2010/12/31

今年の汚れ、今年のうちに!

いよいよ大晦日♪
今年も1年が終わろうとしているのだ。
で、その前に欠かせないのが大掃除(>o<)
すっきりした気分で1年を迎えるための年中行事だよね。
最近では掃除用具も発達したし、ハウスクリーニングサービスなんかもあるからあんまり家族総出で大掃除、というのは聞かないけど、ちょっと前までは年末の風物詩だったよね。

むかしの家だと、アニメのサザエさんに出てくるように、障子の張り替えや畳干し、納戸・押入れの整理などなどやることがいっぱいあったんだよね。
ボクが子どものころでも、あまり普段は掃除をしない窓ガラスの清掃、窓のサッシの掃除、タンスや冷蔵庫なんかをどかして掃除したり、とけっこう大がかりだったんだよね。
年末と言ってもそんなに年末ではなくて、12月の28日とか29日が多かった気がするのだ。
館長の御用納めと同じくらいのタイミング。
お正月までの間多少は休んでおきたい、っていうのがあるのかな?

大掃除をする意義としては、1年に1回くらいは大がかりに、徹底的に掃除をしてきれいにしようっていうことがあるんだけど、それだけだと年末である意味はないんだよね。
「数え年」を使っている時代だと、お正月を迎えると一つ年をとるわけで、おめでたいときには1年で一番清潔でいよう、というよいきっかけがあったのだ。
まさに1年分の汚れを精算して、新たな真っ白な心持ちで新年を迎えたいっていう気持ちだよね。

でも、実はこれははるかむかしからの習わしが影響しているのだ。
農耕民族である日本の民俗では、新年に歳神様を迎え、五穀豊穣を願うのだ。
で、その歳神様を迎えるときの依代が門松だったり、注連飾りだったり、鏡餅だったりするわけだよね。
当然、神様を迎えるに当たって掃き清めなくてはいけないわけで、それが年末恒例の大掃除につながるというわけ。
かつては「煤払い」と呼ばれていた年中行事で、今でも神社仏閣では年に一度煤払いをしている姿が報道されるよね。
行灯やろうそくを灯りに使うとどうしてもすすが出るので、1年分たまったすすをまとめて落としてきれいにしようってわけ。

さすがに長屋だとそんなに掃除するスペースもないのであれだけど、商家の大店なんかだと、小僧や手代が総出で掃除をするわけ。
でも、年末年始には里帰りもさせないといけないので、今よりだいぶ早く、12月13日ごろに行われていたんだって。
歩いて帰らないといけないから、それくらいのゆったりとした時間の流れでものを考えないとダメなんだろうね。
で、掃除の後は、滋養強壮と長寿を願って鯨汁が振る舞われたんだとか。
今ではすっかり廃れてしまっている風習なのだ。
古い瓦版(=新聞)や古い浮世絵(=写真?)を見つけて思い出にふけって時間が経ってしまう、なんてのは共通だったらしいけど(笑)

この大掃除をさぼってこたつや火鉢で温まっている悪い子どもを戒めるのが秋田のなまはげや能登のあまめはぎ。
長く火に当たっていると低温やけどで皮膚の一部が固くなって「火だこ」というのができるんだけど、それは年末の大掃除やお正月の準備をさぼっている証拠と見なされたので、その「火だこ」のある怠け者を懲らしめるものとして機能していたのだ。
出てくる次期は年末年始だけではないみたいだけど、これもある意味「歳神様」みたいなもので、きちんと迎える人には福をもたらし、そうでない人は懲らしめる、というきわめて教育的・道徳的な存在なのだ。
というわけで、大掃除をさぼると怖いなまはげが出てくるので、さぼらないで働かないとね!

2010/12/25

月が欠けて月食よ!

今週21日の火曜日は日本では全国的に皆既月食が観測できる好機会だったのだ。
残念ながら関東はあいにくの天気であまりよく見られなかったけど(ToT)
前回の皆既月食は2008年の8月で、次は来年の6月のようなのだ。
その間には部分月食もあるし、意外とよくあるんだね。

月食は、月が地球の影に入ることで月に太陽の光が当たらなくなることで生じる現象。
つまり、太陽と月と地球が「太陽-地球-月」と一直線に並ぶときに起こるのだ。
でもでも、これって理科の授業の時に習った満月の時の並び方と一緒だよね?
約1ヵ月に一度現れる「満月」は地球を中心にして太陽と月が逆側にあるから月の見えている面が全面に太陽の光を反射して光っているんだけど、逆に言うと、普段は「太陽-地球-月」という順番に並んでも月に太陽の光が届いているというわけなのだ!

これは地球が太陽のまわりを回る公転面と、月が地球のまわりを回る公転面がずれているからで、二つの公転面は同一平面上ではなく、ななめに交わっているのだ(約5度の傾き)。
なので、実際には「太陽-地球-月」という順番に並んでいても、月は地球の真裏にあるわけではなく、地球の真裏からは少しずれた位置にあるため、大きな太陽から出ている光を受けることができるのだ。
むしろ、地球の真裏にたまたま月が来ると、そのときが月食になるというわけ。
すなわち、月食の時は必ず満月なのだ。

天球上で考えると、太陽の見かけ上の通り道の「黄道」と月の見かけ上の通り道の「白道」が交わる2つの点に月と太陽が来ると日食又は月食が起こることになるよ。
同一の点に太陽と月の両方が来ると太陽が月の影で隠れるので日食になって(このときの並び順は「地球-月-太陽」)、それぞれが別の点に来ると月が地球の影に隠れて月食になるのだ。
本当は違うけど、やっぱり地球を中心に太陽と月がどう回っているかを考えた方がわかりやすいのだ(笑)

で、地球の影に月が入り込むのが月食なんだけど、これにもいろいろと種類があるのだ。
太陽は地球に比べてはるかに大きいので、地球の影は中心部の光がほとんど入らない本影と一部の光が入らない半影に分かれるのだ。
ちょうど目玉の形に同心円になっているんだけど、半影のところには太陽の辺縁部から出た光が水平線・地平線を回り込んで地球の裏側にも少し届いてしまうためにできるんだよ。
※絵の解説はこちらの国立天文台のページを参照。
一般に太陽の光は平行と見なすけど、実際には斜めに出ているので、天文学的な大きな視点で捉えるとそういうことが起きているのだ。

半影に月が入る状態を半影食と呼んでいて、この場合は月が少し暗くなるだけ。
素人にはよくわからないみたい(笑)
本影に入るのが月食で、月の一部分だけが本影の中にはいるのが部分月食、全部が入るのが皆既月食なのだ。
月が移動していく中で本影にさしかかると一部が影に隠れて見えなくなるので、部分月食でも皆既月食でも月の動きとともに満ち欠けが変化していくんだよね。
部分月食の時の明るく見えている部分は実は半影の中にいるので、普通の月より暗いんだねぇ。
はじめて知ったよ。
全体が暗いから目立ってかえって明るく感じるけど。

で、皆既月食になると完全に月の光が見えないかというと実はそうでもないのだ。
何もなければ太陽の光は届かないんだけど、地球表層を覆っている大気によって太陽光の一部が屈折されるので、ほんの少しだけ光が届いているのだ!
青い光(波長の短い光)は空気の分子に散乱されやすいのでほとんどとどかないんだけど(青い光が散乱されるから空は青く見えるのだ。)、赤い光(波長の長い光)は屈折されて一部が届くんだ。
それで、皆既月食の時には灰色~赤~オレンジといった色に見えるのだ。
全体がうすらぼんやり光っているイメージだよ。
この色も大気の状態によって決まっていなくて、見るときによって違うんだって。
特に火山の噴火があって火山灰が成層圏まで巻き上げられると、赤い光も散乱させられてしまってほとんど光が届かなくなり、暗い(?)皆既月食になるんだそうだよ。
今回もアイスランドの噴火があったけど、影響はそこまでではないだろう、と予想されているのだ(フィリピンのピナツボ火山の噴火の後は相当暗かったみたい。)。

というわけで、一度学校で習ったような気もするけど、月食についていろいろと調べてみたのだ。
月食はたまにしかないから、こうやって勉強するよい機会になるね♪
ちなみに、アポロ計画以来の最大の月探査計画と言われた日本の月周回衛星「かぐや」は、皆既月食のときに逆に月の側から太陽を観測したことがあるのだ!
ちょうど日食と同じように、太陽が地球の影で隠れて、きれいなダイヤモンドリングも撮影できたんだよ。
これからの宇宙時代にはこういう日食・月食の楽しみ方も出てくるのかも?

2010/12/18

渋く決めるぜ

いよいよ冬に突入して、ボクの好きな柿の季節も終わろうとしているねぇ(>_<)
果物の中では断然柿が好きなので、残念だよ。
でもでも、その一方で、この時期の楽しみは干し柿。
日本伝統のドライフルーツだけど、ボクはこの干し柿も好きなのだ。

柿はかなり早い時代の弥生時代には梅や桃、杏などとともに大陸から日本に渡来して、以来栽培が始められているようなのだ。
実を食べるだけじゃなく、木質が固いことから柿の木は家具などに使われるし、あの渋みのもとを抽出した柿渋は防腐剤や防水剤として利用されてきたのだ。
まさに日本の民俗に密着した植物なのだ。

柿は果物の中でも糖度が特に高いんだけど、これは貴重な甘味だったのだ。
サトウキビやテンサイからとれる砂糖は超希少品・高級品で、一般的には発芽玄米や麦芽から作られる水飴が主要な甘味料だったんだよね。
それも主要成分は麦芽糖なのでそんなに甘くないのだ。
それ以前、平安時代なんかはツタなんかの少し甘い樹液を煮詰めて作る「あまづら」くらいしか甘味料がないので、柿の甘さは格別!
甘味を求める日本人にとってあこがれの存在だったのだ。
(サツマイモも甘いけど、これは江戸時代中期、八代将軍吉宗公が栽培を奨励して広がったのでだいぶ遅いのだ。)
で、現在も和菓子の甘さは干し柿の甘さが基本になっているとも言われているよ。

柿にはご存じのとおり甘柿と渋柿があるんだけど、甘柿は突然変異でできたもので、たまたま渋みがなくてそのままでも生食できるようになったもの。
これ幸いと品種改良を重ねて今ではいろんな栽培種(富有柿や次郎柿など)ができているんだよね。
一方、渋柿でも、なんとか渋を抜いて食べてきた歴史があって、むしろ渋柿から渋を抜いたものの方が好き、なんて趣向もあるのだ。
干し柿にするのは一般に渋柿だよ。
ま、渋を抜くために干しているので当たり前なんだけど・・・。

渋柿の渋み成分はタンニン。
タンニンには水に溶ける可溶性タンニンと水に溶けない不溶性タンニンがあって、渋柿には可溶性タンニンが多く含まれるので渋く感じるのだ。
甘柿の場合はほとんどが不溶性タンニンになっているので渋みを感じないわけ。
で、渋柿でも、可溶性タンニンを不溶性タンニンに変えられれば甘く食べられるのだ。
そのための「渋抜き」の工夫が連綿と考案されてきたんだ。

その最たるものが干し柿で、乾燥させることで水分量を減らし、果実中に含まれるタンニンを凝集させることで不溶性にするのだ。
渋柿に含まれるタンニンはもともとポリフェノールの一種がいくつも結合してできている縮合型タンニンなんだけど、結合している数が少ないと水に溶けるのだ。
逆に、結合している数が増え、分子量が増えると水に溶けなくなって、同時に渋みを感じなくなるわけ。
水分量を減らすことでタンニンの分子が近づき、縮合が進むということだよ。
さらに、干し柿の場合は乾燥させることで保存食にもなっていて、流通にも便利になるんだよね。
これで日本の甘味の代表選手が干し柿になったのだ。

渋抜きには他にもいくつか方法があって、一番簡単なのはそのまま放っておいてとろとろになるまで完熟させること(リンゴと一緒に密閉して、リンゴから放出されるエチレンガスで熟成を進めるという方法もあるよ。)。
まだ固い、しゃりしゃりした状態で食べたいときは、別に渋抜きする必要があるのだ。
有名なのはアルコール(焼酎)につけるもの(樽柿)で、エタノールが入ることで水素結合が弱まるためにタンニンが水に溶けづらくなり、縮合が進むんだ。
同じ原理でアルコールを振りかけて密封しておいておく、という方法もあるよ。
それからお湯につける、米ぬかにつけるなんて方法もあるのだ。
工業的には、二酸化炭素の超臨界流体(高温・高圧下で液体時対の中間のような性質を示す状態)に通して二酸化炭素中にタンニンを抽出する、という方法もあるのだ。
これだと大量の柿を一気に渋抜きできるのだ。

干し柿は乾燥が進むと黒く、固くなり、表面には糖分が析出してきて白い粉が吹いてくるよね。
柔らかいうちならそのまま食べられるけど、固くなってくると刻んで料理に使ったりするのだ。
時代が下ると干し柿の製法も進み、大正時代に福島県で考案されたのがあんぽ柿。
硫黄で燻蒸してから干すことで、半生で柔らかく、ジューシーになるのだ。
これは海外で柔らかい干しブドウを作るときに硫黄燻蒸することにヒントを得たそうだけど、干しているうちに硫黄は飛んでいくので、食べる段階では硫黄臭はないのだ。
戦後になると、同じような方法で長野県名産の大きな柿を使った市田柿も登場するのだ。

ちなみに、干し柿は自分でも簡単に作れるよ。
渋柿の皮をむいて、少し表面を乾燥させてからへたのところをひもでしばり、風通しのよいところにつるしておけばよいだけ。
ただし、直射日光が当たるとかぴかぴになるので、陰干しで徐々に乾燥させていくのがみそ。
それと、湿度が高いとカビが生えたり腐敗したりするので、冬のような乾燥した時期に作るのがよいのだ。
むかしは秋に収穫した渋柿を冬に干し柿にしたわけだよね。

最後に、何かと嫌われる柿の渋だけど、むかしの人はわざわざ柿渋を抽出していろいろな用途に使っていたのだ。
防腐作用があるので即身仏に塗布したり、防水作用もあるので漁網や釣り糸に塗ったり、独特の茶に染める染料として柿渋染めに使ったりなどなど。
乾燥すると固く頑丈にもなるので、うちわや傘にも塗っていたのだ。
さらに、タンパク質凝固作用があるので、清酒を造るときに入れて余分なタンパク質を除去するのにも使われているんだって(今ではこの用途が一番多いらしいよ。)。

柿渋をとる場合は、まだ未成熟な青い果実を粉砕し、二昼夜ほど発酵・熟成させてから圧搾するんだとか。
そのまま圧搾した絞り汁が「生渋」で、その上澄みをとったのが「一番渋」。
一番渋をとった残りに水を加えてさらに発酵させ、そこから圧搾してとるのが「二番渋」と呼ばれるらしいよ。
これを数年保存して、熟成させてから使うんだって。
途中で発酵させるのでかなりの悪臭だとか。
こっちも簡単に作れそうだけど、干し柿と違ってあまり作りたくないね(笑)

2010/12/11

・・・は青かった!

先日、コリラックマさんがお風呂場でつまずいて、ひざに立派な青あざができてしまったのだ(ToT)
見ているだけで痛そう!
子どもの頃はそれこそ擦り傷でかさぶたができたり、転んで青あざができたりすることが多かったよね。
大人になると頻度は減るけど、青あざだけは時々できてしまうのだ(>_<)
で、ふと気になったので、この「あざ」について少し調べてみたよ。

一般に「あざ」は皮膚に現れる変色のことで、肌の色と違う色の部分が局所的に現れるものなのだ。
これは生まれつきのもの(先天性のもの)もあれば、けがをしたり病気をしたりしてできるもの(後天的なもの)もあるんだよね。
青あざは外傷によってできる後天的なものの代表例で、誰しも一度ならずお世話(?)になるもの。
大きな外傷だけ消えないあざになることもあるんだよね・・・。
先天的なもので有名なのはアジア人によく見られる蒙古斑。
幼児の間にだけ見られるものである程度大きくなると消えていくんだよね。
人によっては消えないようなあざが生まれつきある人もいるんだって。

青あざは打ち身でできることが多いけど、その原因は内出血。
皮膚の深いところで出血すると、まずはそのぶつけたあたりが赤くなるのだ。
その後、出血した血が固まって黒くなるんだけど、これが皮膚を通して青く見えるんだって。
この血液の赤とか黒の色は血中のヘモグロビンの色なんだけど、さらに時間が経過してヘモグロビンが分解されていくとまた色が変わってくるのだ。
ヘモグロビンの中の色素のヘムから鉄イオンがはずれてビリベルジンになると緑色になるのだ。
そうすると青あざもちょっと色が緑がかってくるわけ。
さらに、ビリベルジンがビリルビンになると、黄色くなるんだけど、これがあざの治りかけの時に黄色い色だよ。
ちなみに、ヘムからできるビリルビンは黄色の色素で、尿の色の原因でもあるのだ!
見ていて痛々しいけど、やがて自然に治るからまだ安心かな。

通常は強い打ち身で内出血が起きたりするんだけど、白血病になったりすると、血小板が少なくなって血が固まりにくくなるので、ちょっとした刺激で内出血しやすくなるのだ。
それで鼻血がよく出たり、青あざが知らないうちにできていたりという症状が出てくるんだ。
特に覚えがなく、痛みもなかったのに青あざができるときは注意が必要かもね。

青あざは時間の経過とともに消えていくことが多いんだけど、なかなか消えないあざもあるのだ。
それらの多くはメラニン色素が皮下に沈着しちゃっているんだよね。
メラニン色素は肌の色や日焼けの色の原因として有名だけど、局所的に量が増えて、かつ、それが安定的に沈着してしまうとあざになるのだ。
皮膚の浅いところにたまると黒ずんで見え、深いところだと青くなるわけ。
打ち身による青あざでなく、皮膚に青いあざがある場合は、このメラニン色素が皮膚の深いところで沈着している可能性が高くて、レーザー治療で色素を焼くなどしないと消すことはできないみたい。

面的な広がりを持って色素が沈着するとあざと呼ばれるんだけど、これがもう少し範囲が狭いと肌のくすみ、しみ、そばかすと呼ばれるのだ。
皮膚の比較的浅いところにたまるので茶色から黒に見えるんだよね。
くすみやしみは老化とともに皮膚に色素が沈着してしまう現象で、これはもう普段から肌のお手入れをしっかりとして、新陳代謝を高め、可能な限り色素が沈着しないように気をつけるしかないのだ。
できてしまったらコンシーラーなどの化粧品で隠すことになるわけ。
ちなみに、色素の沈着は物理的な刺激によっても起こるので、傷跡のまわりが少し黒ずんだりするのも同じことなのだ。

思春期に悩ましいそばかすはスポット的に色素が沈着する現象で、局所的にメラニン色素を作るメラノサイトという細胞が活性化することによって起こると考えられているんだ。
白人に特に多いんだけど(黄色人種や黒人はもともとメラノサイトがある程度活性化しているのでひどくないと目立たないというのもあると思うけど。)、これは優性遺伝するものみたい。
ようは紫外線による刺激に弱い、ということのようで、光過敏症などを併発していることもあるんだけど。
できやすい体質の人は紫外線を避けるしかないけど、できてしまったものはレーザー治療もあるみたい。
ちなみに、しみやそばかすの原因も若い頃の過度な日焼けだったり、睡眠不足などのストレスだったりする(ストレスがたまると体内に活性酸素が増えて、それが悪さをするのだ。)けど、紫外線には気をつけた方がよさそうなのだ。
紫外線に当たらないとビタミンDが活性化しなくてカルシウム代謝が悪くなったりするので当たらないですませるわけにはいかないんだけど。

2010/12/04

New Islandからの贈り物

この時期はまだ銀杏並木の下でギンナン臭がするねぇ(>_<)
落ち葉の下に最後に残されたギンナンが隠れていたりするから、踏まないように気をつけないといけないのだ!
そんなギンナンのにおいをかいでいると思い出すのがくさや。
日本でもっともくさい食べ物のひとつだよね。

一般には伊豆諸島、中でも新島の名産と言われているのだ。
八丈島のものもメジャーだけど、新島から製法が伝わった、と言われているようなので、やはり新島が元祖みたい。
くさやは干物の一種で、「くさや液」と呼ばれる独特な調味液に漬けてから補干されたもの。
そのにおいから発酵食品のように思われがちだけど、発酵しているのはその調味液であって、くさや本体ではないのだ。
くさや干物なので、乾燥させることで水分含有量を少なくして雑菌の繁殖を抑制した保存食。
むしろ菌は繁殖していないんだよ。

そのくさや液というのは、長年にわたってくさやに使う魚が漬けられてきた塩水で、中には漬けた魚からいろいろな成分が溶け出し、それが発酵しているのだ。
独特の茶褐色も、あの強烈なにおいも発酵と熟成によるもの。
アミノ酸や核酸が多く含有されているので、うまみも凝縮されているんだけど、酢酸やプロピオン酸、酪酸などの有機酸やそのエステル類が「臭さ」のもとになっているんだ。
そう言えば、ギンナンの臭さも酪酸などの有機酸由来だから、確かににおいが似ているはずなのだ。
もともと魚の成分が溶け出した塩水なので、ヴェトナムのニョクマム、タイのナンプラーなどの魚醤に近い風味なんだけど、もっと強烈みたい。

これはくさや製造業者が代々受け継いでいるもので、塩分濃度や漬けてきたさなかの種類などで多様性があるんだって。
まさに焼き鳥のたれと同じだけど、においがあるから大変だよね(笑)
ぬか床のように一般家庭でも受け継がれているところがあるんだとか。
それって、自宅でくさやを作っているってことだよね。
すごい世界なのだ!

発祥は詳細にはよくわからないみたいだけど、もともとは近海でとれる魚を保存食にするために塩水に漬けてから干物にしていたんだけど、塩が貴重品だったために、同じ塩水を何回も使い回したらしいのだ。
その結果、塩水には魚の成分がダシのように溶け出し、それが発酵し、熟成することでくさや液の原型ができたというわけ。
すでに江戸時代にはくさやが名物になっていたようだから、相当歴史があるんだね。
ちなみに、新島は米がほとんどとれないので、代わりに塩で年貢を納めていたんだけど、むかしは塩田法で手間ひまをかけて塩を精製しなければいけなかったので、特産品とは言え非常に貴重なものだったそうだよ。

実は、くさや液さえあればくさやを作るのは意外と簡単。
ムロアジやトビウオ、シイラなどの魚を開き、内臓や血合いを除去してていねいに洗い、十分に水気を切ってからくさや液につけるのだ。
これは一昼夜ほど漬け込んでしっかりをくさや液を浸透させるみたい。
漬け込んだ後はまたていねいに洗ってから天日干し。
最近は乾燥機なんかも使うようだけど、干物と同じで天日干しの方がおいしくなるらしいのだ。
ただし、あまり乾燥させすぎると固くなりすぎるので注意が必要。
実際に自分で釣った魚を干物にする人もいるから、何代かにわたって漬け込む塩水を使い続ければくさや液ができあがるかも(笑)

くさやはそのままでもくさいので真空パックや瓶詰めで売られているけど、これを焼くとさらににおいが拡散するのだ・・・。
最近では普通に魚を焼くのもはばかられるくらいだから、くさやを焼こうものなら大変だよね。
時と場所を選ばないと!
でも、好きな人は好きなんだよねぇ。
ちなみに、くささを数値化してみると、世界一くさいと言われる発酵缶詰のシュールストレミング(ニシンの塩漬けを缶の中で発酵させたもの)や韓国のエイを発酵させたホンオフェ(強烈なアンモニア臭)に比べるとまだまだちょろいものみたい。
だったら自宅で作って、自宅でも食べられるかな?
ボクはあえて挑戦しないけど。