2022/04/30

ホネを見つけた

山梨の山の中でヒトのものと思われる骨が発見されたのだ。
数年前から行方不明になったいる子どものものかもしれない、ということで大きく報道されているよね。
極一部の骨しか見つかっていないので、さらに山の中を捜索するみたい。
動物や鳥が別の所から運んできた可能性もあるからね。
で、それ以上に重要なのは、今後この骨を調べて、行方不明になっている子どものものかどうかを確かめる、というのだ。
DNA鑑定をするとか。
ここで気になったんだよね。
いわゆる「骨」といわれると、そんなにいろんなことがわかるとは思えないのだけど、どうも最近の技術はかなりの発達を遂げていく、まさにいろんなことがわかるようになっているようなのだ。

まずもって一番大事なのは、その骨がヒトのものなのか、動物のものなのかの判別。
まるっと一人又は一体分の骨があればわかりやすいけど、一部しかない場合は素人目にはわからないよね・・・。
伝統的には、専門家が骨の形状や構造なんかからヒトのものかどうかを判別していたのだ。
でも、今はもっと進んでいるのだ!
あらかじめヒトや様々な度物の骨の形状や構造のデータが膨大に登録されたデータベースがあって、それと発見された骨を照合して、その骨が何の骨かを調べるんだって。
まさにビッグデータとAIの世界。
さらに、それにシミュレーションで肉付けもできるようになっていて、ヒトの場合は、頭蓋が見つかっていれば、顔や頭の形を予測して再現できるそうなのだ。
博物館なんかで○○原人の顔を再現しました、ミイラとして埋葬されたヒトの顔を再現しました、なんて展示があるけど、それと同じような技術。
これはその骨が誰であるかを同定する上で極めて有用なツールとなるよね。
頭蓋骨全体が見つかっていないと適用しづらいけど。

古い時代には、主に歯の治療歴から同定していたんだよね。
行きつけの歯科医院に残っている虫歯等の治療記録と見つかった頭蓋骨の歯を照合するのだ。
でも、これも歯のついている部分が見つかっていればできるんだけど、手や足の骨だけだと使えないよね。
頭以外の骨だけだと、骨の大きさや太さからある程度体格が予測できるのと、骨の状態を見るとある程度の年齢と性別が予測できるので、中肉中背の30代~50代の男性、みたいなことが予測できるだけだったのだ。
もちろん、骨折の痕なんかがあればもっと情報が得られるけど。

流れが変わるのは、DNA鑑定の技術が発達してから。
本当の白骨で、骨以外何も残っていないとさすがにきついけど、通常は肉片やらが少し残っていたり、骨の中心部に骨髄が残っていたりするのだ。
そうすると、そこからDNAを抽出することができて、それが本人同定ができるんだよね。
ただし、DNA鑑定が導入された当初はけっこうな量のサンプルがないと調べられなかったので、毛根だけ、骨だけ、みたいな状態だとほぼお手上げだったんだよね。
今はPCR方によるDNA増幅技術の発達と、保存状態のよろしくないサンプルからの少量のDNA抽出技術が進歩したので、決定的な方法としてDNA鑑定がいろんな場面で使えるようになったのだ。
今回も骨に少し残っているであろうDNAと、ご家族から提供を受けた乳歯などに残っているDNAを照合することで確認するみたい。

というわけで、現代の技術では、そんなに大きくない骨片が見つかっただけでも、それが何の骨か、誰の骨化の情報がけっこう得られるようになっているのだ。
そう考えると南下すごい世界になっているよね。
現在でもかなりの人数の行方不明者が毎年出ているし、それなりの数の身元不明遺体がやはり毎年見つかっているようなので、コストと手間を考えなければ、それなりの数でマッチングができるかもしれないんだよね。
戦後すぐは、戦争で死んだと思われていた兵隊さんが実は生きていてなんとか命からがら帰還したら、奥さんはすでに再婚していた、みたいな不幸な話はよくあったそうなんだよね。
そのとき、死体の一部なんかを仲間が持ち帰ってご遺族に渡していたみたいなんだけど、今の技術があれば、こういう不幸な誤解はかなり防げるのだ。

2022/04/23

本当に意外と知られていなかった事実

 最近、ネットのニュースで、「レジ袋有料化は実は義務ではなかった」というのを見たのだ。
で、さっそく記事を読みに行ったんだけど、なんとなくわかったようでわからない・・・。
どうしても気になったので、自分でちょっと法令の枠組みを調べてみたのだ。
これはちょっと驚きの結果だった。


この話のおおもとの法律は「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」、通称「容器包装リサイクル法」。
平成7年(1995年)にできた法律で、いわゆる「資源ゴミ」の収集とリサイクルを規定した法律だよ。
ペットボトルやガラス容器、プラスチック容器など、リサイクルが可能なものは一般ゴミとは別に回収し、リサイクルすべきことを定めているのだ。
つまり、この平成7年のタイミングで資源ゴミの回収の制度が本格的に始まったというわけだね。
そういう意味ではけっこうエポックメイキングな法律なのだ。

そして、この法律は平成18年(2006年)に改正されて、そのとき、レジ袋等の容器包装を多く用いる小売事業者(スーパーなど)に対して、レジ袋の使用抑制のための措置を講じるべきことを求めるようになったのだ。
このときは、①レジ袋を有料化する、②レジ袋を使わない人にはインセンティブを与える(割引、ポイントアップなど)、③環境負荷の少ないレジ袋(厚手の再使用可能なもの、バイオプラスチックを使ったものなど)に転換する、といった選択肢から自由に選べたんだ。
確かに、これくらいのタイミングで、レジ袋を有料化するスーパーが出てきたり、マイバッグの場合はプラスでポイントが付加されるようになったりしたよね。
これは覚えてる。
でもでも、このときは有料化するところはそんなに多くはなくて、マイバッグ仕様による割引やポイント加算が優勢だった気がするのだ。
数円のこととは言え、上乗せでお金を取られるというのは消費者にとって忌避されるので、マイバッグを使うといいことがあるよ、という誘導策の方がイメージがいいよね。

そして、今回のタイミングで、これまでは①~③のどれでもよかったものが、①の有料化が基本、という枠組みに変わったのだ。
③の場合のレジ袋は有料化しなくてもよいことになっていて、一部のファストフードチェーンなんかはこの例外を使って無料でレジ袋を提供し続けているけど、スーパーやコンビニなどの小売大手は、本来有料化しなくてもよい紙袋も含めて、すべて有料化になっているよね・・・。
便乗有料化と言われている状態なのだ。
現在の制度では、レジ袋は有料が基本で、環境負荷の少ないレジ袋の場合は例外的に有料化しなくてもよい、ということで、その他、②のマイバッグ使用に対してインセンティブを与える取組も推奨、みたいな感じだよ。
でもでも、実は「有料化が基本」というのは、法律上の義務ではない、というのが、冒頭の記事の言いたいことだったんだよね。

平成18年改正のタイミングで導入されたのは、事業者が取り組むべき「容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制」の判断基準を国が示す、という枠組み。
これは省令(財務省・厚生労働省・経済産業省・農林水産省の共同省令)で、本来は法的拘束力があるものではないのだ。
各省が独自の判断で制定できる下位法令で、法的に拘束力を有する義務を課すには国会で審議される法律であることが必要なのだ。
その法律の施行に必要な範囲で細かいことを定めるのが下位法令と言われるもので、閣議で決定する政令と各省が制定する省令があるわけ。
もともと「判断基準」と言っているだけあってだけあって、あくまでも細かい基準を示す、という位置づけのものなのだ。

では、なぜこれが「有料化が義務になった」と受け取られるのか。
これがもう一つのポイントだよね。
実は、その枠組み自体は平成18年改正で導入されているんだ。
新たに第7条の4というのが導入されて、さっきの「判断基準」を国が示す、ということになったのだ。
で、その次の第7条の5において、主務大臣(財務大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣又は農林水産大臣)は、この判断基準に基づいて事業者に必要な指導及び助言ができる、と規定されているのだ。
さらに、続く第7条の6では、事業者に対して、「容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制」の促進のための取組を主務大臣に定期的に報告する義務を課していて、この報告を聞いて前条の「指導及び勧告」をする、という流れになっているのだ。
でも、これだけじゃ終わらないんだよね。

いわゆる「伝家の宝刀」になっているのが、第7条の7。
これは「勧告及び命令」という「指導及び勧告」より一段上の措置について定めている条項。
まず、定期報告を受け、必要に応じて指導・勧告を行うのだけど、事業者の取組が「著しく不十分」と認められる場合は、必要な措置をとるべきとの勧告、いわゆる「是正措置勧告」を出せることになっているんだ。
7第条の5の勧告は「こうしてね」というだけなんだけど、7第条の7の是正措置勧告は、事業者がそれに従わなかった場合、その旨を公表できる、ということになっているんだ。
つまり、是正勧告に従わない不埒な事業者は名前を公表して社会的制裁を加える、ということ。


さらにさらに、公表された上でなお是正措置暗黒に従わない事業者に対しては、審議会の意見を聞いた上で、勧告に従った措置をとるよう命令することができるのだ。
これは是正措置命令というやつ。
この是正措置命令は罰則付で、従わない場合は、50万円以下の罰金が科せられるのだ(第46条の2)。
かなり道のりはあるんだけど、事業者が国が示した判断基準に従わないと、是正措置勧告が出て、それに従わないとその旨を公表され、それでも従わないと是正措置命令が出て、これまで無視すると罰則、という流れ。
何段階かステップを踏んでいるけど、正当な理由なく判断基準に従わない、と見なされると、手順を踏む必要があっても罰金までいく、ということなんだよね。
これが「有料化が義務になった」と言われるゆえん。

当初の判断基準ではレジ袋有料化はオプションのひとつでしかなかったわけだけど、その後の判断基準の改定によってレジ袋有料化が基本となったので、この判断基準に従うことが求められるようになったのだ。
ボクはてっきり法改正があったから有料化された、と思っていたんだけど、実は実は、省令が改正されただけだったんだよね・・・。
もちろん、省令である判断基準の改定も勝手にできるわけではなくて、この場合は規制の改廃に係るものに当たるので、法律に従って意見公募手続、いわゆる「パブリック・コメント」を減ることが必要なのだ。
国からすれば、そのときに意見を言わなかっただろ、ということなんだろうけど、正直、そんなパブコメをしていたなんて知らなかった・・・。
事業者向けには説明会なんかもしていたみたいだけど。
なんか、だまし討ちされているような気がしないでもない。
こういう所に納得感がないから、レジ袋有料化はとにかく評判が悪いんだろうなぁ。

2022/04/16

初夏の謎音

全国的に初夏を先取りしたような陽気になったのだ!
連日の夏日。
でも、またそのすぐ後に季節が逆戻りで寒くなったりもしているのだけど・・・。
でもでも、いったんあたたかくなると、動物も植物も活性化するわけで。
イチョウも若葉を出しているし、初夏の花も咲いたりしているよね。
そんな中気になったのが、野干に翌耳にする「ジーッ」という音。
最初は機械音かとも思ったんだけど、どうも虫の声っぽいのだ。
例年なら5月に入ってから聞くことが多かったけど、今年はもう聞こえ始めたので、おそらく虫だと思ったわけ。
で、その正体を少し探ってみたよ。

まず自分で思いついたのは、初夏にそういう声でなく虫と言えば「オケラ」。
土の中で泣くんだけど、穴の中で鳴き声が共鳴するみたいで、けっこう大きな音になるのだ。
田舎で田植えの時期なんかに聞こえてくるのがこれだよ。
ネットで動画検索して実際の鳴き声を聞いてみても似ている気がする。
でも、このオケラは都心部ではまず見られない昆虫。
というのも、水の近くの土中に生息するので、主に水田まわりに生息しているのだ。
この時期に「代掻き」なんかするとけっこう捕まえられるらしいけど、さすがに東京都心部でそんな協はないし・・・。
というわけで、おそらくオケラではないのだ。

土の中でミミズが「ジー」と鳴くという俗説もあるのだけど、耳zはどう見ても音を出せそうにないよね(笑)
このミミズの声と考えられていたのはオケラの声なのだ。
なので、これも候補からは外れるね。
都会にもミミズはそれなりにいるけど、夜に聞こえてくる「ジー」という音は相当大きいから、よほどのぼミミズがいないとダメそうだけど、そこまでの数もいないだろうし。

で、もう少し調べてみると、別の候補が見つかったのだ。
それがキビキリギス。
キリギリスの仲間で、ショウリョウバッタのようにとんがった頭の昆虫だよ。
俗に「血吸いバッタ」と呼ばれるやつで、触ろうとすると強いあごでかみつかれたりもするみたい。
ボクはそういう昆虫がいることを全く認識していなかったんだけど、こいつが怪しいのだ。
雑食性で林の近くの草地なんかに生息しているらしいだけど、主に植物をよく食べる雑食性で、イネ科植物の穂やわかめを食べることが多いそう。
で、都会の草地に生えている雑草の多くはイネ科なんだよね。
なので、都会であってもこいつのえさは豊富にあるわけだ。

ちょうど春から初夏にかけて「ジー」と泣くことが知られていて、戦記の変圧器のような機械音と言われているのだ。
オケラとも声が似ていることも有名。
確かに実際の鳴き声を検索してみると、こいつっぽい!
夜行性なので夜になると鳴き声が聞こえるのもばっちり。
というわけで、ほぼほぼこのクビキリギスっぽいのだ。

夜でなければなき後のする方を探してみれば虫の本体が見つかるんだろうけど、夜だとつらいよね。
懐中電灯をもって探しに行くのであれば別だけど、正直そこまでしようとは思わないし(笑)
でも、今回ネットで調べてみると、謎の「ジー」という音を気にしている人は多いみたいで、すぐに調べがついたのだ。
そういう意味では有名なものなのかも。

2022/04/09

熱くない火

江戸時代くらいまでの日本では、火には2種類あって、いわゆる普通の火である陽火と、触っても熱くなく青白く光る陰火があると言われていたのだ。
陰火は墓場などに出る鬼火などのこと。
陰陽五行説もまじって、陽火は陰気を持つ水で消せるけど、陰火は陽気を持つものでないと消せないから,水をかけても消せない、とか言われていたよ。
これは、鬼火が雨の日によく見られるということも関係していると思うのだ。

今の視点で見ると、そんな馬鹿な、と一笑に付されそうだけど、墓場などで雨が降っている,或いは、降りそうなどんよりした天気の時に青白い発光体が見られるという現象は洋の東西を問わずに存在しているんだ。
中国はもちろん日本と同じような鬼火があるしこれが欧州に行くと、ウィルオウィスプやセントエルモの火なんかが有名なのだ。
日本だと、有明海の不知火や狐火なんかもあるよね。
ゲゲゲの鬼太郎を見ているだけでも、天火、釣瓶火、姥が火などなど火の妖怪がけっこう出てくるよ。
で、そこまで普遍的なので、そらくこれは実際の自然現象と結びついたもので、よくわからないけどなんか発光体を目撃することがあって、その正体がわからないので、そういう妖怪のようなものとして説明している、ということなのだ。
では、それはいったい何なのか?

端的に言えば、よくわからない(笑)
っていうか、おそらくいろんな現象が発光という形で目撃されているだけなので、これが正体、というものがあるわけじゃないんだよね。
不明の発光をそうなづけているだけで、蛍を知らない人が夜に蛍が光りながら飛んでいるのを見れば、「すわ、何か光るものが空中を漂っている!」とか思うはずだよね。
一時期早稲田大学の大槻教授は何でもかんでもプラズマのせいにしていたけど、プラズマが正体であることもあるし、そうでないこともあるはずなのだ。
なので、それぞれの目撃談や現象を個別に見ていく必要があるんだよね。

例えば、セントエルモの火なんかはもう科学的に解明されていて、これは「プラズマ放電」というものなのだ。
雷が鳴っているような大気が不安定なとき、とがったものの先端で静電放電が発生し、その際ほのかに青く光るのだ。
このときに流れている電流はごく微量なのでほぼほぼ熱は発生しないから、帆柱のてっぺんでセントエルモの火が光ったとしても船が燃えるようなことはないんだよね。
でも、火が見えているのに燃えないのはおかしい、と認識するわけで、昔の人からすれば不可思議な現象だったのだ。

湖沼や墓場などで天気の悪い日に丸く光るものがふらふらと漂っている場合、多くは球電というものと考えられているのだ。
これは名前のとおり、雷が丸くなったようなもので、多くの場合は暖色系の色なんだって。
なので、人魂とかの正体とされているのだ。
この球電は熱を持っているので、触れると熱いし、火がつくよ。
同じような場所で青白い発光が見られる場合は、地中から吹き出すリン化合物やメタンが陰火したものとも言われるよ。
墓場で見られるのは、土葬した死体が腐敗していく中で発生するメタンだったり、骨だけ埋めた場合も骨髄からしみ出てきたリン化合物だったりと言われるよ。
これらは確かに火をつけると高温で燃えて青白い光にはなって、しみ出てくるのは微量なのでそれがちろちろとぼんやりと見える、というわけ。
これも燃えているので熱い火だよ。
ただし、これらはそういうのではないか、と言われているだけで、確かめられているわけじゃないよ。

不知火は夜に漁をしている漁船の漁り火が蜃気楼現象で全く別の場所で見えている、らしいのだ。
こんなところで夜漁は行われていないはず、なんだあの火は、ということなんだけど、別の場所で漁をしている火が大気の屈折で本来見えないはずの場所で見えるようになっているんだよね。
なので、不知火の場合は出る時期と場所がしっかり決まっているのだ。
複雑な条件がすべてうまく整わないと見えないから。
ちなみに、最近は夜にも電灯の灯りがあったり、海水が汚染されありであんまり見られなくなっているそうだよ。

日本には青鷺火とか五位の光といって、夜に鳥が光る現象も知られているのだ。
これは夜行性のゴイサギのことなんだけど、ぬれた白い羽毛が月明かりを反射してきらきら見えた、とか、水中にいる発光するプランクトンが体表面についていた、とかいろいろ説はあるんだけど、いずれにせよ、夜に鳴き声や音がしてそっちの方を見やると鳥がいて青白く光っている、ということのよう。
セントエルモの火と同様のコロナ放電は飛行機でも起こるそうなので、ひょっとしたらゴイサギがコロナ放電で光っていることもアルかもしれないよね。
光るという話だけが誇張されて、夜に飛んでいる火球を弓で射てみたら果たしてその正体はサギだった、みたいな伝説もあるんだけど、さすがにそこまでは光らないよね(笑)

こういう不可思議な発光現象で非常に重要な点は、多くのものはほのかにちらちらと光っているということ。
つまり、まわりに月明かり、星明かりくらいしかない真っ暗な夜だからこそ観測できるくらいの光ということなのだ。
最近は町中だと夜でも明るくて、普通にカラスが行動していたりするけど、そういう世の中ではもうこういう現象は観測できないんだよね・・・。
不知火とか青鷺の火みたいな派見てみたい気もするんだけどなぁ。

2022/04/02

もっとも単純なアミノ酸

日本は「不眠大国」と呼ばれるほど、不眠に悩んでいる人が多いそうなのだ。
単に寝付きが悪い、眠りが浅い人から、病気のレベルで不眠症の人まで。
国民皆保険で処方せにゃ管と医療費負担が少ないというのもあるのだと思うけど、睡眠薬(睡眠導入薬を含む)の売り上げも世界トップレベルで高いみたい。
最近は町中の薬局で買える市販薬のドリエルのようなものもあるしね。
そんな中、「医薬品」ではなく「機能性表示食品」としてグリシン(味の素の商品名は「グリナ」)というのもあるのだ。
グリシンはアミノ酸の中でももっとも単純な構造をしたもので、中心の炭素の4つの結合のうち、2つが水素、ひとつがカルボニル基、残りひとつがアミノ基というもので(H2N-CH2-COOH)、20種類の必須アミノ酸の中でもっと分子量が小さく、また、唯一光学異性体を持たないものなのだ。

この商品説明などを見てみると、偶然寝る前にグリシンを服用すると眠りが深くなり、翌朝すっきり起きられることがわかって、睡眠の質の向上に繋がっているのではないか、ということがわかったんだって。
もともとは二重盲検法(ダブルブラインドテスト)で、何か効果がありそうな化合物の対照物、つまり、偽薬効果(プラセボ効果)を評価するための「効果がないはずのもの」として選ばれていたんだって。
ところが、どうもグリシンの方が効果がありそう、ということでいろいろと調べてみたんだって。
これまでにわかっているので、グリシンを服用して寝ると、睡眠の導入が速やかになり、かつ、深くて質の高い睡眠が得られやすい、ということ。
これをどう評価しているかというと、ひとつは体温、もう一つはレム睡眠とノンレム睡眠のバランスなのだ。

一般にヒトというか恒温動物は、睡眠時に体温が下がるのだ。
これは代謝が落ちて発熱量が下がる(インプット減少)のと、体表などからの放熱が盛んになる(王とプット増加)ことによるんだ。
寝汗をかくのは放熱が盛んになっているからで、一般には毛細血管が広がっているので、寝付いたヒトの手などを触るとあたたかいと感じるのだ。
体がほてって眠れない、手足が冷たくて眠れない、というのはこの裏返しで、睡眠時の体温調節がうまくいっていないからだとか。
ここで言う体温というのは、体の中の温度である深部体温のことで、通常は外的要因に左右されずに一定に保たれているもの。
体表面温度だと、風が吹けば下がるし、日が当たれば上がるけど、そういうのには左右されず、あくまでも体の中の調節機構のみによって上下するのが深部体温だよ。
でもでも、深部体温の調節がうまくいかないから眠れないのか、うまく眠れているから深部体温が下がっていくのかは本当はわからないと思うけどね。
深部体温は外から冷やしたり暖めたりしてもほとんど影響がないので、なかなか確かめようがないからわからないのだ。
現象として、睡眠と深部体温の調節は関係があることだけは確かなんだけど。

で、グリシンを服用すると、深部体温の調節がずれが是正されるようなのだ。
味の素の研究によれば、実際にグリシンを服用した場合と層でない場合で深部体温の変化を調べると、グリシンを服用した場合は、いわゆる「睡眠の質が高い」パターンの深部体温の変化になるみたい。
この研究はあくまで現象を追っているだけで作用メカニズムの解明にはつながらないのだけど、グリシンの服用が睡眠時の深部体温の変化に影響を及ぼしていて、かつ、その影響は質の高い睡眠をしているときの変化に近づけるような方向であるらしい、ということはわかるのだ。
睡眠薬ってちょっとこわいけど、ただのアミノ酸であるグリシンで本当にこういうよい効果が得られるのであれば、それはうれしいよね。

でも、どうもこれ以上はわからないようで、だからこそ、「機能性表示食品」にとどまっていて、医薬品には至っていないのだ。
作用メカニズムが不明だと何か副作用が出た場合も対処できないし、よい効果といっても、さっき見たように因果関係が本当にそうなのかがわからないので、薬事承認は通せないんだよね。
睡眠薬だと、睡眠の質はどう荒れ、眠れなかった人が眠れるようになる(副作用で悪夢を見る、うなされる、寝てもすっきりしないなんてのもあるけど・・・・)ので、わりとクリアカットに効果が評価できるんだよね。
でも、睡眠の質については、、深部体温変化やレム睡眠・ノンレム睡眠のバランスなどで状況証拠は集められるけど、質が上がったかどうかと言うこと自体は評価しづらいんだよね。
まさに、信じるものは救われる、の世界なのかもしれないけど。

ちなみに、グリシン自体は中枢神経でよく整形の神経伝達物質になっていることは知られていて、仮に脳内に直接投与すれば、鎮静作用があるはずなのだ。
多くの睡眠薬も神経の興奮を抑える薬なのだ。
そこからすると、似たような効果があってもよいとは思うけど、どうも効果は違うんだよね。
睡眠薬は文字どおり、飲むと眠くなる薬なのだ。
一方で、グリシンは飲んだら眠くなるんじゃなくて、寝付きがよくなる、睡眠の質がよくなるものなんだよね。
なので、神経の過剰興奮を抑制するから効く、というよりも、体内時計の狂いの是正とかそっち方面に影響してそうな気はするんだよなぁ。
これはそのうち解明されるのだろうか?