2007/12/31

これはなんの形?

日本ではぽりぽり・ぱりぱりのお菓子と言えばあられとかおせんべいだけど、米国ではプレッツェルなんだよね。
国内便の飛行機でも飲み物とプレッツェルが機内で出たりするんだけど、そういう「おつまみ」的に使うところも同じなのだ。
プレッツェルは殺陣委は甘くなくて塩味だから、実際にビールのおつまみにもなるらしいけど、米国人の大好きなピーナツ・バターをたくさんぬった、でも全然甘くないようなやつもあるんだよ。
前にアメ横でチョコレートのたたき売りを買ったら、甘くもしょっぱくもないプレッツェルが大量に入っていたことがあったのだ(だから売れ残ってたたき売りに入っていたんだろうけど。)。
でも、ボクはけっこう好きになってしまって、くせになっちゃったんだよね(笑)

で、日本人から見ると、プレッツェルは一口大でハートのような形の中に結び目のあるお菓子をイメージするけど、米国には大きくてやわらかいプレッツェルもあるのだ。
まさに結んだパンのようになっていて、それにマスタードをつけて食べるんだって。
ボクはまだ試したことがないんだけど、けっこう食べている人を見かけるよ。
あの独特の形に焼き上げた小麦粉の焼き菓子なら、大きくても小さくても、かたくても小さくてもプレッツェルみたい。

プレッツェルはパンと同じで小麦粉とイーストを原料に作られるみたいだけど、小さく作ると焼き上げたときにぱりぱりになって、大きく作ると中がスナックパンのような状態になってやわらかくなるのだ。
ようは大きさの違いで焼き上がりが変わってくるから食感が変わるんだよね。
で、このプレッツェルを焼くときの特徴は、焼く前に水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)にくぐらせて、岩塩をまぶすことなんだって。
水酸化ナトリウムにくぐらせる意味はいまいちよくわからないけど、キジの中のグルテンを変性させてあまりもちもちした食感にならないように工夫しているのかな?

このプレッツェル、いつのころからどこで作られ始めたのかはっきりしていないんだって。
南ドイツのブレーツェという焼き菓子が広まったという説がある一方で、ドイツと国境を接するフランスのアルザス地方のものだとする説もあるそうだよ。
できた年代も不明で、中世欧州とする説もあれば、ローマ帝国まで遡るとかケルト人のお菓子だというものもあるみたい。
というわけで、よくわからないけど欧米で広まっているお菓子なのだ(笑)
米国ではよく見かけるだけあって、2億ドル近い規模の巨大産業なんだそうだよ。

プレッツェルの歴史が不明なように、その独特の形の由来もわかっていないようなのだ。
窃盗をして捕まったパン職人が「太陽をひとつの角度から三度見ることができれば牢獄に入らなくてもよい」と領主に言われ、パンをプレッツェルの形に練り上げて焼き上げた、とか、祈りを捧げている修道士をかたどったものなんて伝承があるんだって。
キリスト教の三位一体を表しているなんて説もあるみたいだよ。
かつてのドイツでは3つの輪をつなげた形の看板がパン屋で使われていたようなんだけど、この看板からプレッツェルの形ができたのか、プレッツェルの形に似せて看板を作ったのか、いつできたものかわからないからはっきりしないようなのだ。
つまりは、よくわからないけど、伝統的にあの形に作っているということなんだよね(笑)

2007/12/30

ハッ!ドッ!!

米国のソール・フードと言えばなんと言ってもホットドッグ。
平均すると年間で一人あたり60本以上のホットドッグを消費しているとも言われていて、そうすると、週に1回以上は食べている計算になるのだ。
どこに行っても軽食としてホットドッグは置いてあるので、日本のおにぎりと同じように小腹が空いたときに食べる、というものなのかもね。

ホットドッグは縦長のパンにソーセージをはさんだ物で、ピクルスや玉ねぎのみじん切りのレリッシュを載せ、ケチャップとマスタードをかけて食べるのがもっともシンプルなもの。
ドイツのすっぱいキャベツことザワークラウトを添えることもあるよね。
これにチリ・ソースをかけたり、チーズを入れたりもするのだ。
日本ではパンが焼いてあったり、ソーセージが炒めてあったりするけど、本場米国式は、蒸したパンにゆでたソーセージをはさむのだ(米国は空気が乾燥していてパンがかたいので、蒸した方がおいしいんだよ。)。

ソーセージは米国では牛肉100%か牛ブタの合い挽きが多いけど、日本でははじめにドイツ製の豚肉で作ったソーセージが入ってきたこともあって豚肉のソーセージをはさむことが多いんだよね。
これは牛肉が侯金物だった、と言うこともあるけど、もっと貧乏くさい日本式ホットドッグでは魚肉ソーセージなんかもはさまれてしまうのだ(>_<)
家庭では小ぶりのコッペパンにフランクフルトじゃなくてウィンナーをはさんで、キャベツなんかを加えたものがおやつとして食べられたりするよね。
それはそれでなかなかおいしいけど、いわゆる米国のホットドッグとはかなり違ったものであるのも事実なのだ。

ホットドッグの「ドッグ」はソーセージのことを指しているんだけど、これは19世紀の中頃からそう呼ばれ始めたと言われているんだって。
形が細長くてダックスフントに似ているので、ダックスフント・ソーセージと呼ばれるようになり、それが略されれ単に「ドッグ」になったというのが通説なんだけど、野犬狩りで捕まえた犬の肉が材料に使われたなんていう都市伝説に由来するなんていう説もあるみたい。
某有名ハンバーガー・ショップでネコ肉のハンバーガーが作られている、なんてのと同じような話だよね。

温めたソーセージをパンにはさんで食べ始めたのはドイツ系の移民たちと考えられていて、今のような形のホットドッグを始め、米国に広めたのはコニー・アイランドで屋台を開いていたチャールズ・フェルトマンさんと言われているのだ。
実は、この人の屋台で使用人として働いていたのが、米国でもっとも有名なホットドッグ・チェーンのネイサンズを築いたネイサン氏で、ホットドッグのノウハウを手に入れるとフェルトマンさんの屋台の目の前に店を開いて大成功したらしいのだ。
今年は負けてしまったけど、小林尊さんが連続優勝していてニュー・ヨークのホットドッグ早食いコンテストを開催しているのもネイサンズだよ。

でも、実際にはいつの間にか米国中に広まっていたというのが本当のところのようで、どこが発祥なのかはようわからないようなのだ。
日本でもカツサンド発祥の店はどこだ、カツ丼発祥の店はどこだ、ともめることがあるけど、それと同じようなものみたい。
たかだか100年ちょっと前の話でもわからないものなんだよね。
ドイツ系の移民がそういう風に食べていたとすると、実は同時多発的に生まれていて、統一的にホットドッグと呼ばれるようになっただけかもしれないんだけどね。

2007/12/29

炭の力

炭というと燃料のイメージが強いよね。
さすがに主力の燃料ではなくなったけど、炭焼きの焼き肉とかおもちはおいしいなんて言われるのだ。
でも、炭はただ燃やすだけが能ではないんだよ。

いわゆる活性炭というのは特殊な処理をしてある細かく砕かれた炭だけど、これは冷蔵庫の消臭剤や水槽の濾過装置に使われるんだよね。
これは、炭がもともと空気の中の大きな分子量の分子や水中の有機物を吸着させやすい性質を持っていることを利用したものなんだ。
吸着する面が広ければ広いほど吸着量は増えるわけだけど、活性炭は表面がデコボコで、小さな穴が無数に開いているのだ。
そのために表面積がとても広くて、吸着力が強くなっているというわけ。
その吸着力の強さを利用したのが消臭剤としての利用だったり、濾過装置としての利用なのだ。

実は、これと同じようなものは家庭でも簡単に作れるんだよ。
それはコーヒーを入れた後のコーヒーがらなのだ。
コーヒーがらも炭と同じような吸着の性質を持っていて、しかも、細かく砕かれていてけっこう表面積も大きくなっているのだ。
なので、コーヒーを入れた後にコーヒーがらをよく乾燥させて、空気を通すキッチン・ペーパーやティッシュで包むと、活性炭の消臭剤と同じような効力のある手作り消臭剤ができるんだよ。
ボクも自分で作って冷蔵庫に入れているのだ。

これはやったことはないけど、理論的には空気中の大きな粒子も吸着するはずなので、煙なんかのもとの微粒子も吸着するはずなんだよね。
この性質を利用するとなかなかおもしろそうな実験ができるのだ。
透明な箱とか袋に線香の煙を入れて、そこにコーヒーがらを入れた場合と入れない場合で線香の煙がどうなるかを5分おきとかに見てみると、きっとコーヒーがらを入れた方が早く煙が晴れるはずなんだ。
うまく行けば十分に夏休みの宿題の自由研究にも使えるよね。

活性炭の力はそれだけじゃないのだ。
活性炭には気化熱による冷却効果を利用した使い方もあるんだよ。
気化熱は水が蒸発して水蒸気になるときにまわりの熱を奪っていくわけだけど、そのときの他の物質に接しているとその物質から熱を奪っていくのだ。
なので、物質の表面で水が蒸発していくとその物質が冷やされていくのだ。
これが気化熱による冷却の原理で、人間のかく汗もこの原理で体を冷やしているんだよね。
で、この気化熱による冷却は、水が触れている部分が多ければそれだけ多くの熱を奪うことになって、効果が高まるのだ。

活性炭の場合は、その小さな穴で表面積が広くなっていて、水に触れている部分がとても多いので、この冷却効果が高いというわけ。
乾燥しているところで活性炭に水を垂らしていくとかなりの冷却効果があるんだよ。
これを利用した、電気を使わない原始的な冷蔵庫もあるのだ。
車に入っているラジエーターなんかもこの気化熱の原理で冷却しているんだよね。
ラジエーターが蛇腹状のくねくねした形状になっているのは表面積をかせいで冷却効果を大きくするためなのだ。

2007/12/28

みかんは食べるだけじゃないよ

いわゆる日本のみかんの温州みかんは米国でもフロリダなんかで栽培されていて、サツマ・オレンジとして売られているのだ。
小型のオレンジのタンジェリンなんかはかなり近縁で似たような感じなんだけど、やっぱりオレンジとみかんは風味なんかが違うんだよねぇ。
で、ついつい売っているとみかんを購入してしまうのだ。
ちなみに、フロリダには既に明治時代に苗木が送られていて、そこから栽培が始まっているとか!

みかんは食べてもおいしいし、ビタミンCをたくさん含んでいるので、風邪の予防にもよいと言われているんだよね。
むかしは温室栽培なんかもないから、冬にビタミンCが摂取できるさつまいもやみかんは貴重だったはずなのだ。
でも、みかんはそれだけじゃなく、皮も利用できるんだよね。
みかんの皮を乾燥させたのが漢方薬(生薬)の陳皮で、健胃薬、鎮咳薬なんかに使われるんだよ。
これには薬用成分の効能だけじゃなく、独特の香り成分も大きく貢献しているんだよね。
七味唐辛子にも入っているのだ。

で、この陳皮の香りの主成分はリモネンというテルペノイドのひとつの単環式モノテルペンの一種なのだ。
テルペノイドというのは生体内で作られる物質で(植物や昆虫、菌類が作るのだ。)、イソプレンという炭素が5個つながった物質を単位にして、つなげたようなものなのだ(これは生合成の経路による特徴なんだよ。)。
もともとは精油の中から見つかった、イソプレンが2つつながった炭素10個の物質の一群に与えられた名称だったんだけど、同じようにイソプレンを複数つなげて作られる一連の物質が後から見つかったので、まとめてテルペノイドと呼ばれるようになったみたい。
このテルペノイドには様々な効能を持つ物質があるんだけど、リモネンはその中でも有名なもののひとつなんだよね。

柑橘類独特のシトラス臭がいわゆるリモネンの香りで、荒涼として使われることもあるくらい。
シトラス風味の中性洗剤の香料にはこのリモネンが使われていることが多いんだよ。
このリモネンは揮発性でかつ引火性もある物質で、さらに、発泡スチロールなどの樹脂をよく溶かすことで知られているのだ。
天然成分で比較的安全と言うことで発泡スチロールの溶剤に使われてもいるんだよ。
このリモネンはプラスチックも溶かすので、みかんの皮をしぼると出てくるオレンジ色の油のついたてでプラスチック製のメガネのレンズをさわるとそのレンズはダメになってしまうことがあるのだ!
子どもなんかはよくみかんの皮をしぼって油を飛ばして目つぶしに使ったりするけど、メガネをかけている人に当たると、そのメガネがダメになることもあるので注意が必要なのだ。
でも、この油の積極的な使い方もあって、なかなか落ちない油性マジックの汚れなんかはみかんの皮でこすると油性インクがリモネンで溶けてきれいに落ちたりするんだよね。

リモネンには引火性もあるので、ライターの火にみかんの皮をしぼると青い炎になるのだ。
これはリモネンが燃えているからだよ。
リモネンは揮発性なんだけど、みかんの皮の中では小さな袋の中に入って閉じこめられているので、そのままでは揮発していかないのだ。
なので、乾燥させて陳皮の状態にして残っていて、それが陳皮の香り成分となるわけ。
乾燥した陳皮も燃やすとちょっと青い炎が出るんだよ。

それから、この時期のみかんの活用法といったらなんと言ってもあぶり出し。
みかんを搾った汁で字や絵を描くとあぶり出しになるのだ。
実はちょっと色がついているので完全に見えないわけじゃないんだけど(笑)
このあぶり出しは軽くライターの火であぶってあげると茶色くなって字や絵が浮き出るのだ。
みかんを食べたらひとふさ残しておいてあぶり出しに使って、皮は油性マジックのシミを消すのに使ったり、乾燥させて陳皮にしたりすればまさにいろんな用途に使えるんだよね。
なかなかあなどれない果物なのだ。

2007/12/27

正宗なみの切れ味

日本のカミソリといえばかつては日本刀以上の切れ味といわれるほどのものだったんだよね。
でも、電気シェーバーや安全カミソリなんかが普及して、すっかり姿を消してしまったのだ。
今ではむかしながらの日本式のカミソリを専門に作っている職人さんはほとんどいないそうだよ。
確かに電気シェーバーや安全カミソリになれてしまうと切れ味の鋭いカミソリを使うのは少しこわいけどね(>_<)

いわゆる安全カミソリは薄い鋼で作った刃を皮膚に食い込まないように一定の角度で固定したもので、T字の上辺に刃がついているのでT字カミソリとも呼ばれるのだ。
柄ごと使い捨てになっているものから、刃の部分が交換できるものまでいろいろあるけど、基本的には刃は使い捨てで、旧来のカミソリのように研いで使うことはないのだ。
最近は1枚刃のものは少なくて、複数の刃がついているよね。
別に刃の枚数が増えても切れ味はかわらないようなんだけど、刃の枚数が増えることでそれぞれの刃1枚あたりにかかる圧力が分散するのでより肌に優しくなるそうだよ。
弱い力でもきれいに剃れるということなのだ。
刃の前にすムーサーと呼ばれる水溶性の樹脂がついているものもあるけど、これは樹脂が少しずつ溶けることで、刃の滑りをよくし、同時に皮膚を守っているみたい。

ボクはわりと肌が弱いのでカミソリ負けをすぐするんだけど、これはカミソリの刃が食い込みすぎて皮膚の表面を削ってしまうために起こる炎症なのだ。
皮膚の表面がはがれていると言うことでは擦過傷や軽いやけどと同じような症状なんだよね。
ひりひりと痛むところも同じ。
せっけんの泡をつけたり、シェービング・クリームやジェルを使って滑りをよくすると、無理に力を入れずともカミソリが滑るようになるのでカミソリ負けしにくくなるのだ。
ボクの場合はジェルが一番よいのだけど、米国にいてからはジェルが肌につけるとフォーム(泡)になってしまうタイプのものしか売ってなくて、ちょっとカミソリ負け気味なんだよね。

安全カミソリといっても正しい使い方をしているとけがをしにくいというだけで、横に滑らせるとやっぱり皮膚が切れてしまうのだ。
最近ではこれを防止するために刃の上に金属のワイヤーがあるやつもあるよね。
「切れてな~い」というやつなのだ。
これはワイヤーが間に挟まることで刃が直接肌に触れにくくなるので、横滑りによる切り傷を防ぐ役割を果たしているんだ。
さらに、最近では電動で細かく振動する電動式の安全カミソリなんてのあるんだよね。

一方、電動シェーバーは芝刈り機と同じように、細かい金属の刃のついた板を回転させたり、左右に動かしたりして毛を刈り取るようにしているのだ。
でも、そのまま刃のついた金属板を肌に近づけるのは危険なので、いわゆる網刃という穴の開いた金属の薄い板を間にはさむんだよね。
この穴から中に入った毛だけを刈り取るのだ。
電動シェーバーの場合は水がいらないので手軽に剃れるんだけど、ある程度毛の密度がないとうまく剃れなかったりするんだよね。
毛が柔らかすぎたり、かたすぎてもうまく剃れないのだ。
ボクの場合は、ヒゲはかなりかたい毛なんだけど、密度が薄いので電動シェーバーだとうまく剃れないんだよね。
なので安全カミソリを使うようになったんだ。
ただし、電動シェーバーでもときどき皮膚を挟み込んでしまうこともあるし、刃が切れなくなってくると刈り取るというよりも引っこ抜く感じになるので、肌荒れすることがあるのだ。
そういうのを防ぐためにも、滑りをよくするプレシェーブ・ローションなんてのを使うことがあるんだよね。

2007/12/26

時の人

クリスマスの「時の人」と言えば、なんと言ってもサンタさんだよね。
もともとはキリスト教の習慣のクリスマスだけど、今では世界中に広まっていると言えるのだ。
日本のクリスマスなんて宗教色がほとんどなくなっているしね。

サンタクロースはもともと聖ニクラウスで、これをオランダ語にすると「シンタクラース」というそうで、オランダ系移民が米国に「サンタクロース」と伝えて広まったと言われているんだって。
聖ニクラウスは貧しさのあまり3人の娘を身売りしなければいけない貧しい家の存在を知り、夜中にその家の煙突から金貨を投げ入れたんだって。
その金貨はたまたま暖炉に下げられていた靴下に入って、その家では娘たちを身売りせずに済んだそうなのだ。
これが聖ニクラウスのお話なんだけど、これを1822年にニュー・ヨークの神学者のクレメント・クラーク・ムーアさんが病身の子どものために「聖ニクラウスの訪問」という詩にし、その物語が全米に広まったそうだよ。
靴下にプレゼントが入っているのは聖ニクラウスの逸話に由来しているのだ。
ちなみに、オランダではもともと聖ニクラウスの命日の12月6日に「シンタクラース祭」を祝う習慣があったそうで、これがクリスマスと混ざったのだ。

正教系の国ではサンタクロースは「奇蹟者」である聖ニコラオス(ニコライ)のことで、その祝日はオランダの「シンタクラース祭」と同じ12月6日。
子どもたちがこの日に靴下をつるしておくと、翌朝お菓子が入っているそうだよ。
正教系の国ではクリスマスはキリストの生誕を祝う祝日で、靴下にプレゼントが入っているのはニコライの祝日で、分かれているのだ。
御茶ノ水駅近くの神田ニコライ堂はニコライの名があるし、正教系の教会だけど、やっぱりそこは厳密に分けて祝っているのかな?

ドイツなんかでは、サンタさんは二人の怪人を連れていて、よい子にはプレゼントを、悪い子にはお仕置きを、と厳しい一面ももっているようなのだ。
日本でも、大晦日に歳神が家々を訪れて幸福を授けていくなんて伝説があるけど、同時に、大晦日にはなまはげやあまみはぎが家々を訪れて悪い子や怠け者を懲らしめるんだよね。
なんだかそう考えると、時期もほとんど一緒だし、共通点が多いのだ。

サンタさんは19世紀の初出の絵では一頭立てのトナカイのソリに乗っていたらしいんだけど、そのうち八頭立ての立派なソリに乗っているようになって、それが今に続いているらしいのだ。
赤鼻のトナカイのルドルフはもともと米国の人形劇のお話で、それが広まったものだよ。
サンタさんのちょっとでっぷりして、白い髪、白いヒゲ、赤い服といった容姿はけっこう早くから定着していたようで、やっぱりクレメント・クラーク・ムーアさんが1849年に書いた「クリスマスの前の晩」という本の挿絵では既に赤い服を着ているらしいよ。
その後、トーマス・ナストさんという人がまるまると太ってにこにこしたサンタさんの絵を描き、それがスタンダードになったんだって。
サンタさんが北極に住んでいるというのもトーマス・ナストさんが最初に書いたらしいよ。
いわゆるサンタさんの赤い服はコカ・コーラのCMで定着したという説があって、ボクも信じていたんだけど、どうもその前から今のような姿は確立されていたみたいで、俗説らしいのだ(>_<)

2007/12/25

クリスマスにはつきもの

クリスマス、というか、たいていの過程はイブだけど、ケーキを買ってきて食べるよね。
最近はいろいろな種類があるけど、スポンジケーキに生クリーム又はバタークリームをぬってイチゴを載せたケーキが一般的なのだ。
ケーキ自体は上に載っているかざりが違うだけで、基本的には誕生日ケーキと同じような感じだよね(笑)

このクリスマス・ケーキの習慣を広めたのはなんと不二家らしいのだ。
最近は偽装問題ですったもんだがあったけど、不二家の創業は明治43年(1910年)で、そのころに現在の日本のケーキの代名詞のスポンジケーキにクリームをぬったものを販売し始めたらしいのだ。
クリスマス・ケーキを売り出したのは大正11年(1922年)で、上にサンタさんのかざりなんかをすでに載せていたらしいよ。
戦中から戦後すぐは一時廃れるけど、戦後になるとまたクリスマスを祝う習慣が復活したので、クリスマス・ケーキも食卓にもどってきたのだ。

かつては保存技術がそんなに発達していないので、長持ちするバタークリームが多かったんだよね。
濃厚で、生クリームに比べてかたいのだ。
バタークリームの方が好きだって言う人もいるけど、しつこいのであまり量は食べられないのだ。
でも、牛乳が苦手な人なんかにはこっちの方がいいのかな。
まだけっこう見かけるよね。
日本ではこの他にも外国の習慣を取り入れたものや、様々な趣向をこらしたクリスマス・ケーキがあるよね。
アイスケーキなんてのもあるのだ。

英国でクリスマスに食べるケーキといえばクリスマス・プディング。
いわゆるプリンのプディングじゃなくて、ずっしりと重い蒸しパンのようなやつだよ。
小麦粉、バター、砂糖、卵、ブランデーに漬けたドライフルーツ、ナッツなんかをまぜて、一晩寝かせてから型に流し込んで蒸すんだって。
で、蒸した後もさらに寝かせることでアジが熟成されると言われていて、食べる前にはまた少し蒸して温めてから切り分けるそうだよ。
ホイップクリームやカスタードクリームをかけて食べるんだけど、特徴は中にコインや指輪などを入れておくこと。
切り分けられたときにコインや指輪が入っているとその年に幸せになるなんて言われているんだよね。
たぶん、これはクリスマスの休暇の時期に長持ちするようにということで作られていたんじゃないかと思うんだよね。
日本のおせち料理と同じような考え方なのだ。

これに似ているのはドイルのシュトレン(シュトーレンと伸ばすのはドイツ語の発音的に間違いだそうだよ。)。
ブランデーに漬けたドライフルーツをたっぷりのバターと一緒に練り込んだ細長い菓子パンで、ものすごく日持ちがするものなのだ。
ドイツではアドヴェントといってクリスマスの4週間前からクリスマスに向けて備えるんだけど、そのときに食べるのがこの菓子パンなんだって。
その間持つように作られているというわけなのだ。
シュトレンというのは坑道を意味する言葉だけど、たっぷりと粉砂糖をふってあるその見た目は、幼子イエスを産着でくるんだ姿に見立てているんだって。
これもきっとクリスマスの時期に長持ちさせるための料理だったはずなのだ。

最近日本でもはやっているのがフランスのブッシュ・ド・ノエル。
薪の形を模したロールケーキだけど、名前も「クリスマスの薪」という意味なんだよね(笑)
ロールケーキにココアクリームをぬって、フォークで線をつけて気に見えるようにしたものなのだ。
中にドライフルーツが入っていることが多いのは英国やドイツともとは同じようなものだったからなのかも。
なんで薪の形にしているかはよくわからないみたいだけど、キリストの誕生を祝い、夜通し暖炉で薪を燃やした、ということに由来する、とか言われているらしいよ。
もともとクリスマスが冬至祭だったことにも関係あるという説もあるみたい(北欧の古い習慣が取り入れられたという説なのだ。)。
※冬至は太陽の力が一番弱くなると考えられていたので、燃料の薪を加えて太陽の力を再び強くしようとした、とか、たぶんそういうことだよ。

いずれにしても、クリスマスには甘いものを食べるという数缶は世界に共通しているみたいだよね。
ケーキなんていつでも食べられるような気もするけど、なぜかクリスマスのケーキはうれしかったりするものなのだ(笑)
むかしはそれこそケーキなんて食べる機会は少なかったから、よりうれしかったんだろうね。

2007/12/24

子どもが苦手なあの野菜

子どもが苦手で、大人でも苦手な人が多い野菜といえばセロリ。
独特の香りが嫌われる原因なんだろうね。
ボクも子どものころはそんなに好きではなかったけど、最近ではけっこう好きなのだ。
日本では生で食べることが多いけど、実は肉類と一緒に炒めたり煮たりすると臭みを抑えてくれるので、肉類がよりおいしく食べられるのだ。

セロリは葉っぱを見るとわかるとおりセリ科の植物で(ぎざぎざの細い葉っぱが特徴だよね。)、欧州から中近東にわたる冷涼な高地の湿原が原産地と言われているんだって。
日本には朝鮮出兵(文禄・慶長の役)の際に加藤清正さんが持ち帰ったという伝説があって、清正人参とも呼ばれるのだ。
でも、一般には江戸の終わりのころにオランダを通じて入ってきたので、オランダミツバと呼ばれることが多いよね。

根、茎、葉、実とほぼすべての部分が食用できるようなんだけど、その臭みのためになかなか普及せず、日本では戦後になって洋食が普及してから広く食べられるようになったようなのだ。
ローマ・ギリシアでは食用とされずにむしろ整腸作用や強壮作用のある薬として用いられていて、欧州でも食用にされるのは17世紀を過ぎてからのようだよ。
やっぱりあの独特な強い香りがネックだったんだろうね、そこが薬としてはききそうな感じを出しているけど。
中国には西洋からわたってきたセロリを品種改良した芹菜(きんさい)というのがあって、これは炒め物によく使われるんだって。
広東セロリとも呼ばれているようだよ。
セロリは炒めてもしゃきしゃき感が残るので、ボクはその食感が好きでときどき入れるんだよね。

実は、セロリも属するセリ科の植物は香味が強い植物で、日本でもよく使うセリやミツバはやっぱりその独特の文を楽しむものだよね。
西洋で使われるキャラウェイ、クミン、フェンネル、パセリ、イタリアンパセリなどもみんなセリ科なのだ。
その強すぎる香りから苦手な人も多いコリアンダー(香菜)もセリ科だよ。
そう考えると、実はセロリはそんなに香りは強い方じゃないよね。
まずは子どもにコリアンダーがたっぷりはいた生春巻きを食べさせて、その後にセロリを食べさせればはるかにましだから食べられるようになるかも(笑)

2007/12/23

ゆず湯に入ってかぼちゃを食べよう♪

米国時間では昨日が冬至だったのだ。
冬至の日には昼間の時間が一番短くなって、夜の時間が一番長くなるんだよね。
※実際には、日の出と日の入りの定義が太陽の上端が地平線・水平線と重なった瞬間と定義されているので、実際には数日ずれるらしいのだ・・・。
これから昼間の時間は長くなっていくけど、寒さの本格化はこれから。
まだしばらく冬に耐えなくちゃいけないんだよね。
実際に冬至の後には小寒と大寒が控えているしね。

日本では、冬至の日にはゆず湯に入って、かぼちゃを食べるとカゼを引かないなんて言うよね。
冬至の日は特徴的な日なので、世界中でいろんな考え方があって、クリスマスももともとは冬至の日のお祭りが取り入れられたものとも言われているんだ。
冬至の日は昼が最も短くなって太陽の力がもっとも弱くなると考えられていて、冬至を過ぎるとまた力を徐々に取りもどして昼間が長くなっていくので、その力を取りもどしてもらうためのお祭りをしていたらしいのだ。
これがキリストの復活とイメージ的に重なったっていうのもあって、実際に誕生日が本当にこの12月の終わりだったかどうかは定かじゃないものの、冬至に近い時期に設定されるに至ったようなのだ。
太陽信仰がある地域では、冬至や日食に関しては同じような風習があったりするんだよね。

冬至の日が昼間が一番短い日だけど、実は日の出の時間がもっとも遅くなる日、日の入りがもっとも早くなる日は一般に一致しないらしいのだ。
日本の場合は、日の出でがもっとも遅くなるのは冬至の半月後くらいで、逆に日の入りがもっとも早くなるのは冬至の半月くらい前なんだって。
なので、すでに夕方暗くなるのは遅くなっているということなんだよね。
たぶん、地球と太陽の位置を考えるとそうなるんだろうけど、なんだか不思議なことだよね。

ちなみに、当たり前のことなんだけど、南半球では冬至の日は昼間が最も長くて、夜が一番短い日なんだよね。
季節がちょうど逆転するから、夏至と冬至の関係もそうなるのだ。
なので、もともと冬至のお祭りだったクリスマスも夏のまっさあかりなので、オーストラリアではサンタさんがサーフィンしていたりするんだよね。
日本のゆず湯に入ったり、かぼちゃを食べるという習慣は寒い冬に備える習慣のようだけど、こういうのは南半球では通じないんだね。代わりに夏至の日にやったらよいのだ(笑)

2007/12/22

広報はこれにお任せ

日本政府の公報媒体と言えばなんと言っても官報なのだ。
お役所の営業日には毎日発行されていて、特別の事情がある場合は土日や休日でも特別号外という形で発行されるんだよ。
主要都市の政府刊行物センターや都道府県庁所在地の官報販売所などで売っているほか、過去1週間分はインターネットでも閲覧できるのだ。
今では独立行政法人になった国立印刷局が発行しているんだよ。

官報が創刊されたのは明治16年。
山県有朋さんの建議で発刊されることとなり、官報に書いてる題字の「官報」の文字は時の太政大臣の三条実美さんの書らしいよ。
当時は太政官文書局が編纂し、大蔵省印刷局が印刷、農商務省駅逓局が配送していたんだって。
それまで政府からのお知らせは江戸時代と同様に高札(つまりは立て札)により行っていたんだけど、新しく法律がどんどんできはじめる明治になると、板に墨書きで作る立て札は製作と維持にコストがかかるので、明治6年には廃止されてしまうんだって。
これに代わって太政官が法令を府県に配布して、それを印刷して町村の役場に配布・掲示する方式をとったんだけど、これだと法令の公布に2ヶ月以上も要して緊急の法整備ができないので、もっと早く公告する必要があったのだ。
そこで出てきたのが政府自らが新聞を発行するというアイデアなんだけど、これを推進していた大隈重信さんが失脚してしまったため、この構想は立ち消えになるのだ。
で、プロシアやロシアの制度を参考に、官報が作られることになったんだって。

官報では新しく作られた法令が掲載されて、それをもって「公布」されたと見なされるんだけど、実は現行法令では官報で公布しなくちゃいけないっていう規定はないんだよね。
戦前は勅令により法令の公布は官報で行うことと定められていたんだけど、日本国憲法の施行でこの古い勅令は廃止されてしまって、その後公布をどのように行うかを規定する法律が作られなかったのだ。
でも、一般的には法令の公布は官報の掲載をもって行われると認識されていて、最高裁の判決でも、他の適当な方法で公布を行うことが明らかな場合でない限りは官報をもって公布を行うのが妥当と解釈される、という見解を示しているらしいよ。
日本の法律にはよく「××は、○○を定めたときはこれを公布しなければならない」なんて規定があるけど、行政法の世界ではこの「公布」は一般的に「官報の掲載をもって広く周知すること」と考えられているそうだよ。

官報には法令だけじゃなく、実はいろんな情報が載っているのだ。
大きく分けると公報と公告に分かれているよ。
法律や政令、各省庁の定める府令(内閣府のみ)・省令(各省)・庁令(海上保安庁のみ)、人事院や会計検査院、公正取引委員会の定める規則、各省庁の内規の訓令、各省庁が行政機関として一般に提示する告示(これには法的拘束力はないけど、法定義務として広く公示することが求められているものやガイドラインとして示すものなどが含まれるのだ。)などのいわゆる法令が掲載されるんだよね。
その他の公報としては、国会事項(開会や閉会、議事日程、議案・質問主意書の提出など)、人事異動(公務員幹部や行政委員会の委員の人事異動のほか、大臣の海外出張に伴う臨時代理の指定なんてのもあるよ。)、叙位・叙勲・褒章、皇室に関する事項(行幸啓や一般参賀に関することなど)、官庁報告(国家試験の実施・結果、公聴会の開催、地価の公示など)、資料(閣議決定事項や国際収支など)があるのだ。

公告は、各省庁の公告(押収物の還付や建設業の許可の取消などの処分)、WTOの政府調達協定に基づく政府調達(公開競争入札にかけられる政府調達だよ。)、特殊法人の公告(日本銀行営業毎旬報告や日本道路公団工事開始・完了など)、地方公共団体の公告(公債抽選、公債償還、行旅死亡人など)、裁判所の公告(除権判決、破産、会社更生関係など)、会社の公告(合併公告、決算公告)があるのだ。
行旅死亡人というのはむかしで言えば「行き倒れ」で、身元不明の死体が発見されたときに地方自治体が公告を出して、遺族などの引き取り手を待つことになるのだ。
で、裁判所の方では失踪に関して公告していて、ある人が失踪したと申し立てられるとその情報が官報に載るんだよ。
その他、裁判所の公告は相続関係(相続管財人の選任など)や破産に関すること、競売(けいばい)に関する情報なんかが載るんだ。
最近では会社の決算を官報で公告することを推奨していて、決算の時期の官報は号外がたくさん出て分厚くなるのだ。
※国会の会期末や年度末で公布される法令が多いときも分厚くなるよ。

意外と見てみるといろんな情報が載っていてびっくりするのが官報。
官報のPRとして、官報を見ると時代がわかる、なんてのがあったけど、法律の動きはよくわかるし、主要な会社の決算なんかも載るから、隅から隅まで通せばそうなのかもね。
ま、新聞の報道を見た方が早いような気もするんだけど(笑)
それでも、ときどき見てみるとけっこうおもしろいよ。

2007/12/21

イルミネーションも省エネで

クリスマスの時期だけあって、いろんなところで電飾のイルミネーションを見かけるのだ。
でも、最近は米国でも多少省エネ指向になっていて、電球から発光ダイオードのイルミネーションに変わってきているそうだよ。
発光ダイオードだと少ないエネルギーで明るいし、電球より長持ちで、さらに電球のように光っているときにそんなに熱くならないのでメリットが大きいのだ。

発光ダイオードは光るダイオードなわけだけど(笑)、英語でもそのままLight Emission DiodeでLEDと呼ばれるのはこの略だよ。
ダイオード自体はもともと陽極(cathode)と陰極(anode)のある二極真空管のことで、この真空管を使うと電流が一定方向にのみ流せるので、整流素子として使われたのだ。
直流だとまったく問題じゃないけど、交流だと電流の向きが周期的に変わるので、こういう整流素子を通して一方向にだけ電気を流す必要があったのだ。
で、技術が進むと半導体でダイオードが作られるようになり、発光ダイオードはそこからさらに発達したものだよ。

半導体は、電気をよく流す導電体と電気を流さない絶縁体の中間的な存在なのでその名前があるんだけど、周囲の電場や温度で電気を少し流すようになるんだよね。
で、このときに余分な電子(伝導電子)が電気の流れを介在する場合と、電子の不足(正孔)が電気の流れを介在する場合があって、それぞれをn型半導体、p型半導体と呼ぶのだ。
半導体ダイオードはこのp型とn型を接合させた状態になっていて、その接合部は二極真空管のように電気を一方向にのみ流しやすい性質を持っているので、ダイオードとなるとのこと、難しいことはわからないけど(笑)
で、電圧をかけてn型とp型のそれぞれの半導体が電気を流す状態になると、伝導電子と正孔が結合してプラマイゼロの状態になるのだ。
でも、エネルギー保存の法則があるので、このとき電子や正孔の持っていたエネルギーは熱や光として放出されるんだよ。
その光を利用しているのが発光ダイオードというわけ。

半導体レーザーもほぼ同じような原理だけど、レーザーと呼ばれるだけあって単一の波長の電磁波(光)だけが出るのだ
発光ダイオードもある程度出てくる電磁波の波長の範囲は決まっているものの、単一ではないので区別されるんだよね。
発光ダイオードの場合、赤外線領域から紫外線領域までの光を出すことが可能で、携帯電話の赤外線通信やテレビのリモコン、電子機器の発光シグナル、省エネ型の信号、電光掲示板など様々な用途に使われているのだ。
発光するときの波長の違いは半導体の材料によるんだけど、赤い発光ダイオードがかなり初期からあったのに比べて、青色発光ダイオードはずっと開発できずにいたので、その成功は大きなインパクトがあったんだよね。
これは日本人による成果なんだよ!
青色発光ダイオードの登場でいろんな色が重ね合わせで表現できるようになり、発光ダイオードの用途も劇的に広がったというわけ。
光の三原色を混ぜると白色光になるけど、青色発光ダイオードの開発と、それに続いた緑色発光ダイオードの開発で、やっと光の三原色がそろってカラー表示に使えるようになって、その組み合わせで白色発光ダイオードも実現できたのだ。

発光ダイオードの特徴は、電球や蛍光灯と違って不要な紫外線や赤外線などの波長をあまり含まないことがあって、これによって、紫外線に弱いものや熱に弱いものを照らす照明に使えるのだ。
また、消費電力が低くて、しかも長持ちするそうだよ。
半導体の部分は半永久的に使えるんだけど、それにつながる電極の部分が劣化するのが使用できなくなる原因だというくらい長持ちなのだ。
しかも、構造が簡単で安価に大量生産が可能だったり、電球のようにフィラメントを使わないし、蛍光灯のようにガラス管も使わないので、衝撃に強くて丈夫で、故障も少ないそうだよ。
こうやって聞くとメリットばかりだよね。

でも、電球と違って、流す電流を2倍にしたからといって2倍の明るさにはならないとか、逆方向に電流を流すと光らないばかりか壊れる可能性があるとか、静電気に弱いなどの特徴もあるんだって。
通常使われている小さい発光ダイオードではほとんど発熱は問題ないんだけど、高出力の明るい発光ダイオードでは熱もかなり出るので、きちんと放熱対策をしなくちゃいけないそうだよ。
とは言え、将来の照明器具として大きく注目されているんだよね。
そのうちイルミネーションだけでなく、室内の照明も発光ダイオードになる日が来るのかな?

2007/12/20

どてらいやつら

寒いとこたつが恋しくなるよね。
ボクは日本にいたときはどてらを着てこたつに潜り込んでいたものなのだ。
でも、米国に来てからはそうするわけにもいかないので、毛布をかぶっているんだよね(>_<)
どてらのようなちょうどよい部屋着があまりないのだ。

どてらは丹前の別名で、綿の入った和式の上着なのだ。
そのむかしは、布と布の間に綿を入れた「綿入れ」を着ていたものだけど、その一種だよ。
どてらは上から羽織って切るけど、袖が広くなっているので、中に手を入れておくこともできるんだよね。
もともとは旗本に仕える若い使用人の「奴(やっこ)」が着ていて、それが広まったんだって。

実はこれ、もともとは遊女の勝山さんという人の衣装から着ているようなのだ。
この勝山さんは遊女になる前は丹前風呂と呼ばれる売春宿も兼ねた湯屋で湯女をしていたので、「丹前」と呼ばれるようになったとか。
で、美人揃いの丹前風呂には奴がよく出入りしていて、それで奴の間に広まったみたいだよ。
この奴連中はいわゆるカブキもので、派手な格好が好きだったので「丹前=どてら」も派手な柄が定番となったのだ。

で、この綿入れがあたたかい理由だけど、それはふわふわの綿に秘密があるのだ。
綿が入るとそれだけふくらんで間に空気が入るわけだけど、この空気は布とかに比べて熱伝導率が悪いのだ。
つまり、熱が伝わりにくいので、内側からは熱が逃げにくいし、外側からは外気の冷たさが浸透しにくいというわけ。
これはダウンジャケットや毛皮でも基本的には同じで、空気を間にはさむことで断熱効果が期待できるのだ。
お布団があたたかいのもまったく同じ理由だよね。
毛糸のセーターなんかは普通の布に比べる編み目が大きくて風が通りそうな気もするけど、この空気の断熱効果のおかげであたたかいというわけなのだ。

空気の断熱効果を使っているのは、プチプチこと気泡緩衝材も同じなのだ。
これは空気の入った小さな「プチプチ」をシート状に並べてあって、衝撃吸収剤材としても使われるけど、別名で断熱シートとも呼ばれるように、窓なんかにはると冷気を遮断するのだ。
これも空気が熱を伝えにくいからだよ。
ホームレスの人が段ボールで家を作るのもこれと同じ理由で、やっぱり間に空気が入っているので段ボールはかなり外気の冷たさを遮断できるのだ。
空気の力は偉大なんだね。

2007/12/19

なんでも包めるよ

最近はスーパーなんかに自分で買い物袋を持っていくと、割引になったりするんだよね。
一時期はレジ袋をもらうとお金がかかるシステムだったけど、それが不評なので逆になったのだ。
はじめからレジ袋の値段を上乗せしておけば同じなんだけど。
「割引になる」と聞いた方が俄然やる気になるんだよね。
まく消費者の心理を利用しているのだ。

そんなエコ思考で見直されつつあるのが日本古来の風呂敷。
なぜか海外で評価が高まっていて、やっぱり「furoshiki」と呼ばれているそうだよ(今はむしろ外国の人が利用を広めているんだよね。)。
日本では明治期に西洋からかばんやリュックが入ってきてふろしきはほとんど見られなくなったけど、また海外でこういう動きがあるときっと逆輸入されるんだよね(笑)
人気の理由は、使わないときは小さく折りたためて軽量、包むときは形状や大きさにかかわらず自由に包める、という柔軟性なんだって。
たしかにそういわれてみると便利だよね。
日本で長く使われてきたのにもそれなりに理由があるのだ。

起源は定かではないんだけど、すでに東大寺の正倉院にそれらしき所蔵品があるとか。
風呂敷は衣包(ころもつつみ)や平包(ひらつつみ)と呼ばれていたんだって。
室町時代になると、大名がその上で衣服を着替えるようになったので風呂敷と呼ばれるようになったと言われているのだ。
このころはまだ蒸し風呂で、お風呂は裸じゃなくて浴衣のようなものを来てはいっていたのだ。
で、でるときに風呂敷の上で着替え、濡れた衣服は風呂敷に入れて持って帰ったのだ。
こうして風呂場に強いて使う布がものを持ち運ぶための布にもなったのだ。

江戸時代になると庶民の間にも風呂に入る文化が普及していくんだけど(このころはもう今と変わらない湯船のあるお風呂だよ。)、元禄時代には銭湯に風呂敷包みを持っていく習慣が生まれていたとか。
着替えと風呂用具一式を包んで持っていったのだ。
そうんると、平包という呼び方から風呂敷包み、風呂敷と呼ばれることが多くなって、風呂敷が一般名称になったみたい。
こうして風呂敷は広まっていくのだけど、銭湯に持っていくだけでなく、広くものを包んで持ち運ぶための布として活躍することになるのだ。

風呂敷はむかしから一反の布を無駄なく使って作られてて、この一反というのは幅が35cm~40cm、長さが約12mなのだ。
で、これを等分に切って縫製するので、正方形にはならずに多少縦と横の長さが違うそうなのだ。
風呂敷というと正方形のイメージだったけど、微妙に長方形なんだねぇ。
でも、織機で織った一反の布をそのまま無駄なく使うというところもなんだかエコロジーな感じがするね(笑)
今は機械織りで任意の大きさの布が作れるから正確な正方形なのかもしれないけど。

大きさもいろいろあって、一反の布を等分に切ったものをいくつつなげるかで変わってくるのだ。
大風呂敷なんて言葉もあるけど、最大だと畳二畳分もあるようなものまであるそうだよ。
普通に贈答品なんかを包むのは中幅と呼ばれる約45cm四方のものや、二四幅と呼ばれる約90cm四方のものだよね(ちなみに、一番よく使われるこれらの風呂敷はさっきの等分に切った一反の布の整数倍になっていないのだ!使いやすい大きさにした、ということなんだろうね。)。
引っ越しや旅支度にはもっと大きなものを使っていたみたい。
今はもうほとんど風呂敷が使われなくなったからそんなに種類はないんだろうね。
でも、なんだか風呂敷についてちょっと調べたらボクも使ってみたくなったよ。
エコバッグの変わりに風呂敷を持ち歩くというのもおしゃれかもよ(笑)

2007/12/18

タイガー・ボックス

そろそろ忘年会の時期だよね。
この時期には街で酔っぱらいをよく見かけるけど、むかしのように千鳥足でふらふらしている人は見かけないし、ましてや、酔いつぶれて道に倒れている人なんてまず見かけなくなったのだ。
お酒自体の消費量は増えているようだけど、飲み方が変わってきて、酔いつぶれるまで飲むことが少なくなったんだろうね。

この流れを受けて、警視庁では「トラ箱」を廃止することにしたらしいのだ。
トラ箱というのは泥酔者保護所のことで、全国でも警視庁のみが設置していて泥酔者保護専用の施設だったんだって。
麻布や六本木に近い鳥居坂と、浅草・吉原に近い日本堤に設置されてから、三鷹と早稲田にも設置され、4ヶ所あるそうだよ。
各警察署にも泥酔者などを保護する保護室というのがあるんだけど、かつては忘年会の時期ともなるとすぐにその保護室は埋まってしまったので、専用の施設が必要だったそうなのだ。
でも、最近はさっぱり使われなくなったので、各警察署の保護室だけで十分だろうと言うことで廃止されるわけ。
最盛期は年間で1万3千人も保護していたらしいけど、1日あたり数十人も保護していたことになるよね。

で、酔っぱらいのことを「トラ」、手に負えないような酔っぱらいを「大トラ」ということから「トラ箱」と呼ばれるようになったんだよね。
酔っぱらいを「トラ」と呼ぶのは、公家言葉でお酒のことを「ささ」と言うので、それとの取り合わせで「トラ」と呼ぶようになったとか。
暴れるところなんかもなかなか言い得て妙だよね(笑)
「ささ」はもともと女房詞(にょうぼうことば)と言われていて、「さけ」の最初の時を重ねて言った、とか、中国でお酒のことを「竹葉」と言うからとか、いろいろ説があるみたい。

酔っぱらいの足下がおぼつかない歩き方を千鳥足と言うけど、これはチドリが歩いている姿が無目的にふらふらしているように見えるからなんだとか。
もともとは砂地の上にいる虫を捕らえるときに、一見無関係な動きをしていると見せかけて油断させ、急襲するという高等テクニックなんだそうだよ。
まさに酔拳、Drunk Monkeyの世界なのだ!
酔っぱらって顔が赤い人は「猩々(しょうじょう)」と呼ばれるんだよね。
猩々は伝説上のヒヒだけど、顔が真っ赤なのでそう呼ばれるのだ。
お酒を好む性質があるというのも決め手なんだよね。

いずれにせよ、日本はこういう言葉遊びが好きなんだよね。
今では意味がわからなくなってしまったことも多いけど、こういうセンスはいいと思うんだよね。
トラ箱はなくなってしまうけど、文化としてのこういう言葉遊びは残していきたいものなのだ。

2007/12/17

飛ばす力

今日は国立航空宇宙博物館(National Air and Space)で米国の航空産業の歴史を展示した「American by Air」という展示を見てきたのだ。

そこでは、50年代から60年代にかけてプロペラのレシプロ・エンジンからジェット・エンジンに切り替わって、航空産業が大きく変わったことが説明されていたんだよね。
この博物館は宇宙も扱っているので、当然近くにはロケット・エンジンもあるんだよね。
で、今回は、この3つの空を飛ぶためのエンジンについて少し調べてみたのだ。

プロペラを回すレシプロ・エンジンはピストン・エンジンとも呼ばれるもので、燃料を燃焼させた熱エネルギーをピストンの上下の運動に変換し、それをまた回転運動に変換するものなのだ。
ピストンの原理自体は一番最初の蒸気機関とまったく同じで、燃料と空気を混ぜて燃焼させて、そのときの熱エネルギーでピストンを動かすのだ。
蒸汽機関ではシリンダーの中に入っているのが水蒸気で、石炭などの燃料を燃焼させた熱で水を蒸発させ、でてきた蒸気でピストンを動かすんだよね。
レシプロ・エンジンの場合は、燃料と空気を適当な混合比で圧縮してシリンダーの中で燃焼させ、そのときの爆発力でシリンダーを動かすのだ。
その後排気するとまたシリンダーはもとの状態にもどるので、往復運動となるわけ。

はじめの蒸気機関はひとつのシリンダーの往復運動をカムをかませて回転運動に変換していたんだよね。
航空機のプロペラの場合は、複数のシリンダーは輪状に並列に並んでいて、うまくタイミングをずらしてピストンを動かすことで往復運動を回転運動に変えているのだ。
シリンダーの数(サイクル数)が多いほど出力は大きくなって馬力も上がるのだ。
サイクル数が大きくなると燃料の噴射や着火のタイミングの制御が難しいんだけどね。
ちなみに、往復運動を回転運動に変換するときは、そのままだと右回りか左回りかはランダムなので、プロペラ機ははじめに回したい方向に回して、そっちの向きの回転運動に変換するようにしなくてはいけないのだ。
初期のプロペラ機でエンジンをかけるときにプロペラを手動で回すのはこのためだよ。

ジェット・エンジンの場合は、燃料を燃焼させたときの爆発の熱エネルギーによる膨張をそのまま後方に噴射することで推力を得るのだ。
プロペラ機のプロペラには角度がついていて、それがスクリューが水中の水をかき回すように空気をかき回し、流れを作って前に進むんだよね。
でも、ジェット推進の場合は作用反作用の力で、押し出したときの運動量と同じだけの大きさで逆方向の運動量が押し出した方に発生するので、それで前に進むのだ。

ジェット・エンジンでは前方から空気を取り込み、これを圧縮して燃料と混ぜ、燃焼させるのだ。
そうすると大きな熱エネルギーと排気が発生するんだけど、熱エネルギーで排気はもとの空気よりはるかに大きな体積に膨張していて、これを後方に押し出してジェット推進に変換するのだ。
そのまま出してしまうと噴出口からいろんな方向に排気が出てしまって効率が悪いので、排気を回転するタービンの中を通して排気するのだ。
タービンには角度を漬けてタービン・ブレードという歯がたくさんついていて、ここを通ることで歯に斜めに力がかかって、それが回転エネルギーに変換されるんだ。
すると、排気は回転しながらまっすぐと後方に噴射されるので効率がよくなるんだよね。
さらに、このタービンの回転エネルギーを使って空気を前方から取り込んで圧縮できるのだ。
航空機のジェット・エンジンの前方にはファンがついているけど、このファンを回して空気を圧縮しているというわけなのだ。

ガスタービンのジェット・エンジンと火力発電に使うガスタービンは基本的に同じで、ジェット・エンジンは排気を後ろに押し出して推進力にしているけど、発電機の場合は他便の回転エネルギーを電気に変換しているのだ(火力発電の場合は、古葉インド・サイクルと言って、排気の熱で蒸気タービンを回して電気を作る方法もあるのだ。)。
どちらにしても、排気の温度が高ければ高いほど排気量は増えるので(機体は温度が高ければ高いほど体積が大きくなるのだ。)、高温で排気するのが理想的なんだよね。
でも、あんまり高温すぎるとガスタービンがとろけてしまうので、ギリギリの温度にする必要があるのだ。
タービン用の耐熱材料の開発がジェット・エンジンの効率に大きく影響するんだよ。

ロケット・エンジンもジェット・エンジンと同じように作用反作用で前に進むんだけど、最大の違いは空気を取り込まないことなのだ。
ロケット・エンジンは宇宙空間のような大気のないところでも飛べるように、あらかじめ燃料とともに酸化剤(液体酸素などだよ。)を一緒に積んでいて、それを混ぜて燃焼させるのだ。
なので、空気を取り込まなくても燃料が燃やせるわけ。
液体ロケットだと燃料(液体水素、ケロシン、ヒドラジンなど)と液体酸素を混ぜて燃焼させるんだけど、固体ロケットの場合は酸素がなくても燃える火薬を使っていて、それをのりのようにかためてあるのだ。
花火は水中でも燃えるけど、これは火薬の中に酸化剤が入っているからで、それと同じようなもの。
まさに大きなロケット花火なのだ。

で、ジェット・エンジンだとタービンを回転させることでジェット噴射の方向をまっすぐにするけど、ロケットの場合はノズルの部分でこれを調節しているのだ。
ノズルの壁面に沿って噴射されるんだけど、まさにこのノズルの形状が方向性の制御に重要なんだよね。
でも、このロケット・エンジンの燃焼はとても高温なので、そのままではノズルが溶けてしまうのだ。
もともとノズルを肉厚にしておいて、ノズルの内面が溶けていくときの気化熱で冷却するのがアブレーション方式といって、もっとも原始的な方法なのだ。
日本や米国のロケットでは再生冷却式というのが使われていて、燃料に極低温の液体水素や液体水素を使っているので、これをノズルの近くに通して上げることでノズルを冷却するのだ。
燃料室も高温になるんだけど、やっぱり極低温の燃料自体で冷却していて、冷却剤として使っていた液体水素や液体酸素などの推進剤を燃料として再利用されるから再生冷却方式と言うのだ。
冷やしたい部分の表面に薄い推進剤の流れを作って覆ってあげて冷却する方式もあって、これはフィルム冷却方式と呼ばれるのだ。

2007/12/16

クリスマスの花?

クリスマスの花と言えば、まさにクリスマスのころに咲くクリスマスローズもあるけど、やっぱりポインセチアだよね。
赤と緑のコントラストでクリスマスカラーなのでよくこの時期に見かけるのだ。
リースに使うセイヨウヒイラギやツリーにするドイツトウヒやモミと違って、色合いだけでクリスマスにかざられているようだけどね(笑)

ポインセチアはもともと中央アメリカのメキシコのあたりが原産の植物で、名前は米国の初代メキシコ公使だったJ・R・ポインセットさんにちなむんだって。
メキシコでは「ノーチェ・ブエナ(聖夜)」という名前で呼ばれるらしいよ。
日本ではその赤さから「猩々木(しょうじょうぼく)」と言うそうなのだ。
猩々は赤い顔をしたサルのような妖怪で(オランウータンはこの妖怪に似ているので和名でショウジョウというのだ。)、大酒飲みで顔が赤くなった人も猩々と呼ばれるんだよね。
メキシコ原産なので実は寒さに弱い植物で、本当はクリスマスに向いていないのだ(>_<)
基本的には室内でかざるからいいんだろうけど、乾燥にも弱いらしいので、暖房にも注意しないと葉が落ちてしまうんだって。

アステカの人たちはすでにポインセチアを栽培していて、その鮮明な赤い色を純潔の象徴として愛していたらしいよ。
でも、その美しさを愛でるだけでなく、赤い葉を染料にしたり、白い樹液を解熱剤に使ったりもしたそうなのだ。
17世紀にフランシスコ修道会の宣教師が、クリスマスのころに赤く色づくポインセチアを聖Pesebreの誕生祭の行列に使うようになって、それがメキシコ中に広まったんだって。
それがいつの間にか名前の由来になったポインセット氏が米国に送って、一気に欧米世界に広がることになったみたい。

でも、植物としての生命力はなかなかで、増やすときは水を張った容器や土に挿し木をすると生えてくるんだって。
挿し木のコツは、切り口から出てくる乳白色の樹液をよく拭き取ることで、これをしないとうまく根が出てこないそうだよ。
もともとあたたかい地方の植物なので、あたたかい次期にやればだいたい成功するみたい。
うまくやれば、1回買うだけで毎年楽しめるようになるし、なおかつ増やせるような植物みたいだよ。

ポインセチアの花に見えているのは色のついた葉っぱで、本当の花はその先についているちょぼちょぼっとした部分なのだ。
杯状花序というやつで、ほんとんどおしべとめしべだけの状態の花で、花びらなんかはないのだ。
そんな花なので、挿し木で増やすのが一般的なようなのだ。
ポインセチアと言えば赤いイメージだけど、今では品種改良が進んでいて、園芸品種では乳白色や、黄色、ピンク、まだら入りなどいろいろあるようなのだ。

で、花が咲くとそのすぐ下の葉っぱが色づくんだけど、そのまま放っておいてもうまく色づかないらしいのだ。
ポインセチアは短日植物というやつで、日の当たる時間が12時間をきらないと花を咲かせないで、いつまでも緑色のままなんだって。
なので、うまく日の当たる時間を調節して、葉っぱをきれいに色づかせることが必要なのだ。
これは短日処理と言って、昼間はしっかりと日に当てさせるんだけど、夕方から次の日の朝までは段ボールなどをかぶせて日光を遮断するのだ。
これを40日くらい続けると売っているようなきれいな色になるらしいよ。
なかなか根気がいるものなんだね。

2007/12/15

人形から人へ

ふと気づいたらもう赤穂浪士の討ち入りの日だねぇ。
いよいよ年も押し迫ってきたのだ。
この時期になるとテレビでよく忠臣蔵をやっているけど、このもとは「仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)」というお話で、赤穂浪士の討ち入り事件を題材にしているんだけど、当時はその事件をそのまま脚本にすると幕府に取り締まられるので、脚本上は太平記の「塩冶判官讒死(えんやはうがんざんし)の事」に移していて、むかしの話ということにしてごまかしているんだよ。
これは伊達騒動を題材にした「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」なんかでもそのままではまずいので、設定を変えて脚本化しているのだ。

※ちなみに、「仮名手本」の仮名は47文字の仮名で赤穂浪士四十七士をあらわすとともに、「いろはにほへと ちりぬるをわか よたれそつねな らむうゐのおく やまけふこえて あさきゆめみし ゑひもせす」と7・7・7・7・7・7・5でいろは歌を切って最後の文字を並べると「とかなくてしす=咎(とが)なくて死す」となって、「罪もないのに死んだ」という浅野内匠頭の悲劇をも表しているんだよ。それと、「忠臣蔵」は蔵いっぱいの忠臣という意味もあるけど、忠臣の蔵(=大石内蔵助)という意味もあるんだよね。

で、実は、この「仮名手本忠臣蔵」も「伽羅先代萩」も、もともとは人形浄瑠璃の台本として書かれてて、それが後に歌舞伎の演目になっているんだよね。
人形浄瑠璃の三大名作として、「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」、「義経千本桜」とこの「仮名手本忠臣蔵」があるんだけど、どれも全部歌舞伎に取り入れられていて、しかも、歌舞伎の中でも有名な演目になっているよね。
人形浄瑠璃は人形なのでかなりアクロバティックな殺陣や早変わりなんかもできるんだけど、歌舞伎でも花道を使って舞台の左右だけじゃなく前後の広がりを使ったり、奈落やセリを使って殺陣の動きを入れたり、早変わりやとんぼ返りなんかも入れてかなり立体的に動くようになっているのだ。
でも、さすがに実現できないところとかもあるし、歌舞伎になってからまた独自に発展したので、少し脚本に食い違いがあったりするようだよ。
それと、人形浄瑠璃では義太夫がナレーションできるけど、歌舞伎はそうはいかないので登場人物が説明的な台詞を話さざるを得ないのだ。
こうして人形浄瑠璃から歌舞伎になったものを通称「丸本物(まるほんもの)」というそうなのだ(人形浄瑠璃の脚本を省略せずに収めた本を「丸本」と言っていたことに由来するそうだよ。)。
「義太夫狂言(ぎだゆうきょうげん)」とも言うそうだよ(はじめから歌舞伎の脚本として書かれたものは「純歌舞伎狂言」というそうなのだ。)。

教科書なんかにも出てくる近松門左衛門さんはもともと人形浄瑠璃の脚本を書いていて、それが翻案されて歌舞伎にもなっているのだ。
江戸では、福内鬼外(ふくうちきがい)こと平賀源内さんが人形浄瑠璃の脚本を書き始めて、それが江戸浄瑠璃の走りになり、歌舞伎にもなっているよ。
代表作は「神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)」なんかだよ。
これは東急多摩川線の武蔵新田駅近くにある新田神社にまつられている新田義興(よしおき)さんの話で、この人は多摩川にあった矢口の渡しで謀殺されてしまうんだけど、その例が怨霊となって祟るというストーリーなのだ(この霊を鎮めるために建てられたのが新田神社で、神社の裏には義興さんをまつった塚もあるよ。)。

人形浄瑠璃の文楽も歌舞伎も今は伝統芸能としてなんだか敷居が高いようだけど、江戸時代には庶民の娯楽だったんだよね。
なので、その時代時代の事件を取り込むものがやっぱり人気で、「仮名手本忠臣蔵」や「先代伽羅萩」なんかはワイドショー的なものでもあったのだ。
まずは人形浄瑠璃で始まって、それが歌舞伎になるという流れは、今でいうマンガ・アニメからドラマへ、テレビから映画へといった流れと似たようなものなのかも。
人気のある演目はいろんなところに広がっていくということなのだ。
でも、江戸時代も後半になると歌舞伎の方が人気が出てしまって、人形浄瑠璃を演じる劇場は少なくなっていって、文楽座だけが唯一残った専用の劇場となったので、文楽が人形浄瑠璃の代名詞になったらしいのだ。

今では文楽は大阪の国立文楽劇場がホームグラウンドで、ときどき東京の国立劇場にも来るんだよね。
でも、東京にいるとほとんど見る機会がないのだ。
歌舞伎なんかは江戸歌舞伎も上方歌舞伎も両方あるんだけどね。
ボクはけっこう人形浄瑠璃には興味があって見てみたいんだけど、まだ機会がないんだよね。
できれば、歌舞伎と同じ演目を見比べてみたいものなのだ。

2007/12/14

洋風雑炊?

ネットでおいしそうなチーズ・リゾットのレシピを見かけたので、自分でも作ってみたくなったのだ。
その間まんまはできなかったので少しアレンジしたんだけど、意外と簡単にできて、しかも本格的な味になったのだ(^o^)/
米国で使っているお米は日本のジャポニカ米(短粒種)よりも少し粒が長い中粒種(いわゆるカリフォルニア米)なんだけど、実はこの中粒種はリゾットに向いているんだよね。

短粒種の特徴はなんと言ってもその粘り気で、東南アジアの長粒種(タイ米とか)なんかはぱさぱさしているけど、日本のお米はもちもちしているよね。
まさにその違いなんだけど、中粒種はちょうどその中間的な感じで、ぱさぱさすぎず、粘り気も適度、ということで、リゾットのとろっとした感じだけど米の粒はとろけてしまってなくて、アルデンテの歯ごたえが残っている、という具合にできるのだ(そういう意味では雑炊とは全然違うんだよね。)。
リゾットは米(riso)と最高(ottoimo)を組み合わせた言葉らしいんだけど、リゾットと呼ばれるのはソースと米の粒がとろっと一体化したもので、米がぱさぱさすぎて分離してしまっていてもダメだし、粒がなくなっておかゆや重湯のようになっていてもダメなようなのだ。
イタリアのお米もカリフォルニア米とは種類が違うけど中粒種で、同じような性質のものなんだよね。

欧州は基本的に麦を主食とする文化なんだけど、スペインとイタリアだけはお米も栽培し、食べている地域で、スペインならパエリア、イタリアならリゾットやドリアが米料理として有名だよね。
でも、イタリアでもよく食べるのは北部の方だけにもともとは限定されていて、第二次世界大戦後に全土に普及したとか。
イタリアのお米は日本と同じように水稲で、中世のころから作っているみたい。
もともとは米をバターで炒めた後にスープとサフランを入れて煮て食べていたらしいけど、どうもこれがリゾットの原型らしいのだ。

リゾットは米をそのまま洗わずに炒め、それをスープで煮ていくんだけど、そのとき、ひたひたくらいの水位で比較的弱火で煮るのだ。
水分がなくなってきたら少しずつ足していくんだよ。
こうすると、蒸しながら炊いてふっくらさせる日本の炊き方とは違って、まわりから徐々に米粒がふやけてくる感じになるのだ。
さらに、洗っていないので米粒のまわりに米粒同士がぶつかってできる粉がついていて、それがスープに溶け出してほどよいとろみになるんだよね。
さらに、沸騰させずにとろ火で煮上げるので、ソースの中の油分と水分がうまい具合に乳化作用で渾然一体となって、混ざり合うのだ。
こうして、とろみのなかにやわらかいんだけど少し芯のあるお米があるんだけど、全体としてはソースと一体となっているという状態になるんだよ。

2007/12/13

ねばったやつら

寒いときにはちょっととろみのついたスープなんかはあたたまるよね。
今日は野菜たっぷりで激辛のペンネを作ったんだけど、オクラを入れてとろみをつけたのだ。
ボクはオクラのねばねばとかとろみがけっこう好きなんだよね。

オクラは北アフリカ原産と考えられている植物で、2000年以上前にすでにエジプトでは栽培されていたようなのだ。
ちなみに、オクラという名前はガーナで話されているトウィ語のnkramaから来ているそうだよ(アフリカの言葉って「ン」からはじまる単語がけっこうあるんだよね!)。
米国も南部ではよくオクラを食べるんだけど、それは西アフリカから連れてこられた奴隷とともにやって来たそうだよ。
そこから広がって、米国南部、中米、南米北部などのアフリカ系住民の多い地域でよく栽培され、食べられているみたい(米国北部ではあまり食べられないのだ。なので、南部のもの、というイメージなんだよ。)。
日本には明治になってからやって来たんだって。
熱帯では多年草なんだけど、とても寒さに弱い植物で、霜が降りると枯れてしまうために日本では一年草になってしまうようなのだ。

オクラと言えば表面に産毛の生えた緑色の断面が五角形になっている実を思い浮かべるけど、沖縄なんかには丸い断面の実もあるみたい。
しかも、好みはまだ未成熟なもので、完熟すると木質化してかたくなるようなのだ。
そう言えば、中に入っているタネはまだ白くてぷちぷちしていて、そのままでは芽が生えそうにないよね。
未成熟なものを食べるという点ではキュウリやヘチマなんかと一緒だね。

さらにオクラの最大の特徴といえばそのぬめり。
これが苦手な人もいるけど、このねばねばの正体はペクチンなどの食物繊維で、コレステロールを減らすといわれているのだ。
ビタミン類、カリウム、カルシウムなどのミネラルも豊富で、夏ばて防止にもよいと言われていて、なかなか優れて野菜なんだよね。
納豆でも山芋でもモロヘイヤでも、なんかたいていねばねばした食べ物は体にいいと言われているのだ(笑)

日本でオクラを食べるときは天ぷらにしたり、ゆでたものを小口切りにして鰹節とお醤油で食べたり、さらには煮物にしたりするけど、米国ではよくスープの具にされるのだ。
米国北部はねばねばを嫌ってあまり食べないんだけど、逆に南部では欠かせない食材のひとつにもなっているんだよね。
オクラが入っているだけで南部っぽさがでるようなのだ。
有名なのはケイジャン料理のガンボで、これはオクラが入ってとろみがついたスープなのだ。
これがけっこうおいしいんだよね。
基本的に野菜がたっぷりで、ごてごて名ものが多い米国料理の中ではかなりあっさりめのものなのだ。

2007/12/12

適正温度を保て!

寒くなってくるとついついあたたかいものがほしくなるよね。
でも、寒ければ寒いほどすぐに冷めてしまうのだ。
そんなときに活躍するのが魔法瓶。
最近ではマグカップ型のものもあって、数時間はコーヒーをあたたかいままにしておけるのだ。
お弁当を暖かいままに保温する魔法瓶弁当箱なんてのもあって、よく建設現場や道路工事のおじさんたちが持っているのを見かけるよね。

この魔法瓶は冷たいものは冷たいままに、あたたかいものはあたたかいままに保温する機能を持つものなんだよ。
熱の伝達や放射を抑制することにより一定の温度に保つようになっているのだ。
基本的には内層と外層からなる二重構造になっていて、その間は真空に近い極低圧状態なっているんだ。
さらに、内層の内側は鏡面になっているんだよね。
魔法瓶の中をのぞくと鏡面になっているのがよくわかるよ。

冷めたり、ぬるくなったりするのは熱伝導によって外界と熱交換をしてしまうことによって起こるんだけど、内層と外層の間に真空があると、熱が非常に伝わりにくくなるので、この熱伝導をかなりおさえることができるのだ。
でも、実際には内層と外層を完全に分離することは構造的にできなくて、どうしても内層と外層をくっつけておく支持体がいるので、そこを通して熱伝導は起こってしまうんだよね。
さらに、完全な真空は再現できないので、多少は熱伝導が起こるのだ。
なので、ずっと同じ温度に保つことはできなくて、時間が経てば冷めたり、ぬるくなったりしてしまうんだよね。

さらに、内層の内側の鏡面はあたたかいものが冷めるのを遅くさせる効果があるのだ。
まわりより温度の高い(=熱エネルギーを多く持っている)物体は熱を赤外線の形で放射してだんだんと冷めていくんだけど、鏡面はこの赤外線を反射するので、ものが冷めにくくなるのだ。
さすがに100%反射することはできず、ある程度は熱を吸収してしまうんだけど、それでもけっこう効果があるんだよね。
空がくもっていると放射冷却が弱まるのと同じような原理なのだ(放射冷却の場合は赤外線の形で放射された熱が雲に吸収されたり、雲に反射されたりすることで地球外に逃げにくくなるので、熱がこもることになるのだ。)。

最近は火を使わずにとろ火料理ができる、なんていう鍋もあるけど、あれも構造的には魔法瓶と同じで、内層と外層の間の真空層や内側の鏡面によって熱が逃げにくくなっているので、加熱し続けなくても一定の温度が長時間保てるようになっているんだ。
とろ火料理の場合はぐつぐつと煮立てるよりも、むしろ沸騰しないくらいの火加減でじっくり煮ることが大事だったりするので、まさにうってつけというわけ。
しかも、基本的にはものに味がしみこむのは冷めていくときなので(2日目のおでんやカレーがおいしい、と言われるのはこのためだよ。)、じっくりと時間をかけて冷めていくこの調理器の場合はぐつぐつと煮るよりも味がしみこみやすいんだよ。
ちなみに、普通の魔法瓶でも、お湯と生卵を入れておいて温泉卵を作る、なんて使い方もできるのだ。

最近では節電タイプで魔法瓶の原理を使って保温するようなポットもあるよね。
これから地球温暖化を防ぐためにも省エネ技術は必要になってくるけど、そういう身近なところから省エネできるというのはなかなかよいことだと思うのだ。
これからはもっと魔法瓶の活躍の場が広がるのかもね。

2007/12/11

静かなる刺客

米国も冬が近づきかなり乾燥してきたので、「例のやつ」がふたたび現れるようになったのだ。
それは静電気。
乾燥度合いが半端じゃないので、日本にいたときと比べてバチバチ度が段違いだよ!
これからは気をつけないと、手が痛いだけじゃなくてパソコンなどの精密機械にも影響があるかもしれないのだ。

この静電気といわれるのは正確にはたまった静電気が火花とともに放電する現象のことなのだ。
誘電体(絶縁体)同士がこすれて摩擦が生じると、そのときに電子のやりとりが起こって、表面に正や負の電荷がたまるんだよね。
これが静電気の正体で、雲の中の粒子同士の摩擦による静電気は雷のもとなのだ。
表面にたまる電荷の正負はこすれ合う誘電体の関係で決まって、より電子をためやすいものが負に帯電するんだよ。
特に化学繊維や羊毛などは静電気をためやすい性質で、皮膚との摩擦や他の服との摩擦で簡単に静電気がたまるのだ。
で、一定程度の静電気がたまったところで金属のような電気をよく流す性質のものにさわろうとすると、指先などから火花を伴う放電現象が起こって、バチっとなるわけなのだ。
これは自分の指先から電気が放電されているのであって、指が外から刺激を受けるわけじゃないんだよね。

電位差(電圧)が高いとやけどの後が残るくらいになるので、けっこうおそろしいものなのだ。
ドアノブや窓のサッシ、電気のスイッチなんかが危険なんだけど、そういうときは鍵などの金属製のものでまずドアノブなどに触れて電気を逃がしてやるとバチっと放電しないのだ。
最近では静電気を逃がすグッズなんかもあるし、静電気の帯電を防止するようなスプレーなんかもあるよね。
静電気がたまりづらい服というのもあって、ガソリンスタンドの制服なんかがまさにそういう素材なんだよ。
さすがにガソリンスタンドでバチっといったらしゃれにならないからね。

ガソリンスタンドだけじゃなくて、火薬や爆発物を扱う場所、ICや半導体などの精密機械・部品を扱う場所でも静電気は大敵なので、防止する工夫が撮られているのだ。
腰から鎖を地面まで垂れ下げてアースにしたり、静電気のたまりにくい導電性の高い素材の靴や服を身につけたりするのだ(金属が織り込んであったりするのだ。)。
入室する際もまず金属板に触れて静電気を逃がしてから入る、なんて工夫もされているんだよね。
さすがにに日常生活ではなかなかマネできないけど、静電気を逃がしてからものにさわるようにする、というのは参考になる方法なのだ。

静電気の存在自体は紀元前600年ころにタレスさんがすでに発見していて、その後もずっと研究されているんだけど、まだわからないことが多いみたい。
これだけ電磁気学が進んでいるように見えても、日常的な静電気の問題にもまだ未解明なところが残っているというのはなかなかおもしろいのだ。
実は、こういうところの問題の方が深遠な問題を含んでいるのかもね。
とりあえず有効な静電気防止技術はいろいろと考案されているのでよいのだけど。

2007/12/10

掛けて見る

今日はDCの美術館で日本の掛け軸をたくさん見てきたのだ。
江戸期から明治期にかけてのものだけど、やっぱりいいねぇ。
ボクは浮世絵とか掛け軸とかの絵がけっこう好きなんだよね。
シンプルなデザイン、淡い色づかい、雄々しいタッチなんかがお気に入りなのだ。

この掛け軸というのは中国の北宋時代に壁に絵などを掛けるものとして生まれたようで、はじめは礼拝の意味合いが強いと考えられているんだって。
西洋でもキリストやマリア、諸聖人の絵を壁に掛けたりしているけど、それと同じなんだろうね。
掛け軸は比較的複数生産することも容易で、丸めると持ち運びも便利なので、仏画を中心に普及していったんだって。
日本にも飛鳥時代には仏画の掛け軸がすでに入ってきていたみたいだよ。

日本ではもっぱら仏画を中心としていたんだけど、鎌倉時代になって禅宗が入ってくると、仏画だけじゃなくて水墨画や書、禅絵(ただの○を描いた円相図や禅宗の公案を絵にしたもの、達磨禅師などの絵など)なども飾られるようになったんだって。
これに茶の湯の文化が加わると、一気に掛け軸の文化が花開いて、花鳥風月をテーマにしたものや一般の人物を描いたもの、風景画なども登場してくるのだ。
これで一気に床の間に飾る芸術品としての地位をかためることになるんだよね。
今の掛け軸の表層(いわゆる絵をはってある布の部分)の様式や寸法も、床の間に飾って美しく見えるように、という配慮で茶道の中で確立したらしいよ。

江戸時代になると日本に明朝式表具が普及し、大きな家では茶室がなくても床の間が作られるようになったので、さらにある程度裕福な層に普及していくのだ。
表層の生地などにもこり始めて、日本を代表する美術品へと昇華していったようなのだ。
明治・大正期は日本画の隆盛期でもあったので掛け軸も発展・普及していったらしいんだけど、昭和になって戦争をはさむとそれどころじゃなくなってしまい、戦後は家の西洋化が進んで床の間も消えていっているのでだんだん存在感が薄れてきているのだ。
今ではまたむかしのように一部の裕福な人のもの、というイメージが強いよね。
アニメのサザエさんは庶民を描いたアニメだけど、古き良き昭和の時代の生活を描いているので、床の間と掛け軸があるのだ。
現代では好意状況はあまり見られなくなって残念だよね(そもそも日本間自体が消えてきているのは悲しいことだよ。日本までこたつに入りながらみかん、なんてのはなかなか日本らしくてよいと思うんだけど。)。

掛け軸として飾られる絵にはいくつか種類があって、むかしながらの仏画(お釈迦様や観音菩薩が多いよね。憤怒の形相の明王なんかもあるのだ。)、山水画(いわゆる中国式の大和川を題材にした風景画だよね。)、花鳥画(いわゆる花鳥風月の絵だけど、これが一番掛け軸っぽいイメージだよね。)、墨跡(禅僧の書で、一休禅師なんかが有名だよね。)、古筆(平安から鎌倉時代にかけての字のうまい人の書で、小野道風さんや橘逸勢なんかが有名だよね。)、色紙(武者小路実篤さんの「仲良きことは美しき哉」はよく見かけるのだ。)、短冊(俳句や和歌を書いたものが多いのだ。)、画賛(絵の上の方に漢詩や和歌などが添えられているものだよ。)、消息(いわゆる手紙のことで、有名人の達筆な手紙などを飾るのだ。)、断簡(巻物の一部だけを切り出して掛け軸にしたもので、よく伊勢物語や源氏物語なんかの絵物語の一部が使われるんだよね。)などが代表的なんだって。
掛けっぱなしではなくて、来客に応じて変えたり、季節や朝昼夜に応じて変えたりするものらしいよ。
さすがに庶民はそこまで多くの掛け軸は持っていないから万年掛け軸だろうけど。

2007/12/09

師走の輪

日本では年末の時期に飾られる輪と言えば、年越しの祓えの茅の輪なのだ。
神社に行くとたいてい茅の輪が置いてあって、右回りで何回くぐって、左回りで何回くぐって、っていう説明がしてあるよね。
これはその年の「けがれ」を除き去って、清らかな空で新年を迎えるためのものなのだ。

で、これに対して欧米で12月に飾られる輪と言えばクリスマス・リース。
日本ではクリスマスツリーだけを飾って、電飾でさらにきらびやかにすることもあるけど、まだまだリースまで飾っている家は少ないよね。
でも、米国に来てみると、ほとんどの家のドアにクリスマス・リースが飾ってあるんだよね。
日本の正月のしめ縄飾りや門松と同じようなものなのかもね。
日本ではこういう古式由来の風習は廃れつつあって残念だけど。

リース自体はローマ帝国時代までさかのぼるもので、もともとは飾るんじゃなくて祭事の際の冠として身につけられるものだったんだって。
女性はリースを身につけ、男性は冠を身につけたらしいよ。
よくローマ時代の象徴で出てくる月桂樹の冠などもリースのおおもとみたい。
で、古代ローマには葬儀用の飾りとして石棺リースを入れる風習もあったようで、そこから飾りとしての役割も出てきているようだよ。
で、時代が下るとともにかぶられるものから飾られるものに変遷してきて、花や葉で作った輪状の飾りを指すようになったのだ。
リース自体はお墓や祈念碑なんかにも飾られるし、結婚式などの祝祭時にも飾りで使われるのだ。

で、これがクリスマス・リースになると、一般に常緑樹で作って、そこに松ぼっくりや赤いリボンをつけるんだよね。
常緑樹で作るのは繁栄の象徴で、寒い冬でも緑を保つ常緑樹の生命力の強さで揺るぎない繁栄を表しているのだ。
日本のヒイラギとは実は種類が違うセイヨウヒイラギはこの時期に赤い実(holly berry)をつけるので、それが飾られることも多いんだよね。
日本の節分の飾りのヒイラギは魔除けだけど、欧米のセイヨウヒイラギは常緑樹としての繁栄の象徴なのだ。
この時期に実をつけるというのもポイントが高いのかもね。
でも、「縁起がよい」ということで選ばれている天では洋の東西を問わず発想は同じなんだけど。

西洋では降臨節(Advent)というキリストの降誕を待つという行事がこの時期にあるんだけど、このときにろうそくを4本用意し、1日経つごとにろうそくに火をともしていくという風習があるらしいのだ。
これはドイツで始まった風習といわれているらしいけど、このときに常緑樹で作った輪にろうそくを立てるアドベント・リースというのを作るそうで(これはろうそくを立てるので寝かして使うんだよ。)、どうもこれもクリスマス・リースと関係ありそうなんだよね。
祭事にリースを飾るという風習から発生しているんだろうけど、ひとつはもうひとつのアドベントのろうそくの風習と結びついて寝かせて使われるようになり、もうひとつは従来の祝祭時の飾りとして普通に飾られるようになっているようなのだ。

2007/12/08

年末の木と言えば

年末にかざる木と言えばクリスマスツリー。
DCで感謝祭(Thanksgiving Day)を過ぎてからは飾り付けが本格化してきたのだ。
一応は12月から飾るというのがスタンダードらしいけど、日本のひな人形と同じで、こういうのは早め早めになっていってしまうんだよね(笑)
ホワイト・ハウスの前のナショナル・クリスマスツリーは昨日から点灯されてきて、いよいよワシントンDCも本格的にクリスマス・ムードなのだ。

実はこのクリスマスツリーはアダムとイブが楽園を追われる(つまり「失楽園」)原因となった知恵の木の象徴なんだって。
中世の聖夜の降誕祭の序幕でアダムとイブの舞台劇が行われるようになって、そのときに、冬に葉が落ちてしまうリンゴの木の代わりに常緑樹の木をリンゴに見立てて使ったのがはじまりなんだとか。
日本では主にもみの木を使うけど、欧州では多くの場合ドイツトウヒを使うのだ。
身近にある常緑樹と言うことで、日本ではエゾマツやトドマツなんかも使われるんだよね。
もともとリンゴの木の代用だから、この木じゃないといけない、というのはなくて、常緑樹であればいいみたいだよ。
南半球だと季節が逆だからリンゴの木が使えるけどね。

クリスマスツリーというとてっぺんに星が飾られることが多いけど、これはキリストの降誕を知らせて当方のさん博士を導いたという聖書に出てくる星を表しているようなのだ。
球形のオーナメントはもともとはリンゴを表しているようだよ。
今では赤だけじゃなく、金銀、緑、青といろいろな色があるけど。
あと、よく飾ってあるのは少し曲がった飴(これは枝をもしていて、キャンディーケインと言うらしいよ。)、ろうそく(今では豆電球や発光ダイオードなんかを使うことが多いよね。)、金銀のモールなどなのだ。
北半球では冬の行事なので雪をもした綿なんかも飾られるよね。
最近はプラスチック製のものもあるけど、ホワイト・クリスマス仕様として白いものまであるのだ。
もとは常緑樹だから、ほんとはそれじゃいけないんだろうけど。

クリスマスツリーを飾る習慣は15世紀の初めころにドイツのフライブルグで生まれたと考えられていて、16世紀の終わりにはドイツ中に広まっていたようなのだ。
これが18世紀の終わりになるとベルリンまで広まっていたみたい。
(当時ドイツは小国に分かれていたのでそんなに早く広まらなかったのだ。)
で、これがヴィクトリア女王を通して英国に伝わると、英国から米国へも伝わって、世界中に広まることになったんだよね。
ヴィクトリア女王はハノーヴァー王朝の出身だけど、ハノーヴァー王朝は神聖ローマ皇帝を選出する権利を持つハノーファー選帝侯も兼ねていたので、ドイツにも領地を持っていたのだ。
で、このハノーファー選帝侯の方は女性が王位を継承できないので、ヴィクトリア女王は英国の王位だけを継承し、ドイツから離れることになるんだよね。
ちょうどヴィクトリア女王のころは英国が栄えて、世界の海をまたにかけて活躍しているころなので、文化の伝播という観点でも大きな役割を果たしていたのだ。

日本では幕末にプロイセンの公館で飾られるようになり、1874年(明治7年)には明治学院の前身である築地大学で開催されたクリスマス・パーティにサンタ・クロースとともに登場した、という記録が残っているらしいよ。
横浜で1885年(明治18年)に開業した明治屋が、1900年(明治33年)に銀座に進出すると、銀座でもクリスマスの飾り付けが行われるようになったんだって。
神戸でもほぼ同時期にクリスマスの飾り付けが行われるようになっていたとか。
当時は積極的に西洋の文化を取り入れていたこともあるけど、1928年(昭和3年)の朝日新聞ではすっかり日本でもクリスマスの行事が浸透した、なんて記事もあるくらいらしいのだ。
戦中はさすがに少し廃れるんだけど、戦後すぐに復活し、1948年(昭和23年)には東京駅にクリスマスツリーが飾られるようになったとか。
それ以降日本でも冬のおなじみの行事になったのだ。
欧米に比べると限りなく宗教色が薄くて、ほぼ日本独自の様相を呈してきているけどね。

2007/12/07

雪の降った次の日は・・・

雪の降った翌日にこわいのはなんと言っても路面の凍結。
つるつるすべってとても危ないのだ。
DCはまさに昨日降った雪で路面が凍結していて、とてもつるつるしていたよ。

この路面凍結はアイスバーンと呼ばれるんだよね。
これはドイツ語で「氷の道」という意味なんだって。
雪に限らず路上の水分が吐血するとアイスバーンになるんだけど、水たまりなんかはかなり局地的な凍結だけど、雪の後は路面全体が凍るので危険なんだよね。
歩行者が滑って転ぶだけじゃなく、車も滑るので交通事故も起こりやすくなるのだ。
もちろん、毎年お年寄りが転んで骨折するなんていう痛ましい事件もあるので、歩行者でも大けがをする可能性はあるんだよね。

雪が降ってそのまま積もっている状態だと、翌日にかたまったとしても間に空気を含んでいてサクサクしているのでそんなに滑らないのだ。
問題は雪かきして表面おゆきはさらったけど、まだうすく雪の層が残っていてそれが凍ったものや、車や人が踏みつけて少し融けたものが再び凍結したものが危険なんだよね。
こうなると完全に道上に氷の膜ができるのですべるのだ。
一番危険なのは、この氷の層が薄くて下が透けて見えていて、一見ただぬれているだけのように見えるんだけど、それが氷だったときなのだ(>_<)
こういうのはブラックアイスバーンやブラックアイスと呼ばれるんだって(下のアスファルトの黒が透けて見えるからだよ。)。

でもでも、実は滑るのは氷が原因ではないとか。
気温がかなり低温の場合には氷の上を歩いてもそんなに滑らないんだって。
氷自体の摩擦係数はそんなに低くないそうなのだ。
でも、気温が少し上がって氷の表面が融けてくると、氷の上に薄い水の膜ができて、それが滑る原因になるんだそうだよ。
雨の日に自動車のタイヤが滑りやすくなる「ハイドロプレーニング現象」と同じなのだ。
車のタイヤは溝があるからそれが引っかかって滑りにくくなっているんだけど、そこに水が入り込むとその引っかかりが弱くなるんだよね。
それで滑るのだ。
氷が滑るのも同じで、氷の上に薄い水の膜があって、それが靴底の引っかかりを弱くするのでつるつるするというわけ。
雪は降るけど寒さが中途半端で融けてくるから問題なのだ(笑)

で、道路の雪を融かす融雪剤としては、よく塩化カルシウムが使われるのだ。
豪雪地帯には冬になると道のあちこちに袋に入った塩化カルシウムが置いてあるそうだよ。
それを雪に巻いて雪が融けるのを促進するのだ。
この塩化カルシウムはとても水に溶けやすい性質を持っていて、空気中の水分も吸い取るほど。
湿った空気に触れさせておくとべたべたしてくるんだよ。
こういう性質を潮解性というのだ。
塩化マグネシウムや水酸化ナトリウムもそうなんだよね。
で、この塩化カルシウムはそれだけ水に溶けやすくて、たくさん溶け込むんだけど、塩が水に溶けると凝固点降下の作用が出てくるんだよね。
塩が溶けた分だけ凝固点が下がって、水は氷になりにくくなり、こりは融けにくくなるのだ。
で、この凝固点降下の作用は塩の溶けている濃度に比例するので、たくさん水に溶けて安価な塩化カルシウムが使われているというわけ。

でも、融雪剤は氷が溶けるのを促進して、再凍結するのを防ぐのはいいんだけど、即効性はないのだ。
とりあえずアイスバーンができてしまって、あまりにも滑って危険なときは砂とかをまいてとりあえず滑りにくくするのが大事なんだよね。
雪を融かそうとしてお湯をまいたりすることもあるけど、実はそれをやってしまうとまいたお湯が水になり、それが再凍結してアイスバーンになる可能性があるので、きちんと雪かきして、その上に砂などをまくのが歩行者には優しいのだ。

2007/12/06

こんこ

今日はDCでは今シーズンの初雪となったのだ。
すっかり冬に近づいてきたと思っていたけど、これで決定的だね(>_<)
夜明け前から降り出したんだけど、そんなに強い降り方ではなかったので積もらないかな?、と思っていたら、夜までずっと降り続いていて、少し積もっているのだ。
朝まで降るみたいだから、これはけっこう積もるかも。

雪は空から水が凝固した氷の結晶が降ってくる現象で、上空の気温がとても低いと、大気中の微粒子(ほこりなど)を核として雲の中の水蒸気から氷の結晶が発生するのだ。
この結晶が地上までとけることなく降ってくると雪なんだけど、地上の気温がそれなりに高いと降ってくる途中にとけてしまって雨になるんだよね。
地上の気温が零下でない場合は、雪が降る目安は上空1,500mで-6度未満、上空5,500mで-30度未満だそうだよ。
一般には、上空に-20度未満の冷たい寒気が来ると雪になると言われているよね。

気象庁による雪の定義は3つあって、いわゆる雪、氷点下での霧雨である霧雪、空気中の水蒸気が一気に氷の結晶になるダイヤモンドダスト(細氷)だそうだよ。
氷晶の一部が融けて雨と雪が混ざって降るとみぞれと呼ばれるのだ。
これは気象観測状雪に分類されるんだって。
似たものにひょうやあられがあるけど、これらは氷晶に水滴がついたものが雲の中の上昇気流で一度吹き上げられ、さらにまわりについた水滴も凍結することで氷の玉になったものなんだって。
何度か吹き上げられて氷の玉が大きくなるとあられからひょうになるらしいのだ(ひょうは直径5mm以上だって。)。
でも、あられやひょうは気象観測状は雪ではなく、あくまでもあれらやひょうとして記録するそうだよ。
初雪や雪日数とかには含めないようなのだ。
でも、降ったものは降雪扱いで、降雪量と言ったときは雪だけじゃなくてあられやひょうも含んでいるみたい(つまり個体の形で降ったものが降雪になるのだ。)。
なんだかちょっと複雑だよね(笑)

北大の中谷宇吉郎教授という人が戦前の1936年に世界で始めて人工的に雪の結晶を作ることに成功していて、その後、どういう条件でどういう雪の結晶ができるのかを研究したのだ。
気温や冷え方の速度、風の有無、気圧、核となるものなどなどの条件で結晶の形が変わってくるのだ。
さすがに細かくどんな結晶になるのかはなかなか予測がつかないけど、大粒のぼた雪になるのか、さらさらのパウダー・スノーになるのかくらいは予測できるんだよ。
「水の記憶」なんて話があって、きれいな言葉を見せたり、聞かせたりするときれいな氷の結晶ができるなんて言ってたけど、はっきり言ってえせ科学としか言いようがないんだよね。
スキー場が雪不足で困ると人工雪を降らせるけど、人工雨と同じように雲中にヨウ化銀を散布する方法(寒いと雨じゃなくて雪になるのだ。)と、細かい氷の粒を散布して雪が降ったように見せかけるという方法があるんだって。
後者の方法はかき氷をまいているようなものなんだよね。

雪はすべての波長の光を乱反射するので基本的には白く輝いて見えて、そのために「銀世界」なんて言葉があるわけだけど、実は色のついた雪もあるのだ。
上空が煙や煤煙で汚染されていると少し灰色の雪が降ることがあるし、朝鮮半島では中国から来る黄砂がまじって黄色から赤みがかった雪が降ることもあるらしいよ。
2007年の2月にはロシアで鉄分を多く含むオレンジ色の雪が降ったなんて記録もあるとか。
でも、やっぱり雪は正常なイメージで、白くあってほしいよね。
そのためにも大気汚染の問題は解決しないといけないのだ。

2007/12/05

海のトリ

米国に来てからよく食べるようになったのがツナ缶。
魚介類もスーパーで売っているのだけど、なかなか手が出ないんだよね。
値段も高めだし、あんまり新鮮そうではないし、何より、量が多いのだ。
で、必然的にシーフードが食べたくなるとツナ缶やオイル・サーディンなどになるんだよね。

ボクはシーチキンは一般名称だと思っていたんだけど、実はこれは「はごろもフーズ」の登録商標のようなのだ。
そういえば米国で売っているツナ缶も「Sea of Chicken」で、間に「of」が入っていることに気づいたよ!
一般名はツナ・フレークと言うそうだよ。
そう言えば、国内でもイナバ食品のは「ライトツナ」で、シーチキンとは名乗っていないのだ。

ツナ缶といえばむかしは油漬けで、スープと油で漬けてあって、かなりきちんと味がついたものがメジャーだったけど、最近は水煮のものもあるんだよね。
水煮のものはよくスープを切らないと水っぽくなってしまうので料理に使うときは注意が必要なのだ。
ボクはあのツナ缶の少し残った油もけっこう好きだったんだけど。
ツナ缶のツナはキハダマグロやビンナガマグロ、カツオなどで、ビンナガマグロが「ホワイトミート」といって一番高級で、カツオは「シーチキン・マイルド」になるんだって。
身のほぐれ具合でさらに3種類あって、大きなかたまりになっているソリッド、大きくほぐれているチャンク、細かくほぐれてるフレークの3つなのだ。
ソリッドだと製造後から3ヶ月、フレークだと製造後から1ヶ月程度で油と身がなじんでおいしくなるんだって!
実は製造日から半年以上経ったものの方がおいしいそうなのだ。
買い置きして貯蔵しておいた方がいいんだね(笑)

マグロの油漬けの缶詰自体は日露戦争のころから構想されていて、水産試験場で研究が進められていたんだけど、なかなか納得のいくものができなかったとか。
1929年に静岡の水産試験場がはじめて成功し、これが米国に輸出されて大好評を得たんだって。
これが今のツナ缶のはじまり。
最初に手を挙げて1930年から輸出を開始したのは清水食品だけど、その後、今のはごろもフーズの前身の後藤缶詰も1931年から製造を開始し、シェアを大きくして1958年にシーチキンの商標をとるまでに至ったようなのだ。
これでツナ缶といえばシーチキンが代名詞になったというわけ。

マグロの缶詰というと角煮なんかもあるけど、マグロを原料とした缶詰の8割はツナ缶なんだって。
日本だけじゃなく米国でも好かれるほどのものだからね。
サンドイッチやサラダだけじゃなくて、炒め物に使ってもいいし、最近ではおにぎりの具や手巻き寿司なんかにも使うよね。
パスタやカレーに使っても生臭くなくて、くせがないから使いやすいのだ。
そういうところが米国でも受けたのかな?

2007/12/04

どこかで、誰かが♪

「あっしには関係のないことでござんす。」という決めぜりふは木枯らし紋次郎だけど、木枯らしと言えば、秋の終わりから冬の初めの風物詩なのだ。
木枯らしが吹くといよいよ冬だって感じがするよね。
気象庁も「今年の木枯らし1号は・・・」なんて話題にするくらいだし。

この木枯らしというのは、日本の太平洋地域で晩秋から初冬にかけて吹く北寄り(来たから西北西)の風速8m/秒以上の風のことなのだ。
これが吹くといよいよ冬に突入で、葉も完全に落ちて、木も枯れたようになるので「木枯らし」と呼ばれるんだよね。
冬型の気圧配置、すなわち、西高東低になると、シベリアなどの極地側から冷たい風が吹き込みやすくなって発生するとか。
日本海の上空を通ってくるので最初は湿気があるんだけど、日本海側と太平洋側を隔てる山脈を越える際、日本海側で雨(時雨)を降らせて、太平洋側には乾燥した冷たい風が吹くのだ。
これが木枯らしなんだよ。
なので、日本海側では吹かないのだ!
で、最初に吹く木枯らしが木枯らし1号で、これは関東と完成でしか発表されないんだって。

これと逆に春の訪れを継げるのは春一番。
春一番は立春から春分の間にはじめて吹く南より(東南東から西南西)の風速8m/秒以上の風のことなのだ。
風が吹いたときに気温が上昇することも条件なんだって。
春先に西高東低の冬型の気圧配置が崩れて、日本海側を進む低気圧に向かって南側の高気圧から風が吹き込むことで発生するらしいよ。
やっぱり太平洋側で主に観測される現象だとか。
春の訪れを継げる風物詩でもあるんだけど、春一番が吹いた翌日はまた冬型の気圧配置がもどって寒くなることが多いらしいのだ。
それも三寒四温ってことかな?

春一番は街中でただたのあたたかい強風なんだけど、実はけっこう被害が出るもののようなのだ。
もともと長崎の壱岐の漁師さんたちの間で使われていた言葉で、春先に突風が吹いて船が転覆したりするのでおそれられていたそうだよ。
気温も上昇するので、雪崩を引き起こしたり、一気に雪解けが進んで洪水が発生するなどの被害もあるみたい。
意外に気象災害や海難事故をもたらすこわいものでもあるらしいのだ。

日本にはからっ風とか、南風(はえ)、颪(おろし)などなど、地域ごとの季節風が多いよね。
むかしからそうやって自然を感じながら時の移り変わりを察してきたのだ。
そういう自然と調和した生き方っていうのもあこがれるよね。

2007/12/03

すっぱいブタ

酢豚って中華料理なのに日本語の名前がついているんだよね。
それだけ日本の家庭に浸透しているということなのかも。
ときどき食べたくなる味なんだよね。
というわけで、ボクも今日は酢豚ならぬ、酢鶏を作って食べたのだ。

酢豚は中国語では咕老肉(クーラオロウ)とか糖醋肉(タンツーロウ)なんて呼ばれるんだって。
19世紀に香港や上海が欧米列強に侵入されると、欧米人の好む味の中華料理が作られるようになったらしいんだけど、そのときに酢豚にパイナップルやケチャップが入れられるようになったんだって。
で、咕老肉はもともとパイナップルもケチャップも入っていなかったんだけど、それから入るようになったそうなのだ。
糖醋肉はパイナップルもケチャップも入らない中国オリジナルのものを指すらしいよ。
それと、肉の種類も違って、欧米風になった咕老肉は脂身のあるバラ肉なんかを使うんだけど、糖醋肉はヒレ肉を使うんだって。
酢豚も日本風にかなりアレンジされているから、やっぱり日本語で酢豚と呼ぶのが適切なのかもね。

酢豚は唐揚げにした豚肉と素揚げした野菜(玉ねぎ、ニンジン、タケノコ、ピーマンなど)やしいたけなんかを一緒に炒めて、しょうゆ、酢、砂糖で味付けした甘酸っぱいあんでからめるのだ。
パイナップルは欧米風にするために入れられるようになったらしいけど、日本では好みが大きく分かれて、絶対は行っていてほしくない人と、入っていてもよい人に別れるのだ。
あんまり積極的に入れたい人って聞かないよね(笑)
パイナップルが入るとその酵素で肉が軟らかくなるという効果もあるんだけど、甘みが増すことと、果物が炒め物にはいることを嫌うんだろうね。
大学なんかの食堂だと、豚肉じゃなくて鶏の唐揚げで作ってあって、酢鶏になるんだよね。
揚げ肉団子になっていて、すでに酢豚の原型をとどめないようなものもあるのだ!

もともとは唐揚げの香ばしさと甘み酸味の調和を楽しむ料理なんだって。
油をかなり使うけど、お酢が入るからかなりあっさり食べられるのが魅力なのだ。
広東料理の代表選手だけど、広東料理にはあっさり味の炒め物も多いけど、こうやって甘みを活かした料理も多いよね。
いわゆる世界中に広がっている中華料理はそのほとんどが広東料理で、いろんなところで現地の味と混ざり、そこでとれる食材を使うので、広がりも多いんだとか。
酢豚もまさにそのひとつなんだね。

日本でよく食べられる炒め物の多く、飲茶類もみんな広東料理なんだって(餃子はもともとお祝いの時に食べる北方の料理で、北京料理なのだ。)。
北京ダックとか高級な中華だともともと宮廷料理だった北京料理だけど、フカヒレや燕の巣を食材として使っていたのは広東料理が最初だそうだよ。
いわゆる四つ足のものは机意外なんでも食べる、といわれているのが広東料理で、その分広がりがあるんだよね。
とにかく辛いことが特徴の四川料理や甘辛い味付けやあっさり塩味が売りの上海料理中もあるけど、これらは日本でも中華料理というより、四川料理、上海料理としてお店がでていることが多いよね。
それだけ日本でも中華料理と言えば広東料理を指すということなのだ。

2007/12/02

落ち葉から土

今日はお散歩で川沿いのトレイルを歩いてきたんだけど、それこそかなりの量の落ち葉がつもっていたのだ。
この落ち葉はやがて腐葉土(または腐植土)になって、それがまたそこに生えている植物の栄養になるんだよね。
生態系というのはなかなかよくできたものだよね。

落ち葉は動物に踏まれたり、雨で濡れた後に乾燥したりすると繊維質が切れて、やわらかくなったり細かくなったりするんだよね。
そんな落ち葉にはやがてカビやバクテリアが生えてきて、表面から腐敗が進んで行くのだ。
すると、この腐敗してきた落ち葉をダンゴムシやカブトムシの幼虫などの昆虫が食べ、葉っぱについていた微生物だけをエサとして吸収して、葉っぱ自体は細かく砕いて排出するのだ。
そんな排出された葉っぱにもまだ微生物はくっついているので、そこからまた腐敗が始まるんだけど、今度はその細かくなったものをミミズなどが食べるんだよね。
ミミズもそこにいる微生物をエサとして、さらに砕いて、粒状にしてから排出するのだ。

こうして物理的な衝撃や生物による消火でどんどん繊維質がきられていって、細かくなっていくんだ。
さらに、この過程ではずっとカビやバクテリアが繁殖しているので、その作用で高分子のタンパク質や脂質、糖質などの有機物が分解されて、低分子の無機物に変化していくんだ。
重要なのはなんと言ってもアンモニアなどの無機窒素とリン酸。
植物は基本的に光合成で光と水、二酸化炭素からブドウ糖を作ることはできるんだけど、これはエネルギーを作り出しているだけで、生育するためには窒素、リン酸、カリウムが必要なのだ。
そのうちの窒素とリン酸がこうして供給されるわけ。

植物自体は落ち葉などを分解してそこから窒素やリン酸を再開周することもできないし、もともと高分子のままでは根っこから吸収できないのだ。
なので、カビやバクテリアに分解してもらって、低分子の無機物にしてもらう必要があるわけ。
持ちつ持たれつなんだよね。
腐葉土はまさに天然の肥料で、植物の生育にとって重要なものなのだ。
カビやバクテリアは落ち葉自体を砕く力はないから、昆虫やミミズなどが細かく砕いて土状にしてくれることも重要なんだよ。
そうでないと根っこでそこから栄養が吸収できないのだ。

園芸店なんかで売っている腐葉土は人工的に作ったもので、落ち葉などを集めてきて、機械で適当に砕いてからそこに土を混ぜて、山状に積み上げるのだ。
そこに水をかけて少し放っておくと、土の中にいたカビやバクテリアなどの微生物が繁殖し始めて、腐敗(発酵)が始まるのだ。
人工的に作る場合はここにミミズなんかを加えることもあるんだけど、一度山を崩してよく混ぜて、またtみあげる、なんてことをすると葉っぱが細かくなるので、それですませることが多いのだ。
なので、売っている腐葉土は葉っぱの形がそのまま残っていたりするものが多いよね。
これは途中に昆虫やミミズがあまり関与しないので砕ききれていないのだ。
それでも肥料にはなるんだけどね。
肥料としてまいてから、そこに昆虫亜ミミズが来てもいいわけだし。

この原理を応用して、最近では生ゴミをたい肥化する機械なんてのもあるよね。
ミキサーみたいにカッターが中についていて、かき混ぜながら生ゴミを切り刻み、そこにカビやバクテリアを繁殖させて発酵させるのだ。
腐敗菌でも腐葉土のような発酵の仕方だとそんなに臭くなくて、森の中のちょっと甘ったるい感じのにおいなんだよね。
これはどういう微生物が繁殖しているかで決まるので、「タネ菌」が大事なのだ。
もう少し大型のものになると、さらにミミズも加えて本格的に腐葉土にするようなものまであるんだよね。

街中ではどうしても落ち葉はじゃまもの扱いされて、集められてゴミ袋に入れられてしまうのだ。
個人的には街路樹のところや公園に集めて腐葉土を作ったらいいと思うんだけど(そんなに臭くないし)、きっと燃えるゴミとして処理し絵いると思うのだ。
モッタイナイ!
ま、落ち葉で焼きいもを焼くのであれば、また話は別なんだけどね(笑)

2007/12/01

リトマス

小学生の理科の時間に、リトマス試験紙を使って液体の酸性やアルカリ性(塩基性)を調べる実験ってよくやるよね。
リトマス試験紙の色素は酸性では赤く、アルカリ性では青くなるのだ。
試験紙には青と赤の2種類があるけど、これは製造するときに添加する硫酸の量の違いで、多めに入れると酸性になるので赤い試験紙ができて、少ないと青になるというわけ。

このリトマス試験紙に使われている色素はリトマスゴケなどの地衣類からとれるのだ(「コケ」という名前だけどコケじゃないのだ!)。
地衣類というのは特殊な生物で、菌類と藻類が共生したものなんだよね。
カビの菌糸で作られた網目構造の中に藻(シアノバクテリアや緑藻など)がいるという形で、見た目はこけのようだけど、色が淡かったりするのでわりと見分けられるのだ。
古い木の樹皮なんかによく生えているよ(かぴかぴに乾燥したエメラルドのやつをよく見かけるけど、それが地衣類なのだ。)。
スペインのデ・ビラノバさんという化学者が1300ころに発見したらしいんだけど、今では化学的に合成することが多いみたい。

このリトマスの他にもpH指示薬に使われる薬品はあるよね。
チモールブルー、メチルレッド、メチルオレンジ、フェノールフタレインなんかが有名だけど、どれもリトマスほど広範囲をカバーできなかったり、カバーする範囲がずれていたりするのだ。
リトマスは中性をはさんで酸性とアルカリ性を見極められるので、中和したかどうかを調べるのに向いているんだよね。
弱酸性から弱アルカリ性を調べるのに便利なのだ。
他の指示薬もカバーする範囲では大きな色の変化があるので、その範囲でpHを調べたいときにはよく使われるんだよ。

そんな指示薬の中にフェノールレッド(フェノールスルホンフタレイン)というのがあるんだけど、これは細胞の培養液に入れられるんだ。
アルカリ性では赤いんだけど、中性になると黄色くなるんだよね。
通常細胞の培養液は弱アルカリ性で(これは生物の体内と同じ環境だよ。人の血液はだいたいpH7.4に保たれるようになっているのだ。)、代謝が進んで老廃物=酸化物が出てくると、pHが酸性側にかたむいてくるんだ。
基本的に生物はものを酸化(=燃焼)させてエネルギーを作るので、酸性物質が代謝物として出てくるのだ。
で、代謝物が一定程度たまってくると液性が変化してpHが弱アルカリ性から酸性側にかたむいて中性に近づくので、液の色が赤から黄色になってくるわけ。
これが培養液の交換の目安になって便利なので、入れられているのだ。

リトマスは天然色素だけど、他にも天然のものでpH指示薬に使えるものはあるんだよね。
よく夏休みの宿題の知恵なんかで出てくるのが紫キャベツの汁。
紫キャベツの葉っぱを刻んで、少し塩をしてしぼるだけでとれるんだけど、酸性だと赤くなって、中性だと紫、アルカリ性だと青~緑になるのだ。
リトマスと同じような変化なんだよ。
で、家にあるお酢とか、石けん水、重曹なんかの液性を調べるというわけなのだ。

アジサイは土壌のpHで花の色が変わることが知られているけど、きっとこの紫キャベツと同じような実験ができるはずなんだよね。
アジサイも紫キャベツも同じアントシアニン系の色素で色が変わるので、原理は同じはずなのだ。
なので、アジサイの花(本当はガク)をたくさんとってきて、刻んでつぶして、しぼり汁をとれば同じようなことができるはず!
ただ、きっとしぼり汁をとるのがそもそも大変で、しかも色が薄かったりして使いづらいから紫キャベツを使うんだろうけど(笑)
きれいなアジサイの花を無理矢理むしることもないのかもね。
ちなみに、アジサイの場合は土壌の酸性度が強いと青くなって、酸性度が弱いとピンク色になるのだ。
アジサイの花が青くなってきたら土に卵の殻をまくと色が赤くなっていくんだよ。
それと、土壌のアルミニウムの量でも色が変わるらしいので、土に1円玉を大量に埋めておくと、色の変化があるのかも。