2017/01/28

じゅーそーの力

パリでは洗濯をしていくと、白い布が灰色になってくると言われているのだ。
どうも硬水のせいのようで、やっぱりカルシウムが邪魔しているようなのだ・・・。
つくづく悪者だなぁ(笑)
量的にはそこまで多いような気もしないんだけど、少しの差で違いが出るものだ!

このカルシウムがどう悪さをしているのかよくはわからないのだけど、ちまたで言われているのは、衣類から洗剤で剥離された汚れ特ついて石けんかすのようなものになり、それが繊維の間に入り込んでとれなくなる、というもの。
たぶん、洗濯物がごわごわになるのもこのせいなのだ。
軟水の場合、カルシウムの絶対量が少ないので、ごくごく微量にこういうのができていたしても問題にならないのだけど、カルシウムの量が多くなれば無視できないということなんだよね。
水滴を放っておくと白い結晶が残るような水だから、仕方ないのかも。

この「石けんかす」のようなものは、おそらく脂肪酸カルシウムなのだ。
水溶性の汚れはすぐに洗濯に使っている水に希釈されてしまうので問題にならないのだけど、皮脂や食べこぼしのような油汚れは洗剤の界面活性作用で衣類からはがされた後は、水に溶けないので小さな粒で洗濯水の中を漂っている状態なのだ。
ちょうどドレッシングを混ぜたような懸濁状態だよ。
で、この油が炭酸水素カルシウムとして水に溶けているカルシウムイオンに出会うと、脂肪酸カルシウムができるのだけど、この脂肪酸カルシウムはほとんど水に溶けないんだよね。
つまり、微粒子の沈殿ができるわけ。
これが繊維の間に入り込むのだ。

ちなみに、洗剤の中の界面活性剤もカルシウムと反応して沈殿しちゃうんだよね。
なので、泡立ちが悪くなるわけ。
これを防ぐためにお酢を入れてあげると、お酢の中のクエン酸や酢酸と先に反応して、水によく溶けるクエン酸カルシウムや酢酸カルシウムになるので、洗剤の界面活性作用を邪魔しなくなるんだよね。
洗濯した後のごわごわも多少解決するのだけど、これもカルシウムを水に溶ける形で取り除いてくれるからなのだ。
硬水で洗濯する場合、洗剤の洗浄力がカルシウムのせいで下がるので、高温で洗うことになるんだけど、そうすると、水中の炭酸ガスが抜けて水に溶けにくい炭酸カルシウムができてやっぱり沈殿ができるんだよね。
これはごわごわのもとになるのだ(>_<)
でも、お酢だけだとやっぱり灰色にはなっていくみたい・・・。

灰色化をを防ぐには、脂肪酸カルシウムができないようにすればいいわけ。
ひとつは、カルゴンのようなカルシウム除去剤を使えばいいのだけど、もっと簡単で安上がりなのは、重曹を使う方法。
重曹は炭酸水素ナトリウムだけど、ナトリウムはカルシウムよりイオン化傾向が小さいので、より脂肪酸とくっついて塩を作りやすいのだ。
すると、脂肪酸カルシウムの代わりに脂肪酸ナトリウムができるのだけど、こっちは水に溶ける場合が多いんだよね。
なので、繊維の中に残る微少な沈殿物がすくなくなるわけ。

というわけで、おありではお酢+重曹を追加して洗濯するとよいみたいなのだ。
うちではこれまでお酢しか使っていなかったので、これから重曹を使うようになると変わるかな?
変わるとよいのだけど。

2017/01/21

アフリカ一の料理

出張でセネガルの首都ダカールに行ったのだ。
アフリカ大陸は初体験!
セネガルと言われても、正直パリ・ダカールラリーの印象しかなかったんだよね。
で、いろいろと調べてみると、アフリカの中でも比較的治安がよい国だというのと、セネガル料理はアフリカ料理の中でももっとも洗練されている、とあったのだ。
なので、ちょっと食事は楽しみだったんだよね。

ダカールは比較的乾燥しているんだけど、セネガルには降水量が多い地域(南の方)があって、そこでは昔から稲作が行われてきていたんだって。
なので、セネガルでは米が主食として食べられているようなのだ。
そんなセネガルの米料理の中でも、ナショナル・ディッシュとまで言われるのが、魚の炊き込みごはんであるチェブジェン。
チェブが米で、ジェンが魚なので、「魚ごはん」というそのままの名前だよ(笑)

でも、作り方は割とこっていて、まず、大量の落花生油で魚と野菜を炒め、トマトのみじん切りやトマトピューレを加えるのだ。
そこに大量の野菜と水を投入し、スープを作るんだって。
このとき、鍋の上に「こしき」を置き、その中に米を入れておいて米を蒸すのだ。
スープの具材がいい感じで煮えたところで魚や野菜などの具材を取り出し、代わりに米を入れて水分がなくなるまで炊きあげるんだ。
盛り付けるときに炊きあげた米の上にさっきの具材を載せてできあがり。
できあがりはパエリア風だよ。

日本人からするとちょっと油が多いかな、というところなんだけど、スープに魚と野菜の出汁が出ていて、それが米にしみているので、日本人にはよく好まれる味と言われるよ。
特に、セネガルには魚の干物のような食材もあるので、なじみやすいそうだよ。
セネガルで魚がよく食べられるのは、大西洋に面しているのとともに、大きなセネガル川があったりするからみたい。
独特の臭気のある巻き貝の干し貝柱も料理に使われるんだって。
こういうところも日本の感覚に近いかも。

もともとセネガルに住んでいたウォロフ族の食文化に、11世紀に入ってきたイスラム文化が混ざり、さらにそこに大航海時代に欧州の文化が入ってきたのだ。
特に、植民地にしていたフランスの影響は大きいみたいで、朝食には、バゲットにセネガルの総菜を挟むサンドイッチを食べるらしいよ。
悲しいことに、セネガルは奴隷貿易の拠点でもあったので、セネガルから多くの黒人が新大陸へと送られたようなのだ。
その際、食文化も一緒に輸出されたそうだよ。
で、チェブジェンの魚が肉に変わった「肉ごはん(チェブヤップ)」が米大陸で作られるようになり、それが今の「ジョロフライス」という料理として米国に残っているのだ。
ジョロフライスは米国でもっともポピュラーなアフリカ料理なんだって。

日本のイメージで言うと、アフリカ料理と言えばクスクスみたいなところがあるけど、米料理もあるんだねぇ。
やっぱりこういうのは行ってみて、食べてみないとわからないものだ。
今回は残念ながらチェブジェンは食べられなかったんだけど、一応他のセネガル料理は食べてみたのだ(焼き魚にタマネギとトマトのソースをかけたやつなど)。
やっぱり現地のものを食べるっておもしろいよね。

2017/01/14

しわとしわをあわせて?

お正月と言えばおせち料理。
で、このおせち料理で衝撃的な発言を知ったのだ。
それは、おせち料理の黒豆のに方について。
黒豆と言えば、いかにしわが寄らずに柔らかく煮えるか、ということで、ネット上にも様々な情報・レシピが載っているけど、中でも有名なのは、料理研究家の土井勝さんが15年かけて考案したという「土井式」。
これは簡便につるつるの黒豆が作れると評判なのだ!
ところが、この「土井式」について、土井勝さんの息子さんで、やはり料理研究家の土井善晴さんが衝撃的な発言をしていたのだ。

つまり、もともと黒豆は「しわが寄るまでまめに働く」という縁起物だから、しわがない黒豆はよくない、と、土井勝さんのお母さんは言っていた、ということ。
確かに、調べてみると、地方によってはむしろしわの寄った黒豆を食べることもあるみたい。
ということは、苦労せずとも、工夫せずとも、普通に柔らかくなるまで黒豆は煮とけばよかったってこと?
15年かけたレシピが自分の母親に否定されていたとは・・・。

現在のおせち料理自体は、江戸時代に徐々に形になってきて、明治以降に形式化したものなんだって。
そもそもお重に詰めて、というのが明治以降の話で、江戸時代はお膳に載せた料理とお重に詰めた料理の両方があったみたい。
明治以降の様式が「日本の伝統」と認識されている例の一つだね。
縁起物や語呂合わせも江戸時代考案のもののようだよ。
もちろん、古来から祝い用の料理とかはあって、当然ながらその流れも合流しているとは思うんだけど。

黒豆については、江戸の高級料亭「八百善」が考案したものと言われているようなのだ。
だとすると、やはり最初はしわがなく、きれいなつるっとした煮豆だったのでは・・・。
おそらく、それが庶民に浸透していく過程で、料理屋のようにしわなく煮ることが難しいので、「むしろしわがあった方が」ということになった可能性もあるよね。
むしろその方が理屈は通ってる(笑)

むかしながらの作り方だと、まず黒豆をやわらかく煮て、それを甘い糖蜜に浸して味を含ませるようなのだ。
徐々に糖蜜の濃度を上げて、濃い糖蜜に浸していくんだって。
この方法だと、どうしても1週間くらいかかるんだよね・・・。
それが、「土井式」では2日間でできるのだ。
ま、これも今となっては手間がかかる、ということかもしれないけど。

黒豆にしわが入る原因はいくつかあって、ひとつは急に浸透圧の高い液につけると、豆から水分を奪ってしまうので、しわができてしまうというもの。
なので、むかしながらの製法では徐々に濃い糖蜜にしていくという行程だったのだ。
ところが、「土井式」では、最初に煮汁を作ってしまって、乾燥した黒豆をそれでもどすんだよね。
そうると、煮汁は豆に染みていくだけで、水分を奪っていくことはないのだ。
さらに、煮汁が熱いうちに豆を入れることで、さらに染み込みの早さを加速しているんだ。
これで一晩放置すると、甘い煮汁で戻された黒豆ができるわけ。

今度はこれをやわらかく煮るんだけど、「土井式」では、弱火でじっくりと8時間くらいかけて煮るのだ。
考案された当初は石油ストーブも多く使われていたので、石油ストーブに載せておくということだったみたい。
このとき、煮汁は豆がひたひたになるくらいに常にキープする必要があって、水分が少なくなってきたら熱湯を足すのだ。
豆にしわが寄る第二の原因として、急激な温度変化があるんだよね。
なので、水分補給には水を差したりしないわけ。
また、沸騰させずに弱火でことこと煮込むというのも、沸騰させてしまうと豆の表面が空気に触れる可能性が出てきてしまうから。

というわけで、「土井式」は本当によく考えられらレシピなんだよね。
ところが、現在では黒豆は正直あまり人気のない料理・・・。
ボクは割と黒豆は好きなんだけどなぁ。

2017/01/07

マグネシウム補給

年末日本に一時帰国しているときに「こむら返り」で足がつったのだ・・・。
急に走ったらそうなったんだけど、原因としては、運動不足やミネラルの欠乏なんかが考えられるんだよね。
運動不足は仕方ないにしても(笑)、栄養面は改善できるはずなので、ちょっと調べてみたところ、カルシウムとマグネシウムのバランスが問題とのこと。
カルシウムは積極的に摂取するようにしていたんだけど、むしろ問題はマグネシウム?

マグネシウムも必須のミネラルで、人体ではその多くはカルシウムとともに骨に蓄積されているんだって。
植物の場合は葉緑体の中のクロロフィルの中心にマグネシウムがあって、光合成に不可欠だから人間以上に重要なミネラルなのだ。
とすると、野菜などの植物性の食物を食べていれば補給できそうな気もするけど、そんなに多く含まれているわけではないみたい・・・。
マグネシウムの不足は、糖尿病やら鬱病やらに関連しているとも言われているのだ(>_<)
でも、日本ではあまりマグネシウムのサプリは見かけないよね?
それは、日本人の食生活と関係があるみたい。

マグネシウムを比較的多く含む食品としては、豆類、アーモンドなどの種実類、海藻類が知られているのだ。
豆の中でも特にダイズには多くて、さらに、大豆の加工食品である豆腐は、豆乳を塩化マグネシウムを主成分とする「にがり」で固めたものなので、マグネシウム・リッチな食品なのだ!
豆腐の中でもしっかり固めている木綿豆腐が一番多いんだって(おそらく、沖縄の島豆腐はもっと多いのだ。)。
さらに、日本でっよくつかわれるゴマやわかめ、ひじき、あおさなどにもマグネシウムは比較的多く含まれているので、日本式の食生活だと欠乏するということはあまりないみたい。

ところが、フランスに来て見ると、マグネシウムのサプリが売っているんだよね。
逆に、カルシウムはマイナーなようなのだ。
さらに、マグネシウムを増強したミネラル・ウォーターも売っているよ。
これもおそらくフランスの食生活を反映しているんだよね。
フランス人は牛乳、バター、チーズなどの乳製品を非常に多く食べるし、さらに、飲んでいる水はカルシウム含有量の多い硬水。
こういう環境なので、カルシウム不足を心配する必要はあまりないんだよね。
逆に、フランス人の食生活の中には、マグネシウムを多く含む食品は少ないのだ。

さらに、水の問題もあるんだよね。
水の硬度は、中に含まれるカルシウムとマグネシウムの量で決まるんだけど、フランスの水はカルシウムが多い硬水。
マグネシウムはむしろ日本の水より少ないくらい。。
日本の水道水だと、カルシウムとマグネシウムの比率は4:1くらいなのに対して、フランスでは15:1くらいで圧倒的にカルシウムが多いのだ!
フランスの水のカルシウム含有量は日本の2倍くらいなので、マグネシウムの量は日本の半分くらいということになるよ。
食生活の中にも多くないし、水の中にも少ないので、サプリとして摂取したくなるのがわかるのだ。

ということは、ボクもフランスにいる間にマグネシウムの摂取には気をつけないといけないということか。
一時帰国中の「こむら返り」がフランス滞在中のマグネシウム不足によるものとは思わないけどね(笑)
ま、フランスでも豆腐は手に入るので、ときどき豆腐を食べるようにすればよいかな。