2018/07/28

山燃える

ギリシアの山火事が大変なことになっているのだ!
アテネのすぐ近くなんだね。
パルテノン神殿からも煙が見えているとか。
でも、実はギリシアだけじゃなくて、北欧やロシアでも乾燥と高温で山火事が頻発しているんだって。
特にスウェーデンはひどくて、全土で山火事が発生しているような状態なんだとか。
自国の消防隊だけでは間に合わず、欧州内の他の国から応援に来てもらっているらしいよ。

日本の場合、山火事の主な原因は「火の不始末」なんだそう。
キャンプでの火の消し忘れみたいなのだけじゃなく、たばこのポイ捨てとかもあるらしい。
でも、今回の欧州の山火事は「自然発火」。
日本では湿度が高いこともあってなかなか起こらないんだけど、何かのきっかけで火がつくと、まわりが乾燥して燃えやすくなっているので、炎が広がるらしいのだ。
風があると酸素も供給されて一気に燃え広がるらしいよ。

「自然発火」の原因としてわかりやすいのは落雷。
でも、落雷があるような天気の場合は雨も降りやすくなっているし、そもそも湿度が高いので、今回の山火事も落雷が原因ではなさそうなのだ。
火山の噴火もあるけど、そもそも今回の地域では噴火してないよね。
では、何かというと、乾燥した木の枝や葉がこすれ合って摩擦熱や静電気が生まれ、それで火がつくんだって!
そんなことあるのか、と思うんだけど、実際にあるみたいなんだよね・・・。
普段から水でもまいておかないと防がないということかも。

テレビの報道で見る限り、ギリシアの山火事の商活動ではとにかくヘリコプターから散水しているみたいだね。
ただし、山火事の規模が大きくなってくると、まさに「焼け石に水」的なところがあるのだ。
散水できる量・範囲には限りがあるから、火の勢いに追いつかないんだよね。
まさにそんな感じで消火活動に苦労しているように見えるのだ。
山火事が割とよく起こっている米国の西海岸(カリフォルニアなど)では、水だけじゃなく、消化剤もまいているみたい。
何か赤い粉をまいているんだけど、それが粉末消化剤で、「負の触媒」として燃焼反応を抑制する効果があるんだって。

山火事の場合、人の住んでいる地域に影響があまりないと判断された場合は、そのまま自然に鎮火するのを待つというのもあるのだ。
その方が下手な消火活動をするより生態系に与える影響も少ないんだって。
とはいえ、放っておけるようなケースはそんなに大きくないので、消火活動を行うとともに、延焼を防ぐ手立てを講じる必要があるのだ。
その一つは、燃えている範囲の少し外側のところで「燃えるもの」をなくしてしまう、という発想。
江戸時代の火消しと同じなんだけど、燃え広がりそうな先にある樹木を先に切り倒してしまって、暫定的に「火除け地帯」を作るんだよね。
そうすると、よほど強い風でも吹かない限り、それ以上は燃え広がらなくなるわけ。
でも、あまりに規模が大きくなると、樹木を切り倒す範囲も広がるわけで、なかなかできることではないのだ。

そして、もっと過激な方法として「迎え火」というのもあるみたい。
逆方向から火をつけて、特定の範囲を先に燃やし尽くしてしまう、というもの。
あらかじめ火除け地帯を作っておいた上で、外側からも火をつけてしまうのだ。
そうすると、両側から燃えるので、燃えるものが一気に燃え尽きてしまって沈下が早くなるんだって。
でも、「毒を以て毒を制す」的なもので、新たに火事を起こすということでもあるので、リスクは高いみたい。
想定外のところに燃え広がる危険性もあるしね。

今回のギリシアの山火事がいつ収まるのかはわからないけど、おそらく住宅の火事のように散水して鎮火するのはほぼ不可能な規模のようなので、散水などの消火活動をしながら延焼をできるだけ防ぎつつ、鎮火するのを待つことになるのだ・・・。
なんだか大変そう。
消えたように見えても、土壌中に有機物なんかがあると火がくすぶっていることもあるので、その見極めも難しいんだって。
とにかく、早く収まることを祈るしかないみたい。

2018/07/21

カをさけろ

最近蚊の話題をよく見るのだ。
一番人間を殺している生物は「蚊」だとか(二番目は人間・・・)、足の裏を拭くと蚊にさされにくくなるとか、蚊は35度以上では活動しなくなるとか。
日本の蚊の場合は、さされてもかゆくなるだけなんだけど、とはいえ、やっぱりみんな不快なんだよね。
なので、関心が高いのだ。
そこで、そんな蚊にまつわる情報を少し調べてみたよ。

まず気になるのは、蚊の活動の限界。
日本では猛暑が続いているけど、そのせいか、蚊をはじめとする昆虫を見かけなくなっている、というのだ。
で、実際蚊にもさされない!
そんな中で出てきたのが、蚊は35度以上になると活動しなくなる、という話。
どうも、そのもとは、ネッタイシマカという日本で翌みっれるヒトスジシマカの近縁種を使った実験。
いろいろな温度・湿度条件で蚊の活動を観察したところ、蚊が飛んだのは気温が10度~35度のときだった、という論文らしいよ。
すなわち、蚊もあまりにも熱いと活動が抑制されるというわけなのだ。

蚊が活動できる温度範囲はいろんな説があって一概に言えないらしいけど、基本的に、蚊の生態として、常に飛び回っているわけではなく、草陰などに隠れていて、標的となる動物が来たときにさっとさしに行くんだって。
なので、もとから活発に行動しているわけでもないそうなんだけど、あまりにも暑いと、近くに動物が来てもさしに行かなくなるのだ。
蚊が快適に(?)行動できるのは26度~32度と考えられていて、その気温になるあたりが危ないらしいよ。
確かに、自分の記憶と照らしてみても、真っ昼間の炎天下でさされたことってあまりなくて、少し涼しい日陰や、朝夕のちょっと涼しい時間にさされていたような気がする・・・。
それは蚊の行動と合致していたんだね。

次に気になるのは、誰がさされやすいか。
巷間よく言われているのは、血液型がO型の人。
確かに、実験してみるとO型の人がさされやすい、なんて結果も出るようなんだけど、なぜなのかはよくわかっていないみたい・・・。
むしろ、科学的にわかっているのは、蚊がどうやって世界を認識しているか、から来る考察だよ。

蚊が動物の存在を認識するのに3つのセンサーを使っているのだ。
一つは温度センサー。
どうも赤外線を見ているらしく、代謝が活発で体温が高い人、運動直後の人なんかがさされやすいのはこのため。
次に二酸化炭素センサー。
ごく微量の二酸化炭素濃度の差を検出できるようで、呼気中に含まれる二酸化炭素の存在をキャッチするんだって。
息を止めていると認識されない?
最後ににおいのセンサー。
これは汗に含まれる乳酸や脂肪酸なんかを認識していると考えられているのだ。
足の裏を拭くとさされにくくなる、というのはまさにこれで、足裏は汗腺が集中していてにおいのもとなので、そこをきれいにしてにおいを少なくすれば蚊に認識されにくくなる、ということなのだ。
特に、蚊は普段は草陰なんかに隠れているので、比較的低いところにあるにおいのもとは重要なんだ。
総合して考えると、太っている人、汗っかきの人がさされやすい、というのはもっともなのだ。

ちなみに、気温が高くなればもともと日本に生息している蚊は活動しづらくなるんだけど、今度はマラリアなどのやばい病気を媒介するハマダラカなんかのもっと暑い地方に住んでいる蚊が繁殖するようになるのだ。
幸い日本国内にはほとんどマラリア感染者がいないので、ハマダラカが来てもすぐに汗腺が広まるわけではないんだけど、怖いのは怖いよね。
なので、まずは自衛手段としてさされないように気をつけるのが重要。
炎天下の日向を歩くのは確かに効果的なんだろうだけど、むしろ、汗はきちんと拭いて体臭に気をつける、みたいな清潔感を保つ、という方がやりやすそうだね。
あと、蚊の近くでは息を殺す(笑)

2018/07/14

水に始まり、水に終わる

朝、時間がないときに限って寝癖がひどかったりするよね(笑)
で、直そうとしてもなかなか直らず、焦ったりするのだ。
この間散髪に行って短くなったからここのところは気にしていないけど、散髪に行くまではけっこう伸びていたので、寝癖がついてたよ。
で、この寝癖というのがなんなのかをちょっと調べてみたのだ。

結論から言えば、髪の毛と髪の毛の間に「水素結合」というゆるい結合ができていて、くせがついた形で髪がかたまってしまう現象なのだ。
水素結合というのは、タンパク質の表面で、電荷が正に偏っている水素原子が、電荷が負に偏っている酸素原子、窒素原子、硫黄原子などと電気的に弱い結合をするもの。
それぞれの原子は分子の中で共有結合をしていて、分子全体としては電気的に中性なんだけど、それぞれの原子には電子を引きつける違いに差があるので、分子内で電気的な偏りができてしまうのだ。
水素原子なんかは電子を引きはがされやすいのでプラスになっていて、酸素原子なんかは電子を引きつけやすいのでマイナスになっているよ。

この水素結合は、タンパク質の高次構造を形成する上でも重要。
タンパク質はアミノ酸がたくさん鎖状につながったもので、そのままではひもみたいな長い分子だけど、丸まって一定の形になることで機能を発揮するのだ。
その形状を保つのに重要な役割を担っているのが水素結合。
体の中のタンパク質が機能しているのはこの水素結合のおかげ。
なので、それ自体が悪いやつではないんだよ(笑)

たかが電気的な弱い結合なんだけど、これがけっこう強力で、寝癖がなかなか直らないわけ。
電気的にくっついているので、物理的に櫛でとかすだけではどうしようもないのだ。
で、簡単な直し方と言えば、水に濡らすこと。
水中にはそれこそ無限の水分子があるわけだけど、この水分子の中でも電気的な偏りがあって、水素原子はプラスに、酸素原子はマイナスになっているのだ。
髪の毛の間で水素結合しているタンパク質は、まわりに他の電気的な偏りがないからわりと強くくっついてしまっているのでだけど、まわりに水分子が来ると、他にも電気的結合の相手がいるので、くっついたり離れたりするのだ。
数的には水分子の法が圧倒的に多いから、髪の毛同士の結合はほぼ切れてしまうわけ。
なので、面倒でも水で濡らしたり、水を主成分とした寝癖直し(他に香料や界面活性剤、多価アルコールなんかが入っているよ。)をつけたりするとなおるんだ。

濡れている状態の時にクセを直し、きちんと乾かせば、その後は水素結合で寝癖がつくことはないのだ。
つまり、寝癖がつくのは、髪の毛に湿り気がある状態で髪の毛に変な力がかかるから。
しっかり髪を乾かさずに寝たり、寝汗で頭が群れたりすると寝癖ができる原因になるよ。
逆に言うと、まずはお風呂の後にしっかりと髪を乾かしておけば寝癖はつきづらいのだ。
これは重要だね。

で、この寝癖と似ているようでまた違うのが「パーマネント」。
パーマの場合は、アミノ酸残基のうちチオール基(-SH)を持っているシステイン同士の間で共有結合を作ってしまうことで髪の形を固定する技術なのだ。
チオール基を二つを化学的に結合させてジスルフィド結合を作るんだけど、その化学反応のために、薬液を使い、熱をかけるんだよ。
水素結合と違って、共有結合ができてしまうので、薬剤か何かが化学的にジスルフィド結合を切らない限りはその「クセ(ウェーブ)」が持続するのだ。
これが「パーマネント(永続する)」の名前の由来。
水に濡れても大丈夫なので、髪を洗っても形状が保たれるよ。

というわけで、実は髪のクセは化学に支配されていたのだ!
これを踏まえれば、寝癖を直すにも、あれこれ試行錯誤せず、最初から水で濡らして直せるね。
ま、寝癖にならないようにする方がよいけど。

2018/07/07

これが本来の味?

中東の某国に出張に行ってきたのだ。
人生ではじめてのアラブ地域。
ちょっと最近の政策課醸成を踏まえると、怖い感じがするよね・・・。
行ったところは治安は全く問題なかったんだけど。
むしろ、その蒸し暑さがきつかった。

そんな蒸し暑い中で提供されるのが、カフワ・アラビーヤ。
アラビック・コーヒーと呼ばれるものなのだ。
初めて飲んだけど、これはいわゆる「コーヒー」とは別物。
まず、色が違う。
泥水のような薄い茶色。
そして、カルダモンの風味。
なんだか薬湯を飲んでいるみたい。

淹れ方を調べてみると、その色も納得。
アラビック・コーヒーに使われるコーヒー豆はほとんど焙煎していないものなのだ。
ちょっと黄色くなった程度。
それを黄土色の粉にして使うんだ。
とってつきの鍋に超浅煎りコーヒーの粉と水を入れ、カルダモンで風味をつけつつ沸騰して煮出すんだよね。
それをそのままポットに移し、粉が沈んだ当たりで上澄みを小さなカップに入れて提供するのだ。

コーヒー豆は使っているので、しっかりとカフェインは入っているんだろうけど、いわゆるコーヒー特有の「苦味」はないので、別物に感じてしまうんだよね。
砂糖などは入れず、甘いデーツと一緒にいただくのが標準なんだって。
ラマダン中に日の入りとともに最初に口にするのが、このアラビック・コーヒーとデーツの組み合わせという地域も多いみたい。
それだけアラブ地域では浸透しているものなのだ。

実は、淹れ方自体はトルコ・コーヒーにそっくり。
トルコ・コーヒーも粉と水を鍋に入れ、煮出して作り、カップに注いで粉が沈んだところで上澄みを飲むんだよね。
でも、煮出すときにコーヒーの粉とほぼ同量の砂糖を入れるので極めて甘いのだ。
さらに、使うコーヒーも焙煎したものなので、いわゆる「コーヒー色」のものだよ。
カルダモンは入れたり、入れなかったり。

アラビック・コーヒーも最初はそれに近いものと勝手に思っていたのでびっくり!
色がついていないし、いわゆるコーヒーの香りもしないので、コーヒー豆を使っていないのかとも思ったよ。
それくらい異なるものなんだよね。
でも、コーヒーの歴史からすると、生のコーヒー豆を煮だして飲んでいたのが最初だったようなので、むしろアラビック・コーヒーの方が原点に近いようなのだ。
豆が煎られるようになったのは13世紀以降で、それまでは乾燥させただけの豆や葉を煮出して、カフェインが溶け出した煮汁を飲んでいたようなのだ。
ま、焙煎した豆で淹れたものが世界の主流ということは、そっちの方が好まれたんだろうね。
イスラム世界では、クルアーン(コーラン)で「炭」の食用が禁止されているようで、煎ったコーヒー豆が炭に似ているので、あまり焙煎しないで淹れるスタイルが残ったんじゃないかと推測されるのだ。

いずれにせよ、アラビック・コーヒーもトルコ・コーヒーも、ユネスコの無形文化遺産に登録されているんだよね。
飲み物そのものというより、その飲み物にまつわる文化や習慣なんかを含んでいるんだけど。
アラビックコーヒーの場合も、アラブ地域の遊牧民であるベドウィンが客人にアラビック・コーヒーを振る舞う、という文化で登録されているんだって。
「おもてなし」の精神込みってことだね。