2007/11/30

東京の道路事情

ボクが今来ているワシントンDCはほとんど何もないところに作られた計画都市なので、首都の中心部の道路がきれいに整備されているのだ。
東西にはA、B、C、Dとアルファベットの通り(AはIndependence Avenue、BはConstitution Avenueなのだ。)が、南北には、1st、2nd、3rd、4thと数字の通りが走っているんだよね。
これに放射状に走る州の名前の通りが加わるのだ。
一度覚えるとけっこうわかりやすいんだよね。

一方、東京の道路は江戸時代からの道路を基本的に踏襲していて複雑なのだ(>_<)
道路幅が変わったり、急な坂をならしたりとかはしているんだけど、むかしの地図と重ねてみると、ほとんど道に変化がないことがわかるのだ!
でも、そんな東京でも、関東大震災の後には大幅な区画整理、公園整備(これは火災被害の拡大防止の意味もあるんだよ。)、道路整備が計画されたんだ。
その計画を打ち出したのは、帝都復興院総裁となった後藤新平さん。
満鉄総裁としての方が知名度が高いけど、東京の道路を語る上ではもっとも重要な人物なのだ。

このとき計画されたのは道幅の広い(中央に緑の中央分離帯のある70~90mの道)、放射道路と環状道路。
けっきょく資金難や用地買収の困難から計画どおりには行かなかったんだけど、それでも大きな道路整備が行われたんだよね。
このときできた有名な道路は新橋から上野を通って三ノ輪まで出る昭和通りや、新宿から靖国神社の前を通って浅草橋まで出る靖国通り。
東京を縦や横に走る大きな幹線道路はこのときの放射道路計画で大幅に整備されたんだよ。

さらに重要なのは環状道路。
この前やっと環八(環状8号線)が全通したけど、1号線から8号線まであるのだ。
環状1号線は内堀通り、永代通り、日比谷通り、晴海通りなどを含んでいて、内堀通りは皇居のまわりをちょうどくるっと1周しているけどそれ自体が1号線ではないのだ。
環状2号線は外堀通り、新大橋通りなどで、やっぱり外堀通りも1周できるけど、それ自体が2号線ではないみたい(外堀通りは東京、新橋、虎ノ門、赤坂、四谷・市ヶ谷、飯田橋、水道橋・お茶の水、神田とくるっと回れるんだよね。)。
環状3号線は、清澄通り、外苑東通り、言問通り、三ツ目通りなどで、かなり断片的になっているんだ。
茗荷谷駅前にある播磨坂の桜並木はまさに環状3号線の幅広い道として作られたんだけど、ほんの短い区間しかないのだ。
環状4号線は、外苑西通り、不忍通り、明治通り、四ツ目通りなどで、やっぱり断片的。
外苑東通りと外苑西通りは神宮外苑を間にはさんでほぼ並行に走ってるけど、それぞれ環状線の一部なんだよね。
三ツ目通りと四ツ目通りの関係も同じなのだ。

環状5号線は明治通りで、明治通りは4号線の一部でもあるし、5号線でもあるんだって。
明治通りはかなり環状に近いけど、麻布の古川橋から夢の島までで、そこから東京湾(芝浦ふ頭付近)までの部分が未開通なんだよね。
あと少しなのだ、すでに道路計画はないんだけど・・・。
環状6号線は山手通りのことで、品川から板橋まで。
リングの西側だけができている状態だよ。
そのまま環状にすると王子から浅草を通って隅田川に沿って南下するような形になるはずなんだよね(それは計画にはないみたいだけど・・・。)。
環状7号線からはそのまま環七と呼ばれていて、一番早くに全通したのだ。
かなり整備にお金がかかったようで、無用の長物とも批判されたらしいけど、今ではなくてはならない道路だよね。
平和島・大井埠頭から葛西臨海公園まで続いているのだ。
これは本当にくるっとまわっているんだよ。
最後の環状8号線こと環八は昨年やっと全通したんだけど、羽田の天空橋から赤羽まで。
山手通りと同じでリングの西側しかないんだけど、計画ももともとここまでなのでこれで全通なのだ。

で、どれをとて見てもよく渋滞することで知られる主要な幹線道路。
もしこれらの道路が作られていなかったらもっと大変なことになっていただろうね。
こういう道路の建設で江戸の情緒や街並みが失われた、という声もあるけど、都市として機能しなくなるよりはましなんじゃないかなぁ、と思うよ。
街をある手入ればまだまだ江戸時代とほぼ変わらない街の区画なんてよくあるから(例えば吉原の入口の吉原大門の「く」の字型の道路とか、下谷・入谷・谷中近辺なんかはそういうところだよね。旧東海道や旧中山道もその一部は今でも商店街として残っているのだ。)、ボクは作ってよかったと思うんだよね。

2007/11/29

沖縄の炒め

夏に食べそびれたそうめんが家にあったので、ソーミンチャンプルーを作って食べてみたのだ。
ネットでレシピを調べたら、特にこれといった形もなさそうなので、沖縄っぽいイメージで、玉ねぎ、ニンジン、キャベツ、もやし、かたい豆腐、卵、スパム(ランチョンミート)なんかを入れて作ったらわりとおいしくできたよ(スパムの塩味がポイントなのだ。)。
で、沖縄ではこういう炒め物のことを「チャンプルー」と呼ぶんだよねぇ、なんて思いながら、さらにちょっと調べてみたんだ。

「チャンプルー」というのはもともと琉球語で「混ぜこぜにした」というような意味ということで、野菜や豆腐を炒めた沖縄料理の総称なのだ。
長崎が有名な「ちゃんぽん」も「混ぜる」という意味だけど、インドネシア語・マレー語にも「チャンプール」という言葉があって、同じような意味なんだって。
朝鮮語にも「チャンポン」があるらしいので、これは東南アジアから東アジアにかけて共通の起源があるのかも。
なかなか興味深いねぇ。

沖縄のチャンプルーのポイントは野菜と豆腐で(一部豆腐が入らないものもあるけど)、豆腐は沖縄独特の島豆腐というとてもかたい豆腐を使うのだ。
この豆腐は水につけた大豆をまずすりつぶして豆乳を生のまま絞り、それを煮てにがりを加え、強めに重しをかけてかたくかためるものなのだ。
本土の豆腐は水につけた大豆を煮てからすりつぶして豆乳とおからに分けるんだけど、沖縄は生のまましぼるところが大きな違い。
この作り方をすると、木綿豆腐よりもさらにかたくなるんだよ。
なので、炒めてもまったく型くずれしないし、できあがった豆腐も水にさらさなくてもまったく平気なものらしいのだ。
ちなみに、米国内で売っている豆腐はとてもかたくて、「soft」というのを買っても木綿豆腐よりかたいのだ(>_<)
※日本では天然にがりの主成分である塩化マグネシウムでかためていたんだけど、もっと薄い豆乳でもかためられる硫酸マグネシウムなんかも使うようになって豆腐がやわらかくなっていったのだ。米国には古典的な製法が伝わったとかで、今でもかたいものを作っているみたい(マンガ「美味しんぼ」でブラック師匠が始めて出てくる回でそんな話があるのだ。)。たぶん、不器用だからかたい方が扱いやすいし、好きなんだろうね(笑)

沖縄は本土と違って仏教の影響を受けなかったから、肉も油もしっかりと食文化に取り込まれていて、よく摂取されているのだ。
琉球料理は本土のものより肉や油の使い方がうまいんだよ。
なので、このチャンプルーもなかなかおいしく栄養がバランスよくとれるように工夫されていて、豆腐や肉のタンパク質、野菜のビタミンや繊維質、そして肉や油から脂質がとれるのだ。
野菜炒めより多くのバリエーションもあるし、最近ではよく本土でも食べられるようになったんだよね。
ちょっとアレンジしてあるみたいだけど(特に重要な島豆腐が手に入らないので、同じものは作りにくいのだ。)。

チャンプルーは使う食材によっていろいろ種類があって、一番有名なのはニガウリを使ったゴーヤーチャンプルー。
この頃は居酒屋のメニューなんかにもあるのだ。
キャベツ(玉菜)を使うとタマナーチャンプルー、もやし(豆菜)を使うとマーミナーチャンプルー、青パパイヤを使うとパパヤーチャンプルー、ヘチマを使うとナーべーラーチャンプルーなどなど。
かためにゆでたそうめんと少しの野菜を炒めたソーミンチャンプルーもあるのだ。
ボクが作ったのは野菜チャンプルーのそうめん入りだけど(笑)

こうしたチャンプルーの特徴から、戦後の米国の統治期間を含めて、琉球独自の文化と、日本列島本土(特に薩摩)、東南アジア、中国、米国などの文化が混ざった沖縄の文化を「チャンプルー文化」なんて呼ぶらしいよ。
かなり柔軟に文化を受け入れて、自分たちのものにしてきたんだよね。
タコライスとかスパムの味噌汁なんかはその典型なのだ。
沖縄は昆布を大量に食べることで有名だけど、沖縄では昆布はとれないので、これも外来の文化なんだよね。
そういう面を見ると、沖縄の文化はとても興味深いのだ。
ボクは特に食文化が気になるけどね(笑)

2007/11/28

海のミルク

ワシントンDCは南北で言うとだいたい真ん中あたりにあるんだけど、地域区分だと南東部とされることが多いのだ。
でも、気候的には北東部に近いので、食文化もそうなっているんだよ。
海はないけど川があって海からもそんなに遠くないので、シーフードはわりと有名で、ボストンほどじゃないにしても、エビやカキは名物になっているのだ。
今回はそんなカキについてちょっと調べてみたよ。

カキは岩などにへばりついている二枚貝で、海の底の岩から「かきおとす」ことからカキと呼ばれるようになったんだって。
漢字では牡蠣と書くけど、本当は「蠣」だけで「カキ」という意味になるらしいのだ。
でも、わざわざ「オス」をつけるんだよね。
そのむかしは、一般に貝には雌雄で色の異なる部分があって、それが白いとオスと考えられていたらしいんだけど、カキの場合は全身が白いので、メスがいないオスだけの貝だと考えられていた、というのがその理由なんだそうだよ。
ものすごい話なのだ。

カキは「r」のつかいない月、つまり、5、6、7、8月は食べられないというけど、これはマガキの話で、マガキはこの時期に産卵期で生殖器が発達して食用とはならないためなのだ。
でも、もう少し大型のイワガキは別にこの時期でも食べられるので、基本的には1年中食べられるんだよ(イワガキもマガキ同様養殖できるのだ。)。
イワガキは夏に食べられるので「夏ガキ」とも呼ばれるようなのだ。
少し大型で、殻が緑色っぽいんだよね。

でも、カキの殻は岩にへばりつきながら成長していくので、形も表面のデコボコも一定じゃないのだ。
なので、カキの種類の分類はものすごく難しくて、分子生物学的に遺伝情報レベルで詳しく調べているそうだよ。
ひょっとするとまだ未分類の種類が隠れていたりして。
この殻にはしましまがあることが知られているけど、これは木の年輪のようなもので、カキの殻の成長線なのだ。
ハマグリやアサリでも見られるけど、ハマグリやアサリはきれいに貝殻の形がその形のまま大きくなっていってるのに対し、カキはへばりついた岩の形状で殻の成長の仕方が違うからこの線もランダムな曲線に見えるんだよね。

カキの栄養はなんと言っても豊富な亜鉛。
全食品中でずば抜けて多いのだ。
カルシウムなんかの他のミネラルも多いみたい。
それと、うま味があることからわかるようにアミノ酸やグリコーゲンもたくさん含んでいて、お菓子のグリコ(キャラメル)はそれまでは捨てられていたカキの煮汁からグリコーゲンを抽出してキャラメルに混ぜて作られていたんだよ。
グリコのグリコはグリコーゲンのことなのだ。
一粒300mは、ひとつ部分の栄養素がちょうど300mを全力疾走するときに必要なエネルギー量だからなんだよね。

カキといえば天然物と養殖物があるけど、日本では縄文時代から食べられ始め、室町時代にはすでに養殖が始まっていたとか。
カキは欧米でも生食される珍しい魚介類なんだけど、欧州原産のカキのヨーロッパヒラガキは1970年代以降寄生虫などの害で激減し、現在は日本山のマガキを輸入して養殖しているんだって。
なので、フランスで生ガキを食べても日本のマガキかもしれないのだ!
ちなみに、英語のoyster、フランス語のhuitreは日本語のカキよりも少し広い概念で、岩にへばりついている不定形の二枚貝で、表面がなめらかでないものはみんなそう呼ぶみたい。
なので、そもそもカキとはまったく異なる種類の貝も含まれるらしいよ。

欧米の人は生ガキが好きだけど、ボクはやっぱりカキフライが一番好きだね。
基本的に熱を通した方がうま味は増すのだ。
でも、魚介類は長時間熱を通すとかたくなってしまうので、カキ鍋だと煮すぎる可能性があるんだよ。
その点、カキフライだとさっと瞬間的に火を通すことができて、かつ、衣でカキのうま味も閉じこめることができるので、かなりおいしく食べる方法なのだ。
最初に考案した人は偉いよ。

ちなみに、カキには生食用と加工用があるけど、これは必ずしもカキの新鮮さによる分類ではないのだ。
むしろ、生食できるかどうかは病原性を持った微生物やウイルスの存在の有無で決まっていて、最近やウイルスは多くの場合生育環境である海水に由来しているんだって。
なので、生食用のカキの場合は、汽水域で植物性プランクトンを豊富に食べたカキを紫外線滅菌された介す一中で数日間飼育し、その間に断食させて無菌状態に近くしているんだって。
こうすると病原体はいなくなるので生食できるようになるんだけど、その分身がやせてしまうので、加工用のものの方がおいしかったりすることもあるみたい。
当然、海水がとてもきれいなら天然物でも生食できるんだけどね。

2007/11/27

降った水はいかほど

日本の天気予報ではよく降水量は○○mmくらい、とか言うけど、米国の天気予報だとそこまで細かいことは言わないで、雨が降る可能性がある、くらいのことしか言わないのだ。
そういう意味では、日本の予報になれたボクとしては少し情報不足のような気がするんだよね(>_<)
ま、予想される降水量を知ったところでどうしようもないと言えばそうなんだけど(笑)

この降水量というのは単位時間内に単位面積あたりに降る雨、雪、ひょう、あられなどを水に換算したときの量で、どのくらいの高さまで水がたまるかでmm単位で表すのが普通なのだ。
氷は水煮比べて体積が増えているし、雪になると空気もたくさん含まれていて密度が違うので、いったん水にしてから計測するんだって。
単純に雪が積もった量を表すときは積雪量という指標を使うのだ。

1967年までは0.1mm単位で計測していたらしいんだけど、今では0.5mm単位なんだって。
どうもアメダスで自動で気象データを集めるようになってからこうなったようなのだ。
アメダスの自動観測機器は各地域ごとに設置されていて、定期的にデータを送ってくれるんだけど、その中に雨量計もあって降水量のデータも送られてくるのだ。
このアメダスの仕様が0.5mm単位なんだよね。
ちなみに、雪などはきちんと融かしてから計測できる仕組みらしいよ。

よく天気予報などで聞くのは1時間あたりの降水量だけど、雨の多さを表すには日降水量というのをよく使うのだ。
これは0時から24時までの間の降水量なんだけど、深夜から未明にかけて雨が降っていると日付をまたいでしまうので、そういうときは任意の24時間を対象とする24時間降水量というのを使うんだそうだよ。
降水量は雨の強さを表す指標でもあるので、こういう措置が必要なのだ。
小学校や中学校の社会科では、月間降水量で○○気候とかの特徴を教える場合もあるよね。
日本国内でも尾鷲市は異様に降水量が多いとか、そういう特徴を見るときにこのデータは役に立つのだ。

ちなみに、1時間に1mmの降水量だと、普通の人の頭の上(50cm×50cm)に1時間あたり125ccの水(コップ半分程度)が降ることになるんだって。
このくらいだと傘がなくてもいいや、と思えるくらいなんだけど、2~3mmになると傘をさす人が多くなるような雨の降り方なんだって。
ま、個人差はあるけど、2mmだと1時間傘をささずに歩くとコップ1杯分くらいの水を浴びせられているのと同じということだよね。
これが1時間に3mm以上の降水量になると、舗装されていない道路では水たまりができるくらいの雨量なんだって。
地域で基準は異なるけど、20~40mmで大雨注意報が、40~60mmで大雨警報が出るくらいの雨量だそうなのだ。

2007/11/26

いわゆるカップケーキ

米国ではどこに行ってもマフィンが売っているんだよね。
日本でもスタバではよく見かけるけど、米国ではコンビニだろうが、街中のスタンドだろうが、どこにでも置いてあるのだ。
どうも米国には日本のようにおにぎりや菓子パンといった軽食類が少ないから、ちょっと小腹が空いたときなんかにマフィンを食べるみたい。

マフィンというのはいわゆるカップケーキで、通常は紙のシートをひいたカップの中で焼き上げるのだ。
なので、必ず下に紙がくっついているんだよね。
マフィンはパンとほぼ同じ材料だけど甘めに作ってあって、ドライフルーツやナッツなどを入れることも多いんだよね。
さらに、パンではなくてあくまでも焼き菓子たらしめているのは、イーストで発酵させるのではなく、ベーキング・パウダーでふくらませている、ということなのだ。
ベーキング・パウダーの量でふっくら感は違ってきて、ものによってはずっしりしたものもあるんだよね。
英国ではカップケーキ型のもののほかに、丸型で焼いたパン状のものもあるんだって。

で、このマフィンをふくらませているベーキング・パウダーなんだけど、主成分は炭酸水素ナトリウム、いわゆる重曹なのだ。
重曹は重炭酸曹達(ソーダ)の略だよ。
重曹の化学式はNaHCOだけど、重曹は熱が加わると分解して、NaOH(水酸化ナトリウム、苛性ソーダ)とCO(二酸化炭素、炭酸ガス)になるんだ。
さらに、水酸化ナトリウムは未反応の重曹と中和反応をして、NaCO(炭酸ナトリウム)とHO(水)になるのだ。
このときに発生する炭酸ガスによって生地がふくらんでふわふわになるというわけ。
ベーキング・パウダーの場合は、この分解を促進するように酒石酸やリン酸ナトリウムなんかが入れられているんだって。
最後にできる炭酸ナトリウムはそのままでは苦い味がするんだけど、酒石酸なんかが入っていると中和されて無味になるのだ。
分解する前の重曹は少し苦くて、酒石酸は少しすっぱいので、ベーキング・パウダーをなめると下がしびれるような独特のまずさなのだ(>_<)

イーストで発酵させる場合も、発酵の過程で出てくる炭酸ガスで生地がふくらむんだよね。
でも、イースト発酵の場合は焼く前にすでに生地がふくらんでいるんだけど、ベーキング・パウダーを使う麻ぢんやスポンジ・ケーキの場合は焼きながらふくらんでいくのだ。
なので、パンは焼くと少し縮まるんだけど、マフィンはスポンジ・ケーキは焼くとふくらむんだよね。
カップにギリギリに生地を入れて焼くと、マフィンはふくれ上がって独特のキノコ型になるというわけなのだ。
パンとマフィンの表面の堅さの違いもきっとこのふくらみ方の違いが影響しているんだろうね。
マフィンは焼きながらふくれて炭酸ガスが抜けていくから表面にも細かい穴が開いてやわらかいけど、はじめからふくらんでいるパンはそういうことがないからしっかり焼かれてかたくなるのだ。

2007/11/25

絵の具

米国に来てから無料で見られるのをいいことによく絵を見に行くようになったんだけど、いろいろな絵の具があることに気づいたんだよね。
水彩や油彩、日本画の顔料なんかも知ってはいたけど、水彩にも油彩にも種類があるようだし、アクリル絵の具なんてのもあるんだよね。
それぞれ特徴があって、使い分けられているようなのだ。

絵の具は色のついた粒子(顔料)をその粒子を溶かして画面に付着させる媒剤からなるのだ。
媒剤が水だと水彩、油だと水彩というわけ。
水彩絵の具は当然水に溶けるものでないといけないし、油彩絵の具は油に溶ける又は懸濁できるものであることが必要なのだ。
で、この媒剤が蒸発して乾燥すると、画面上に絵の具だけが残って、絵が完成するというわけ。
一般に水彩は油彩に比べて乾くのが早いし、重ねぬり(色の重ね)なんかもできるし、ぼやかしたり、にじませたりすることもできるという特色があるんだよね。

水彩といえば学校の美術の時間でも使うけど、あのチューブに入った絵の具は顔料の粉とアラビアゴムを混ぜたものなんだって。
それを水にといているのだ。
で、水彩絵の具には、透明感のあるウォーター・カラーというやつと、ポスター・カラーなどの不透明なやつもあるのだ。
学校で使っているのはその中間のマット水彩というやつなんだって。
ウォーターカラーだと均一な色にぬるのが難しいけど、ポスター・カラーだとけっこうきれいに均一にぬれるんだよね。
これはポスター・カラーが不透明で下の色を透かさないからで、その分、色の重ねやぼかしができないということなんだよね。
ちなみに、ポスター・カラーは顔料自体が異なることもあるけど、アラビアゴムの比率が違うということが大事みたい(一般的に不透明なポスター・カラーの方がアラビアゴムが少ないみたい。)。
ちなみに、日本画に使う粉末状の絵の具の岩絵の具(辰砂やクジャク石、ラピスラズリなどの粉末)はにかわにとかして画面に付着させるんだけど、これも水彩に分類されるみたい。

中世からルネサンス期の精密な風景画や宗教画に使われていたのはテンペラというもので、乳濁液を媒剤としたものなのだ。
水性の溶媒の中に油性の粒子を分散させたものと、油性の溶媒の中に水性の粒子を分散させたものがあるんだよね。
有名なのは卵の卵黄で絵の具をといた卵テンペラで、卵の黄身は水性の溶媒の中に油の細かい粒子が分散しているんだけど、この油の粒子の中に親油性の顔料を入れて色を出すのだ。
壁画にはあんまり向かないもので、油彩の登場によって徐々に廃れていってしまうのだ。
美術館でよく修復しているのがこのテンペラがだけど、時間が経って劣化してくるとぼろぼろと絵の具が鱗状にはがれ落ちてくるんだよね。

で、20世紀になると、アクリル樹脂の乳濁液(エマルジョン)を媒剤とした絵の具が登場するんだけど、これがアクリル絵の具。
水彩ではぬりにくい紙粘土などにもぬれるのだ。
乾くのもわりと早くて、水彩と同じように重ねぬりしたり、ぼかしたりすることもできるんだ。
水彩絵の具は乾いた後もぬれるとまた絵の具が溶け出して絵がダメになっちゃうんだけど、アクリル絵の具はその点も大丈夫なのだ。
水彩のようにも油彩のようにも使えるというのが特徴みたい。

日本のお家芸のひとつの漆器も漆をぬっているんだけど、漆も乳濁液になっていて、テンペラやアクリル絵の具と同じような絵の具なのだ。
むかしは赤い漆と黒い漆くらいしかなかったけど、最近ではいろんな顔料を混ぜることができるようになって、彩漆なんていって、かなり多色にできるようになったみたい。
でも、伝統的には赤か黒の漆に金や銀などをはめ込むんだよね。
このときは絵の具としてだけでなく接着剤つぃても使っているのが特徴なのだ。
漆は天然の樹脂だから、アクリル絵の具と同じようななものと言えばそうなんだけど。

最後の油彩は文字どおり油にとくから油彩なんだけど、ここで使う油は乾性油という特殊なものなのだ。
これは酸化してくると硬質化(重合)する油で、絵の具ごと油がかたまってしまうというわけ。
でも、酸化して化学反応しないとかたまらないので、油彩の乾燥にはとても時間がかかるのだ。
ゴッホさんの絵のようにキャンバスから立体的にぬった後がわかるようになっているのが油彩の特徴だよ(あそこまで絵の具をぬりつける必要性は必ずしもないのだけど・・・。)
乾燥時間が長いので、その間に微妙に色を混ぜてみたり、途中で拭き取ったりする尾kとができるのが特徴で、仕上がりも少しぬれた感じの光沢のある仕上がりになるのだ。
でも、油がかたまるときに少し黄色くなるので、白い色をぬったつもりでもクリーム色になったりするんだよね。
これは普通の食用油が酸化してくると黄色くなるのと同じ現象なのだ。

2007/11/24

薬屋

米国で最大の薬局チェーンのCVS/PharmacyはDCにもたくさんあって、薬局とはいいながらドラッグストアに近くて日用品やお菓子、飲み物も置いているのでボクもよく買い物に行くのだ。
でも、ここは薬局だけあって調剤業務もやっているんだよね。
日本でもマツモトキヨシは調剤をやっているけど、米国のドラッグストアは基本的に調剤はしないので、やっぱり薬局(pharmacy)で、これがCVSの大きな特徴なのだ。
で、CVSって24時間営業のお店があるんだよね。
そういうお店はやっぱり調剤業務は時間を限定しているのかな?
そうでないと24時間薬剤師さんを勤務させないといけないよね。

一方、日本のドラッグストアには2種類あって、薬局と薬店に分かれるのだ。
薬局は薬事法という法律に定められているもので、薬剤師さんがいて医師・歯科医師からの処方せんに基づいて調剤を行うお店なのだ。
医療機関以外で調剤を行うのが薬局だよ。
なので、処方せんがないと買えない医療用薬品を扱っているんだよね。
保険が使える薬局の場合は更に保険薬局と呼ばれるのだ。

もうひとつの薬店は薬事法上は一般販売業というやつで、いわゆる大衆薬(OTC:Over the Counter)の一般用医薬品を売っているお店。
一般用医薬品は処方せんがなくても買えるかぜ薬やうがい薬、ぬり薬なんかだよ。
でも、薬事法の規定では、一般販売業の薬店であっても、医薬品の管理を行う薬剤師さんを置かないといけないとしているのだ。
なので、けっきょく薬剤師さんを配置しないといけないんだけど、都道府県知事の許可を得た場合はその薬剤師さんの兼業も認められたりするので、そういうので対応していたりするのだ(悪質なものは「名義貸し」と呼ばれるんだけどね。)。

米国では国民皆保険制度をとっていないこともあって医療費がもともと高いのでそんなに薬を出さないし、医薬分業も進んでいるので、基本的に病院では診察しかしないのだ。
で、街の薬局に行って医師の処方せんに基づいて薬をもらうんだけど、そのときにより安価な後発医薬品(ジェネリック医薬品)なんかを選択することもできるのだ。
後発医薬品というのは、薬の有効成分に関する特許がきれた後に同じ成分を使って安く大量に作られる医薬品のことで、むかしは「ゾロ新」なんて呼ばれていたんだよね。
製造法を工夫することでコストを抑えたりすることができるし、特許使用料も発生しないので安く提供できるのだ。
最近は日本でも使われることが多くなっているよ。

で、日本の場合は厚生労働省はむかしから医薬分業を提唱しているんだけど、これがなかなかうまくいかないんだよね。
問題のひとつは病院の収入の大きな割合を薬品が占めていることで、悪い言葉では「薬漬け」なんて言われたけど、何かあればすぐ検査して薬を出す、というようなことでもしないとなかなか病院経営は黒字にならないのも事実なのだ。
で、厚生労働省は医薬分業を進めるために保険点数の見直しなんかをしているんだけど、あんまり進まないんだよね(>_<)
もうひとつの原因は、調剤をする薬局には医薬品を常に常備しておく義務があって、基本的には調剤を断れないのだ。
で、実際に医薬分業が進むと、今度は薬局の方がいろんな医薬品を常に備えておかないといけないからつらいというわけ。
調剤業務による収入はあるけど、医薬品のデッドストックによる損失が大きくなるリスクがあるのだ。

でも、医薬分業のメリットはかかりつけの薬局を作れることなんだ。
病院で調剤してもらうと、別の病院にかかっているときにそこでどんな薬が出されているかの情報がわからないことが多いんだよね。
でも、医薬分業で薬は必ずかかりつけの薬局でもらうようにすると、その薬局で薬の情報が一元化されるのだ。
薬の中には一緒に飲むとまずいもの(飲み合わせの悪いもの)なんかがあるので、そこでそういう事故が防げるというわけ。
今でもお薬手帳なんかで服用している薬の情報をまとめる取組は行われているけど、気軽に相談できるかかりつけの薬局があればなおよい、というコンセプトなんだ。
ま、たしかに理想的ではあるんだけど、そのためにはまだまだハードルが高そうなのだ。

2007/11/23

七面鳥の日

今日、11月の第4木曜日の22日は感謝祭(Thanksgiving day)なのだ。
1620年にメイフラワー号で北米はマサチューセッツにやってきた清教徒のピルグリム・ファーザーたちは、その年の厳しい冬の気候に苦しんでいたんだけど、近隣に住んでいた先住民(ネイティブ・アメリカン)のワンバノアグ族に助けられて冬を越すことができたのだ。
それで翌年の収穫祭にワンバノアグ族も招待して一緒に祝った、というのがはじまりだとか。
もともと清教徒もワンバノアグ族も収穫祭の伝統を持っていたのでこの話はああしいとも言われるんだけど、米国やカナダでは大事な日なんだって。
はじめは収穫の喜びを協会で祈るような宗教色の強いものだったらしけど、今では宗教色はほとんどなく、家族・親族そろって食事会をするという習わしなのだ。
※ちなみに、11月23日は日本では勤労感謝の日だけど、もともとは皇室が秋の収穫を祝う新嘗祭で、やっぱり秋の収穫祭なんだよね。同じように今の日本の勤労感謝の日には天皇家との結びつきはほとんどなくなってしまっているよね。

その食事会のときに出てくるのが七面鳥の丸焼き。
北米大陸に入植したばかりの清教徒たちにとってはきっと七面鳥は貴重な肉で、ごちそうとして収穫祭の祝いに食べていたと思うのだ。
一説にはワンバノアグ族が収穫祭に持ってきてくれたという話もあるみたい。
丸焼き七面鳥には角切りにしたパンなどをスタッフィングとして詰め物にしてあって、グレイビー(肉汁を煮詰めて作るソース)やクランベリー・ソースをかけて食べるんだって。
でもでも、実はクリスマスにもほぼ同じようなメニューで、しかも、やっぱり家族・親族が集まって食事をする風習があるんだよね(笑)

七面鳥は北米大陸南部が原産のキジ科の鳥で、羽毛のない頭部の色がいろいろと変化することから七面鳥と呼ばれるんだって。
英語のターキー(turkey)は、トルコ経由で欧州に伝わったホロホロチョウとの混同が原因だとか。
ホロホロチョウとは全然いていないよね。
いい加減なものなのだ(>_<)
ニワトリよりも身に油分が少ないので、ヘルシーな肉としてよく食べられていて(日本でもターキー・ハムは最近よく見かけるよね。)、家禽化もされて飼育されているんだよね。
コロンブスさんが米大陸を「発見」してすぐ後の16世紀前半にはすでに英国やスペインに伝わっていたそうだよ。
ちなみに、英国ではクリスマスのごちそうで七面鳥を食べるんだよね(ディケンズさんの「クリスマス・キャロル」にも出てくるよ。)。
これが米国に輸入されてクリスマスにも七面鳥を食べるようになったのか、もとtもと米国の感謝祭の習慣が英国に持ち込まれたのかはよくわからないみたい。

米国の国鳥はハクトウワシ(bald eagle)だけど、「すべてのヤンキーの父」として全米で好かれているベンジャミン・フランクリンさんは最後まで七面鳥を国鳥とすべきと主張したんだって。
ハクトウワシは死んだ魚を捕ったり、他の鳥からエサを横取りするなど品行がよくないので、北米原産の七面鳥こそ生粋の米国人を象徴するのにふさわしい、と言っていたんだって。
でも、空軍のマークが七面鳥じゃちょっとかっこうつかないよね(笑)

2007/11/22

海の中をただよう

ボクはけっこうクラゲが好きなんだよね。
食べるクラゲも好きなんだけど(笑)、ふわふわと優雅に浮かんでいる姿がよいのだ。
何にも考えずにぷかぷかしながら流れに身を任せたいこともあるよね。

クラゲはイソギンチャクやヒドラと同じ刺胞動物の仲間で、イソギンチャクのように定点に固着せず、浮遊生活をするものの総称のようなのだ。
なので、分類学上はいろんな種類がまとめてクラゲと呼ばれていて、クラゲという分類があるわけじゃないみたい。
たしかに食べるエチゼンクラゲと時に致命的になる毒を持っていることで有名なカツオノエボシではけっこう形が異なるよね。
昭和天皇が相模湾で採取したことで有名なコトクラゲ(むかしは江ノ島水族館に展示されていたけど、新江ノ島水族館にもあるのかな?)は、有櫛動物(クシクラゲ)という別の種類の動物みたい。
似たような形状で浮遊生活をしているんだけど、刺胞動物の最大の特徴である刺胞を持っていないなど大きく生態が異なるようなのだ。

刺胞というのは読んで字のごとく「刺す細胞」のことで、クラゲやイソギンチャクの触手にあるんだよね。
普段は細胞の中に毒を流し込む針が埋め込まれているんだけど、外からの刺激があるとバネのように伸びて刺すのだ。
これがなかなかよくできた構造で、触れた途端に自動的に針が飛び出して刺す仕掛けになっているんだよね。
これがお盆を過ぎた海水浴場でよく見られる、クラゲに刺された水ぶくれの原因となるのだ。
針のついた触手をはずすときはそのままさわるとまた刺されるので、タオルなどで取り除くことが重要なんだって。
また、洗うときは真水で洗うとさらに毒針が発射されるので(たぶん浸透圧の関係だよ。)、塩水や食用の酢で洗わないとダメらしいよ。

クラゲの一生はなかなかおもしろくて、ずっと浮遊をしているわけではないのだ。
クラゲにはオスとメスがあって、卵を産むんだよね。
卵からかえった幼生(プラヌラ)はイソギンチャクのように岩などに定着してポリプと呼ばれる状態になるのだ。
そこで大きくなるんだけど、このときポリプはくびれていってお椀を重ねたようなストラビラという状態になるんだけど、そのお椀のひとつひとつがはがれて、エフィラというものになって浮遊を始めるんだよね。
なので、ポリプの状態では無性生殖でも増えるのだ。
このエフィラがやがていわゆるクラゲになるというわけ。
種類によって違いはあるらしいけど、だいたいこういうサイクルをたどるようなのだ。

クラゲはぷかぷか浮かんでいるだけのイメージだけど、かさの部分を動かす筋肉があって、それによって自発的に動くことも可能みたい。
でも、基本的には方向転換をするときくらいしか動かさないで、流れに任せて浮かんでいるようなんだけど(笑)
なので、クラゲを飼育するときは注意が必要で、常に下から上に水流があるようにしてあげないといけないのだ。
底の方に沈んでくると自分で浮かび上がることもできるんだけど、あまりそれをさせると衰弱して死んでしまうので、ただよっているだけで沈まないように適度な水流を与えて上げるのが重要なわけ。
市販のクラゲ飼育セットでは必ずそういう仕掛けになっているよ。

日本と中国ではエチゼンクラゲやビゼンクラゲなんかを細切りにしてから乾燥させて、塩漬けにしたものを食材にしているのだ。
水でもどし手塩を抜いて食べるわけだけど、こりこりしていてなかなかおいしいよね。
ボクはあの独特の食感がなかなか好きなのだ。
日本では和え物や酢の物、松前漬けくらいでしか見ないけど、中国ではもっといろんな料理に使うみたい。
するめなんかも重曹を入れた水でもどして使うんだって(アルカリ性の水でもどすと生イカ並にやわらかくもどるそうなのだ。)。
きっと内陸部で海産物を食べるための知恵としてこういう乾物の食べ方が発達したんだろうね。
乾物にする海産物の種類も乾物を使う料理も多いし、どこでもたいてい海が近い日本とはやっぱり文化が違うのだ。

クラゲは食べるだけじゃなく、最先端の分子生物学でも活躍しているんだよ。
オワンクラゲというクラゲからとられた蛍光性タンパク質のGFP(Grenn Fluorescence Protein)は緑色の蛍光を出すタンパク質で、分子生物学のマーカーとしてよく使われるのだ。
一時期蛍光で光るネズミが話題になったけど、それはこのGFPを遺伝子導入したネズミなんだよ。
細胞を使った実験などでもよく使われているみたい。
ただただよっているだけじゃなくて、そういうところでは活躍しているんだね(笑)

2007/11/21

東と書いてあづま

「東」という字は「あずま(あづま)」とも読むよね。
北や南、西にはそんな読み方はなくて、東だけが特別なのだ。
この読み方は、ヤマトタケルノミコト(日本武尊)の伝説に由来しているんだよね。

ヤマトタケルノミコトの東征の折、走水(今の浦賀水道のあたりで、東京湾をはさんだ千葉と神奈川の間の水域なのだ。)でミコトが軽はずみな言動をしてしまったために海神の怒りを買い、海が荒れてわたれなくなってしまうのだ。
そのとき、后のオトタチバナヒメ(弟橘媛)が海に身を投げて人身御供となり、海神お怒りを鎮めて無事にわたれるようになるんだよね。
でも、そのせいで后を失ってしまったミコトは嘆き悲しみ、「吾妻(あづま)はや」(我が妻よ、という意味だよ。)と嘆息するのだ。
それ以来、この東国地方のことを「あづま」と呼ぶようになった、と言われているんだ。

オトタチバナヒメの遺品(櫛や着物、橋など)が流れ着いた場所では人々がその悲話をおもんぱかって、塚を築いたりしたんだよね。
それが墨田区なんかにある吾妻神社(又は吾嬬神社)なのだ。
墨田区の吾嬬神社には連理の木があるんだけど、連理というのは2本の樹木の枝が融合したもので、ミコトとヒメの愛情の深さを表しているなんていうんだよね。

で、実はこの話は伊勢物語の「東下り」にも影響を与えていて、この話の中では主人公(在原業平さんといわれているよね。)は、遠く離れた旅先の東国で都に残してきた妻のことを想っていたりするのだ。
第九段の東下りは特に多くの和歌が含まれているんだけど、そのうち、有名な「かきつばた」の歌は、

 唐衣 着つつなれにし 妻しあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思う

という旅先で妻のことを思っている歌だし、その後に出てくる、

 駿河なる 宇津の山辺の うつつにも 夢にも人に あはぬなりけり

というのが出てくるけど、これは現実にも夢にも好きな人=妻に会えなくなったことを嘆いているものと言われるのだ。
※むかしの日本では相手が自分のことを想ってくれていると夢にその人を見る、と信じられていて、旅の途中に相手の気持ちが離れてしまったのかもしれない、という悲しい気持ちを詠んだものなんだよ。
さらに、最後の

 名にし負はば いざ言問はむ 都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと

は、都に残してきた妻はどうしているのだろう、と思いをはせている歌なんだよね。
ちなみに、隅田川にかかる言問橋はこの歌から名前をとっていて、歌に出てくる都鳥はユリカモメのことだといわれているよ。
墨田区役所の近くには吾妻橋もあるけど、これは江戸の東だからとか、吾嬬神社へつながる道にあるからとか言われているんだけど、漢字が「わがつま」になっているのはやっぱり伝説と関係があるようなのだ。

というわけで、おそらく「伊勢物語の作者は、東下りの「東」がヤマトタケルノミコトが妻の死を嘆いたことに由来するという伝説を踏まえて、「わがつま」と「あづま」をかけて主人公にこういう歌を詠ませているんだよね。
なかなかよくできたものなのだ。
こういうのも含めて古文の授業で教えてくれるともっと興味が出ると思うんだけどな。

2007/11/20

寝る子は育つ(=_=)zzZ

寒くなってくると朝起きるのがつらいよね。
古代中国では「春眠暁を覚えず」と言ったけど、ボクはやっぱり寒い朝の方がつらいのだ。
でもでも、あたたかい建物の中にいると、お昼を食べておなかが満足したとたんにまた眠くなるのだ。
で、けっきょくずっと眠いんだよね(笑)

仕事中に眠くなってしまったときは、無理に眠気と戦うよりも、15~30分くらい軽く仮眠するといいと言われているよね。
昼寝のススメなのだ。
でも、本格的に昼寝をしてしまうと、生活のリズムが狂ってしまって夜に眠れなくなるし、本格的に眠ると頭がすっきりするどころか寝ぼけてしまうみたい。
少しだけ頭を休ませるっていうのがポイントのようだよ。
そんなこと言っても15~30分だけ寝るっていう方が難しいような・・・。

日本では昼寝はさぼっているように思われがちだけど、スペインなんかでは「シエスタ」として習慣になっているんだよね。
もはや社会が認めているものなのだ。
これはラテン語の「第六時」という意味のHora SextaのSextaの部分が語源で、日の出からちょうど6時間後のお昼ぐらいを指すものだそうなのだ。
スペインでは午後1時から4時くらいまでの3時間がシエスタで、もともとはこの間に昼寝(午睡)することなんだけど、今ではその休憩時間自体も指すようになっているのだ。

で、なんでこんな習慣があるかというと、スペインの気候に原因があるみたい。
スペインはけっこう高緯度地域だけど夏の気温は高くて、日差しも強いので炎天下での作業はつらいらしいのだ。
地中海沿岸地域は似たような寄港らしいけど、こういう地域には昼寝する習慣がもともとあるみたい。
日本でも炎天下での作業はつらいので、農家の人は夏の間は早朝から野良仕事をして、もっとも暑い昼間は昼寝しながら長めの休憩、そして夕方また少し働く、ということをしていたのだ。
そういうのともとは同じみたい。

さらに、スペインの伝統的な石造りの家では、夜に窓を開けっ放しにしていても熱がこもってしまうので、どうしても夏は熱帯夜になるんだって。
それが日が昇ってから窓を閉め切っておくと、熱放射で徐々に室温が下がっていって、昼間の時間が一番涼しくなるんだって。
なので、昼間の寝やすい時間に昼寝して、熱帯夜による不眠を緩和する役割もあるようなのだ。
お酒の好きな人はシエスタでたっぷり昼寝した後に深夜から早朝まで飲み歩いて、仕事の始まる時間まで少し仮眠して出勤する、なんてこともあるみたい。
そう言われると、さぼっているだけじゃなくて、気候と風土に根ざした、理にかなった習慣なんだねぇ(笑)

このシエスタの習慣は食習慣にも大きく影響していて、昼間にたっぷり休憩時間があるので、かなりゆっくり目にお昼ごはんを食べるんだよね。
スープにメインディッシュにデザートまで食べるのが普通なようなので。
で、シエスタしている分だけ就業時間は遅くなるので、夕食は遅くて夜の9時くらいから食べるみたい。
どのみち熱帯夜なのでここでもゆっくり食べるそうだよ。
朝は熱帯夜で苦しんでいた後なので、クッキーなどで軽く糖分を補給しながら濃いめのコーホーを飲んで眠気を覚ます、というのが普通なんだって。
日本では朝食はしっかり、昼食はそこそこ、夕食は軽めがいい、なんて言うけど、それとは正反対なのだ。

日本では帰航が違うのでさすがにシエスタは無理だけど、たまにゆっくり目に昼食をとったりすると精神的にはかなりの満足感が得られるよね。
それと頭がすっきりしないときの軽い仮眠を加えれば、頭も心もすっきりしてより快適に働けるようになるのかも。
新橋ではちょっと昼寝のできるスペースがサラリーマンでにぎわっている、なんて報道もあったけど、仕事場にそういうちょっとくつろげる仮眠スペースがあると能率が上がるのかもね。

2007/11/19

クジラの脂

日本でクジラの脂というと、真っ先に思い浮かぶのはクジラのベーコンだよね(笑)
クジラのベーコンは下あごから腹にかけての畝須(うねす)と呼ばれる部分や、皮の下の皮須(かわす)と呼ばれる部分を塩水につけ、その後に燻製にしたものなのだ。
今では効果になっているけど、むかしは歌肉のベーコンよりはるかに安かったので、庶民の大事な食材だったのだ。

一方、米国でクジラの脂といえばやっぱり鯨油。
黒船が江戸時代に日本にやって来たのも、捕鯨船の給油地点を確保することが目的のひとつだったんだよね。
鯨油は脂皮(クジラ類に特有の皮の下の厚い脂肪層のことだよ。)や骨から搾り取った油脂で、ランプなどの明かりの燃料にしたり、せっけんやグリセリンの原料にしたりして使ったのだ。
その後には食用油や化粧品にも使われるようになったんだって。
石油も19世紀には使われていたけど、まだまだメジャーではなくて、暖炉や窯に使うのは石炭や薪、ランプには鯨油を多く使っていたのだ。
こうして捕鯨が盛んになって、乱獲された結果、捕鯨規制につながるんだよね。

鯨油はシロナガスクジラなどのヒゲクジラとマッコウクジラなどのハクジラではちょっと種類が違うようで、もにヒゲクジラをとっていたみたい。
世界最大のほ乳類でもあるシロナガスクジラはあまりにも大きかったので長い捕鯨の歴史の中でずっと捕鯨の対象にはならなかったんだけど、技術が発展して大型の捕鯨船ができるようになると捕鯨の対象になり、鯨油が最も多くとれるという理由で乱獲されてしまうのだ。
それで現在はかなり数が減少してしまったんだよね。

ノルウェー、アイスランド、日本、アラスカやカナダのイヌイット(エスキモー)なんかはむかしから捕鯨をしているんだけど、それは主な目的は食用なので、乱獲することはなかったのだ。
しかも、他の文化は大きく違うけど、こうした伝統的な捕鯨国はクジラを捕ると隅から隅まで使うんだよね。
※日本は江戸時代に大きな船を造ることを幕府が禁じたので、近海で小型のクジラを捕獲するか、死んで海岸に流れ着いたクジラを食べていたのだ。
日本ではクジラは捨てるところがない、と言うけど、これは他の国でも同じなのだ。
なので、国際捕鯨委員会(IWC)なんかではこの点でよく対立があるんだよね。
鯨油のためだけにクジラを乱獲して絶滅の危機に追い込んだ欧米諸国がクジラを保護しなくちゃいけないって手のひらを返したように言い始め、これまでクジラを大事な資源として扱ってきた国に制限をかけようとするんだからもめて当たり前なのかもしれないけど。

何はともあれ、クジラを人間の都合で絶滅させるのはよくないけど、資源として適切に考えて、有効活用することは大事だと思うのだ。
日本のクジラ料理は伝統・文化として残していきたいし、何より、世界にほこる伝統芸能の文楽人形はクジラのヒゲがないと動かせないのだ!
クジラだけを保護してもかえって生態系に悪影響を与える可能性もあるから、中長期的にしっかりと調査研究をして、今後クジラをどう扱うべきかを考えていくことが大事なんだろうね。
こういうときは感情論は捨てて、冷静に考えるべきと思うのだ。
ども捕鯨問題は別の観点が大きく影響しているように見えて仕方がないんだよね・・・。

2007/11/18

酸味のきいた発酵食品

ボクは発酵食品が好きなんだよね。
ヨーグルトは毎朝食べているし、日本にいるときはよく漬け物も食べていたのだ。
で、これらは実は乳酸発酵している食品なのだ。
納豆とは納豆菌による発酵で、みそやしょうゆは麹と酵母による発酵で主にタンパク質をアミノ酸に分解するんだけど、乳酸発酵は糖を参加して乳酸にして、酸味を出すものなのだ。

乳酸発酵の代表的なものは、ヨーグルトなどの乳製品、糠漬け、韓国のキムチ、ドイツのザワークラウトなどの植物性発酵食品、鮒寿司などのなれ鮨も乳酸発酵なのだ。
実は、乳酸発酵すると乳酸のおかげでpHが酸性に傾くので、雑菌が繁殖しにくくなって保存性が高まるんだって。
それでむかしから乳酸発酵で食品を保存してきていて、それがこれらの発酵食品なのだ。
主に乳酸による酸味が加わるんだけど、そのほかにも香りの変化もあるそうだよ。
たしかに鮒寿司なんかはものすごくくさいよね(>_<)

で、その乳酸発酵を起こしているのが乳酸菌。
生物学的には乳酸菌という区別はなくて、乳酸発酵させる菌の総称がそう呼ばれているだとか。
糖を分解して乳酸を作るバクテリアのうち、悪臭の原因となる腐敗物質を作らないものがいわゆる乳酸菌と呼ばれるらしいよ。
ヨーグルトと糠漬けはどちらも乳酸発酵だけど、発酵の主体のバクテリアはまったく違うものなのだ。
日本にはあまりヨーグルトを作るのに適したバクテリアはいないと言われているんだよね。

乳酸菌は乳酸発酵では大事な菌なんだけど、他の発酵食品にとっては邪魔者であったりもするのだ。
特にお酒を造る過程では乳酸菌は一番の天敵で、乳酸菌が混ざると変な酸味が加わったり、いやなにおいがついたりするんだって。
日本酒を造る杜氏さんたちは納豆やヨーグルトなどの発酵食品を食べることが禁じられているけど、それは納豆菌や乳酸菌が混ざること(コンタミネーションすること)を避けるためなんだ。
ワインの醸造過程でも同じように乳酸菌は嫌われるみたいだから、きっとワインの醸造に携わる人もヨーグルトを控えていたりするはずなのだ。

ビオフェルミンなんていう乳酸菌錠剤もあるけど、乳酸菌は普段から人の腸管の中にいる菌でもあって、整腸作用があると言われているのだ。
でも、これは何かポジティブな作用をしているわけじゃなくて、人にとって有害でない乳酸菌が増えることで、病原菌などの有害な菌の繁殖が抑制されている、ということが大事なのだ。
腸内のバクテリアのバランスが保たれていると、外から病原性のバクテリアが多少入ってきてもその増殖を抑えるから、病原菌は増えることができないのだ。
食中毒の場合はよく下痢を起こすけど、乳酸菌が普段からしっかりと繁殖していて食中毒菌が増えるのを抑えれば下痢はしにくいということなのだ。
それで善玉菌なんて呼ばれるんだけど、本当は悪玉菌じゃないだけなんだよね(笑)
とは言え、これも重要な働きなので、発酵食品をよく食べて、腸内のバクテリアのバランスを適切に保つことは大事なことなのだ。

2007/11/17

日の長短

冬が近づいてきてすっかり日が短くなったのだ。
朝明るくなるのも遅いし、夕方は早く暗くなってしまうのだ。
ま、これは四季がある証拠で、花や紅葉、雪景色なんかが楽しめるのもこのおかげなんだけど。
この日(昼)の長さが季節によって変わるのは地球の地軸がかたむいているからなんだよね。

地球の地軸(自転軸)は23.4度かたむいていて、そのせいで、地球の青銅面は太陽のまわりを回る公転面と同じ角度だけかたむいているのだ。
すると、太陽と地球の位置関係で光の当たり方が変わってくるんだよね。

       φ 秋


 夏 φ   ○   φ 冬
       太陽


     春 φ


上の図で見るとわかりやすいんだけど、北半球の季節を考えた場合、地軸が太陽の方に向かってかたむいているときは、くるっと地球が回ると赤道より北を太陽が通るんだよね。
逆の場合は赤道より南を通るのだ。
これが北回帰線と南回帰線なんだけど、赤道より北を通るときは北半球ではより長い時間太陽の光が当たるのだ。

北極の近くなんかはずっと太陽の光が当たり続けるし、南極の近くは光が一日中当たらないのだ。
これが白夜と極夜というやつで、緯度が66.6度以上の極圏で見られる現象なんだよね。
北極や南極では1日中昼間だったり、夜だったりすることもあるんだけど、春と秋はずっと地平線近くに太陽がいて、そのまま沈むこともなく、昇ることもなく回るのでずっと夕方のような状況が続くのだ。
なんだか不思議だよね。
でも、赤道上では常に光の当たり方が同じなので、昼と夜は常に同じ時間なんだよね。
なので赤道近くの熱帯地方では四季がないのだ。

昼間の時間が変わると、それだけ太陽から受ける熱エネルギーの量も違うし、何より太陽の光の差す角度も変わるので、気温の上がり方に影響が出てくるのだ。
夏の間は太陽の高度も高くてより光路が短く、かつ、長い間光が当たるので、より温まりやすいんだよね。
なので暑くなるのだ。
冬はその逆。
この傾向は緯度が高い方が強くなるので、四季の変化が大きくなるんだけど、あまり極圏に近くなるとずっと寒いので、夏と冬で温度差が20度あっても、0度と零下20度だったりするから、もはや季節の移り変わりと呼べるようなものではなくなるのだ(笑)
グリーンランドとかアラスカの北の方がそうだよね。

温帯や亜寒帯、冷帯くらいだと四季が楽しめるんだけど、亜寒帯・冷帯だと夏は少しだけ暖かくて、あとはずっと寒い、という感じで、やっぱり温帯がもっとも季節の変化が楽しめる地域なのだ。
そういう意味で、日本はとても恵まれた位置にあるんだよね。
緯度が30度から40度くらいというのはベストなポジションだからね。
せっかくそうやってよい位置にいるのだから、四季の移り変わりに思いをはせて、楽しみたいよね♪

2007/11/16

野菜の煮たの

寒くなってくると野菜たっぷりの熱々スープがおいしいよね。
ボクはもともと野菜が好きなので、この時期は具だくさんの野菜スープをけっこうよく作って食べるのだ。
自分では勝手にポトフとかラタトゥイユと呼んでいるんだけど、どうも本物とはかなり違うみたい。
ボクの作っているのはわりと短時間で好きな野菜を煮るだけの、野菜のごった煮に近いのかも(笑)

ラタトゥイユもポトフもともにフランスの料理で、野菜がたっぷり入ったスープ料理なのだ。
どちらもレストラン出てベルというよりはもっと庶民的な郷土料理・家庭料理といった感じのもので、日本で言うと煮物にあたるのかも。
フランス以外でもドイツやイタリアにも似たような料理があるみたいだから、ひょっとすると、ローマ時代とかそれより前から同じような野菜のスープ料理が食べられていたのかもね。

ラタトゥイユは南仏プロバンス地方の料理で、ナス、ズッキーニ、ピーマンなどの野菜を香草と一緒にオリーブオイルで炒めて、トマトを加えてワインで似たものなんだって。
基本的には野菜のみで作るみたい。
そのままスープとしてパンとともに食べることもあるけど、パスタのソースにすることもあるんだよね。
野菜がたっぷりでヘルシーなので最近はよくパスタソースでもラタトゥイユ風は見かけるのだ。
ちなみに、ラタトゥイユというのは「かき混ぜたごった煮」といったような意味らしいよ。

一方、ポトフはフランスの伝統的な家庭料理で、牛肉や鶏肉、ソーセージなどの肉類とニンジン、玉ねぎ、カブ、セロリなどの野菜を時間をかけてたっぷりに混んだものなのだ。
野菜だけじゃなくて肉類が入っている時点でラタトゥイユとは大違いなんだけど、味付けも香辛料や塩・こしょうのみのあっさりしたものが基本で、トマトは入らないのだ。
トマトは新大陸野菜なので、ポトフの方が古くからあるということだよね。
しかも、野菜はまるのまま煮て、食べる前に食べやすい大きさに切って盛りつけるそうだよ。
その肉や野菜にマスタードなんかを添えながら食べるそうなのだ。
で、スープ、肉、野菜はそれぞれ別に盛りつけるので、現在のフランス料理の基本とも言われるものなんだって。
ひとつの鍋で作ってスープと肉料理と野菜料理の三つに分かれるのだ!

日本のポトフにはよくじゃがいもが入っているけど、これはドイツにある煮た料理のアイントプフの影響かも。
ドイツは土地がやせていて小麦がそんなに多く作れないのでよくじゃがいもを食べるんだけど、このアイントプフはドイツソーセージにじゃがいも、ニンジン、玉ねぎのまさしく日本でよく見かけるポトフの具を入れたスープ料理なのだ。
日本のものはむしろこっちのドイツのアイントプフが入ってきたものじゃないのかな?

ボクはトマト味が好きなので、じゃがいも、ニンジン、玉ねぎ、キャベツをベーコン又はソーセージと一緒にトマト・スープで煮たものをよく作るのだ。
30分くらいしか煮なくてもけっこうおいしいんだよね。
トマトはホールトマト缶を使って、さらに、煮るときに100%野菜ジュースを使うと手軽で簡単にコクのあるスープができるのだ。

2007/11/15

ただのカラシじゃないよ

米国に来てから調味料としてチリパウダーを買ったんだけど、なんか日本のものと違うんだよね。
あまり辛みもないし、においも独特なのだ。
で、なんでかなぁ?、と思っていたら、衝撃の事実が!

米国のチリパウダーは赤唐辛子の粉にオレガノ、ディル、ガーリック、クミンなどの香辛料を加えた混合香辛料で、手軽にテクス・メックス(メキシコ風アメリカ料理)を作るために発明されたものなんだって。
英国が手軽にカレーを作るためにカレー粉を作ったようなものなんだそうだよ。
インドにカレー粉がないように、メキシコにはこういうあらかじめ混ぜられた香辛料はないんだって。
なので、このチリパウダーという調味料はメキシコ風の味付けにしたいときに使うものなのだ。

で、なんでそういう誤解が生じたかというと、唐辛子の粉はchile powderで、混合香辛料はchili powderと、つづりは違うんだけど、発音はまったく同じなのだ。
日本でピザなんかについてくるチリパウダーはまさに赤唐辛子の粉で、一味唐辛子のようなものなんだよね。
それで勘違いしていたのだ。
米国のチリパウダーは混合香辛料なので、見た目の赤い色よりはたいして辛くないのだ。
しかも、他の香辛料の香りで辛さだけでなく、風味も付け加えてしまうというわけ。
料理に使っていてどうもおかしいなぁ、と思っていたんだけど、やっと謎が解けたよ。

すると、米国のチリパウダーは七味唐辛子のようなものなんだよね。
辛みと風味を加える混合香辛料という点で同じなのだ。
七味唐辛子は唐辛子の粉である一味唐辛子に、ごま、芥子(ケシの実)、陳皮(ミカンの皮を乾燥させたもの)、山椒、麻の実、紫蘇、海苔、青海苔、生姜、菜種なんかを混ぜたもの。
一般には7種類混ぜるけど、別に必ず7種類じゃなくちゃいけないわけじゃなくて、七味の「7」は数が多いことの意味なのだ。
縁日なんかに出ている七味唐辛子屋さんでは、好きなブレンドで混ぜられるよね。
混ぜ方によって辛みや風味が変わってくるので、自分の好みのものが作れるのだ。
ボクは陳皮の代わりにゆずの皮を使ったゆず風味のやつが好みなんだよね。

それにしても、洋の東西を問わず、辛みだけじゃなくて風味付けもかねて唐辛子とほかの香辛料をあらかじめ混ぜたものが素材しているというのはなかなかおもしろいのだ。
日本の七味はあくまでも薬味だけど、米国のチリパウダーは料理全体の味を決めるような感じで使うところが少し違うけどね。

2007/11/14

ぬかに野菜

米国でもけっこう日本の食材は売っているので、あんまり食べられないものはないんだけど、やっぱりそれでも食べられないものはあるのだ。
その代表選手は漬け物。
日本食レストランなんかに行くとあまりおいしくないものはあるけど、おいしい漬け物には出会えないよね。
漬け物の中でも持ち運びのしにくいぬか漬けは特にそうなのだ。

ぬか漬けは米ぬかを乳酸発酵させて、その中に塩でもんだ野菜を漬けたもののことなのだ。
米ぬかは玄米を精米した後に残る部分で、実はビタミンBやタンパク質など栄養に富んでいるんだよね。
江戸時代には庶民も白米を食べるようになったんだけど、そのせいでビタミンB不足になる人が続出して、「かっけ」がはやったのだ。
時代劇の大岡越前なんかには小石川養生所の活躍のエピソードとして出てくるけど、ぬか漬けを食べることでビタミンBを補給して防いだんだよね。
でも、当時はかっけの原因はわかっていなくて、日露戦争のころでも感染症だと思われていたから、たまたま経験的にぬか漬けを食べるとかっけになりにくい、ということが知られていただけなのだ。
(陸軍の軍医だった森鴎外こと森林太郎さんは「かっけ感染症説」を唱えていて多くの兵士を犠牲にしたと言われているのだ。当時海軍では生野菜を食べると経験的にかっけが防げると知られていて、それを提唱したんだけど、感染症だと信じて疑わなかった陸軍には受け入れられなかったんだって・・・。これは疫学では有名なエピソードなんだよね。)

ぬか漬けは乳酸発酵させているわけだけど、実はぬかの中では酵母と乳酸菌が増殖して、酵母がアミノ酸類を作り出してうま味を、乳酸菌が乳酸を作って酸味を与えているのだ。
酵母は好気性で、増殖するのに酸素が必要なんだけど、乳酸菌は嫌気性で酸素があると増殖しにくいのだ。
で、酵母と乳酸菌の適度なバランスを保つため、ぬか床は毎日かき混ぜて全体が空気と触れるようにするというわけ。
もともと酵母は乳酸菌より増えづらいので、毎日かき混ぜて空気に触れさせるくらいでちょうどよいバランスが保てるのだ。

ちなみに、圧倒的に酵母と乳酸菌の数が多いので清潔にしている限りは白カビや腐敗菌はあんまりはえてこないんだけど、放っておくとそういうのも出てくるので、毎日のお手入れが重要なのだ。
腐敗菌は乳酸菌と同じ嫌気性だけど、乳酸菌より酸素に弱いので酸素に触れさせるとほぼ増殖しないんだよね。
白カビは酵母よりははえづらいので、酵母が気持ちよく増殖している間は増殖できないのだ。
こういうメカニズムでぬか漬けが保たれるというわけ。
なかなかよくできたものだよ。

腐敗してしまった場合はお手上げだけど、少しカビがはえたくらいならまだリカバリー可能なのだ。
表面にカビがはえただけの状態の場合は、そのカビの部分をすくって捨てて、塩と唐辛子をきつめにきかせると回復させることができるんだよね。
これはむかしからの知恵なのだ。
カビは徐々に菌糸を伸ばしていって中の方まで浸食していくけど、はじめのうちは表面に広がるだけなので、そこさえのぞけば大丈夫というわけ。
塩や唐辛子をきかせるのは少しでも残ったカビが増えづらいようにするためだよ。
(乳酸菌の方がそういう過酷な環境には強いのだ。)

ぬか床の手入れとしてはきちんとかき混ぜて中まで空気を混ぜ込むことが第一なんだけど、野菜を漬け続けると水が出てくるんだよね。
これは塩をきかせているので野菜から浸透圧で水分がしみ出てくるためで、ぬか床は基本的に冷暗所に保管するのであんまり水分は蒸発していかないのだ。
で、水分が多くなってくるとぬかがゆるくなってくるんだよね。
こういうときはぬかにくぼみを作ってそこに水気をためて後で捨てたり、入りぬかと塩を加えて水分を吸わせたりするのだ。
ぬかも少しずつ減っていくから、適度にぬかを足し続けると水分は気にしなくてもいいんだよね。

米ぬかはぬか漬けだけじゃなく、むかしはいろんなところで活躍していたんだよね。
油分を多く含んでいるので米ぬか油がとられたり、たけのこなんかのあく抜きにも使われるのだ。
さらに、込めぬカン含まれるγグロブリンというタンパク質は界面活性作用を持っているので、合成洗剤が登場する前は食器洗いの洗剤にも使用されたんだよ。
今でも日本家屋の板敷きの手入れでは、油分と弱い界面活性作用がちょうどよいので米ぬかを袋に入れたぬか袋が使われるのだ。
ぬかもなかなかあなどれないんだよね(笑)

2007/11/13

祝日

昨日は米国では「退役軍人の日(Veterans Day)」という祝日だったんだけど、こっちには振り替え休日という制度がないので、日曜日に祝日が当たっても月曜日はそのまま平日なのだ。
貴重な休日を1日損した気分になるけど、部一区は比較的自由に休みが取れる風土だから関係ないのかな?
もともと復活祭(イースター)なんかは、「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」と定められていて、毎年日付が違うけど、必ず日曜日というおかしな日なのだ。
年中無休を歌っているお店なんかもクリスマスとイースターだけは休む場合があるから、意味のない休日でもないようだけど・・・。

日本の祝日は「国民の祝日に関する法律」という法律で定められていて、新しい休日が指定されるたびに改正されるのだ。
最近では「みどりの日」が5月4日に移って、4月29日が「昭和の日」に変わったりしたよね。
ハッピー餡デー制度の適用で成人の日や体育の日、敬老の日、海の日なんかも日付が変わるようになったのだ。
体育の日はもともと東京オリンピックの開会日だから(もともと「晴れの特異日」としてこの日が選ばれたんだよね。)、日付をずらすと意味がなくなるような気もするんだけど(>_<)
今では法律により以下のように定められているんだよ。














































元旦1月1日年のはじめを祝う
成人の日1月の第二月曜おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます
建国記念の日政令で定める日建国をしのび、国を愛する心を養う
春分の日春分日自然をたたえ、生物をいつくしむ
昭和の日4月29日激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす
憲法記念日5月3日日本国憲法 の施行を記念し、国の成長を期する
みどりの日5月4日自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ
こどもの日5月5日こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する
海の日7月の第三月曜海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う
敬老の日9月の第三月曜多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う
秋分の日秋分日祖先をうやまい、なくなつた人々をしのぶ
体育の日10月の第二月曜スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう
文化の日11月3日自由と平和を愛し、文化をすすめる
勤労感謝の日11月23日勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう
天皇誕生日12月23日天皇の誕生日を祝う


建国記念日は「政令で定める日」と規定されていて、政令により2月3日なっているんだ。
これはもともと「紀元節(神武天皇の即位の日を祝う戦前の祝日)」の復活だ!、という反対意見があったことと関係しているんじゃないかな?
春分の日と秋分の日は太陽と地球の位置関係によって変わるので、国立天文台が前年の2月に官報に発表している「暦象年表」に基づいて毎年閣議決定しているんだって。
このほか、即位の礼や大喪の礼、皇太子殿下の御結婚の儀などの皇室の重大な行事があるときは、そのときに限って休日にするために特別の法律を作るそうだよ。

各祝日には法律上それぞれ意味があるんだけど、これを見ていくのもおもしろいのだ。
体育の日はやっぱりオリンピックを意識しているし、秋分の日は完全にお彼岸を念頭に置いているよね。
春分の日とみどりの日はもはや区別がつかない感じというのもすごいのだ。
こどもの日は「母に感謝する」が主目的だったりするんだよ。
問題の建国記念の日はやっぱり「国を愛する心を養う」なんだよね。

振り替え休日に関する規定は第三条第2項で、

「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。

と定められているのだ。
なんで「月曜日」と定めないかというと、5月の連休で5月3日の憲法記念日が日曜日になった場合に対応できないからなのだ。
上のような定め方だと、直近の休日でない日は5月7日の水曜日になって、その日が振り替え休日となるのだ。
今は該当がないけど、5月4日をはじめて休みにするときに使った第三条第3項の規定では、国民の祝日にはさまれた日も休みにするとあるのだ。

で、実は日本の祝日は1年で15日もあって、先進国では最多なんだって!
ワーカホリックと言われることの多い日本だけど、制度上は休みが多いことになっているのだ。
でも、日本の食環境では多くの場合休みが取りづらいから、祝日が多少多くても実際に休んでいる日数ははるかにすく何だろうけど(>_<)
この法律を所管しているのは内閣府本府なんだけど、これはやっぱり労働環境を所管している厚生労働省の問題なんだろうね。

2007/11/12

つくねとつみれ

寒くなってくると鍋物がおいしいよね。
そんな鍋物で活躍するのがつくねとつみれ。
鶏肉で作ると「つくね」で、魚で作ると「つみれ」と呼ぶのが一般的みたい。
どちらもすり身にしてから卵や小麦粉、山芋などをつなぎに使うのだ。

つくねやつみれがかたまる理由は、鶏肉や魚肉の中のタンパク質が熱で変性してかたまるからだよ。
タンパク質が熱によって三次元構造を変えて、それが骨組みになってゲルができるのだ。
でも、そのままだとかためる力が弱いので、つなぎを入れるというわけ。
つなぎに使われる卵はタンパク質、小麦粉はデンプン、山芋は多糖類がそれぞれゲル化作用を持っているんだよね。
でも、あんまりつなぎを入れすぎるとかたくなってしまって、ふわふわ感を楽しむには入れすぎない方がよいのだ。

はんぺんやかまぼこ、ちくわなどの練り物製品がかたまるのも同じ原理だよ。
ハンバーグは役とぼろぼろにならずにむしろひとまとまりになるのもこれと同じなのだ。
もともと肉でも魚でもコラーゲンがかたまって「煮こごり」ができることがあるけど、そういう成分がのりの役目をして全体をかためるというわけなのだ。

つくねは「つくねる」という動詞から来た言葉で、これは「こねてかためる」という意味なんだって。
感じは「捏造(ねつぞう)」の「捏」で、「捏ねる」と書くらしいのだ。
一方、つみれは「摘み入れ」が短縮されたもので、お湯や汁の中につまんで入れるからつみれと呼ばれるようになったそうだよ。
いわしのつみれなんかは骨ごと食べられるし、ちゃんと作ると生臭くもなくておいしいんだよね。

つくねもつみれもゆでて鍋や汁物の具にするだけでなくて、別の火の通し方で食べることもあるのだ。
つくねは普通に焼き鳥でも食べるけど、焼きつみれは香港なんかでは有名なおやつで、スパイシーに味付けしてあるんだって。
つみれを揚げると薩摩揚げで、九州ではいろんな具が入っていたりとバリエーションも多いよね。
○○天というと関東では天ぷらのことだけど、九州では薩摩揚げなのだ(薩摩揚げ自体が「天ぷら」と呼ばれることもあるんだよね。)。

普通に肉や魚を食べるものよいけど、つくねやつみれにするとふわふわした食感も楽しめるし、中に具を入れたり、味付けもできるから味のバリエーションが広がるのだ。
一手間かかるけど、なかなかよく考えられた調理法だよね。
練り物は消化にもよいというし、中に生姜なんかを加えれば臭みも抑えられてそのまま食べるより格段においしくなるし、いいことずくめなのだ。

2007/11/11

よくかんで、さらにかむ

ボクは虫歯の予防もかねて、よくキシリトール配合のガムをかんでいるんだよね。
虫歯予防にどれだけ効果があるかはわからないけど、眠気覚ましにもなるし、あごも鍛えられるのでそっちの面でメリットもあるのだ。
それに、ガムを食べている間は間食しないから、ついつい食べ過ぎてしまいがちなおやつの食べ過ぎを抑える効果もあるんだ(笑)

ガムの正体は樹脂で、今ではサポディラという植物の樹液を煮て作るチクルという天然樹脂が主成分なんだって。
コスト削減やかたさの調節のため、このほかに松ヤニから作られるエステルガム、合成樹脂のポリ酢酸ビニルなどが加えられることがあるんだって(風船ガムにはよくのびるポリ酢酸ビニルが入っているらしいよ。)。
さらに、かみ心地の調整に炭酸カルシウムを加えてかたさを保持するのだとか。
ガムにはかたいのとやわらかいのがあるけど、これは樹脂の比率の違いや炭酸カルシウムの量の違いみたい。

ガムの起源はアメリカ大陸の先住民が樹脂をかんでいたことに由来すると言われているんだけど、これが広がっていって、はじめは味がなく、ただかみ続けるだけのガムが生まれたみたい。
しばらくすると味つきのガムが売られるようになり、すでに19世紀には自動販売機が登場するほどメジャーなものになったみたいだよ。
今ではいたガムや粒ガムなど形状もバリエーションがあるし、味についてはそれこそ無数に存在するよね。
キシリトールやカフェイン、ビタミンなどがはいっているものまであるのだ。

ガムはチョコレートと一緒に食べると徐々に溶けてしまうんだけど、これはガムの主成分の樹脂が油に溶ける脂溶性を持つためなのだ。
チョコレートには多くのカカオ油脂が含まれているので、その中に樹脂が溶けていってしまうというわけ。
チョコレートに限らず、脂っこいものと一緒に食べると同じように溶けてしまうみたいだよ。
油ものを食べた後に食べるとガムがいつも以上にべとべとになるのはこのためなのだ。
焼き肉の後にはガムを食べることが多いけど、油ぎとぎとのお肉を食べた後は一度うがいするとかして気をつけた方がおいしくかめるかも。
ガムは飲み込んでも消化されずにそのまま出てくるので害はないんだけど、半分溶けたガムはあんまり気持ちのよいものではないよね(>_<)

米国の大リーグなんかでは試合中にガムをかんでいる姿を見かけるけど、これは単にお菓子を食べているというわけではないのだ。
ガムをかみ続けていると集中力が増すと言われていて、しかも、ガムをかんでいると、マウスピースをかませたときのように歯のかみ合わせが調整されて、バッティングのインパクトの瞬間に普段以上の力を出すことができたりするのだ。
普通の人はどんなに歯並びがよくてもかみ合わせは完全じゃなくて、そのために100%の力が発揮できないんだけど、マウスピースをかませたりすると、かみ合わせが一致してより踏ん張りがきくようになって最大限の力が出せるようになるのだ。
どこまで効果があるかは何とも言えないけど、ガムにはそういう効果もあるみたいだよ。

2007/11/10

はだにうるおいを

米国の乾燥度合いは半端じゃなくて、指先やくちびるががさがさになるのだ。
ボクはわりと日本にいたたときから乾燥には弱い肌だっただけに、もうぼろぼろなんだよね。
夏の間は湿度が高くてうっとおしかったのだけど、いざ乾燥してくるとこれもたまらないのだ。
そこで、今日は薬局でスキンケア用のローションを買ってきたんだよね。
で、そこで気になったのが、同じような商品でクリームもあるんだけど、一体違いは何なのか?

ちょっと調べてみると、ローションというのは化粧水のことで、皮膚を保湿するための液状の化粧品と言うことなのだ。
日本でも江戸時代にはすでに化粧水は売られていたみたい。
ヘチマの化粧水なんかもあるよね。
で、この化粧水というのは水にアルコールやグリセリンなどの保湿成分を混ぜたもので、通常はさらさらの液体なのだ。

でも、ボクが今回買ったローションは乳液状で、いわゆる化粧水じゃなかったんだよね。
どうもローションには乳液も含まれるみたい。
この乳液というのは水を基材として油分を乳化剤とともに混ぜてエマルジョン(乳濁液)にしたものなのだ。
乳化剤に覆われた微少な油の粒子が水の中に均質に分散している状態なのだ。
やっぱり化粧水と同じように保湿効果を狙っているんだけど、同時に油分も補給もして肌をすべすべにするのだ。
油分があるから少ししっとりした感じになるんだよね。

クリームになると今度は油が基材になっていて、通常はスクアランやワセリン、ミネラルオイル、オリーブオイルなんかの中に水と乳化剤と保湿剤などを混ぜ込んだものなのだ。
油の量が多いので乳液よりさらにとろとろしているのが特徴だよ。
しっとりというよりは少しべとつく感じなのだ。
最近は配合に工夫がしてあって、つけた後にすぐさらさら感が復活するようなハンドクリームもあるけどね。

グリセリンやヒアルロン酸、尿素なんかの保湿剤は水溶性なので水に溶けるんだけど、セラミドやスクアランのような油性の保湿剤は水には溶けないので、乳液かクリームにする必要があるんだよね。
油が入ると、油によく溶けるビタミンEも転化することができるのだ。
最近のハンドクリームにはよく入っているよね。
水溶性の保湿剤は水によく溶けるのでその保湿剤が皮膚の表面の水を保持することで保湿するんだけど、油性の保湿剤は肌の表面に広がって乾燥した空気と肌が直接接触しないようにして、水分の蒸発を防ぐことで保湿するのだ。
保湿のメカニズムが違うから、混ぜて使っても互いにじゃますることはなくて、むしろ相乗効果が期待できるんだよね。

2007/11/09

未確認なのに異星人の乗り物?

日本では宇宙人の乗った空飛ぶ円盤のことをUFOと呼ぶよね。
でも、UFOはUnidentified Flying Object(未確認飛行物体)の略称なので、宇宙人の乗り物だって確認できていたらUFOじゃないのだ!
その証拠に、空飛ぶ円盤は英語ではFlying Saucerと呼んでいて、UFOとは言わないんだよね。
あくまでも宇宙人の乗り物かもしれないけど、それと確認できないからUFOなのだ。

もともとUFOは米国空軍で使われていた言葉で、レーダーに映った正体不明の飛行物体を呼ぶ言葉だったんだって。
事前に提出された飛行計画と異なるルートを飛んでいる飛行機だったり、鳥の大軍だったりするのだ。
で、それが広く一般にも使われるようになって、レーダー画面ではなく、視認で目撃して「何かが飛んでいるけど正体がわからない」ものもUFOと呼ぶようになったんだよね。
レーダーに映っていれば必ず実態があるわけだけど、目撃しただけの場合だと自然の発光現象などを飛行物体と見間違うこともあるので、そういうのも入ってきてしまうのだ。
早稲田の大槻教授がプラズマだと言っていたのがまさにそうだよね(笑)
とにかく正体がわからなければ未確認飛行物体なので、子どもが手放してしまった迷子の風船でも、正体がわからなければUFOなんだよね。

日本でUFOが宇宙人・異星人の乗り物と認識されるようになったのは、なんと言っても日本テレビのプロデューサーだった矢追純一さんのテレビ特番のUFOスペシャルからだと思うんだよね。
ボクも小学生の時によく見ていたけど、この特番でアダムスキー型UFOとかそういう言葉を覚えたものなのだ。
日本におけるUFO文化の基礎を築いたと言っても過言ではないよね。
本人はUFO理論と呼びたいのかもしれないけど、あれはそういうものとして楽しむべきものだと思うんだよね(笑)
川口浩探検隊と同じなのだ!

日本人には矢追純一さんの特番でおなじみになったのがニュー・メキシコ州で発生したロズウェル事件。
世界でもっとも有名なUFO目撃事件なのだ。
1947年に発生したんだけど、今年はその60周年でいつも以上にたくさんの観光客が訪れたみたい。
地元にはUFO博物館なんてのもあるんだよね。
砂漠しかないところだったんだけど、UFOのおかげで一大観光地に変化したのだ。

このロズウェル事件では政府や軍が情報をはじめ隠蔽して公開しなかったので様々な憶説が飛び交い、異星人の遺体を回収したなんて話もあるんだよね。
その対応で作られたのが政府の秘密委員会のマジェスティック・トゥウェルブで・・・、とどんどん話が広がっているのだ。
後に政府や軍が公式に調査してレポートをまとめているんだけど、すでに噂が噂を呼び収集がつかない状況になっていて、そのレポートも真相を隠そうとする政府や軍の陰謀だ、と言われる始末なんだよね。
そういう意味でもすごい事件だと思うよ。

このロズウェル事件はいわゆる第三種接近遭遇というやつで、宇宙人を目撃しているものなんだよね。
第一種が物理的証拠を残さない近距離からの目撃、第二種が物理的証拠の残るもの、そして第三種が宇宙人の目撃なのだ。
後に第四種のアブダクション(宇宙人による地球人の誘拐と地球人への人体実験)が加わったのだ。
アブダクションとともに宇宙人の仕業と言われるのがキャトル・ミューティレーション。
これはウシなどの家畜が虐殺される事件で、大量に殺されたり、血だけが抜き取られたりと通常では考えられないころされ方をしているので宇宙人の仕業とされているものなのだ。
チュパカブラという未確認生物(UMA:Unidentified Mysterious Animal)の仕業という説もあるんだけどね(笑)

古代の神話の時代からそうなんだけど、自分たちの通常の経験で考えられない現象はこうやって神秘的なところに理由を求めがちなんだよね。
でも、科学がある程度発達して神様や精霊に関連づけられなくなったのでこういう考え方が出てきたと思うのだ。
やっていることはむかしから変わらなくて、自分を納得させるために何でもいいから何らかの説明をつけたいというだけなのだ。
そういう意味では現代の神話なのかもね。

2007/11/08

ハジケろ!

米国人の好きなお菓子というと、なんと言ってもポップコーンなのだ。
どこに行っても売っているし、食べている人がいるんだよね。
塩味のほか、スパイスで辛くしたり、フレーバーをきかせたものがコンビニなどでも売られているのだ。
日本だとディズニー・リゾートくらいでしか見かけないキャラメル風味の甘いポップコーンもよく売っているよ。

このポップコーンはトウモロコシの中でも爆裂種と呼ばれる特殊な種類のものを原料にしているんだ。
蒸したり焼いたりして食べるスウィート・コーンじゃポップコーンにならないのだ!
爆裂種のトウモロコシは皮が非常に厚くて固いんだけど、これがポップコーンができる秘密。
ポップコーンはトウモロコシを炒って作るんだけど、温まってくるとトウモロコシの中の水分が蒸発して水蒸気になるのだ。
すると体積が爆発的に増加するんだけど、普通のトウモロコシだと皮が薄いので皮が破れてすぐにそのエネルギーが逃げてしまうのだ。
でも、爆裂種の場合は皮が固いので、しばらく耐えて、耐えきれなくなったところで一気に爆発するのだ。
そのときにあのふわふわのポップコーンができるというわけ。
ポップコーンには固い皮がついているけど、ちょうどトウモロコシが裏返ったような形になっているのだ。

むかしからアルミ製のフライパンの中にトウモロコシが入ったポップコーンは売られていたけど、最近では電子レンジで作るものもあるよね。
ようは一気にトウモロコシを加熱して、中の水分を蒸発させて爆発的に膨張させればいいので、熱を加えられればどういう方法でもよいのだ。
でも、屋台なんかにあるぽこぽことポップコーンが出てくる専用の機械の、しかもできたてを食べるのが一番おいしいような気がするよ。

爆裂種のトウモロコシでなくても、高圧下で加熱して、一気に減圧すると同じように爆発的に水蒸気が膨張してポップコーンのようなふわふわの状態になるのだ。
お酒のおつまみによく出てくるジャイアントコーンをこの方法でポップコーン状にすることがあるんだよね。
むかしはよく夜店なんかで売っていたポン菓子も同じ原理で、お米や麦を高圧下で加熱して、一気逃げ夏してふくらませるのだ。
だいたい体積は10倍くらいに膨れ上がって、その分中がすかすかのスポンジ状になるので独特のふわふわした食感が出るというわけ。
今でもコンビニでできあいのものは見かけるけど、作っているのはまず見かけなくなったよね。

ポン菓子はそのまま粉糖をかけて食べることもあるけど、さらにお菓子の材料にすることもあるのだ。
水飴でかためておこし状にしたりもするのだ。
チョコとも相性がよくて、お米のポン菓子をチョコの中に入れるとライスチョコ、大麦のポン菓子をチョコでコーティングすると麦チョコなのだ。
サクサクした食感のウェハースもチョコと相性がいいけど、同じような感覚なんだろうね。

2007/11/07

苦い柑橘類

ボクは柑橘類の中でもグレープフルーツが好きなんだよね。
甘みと酸味、それにほのかな苦みがあって、食べた後の後味もさっぱりしていておいしいのだ(^o^)/
みずみずしいところも好きなんだよね、むいて食べると手がべたべたになるけど。

このグレープフルーツは、1750年代に西インド諸島のバルバドスで発見されたんだって。
もともとはオレンジとブンタン(文旦=ボンタン)が自然に交配したものだそうだよ。
ブドウのようにいくつかの実がまとまって実ることからこの名前がついたんだけど、19世紀後半までは観賞用だったとか。
モッタイナイ!

ブンタンは中国・東南アジア原産の柑橘類で、日本には江戸時代初期にやってきたみたい。
ボンタン飴でおなじみだけど、日本に来たのはわりとおそいんだね。
で、おそらく、中央アジアから南米までのモンゴロイドのグレート・ジャーニーの時にこの種子がアメリカ大陸に持ち込まれたと思うのだ。
さすがにコロンブスさんとかの欧州勢がわざわざ東洋の柑橘類のタネを持って大航海はしないよね(笑)
ブンタンはグレープフルーツに比べると水気が少なく、甘みはけっこう強いけど、実は収穫直後は酸味が強くて、しばらく貯蔵することで甘みが出てくるんだそうだよ。
ボクはボンタン飴だけじゃなく、生食のボンタンも好きなのだ。
さっぱりした甘みにほどよい酸味と苦みでなかなかおいしいのだ。

このグレープフルーツともう一度ブンタンを交配させてブンタンの血を濃くしたのがスウィーティー(正式名称:オロブランコ)なんだそうだよ。
カリフォルニアで交配に成功し、今ではイスラエルが一大産地になっているのだ。
交配のさせ方が少し特殊で、グレープフルーツの4倍体と普通のブンタン(2倍体)をかけ合わせていて、できるスウィーティーは3倍体になるんだって。
なので、タネができにくいそうなのだ。
グレープフルーツに比べると甘みが強くて酸味が少ないのが特徴だよね。
ボクはスウィーティーも好きなのだ。

話はグレープフルーツにもどるけど、このグレープフルーツには変わった特徴があるのだ。
ひとつは、グレープフルーツの独特の香りには脂肪燃焼を促進させる働きがあるということ。
すぐに耐性ができてしまうらしいけど、においをかぐだけでも効果はあるんだって。
グレープフルーツの苦み成分には、食欲を抑える効果もあるとか。
一時期はやったグレープフルーツ・ダイエットは、この効果と、果物にしては糖分が少なく、もともと「太りにくい」という特徴を利用したものなのだ。
脂肪燃焼を助けるので、グレープフルーツは食べることで摂取できるエネルギーより、食べてから消費するエネルギーの方が高いなんて言われるんだよね。

もうひとつは、グレープフルーツは多くの薬物の代謝に関係している肝臓の酵素のP450の作用を阻害する成分が含まれているいうことなのだ。
このP450にはいくつかタイプがあって、特に心臓・高血圧の薬のカルシウム拮抗薬という薬はまさに代謝酵素が阻害されるので注意が必要なのだ。
最近は薬を処方してもらうときに注意書きにも書いてあるよ。
でも、阻害というと聞こえが悪いけど、実際にはグレープフルーツの成分が同じ酵素で代謝されていて、代謝が拮抗するというだけなのだ。
酵素に悪さしているわけじゃないんだよ。
なので、薬を飲んでいないときは、悪者じゃないグレープフルーツを楽しむべきなのだ。

2007/11/06

天気を見る衛星

日本の気象衛星といえばひまわりだよね。
これは静止衛星といって、静止軌道にある衛星なのだ。
静止軌道にある衛星は、地球の自転と同じ速度で地球を周回するので、地上から見ると上空の同じ一点にとどまっているように見えるんだよね。
なので静止衛星と言うのだ。
もちろん、地球の自転面と平行な面で周回しないと止まって見えないので、静止衛星は必ず赤道上空にあるんだよ。

でも、米国には静止軌道でない気象衛星があるんだよね。
極軌道衛星というやつで、太陽同期軌道という赤道面に対して縦に回る衛星なのだ。
北極と南極を結ぶように地球を縦に周回するんだけど、1周は約100分で、1日に2回ほぼ同じ時間に上空を通って常に対結おう光線は一定の角度になっているので太陽同期というそうなのだ。
衛星の軌道面が1年に1回回転し、いつも軌道面と太陽のなす角度が一定だからそうなるんだって。
ほぼ同じ観測条件で地上が見られるので、地上を観測する気象衛星に向いている軌道だというわけなのだ。
米国だけじゃなく、欧州やロシア、中国なんかもこの極軌道気象衛星を運用しているんだよね。
今年の1月に中国が対衛星兵器(ASAT)で破壊したのは古くなった極軌道気象衛星(風雲1C号)だったのだ。

なんでこの極軌道衛星が必要かというと、静止気象衛星ではすべての地域がカバーできないからなんだよね。
でも、静止軌道から見える範囲には限りがあって、どうしても極圏に近い方は見えないのだ。
米国の場合は東と西に2つの静止気象衛星を持っていて、それでアラスカとハワイ以外の米国全土と中南米のほとんどをカバーできているんだけど、アラスカやカナダの北部は見えないのだ。
そこで縦に周回する極軌道気象衛星を使ってその見えない範囲をカバーしようというわけ。
欧州やロシア、中国が極軌道気象衛星を使っているのも同じ理由なのだ。

日本は幸い恵まれていて、北海道から沖縄まで、南北も東西もひとつの静止気象衛星でカバーできるんだよね。
東経140度のところにいるんだって。
ついでにオーストラリアの方までカバーできているのだ。
静止軌道は他にも通信衛星や訪ソ衛星なんかも使う軌道で混み合っているので、静止気象衛星のデータは強要できるところは強要することになっているんだよね。
なので、米国のデータは中南米やカナダでも使うし、日本のデータは東アジアや東南アジア、オセアニアでも使うのだ。

日本は一度打上げに失敗して米国の予備機を借り受けて気象衛星として運用したこともあったけど、今はきちんと予備機もあるので、今運用している気象衛星にトラブルがあっても一応平気なのだ。
もちろん、何もトラブルがないのが一番なんだけど(笑)

2007/11/05

パンはパンでも食べられないかたいパン

ボクは米国に来てから毎日自炊をしているんだけど、そのとき何かとお世話になっているのはフライパン。
炒めるのに使うのはもちろん、ちょっとした汁物(パスタのソースなど)はフライパンで作ってしまうのだ。
というのも、フライパンの方が底が広くて浅いから、沸騰するのが早いんだよね。
吹きこぼれないように注意すればかなり便利なのだ。

英語で「パン」というのは平たい浅い鍋のことを指していて、フライパンの他にも、フライパンよりはちょっと深い片手鍋のソースパンなんてのもあるよね。
名前のとおり、フランス料理なんかでソースを使うのに使うのだ。
フライパンはフライパンと言うくらいだからフライに使うんだよね。
日本のように深めの天ぷら鍋などは使わず、少なめの油でフライパンで揚げ焼きにするのが一派的だったからみたい。
カツレツも最初はパン粉をつけてから多めの油で揚げるように焼いていたんだけど、面倒なので天ぷらのように油の中で完全に揚げてしまうようになったんだよね。
もともと英語のフライは油で炒める、焼く、揚げるの全部の意味があって、目玉焼きもfried eggというくらいなので、油を使った焼いたり揚げたりするのに使えばフライパンになるのだ。

金属製のフライパンとしては鉄のものとアルミのものがあるけど、それぞれ特徴があるんだよね。
鉄のフライパンはきちんと手入れしないとすぐにさびるし、何より重いのだ。
でも、油のなじみはよくて焦げ付きにくく、熱容量も大きいので材料をいれても温度が下がらないんだよね。
これは野菜炒めなんか作っていると重要で、野菜炒めの場合、高温でさっと炒めないと水分が出てくるのだ。
鉄のよく熱したフライパンならしゃきしゃきとだれずに炒められるというわけ。
炒飯なんかもパラパラに作れるよ。

一方、アルミのフライパンはさびにくいし、軽いのだ。
でも、油のなじみはよくなくて焦げ付きやすいとか。
それに熱容量も小さいのですぐに温度が下がってしまうのだ。
じっくり炒める料理ならいいけど、中華料理のような高温でさっと炒め揚げる料理には含みなんだよね。

でも、最近は金属のままのフライパンは一般家庭ではほとんど使われていなくて、多くの場合はテフロン加工のフライパンになっているのだ。
テフロンはデュポン社の商標で、もともとはテトラフルオロエチレン(F2C=CF2)の重合体を指していたんだけど、最近ではフッ素と炭素からなるフッ素樹脂全般を指すみたい。
この樹脂は科学的にとても安定で、耐熱性も高く、耐薬品性も優れているのだ。
テフロン樹脂が塗ってあると油もはじいてしまうんだけど、その代わり他のものもまったく焦げ付かなくなるんだよね。
樹脂がはげてくるとそこからこげつくこともあるけど、表面に着ずとかがなければするするとフライパンの上を滑るのだ。
逆に言うと焦げ目がつけづらいってことなんだけど、それでも家庭用に使うならとても便利だよね。
うちのフライパンもテフロン加工なのだ!

2007/11/04

マンモスは毛の生えたゾウか?

今日はDCに遊びに来ている同期を案内していて国立自然史博物館(National Museum of Natural History)に行ったんだけど、そのとき気になったのがマンモスとゾウの違い。
一般的にはマンモスは牙が長くて横に湾曲していて毛が生えている、というイメージで、牙がまっすぐが毛が少ないゾウと違うと考えられているよね。
でも、福島で発見されたナウマンゾウはゾウだけど毛が生えているし、どうもよくわからなかったのだ。
そこで、少しマンモスについて調べてみたよ。

マンモスは全種族が既に絶滅しているゾウの類縁のほ乳類なんだけど、実は別の種族らしいのだ。
700万年から600万年前にインドゾウの祖先とマンモスの祖先が枝分かれして、それぞれ独立して進化していったみたい。
かなり早い時期に分岐したので、似てはいるけど確実に違う動物らしいのだ。
マンモスはシベリアで氷づけの個体が見つかっていて、筋肉などの組織片や胃の内容物が調査されているのでかなり研究が進んでいるんだけど、DNA(デオキシリボ核酸)レベルで調べてみても、このことがっかうにんされているようなのだ。
食べているものはやっぱり草(イネ科の草がの中からは見つかっているみたい。)、臼歯の形やあごの発達具合なんかはあまり変わらないみたいなんだけどね。
でも、この冷凍個体があるおかげで、「毛が生えている」という決定的違いが確認されてもいるのだ。

一方、ナウマンゾウも毛が生えていたことが確認されているんだけど、これはアジアゾウの類縁で、ゾウなのだ。
どうも、ゾウが寒冷な地方に住むようになって、底に適応するために皮下脂肪が厚くなり、毛が長くなったのがナウマンゾウみたい。
で、住む地域が似ているので、たまたま環境に適応するように進化した結果、マンモスに似ることになったのだ。
なので、マンモスとゾウの違いはやっぱり毛のあるなし(つまりは住んでいる地域の気候の違い)なんだけど、ナウマンゾウはその例外というのが事実のようなんだよね。
なんだかこれですっきり。

マンモスが絶滅した理由はいくつか考えられているようなんだけど、一般的に有力と見られているのは氷河期末期の気候変動に伴う植生の変化によるもの。
それまで食べていた植物が気候変化で育たなくなって、食べ物が不足して数が減少していった、という考え方なのだ。
もうひとつは人が現れてマンモスを乱獲した結果として絶滅したというもの。
はじめ人間ギャートルズや数多くの原始人に関するアニメやマンガではマンモスが狩猟音対象として登場するけど、まさにその世界というわけ。
でも、これには否定的な意見も出ていて、確かに狩猟の証拠も見つかるので人間がマンモスを狩りしていたのは確実のようなんだけど、絶滅するまで乱獲したとは考えづらいというのだ。
現在は伝染病による大量死という説が急浮上してきていて、乱獲というよりも、人間が近くに住みつき、その家畜などから新たな伝染病がマンモスに広まって絶滅したと考える方が自然とか言われているみたい。
実際、オーストラリアでは西洋人が入植して以降、それまでオーストラリアにはなかった家畜の伝染病が有袋類に広まったりしているから、その可能性はけっこうあると思うのだ。

愛・地球博なんかではマンモス復活プロジェクトの話が出ていたけど、マンモスは冷凍個体が見つかっているので、まさにジュラシック・パークの世界ができるかも、と期待が高いんだよね。
でも、意外とこの冷凍肉の中のDNAは傷んでいて、完全な状態ではないのでなかなかクローン技術で再現するというのも難しい話なのだ。
ゾウとは近縁ではあっても違う種なのでどこまでゾウのDNAが参考になるかもわからないしね。
でも、マンモスが復活するというのはなかなか夢のある話なので、ボクもちょっと期待しちゃうよね。

2007/11/03

ほうき星とながれ星

この前はオリオン座流星群が極大を迎えていて話題になったけど、今はホームズ彗星という彗星がアウトバーストという現象で大増光して話題になっているのだ。
流星は地球の近傍にあるチリが地球の重力に引き寄せられて地上に落下して来るんだけど、大気圏を通過するときに摩擦熱によって燃えるものなのだ。
一方、彗星は太陽の重力に引き寄せられて運動しているもので、太陽系の一因なのだ。
去年は冥王星が惑星から転落して大きな議論になったけど、そのときにできた整理で、彗星は小惑星なんかとともに「太陽系小天体(Small Solar System Bodies)」というカテゴリーになったのだ。

この彗星は氷とチリでできていて、氷の中に有機物や岩石質のものが混ざっていると考えられているのだ。
で、よく汚れた雪玉にたとえられるんだよね(笑)
これまで、ハレー彗星は大きな国際協力で宇宙機を使って探査されているんだけど(日本は「さきがけ」と「すいせい」で参加しているよ。)、その他にも、米国や欧州は彗星の探査をしていて、米国のスターダスト計画では彗星から資料を採取して見事2006年に彗星のチリの入ったカプセルが地球に帰還したのだ。
そんな彗星探査の結果と望遠鏡で観察した結果でこれはほぼ事実だと考えられているのだ。
実際に試料採取ができれば完全に証明できるので、それだけ期待が集まるのだ。

太陽から遠い位置にあるとほぼただの氷なのでまず観測できないんだけど、太陽に近づくと(3天文単位くらい、ちょうど火星と木星の間の小惑星帯のあたりらしいよ。)氷が蒸発してガスが吹き出したりチリが燃えたりして見えるようになるのだ。
氷の表面はかなり真っ黒らしいんだけど(太陽に近づいたときにチリが燃えてそのときに黒くなると考えられているみたい。)、ガスが噴出すると光を反射するようになり、チリが燃えると発光するようになるので、それで光って見えるようになるのだ。
で、このガスやチリは太陽風の影響を受けるので、太陽と反対側に流されるんだよね。
これが彗星の尾になるというわけ。

周期的にやってくる彗星は楕円軌道や超楕円軌道で数年から数百年以上かけて太陽のまわりを周回しているのだ。
でも、実は彗星の軌道は二次曲線で、放物線や双曲線の軌道のものもあるんだって。
こういう彗星は一度太陽に近づいたら二度ともどってこないので、非周期彗星と呼ばれるそうだよ。
とは言え、超楕円軌道の彗星の場合は数百年後でないと再接近しないから非周期の彗星に近いのだ。

彗星は古代日本では「ほうき星」なんて言われて、どちらかというと不吉な象徴だったんだよね。
ハレー彗星もそのむかしは地上の空気を持ち去るなんて噂が流れて、空気を確保するためにタイヤのチューブなんかを用意する人までいたらしいのだ(ドラえもんにこの話は出てくるよ。)。
彗星の場合は多くが暗くて普段は肉眼では見えないんだけど、突然明るくなって見え始めることが多いので、そういう風に思われたのかもね。
流れ星は願いをかなえてくれるというのとは大違いなのだ。
この増光はアウトバーストという現象で、彗星から出てきたガスやチリが彗星のまわりに集まって、それがさらに太陽の光を反射してよりガスやチリの噴出が促進される現象なんだって。
たまに条件がそろうとそういうことが起こるらしいのだ。
今回のホームズ彗星もそれで大増光して肉眼で観測できるようになっているそうだよ。

2007/11/02

ずっきんどっきん

昨日はハロウィンだったので、かぼちゃを食べようと思ったんだけど、一人じゃ食べきれないので、その仲間のズッキーニを食べることにしたのだ。
形はキュウリに近いけど、カボチャ属の野菜でよりカボチャに近いんだよね。
キュウリはキュウリ属なのだ。

メキシコ原産の新大陸野菜で、16世紀頃に欧州に伝わって食べられるようになったみたい。
トマトやピーマンとは違って日本ではまだあまりポピュラーではないよね。
なかなか家で食べることはないのだ。
最近はスーパーでも普通に売っているようになっているから、これrから浸透していくのかも。

ズッキーニには緑色のまさしくキュウリにそっくりなものと、黄色のものがあるのだ。
ズッキーニはキュウリに比べるとだいぶやわらかくて、しっとりした食感が特徴なんだよね。
緑色のものより黄色のものの方がさらにやわらかいのだ。
この独特の食感を利用して焼いたり、炒めたり、煮たりするのだ。
南仏の名物料理の野菜スープ「ラタトゥイユ」には欠かせないともいわれるんだよね。

キュウリもそうなんだけど、野菜として食べるズッキーニは未成熟の果実なのだ。
ウリ科の植物の場合は雄花と雌花があるんだけど、受粉すると雌花の根元がふくらんでいって果実になるんだよね。
これはキュウリもカボチャもへちまも同じなのだ。
で、実はキュウリもズッキーニも成熟してしまうと皮がものすごくかたくなって、中の白い部分はすかすかになるのだ。
しかも、かたいタネもできるので、はっきり言っておいしくないんだよね(笑)
なので、野菜としては未成熟のうちに収穫してしまって、種を取るためだけに成熟させるのだ。
成熟した果実はヘチマを想像するとよいのだ。
ちなみに、米国のキュウリは日本のものより成熟が進んでいるので、皮はかたいし、中にタネがあることもあるんだよね(>_<)

2007/11/01

ショウガを飲め

米国ではもともと清涼飲料水のバリエーションが少なくて、無糖のお茶やコーヒーなんかはないから、自然と炭酸飲料になることが多いのだ。
会議なんかでもミネラル・ウォーターかソーダという感じなんだよね。
しかも、カフェイン・フリーとなるとスプライトかセブンアップ、カナダドライくらいしかないのだ!
ボクはわりとカフェインに過敏で夕方以降に飲むと眠れなくなることがあるので、そういうときはそういうのを飲むようにしているんだよね。
せっかくソーダがあるのに水を飲むはもったいないような気がするから(笑)

で、気になるのがカナダドライ。
カナダドライはコカ・コーラ社が販売しているジンジャーエールなのだ。
ジンジャーエールは名前のとおりショウガの風味が特徴的な炭酸飲料で、通常はショウガで辛みと香りをつけ、カラメル色素で色をつけた、甘いけどちょっとからい、さっぱり系の炭酸飲料なんだよね。
ノン・アルコールだけどビール風の風味もあるので、食前酒の代わりに飲まれることも多いということなのだ。
でも、カナダドライの場合は甘みが強すぎて、あんまりショウガの風味はしないんだよね・・・。
以前、カナダのおみやげか何かで「本場のジンジャーエール」というのを飲ませてもらったことがあるんだけど、それはかなりショウガがきいていて、のどがひりひりするくらいだったのだ!
ジンジャーエールはカクテルの材料なんかにもなるけど、その辛さはストレートで飲むものではないような気もしたよ。

日本にもショウガ風味の飲み物はあって、主に関西でよく飲まれている冷やし飴がそうなのだ(関東では存在自体がほとんど知られていないけどね・・・。)。
ほんのりと甘い麦芽水飴(子右を発芽させたのが麦芽だけど、これを水につけておくと中のアミラーゼという酵素によりデンプンが分解されて麦芽糖ができるのだ。これを麦芽ごとすりつぶして搾った汁を煮詰めると麦芽水飴ができるのだ。)をお湯にといて、ショウガの絞り汁を加えて風味をつけたものだよ。
よくニッキも入っているのだ。
褐色から琥珀色の液体で、風味も麦茶が甘くなったような感じがしないでもないんだよね(笑)
温めて飲む場合は飴湯と呼ばれるのだ。

これにショウガを入れるのは風味付けだけど、麦芽糖はそんなに甘い糖ではないから、ショウガが入るとその辛みで甘さが引き立つという効果があるんだよね。
さらに、ショウガの風味でよりさっぱりするので、冷やし飴として飲む場合なんかは特に後味がさっぱりするのだ。
飴湯の場合はより体が温まるので、どちらにしてもよい効果があるというわけ。
甘酒にショウガを少し入れて甘みを引き立て、体を温める効果を上げるのと同じだよ。