2013/10/26

落花生を練りまくる

最近街中でスヌーピーをよく見かけるようになったんだけど、はやっているのかな?
日本人には「スヌーピー」でおなじみだけど、あの漫画のタイトルは「ピーナッツ」なんだよね。
そんな関係もあってか、アヲハタのピーナッツバターの瓶にはスヌーピーの絵がついているんだよね。
作品中でもチャーリー・ブラウン少年はよくピーナッツバターをはさんだサンドイッチを食べているよね。
米国の子供たちには大人気の味なのだ!
日本で言うと鮭おにぎりみたいなもの?

日本でピーナッツバターと言うとまず思い浮かぶのはソントンの紙のカップ(ファミリーカップ)に入ったピーナッツクリーム。
国内で最初にピーナッツバターを製造・販売したのがソントンなんだって。
社名は創業者が敬愛し、ピーナッツバターの作り方を教わった米国人宣教師からとか。
日本用にアレンジしているので、商品名は「ピーナッツクリーム」となっているのだ。
ピーナッツだけで作る伝統的なピーナッツバターは甘みも少なく、ちょっと硬いんだけど、糖蜜を加えて甘みを付加し、パンに塗りやすいように柔らかく仕上げているのだ。
今のものは冷蔵庫に入れても固まらないんだって!

伝統的なピーナッツバターの作り方は簡単。
十分に乾燥させたピーナッツをさらに160度で30分ほど煎って完全に水分を飛ばし、薄皮と胚芽を取り除くのだ。
この胚乳の部分を粗砕きしてからミルでよくすりつぶしてから練るのだ。
すると、ピーナッツの中に大量に含まれる油分により、ペースト状になってくるんだよね。
これが純粋なピーナッツバターで、コーンフレークを発明したケロッグ博士が作り始めたみたい。
米国の食文化の基礎(?)を築いているね。

100%ピーナッツバターは香りは高いけど、そのままだと甘みも少なくて硬いので、日本で砂糖などの甘味を加えたり、油脂を加えて柔らかくするのだ。
ソントンのピーナッツクリームもまさにそうなっているんだけど、さらに工夫もしているわけだ。
米国なんかだとけっこうそのままの純粋ピーナッツバターを食べるみたい。
保存目的で添加物は多少入れるんだろうけど。
確かに米国で食べたピーナッツバターサンドはほとんど甘みもなく、むしろナッツ感が強かったような。

ピーナッツをつぶして練っただけでペースト状になるのは、ピーナッツに多く油が含まれるため。
冷やしながらピーナッツを圧搾すると落花生油がとれるよね。
これはわりと高級品で、香りがよく、熱に酸化されづらいので、中華料理なんかによく使われるとか。
香港の高めの中華料理は落花生油を使っているらしいよ。
比較的ごま油に成分が近いんだけど、ごま油がオレイン酸とリノレン酸がほぼ同量くらい含まれているのに対し、落花生油ではオレイン酸が多く、リノレン酸が少ないのだ。
だからかどうかはわからないけど(笑)、ごま油で揚げるより落花生油で揚げた方がさくっと揚がり、いつまでもへたらないんだそうだよ。

同じようにすりつぶしたピーナッツから作るのは沖縄料理のじーまーみ豆腐。
「じーまーみ」というのは「地豆」のことで、ピーナッツ(落花生)のこと。
地中に豆ができるので「地豆」と呼ぶのだ。
じーまーみ豆腐の場合は、水につけておいた生のピーナッツに水を加えてミキサーにかけ、豆乳を絞るようにしぼって、おからとピーナッツ乳にわけるのだ。
このピーナッツ乳にサツマイモから作るデンプン(芋葛)を加え、加熱しながらよく練っていくと粘りけが出てくるので、それを冷やし固めるとできあがり。
基本的にはごま豆腐と一緒で、ごまの代わりにピーナッツ、吉野葛の代わりに芋葛を使っているわけ。
沖縄では、甘くしないで酒の肴にしたり、甘くしてデザート感覚で食べたり、いろいろと食べ方があるみたい。
もちもち感があって、ピーナッツ風味のくず餅に近いのかな?

普段は煎ったピーナッツをかじるくらいしかしないし、それも柿ピーとして食べるくらいだけど、たまに見かけるとソントンのピーナッツクリームも食べてみたい気がするんだよね。
とはいえ、けっこう量が多いからなかなか手が伸びないんだけど。
今度買ってみようかな?
たいして高いものでもないし。
チャーリー・ブラウン気分を味わうか。

2013/10/19

泣くなら名作劇場を見て泣きたまえ

今年も日本の研究がイグノーベル賞を受賞したのだ(笑)
恒例とは言え、一見間抜けに見える研究にも力を入れている日本の底力が垣間見れるよ。
でも、これって本人たちはわりと、というか、完全に真剣に研究しているんだよね。
研究結果だけ見ると、そんなことのために研究を!?、と思うようなこともあるけど、実際には、研究途上でそういう発見があった、ということの方が多かったりするのだ。

今回の日本の受賞研究はハウス食品による、タマネギの研究。
タマネギを切ると涙が出るけど、その催涙作用を持つ成分を生成させる酵素を発見した、というものなのだ。
この酵素の機能をうまくなくせれば、切っても涙が出ないタマネギができるというわけ。
遺伝子改変食物だと抵抗感があるけど、目が痛くならないタマネギならほしい人も多いんじゃないかな?

これまで、タマネギを切ると涙が出るのは、タマネギに含まれる硫黄化合物がニンニクやタマネギに含まれる酵素のアリイナーゼという酵素で分解されて発生するプロパンチオールSオキサイドという催涙成分であることはわかっていたのだ。
これは目の表面から刺激するだけでなく、鼻の粘膜からも刺激してくるので、ゴーグルや水中めがねではタマネギの「攻撃」を完全には防げないんだよね・・・。
なので、鼻栓も必要なのだ。
この催涙成分は気化性なので、水につけながら切るとわりと平気なのだ。
或いは、あらかじめ電子レンジで加熱してから切ると、アリイナーゼの活性が落ちるので、催涙成分そのものができにくくなるよ。

でもでも、タマネギ独特の風味もまたこのアリイナーゼによる分解によって作られるのだ。
なので、水につけたり、レンジで加熱したりすると風味も失われ、味が落ちるわけ。
そこで仕方がないから我慢してそのまま切るんだよね・・・。
ハウス食品の発見まではそう考えられていたのだ。

ところが、今回の発見で重要なことがわかったのだ。
タマネギ中の硫黄化合物は、アリイナーゼによってプロペニルスルフェン酸という不安定な物質になった後、催涙成分であるプロパンチオールSオキサイドや、風味成分になるチオスルフィネートになるんだけど、これはどちらも偶発的にできるものと思われていたのだ。
ところが、催涙成分の方はタマネギに含まれる別の酵素、催涙成分合成酵素によって作られていることが発見されたのだ。
ニンニクを刻んでもアリイナーゼで中間体のプロペニルスルフェン酸はできているはずだけど、たいして目が痛くならないのが、刻んでいる量が少ないというのではなくて、その催涙成分合成酵素があまり含まれていないからなのだ!

この酵素の発見に至ったのは、タマネギとニンニクのペーストを混ぜて炒めたときにたまに見られる緑変減少。
通常は飴色になるんだけど、中で緑色の色素ができることがあるのだ。
この色素は、タマネギに含まれる硫黄化合物、ニンニクに含まれるアリイン、酵素のアリイナーゼ、そしてアミノ酸の4種類の物質があるとできるのだ。
で、色素ができる仕組みを調べようとしていくと、タマネギ由来の粗精製のアリイナーゼとニンニク由来の粗精製のアリイナーゼを使ったときに色素ができるように大きな差があったのだ(ニンニク由来の酵素を使った方が色素ができる量が多い。)。
この緑色の色素はタマネギの風味成分と同じく、チオスルフィネートからできることが知られていたので、タマネギとニンニクの差は、チオスルフィネートができる量の差だということになるんだよね。

チオスルフィネートと、催涙成分のプロパンチオールSオキサイドは同じプロペニルスルフェン酸からできているので、逆にプロパンチオールSオキサイドの量を調べてみると、ニンニク由来の酵素で反応させた場合はほとんど検出できないのに、タマネギ由来の酵素で反応させると確かに検出されたんだよね。
そうなると、これまでの定説のように、催涙成分が偶発的にできる、というのでは説明できず、何かタマネギ由来の粗精製アリイナーゼに含まれるものによって催涙成分が作られていることになるわけ。

その未知の成分について、高速液体クロマトグラフィやらを使って分析した結果、新たな酵素の発見に至ったのだ。
この酵素のアミノ酸配列を解析し、さらに、そこから遺伝子をクローニングして、逆転写法を使ったRT-PCR法で、cDNAを得ることに成功したのだ。
これをもとにタマネギのゲノム上で催涙成分を合成する酵素の遺伝子が同定できたんだ。
実際、この遺伝子を大腸菌に導入してみると、催涙成分を合成する活性が確認できて、この酵素こそがタマネギを切ったときに涙を出させる張本人であることがわかったんだ。

なんと、この成果はかのNature誌に掲載されるほどの成果で、現在は切っても涙のでないタマネギの開発を進めているのだとか。
タマネギの風味成分や健康によいと言われる生理活性成分はチオスルフィネートからできることがわかっているので、今回見つけた酵素さえ何とかできると、切っても涙は出ないけど、風味も効能も遜色ない夢のタマネギができるかも、なんだって。
ハウス食品ってどうしてもカレー粉のイメージがあるけど、こんな研究もしていたんだねぇ。

2013/10/12

カラータイマー点滅?

夕ごはんにハンバーグを食べたんだけど、そこでちょっと不思議なことがあったのだ。
自家製ハンバーグだと、買ってきた赤い挽肉にタマネギなど具材とパン粉などを混ぜて、しばらく休ませてから焼くよね。
そうすると、ハンバーグの種の色は、混ぜた直後はピンク色だったものが、休ませた後は茶褐色になっているのだ。
これが普通だと思っていたんだけど、よくよく見てみると、スーパーとかで売っているできあいの(=焼くだけ)のハンバーグはきれいなピンク色のまま!

なんか危ない添加物でも入っているのかと思いきや、入っているのはせいぜい酸化防止剤やpH調整剤なんだよね・・・。
ハムやソーセージのように発色剤は入っていないようなのだ。
で、一体何が起こっているんだろ?、と思って、ちょっと調べてみたわけ。
この変色の原因は、筋肉の中で酸素を貯蔵する役割のあるミオグロビンが関係していたのだ。

ミオグロビンは筋肉に含まれる色素タンパク質で、通常は血液中のヘモグロビンから酸素を受け取って、筋肉がエネルギーを使うときにミオグロビンで貯めた酸素が消費されるのだ。
ヘモグロビンよりミオグロビンの方が酸素の親和性が高いので、自然に酸素が受け渡せるんだって。
よくできているものだよね。
このミオグロビンにも、ヘモグロビンと同様にヘム構造があって、その中心にある鉄イオンが酸素との結合に関係しているのだ。
ミオグロビンの色の変化は、血液の動脈と静脈の血液の色の違いと同じで、酸素との結合に原因があるみたい。

酸素と結合していない状態のミオグロビンのヘム鉄は、還元型のFe2+
になっていて、このままだと暗い赤紫色なんだよね。
ちょうど静脈の酸素結合度が低いときの血の色だよ。
ここに酸素イオンが配位すると鮮やかな赤色(鮮紅色)になるのだ。
動脈の真っ赤な血の色と同じ。
で、酸素が結合したままで放置されると、ヘム鉄の鉄イオンが酸化されてFe3+になるんだけど、これは鉄の黒さびの色で、暗褐色になるのだ・・・。
これは血痕の赤黒い血の色と同じだよ。

食肉の場合、切り出したばかりの状態だと、まだ酸素が結合していないので、少し暗い色をしているのだ。
これが空気中の酸素に触れると、ヘム鉄に酸素が配位して鮮やかな赤に変わるのだ。
これが肉屋さんなんかで並んでいる状態。
お肉屋さんでスライスを頼むと、肉の薄切りが重なった部分ではまだ空気に触れていないので、暗い色をしていることがあるのだ!
離してしばらく放っておくと赤くなってくるよ。

生体中だと酸素が結合してヘム鉄が酸化された後、まわりの酵素によりもう一度ヘム鉄が還元されるので色が元にもどるんだけど、食肉の場合は酸化されるとそこでおしまい。
なので、赤い肉は鮮度が落ちてくると茶色く変色してくるのだ。
通常は腐敗臭もしてくるからそれでも傷んでいることはわかるよね。
切りたての暗い色と、傷んでいるときの褐色では微妙に色も違うみたいだけど、普通は並べてみないからわからないよね・・・。
そういうときはにおいや味(酸味や苦みがあるかどうか)で確かめよう!

ハンバーグの場合、ただでさえ表面積が広い挽肉を使うので肉の中のミオグロビンが酸化されやすいんだけど、さらに空気を混ぜ込んでこねるため、ますます色が変わりやすくなるのだ。
なので、自家製ハンバーグで色が多少茶色くなるのは仕方がないことなんだ。
だけど、売り物で茶色くなってしまうと傷んでいるのと区別がつきにくいので、市販品の場合は酸化による着色をさけるために、酸化防止剤やpH調整剤を入れるのだ。
酸化防止剤でよく使われるのはビタミンC(アスコルビン酸)。
非常に酸化されやすい物質なので、代わりに酸素と反応し、身代わりになってくれるのだ。
pH調整剤に使われるリン酸塩は、pHを一定に保って酸化反応を起こりにくくするだけでなく、肉の結合材としても作用するので、こねたハンバーグがばらばらになりにくくなるのだ。
これが売り物のハンバーグは色も変わらないし、くずれにく理由だよ。

一方、ハムやソーセージなどの場合は発色剤が使われるんだよね。
よくあるのが亜硝酸ナトリウム。
ヘム鉄を化学的に修飾して、きれいなピンク色に発色させるのだ。
具体的には、-NO基(ニトロソ基)がヘム鉄に結合することで、ヘム鉄は安定化し、色も固定されるんだ。
ただし、劇物指定もされているし、危ない物質ではあるので注意が必要だよ(>o<)
スーパーに並んでいるハムやソーセージは、塩漬けにする(塩せきする)時に発色剤を入れるんだ。
これは色調を整えるだけでなく、獣臭さをなくし、雑菌の繁殖を抑えるため、と言われているよ。
最近では発色剤不使用のものもあるけどね(っていうか、もともとの伝統的なハムでは使わないんだけど。)。
日持ちをさせるためにはある程度仕方がないので、残存量で基準値が決められていて、それで規制されているのだ。
さすがに既製品ハンバーグでは使われていないみたい。

というわけで、肉の色にはカラーたーまーのような秘密があったのだ。
でも、通常は牛肉くらいしか色味はあまり気にならないよね・・・。
ブタやトリだとミオグロビンの量が少ないので、目に見えて色が違う、とは感じづらいみたい。
ヒツジとかウサギ、シカなんかだと赤身肉でミオグロビンが多いから違いがわかるんだろうけど。
ちなみに、この話はマグロの赤身でも一緒で、切り立てのマグロはちょっと暗い色で、空気に触れると鮮やかな赤になり、古くなると茶色くなるのだ。
ま、マグロの切りたての色なんて築地にでも行かないと見られないけど(笑)

2013/10/05

発酵なしでもふわふわ

最近コンビニとかでよく蒸しパンを見かけるようになったのだ。
はやっているのかな?
焼成したパンよりふわふわで、食感も違うから、ずっとコンビニ食で飽きている身にはうれしいよね(笑)
しかも、かつてはもさもさしてあんまりおいしくない印象だったけど、このごとのものはしっとりふわふわだったり、もっちりだったり、おいしくできているのだ!

発酵させて焼くパンは古代エジプトで生まれ、西洋世界に広まるとともに、インド、中国まで広がったのだ。
インドでは発酵させないパンのロティみたいのもあるけど、日本人にはインドカレーに欠かせないものとして発酵させてからタンドールで焼くナンがおなじみだよね。
中国と言えば饅頭(マントウ)。
古くは三国志の時代に諸葛亮孔明が生み出したとか言う伝説もあるけど、発酵させた生地を役のではなくて蒸して作るんだよね。
ちなみに、中華まんのように具が中に入っているのが包子(パオズ)、具なしが饅頭なんだとか。
点心で出てくるマーラーカオも蒸しパンだよね、
さらに、中国では揚げパンもあって、中華粥と一緒に食べたりする油条なんかがそうなのだ。

日本には中国から朝鮮半島経由或いは琉球経由で伝わってきて、饅頭(マントウ)は禅とともにやってきて、小豆から作ったあんが入ったまんじゅうとなるのだ。
禅と一緒に入ってきたので、肉入りの包子のままではまずいと植物性の具に置き換わり、さらに、砂糖の普及に伴って甘いお菓子に変わったのだ。
日本でまんじゅうが普及する際、甘酒を生地に混ぜ込んで酒母で発酵させる酒まんじゅうとふくらし粉で発酵させずにふわふわにする「薬(やく)まんじゅう」にわかれるんだ。
その中間的なものとして、長野名物の「おやき」みたいな、発酵させないし、膨張剤も入れない生地に具を包んで焼くみたいな形態もあるのだけど。

この薬まんじゅうの延長線上に、日本の蒸しパンはあるのだ。
明治になると西洋文化礼賛で洋食がはやるんだけど、木村屋のあんぱんの発明なんかもあってパン食も増えてくるのだ。
その流れでまんじゅうのような「古い」小麦食文化はいったん廃れていくんだけど、このころには膨張剤としての重曹の入手が容易になったのもあって、発酵なしで蒸すだけで簡便に作れる蒸しパンは子供のおやつなどとして普及していくのだ。
パンの焼成にはオーブンや窯が必要なので家庭では厳しいけど、当時の日本だとどの家庭にも蒸籠(せいろ)はあったので、蒸しパンなら手軽に家庭で作れたというわけ。

戦後は「ロバのパン屋」の活躍などでやっぱり子供のおやつなどで人気だったんだけど、焼成していない蒸しパンは含水量が多く、そのためにあまり日持ちしないので、大手製パンが大量に作って流通に載せるには不向きだったのだ・・・。
なので、コンビニなんかの店頭では、焼成した菓子パンやカレーパンのような揚げパンが主流になり、いつしか蒸しパンはあまり見かけなくなっていったんだ(>o<)
ところが、流通革命でできたものをすぐに店舗に届け、店舗でも回転率は約売る、ということができるようになったので、再び表舞台に登場してきたわけ。
むかしながらの蒸しパンだけでなく、チーズとかフルーツとか新たなフレーバーも登場してきているよね。
黒糖蒸しパンとかだけじゃないのだ(笑)
米粉を加えることでもちもち感を出したり、大手製パンでも商品開発に四年がないみたいだよ。
蒸しパンは焼成したパンや揚げパンよりもちょっとだけカロリーが低いので、女性に人気のようなのだ。

蒸しパンの場合は発酵させないので、ふわふわ感を出すのに重要な役割を担うのが膨張剤。
一般にはベーキングパウダーを使うことが多いのかな。
ベーキングパウダーの主成分は重曹こと炭酸水素ナトリウムで、熱を加えると分解して二酸化炭素と水酸化ナトリウムになるのだ。
このとき発生する炭酸ガスが生地の中に空隙を作ってふわふわ感が出るのだ。
単純に膨張させるだけなら重曹だけでよいのだけど、炭酸ガスと同時に発生する水酸化ナトリウムのせいで、少し苦みが出たり、生地に黄色い色がついたり、独特ににおいが出たりするんだよね。

そこで開発されたのがベーキングパウダー。
重曹にクエン酸や酒石酸、リン酸二水素カルシウム(第一リン酸カルシウム)、焼きミョウバンなどの酸性の助剤が加えられているのだ。
重曹は酸性の助剤と反応すると、やっぱり炭酸ガスが発生するのだ。
熱分解だと水酸化ナトリウムが出てくるけど、助剤が存在していると中和反応が起こるので、水酸化ナトリウムによる苦み、におい、着色などの欠点が克服されるんだ。
保存状態で勝手に重曹と助剤が反応しないように、コーンスターチなどの分散剤も混ぜ込んであるよ。

ベーキングパウダーを使うと、生地を練っているうちから炭酸ガスが発生するので、生地を練ったらすぐに熱を通すのが原則。
逆に生地を休ませたい場合は重曹でないとダメなのだ。
ベーキングパウダーだと、中和反応と熱反応の二段階で炭酸ガスが発生するので、よりふっくらとなるんだよね。
その辺にも使い方に差が出てくるようなのだ。
それぞれ特徴があるので、自分で作るならレシピを見ながらちゃんと推奨されている方を使う方がよいかな。