2015/09/26

金より貴重な銀

今年はカレンダーの妙により、秋に五連休が生まれたのだ!
世間的に「シルバーウィーク」としてもてはやされ、全国的に天気にも恵まれたことから、かなりの人が行楽に出かけたみたいだよね。
でも、次に五連休になるのは2026年で11年後なんだって・・・。
春の大型連休であるゴールデンウィークの場合は、祝日が3日連続しているので最低限三連休は保証されているんだけど、秋の場合は、国民の休日がうまく挟まらないとダメなんだよね(>o<)

秋に大型連休が生まれるためには、すでにハッピーマンデーが適用されている敬老の日と秋分の日が2日違いで、その間に平日が挟まることが必要なのだ。
敬老の日は9月の第3月曜日と決まっているので、秋分の日が9月の第3水曜日に来ないといけないわけ。
秋分の日は太陽が黄道(地球から見た見かけ上の太陽の軌道)における秋分点を通過する日なので、毎年日付が変わるんだよね。
だいたいは9月の21日、22日、23日のいずれかになるので、これが水曜日に当たればいいのだ。
24日が秋分の日になることもあるんだけど、その場合、秋分の日が24日となった場合、9月の第3月曜日は15日になってしまうので、この場合は大型連休にならないんだって。
こういう状況なので、秋の大型連休は非常にまれな存在なのだ!

そもそも、このシルバーウィークが生じるきっかけになったのは、ハッピーマンデー制度の導入と、祝日と祝日に挟まれた日を休日にする「国民の休日」制度の導入によるもの。
日本の祝日は「国民の祝日に関する法律」第二条により規定されていて、建国記念の日を除いては、法律上で日付が指定されているのだ。
元旦や天皇誕生日のように日付がきちっと定められているものと、敬老の日や体育の日のようにハッピーマンデー制度が適用されて、○月の第×月曜日というような指定をされているものがあるんだ。
建国記念の日だけは政治的な問題があったので、「政令で定める日」とされていて、別途政令で2月11日に決められているのだ。

さらに、同法第三条で振替休日と国民の休日が規定されているのだ。
昭和48年(1973年)までは振替休日もなくて、祝日が日曜日の場合は休みの日が1日減っていたんだけど、このときに振替休日を導入し、祝日が日曜日に当たる場合は、翌月曜日を振替休日にすることになったのだ。
また、昭和60年(1985年)には、2つの祝日に挟まれた平日を国民の祝日とする制度が導入されたんだよね。
基本的には、憲法記念日の5月3日とこどもの日の5月5日に挟まれた5月4日を休みにするためのものだったんだよね。

ハッピーマンデー制度は、平成10年(1998年)の法改正で導入され、平成12年(2000年)から施行。
まずは成人の日と体育の日が月曜日指定になったんだよね。
平成13年(2001年)の改正ではハッピーマンデーの対象が拡大され、平成15年(2003年)以降は、海の日と敬老の日もハッピーマンデーにより月曜日指定になったのだ。
このときから、敬老の日と秋分の日にはさまれた国民の休日がたまに発生する状況になったんだよね。
これがシルバーウィークのはじまり。
その最初のタイミングが平成21年(2009年)で、今回は二度目だったんだ。

ちなみに、その後も国民の休日に関する規定は微妙に改正されているのだ。
というのも、4月29日を「昭和の日」とし、みどりの日を「5月4日」にしたため、暦上では常に祝日が3日連続になる状況が発生したため、祝日と祝日に挟まれた日であって祝日でない日が国民の休日になる、というように改正がなされたんだ。
この場合、国民の休日になる可能性があるのは、敬老の日と秋分の日に挟まれる平日だけだよ。
また、このとき同時に振替休日の規定も改正されていて、ある祝日が日曜日に当たった場合、その直近の平日が振替休日になることになったんだ。
というのも、5月3日が日曜日だった場合、もともと5月4日は祝日なので、そのままでは振替休日がなくなってしまうので、5月6日が休日になるように変えられたのだ。

というわけで、今回の秋の連休はうまいことタイミングが重なって生じたものなのだ。
でも、実際の陽気のよいこのシーズンに連休があると行楽に出る人も多く、経済効果もあるので、祝日制度自体を見直して秋にも必ず大型連休があるようにしたい、という動きもあるんだよね。
とはいえ、日付が確定しない秋分の日を絡める限りはなかなか難しいので、なかなか妙案はないんだけど。
ま、たまにしかないからこそのありがたみというのもあるしね(笑)

2015/09/19

神出鬼没の赤い花

この前散歩しているときにヒガンバナを見たのだ。
もともと今年は残暑をあまり感じなかったし、めっきり秋っぽくなってきたけど、ヒガンバナを見るともう彼岸かぁ、と思うよね。
季節を感じさせる花のひとつなのだ。
ボクは割ときれいな花だなと思うけど、それ以上に、この花はその妖しさから忌避する向きもあるんだよね。

その大きな原因は、いきなり茎が伸びてきて花だけが咲くからだと思うんだよね。
そのために「幽霊花」なんて名前もあるし。
芽が出て、葉が増えて、やがて花が咲く、という一連の流れが見えず、いきなり花だけ出てくるので気持ち悪く感じるのだ。
確かに、この植物に特有の大きな特徴ではあるんだけどね。

これはボクもよく知らなかったし、実際に見ていても気づかなかったんだけど、花が終わって、茎も枯れた後に、細い葉が放射状に広がってくるんだって。
秋から冬にかけて葉が広がり、春には枯れて地上にはまた何もなくなるのだ・・・。
そして、秋口にまたいきなり茎が出てきて花が咲く。
ヒガンバナはデンプン質を多く含む鱗茎があるので、春~夏に葉で光合成をしなくても、秋~冬にためた栄養で花を咲かせられるんだよね。

ヒガンバナの妖しさは、その鮮やかな赤い色と特徴的な花の形もあるんだけど、この鱗茎には独があるというのも一役買っていると思うんだよね。
リコリンなどの有毒なアルカロイドを含んでいて、食べると嘔吐や下痢を引き起こし、場合によっては中枢神経が麻痺して死に至る場合も・・・。
その毒の効果を狙ってあぜ道に人為的に植えられたとも考えられるんだよね。
ネズミやモグラ、虫などの田を荒らす動物が独を嫌って近づいてこなくなる、というわけ。
墓場にも植えられるけど、これは土葬していた時代の名残で、動物が埋葬した死体を暴いて食べたりしないように、ということのようなのだ。

ただし、この有毒成分は水溶性なので、長時間水にさらすと抜くことができるんだって。
実際に太平洋戦争中は食べていたこともあったらしいよ。
ちなみに、この鱗茎は生薬の一つでもあって、むかしから使われていたようだよ。
有毒なものなので民間療法で使うには危険なんだけど。
もしどうしてもという場合は、必ず長時間水にさらした方がよいのだ。

このヒガンバナ、どうも日本には人為的に持ち込まれた帰化植物みたいなんだよね。
というのも、日本全国で見られるヒガンバナはすべてクローンで、遺伝情報が同じなのだ!
つまり、一株のヒガンバナが増やされて広まっていったということ。
北海道から沖縄まで分布しているのに、たったひとつの鱗茎から始まったのだ。
触れたように、農作物を荒らす動物への対抗手段として田のあぜ道なんかに植えられたので、そういう有用性が評価されていたんだね。
なお、日本のヒガンバナは三倍体になっているので、もともと種子では増えないんだって。

でも、そうなると気になるのは、山の中とか、人の住んだ形跡がないところにもヒガンバナが咲いていること。
でも、誰かが植えない限りは勝手に生えてくるわけではないので、かつてはそこに田や墓場など、人が暮らしていた形跡があると言うことなんだよね。
なんらかの形で鱗茎が山中などに持ち込まれた可能性もあるけど、そういう目で見てみると、人の住んだ形跡が発見できるかも。
今度思わぬところで見かけたら、よく観察してみようっと。

2015/09/12

自動販売機のジュースは当たるのか?

テレビを見ていて知ったんだけど、当たり付の自動販売機って、当たりの出る確率を設定できるんだね。
ただし、当たりの確率はどこまでもあげられるわけじゃなくて、最大で2%まで。
つまり、50本に1本の確率以下でしか当たらないのだ。
どうりで当たったことがないわけだ・・・。
そのテレビのインタビューでは、自動販売機会社からは、通常は1%(つまり、100本に1本)の割合で設定することをベースに設置者との間で調整するんだって。

この2%というのは業界の申し合わせとかじゃなくて、法令に基づく基準なのだ。
一般に「景品表示法」と言われている「不当景品類及び不当表示防止法」の第4条では、「内閣総理大臣は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。」と規定して、景品でむやみに消費者をつるようなことをしてはならない、としているんだ。
これに基づいて公正取引委員会告示が出されていて(現在は法律の所管は消費者庁の所管になっているよ。)、その中で決まっているんだ。

その告示は「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」というもので、その中では「懸賞により提供する景品類の総額は、当該懸賞に係る取引の予定総額の百分の二を超えてはならない。」と定められているんだ。
自動販売機の場合「取引の予定総額」というのは、売上げ総額の予定額になるので、想定される売上げの2%以内でしか景品(この場合は当たりが出た場合の商品)を提供できないんだ。
これが当選確率が最大で50分の1の根拠なんだって。
自動販売機の場合、全く当たりが出ない設定と、当たりを出す場合は1/990~1/50で設定できるようになっているのが標準的みたい。
0.1%なんて設定もあるんだね(>o<)

ちなみに、景品の価格にも規制があって、5,000円以内の商品であれば20倍まで、5,000円以上は一律10万円が上限だよ。
缶コーヒーの懸賞でジャンパープレゼント、なんていう場合は、1本だけで応募できる、としてしまうと、景品は120円×20=2,400円以内におさめないといけなくなるんだよね。
これがシールを20枚集めて応募とすると、さらに20倍できるので、48,000円と高額商品も設定できることになるよ。
ただし、景品自体の価格が上がっても、景品全体で2%の枠は係るので、高額商品であればあるほど当選確率は下げざるを得ないのだ・・・。
自動販売機で当たらないんだから、缶コーヒーのジャンバーなんてさらに当たらないわけだよ(笑)
ジャンバーなどのキャンペーンの場合、通常は○○名様に当たる、というようにやるはずなので、おそらくは過去の売上げ実績から推定して2%の枠内に入るように景品の価格を設定しているはずなのだ。
普通は安全側で設定するはずなので、当選確率はますます下がるはずだね。

さらに、応募者全員プレゼントとなると、完全に2%以内のものしかもらえないというわけだよね。
ボクも今、一生懸命シールを集めているんだけど、コンビニのパンなどについているシールを集めて食器をもらうキャンペーンなんかがそう。
100円当たり1枚というシールを40点分集めるとすると、100×40×2%=80円ということになるのだ。
そうなると、景品としてもらえるのがオリジナル商品だとしても、マグカップやら皿やらの原価は80円程度に抑える必要があるんだよね。
だから中国製が多いのかな?

正直、必ずもらえる、という方が抽選でもらえるより魅力的なんだけど、当選確率の分だけ景品の価格は抑えなくてはいけないので、痛し痒しなんだよね。
ま、それを野放図にしたら大変なことになる、というので法律があるんだろうけど。
赤字覚悟で商品でつって売上げを伸ばし、独占又は寡占したところで一気に値上げ、というのがないとは言えないのだ。
でも、実はこうやって景品のレベルを法的に枠ではめていてくれた方が、貪欲な消費者のニーズにとことんまでつきあわなくてよくなるから、企業側にもメリットがあるのかも。

2015/09/05

バスでつなぐ

最近知ったんだけど、東日本大震災で被災した東北の鉄道路線はほぼ復旧はしているものの、一部は「仮復旧」なのだ。
この仮復旧というのが何を指すのかというと、鉄道ではなく、バスで代行輸送をしているんだよね。
JR東日本のウェブサイトにあるにくわしいんだけど、具体的には、気仙沼を起点とする気仙沼線と大船渡線の2路線なのだ。
もともと線路がかなり海岸沿いにあったので、本格復旧をするにはもっと山側の高台に線路を敷設し直す必要があるんだよね・・・。
でも、正直この路線は赤字路線なので、JR東日本としても大きな投資をして線路を敷設し直すことには難色を示しているのだ。
地元も相応の負担をしてくれたら、というのが鉄道会社の見方だけど、被災地域は他にも復興需要があってそこまで手が回らないのも事実。

一方、鉄道事業者であるJR東日本は公益事業体なので、勝手に赤字路線を廃線にできるわけでもないんだよね。
あくまでもその公共サービスの享受者である地元の合意が必要なのだ(>o<)
なので、なんらかの形で輸送サービスを提供する必要が出てくるわけ。
そこで登場するのが、バスによる代行輸送という考え方。
臨時で運転見合わせになった場合や、短期の工事で運休する場合もバスでの振替輸送が行われるけど、今回の場合は、もともと鉄道路線だったものをバス路線に代えて復旧させるという措置なんだよね。
新たに線路敷設をしない限りはバスでの輸送サービスの提供になるのだ。

ここで使われているのはただのバスではなくて、バス高速輸送サービス(BRT)と呼ばれるものなんだよね。
バスだと道路の混雑状況によって定時性(時刻表どおりに運行できること)の確保が難しくなるんだよね。
かつ、一般道を走らせる場合はそんなに多くの本数を出せないので、輸送力にも限界があるのだ。
これを一部解消して、バスの短所を補っているのがBRTという交通システムなんだ。
具体的には、バス専用のレーン又はバス優先道路で運行させ、道路や交差点で他の車両の影響を受けづらくするのだ。
かつ、専用のプラットフォーム(駅)を用意して、車外で料金徴収を行うことで乗降をスムーズにしているんだ。
後払いでも先払いでも、バスだと運賃の支払いで列ができることがあって、出発できなくなるからね。
また、駅があると、乗降口と路面の段差を解消できるので、ノンステップになるのだ!

このあたりは路面電車のような軌道交通で解決されているんだけど、線路や軌道を敷設することなく提供できるところに大きなメリットがあるのだ。
線路や軌道は敷設だけでなくてメンテナンスにも多大なコストがかかるんだよね。
また、基本的には道路を走るだけなので、専用道路や優先道路が設定できれば、路線変更も用意なのだ。
今回の仮復旧でもここが大きくメリットになっていて、とりあえず前に線路が敷設されていたところに専用レーンを整備して、既存の駅を活用しながらバスを走らせているんだけど、有事の際はそこから一般道に出て避難でもできるのだ。
なので、起こるかどうかがわからない自然災害に備えて新たに線路や軌道を切り開く必要もなく、比較的安価な投資で復旧できるんだよね。
地元としても、高めの要求ばかりでことが動かなくてスタックするよりは、とりあえず「仮復旧」ということで今回の措置を受け入れているのだ。
今回は元線路だったところを専用レーンにしてバスを走らせるので、基本的には鉄道と同じようにほぼ時刻表どおりに運行できるはずなんだよね。
輸送力は落ちる可能性はあるけど、もともと赤字路線なので、すし詰めになるような事態もあまり想定されないのだ。

ところが、人の輸送はそれでいいとしても、このバスによる振替では貨物の輸送は代行できないんだよね・・・。
基本的には貨物営業はすでに廃止していたみたいだけど(基本は東北本線と常磐線が使われているのだ。)、まさに復興需要で物入りのときこそ、鉄道で大量に物資が輸送できるとメリットが大きいんだけどね。
JR貨物の場合、自分で持っている線路で走らせるのと、他の事業者(例えばJR東日本など)が持っている線路を走らせるのとで2通りの事業形態があるんだけど、仮に貨物輸送の観点でこの路線が特に重要だ、となると、JR貨物で整備することになるのだ(JR東日本はすでに人の輸送だけならBRTでいいと判断しているわけだからね。)。
ま、そこまでの需要はやっぱり見込めないんだろうなぁ。
地元としては鉄道路線の復活を望む声もあるようだけど。

ちなみに、このBRTというのは比較的安価コストで短期間に整備できる交通システムとして注目されていて、2020年の東京五輪の「足」としても計画があるみたいだよ。
ライトレールで路面電車を整備するのもあるけど、一度軌道を敷設してしまうと恒常的なものになってしまうので、まさにオリンピック特需のためだけに新交通システムを臨時で導入する、という場合はBRTの方が優れているんだよね。
今度のオリンピックでは臨海副都心が中心になるけど、東京駅などの都心部からのアクセスをよくする必要があるし、もともと勝どきとか晴海のあたりは交通の便がよくないところがあるので、その解消も含めて東京都が計画しているのだ。
実は、このあたりはもともと都電が縦横無尽に走っていたんだけど、自動車が増えたことで都電が廃止されていった経緯があるんだよね。
当時は地下鉄に振り返るとともに、地下鉄が通せないところは路線バスで対応ということになっていたんだけど、それがまたBRTという形で復活するかもしれないのだ。