2020/11/28

しもしも

まもなく11月も終わるのだ。
今年も押し迫ってきた!
11月の別名は霜月だけど、これは霜が降り始める時期、というところから来ているんだよね。
実施には旧暦なのでまさにこれからの季節が「霜月」なのだ。
日本でも初霜は代替このくらいの時期だよね。

この「霜」というのは、空気中の水蒸気が昇華して物体の表面に細かな氷がつく現象のこと。
夏なんかの高温多湿の時期に冷たいものの表面に「結露」で水滴がつくことがあるけど、もっと冷たいと水蒸気がいきなり氷になって「霜」になるのだ。
冬の場合、風も穏やかで放射冷却で地表面がどんどん温度が下がっていくので、最低気温が5度を下回るくらいだと、地表面では零度くらいの温度になって、霜が降りることになるのだ。
ちないに、春先になると空気中の水分が凝結して舞台の表面に水滴が付着するけど、こちらは「朝露」なのだ。
これになると冬が終わるのだなぁ、と思うよね。

どちらにしても、大事なのはその場の空気が湿っているかどうか。
そもそも空気中に水蒸気が含まれていなければ霜も露も降りることはないのだ。
大陸の内陸部の砂漠地帯なんか、夜間には氷点下になることもあるわけだけど、そういうところではそもそも空気が乾燥しているから霜が降りることはないんだよね。
砂漠に住むトカゲの仲間の中には、わずかに空気中に存在する水蒸気が目の表面で結露したのをなめて水分補給をする種もいるようだけど、この水分ごく微量なので、霜という現象で観測されることはまずないと思うよ。

下が土壌でそこに十分な水分があって、そのために地表面近くの空気が湿っていて、それでなおかつ冷え込む、ということが重要なのだ。
なので、風物詩でもある初霜というのは対外は植物の葉に微細な氷の粒が就いているのを発見して冬を感じる、というものなのだ。
最近では車のフロントガラスなんかの方がよく見かけるけどね(笑)
空気中の水蒸気が昇華して氷の粒になるのが大規模に起こると、ダイヤモンドダスト(氷霧)になるのだ。
日本だと北海道の内陸部なんかで時折観測されるよね。

これと似ているようで違うのが「霜柱」。
霜柱も放射冷却による冬の冷え込みの結果として発生するんだけど、こちらは徐々に土壌中の水分が凍結していって起こる現象。
まず最初に地表面の土が凍り、そこに土壌中の水分が毛細管現象で吸い上げられていくと、そこで水も凍ってしまうんだよね。
でも、下から水分はちょっとずつ吸い上げられるので、地表面付近で氷が細長く成長していくのだ。
これが霜柱の正体。

こちらは氷の結晶が成長していく過程で周りの土を持ち上げるので、あの、踏むと楽しいふわふわの状態ができるんだよ。
逆に、土の部分が柔らかくないと、氷の結晶が上方向には成長できないので、単に地表面近くで水分が平面上に凍りながら広がっていくことになるのだ。
霜柱の発生の重要な条件は、土壌中の水分、十分な冷え込み、そして、土の軟らかさ、なんだよね。
しもばしらについても、地表面近くで水分が凍る必要があるので、地表面温度が冷夏であることが必要。
おそらく土壌中に微細な氷の粒はできるのだけど、霜柱として認識されるためにはけっこう成長しないとわからないので、霜よりは冷え込みの条件は厳しいのだ。

2020/11/21

発酵豆は世界を渡る

よく、納豆は日本独自の食品、みたいなことを言われるよね。
実際にボクもそう思っていたのだ。
韓国には、ひきわり納豆に似た「チョングッチャン」というのがあるのは知っていたんだけど(ドラマ「孤独のグルメ」でたまたま見た。)、それも戦前に持ち込まれたものが韓国で独自の発展をしたのだと思っていたんだよね。
でもでも、どうもそうではないらしいのだ。
ダイズなどの豆を発酵させた食品はもっとグローバルで、アジアを越えてアフリカまで広がっているらしい!
っていうか、欧米以外にはあるようなのだ。

豆を発酵させたものの最も古い記録は中国のもの。
今でも中華食材として使われている「豆豉(とうち)」だよ。
刻んだものが麻婆豆腐の味付けに使われたりするよね。
黒いつぶつぶのやつ。
あれは、乾燥黒大豆を戻したものに塩と麹を加えて発酵させ、さらにそれを天日干しした保存食品なのだ。
そのままポリポリかじってもいいし、刻んで調味料のように使ってもいいしい、というもの。

これは古い時代に仏教徒とも似日本にも伝わっていて、それが本来の「納豆」だったようなのだ。
今で言う「寺納豆」や「塩辛納豆」という糸を引かない方。
おそらく、鑑真和上が壊れてやってきたくらいのタイミングで伝わってきたもの。
ところが、どうも室町時代くらいの今のいわゆる納豆、糸引き納豆が出てきて普及した結果、「納豆」という名前をとられ、いったん忘れられてしまうようなのだ・・・。
その後、もう一度中国から留学僧たちが持ち帰り、また寺院を中心に作られるようになり、「寺納豆」と呼ばれるようになったのだ。
すでに「納豆」の名を取られていたので「寺納豆」という名称が改めてつけられたのはこのため。

この豆豉とか寺納豆は、塩蔵の上で麹で発酵させたもの。
なので、原料的には味噌や醤油に同じなのだ。
中国では、肉や魚、穀物などを塩に漬け、麹で発酵させた保存食をよく作っていて、それがペースト状になったものを「醤(ひしお)」と呼んでいたのだ。
豆を原料にした醤醢が味噌・醤油の源流。
豆豉を作る途中で、乾燥させずに豆をつぶせば味噌になるのだ。
そして、味噌を造っている途中に出てくる液性成分だけ集めると「たまり」。
この液性成分だけを効率よく作るようにすると醤油になるんだよね。

で、おおもとの中国のものは麹で発酵させるんだけど、どうも東南アジアやアフリカまで広がっている「納豆的な食品」は、日本の納豆と同じく、枯草菌の仲間で発酵させたものみたい。
ご存じのとおり、納豆は納豆菌で発酵させるわけだけど、納豆菌は常在菌で、もともとそこら中に付着しているもの。
他の雑菌との違いは、芽胞を形成しているときは熱に強く、一度煮沸したくらいでは死滅しないこと。
なので、蒸し大豆を稲わらで包むと納豆ができるのだ。
まだ豆が熱いうちに包むので、周りの雑菌は死滅し、生き残った納豆だけが後で増えるわけ。
これと同じようなことを東南アジアでもやっているみたいで、東南アジアの場合は、バナナの葉など、そこら辺の大きな葉っぱで包むみたい。
菌の違いがあるからか、日本の納豆ほどは粘つかないものが多く、乾燥させるものもあるみたい。
発酵の過程でタンパク質が分解されてうまみ成分であるグルタミン酸が豊富に含まれるので、昆布、チーズ、トマトなどに含まれるうまみ成分がたっぷりとあるんだよね。
なので、調味料的に使われることも多いみたい。

おそらく、こっちの系統の納豆はどこかが製法を編み出して、それが広がっていったというより、多くの地域で同じようなことをした結果、同じようなものができあがった、ということだと思うんだよね。
豆はかたくてゆでたり蒸したりしないと食べられず、それを何らかの形で保存しようと包んで置いておいたら発酵した、みたいな。
欧米の人にはそのねばりとにおいで嫌われることの多い納豆だけど、アジアやアフリカでは、その味が好まれ、それぞれ独自の発酵食品として親しまれてきているみたい。
これはなかなか興味深い。
アフリカの納豆ってちょっと食べてみたい。

2020/11/14

「生」の意味

すごいニュースがあったのだ。
船橋の30代男性が、スーパーで購入した「秋鮭(生)」を生食して食中毒になったというもの。
この男性曰く、「(生)」と書いてあったので、生食できると思った、らしい。
っていうか、これはどう見ても「冷凍じゃない」という意味だよね。
普通にスーパーで買い物をしたことがあればわかりそうなものだけど・・・。
でもでも、よくよくこのニュースを見てみると、ちょっと怪しい記述も。
それは、「ルイベ風に食べようと、買った切り身をしばらく冷凍庫に入れてシャリッとさせた後、調味液に浸し、一口大に切って食べた」という部分。
サーモンの刺身のようにしたわけではなく、「ルイベ」風に、というところがあやしいのだ。

ルイベとは、ご存じ北海道の名物料理で、鮭の身をいったん冷凍して「から薄切りにしたもの。
普通の刺身とは違ってしゃりしゃりとした食感があるのだ。
でも、このルイベで大事なのは冷凍の度合い。
市販されているものは、-20度いかにある業務用冷凍庫で凍らせたもの。
家庭用冷蔵庫の冷凍庫の場合、だいたい-15度くらいまでしか冷やせないので、温度が高いのだ。
すると、鮭の身の中にいるかもしれない寄生虫(アニサキス)を死滅させるには、相当長時間冷凍保存しないとダメみたい。
この人の場合、ちょっと凍らせただけなので、それでは寄生虫は死滅していないのだ!


もともとルイベは、サケ・マス類の魚を冬のさなかに屋外に釣るし、冷凍と乾燥を繰り返すことで保存食としたもの。
夜のうちに凍ったものが昼間少し融けるときに、水分が少し抜けるので、一夜干し程度の乾燥度合いになって、味が濃くなるのだ。
そして、そのとき余分な脂も落ちるので、よりさっぱり食べられるようになるそうだよ。
そういう伝統的なルイベが今も流通しているのかどうかはよくわからないけど。
凍み餅とか凍み豆腐みたいな作り方なのだ。
この場合、じっくりと長時間かけて冷凍されるので、寄生虫は死滅させられるよ。
欧米だと魚の保存食は主に燻製だけど、同じような気候の土地は北欧にもあるから、魚を生で食べたい、という意識の違いが出ていおるのかもしれないね。

鮭の場合、えさとなるオキアミにアニサキスなどの寄生虫が潜んでいるので、それを食べて寄生虫を持つに至るわけ。
鮭が生きている間は主に内臓にいるわけだけど、死んでしまうと身の方にも移ってくるんだって。
とはいえ、いくらとりたてであってもリスクはあるので、寄生虫対策はしないと危ないのだ。
同じアニサキスでも、鯖の場合は酢締めにして「シメサバ」にされるけど、実は、酢締めに使う程度の酢の濃度ではアニサキスは死滅しないので、シメサバであっても当たることはあるらしいよ・・・。
鯖は傷みやすいから酢締めにするわけだけど、新鮮な状態ですぐに酢締めにしたものでないと危険なんだって。
こうなると、バッテラ著利焼き鯖寿司の方が安全ということか(笑)

一方で、現在はノルウェー・サーモンなどの生食できるものが売られているのも事実。
普通に切り身の刺身も売っているし、寿司ネタでも好まれているよ。
でも、これは完全養殖で管理された状態で育てられたもの。
アニサキスはえさから入ってくるので、そこを気をつけているのだ。
なので、名称も「サーモン」という表記で、生食のものは「鮭」とは表記されないのだ。
この辺はリテラシーの問題なんだけど、このあたりの食品の知識はきちんと持っていないと危ないよね・・・。

ちなみに、サケマス類は、海に下って大きくなって川を遡上するものと、そのまま川にとどまるものがあるよね。
例えば、イワナとかヤマメ、サクラマスなどなど。
これら陸域でしか生息していない「陸封型」のサケマス類は、海で寄生虫を持っているえさを摂取しないので、寄生虫がいることはまれ。
でも、完全にフリーというわけじゃないみたい。
渓流で釣ったイワナはその場でおろして刺身に、なんてのもたまに見るけど、リスクはあるみたいだよ。
養殖物なら問題ないんだけどね。

2020/11/07

ファックスでもOK?

 米国大統領選が、予想どおり混乱しているのだ。
その主要な原因は、増えに増えまくった郵便投票。
一部不正の噂も出てきているけど、米国の場合は舟ごとにルールも違うので、選挙当日の消印が有効だったりしてすぐに開票できないのだ。
いつもならごく少数しかないから大きな問題にはならないのだけど、今回はコロナ禍の中で郵便投票が増えたので、当落を左右するものになってしまったんだよね。

で、実は、日本でも「郵便投票」というのは存在するようなのだ。
公職選挙法では、選挙日当日に指定された投票所で投票する以外の方法として、①期日前投票と②不在者投票の2つの制度があるんだ。
期日前投票は実は再起名始まったばかりのもので、平成15年12月から新設されたもの。
イメージ的には投票所にちょっと早く行ける、というものかな。
期日前投票所というのがもうけられて、そこに行って選挙日より前に投票できるのだけど、投票の仕方などは基本的には選挙当日の投票とほぼ同じ。
投票所で通知書と選挙人名簿を照合して投票用紙が交付され、立会人の前で投函するのだ。
この前の都知事選では人臣をさけるために利用した人が多かったみたいだね。
こちらは公職選挙法第48条の2に規定されている制度だよ。

一方、戦前から存在しているのが不在者投票制度。
こっちは公職選挙法第49条だよ。
住民票のある市区町村で投票する場合は期日前投票が利用されることが多くなったけど、長期の出張や旅行中に住民票のない市区町村で投票したい場合には使えるのだ。
何らかの理由で住民票を移していないで、現住所と住民票の住所が異なる場合、現住所のある市区町村で投票する場合にも使えるよ。
で、この不在者投票にはいろんな投票の仕方があって、その中に、極めて限定された場合に〒による投票が認められているのだ。

それは、身体障害者や戦傷病者(もはやかなり少なくなってきているだろうけど)、要介護者であって、障害の程度が重く投票所に行くことが極めて困難な場合は、あらかじめ選管に申請することで郵便による投票が認められるのだ。
そういう人が多くいる施設、例えば、病院や老人ホームの場合は、あらかじめ選管が「不在者投票指定施設」として指定することで、そこでの投票が可能になるので、郵便投票ではなくなるのだ。
在宅介護で寝たきり、みたいな場合が該当するということかな?
長期航行中の船員さんも船舶内で不在者投票ができるよ。

おそらく、米国の郵便投票もこれと同じように限定的な場合に認められていた制度だったんだろうけど、コロナ禍でその要件が緩和され、誰でも使えるようになったので増えたのだ。
ただし、郵便を介するのでタイムラグが発生する、集配・配達ミスのおそれがある、選管に届くまでに不正が行われるリスクがあるなどの問題もあるわけで。
米国の場合、けっこう信頼できるし、普通に小切手を郵便で送る習慣もあるからそこまで大きなリスクではないような気もするけど、でも、日本と比べると、ちょっと信用度は落ちるんだよね・・・。
仏国ほどじゃないにしても(笑)、やっぱり管理がずさんなところがあるから。
そこをもってトランプ大統領は「郵便投票は不正の温床」なんて言い方をしていたわけ。
極論ではあるけどね。

ちなみに、日本の不在者投票の場合、ファックスでも投票できるのだ。
それは、指定された船舶の乗組員や南極観測隊の隊員が投票する場合!
あくまでも衆議院議委員総選挙と参議院議員通常選挙に限定されるんだけど。
その際は、選管の委員長宛に「ファクシミリ装置を用いて送信する方法により」投票することができるんだって。
法律の中にこのカギ括弧の中の表現が入っているのも感慨深いけど、メールじゃダメで、あくまでもファックスなんだよね。
まだファックス文化が根強く残っている日本だけど、いずれファックスが消えた暁には、この条文も改正されるのだろうか?