2017/12/30

ひーひー鍋

フランス人は辛いものが苦手なようで、あんまり辛い料理がないんだよね・・・。
インドカレーを食べても、タイ料理を食べても、かなり辛さがマイルド!
日本のインドカレーやタイ料理も本場に比べれば辛くないんだろうけど、フランスのものは全く辛みがないと言っても過言ではないのだ。
そんな中、フランスで食べられるめちゃくちゃ辛い料理があるんだ。
それは、中国の火鍋。
中華料理は比較的多いんだけど(ベトナムやカンボジアの人がyっている偽中華も多いけど)、その中でも、四川風の火鍋を提供している店がわりとあるんだよね。

火鍋は中国式の鍋料理で、辛いスープに肉や魚介類、野菜を入れ、煮えたところで取り皿にとってたれや薬味をつけて食べるもの。
最近のメジャーは、鍋の真ん中に式があって、2種類のスープが入っているものだよね。
たいていは赤い辛いスープと、白い白湯スープなのだ。
食べているうちに混ざっちゃうんだけど(笑)
ボクがパリで食べたのもこの方式。
でも、スープはいろんな種類が選べて、劇辛、中辛、微辛、タイ式、とんこつ、トマトなどから選べたよ。

火鍋の起源には諸説あって、ひとつは、内モンゴルの 羊肉料理から発達したというもの。
日本でもチェーン展開をしている「小肥羊」はもともと「内蒙古小肥羊餐飲連鎖有限公司」という中国の会社。
辛いスープの中にニンニクやショウガに加え、クコの実や ナツメ、竜眼などの生薬を入れたもの。
「医食同源」もうたっていて、体によい鍋と宣伝しているよ。

もうひとつの起源は、四川省。
フランスはこっちかな?
四川では、船乗りが牛や豚の内臓に塩や山椒を振りかけて鍋にしていたそうで、それが「重慶火鍋」の原型。
新大陸から唐辛子が伝わるまでは、中華山椒のしびれる辛さの料理だったのだ!
 でも、すでに殷の時代から「鼎(かなえ)」に肉とスープを入れて火にかける料理があったようで、鍋料理はあったようなのだ。
辛い味付けになったのがいつか、食べ方としてたれや薬味をつけて食べるようになったのはいつか、ということなんだろうね。

清朝の時代には今の形に発達し、満願全席にも加えられて、豪華なものとなったようなのだ。
庶民は2種類のスープなんて使えないし、生薬系の材料も簡単には手に入らないよね。
もともとはクセの強い羊肉をおいしく食べるための 料理なわけだけど、今では牛や豚も普通に使われるよね。
これもグローバル展開かな?

とりあえず、フランスでどうしても辛いものが食べたい場合は中華が手っ取り早いのだ。
四川系の店だと麻婆豆腐や辛いソースの蒸し鶏なんかもあるしね。
でも、フランスに来てから辛いものをあまり食べないので、辛さにだいぶ弱くなってきた・・・。

2017/12/23

祝日も移動

今上天皇陛下の御退位の準備が着々と進んでいるようなのだ。
その中で、最近話題になっているのが、12月23日の天皇誕生日の今後の扱い。
次に測位される皇太子殿下の誕生日は2月23日なので、天皇誕生日はそちらに移る予定。
で、問題は、12月23日が別の祝日に指定されるのか、平日になるのか、という点。
クリスマス直前という非常にありがたいタイミングの祝日だっただけに関心が高いのだ。

官房長官の会見でも質問が出たようで、そのときの政府の見解は、天皇誕生日は12月23日から2月23日に移るので、そのままだと12月23日は平日となる、というもの。
加えて、今後引き続き12月23日を祝日とするかどうかは広く国民の間での議論が必要、とも付け加えているのだ。
日本は国民性としてあまり休みを取りたがらず、有給休暇の取得率も低いので、現状で祝日・休日は世界でもトップレベルの数なんだよね。
なので、このタイミングでまた祝日を増やすかどうかは議論の必要あり、ということのようなのだ。

官房長官の言っている天皇誕生日の移動というのは、先の通常国会で成立した「天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年法律第63号)」による「国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)の改正のことなのだ。
皇室典範特例法の附則第10条が祝日法の一部改正になっているんだ。
祝日法では、第2条で「国民の祝日」を1月のものから順番に列記していて、現在は12月23日の天皇誕生日が最後なのだ。
で、今回の改正では、「春分日」の「春分の日」の前に2月23日の「新」天皇誕生日を挿入し、12月の「旧」天皇誕生日を削ることにしているのだ。
ちなみに、「春分日」と「秋分日」は年によって変わるので、前年2月の「歴要項」の中で確定され、官報で公告されるよ。

で、上記の改正内容から明らかなように、天皇誕生日そのものが2月23日と変わってしまうので、12月23日は平日になってしまうのだ。
仮に、昭和天皇誕生日が「昭和の日」(最初は「みどりの日」)になったように祝日としたい場合は、また祝日法を改正して新しい祝日を法律に追加する必要があるのだ。
で、まだそういう動きはないから、きっと来年1月の通常国会には出てこないはず。
早くて秋の通常国会かな?
ちなみに、皇室典範特例法の附則第10条の施行日は、平成31年5月1日。
あと2年ちょっとあるわけか・・・。
祝日を追加する場合は相当期間の周知期間が必要だけど、そこで問題なく成立すれば、おそらく、平日の12月23日を迎えなくてすむかも。
ちなみに、多くの場合祝日法は議員立法で改正されてきていて、いきなり通常国会出てこないとも限らないのだ。

でも、通常は議員立法だとしても、祝日の話は国会議員の間でしっかり議論が行われるのが通例で、一番最近出来た「山の日」については、平成25年4月に超党派の議員連盟ができて、議論に紆余曲折があり、議員立法の中身がまとまって国会に祝日法改正案が翌平成26年3月28日。
つまり、1年近く議論しているのだ。
このときはどの日を休みの日にするかの議論があったからもめたからそのまま適用はできないけど、それなりに議員立法を出すのにも次官はかかるよね。

そして、法律が国会で可決され、成立したのはその年の5月。
でも、施行は平成28年、つまり今年からで、実際に最初に「山の日」が休みになるまでに成立から2年はかかっているんだよね。
ということは、来年秋の臨時国会に議員立法で祝日法が改正されると、その翌々年の1月1日に施行というのが濃厚と考えられるので、最初に12月23日を祝日にできるのは平成31年!
というわけで、もうすぐにでも動かないと間に合わなさそう。

でも、せっかくなら、12月23日の休みは残してほしいよね。
年末年始の休みをそこから開始できる、ちょうどよい祝日になっているし。
というわけで、国会議員の先生方におかれてはぜひぜひがんばってもらいたいものなのだ(笑)

2017/12/16

後ろから、前から、どうぞ

ボクもニュースで知っているだけなんだけど、最近の小学校の算数の授業では、「かけ算」の順番にうるさいらしいね。
なんでも、「5×2」と「2×5」は意味が違うので、文章題では、答えである「10」を導き出すのに、どちらの計算法を使ったかで○×が変わるんだって!
っていうか、意味不明なんでけど・・・。
自分が小学校のころはどうだったかなぁ?

曰く、その理由は、「かけ算の順番には意味があるから」なんだって。
例えば、「2人にリンゴを5つずつ配る場合、リンゴはいくつ必要か?」という問題があった場合、リンゴ5つのセットが2人分なので、5×2=10にしないとダメなんだって。
2×5では同じ答えになっても×なんだそう。
え!?、って思うよね。

というのも、実際の日常生活では、2人に5つずつリンゴを配る場合、5個のセットを2人に1セットずつ配る場合もあれば、2つとって一人に1つずつ渡すのを5セットやって配る場合もあるよね。
っていうか、けっこう後者のやり方をする場合が多いんじゃないかな?
でも、この後者の場合だと、計算方法は2×5だよね。
だとすると、2×5でも間違いではないはずなのだ!

これは数学的には当たり前で、自然数、整数、有理数(分数で表せるもの)、無理数(平方根や円周率のように無限に小数点以下の数字が続くもの)、複素数(虚数iが入ったもの)に至るまで、足し算(加算)とかけ算(乗算)については、「交換法則」が保存されているのだ。
「交換法則」とかいうと難しそうだけど、ようは、「+」と「×」の前後を入れ替えても答えは同じになる、ということ。
5に2を加えるのも、2に5を加えるのも数学的には同じ。
同様に、5に2をかけるのも、2に5をかけるのも数学的には同じ、なのだ。
「かけ算の順序には意味がある」とか言われも、さっきのように配り方次第ではかけ算の順序が変わることもあるわけで、ほとんど意味がないんじゃないかなぁ、と思うんだよね。

前後を入れ替えても答えが同じになるというのはその後の数学ではけっこう重要なことで、複雑な足し算・かけ算をするときに、計算しやすいように並べ替えたりできるのはこのおかげ。
さらに、中学校に入って文字式が出てくると、a×bとb×aが同じであると理解できないと、(a+b)×(a+b)=a+2ab+bという展開ができなくなるのだ。
下手に「かけ算の順番に意味がある」なんて染みこませちゃうと、ここでa×bとb×aが同じであるということを改めて説明しないといけなくなるんだよね・・・。
かえって面倒なような気もするんだけど。

高等数学になって行列の計算が出てくると、そこではじめて乗算について交換法則が保存されなくなるんだよね。
それを先取りしているんだ!、とか言うのかもしれないけど、多くの人は行列の計算なんてしないわけで・・・。
むしろ、これまでの数学では一般的に成り立ってきた乗算の交換法則が行列では成り立たない、と教えて方がわかりやすいとも思うのだ。
実際に、ボクが教わったときはそうだったし。
ま、行列のかけ算なんてもはやイメージできないんだけど(笑)

それにしても、もうちょっと柔軟に教えられないものなのかなぁ、とは思うよ。
こういう教え方をしちゃうと、型にはまった頭になっちゃって、形式が整ったテストには回答できるけど、現実の課題に算数・数学を応用する力は衰えるような気がするんだよね。
むしろ、さっきのリンゴの例みたいな話をしながら、かけ算の場合は、前後を入れ替えても意味が同じ、というような説明をした方が、子どもたちの興味も引けると思うんだけど。

2017/12/09

よ~く考えよう、予防は大事だよ~

先日、日本人の村中璃子さんがジョン・マドックス賞を受賞したのだ。
これは、Nature誌が主催しているもので、「多くの困難に遭いながらも科学的なエビデンスに基づき公益に寄与する仕事をした科学者・ジャーナリスト」に贈られるものだよ。
村中さんはもともと医師で、医療関係のジャーナリスト活動もしている人なのだ。
今回の受賞のきっかけになったのは、多くの批判を受けながらも常に「子宮頸がんワクチン」に関する情報発信を行ったことなのだ。
残念ながら、日本のマスコミはあまり報道しないのだけど、海外でが大きく報道されているし、日本国内でもツイッターなどのSNSを通じて情報が広まっているよ。

「子宮頸がん」は、そのほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)への慢性的な感染に起因すると考えられていて、このHPVへのワクチンを投与することで、未然に予防できるのだ。
このため、世界保健機関(WHO)も世界的に接種を呼びかけているし、多くの国で接種が推奨されているのだ。
ところが、日本だけは、公費補助がありながらも積極的には接種が推奨されておらず、そのことが国際的にはハンされているんだ。
かなり例外的な措置なんだけど、WHOから名指しで批判されるほど!
確実に予防できる「子宮頸がん」に対する対策を講じず、若い女性を危険にさらしていると言われているよ。
村中さんはこの件について、マスコミをはじめとして日本国内では「誤った」危険性ばかりが喧伝され、HPVワクチンの接種が阻害されているので、「正しい」知識を広めようと尽力してた、ということなのだ。

でも、こういう国内事情にはそれなりに経緯があるのも事実。
HPVワクチンが日本で導入されたのは平成21年。
まだこの頃は公費補助もなく、高価なものだったので普及しなかったんだけど、翌年、厚生労働省が市区町村が行う接種事業の助成を始めたことを受け、無料又は低額での接種が可能となり、広まっていくのだ。
平成24年には摂取率が2/2を越えるところまで行ったんだよ。
ところが、ここで問題が発生したのだ。

薬に副作用があるように、ワクチンにも「副反応」というのがあって、ワクチン接種後に何か「よくない事象(頭痛、発熱などなど)」が発生したとき、ワクチン以外の要因に特定できないものはワクチンの副反応として報告される仕組みになっているんだよね。
それがワクチン接種のせいなのか、ほかの要因に基づくのかはその時点ではよくわからないのだけど、事例が積み重なって、統計的に処理できるようになると、ワクチン接種と統計的に有意に関係しているかどうかがわかる、というもの。
たまたまほかの要因で発生した事象は頻繁には翁から、統計処理をすると外れる、ということなんだけど・・・。
実際には、「議事相関」というのがあって、本当は直接的には相関がないんだけど、第三の要因とそれぞれ相関関係があるために、見かけ上相関があるように見えてしまう、という場合があって、これが否定できないんだよね。
今回のケースもこれに当てはまっているおそれがあるのだ・・・。

HPVワクチンの重篤な副作用として問題視されたのは、「複合性局所疼痛症候群(CRPS)」というもので、とにかく体中が痛くなって力が入らなくなる、というもの。
後遺症で障害が残ったという人も。
これがマスコミによって広まり、HPVワクチンの接種が危険視されるようになり、この世論に対して厚生労働省も、公費補助はやめないけど、自治体に対して積極的に接種を呼びかけるのをやめてもらう、という対応に出たのだ。
このため、摂取率は数%まで下がることに!
これが海外で批判されることになったんだよね。

問題なのは、この副反応がワクチン接種に起因しているかどうか、確実な科学的な証拠が全くないこと。
そして、日本以外ではこのような副反応が問題にされていないので、ワクチンとは別のところに原因があるんじゃないか、と考えられるところなのだ。
この点をジャーナリストとして村中さんは発信し続けたんだ。
実際、ワクチン接種が始まる前から、CRPSに似た症状は「心因性疾患」として思春期の女性のものとして報告されていて、ワクチン接種がちょうど思春期に当たるので、「思春期の女性」というファクターが重なることで、ワクチン接種とCRPSが見かけ上相関しているように見えている可能性があるのだ。
っていうか、海外ではワクチンとCRPSの関係は科学的証拠がないという理由で問題にされていないんだけど・・・。

今回も、本来であれば村中さんの受賞をきっかけにマスコミがこの件を取材し、広めてくれればいいんだけど、ほとんどそういうのがないんだよね・・・。
危険性を喧伝するのは「売れる」ネタなんだけど、「自分たちはまつがってました、本当はこうでした」というのはそもそも自分たちではあまり出したくないし、「売れる」ネタではない、ということなんだろうね。
なんだか闇の深さを感じるよ・・・。
でも、SNS等の発展もあって、「草の根」的に広まっているようだから、これをきっかけにして、ワクチンの摂取率が上がることを祈るばかりだね。

2017/12/02

何肉が正解か

よく地方ネタで話題になるのが、「肉じゃが」に入れる肉は何肉か、という問題。
父親が神奈川、母親が静岡の我が家は牛肉の薄切りを入れていたけど、関東では豚肉を使うのも多いと言われるよね。
そうすると、関西の人が、「肉と言えば牛」とか言ってくるのだ(笑)
地方や好みによっては「鶏肉」もあり得るよね。
諸般の事情で肉が入らない場合もあるんだけど・・・。

半ば都市伝説化している発祥譚として、東郷平八郎元帥が英国留学中に食べたビーフシチューを再現させようとしたが、和風の味付けでできあがったのが「肉じゃが」だった、というもの。
このエピソードを下に、鎮守府のあった京都の舞鶴と広島の呉がそれぞれ「発祥の地」を主張しているのだ。
今では互いに認め合って、双方が発祥地ということになっているらしいけど(笑)
でも、東郷元帥が司令長官になるころには、デミグラスソースは普通に洋食屋に普及していてハヤシライスもあったし、ビーフシチュー自体も安くはないけど洋食屋で食べられるものだったのだ。
なので、よくわからないから和風の味で再現しようとした、というのはあやしいんだよね・・・。
どうも、舞鶴が発祥地を主張するときに使っていたプロモーションの中でそういうことを言っていたのが広まってしまったみたい。

ところが、肉じゃがが日本を代表する家庭料理となるには、軍の貢献が大なのだ。
カレーライスとほぼ同じような話なんだけど、従軍しているときに食べた肉じゃががおいしかったといって各家庭で復員した人が食べるようになったのが広がったきっかけ。
そもそも「肉じゃが」という名称が一般的になったのも70年代中盤以降なんだとか。
これには学校給食での採用なんかも影響しているじゃないかな?
それまで各家庭で作っているだけだから名称はどうでもよかったわけだけど、学校給食になるとメニュー表に名前を載せないといけないからね。
にんじんやサヤインゲンの有無、糸こんにゃくなのか白滝なのか、などの些細な違いはあるものの、総体として学校給食のメニューに習って「肉じゃが」と呼ばれるようになったと推測できるのだ。
ちなみに、海軍経理学校で使われていた教科書のレシピでは、単に「旨煮」となっていたみたい(ちなみに、このレシピでは「牛肉」。)。

「肉じゃが」は軍隊にとっては非常にありがたい料理で、基本的にカレーとほぼ同じ材料なので、補給上有利なのだ。
でも、味付けは全然違うから、カレーとかぶるわけでもないし。
ジャガイモもタマネギも基本的には長期保存がきくし、熱量(カロリー)も高めなので、軍隊にもってこい。
カレーも肉じゃがも味付けがシンプルだから、調味料の量さえ間違えなければそんなに大きく失敗しないしね。
よく考えられたメニューではあるのだ。

それにしても、高度成長期以降に広まった料理なのに、いつの間にか家庭料理の代表選手になっていて、「おいしい肉じゃがを作る女性と結婚したい」なんて昭和男の願望にもなったんだからすごいよね。
ボクの世代は「お袋の味」的な受け止めなんだけど、言われ始めたときは「ハイカラな家庭料理」だったのかな?
いずれにせよ、家庭料理の人気メニューではあったんだろうね。