクトンというデンプンを発酵させて作る有機系のものがあるのだ。
水に溶かすと「グルコン酸」というさんが出てきて、その効果で豆乳がゲル化するのだ。
塩化マグネシウムや硫酸カルシウムが「塩析」でゲル化しているのに対し、こっちは酸凝固と言われるもの。
塩析は、タンパク質表面の電気的偏りを帯びた部分にイオンがくっつくことで、水素結合で水分子がくっつくのを邪魔して水への溶解度を下げて起こるのだ。
さらに、マグネシウムやカルシウムのイオンは2価なので、隣り合っているタンパク質同士を結びつけてくっつけて(架橋して)しまうんだよね。
この際、タンパク質は水を抱えたままふんわりと固まるので、水分が多いゲル(豆腐)になるよ。

グルコン酸の場合は、pHを調整することでタンパク質の溶解度を下げるのだ。
タンパク質は、プラスでもマイナスでも、電気的な偏りがあると、そこに水分子が水素結合でくっつくことで水に溶けるんだけど、電気的に中性になるとこの水分子が水素結合でくっつけなくなるので、溶けなくなるのだ。
グルコン酸の場合は、液性を酸性に傾けることで投入中のタンパク質を電気的に中和し、水に溶けづらくするんだ。
この場合、タンパク質同士は正負の電荷が等しいので、(イオンの介在なく)自分たちで勝手に集まって塊になるよ。
それが沈殿するわけ。
でも、この反応は極めて遅く、よりゆっくりとかたまり、かつ、固まった後は賛成なので、少し酸味があるんだって。
それで風味が失われると言われるけど、賛成で雑菌が繁殖しづらいので長持ちもするみたい。
ちなみに、塩化マグネシウムを使ったt語気よりもはるかに薄い豆乳でも固めることができるので、さっきも出てきた某グルメ漫画ではぼろくそに言われている凝固剤だよ。

2020/03/14

ぶわぁーっと乾かせ

コロナの影響で結構みんなまじめに手洗いをしているよね。
男子トイレだと、そもそも手を洗わない人も多かったんだけど、そういうこともなくなったのだ(笑)
そして、始終「ぼわぁー」という音がしているのだ。
そう、ハンドドライヤーの音。
大震災後一時使用停止になっていたけど、やっはりペーパータオルより便利ということで復活しているんだよね。

これって、つい最近のものなのかと思っていたら、実は古いのだ。
昭和35年(1960年)には発売されていたんだって!
今でもこの業界の大手の東京エレクトロンという会社で、当時の社長が米国で同種の製品を見て、これだと、と手をつけたのだ。
で、この会社が特許を取って販売していたんだけど、その頃は鳴かず飛ばず。
そもそも扇風機のようなファンで風を送る方式なので、風が弱く乾かすどころのものではなかったよう。
そこで、ヒーターをつけたりしたそうだけど、それでも、回転式タオルやペーパータオルには太刀打ちできなかったようなのだ。

1970年代までは特許で保護されて伊tんだけど、それが切れると大手企業も参入してきたとか。
具体的には、トイレ大手のTOTO(にOEMで製品を供給している会社)や松下や三菱電機のような家電大手。
各社ともいかに短い時間で乾かすか、というところに工夫を凝らすようになったんだけど、このときに手についた水滴を吹き飛ばすくらいの風量のものが出てくるのだ。
すごい音がするけど、手の皮膚の表面が波打つくらいの強い風が来るものもあるよね。
三菱製のものは風の出口を絞ることでさらに風を強くし、「ジェットタオル」という名称で売り出したのだ。
ほかにも、紫外線ライトをつけて同時に殺菌を行うものなどもあるよ。

現在投入されているものは大きく2種類あって、手を入れて上から風が当たるタイプと、下向きに手を差し込んで横から風を当てるタイプがあるのだ。
どちらも風を当てて手について水滴を吹き飛ばして乾かすのが基本だよ。
秋冬だとぬれたところに風が当たると気化熱で冷たく感じるので、温風になっているのだ。
ちなみに、下向きに手を差し込むタイプは業界では「おばけ式」と呼ばれているんだって。
「うらめしや」の幽霊の手の形になるから(笑)

コロナがはやり始めた頃から手洗いは奨励されているんだけど、ハンドドライヤーは使わないで、という動きも出てきたんだよね。
これは、手についた水滴を飛ばす際に、コロナウイルスを含むエアロゾルが周囲にまき散らされるおそれがあるため。
特に、上から風を当てるタイプだと周囲に飛び散りやすいのだ。
日本製のものは下に「受け」がついているからまだましなんだけど、海外製だと風の吹き出し口しかなくて、吹き飛ばされた水滴はそのまま床に落ちるようになっているので、危険度が高いのだ。
「お化け式」だと必ず手が覆われているのでそこまで飛び散らないんだけどね。

ちなみに、経済性で言うと、ハンドドライヤーに分があるみたい。
初期費用ははるかに高いのだけど、回転式タオルやペーパータオルは消耗品費がかかるし、何より、交換の手間=人件費が乗ってくるので、トータルで見るとコスト高のようなのだ。
電気代はそこまで高いわけではないし、たまにメンテナンスすればいいだけなので、長く使うことを考えたらハンドドライヤーの方が有利なんだって。
これが徐々に浸透してきてシェアを拡大してきたそうだよ。

2020/03/07

生活必需品品薄対策


新型コロナウイルスの影響で全国的にマスク不足に陥っているのだ。
さらに、ツイッターなどのSNSを機転としたデマの流布により、トイレットペーパーなども品薄状態が続いているのだ・・・。
で、よく目にするのが、「石油ショックの時と国民の行動が変わっていない」というもの。
昭和48年(1973年)の第一石油ショックの際は、やはり「トイレットペーパーや洗剤が供給不足になる」とのデマが流れ、全国的に買い占め行動が行われてしまったんだよね。
中には、そのときに買ったトイレットペーパーがまだ実家にある、なんて報告も!
すごい大騒動だったんだよね。

そんな社会情勢を受けて出てきているのが、すでにある法律によってきちんと対応すべきというもの。
特に、マスクの転売については、法律で厳しく取り締まるべき、なんて意見を見るよね。
でもでも、その法律ってけっきょくどんなものかよくわかっていなかったので、少し調べてみることにしたよ。
で、見つかったのは、ともに消費者庁所管の2つの法律で、どちらも昭和48年に制定されたものだよ。

一つ目は、「国民生活安定救急措置法(昭和48年法律第121号)。
まさに第一次オイルショックを受けて制定された法律で、先に加藤厚労大臣が政府がマスクを買い取って緊急事態宣言が出ている北海道の特に感染の多い地域に配布する、というのは、この法律に基づく指示だよ。
この法律には、「国民生活との関連性が高い物資又は国民経済上重要な物資(生活関連物資等)」について、その価格と需給の安定を図るための措置が定められているのだ。
価格の安定については、「価格が著しく上昇し又は上昇するおそれがある」ときには、生活関連物資等のうち特に価格の安定を図る必要のある物資を政令で「指定物資」として定め、その標準価格を定めることになるのだ。
その後、小売業者等に対しては、標準価格で販売するよう指示するんだけど、正当な理由なく従わない場合は、その旨を公表することができる、となっていて、社会的な制裁が加えられることになるんだよね。

それでもなお価格の安定が図れない場合は、さらに「特定物資」として指定を行い、全国的或いは地域ごとに「特定標準価格」を定めることになるんだ。
こちらについては、「特定標準価格」を超えて小売業者が販売を行った場合、その超過分について課徴金として国庫に納付するよう命じることができるんだ。
つまり、「標準価格」を定めてもなお価格のつり上げなどが横行している場合は「特定標準価格」が定められることとなり、そうなったら、「特定標準価格」を超える文の利益は国に取り上げられることになる、というわけ。
転売についてはこれが適用できないか、という話だったわけだけど、ついに総理がこの法律でマスクの転売を禁止する、と言明したよね。

厚労大臣の指示の根拠になっているのはまた別の規定で、「物価が高騰し又は高騰するおそれがある場合において、生活関連物資等の供給が不足することにより国民生活の安定又は国民経済の円滑な運営が著しく阻害され又は阻害されるおそれがあると」は、特定の物資を指定した上で、生産や保管、売り渡しなどを事業者に指示することができることになっているんだ。
今回のマスクの場合は、第22条第1項の「主務大臣は、特定の地域において生活関連物資等の供給が不足することにより当該地域の住民の生活の安定又は地域経済の円滑な運営が著しく阻害され又は阻害されるおそれがあり、当該地域における当該生活関連物資等の供給を緊急に増加する必要があると認めるときは、当該生活関連物資等の生産、輸入又は販売の事業を行う者に対し、売渡しをすべき期限及び数量、売渡先並びに売渡価格を定めて、当該生活関連物資等の売渡しをすべきことを指示することができる」という規定をもとに行われているものだよ。
この「売り渡し、輸送または保管に関する指示」は、条文にあるとおり「特定の地域」で需給が逼迫している場合にも使えるよ。
つまり、西日本では足りていても、東日本で圧倒的に不足していたら、この指示が出せるのだ。
ただし、これも罰則があるわけではなく、指示に従わない場合はその旨が公表されるのみだよ。

もう一つの法律は、「生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律(昭和48年法律第48号)」。
実は、この法律は第一次石油ショックの3ヶ月前に制定されたもので、当初は、「生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律」という名称だったのだ。
もともとは田中内閣の「日本列島改造論」に触発された地価高騰に端を発する物価高騰の対策としてできたもの。
石油ショックを受けて、先の「国民生活安定緊急安定措置法」の不足で一部改正が行われ、石油ショックの影響への対応としても使われるようになったものだよ。

こちらの法律では、生活関連物資等(定義は「国民生活安定緊急措置法」と同じ。)について、「買占め又は売惜しみが行なわれ又は行なわれるおそれがあるとき」は、政令で「特定物資」を指定し、価格の動向及び需給の状況に関し必要な調査を行っうのだ。
その上で、「生産、輸入又は販売の事業を行う者が買占め又は売惜しみにより当該特定物資を多量に保有していると認めるとき」は、その事業者に対して売り渡しを指示することができるんだ。
で、この指示に従わない場合は、罰則(三年以下の懲役又は百万円以下の罰金)付きで売り渡しを命じることができるようになっているよ。
不当に過剰な在庫を抱えつつ売り惜しみをして価格をつり上げようとする場合に適用できるのだ。
こっちはあんまり転売対策には向かないんだよね。

政府においては、さらにコロナ対策として緊急措置法を検討しているとの報道が出ているけど、生活必需品等の安定供給についてはこの二つの法律でなんとかなる部分が多いから、それ以外の部分、例えば、休業等による損益への保証、中小事業者への支援の拡充等々があるじゃないかと思うんだよね。
場合によっては、マスク等の需給調整や配給制なんかもあるかもしれないけど、そこまでしないとダメということでもない気がするんだよね。
いずれにせよ、これらはあまり抜かれない「伝家の宝刀」で、いざとなったら使える、というものなんだけど。

2020/02/29

すーっと殺菌

新型コロナウイルスの関係で、マスクだけでなく、消毒用アルコールも品薄状態らしいのだ。
職場や公共の場においてある消毒用アルコールが盗まれるなんて事件も報道されているね・・・。
そして、消毒用アルコールが買えない人たちは、「スーフリ事件」で一躍有名になったスピリタス(ポーランド原産のウォッカで、世界最高のアルコール度数96度のお酒)も売り切れ続出なんだって。
とにかくパニックになりつつあるよ。

消毒用アルコールは、一般にはエタノールを水で希釈したもの。
生物学実験に使われる消毒用エタノールは、70%エタノールというやつで、これは容積比率で70%。
このあたりがもっとも消毒力が高いと言われているのだ。
例えば、1Lの70%エタノールを調整する場合は、先に700ml無水エタノール(99.5%以上の濃度のエタノール)を用意して、そこに水を足していって1Lにするのだ。
単純に300mlの水を足せばいいわけじゃないところに留意。
実は、水は300ml以上必要なのだ!
一方、日本薬局方で規定されている消毒用アルコールは、容積比率で76.9〜81.4%。
なんか中途半端な数字だけど、実はこっちの方が作りやすいのだ。
普通に700mlの無水エタノールに300mlの水を足すだけ。
水とアルコールを混ぜると少し容積が減るので、70%より少し大きな数字になるのだ。
ちなみに、いわゆるアルコール度数と言われる重量比率だと、80度くらいだよ。

エタノールの殺菌効果は、エタノールという液体が水にも油にも混ざりやすいという性質から来るもの。
これは界面活性剤も同じだよね。
エタノールの場合は、水分子と競合することで水素結合を壊し、生体高分子の高次構造を壊すことで細胞膜やそこに埋まっている膜タンパク質を変性させるのだ。
エタノールの場合、浸透力があって殺菌作用が短時間で表れ、かつ、アルコールが蒸発してしまうと何も残らないので、洗い流す必要がないんだよね。
石けんをはじめとした界面活性剤は後で洗い流さないといけないので、さっとテーブルの上を吹く、などの用途には使いにくいのだ。
手の場合も、界面活性剤を使う場合はしっかり洗うわけだけど、エタノールの場合は手をこすり合わせれば終わり、というわけ。

この作用だけ見ると、実はエタノールでなくても、低級アルコール(炭素数の少ないアルコール)であればいいんだよね。
実際には、エタノールのほかに、イソプロピルアルコール(2-プロパノール)というものが使われるよ。
これは炭素数が3のアルコールで、CH3CHOHCH3という構造式で表されるもの。
端の炭素にアルコール基(-OH)がつくと、1-プロパノール、真ん中の炭素にアルコール基がつくと2-プロパノールなのだ。

独特の芳香を持つ無色透明の液体で、エタノールより少し殺菌力は落ちるのだけど、エタノールだけしか使わない場合、酒税法により税金が高くなってしまうので、飲用に適さないように加えられるのだ。
工業用アルコールの場合はエタノールに炭素数が1のメタノール(メチルアルコール)を加えるんだけど、メタノールはヒトへの毒性があるため(「目散る」といって、目の網膜や視神経を代謝物のホルムアルデヒドやギ酸が損傷させて失明するのだ。)、外用といえどもヒトに使う場合は毒性の低いイソプロピルアルコールが用いられるわけ。

ちなみに、炭素数が多いこともあって、イソプロピルアルコールの方がよく油になじむのだ。
なので、機械類のアルコール洗浄にもよく使われるよ。
一方で、エタノールの方が親水性が高いので、ノロウイルスなどの水中に分散しているウイルス類への殺菌力はエタノールの方が強いと言われているのだ。
これが殺菌力の違い。
普通に売られている消毒用アルコールの多くは、エタノールに少量のイソプロピルアルコールが混合されたものだよ。

というわけで、これを踏まえると、度数の高いお酒から消毒用のエタノールは作れなくもないのだ。
スピリタス800mlに水200mlを加えればいいくらい。
これを実践している人もいるのかな?
実際には、そのまま消毒用に使っているような気もするけど。
ちなみに、40%を超えるエタノールは消毒作用を持つので、スピリッツと言われる蒸留酒やウォッカのような強烈なやつは消毒に使えることになるよ。
傷口にブーッとお酒を吹くのはこのため。
一般的なウイスキーやブランデーだと使えなくはないけど、少し薄いくらい。

2020/02/22

やつを補足せよ

新型コロナウイルスが猛威を振るっているのだ。
不特定多数の人が集まるイベントが中止になる例も出てきているね。
現時点では、カゼっぽい症状が続いているなぁ、と思ったらとりあえず自宅で静養するように、という流れになっているよ。
厚生労働省が先に示した「目安」でも、まずは学校や職場を休んで外出を控えること、と書いてるのだ。
その上で、一定の基準を満たす症状がある場合はまず電話で相談し、その後やっと医療機関を受診するように、となっているんだ。

これには明確な理由があって、端的に言えば、大勢の人に来られても新型コロナウイルス感染かどうかの診断がすぐには下せないから。
客船ダイヤモンド・プリンセス号の件でもそうだけど、現時点では、感染しているかどうかを検査するのにかなり時間と手間がかかるので、そもそもカゼを引きやすいこの時期に「疑わしい」人たちが大挙して押し寄せられても困るというのが実情なのだ・・・。
多くの場合は重症化しないといわれているから、自宅で静養して直してくれれば、というところなんだろうね。
「目安」でも、重症化しそうな兆候がある人に相談や医療機関での受診を呼びかける内容になっているよ。
自然に治る人たちなら、他人に伝染させないようにして治してもらう、ということ。
自主的な「隔離」を求めているわけだね。
これは普通の風邪でも、インフルエンザでも同じなんだけど。

でもでも、このままではらちがあかないので、簡易に検査できるキットの開発が進められているのだ。
かつて重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した際も、国立感染症研究所が民間企業と協力して簡易検査キットを開発したんだよね。
SARSもコロナウイルスによる感染症なので、そのときの知見なんかも生かしながら開発が進められているようなのだ。
検査に当たっては、偽陽性(感染していないんだけど陽性と出てしまう)と偽陰性(感染しているんだけど陰性と出てしまう)がこわいんだけど、こういう「パンデミック」のおそれがあるものについては、カニ検査の場合はとりあえず偽陽性が出るようなものでも短時間で検出できるものが望まれるんだよね。
逆に、偽陰性は感染拡大のリスクを招くので危ないのだ。
後で簡易検査に陽性の出た人だけより精度が高いけど時間のかかる方法で調べればいいだけなので。

SARSの時に開発されたのは、LAMP法というもの。
これは、標的遺伝子の6つの領域を選んで組み合わせた4種類のプライマーを使って特定の配列を「つなげたまま」増幅させるもの。
特定の配列を増幅させる手法としてはPCR法もあるんだけど、PCR法の場合は、高温下で二本鎖DNAをはがし、少し温度を下げてDNA合成酵素が特定の領域を増幅し、またそれをはがして、と繰り返して、一定の長さのDNAを増幅していくんだけど、温度の上げ下げを繰り返すので結構時間がかかるのだ。
しかも、特定の領域がきちんと増幅されたかどうかは、寒天ゲルに電気泳動してその長さを確かめる必要があって、どうしても数時間かかるんだよね。
LAMP法の場合は、二本鎖を引きはがしながらDNAを合成する酵素を使ってループ上に特定領域をつなげたまま繰り返し繰り返し増幅していくんだけど、一定の温度下で反応が進行するのだ。
で、もともとの長さの整数倍の長さのDNAができるわけ(何倍かはどこで反応が止まるかなのでランダム)。
でも、増幅される特定の領域があるかどうかはDNA合成反応が起こったかどうかのゼロサムでわかるんだ。
特定の領域を含む試料の場合は、30分~1時間くらいで増幅されたDNAで白濁するので目視でわかるのだ。

もう一つ開発が進められている方法がイムノクロマト法。
これは濾紙の上に特異的抗体があらかじめ固定されているもので、その上に検体と金コロイドなどで標識された抗体をのせるのだ。
標識用の抗体と濾紙上の抗体はそれぞれウイルス固有のタンパク質の別の場所を認識するもので、まずは標識用抗体が検体中のウイルスタンパクと反応し、それが毛細管現象で濾紙上を拡散していく際に、濾紙上の別の抗体にも反応するのだ。
すると、その抗体が固定されているところで検体と標識用抗体が補足されるんだよね。
標識用抗体には金コロイドなどがついているので、濾紙上で抗体が固定されている場所で補足されているかどうかは目で見てわかるのだ。
これは15分~30分くらいで検査できるよ。
ノロウイルスの検出なんかにも使われているんだって。
ただし、うまい具合に抗体を2種類調整しないといけないのが難しいのだ。

というわけで、とりあえず簡便に検査ができるように技術開発が進められているわけ。
それらが実用化されれば、すぐに感染の有無が確認できるから、手の打ちようも出てくるんだよね。
というわけで、現下の状況では喫緊の課題なのだ。

2020/02/15

織らずにシート

新型肺炎のせいでマスク不足が発生しているよね。
ここでいう「マスク」は、むかしながらのガーゼのマスクではなくて、使い捨ての不織布のマスクなのだ。
ボクは大学生の時に実験動物のマウス君のお世話をしていたんだけど、その頃からのなじみ。
ここ最近は花粉症対策でマスクが使われるようになって、一気に不織布のマスクが広まったんだよね。
咳が出るわけでもない、花粉症でもないのに府だなkらマスクをする人なんかも出てきているのだ。
そんな人たちにとってはマスク不足はかなり大変な事態だよね。

で、気になったのが「不織布」。
字のごとく、織らずに作られているシート上のもののことを指すわけだけど、これだとわかるようでわからないよね。
一般には、繊維を織らずに絡ませてシート上にしたもので、紙やフェルトを除いたもの、となっているみたい。
逆に言うと、繊維を撚って糸にし、それを追って作られるのが布。
そうやって規則正しく縦横に糸を織って絡ませるのではなく、ランダムな方向を向いている繊維を熱をかけたり、接着剤を使ったりしてシート上に加工したものということなのだ。
繊維の状態だけ見るとフェルトや紙もそうなっているので、フェルトや紙を除いたそういう製品のカテゴリーとして不織布があるんだよ。

フェルトは古代から作られているもので、伝統的には羊毛などの動物の毛を圧縮してシート上に加工したもの。
動物の毛の表面には鱗状のキューティクルがあって、それが互いに絡み合うとくっつくのだ。
織った布とは違って耐久性に劣るので何度も洗濯して、というのはだめなんだけど、逆に間隙が多いことでクッション性がよかったり、断熱・保温に優れているという特徴があるのだ。
日本最古のフェルトは、正倉院に所蔵されている毛氈(もうせん)だって。

シャンプーなどのCMでもおなじみだけど、毛のキューティクルは湿気があると開くのだ。
このときに圧縮してあげるとキューティクル同士がかみ合ってからむわけ。
ただの水ではなく、石けん水のような弱アルカリ性の水溶液を使うとよりキューティクルが開くので、動物の毛を集めて石けん水を含ませ、それを圧縮してから門代理巻いたりしてせんいをからませ、最後に乾燥させるとフェルトができるのだ。
これは夏休みの宿題とかでもできないことはなさそうだね。

一方、紙は、植物由来のセルロース繊維を水中で均一に分散させ、それをシート上に広げてすくい上げ、脱水したもの。
いわゆる「紙すき」の工程で作られるのだ。
わしなんかはイメージしやすいけど、大きめの繊維が見えることもあるよね。
それと、ただ繊維を分散させるだけだときれいにまとまらないので、「ねり」と呼ばれる粘着剤をふかしているのだ。
わしの場合は繊維が用紙に比べて長いので、これがないとうまくまとまらないよ。

フェルトでも紙でも、繊維がランダムな方向でなんらかの形で絡まって、結果としてシート上になっているのだ。
不織布は、いろんな材料でその状況を作り出したものの総称。
先にあったフェルトや紙を除き、工業的に新しく作れるようになったものをそう読んでいるみたい。
JIS規格(日本工業品規格)でも、わざわざフェルトや紙を除く、となっているようなのだ。
使い捨てマスクや紙おむつのようなセルロース繊維を使った不織布は紙と同じようなものなんだけど、一般に不織布として分類されるものはより繊維の長さが長いものなんだって。
つまり、昔の技術ではもっと繊維を細かくしないとシート上にできなかったものが、技術の進歩で繊維が長い状態でもシート上にすることができるようになった、ということなのだ。

不織布は織らずに作られるので製造工程が簡単で、安価に大量に作ることができる、というメリットがあるよ。
一方で、絡み合っているだけなので摩擦や引っ張りに対する強度は一般的に弱く、洗濯して何度も使うような衣料品には向かないのだ。
なので、使い捨てのマスクや紙おむつなんかに使われるわけ。
原発事故で一時期話題になった「タイベックススーツ」も不織布で作られたものだよ。
あれも使い捨てだよね。

不織布のもう一つの特徴は、ある程度「すき間」をコントロールして作ることができること。
つまり、みっちりとすき間なく作ることもできるし、通気性を確保してゆるく作ることもできるのだ。
汚染を防御するためのタイベックススーツはわりとみっちりと作るけど、紙おむつやマスクはある程度の通気性も必要なので、液体は通らないけど気体は通る、みたいな塩梅がほしいわけだよね。
不織布の材料でも吸湿性や通気性は変わってくるので、けっこういろんな用途に使えるよ。
それで広まっているのだ。

一方で、やはり弱点もあって、摩擦や引っ張りに弱いというのに加え、「透かし」ができないというのもあるのだ。
織物の場合は半透明の布地が作れるのだけど、繊維がランダムな方向に絡み合って積層されている不織布ではそれは無理なのだ。
間隙がたくさんあって光を通す、たとえば障子紙のようなことはできるんだけど、花嫁のヴェールのような半透明のシートは作ることができないんだ。
どうしても透明なものがほしい場合は、高分子の樹脂フィルムとかを使わないといけないんだよね。
ま、透明なマスクとかかみおむつはあまり想像したくないけど(笑)

2020/02/08

フランスで大発生

おフランスの花の都パリでは、清掃事業者がストに入っていて、ゴミが処理されないので、ネズミが大量発生しているんだって!
ただでさえ汚い街なのに!!
で、思い出したんだけど、今年はねずみ年でもあるんだよね。

日本語では「ネズミ」と言ってしまうんだけど、町中にいるネズミ(「家ネズミ)」は、大きいものが「rat」、小さいものが「mouse」と英語では呼び分けているのだ。
ミッキー・マウスやトム&ジェリーのトムなんかはみんな[mouse」だよ。
やはり小さい方が愛らしいキャラクターにしやすいんだろうね。
「rat」というのはびっくりするほど大きいから。

英語で言う[mouse」は「ハツカネズミ」。
生後約3週で生殖可能となりどんどん増えていくのでその名があるのだ。
小さいから愛らしいような気もするけど、ハムスターやモルモットのようなペットとして普及しているげっ歯類の仲間とは違い、かなり臆病だし、「窮鼠猫を噛む」のとおり凶暴なのだ。
基本的には人影を見つけるとすぐに逃げるけど、捕まえようと追い詰めると噛もうとしてくるよ。

大きい方の「rat」には2種類あって、「black rat」と呼ばれるのは「クマネズミ」(江戸時代までは田ネズミ」)、「brown mouse」と呼ばれるのが「ドブネズミ」。
どちらも大きいネズミなんだけど、色合いは英語の名前のとおりでクマネズミの方が体毛の色が濃いのだ。
そして、クマネズミの方が耳が比較的大きく、尾も長いのだ(体長より長いよ。)。
その点で言うと、まだクマネズミの方が愛らしいルックスかな。
実物を見ると思ったより大きいのでびびるけど(笑)

この2種は棲み分けもしていて、クマネズミはわりと温暖なところが好きで、かつ、乾燥している場所を好むのだ。
このため、天井裏なんかによくいるらしいよ。
逆に、ドブネズミは、その名前にも表れているとおり湿ったところが好きで、比較的冷温に強いのだ。
下水道や床下にいるのがこっち。
すんでいるところの差もあるんだけど、クマネズミは高いところに上るのが得意な一方、ドブネズミは苦手なんだって。

実は、家ネズミであってもハツカネズミが住み着くことはあまりなくて、多くはクマネズミがドブネズミ。
しかも、最近は建物の高層化もあって、クマネズミが増えているそうだよ。
とはいえ、地下鉄の構内で見かけるのはドブネズミの方なのだ。
どちらにせよ、「rat」の方が増えているんだよね。
おそらくフランスで大発生したのはドブネズミの方じゃないかな?

ネズミと言えば動物実験のイメージがあるけど、体が小さくてすぐに増えることもあって、よく使われるのはマウス。
近親交配を繰り返し、オス・メス以外の遺伝的背景の差がない純系が確立されているのだ。
テレビなんかだと真っ白なアルビノが使われるけど、たとえば、遺伝子改変の実験には黒いやつも使う見たいだよ。
でも、このマウス君はあまりにも小さく扱いづらいこともあるので、薬剤を投与してその反応を見る実験なんかにはより大きなラットが用いられるのだ。
これは多くの場合アルビノなんだけど、ドブネズミの方を品種改良したもの。
ちなみに、ボクはよく知らなかったんだけど、実験用ラットにもまだら模様のものもいるんだって。

ネズミと言えば、14世紀の欧州におけるペストの流行に深く関与しているんだよね。
マウスやラットについたノミがヒトにつくと、そのときペスト菌もついてくるのだ・・・。
基本的には公衆衛生が高い水準であればパンデミックにはならないはずなんだけど、フランスはパリでも普通にノミやシラミがいるからなぁ・・・。
パリではペストをはじめとした伝染病に気をつけないといけないね!
コロナウイルスだけじゃないよ。

2020/02/01

中国封鎖

中国の武漢で発生したと言われる、重症肺炎が世界的な騒ぎになっているのだ!
安倍首相も早々にチャーター機を用意して帰国させる邦人保護の方針を打ち出したよね。
報道で知る限り、出張に行ってそのまま空港が封鎖されて帰ってこられなくなった人もいたとか・・・。
これは大変な事件だ。

肺炎は、肺が炎症を起こしている疾病症状を指す言葉なので、細菌性のものもあればウイルス性のものもあるわけなんだけど、今回の病原体はコロナウイルス。
そう、前にSARS(重症急性呼吸器症候群)でも話題になったあのウイルスなのだ。
今回のものは2019年新型コロナウイルスと名付けられたウイルスが原因。
ウイルスなので抗生物質はきかないし、名前のとおり新興感染症なので治療法が確立しておらず、対症療法しかないのだ。

一方で、コロナウイルスの仲間であることは判明しているので、おおよその感染経路はわかるわけで、患者を隔離して、パンデミックを回避しようとしているのだ。
その点で、今回中国政府は動きがかなり速く、いきなり武漢の空港が封鎖されたんだよね。
でも、春節の直前の時期ですでに海外に出ていた人もいて、日本を含む海外地域でも感染者が発見されているのだ・・・。
最近は空路があるから予想もつかない速さと広がりで感染が拡大していくんだよね。
中国政府が隠しているとは言わないけど、おそらく完全に感染者の数を把握しきっているとも思えないから、はやいうちに空港を封鎖できたのはよかったのだ。
でも、武漢から日本人を帰国させたりすると、そこに潜在的なキャリアがいるかもしれないんだよね(>_<)
なにしろ、今回は潜伏期間が10日間にも及ぶ症例が知られているし、発症しても発熱をあまりしないばあいもあるそうだから。
というわけで、きっと国立国際医療センターや国立感染症研究所が中心となって「水際対策」が必要なのだ。

コロナウイルスは、遺伝情報をRNAの形で持っているRNAウイルスで、エンベロープ(ウイルスの外側の殻)の表面に突起があって、太陽のコロナのように見えるので、その名前がつけられたウイルスなのだ。
今回の新型ウイルスも、感染経路は飛沫感染と接触感染と想定されているので、マスクと手洗いが重要。
特に、空港や港湾などの海外の人が多くいる場所に行くときは注意が必要なのだ。
ま、日本ではインフルエンザもはやる時期だし、それと同じ対策をすればいいということなのだ。

今回の重症肺炎もSARSの時と同様にコウモリが感染源と疑われているよ。
それがネズミやアナグマなどほかの野生動物に感染し、ヒトに感染して広がったようなのだ。
すでにヒトからヒトへの感染が確認されているので、下手すると全世界的なパンデミックを引き起こす可能性もあるのだ。
初期はどんな感染症がわかっていなかったのもあるんだろうけど、初期の死亡率は15%ほどと高く、これは前に脅威となったSARSと同じくらい。
日本でも早々に感染症予防法に基づく「指定感染症」にされたけど、感染者は病院で隔離して治療に当たった方がよい、というくらいの怖い病気ということなのだ。

今年は暖冬気味だけど、時々冷え込むときもあって、咳をしている人も多いよね。
症状的にはいわゆる「カゼ」と区別もつきづらいので、危ないと言えば危ないのだ。
できるだけ予防に努めて、何か症状が重いな、おかしいな、と思ったら専門医の診察を受ける必要があるね。
まずはカゼを引かないように気をつけないと。

2020/01/25

北陸名物

出張で敦賀に行ってきたのだ。
敦賀というと・・・。
正直原子力発電所のイメージしかなかったんだよね。
福井県なので、カニとかの海産物もおいしいんだろうな、くらいの認識。
で、行ってみて初めて知ったのは、「おぼろコンブ」が名物だということ。
もちろん、若狭湾や敦賀湾ではコンブはとれないのだ。

聞いたところによると、このコンブは北前船で蝦夷地(北海道)から運ばれてきていたもの。
敦賀は北陸道の交通の要で、特に京の都につながる重要な拠点となっていたのだ。
鯖街道なんかも有名だよね。
で、コンブも敦賀をはじめとする北陸の各地で加工され、畿内(関西地方)に流通したようなのだ。
確かに、江戸の文化ではあまりおぼろコンブというのは見ないよね。
関西ではうどんの具にしたり、おにぎりに巻いたりといろいろと使われるようだけど。

もともとは、コンブを船で輸送する際、コンブの中心部にカビが生えることが多かったんだって。
おそらく表面は堅いし、乾いているので、柔らかく水分も多い中心部がカビるのだと思うけど。
でも、まるごと捨てるわけにはいかないので、中心部がカビたコンブは表面を削って、カビていない部分だけを食べるようにしたんだって。
それがおぼろコンブのはじまり。
両端を切り落として形をそろえてから、特製のかんなでしゅっと削るんだよね。
表面に近いものほど色が黒く、中心部に近づくほど白くなるのだ。

最後は白いコンブの芯が残るんだけど、それが白板コンブ。
もともとはカビた部分だったので捨てられていたわけど、流通の技術が向上してカビが防げるようになると、これが大阪でバッテラなどに使われるようになるんだよね。
大阪の寿司屋さんが提案したんだって。
余すところなく利用されているのだ。

おぼろコンブに似ているのがとろろコンブ。
とろろコンブは、表面を削っていくのではなく、酢に漬けて柔らかくした昆布をブロック状にかため、それを糸状に削ったもの。
全部削ってしまうので、白板コンブのような芯は残らないよ。
ちょっと酸っぱいにおいがするのは酢漬けにしているからなのだ。
いやあ、同じものだと思っていた・・・。

こちらのとろろコンブの方は工場で大量生産できるので、普通にスーパーでも市販されているよね。
一方で、おぼろコンブは手で削るので現在では高級品になっているのだ!
今回お土産で買ってきたのだけど、食べるのが楽しみだ。

2020/01/18

インペリアル離脱

英国では、チャールズ皇太子の次男であるヘンリー王子とメーガン妃が「主要王族」から抜ける、と発表して大騒ぎになっているよね。
その後にエリザベス女王以下で会議をしたらしいけど、今後どういう形が可能なのか引き続き協議していくとかなんとか。
英国王室というのがどういうシステムになっているのかよくわからないけど、今回の「思いつき」はそういうルールをよく理解した上でのものではないんだな、というのはよくわかるのだ(笑)
しかも、一部報道によれば、どうもメーガン妃発で、王族としての知名度や国庫からのある程度の収入は確保しつつ、王族としての公務の負担は減らしたい、みたいな「いいとこ取り」を狙ったものとか言われているから、そうは問屋が卸さないよね・・・。
で、気になったので、日本のシステムを調べてみたのだ。

日本でも古来から後続を離れて一般人(?)になるということは行われているわけで、特に直径の天皇家と血縁関係が遠くなると、「臣籍降下」という形で姓をいただいた進化に加わる、ということが行われていたのだ。
実は誰もが知っているのは源氏と平氏で、後に鎌倉幕府を開く源頼朝の系列は清和源氏で、文字どおり清和天皇の流れをくむ氏族。
ほかに村上源氏や嵯峨源氏(百人一首でもおなじみの河原左大臣こと源融など)というのがあるよ。
おごる平家の平清盛の系列は桓武平氏で、桓武天皇の皇子からの流れだよ。

明治維新以降は、進級の皇室典範において「皇族」の範囲が明確に定められていて、かつ、皇族を離れる場合についても規定があるのだ。
現行の皇室典範では、第二章(第5条~第15条)で皇族の範囲を明確に定めているんだよね。
そのうち、第11条~第14条が皇族を離れる場合の規定なのだ。
自由意志により皇族を離れられるのは、基本は「女子」に限定されていて、男子皇族は「やむを得ない特別の事由があるとき」に「皇室会議の議により」皇族を離れることができる、とされているよ。
女子皇族の場合は、民間の方と結婚すれば普通に民間人になるけど、結婚をせずとも、自らの意思により皇族を離れることもできるのだ。
これは、我が国の皇室が男系であるため、女子皇族には皇位継承権が一切発生しないからなんだよね。
逆に、男子皇族は順位は別として皇位継承がつきまとうので、勝手に皇族をやめることができないシステムになっているのだ。
英国にはこういうのはないのかなぁ?

そして、お金の関係。
日本の皇室は、皇室経済法に基づき国庫から皇室に国庫から予算が支出されることとなっているのだ。
皇室に支出される経費には大きく分けて3つあって、内廷費、宮廷費、皇族費という区分があるよ。
内廷費は天皇陛下をはじめとする皇族方の「御手元金(ポケットマネー)」となるもので、宮内庁が経理を行う「公金」ではないのだ。
つまり、国家から支出されるけど、皇室の私的活動に使われる性質のお金。
皇室が行う国事行為ではない祭祀やそのために必要な人員(内定職員)に当てられるよ。
宮廷費は、逆に宮内庁が経理を行う「公金」とで、国家機関としての宮内庁及び国事行為を行う公人としての皇室のための予算なのだ。
これはほかの省庁と同じような予算ということだよね。

最後の皇族費というのが、皇族に毎年定期的に支払われる、いわゆる年収的な性質の経費や皇族の身分を離れる際に支払われる「餞別」的な支出に使われるもの。
いったん皇族を離れれば、この皇族費の支出対象からは外れることとなるのだ。
これも内廷費と同様に「公金」ではなく、各皇族のポケットマネーとして使われるものだよ。
皇室経済法施行法という別の法律で定額が定められていて、そこから自動的に計算される額が書く皇族に支出されるのだ。
このほか、行政組織としての宮内庁の運営に必要な経費は部つんいない各府に計上されているよ。

というわけで、日本の皇室の場合は、ヘンリー王子のようなことはなかなか起こらないんだよね。
まず、男子皇族は皇族を離れようとしても「やむを得ない特別の事由」がなければだめだし、さらにそれが皇室会議で認められなければいけないのだ。
さらに、皇族を離れてしまえば皇族費の支出対象ではないので、メーガン妃が狙っていると言われる、王族としての収入をある程度確保する、というのもだめ。
やはり、皇族としての責務をきちんと果たさないでいいとこ取りはさせてもらえないのだ。