2014/10/25

測るんだジョー

職場に引っ越しを考えている人が複数いて、どの地域がどうとか、部屋の間取りなんかが雑談の話題に上るのだ。
で、そんな話をしている中で改めて気になったのが、間取りにおける「ジョウ」の表現。
通常は畳の数で意識しているので「畳」を使うと思っていたのだけど、不動産関係の資料では「帖」という時を使っているんだよね。
なんでなんでしたっけ?

正解を言うと、畳の大きさに地域差があるので、畳の数では部屋の広さを正確に表現できないからなのだ。
なので、1帖=1.62平米と業界ルールで定めていて、不動産広告等では地域差なく正確に面積を表示できるようになっているんだ(間取り図によっては「J」で表現されているよ。)。
だったらそもそも平米で表現すればいいようなものだけど(笑)
とは言え、自分でも「何畳(又は何帖)」と言われた方が広さをイメージしやすいから、できるだけ4畳半やら、6畳間・8畳間のイメージを残しつつ、ということにしたかったんだろうね。

畳の大きさに地域差があるというのは割と有名な話で、「京間」は広くて「江戸間」はせまいんだよね。
具体的には、「京間」と呼ばれる伝統的なサイズは1間=6尺3寸=1.91mのもので、畳は半間×1間なので、1.82平米になるのだ。
「江戸間」というのは1間=6尺とするものなので、同じように計算すると畳は1.55平米。
1.2倍くらい違うのだ!
戦後には、さらに狭い「団地間」なんてのもあって、1.45平米くらいの畳もあるんだ。
やっぱり実際の部屋の床面積は意識しづらいから、並んでいる畳の数でごまかせるんだろうね。

なんでこんなことになったかというと、江戸が超過密都市だったことがあるんだよね。
当時すでに世界でも珍しい100万人都市で、いわゆる「朱引内」や「御府内」と呼ばれる江戸市中(「大江戸」の範囲)は、北は千住・板橋、西は代々木・角筈(つのはず、都庁周辺)、東は平井・亀戸、南は品川。
だいたい「四里四方」で、今の山手線の内側+本所・向島・深川の下町地域の70平方kmくらい。
さらに、実際には武家地や寺社地が多くて庶民が居住できるスペースはもっと限られていたので、今以上に家がせまかったんだよね!
そういう文化の中で、太閤検地以来1間=6尺3寸だったものが、6尺ちょうどになって狭くなったのだ。

もう一つの理由として、長さの単位である1間は検地により年貢米を算定する基準としての意味合いが強かったんだけど、江戸時代になると農業技術も向上して生産性が上がり、単位面積当たりの米の収穫量が増えたので、同じ石高で言えばより狭い範囲の土地があればよくなったんだよね。
なので、米の収穫量を中心にして、その石高に必要な土地面積を求める基準としての長さの単位を考えると、「1間」が短くなっても仕方ないのだ。
都市の住宅事情だけでなくて、こういうことも影響しているんじゃないかと言われているよ。
でも、江戸時代に公式に定められている石高って実際の収穫量とはマッチしていなくて、実質石高とはずれているんだよね。
なので、生産性の向上だけで説明というのも苦しい気はするのだ。

それと、最近では、土地にあわせて畳もオーダーメイドになることがあって、正確に1:2の縦横比率になっていないものもあるんだって。
土地に余裕がないけど和室がほしい、でも、そもままじゃきれいに畳が並べられない、となると、そういう変則的な形の畳を使うみたい。
見た目的には畳が並んでいるので、大きくサイズが変わらない限りはイメージとして「○畳」という風に映るのかな?
少し前はフローリングが主流で和室は減っていく傾向にあったけど、赤ちゃんの世話とか高齢者と一緒に住むことを考えると和室はあると便利なので、復権してきているんだよね。
単に面積単位として意識されていた「畳」がまた畳敷きのイメージに戻りつつあるのだ。
でも、そうなると、実際の畳の数と「帖数」はずれていたりして・・・。

2014/10/18

Do-No

2週連続で週末に台風が到来して、テレビのニュースでは例のごとく暴風波浪警報が出ているような地域で中継をしていたのだ。
今回は雨の量も多かったので、川などが氾濫して床上・床下浸水になった地域も多いみたいだね。
で、ここで改めて注目したのが土のう。
水が浸入してこないように積み上げて「防波堤」にするわけだけど、袋に土が詰まっているだけなのになんで水を通さないのかな?、って単純に疑問に思ったんだ。

実のところ、なんのことはなくて、土塀が水を通さないのと同じ。
袋の中に入れることで土が散乱せず、形状が保持されるので、隙間がない以上はそうそう水を通さないのだ。
パイプに土が詰まれば水が通らなくなるのと同じで、時間をかけてじわじわと水はにじみ出してくるけど、浸水を止めるという目的に対して問題になるほどしみ出すわけじゃないんだよね(笑)
問題は、隙間なく並べることで、そのための工夫がいるのだ。

ひとつは、袋はぱんぱんに土を詰め込まずに余裕を持たせること。
土は水を吸えばある程度膨潤するし、何より、袋に入った状態で自由に形状が変えられないと隙間ができるのだ。
あらかじめ袋の中の土もよく乾燥させてから踏んだりして柔らかくし、簡単に形状が変えられるようにしておくことも重要なのだ。
二つ目は、当然と言えば当然だけど、袋はしっかりひもなどで閉めておくこと。
中の土がもれるようであれば用をなさないのだ。
通常は袋の口のところにあるひもをきつく縛り、さらに、余ったひもを袋の口のところでぐるぐると巻くんだよね。
こうすると、袋が破れない範囲で自由に形状を変えられて、自重も手伝って隙間なく土のうが積み上がるのだ。

ただ土をもっただけではすぐに崩れてしまうので、しっかりと踏んだりたたいたりして固める必要があるけど、そうして作っていたのがむかしの堤。
簡易的に、かつ、短時間で同様の機能を持たせるために土のうを積み上げるのだ。
土を固める代わりに袋で形状を維持しているんだよね。
ただし、袋の中の土がぬれている限りにおいてはしっかりと隙間なく積み上がるけど、中身が乾いてきてある程度軽くなってくると、そこまでぎっちりとは密に積み上がらないのだ。
なので、緊急避難的には使えるけど、恒常的に堤にするわけにはいかないんだよね。

伝統的には麻袋に土をつめるんだけど、最近ではポリエチレン製の袋が主流なんだって。
その方が丈夫だし、長持ちするからね。
さらに、中身も土でなくて、高吸水性ポリマーのようなものがつまっていることも!
そうすると、水を吸う前は非常に軽いので、扱いやすくなるのだ。
積み上げてから水を吸わせると中身が膨潤していって、密に積み上がるという仕組み。
使用後に乾燥させれば再使用もできるそうで、軍隊のように袋だけ持ち歩いてその場その場で土を詰めて使う,というものでない限り、非常に便利なのだ。

さらに、最近では、生分解性のおがくずやら植物性繊維をつめたものもあって、もともと水よりも比重が重いので乾いた状態でも水に沈み、それが水を吸うと土のうの役割を果たすというのもあるんだって。
水が引いた後もそのまま放っておいても土に戻るし、中には植物の種が入れてあって、そのまま芝生の育成にも使えるものもあるとか。
こういうのは植生土のうと言われていて、緑化のための土木資材として使われているらしいよ。
水路に沿って置いて水の氾濫を防ぐとともに、水路際の植栽を行ったり、路肩に置いて路面への水の進入を防ぐとともに植栽を行ったりできるのだ。

今回、災害情報を調べていて知ったんだけど、もともと海抜高度が低くて、浸水が頻繁に起こるような地域だと、あらかじめ土のうを集めて置いてある「土のうステーション」があって、そこの土のうを持ってきて使うことができるんだって!
災害情報を見るたび、よくすぐに土のうなんて積めるものだ、と思っていたんだけど、そういう便利な公共サービスもあったんだね。
各家庭に常備していたわけではないのだ(笑)

2014/10/11

くさいほどうまい

最近とても気になっている料理があるのだ。
それはスイスのチーズ料理のラクレット。
ハードチーズを火であぶって表面を溶かし、それをそぎ取ってパンやゆで野菜につけて食べるのだ。
よく眞鍋かをりさんがワインとともにテレビで紹介しているんだよね。
かつて、アニメ「アルプスの少女ハイジ」でも全国の子供を釘付けにした料理なのだ!

チーズには独特の臭気があるので、長らく日本では加熱した上で各種チーズをブレンドして成型したプロセスチーズが主流だったんだよね。
別途乳化剤を入れないと固まらないけど、加熱して発酵を止めるので、保存期間が長くなるし、くせやにおいもマイルドにできるのだ。
米国ではプロセスチーズをよく食べるから、そこから来たんだろうけど。
でも、この頃は百貨店とかでも高級な輸入物ナチュラルチーズを売っているよね。
ボクはチーズが好きなのでわりと平気だけど、苦手な人にはきつそうなのだ(>o<)

チーズは、牛乳などの乳汁を長期保存するために工夫された伝統的な乳製品で、加熱しながら凝乳酵素(レンネット)を加えることで、乳脂肪や不溶性・難溶性の乳蛋白を乳清(ホエー)から分離して作るのだ。
水分を絞っただけのものがフレッシュチーズ(カッテージチーズ)。
これをさらに発酵させて作るのが「くさい」チーズたちだよ。
基本は乳酸発酵させて、中に含まれている糖分を分解して乳酸にし、酸性度を高めて雑菌が繁殖しづらい状態にすることで保存性を高めているのだ。
さらに、表面にかびを生やしたりして独特の風味を与えたりするんだよね。
最終的に残存する水分量で硬さが決まって、かっちかちのハードチーズから、とろりとしたカマンベールチーズのようなやわらかいチーズまであるのだ。

この発酵段階においては、タンパク質が分解されてアミノ酸になるんだけど、これがうまみのもとの一つ。
これは多くの発酵食品と同じなんだけど、このとき、脂肪分も同じように分解されて、脂肪酸ができてくるのだ。
この中でも、炭素数の少ない低級脂肪酸があの独特の臭気のものなんだよね。
酪酸やイソ吉草さんがまさにそれなんだけど、これは足のにおいの成分と同じなのだ・・・。
足のにおいも、汗の中に含まれていた皮脂が足の表面で雑菌に分解され、低級脂肪酸ができることで発生しているんだ。
においの発生メカニズムだけ見たら似たようなもの。

納豆やくさやなんかの「くさい」発酵食品は数あるけど、やはり発酵過程でにおい成分の分子ができているのだ。
この脂肪酸だけでなく、硫黄を含むアミノ酸が分解されてできる硫化水素やチオール(あるコースの酸素原子が硫黄原子になったもの)だったり、そのものずばりのアンモニアが発生していたり。
ただ、これらにおい分子ができているということは、発酵も進んでいるということで、うまみ成分が増えている証でもあるのだ。
くさいものほどうまいというのにもそれなりに意味があるわけ。
日本の「くさい」名産代表のふなずしも、乳酸発酵でタンパク質が分解されてうまみ成分が増えていくんだけど、同時ににおい分子も増えているんだよね(笑)
糖を分解するだけだとアルコールや酢酸、乳酸ができるだけだけど、脂肪やタンパク質が分解されるととたんにくさくなるのだ。
お酒の発酵があまりくさくないのは主に糖が分解されているからなんだよね。

チーズのにおい成分は主に低級脂肪酸なんだけど、これらは油状の不揮発性の液体なんだよね。
なので、常温ではずっとそこにあってくさいんだけど、ちょっと熱をかけてやると少しずつとんでいくので、多少においがやわらぐのだ。
チーズを加熱しているときはくさいけど、生のままより加熱したチーズの方が口の中では臭気が広がらないのはこのため。
好きな人は生のままちびちびかじりながら一緒にワインを、ということなんだろうけど、ボクはやっぱり加熱してとろっとしたやつを熱々で食べるのが好きだなぁ。
お酒をあまり飲まないというのもあるけど(笑)

2014/10/04

冬に咲く花

家の前の花壇にチューリップの球根を植えたのだ。
はじめて知ったんだけど、チューリップの球根って、秋のうちに植えて、しっかり値を張らせておくんだね。
で、春になると芽が出て、ということみたい。
でも、秋から冬にかけては地中でじっとしているので、水やりを忘れがちになるおそれがあるのだ!
見た目が変わらないから。
そこで、園芸の手引きを見ると、冬に咲くパンジーなんかの種をまいておくと、水りゃりを忘れないし、チューリップの芽が出るまでの間に花も楽しめる、と書いてあったのだ。

というわけで、さっそくパンジーとパンジーよりも少し花が小ぶりなビオラの種を買ってきてまいたんだ。
こちらは秋に芽が出て冬に咲くんだよね。
冬の寒い時期に咲く花は貴重なので、これからの季節は街中の花壇でもよく見かけるようになるのだ。
もともと発芽の適温が低くて、ある程度気温が下がってからでないと芽が出ないみたい。
これも棲み分け戦略なんだろうね。
寒い時期に咲く花は少ないので、虫に花粉を運んでもらう上で競合相手が少ないのだ。
冬に活動する虫が少ないのでは、という懸念があるけど・・・。
ちなみに、日本では夏が暑すぎるので夏に枯れてしまうことが多いけど、寒冷地では多年草で、1年目に葉を茂らせ、2年目に種を作ってから枯死するんだそうだよ。

パンジーは園芸品種のスミレ属の植物で、より花が小ぶりなものがビオラと呼ばれているんだ。
どちらも様々な色があって、花壇が賑わうのだ。
特に花が少ない時期に咲くので、園芸をする上で便利なんだよね。
もともとは、1800年代の北欧で、アマチュアの園芸家が交配で作り出したんだとか。
野生のサンシキスミレや野生のスミレ、近東のスミレなんかを交配して現在のような大きな花をつける品種になっていったのだ。
すでに19世紀前半にはかなり園芸品種として欧州に広まっていたみたい。
その後も現在に至るまで品種改良は進められていて、色が増えたり、さらに花が大きくなったり、ますます広がりが大きくなってきているのだ。
もともと寒冷な地方では春に咲く花なんだけど、温暖な地域では冬に咲くので、このあたりも園芸をする上で使い勝手がよかったんだよね。

パンジーが我が国に入ってきたのは江戸時代。
当時は「遊蝶花」や「胡蝶草」などと呼ばれていたんだって。
これは花の形から来ている名前なんだろうなぁ。
蝶が羽を開いたように見えるからね。
パンジーという名称は仏語の「パンセ(思慮)」から来ていて、8月末に花をつけたとき、深く思索にふけるように前に傾くことから来ているとか。
日本と欧米ではとらえ方が違うんだねぇ。
ちなみに、日本で一般的に栽培されるようになったのは戦後からなので、なかなか雅な名前だと思うけど、江戸時代の名称は引き継がれていないのだ(>o<)

ボクが買ってきたのは100均の種だし、植え替えをせずに球根を植えた花壇に直まきなのでどうなるか不明だけど、きれいに咲いてくれるといいなぁ。
わりとまだあたたかい時期に巻いたので、うまく行けば年内から花が咲くはずなんだけど。
せっかくだからきれいに咲かせたいものだよ。