2011/03/26

レッツ!セッツ♪電

まだまだ東北地方太平洋沖地震は事態の収拾がつなかいねぇ・・・。
余震が続いていることもそうだけど、福島の原発が予断を許さない状況なのだ!
本邦初の原子力発電所での大災害なので、否が応でも緊張感が走るよね。
でもでも、この原発問題が一段落しても、容易にかたがつかないのは電力不足問題。
以前にも新潟の柏崎刈羽原発が止まったときに夏の電力不足問題が発生したことがあったけど、そのときは他の電力会社からの融通、発電事業者からの買電、全体的な節電、そして、冷夏の影響でなんとか乗り切ったのだ。
ところが、今回は津波被害で大型の火力発電所も止まっていて、早急に供給力の復帰は見込めそうにないんだよね(ToT)
そこで、蓮舫大臣が節電普及啓発担当大臣に任命され、政府を挙げて節電に取り組む姿勢を打ち出したのだ。

と言っても、とりあえず無駄な灯りは消す、待機電力を使わないようにこまめにプラグをぬく、冷暖房の設定温度は控えめに、くらいはわかるとしても、本格的に節電するとなるとどうしたらいいかわからないよね(笑)
実際に官邸からも何も具体的なガイドラインが示されていないのだ(>o<)
原発で東京電力もそれどころじゃないんだろうけど、これはみんなで乗り切らないといけない事態なので、個人的にちょっとまとめてみることにしたのだ。

一般に節電というと電気の使用量を減らすことだと思われるけど、全体の消費を減らすというのは実際はむずかしいよね。
それこそ昭和40年代の家電がまだそんなに家庭になくて、カラーテレビ、冷蔵庫、洗濯機が白物家電の三種の神器と呼ばれていた時代の生活にもどれれば話は別だけど、電化で便利になった今の生活レベルを極力維持したままで、となるとそうはいかないのだ。
確かに上で書いたようなことで電力消費量は個人レベルでも減らせるけど、春まではもっても夏は乗り切れない可能性があるのだ。
そこで重要なのが、いかに電気をうまく、効率よく使うか、という概念なんだ。

これが「負荷平準化」という考え方で、通常電気はある時間帯にはたくさん使われるけど、またある時間帯にはほとんど使われない、というような消費傾向があるのだ。
例えば、今の季節なら暖房需要が大きな割合を占めていて、そこに夕ごはんの支度などの家事で電気の使用量が増える夕方にピークが来るんだ(これは最近の報道でもおなじみだよね。)。
一方、夏だと、気温が高くなるお昼頃がピークになるんだよ。
で、実際に電力消費量の1日の推移を見ていくと、ピーク時とボトム時では最大で2倍以上違うのだ。
ということは、もう少し電気の使い方をならしてあげれば、同じ発電容量でもより多くの電力消費ができるはずなんだよね。
なので、負荷平準化というのだ。

ちなみに、東京電力管内で言うと、1年で最も多くの電気が使われる夏のピークは最大で6,500万kWくらい。
でも、今はそれが3,800万kWくらいしか供給量が確保できていないんだよね(今後もう少し努力するみたいで、夏までにはそれなりの回復も見られるようだけど。)。
なので、その上限を意識しつつ、その範囲の中で最大限電気を効率よく使うことを考えないといけないのだ。
先日から東京電力が公開している電気予報を見ると、一番低い時期だと3,000万kWを切っているので、供給余力の800万kWで何かできないか、という話になるのだ。

一般に負荷平準化には、電力消費のピークの時間帯をずらすピークシフト、ピーク時の電力消費を抑えるピークカット、深夜などの電力消費が低い時間帯の電気を有効に使うボトムアップという3つの対策があるのだ。
ピークカットの究極的手法はまさに今実施されている「計画停電」(輪番停電)で、強制的に電気を使えないようにするのだ。
米国でもカリフォルニア電力危機なんかのときに行われているんだ。
日本では戦後すぐのインフラ未整備時代以来らしいけど・・・。

もう少しソフトなピークカットは大口需要家との間の「需給調整契約」。
あらかじめ需給逼迫時には電気を止める可能性があることを条件に電気料金が割引になるオプションメニューなのだ。
基本的にはどういう場合になったらどれだけ止めるなどの条件を相手側と合いたい契約でつめるので、詳細はよくわからないんだよね。
とにかく、今回のような電力不足になると真っ先に「お願い」されて電気がストップすることになるんだ。
一般消費者がエアコンの設定温度をマイルドにしたり、エレベーターやエスカレーターを止める、無駄な電灯を消すなんていう今やられている取組もピークカットに資するものだよ。

これと大きくコンセプトが異なるのがピークシフトとボトムアップ。
どちらもピーク時には電力消費を抑えて、もっと余裕のある時間の電気を使う、という考え方なんだ。
専門的に言うと供給余力を効率的に使う手法なのだ。
ピークシフトは名前のとおりだけど、自分の電気の消費特性を踏まえて、一番電気を多く使う時間を他の人たちが使う時間からずらす、ということ。
夏だと昼間にピークが来るので、自分のピークを朝や夕方に来るように電気の使い方を変えることなのだ。
ボトムアップは一番電気が使われない深夜の電気を有効活用するもの。
今でもあまった深夜電力は揚水発電に使われるんだけど、お弁当工場のように操業自体を深夜に移したりするのがこれにあたるのだ。
個人ベースでも、深夜電力料金というオプションメニューがあって、電気料金は割引になるんだよ。
直接深夜に電気を使わなくても、深夜電力を活用して熱エネルギーとしてためておいて、その熱エネルギーを昼間に使う「蓄熱」というのもあるのだ。
一時期よく宣伝していたエコアイスとかエコキュートなんていうのがそのシステム。
深夜のあまっていて安い電気で氷を作っておいて、その熱(冷たさ)を冷房などに使うんだ。

というわけで、こうしてみると、普段できる限り電気の消費を抑える節電に努めるとともに、洗濯機は夜に回す、充電は深夜にするなどなどの個人消費での負荷平準化にはまだまだ可能性があるよ。
こういうのって、追求してみるのもまたおもしろいよね(笑)
そうやってみんなが興味を持ってくれると、うまく大事にならずに乗り切れるかも、なのだ。

ちなみに、東京電力では、古くなった火力発電所を復帰させるとともに、新規の火力発電所の稼働も考えているようだけど、やっぱり供給力の確保においては原子力発電の再開が不可欠なんだよね。
柏崎刈羽はまもなく全機動かせるかもだけど、今回の震災による地元の理解が問題なんだよね・・・。
もちろん、それは今回の自己で比較的ダメージが少ないと見込まれる福島第二原発もそうなのだ。
東北電力の女川原発も動き出せば東京電力に融通できるけど、動かせるかは微妙だよね。
さらに、東京電力は東通に新しい原発を作る計画もあるけど、それも見通しは明るくないと思うのだ。

加えて、他の電力会社からの融通も実はそんなに見込めないんだ。
というのも、有名なこととして、東日本と西日本では電気の周波数が違っていて、中部・関西・北陸・中国・四国・九州の6電力はネットワークがつながっていて融通しやすいんだけど、東京電力と中部電力の間は周波数の違いから3つの周波数変換所(東京電力、中部電力、電源開発=Jパワーの持ち物だよ。)でしかつながっていないのだ。
流せる電気の量に制限があるので、無制限に応援できないわけ。
さらに、北海道電力は周波数は同じなんだけど、地理的に離れていて、東北電力と北海道電力の間は交流じゃなくて直流でつながれているのだ(北本連系)。
こっちも流せる容量に制限があるので、北海道のあまった電気を自由にもらうこともできないわけ。
すると、周波数変換所を増やしたり、北本連系を太くするしかないんだけど、それには発電所を作る以上に時間がかかるのだ。

だとすると、この節電はけっこう長期的に考えないといけないんだよね。
実は身近に貢献できる話でありながら、日本のエネルギー問題の根本問題でもあるということ。
これを機に国民がもっとエネルギーのことを考えてくれると、よりよい方向に行くかもだけど、たいていは、「のど元過ぎれば・・・」なんだよね(>_<)
今回はなかなか「のど元」を過ぎないと思うけど。

2011/03/19

能と線

先週の大地震で福島では大変なことが起きているのだ!
そう、福島第一原子力発電所の事故・・・。
まだなんとか持ちこたえているけど、目が離せない状態なのだ(>o<)
で、この事故に関連して、新聞報道なんかでよく「放射能」とか「放射線」という言葉を見るようになったよね。
でも、実は必ずしも正確に使われなかったりするので、一度きちんとおさらいをするのだ。
正しい情報を得ることが何より大事だからね。

まず、誤解してはいけないのが放射能と放射線の違い。
放射線は放射性物質から出てくるエネルギーを持つ粒子の並や電磁波で、周りにあるものを電離させる(イオン化する)能力があるものなのだ。
それが靱帯に影響すると、タンパク質が破壊されたり、DNAが傷ついたりして傷害が発生するわけ。
で、その放射線を出す能力のことを放射能と言うんだよね。
よく「放射能漏れ」とか表現するけど、これは正しくなくて、「放射性物質漏れ」が正しいのだ。
一般には放射性物質のことを放射能と表現する傾向にあることから出てくるものなんだけど。

この手の話がわかってきたのは19世紀の終わり。
まさにキュリー夫人はこの分野の研究でノーベル賞を受賞しているのだ。
レントゲンさんによるX線の発見の後、ベクレルさんにより放射性物質であるウランの化合物を黒い紙で包んだ写真乾板の上に置いておくと感光する現象が知られるようになり、何かがウランから出ていることがわかったのが。
これがまさに放射線の発見で、この後、キュリー夫人と夫のピエールさんはいろんな鉱物から同じような放射線が出ていることをつきとめ、ポロニウムやラジウムを発見するんだ。
ここから一気に放射能の研究が始まるのだ。

歴史的に「何かが出ている」というところから始まったので、その「何か」である放射線を出す能力のことを放射能と呼ぶようになったんだ。
放射能の単位は国際標準ではベクレル(Bq)を使うけど、これは最初に発見したベクレルさんにちなんでいるんだよ。
ベクレルは1秒間に1つの原子核が崩壊して放射能が出す能力のこと。
以前はキュリー夫妻にちなんだキュリー(Ci)という単位を使っていたんだけど、これは1gのラジウムの持つ放射線を出す能力を基本としているのだ。
ベクレルでいうと1Ci=3.7×1010Bq=3.7MBqになるそうだよ。

ところが、放射線というのはいろいろ種類があって、有名なところでは、ヘリウムの原子核のアルファ線、電子のベータ線、高エネルギーの電磁波のガンマ線、中性子の中性子線などが知られているのだ。
放射能という観点で見るとどれでもいいからとりあえず放射線が出る、というところに着目しているんだよね。
放射能のサーベイに使われるガイガー・カウンター(ガイガー・ミュラー計数管)は筒の中に不活性ガスが封入されていて、それが放射線で電離されるときに出る電気で放射線を検知しているんだけど、放射線のエネルギーは測れないので、まさに放射能を計測しているのだ。

ところが、放射線は種類ごとにエネルギーが異なって、そのために影響度も違うのだ。
そこで、放射線が与えるエネルギーに着目した単位が放射線の強さを表すグレイ(Gy)。
1kgの物質が放射線により1Jのエネルギーを吸収したときが1Gy。
むかしは実際に気体1cm3にどれだけの電離を生じさせたかで定義されるレントゲン(R)という単位を使っていたんだけど、国際単位系に合わせるときにグレイが使われるようになったのだ。

さらに、人体への影響を評価するために、放射線の種類ごとの係数をかけるのがシーベルト(Sv)という単位。
今テレビでホットな(?)単位だよね。
ベータ線やガンマ線の場合は1なのでグレイ単位の数字と同じなんだけど、アルファ線だと20なので20倍になるのだ!
原子炉の中で大量に発生している中性子線の場合はエネルギーの大きさによって変わるんだけど、5~20なのだ。
ちなみに、放射線が人体に与える影響については文部科学省のHPにわりとわかりやすい資料「日常生活と放射線」があるよ。

でも、実はテレビではこの値は正確に表現されていないのだ(ToT)
報道で出てくる数字は線量率というやつで、単位時間当たりの放射線量を表す値。
一方で、人体に影響を与えるかどうかを評価するときは、実際に照射された放射線量で見る必要があって、さっきの資料は年間当たりの線量で書かれているよ(=年間当たりの線量率)。
報道でよく出てくる単位はシーベルト毎時(Sv/h)なんだけど、1時間その場に滞在するとそれだけの線量の放射線を浴びるということなので、線量で考えると、2時間なら2倍、30分なら半分で考えないといけないんだ。
ちゃんと積分値でどれだけの線量になるかを見ないといけないというのがポイントで、闇雲に数字が多きとか小さいとかで判断できないので注意なのだ!

加えて、外部被ばくと内部被ばくというのがあるんだよね。
外部被ばくというのは体の外に放射性物質が付着したり、体の外部にある放射性物質から出る放射線に当たることによる被ばく。
体に付着した場合は洗い落とせばよいし(これは報道では「除染」と仰々しく言っているのだ。)、外部の放射性物質の影響なら単純に離れればよいだけ。
内部被ばくは、放射性物質を含むほこりを吸い込んでしまったり、食べ物に含まれる放射性物質を摂取してしまった場合に起こる被ばくだよ。
すぐに体外に排出される場合もあるけど、ヨウ素なんかだと甲状腺ホルモンの材料としてのどにある甲状腺に貯まるし、ストロンチウムだとカルシウムの代わりに骨に沈着するので、けっこう長期間被ばくし続けるのだ。
でも、一般には、DNAやタンパク質が損害を受けても、生体は修復機構も持っているので、線量が小さくてすぐに体外に排出される場合は、外部被ばくより内部被ばくの方が影響が少ないと言われているんだ。
ただし、ヨウ素やストロンチウムのように長期間とどまり続けるものはずっと影響し続けるのでこわいんだよね・・・。

これでテレビで放射能や放射線の話が出てきてもだいたいどんなものかがわかるはずなのだ。
どれだけの時間を浴びるかによるので評価は難しいんだけど、額面上の数字の大きさだけに踊らされてはいけない、というのは重要なことだから覚えておかないとね。
なお、今のところ、避難地域より離れていれば、健康上影響があるレベルの放射線は確認されていないので、そんなに心配する必要はないみたいだよ。
もちろん、楽観視はできないんだけどね。

2011/03/12

宇宙の食事情

たまたまネットでおもしろいニュースを見つけたのだ。
それは、オーストラリアの醸造会社が、世界で初めて宇宙用のビールを製造・発売を開始した、というもの。
日本でもかつて「宇宙ビール」というのはあったけど、それは宇宙空間に持って行った酵母で発酵させたビール。
今度のビールは実際に宇宙空間で楽しむために開発されたビールなんだとか。
なんだこりゃ、ということで、少し調べてみたのだ。

もともとこの宇宙ビールを開発したいきさつは、宇宙空間では無重力(より正確には微少重力)の環境であるため、炭酸飲料が飲みづらいということなのだ。
炭酸飲料を飲むとゲップが出やすくなるけど、これが問題の本質。
地上では重力があるので液体部分は胃の中に残り、気体だけがゲップとして口から出てくるのだけど、宇宙空間では重力が希薄なために液体は下に残り、気体は上に出ていく、という「常識」が通用しないのだ!
液体も気体もまぜこぜで口から出てしまうというわけ・・・。
なので、ゲップが出にくいように炭酸を抑え、でも、ビールの風味は残して、というコンセプトで開発されたそうだよ。
宇宙での試飲はまだみたいだけどね(笑)
ちなみに、このビール、世界初の有人宇宙船にちなんで「ボストーク」と名付けられているのだ。

宇宙での食事はこのビールに限らず、宇宙空間という特殊な環境に適応するために特別なものが開発されてきたのだ。
重力というのがひとつのキーワードだし、宇宙に持って行く重量には制限があることもポイント。
さらに、国際宇宙ステーション(ISS)のような宇宙での居住空間は閉鎖空間なので、そこにも配慮しなくてはいけないのだ。
そんな条件から、一般的に宇宙食の条件とされているのは、以下のようなものだよ。

まず最初に、長期保存できること。
宇宙と地上の間はそんなに頻繁に行ったり来たりできないので、長期保存できないと困るのだ。
宇宙食から広がった技術としては、食品のフリーズドライこの技術が確立したのは米国のジェミニ計画のころ。)やレトルト技術(これはアポロ計画から生まれたのだ。)なんかがよく知られているよね。
フリーズドライなら水分量の分だけ軽量化でき保存性も高まるし、缶詰だと缶の重量だけ損してしまうけどレトルトなら袋の重さだけですむのだ。

すでに出てきているけど、次に重要なのは軽いこと。
宇宙に持って行ける重量には制限があるので、できるだけ軽くしていろいろなものをたくさん持って行きたいわけ。
水なんかはかなり再生利用できるようになっているので、フリーズドライのように水分を飛ばすとそれだけ軽くできるよね(。
科学系の博物館の売店とかで売っている宇宙食シリーズはだいたいフリーズドライだけど、その軽さにびっくりするよ。
中身が入っていないみたい(笑)

それから、なかなか気づきにくいことだけど、強い臭気がないこと。
ISSのような空間は閉鎖的で、かつ、換気も十分にできないので、においがいつまでも残ってしまうのだ・・・。
かつて毛利さんがスペースシャトルに納豆を持ち込もうとしたときも断られたし、韓国人宇宙飛行士がISSにキムチを持ち込もうとしたときも断られたんだ。
でも、カレーは宇宙食として一般的になりつつあるので、においの種類にもよるんだろうね。
みんながおいしそうと感じられたり、不快に思わないようなにおいであればOKなのだ。

さらに、重要なものは飛散しないこと。
宇宙では重力がほとんど働かないので、液体や粉末が飛散すると下に落ちることなく、全方向に拡散していくのだ!
なので、液体の飛沫なんかが飛んでいって機器に影響を及ぼさないように、とろみをつけたりとか工夫するわけ。
最初の宇宙食のチューブ状の古典的な宇宙食はかなりの粘度だし、宇宙でCM撮影もされた宇宙用カップヌードルも麺は小さく丸く固められていてその回りにとろみのついたスープがまとわりつくというもので、飛沫が飛散しないようになっているのだ。

実はこれがもっとも大事かもしれないのが、栄養価が高いとともに、食事として楽しめること。
他に栄養の取りようがないので必要十分な栄養がとれないといけないんだけど、かといって味気ないものでは困るのだ(>o<)
ただでさえ閉鎖空間で気が滅入るし、地上との交信もネットや電話が使えるとは言えそんなに頻繁にはできないので、やっぱり食事は楽しみなんだよね。
顔を合わせるメンバーもそんなに変わらないし、食事くらいは楽しめないとストレスが貯まる一方ということで、最近ではいろんな食事を持って行けるようになっているみたい。
日本からは焼鳥やカレー、肉じゃが、たこ焼き・お好み焼きなどなどが持ち込まれたことがあるんだけど、これが海外の宇宙飛行士にも人気らしいのだ(野口さん用の日本食宇宙食がロシア人宇宙飛行士に食べられちゃった、なんて話もあったよね。)。
最近ではフリーズドライのものだけじゃなく、こういう宇宙食もおみやげとして手にはいるよ。

最後に、実用面で大事なのが、特別な調理を必要としないこと。
宇宙ではそのまま食べるか、お湯でふやかすか、温めるかくらいしかできないので、基本はインスタント食品なんだよね。
このあたりは軍隊のレーションと一緒なのだ。
宇宙では電気オーブンで温められるので、だいぶましだとは思うけど。
ちなみに、電子レンジはマイクロ波を放射して温めるんだけど、他の電子機器に悪影響を及ぼしかねないため、宇宙では電熱器のオーブンを使うみたい。

以上の条件を満たせばすぐに宇宙食になるかというと、実はそうでもないのだ。
まだくわしくは解明されていないんだけど、宇宙では味覚が鈍るらしいんだよね。
なので、宇宙食は通常よりも味付けを濃いめにしてあるそうなのだ。
でも、水を自由にがぶがぶ飲める環境でもないので、のどが渇くようでは困るので、かなり難しい塩梅。
日本食が人気なので、もともと甘辛いものが多くて、味を感じづらい宇宙空間でもしっかりと味がするからなのかも。
カレーが人気なのも香辛料のおかげかもね。

加えて、食品としての安全管理にも最大限の注意を払っているのだ。
宇宙からはすぐにもどれないから、食中毒なんてしゃれにもならないしね。
そこで米国で生まれた管理技術がHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)、いわゆる「ハサップ」なのだ。
様々なリスクを科学的に分析した上で、そのリスクごとに管理を行うという手法で、ようは一つ一つリスクをつぶすように管理を行う手法なんだ。
この方法では各工程ごとに管理できるので、最後にランダムで抜き取り検査をするだけよりもはるかに高い安全性で管理できるんだ。
この手法は一般の食品なんかにも広まっていて、マクドナルドでも使われているんだよ。
ただし、これは安全管理であって、品質の管理ではない点に注意なのだ。
品質を管理するには、環境要件で加熱時間を変えたり、素材の質で扱いを変えたりなんてことをする必要があるので、画一的に工程管理をするハサップとはまた別の話なんだそうだよ。

というわけで、だいぶ宇宙食についてわかったのだ。
オーストラリアの宇宙ビールが本当にこれだけの条件をクリアしているかはわからないけど、ゆくゆくは宇宙空間に出て丸い地球を見ながら冷たいビールでいっぱい、なんてこともできるのかも。
でも、宇宙は無重力なので、体を固定しないとくるくる回転するし、もともと全身がむくむ傾向にあるので、なんだか悪酔いしそう・・・。

2011/03/05

おっと転んで大分県

先日、道を歩いていたらもともと街路樹があったと思われるくぼみに足を取られてしまったのだ(ToT)
ぐきっと足を痛めてしまったんだけど、歩けないほどではなかったので、そのまま歩いていたんだよね。
そうしたら、案の定、腫れもひどくなってきて熱も帯びてきたのだ!
で、そこから湿布をし、あまり動かさないように気をつけることにしたんだ。
しばらく安静にしていると、ウソのように腫れも引いてきて、痛みも緩和されるからやっぱり無理をしないことが大事なんだね。
というわけで、きちんと治すためにも、ちょっと調べてみたのだ。

転んだときにするけがは大きく分けると3種類で、筋肉が損傷して内出血なども起こる打ち身(打撲)、骨が損傷する骨折(ひびが入るだけでも骨折なのだ。)、そして、靱帯や関節包など関節の軟組織が損傷する捻挫の3つだよ。
今回のボクのけがの場合は軽くひねっただけだけど、どうも軽度の捻挫と思われるのだ。

打ち身は筋肉に過剰な負荷がかかって筋繊維が断裂して起こるんだけど、そのとき、筋肉中に走っている細い血管が切れるので内出血を伴うことが多いのだ。
ヴェニスの商人でおなじみのように、血を出さずに肉を切ることはできないわけ。
すると、それが局所で黒く固まって、外から見ると青から紫に変色して見えるんだよね。
これがいわゆる「青あざ」だよ。
見た目にも痛そうだよね。

骨折はそのままで骨が折れてしまったり、骨にひびが入ってしまうことだけど、骨折した場合の特徴としては「気持ち悪くなる」というのが知られているのだ。
また、とにかく痛くて痛みが持続するのも特徴。
骨の表面の骨膜には神経が多く走っているので、その神経ごと損傷するとそうなるみたい。
ちなみに、骨が折れて皮膚を突き破ると複雑骨折・・・。
考えただけで痛そうで背中がぞくぞくするよ(>o<)

捻挫のは関節が可動域を超えて動いたことにより回りの組織に損傷が起こった状態。
ひどいのはアキレス腱が切れた、というような靱帯断裂の状態。
軽いものでは関節の部分の軟骨がちょっと損傷したり、靱帯が少し伸びたり、という程度。
それでも侮れないのは、痛くなくなったと思っていて動かすと、そのまま関節の可動域がおかしくなってしまって、「捻挫ぐせ」がついてしまうのだ!
動かさないように安静にしてきちんと治すことが大事なんだって。
ボクも気をつけないと・・・。

どれも運動障害が特徴的だけど、損傷している箇所が違うので治る期間も変わってくるのだ。
筋肉は割と回復が早いのでよほどのけがでない限りはだいたい1週間以内で治るよね。
突き指程度の軽い捻挫もそれくらい。
でも、骨折だと1ヵ月以上はかかるし、捻挫でも靱帯が損傷している場合なんかはそれより時間がかかることがあるのだ。
骨のひびとか捻挫とかだとある程度のところで動かせるようにはなるけど、下手にそこで動かすと関節が変形したりすることもあるので、重大なけがの場合はしっかり固定して安静にすることが必要みたい。
で、ギブスや添え木で固定して動かないようにするのだ。
固定できない部分の骨折(代表的な例は肋骨)なんかだと、コルセットを着けたりはするけど、自分で気をつけないといけないんだよね。
これは苦しいそうだよ。

で、それぞれのけがで共通なのが炎症反応。
発赤、熱感、腫脹、疼痛が4大症状が出てくるのだ。
発赤は損傷部位の回りの血管が拡張するために赤く見えるんだけど、これは炎症が起こっている部位に炎症性細胞(白血球やマクロファージ)を集合させるために血管が太くなるんだ。
同時に、これらの細胞が炎症が起こっている損傷部位に行きやすいように血管の内皮細胞の結合がゆるくなって隙間が大きくなるのだ。
血管の透過性の亢進と言われる現象だけど、これにより血液中の水分が損傷部位の周辺の間質に移動して起こるのだ。
炎症部位に水分がたまるのでふくれるわけ。
ともに、ケモカインやインターロイキンなどのサイトカインと呼ばれるアレルギー反応の伝達物質によって引き起こされる反応なのだ。

熱感も同じで、免疫反応は体温が高い方が効率がよいので、炎症部位周辺で発熱をさせる必要があるのだ。
このためにも血液の流入量を増やすことが重要なんだ。
特に手足の先などの末端組織の場合はあまり血流が良くなくて冷えていることが多いからね。
最後の疼痛はそれこそ筋肉や関節、骨といった組織と一緒に神経が損傷しているから起きているもの。
自分で経験してみると、それぞれ痛みの特徴も違うことに気づくよ。
よく汚した後にお医者さんに言って、どんな痛みですか?、って聞かれるのはそのため。
ズキズキだったらどこがあやしい、じーんだったらどこがあやしい、ということ。
それに関節を少し動かしてみて痛みの発生の違いを見ると、筋肉を痛めたか、関節を痛めたか、骨を痛めたかの見極めがつくのだ。

こういう症状が出た場合の対処法だけど、なんといっても炎症が起きていて熱があって腫れている間は冷やすのが肝心。
本来この炎症反応は良かれ、ということで起きているはずなんだけど、筋肉や関節、骨の物理的な損傷の場合はそんなにアレルギー反応は役に立たないのだ(笑)
同時に、固定をしてあまり動かさないようにすることで、損傷が広がるのを食い止め、自然に治癒するのを待つことなのだ。
ここでがまんがきかないと、骨が変形してくっついたり、関節がおかしくなったりするので要注意。
腫れも引いて痛みもとれてもう大丈夫だな、となったらリハビリも重要。
ずっと動かさないと筋肉も落ちているし、関節の可動域も少し狭まっているので、前と同じように動かすためには違和感がなくなるまでリハビリをする必要があるのだ。

というわけで、ボクもまずは静養して、後でゆっくりとリハビリしないと。
けがをしないのが一番だけど、どうしても避けられないから、こういうことを学んでおくのも大事だよね。
これこそ「けがの功名」?