2012/06/30

Every child has a beautiful name!

歌手活動を休止中の宇多田ヒカルさんがツイッターで、「最近日本では風変わりな名前の子供が多いらしいけど、絶対読めない名前とか、日本語っぽくない名前とか、ちょっとかわいそうだなと思う。親御さんたちは愛情をもって名付けたんだろうけど…(原文ママ)」とつぶやいたことが話題になっているのだ。
最近は子どもたちに「変わった」名前をつけることが注目されていて、俗に「キラキラネーム」と呼ばれたりするんだよね。
これは文字どおりキラキラ輝いているというより、皮肉を込めた言い方だけど・・・。
もともとは、2ちゃんねるでよく使われる「DQN」な親が子どもに変わった名前をつけるので、「DQNネーム」と呼ばれていたよ。
ただ、どうしても「DQN」というスラングには蔑称的なニュアンスがあるから、キラキラネームの方をよく見かけるようになったよね。

思い出してみれば、かつては自分の子どもに「悪魔」という名前をつけようとしたところ、市役所に不受理にされるという事件があったのだ。
手続的には明らかな瑕疵はなかったんだけど、市役所が法務省民事局に照会した結果、「子供の福祉を害する可能性がある」として、親権の濫用を理由に不受理にしたものだよ。
このころは、自分の子どもにそんな名前をつけるなんて!、と眉をひそめる人も多かったけど・・・。
今ではかなり予想の斜め上を行く名前もあるようなのだ。

2ちゃんねるで有名なのは「ぽっどる」だけど、これはネタかもしれないよね。
でも、「ゆとり」くんや「ぷもり」ちゃんは実際に存在していて、テレビのニュースや新聞の投書欄に登場しているのだ。
「光宙(ぴかちゅう)」とか「大熊猫(ぱんだ)」、「今鹿(なうしか)」などなどの名前も本当に存在しているそうだよ。
子どもがどう思うかは別の問題としても、まわりの大人、例えば学校の先生は苦労するだろうね(>o<)
思い切って大喜利的に読もうとすればなんとかなるのかもだけど(笑)

で、命名のルールなんだけど、これは戸籍法と戸籍法施行規則(法務省令)に依っているのだ。
戸籍法では、

第五十条 子の名には、常用平易な文字を用いなければならない。
2 常用平易な文字の範囲は、法務省令でこれを定める。


と定めていて、ここでいう「常用平易な文字の範囲」というのは、戸籍法施行規則で、

第六十条 戸籍法第五十条第二項 の常用平易な文字は、次に掲げるものとする。
 一 常用漢字表(平成二十二年内閣告示第二号)に掲げる漢字(括弧書きが添えられているものについては、括弧の外のものに限る。)
 二 別表第二に掲げる漢字
 三 片仮名又は平仮名(変体仮名を除く。)


となっているのだ。
この省令の第2号で言う「別表第二に掲げる漢字」というのがいわゆる人名漢字表なのだ。

気をつけたいのは、戸籍法の体系では、命名するときに使用する文字のルールは定められているものの、読み方については言及がないこと。
だから、どんな当て字をしてもいいし、まったく関係ない読みをつけてもよいのだ!
極論で言えば、「太郎」と書いて「とむ」と読ませてもよいわけ。
ま、そういう名前の付け方をされると将来苦労するかもしれないけど・・・。
ただし、名字の世界で言えば難読の姓はいくらでもあって、「四月一日(わたぬき)」、「小鳥遊(たかなし)」、「目(さっか)」、「一(にのまえ)」などあるから、読み方に制限をつけるのは日本の伝統・文化に反することだったのかも、とちょっと思うのだ。

そして、よく命名で問題になる、「公序良俗に反する名前」、「子どもの福祉を害する可能性」などなどの「不受理」の理由は戸籍法の体系ではなく、むしろ一般法規から来るもので、出生届を出すときの手続上の問題ではないのだ。
なので、アルファベットや数字を使っている、常用漢字表・人名漢字表外の漢字を使っているなどの明確なルール違反がなければ、受付はしなくちゃいけないんだ。
さらに、不受理にすると、場合によっては裁判所に不服申立てをされてしまうよorz
「悪魔」ちゃん騒動のときはまさにそうだったのだ。

名前は一生のつきあいだから慎重につけないと、ということなんだけど、あまりにも社会生活を営む上で傷害となるような場合には改名することもできるのだ。
戸籍法では、

第百七条の二 正当な事由によつて名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。

とあって、家庭裁判所の許可を得れば改名はできるんだ。
15歳以上であれば本人が、15歳未満であれば法定代理人が家庭裁判所に申立てを行い、家庭裁判所の裁判官が「正当な理由」と認めれば改名ができるわけ。
実際に認められるのは、営業の理由による襲名又は代々の当主名への襲名を行う場合、神官・僧侶になる場合又は還俗する場合、難解・難読な名前又は珍奇な名前を変更する場合、親戚や近隣者に同姓同名の者がいて紛らわしい場合、帰化した際に日本風の名前に改める場合、本人の外見と名前の性別が食い違って不便な場合(むかしは異性と紛らわしい場合だけだったけど、性同一性症候群が認められてからは、性別の変更による改名も認められるようになったよ。)、永年使用した通称を本名にする場合、出生届を提出した時の誤りを正す場合などだよ。
ただし、裁判所としては、都合が悪くなったからといってすぐに改名すればいい、という風潮に釘を刺す意味で「親権者がほしいままに個人的な好みを入れて恣意的に命名するのは不当で、子供が成長して誇りに思える名前をつけるべき」との見解を示しているのだ。
まさに今問題になっているキラキラネームをどう考えるかだね。

とは言え、変わった名前をつけるというのは今に始まったことではないみたい。
江戸時代の国学者・本居宣長さんも弟子の中に名前の読みが難解な者がいる、と嘆いているし、作家の森鴎外さん(本名は森林太郎)は国際的に通じるようにと、子供にそれぞれ於菟(おと、Otto)、茉莉(まり、Marie)、杏奴(あんぬ、Anne)、不律(ふりつ、Fritz)、類(るい、Louis)など外国人風の名前を付けたりしているし。
それこそ、今は一般的になっている(?)「翔」とか「彩」みたいな名前はむかしは少し違和感があったわけだよね。
むしろ、現代では「太郎」・「次郎」や「花子」・「菊子」みたいな名前の方がマイナーで、逆に目立つようになっているのだ。
そういうことを考えれば「流行」ということなのかもしれないけど、明らかに読めない名前、別の意味を持つ言葉の読みを変えた名前などなどは将来困るだろうから、よくよく考えた方がよいだろうね。

2012/06/23

トンボのメガネは・・・青色遮断!

最近テレビのCMで気になっているのはパソコン用メガネ。
度なしのメガネで、パソコンからの「有害」な光を遮断し、目を守るというのだ。
確かに、長時間パソコンの画面を見ていると目が痛くなるけど、それって単にパソコンの画面が明滅しているかrだと思っていたんだよね。
でも、どうやらそうではないらしいのだ・・・。

今回のパソコン用メガネの特徴は、可視光のうちエネルギーが高い青い光をカットすること。
「ブルーライト」と呼んでいるけど、もともとはそのまま「高エネルギー可視光線」として扱われているもののようなのだ。
波長で言うと380~530nmくらいで、紫~青くらいの色の光。
この青い光は「加齢黄斑変性」の原因の一つと考えられているのだ。
これは加齢によって網膜の黄斑部が変性して視力が低下し、場合によっては失明に至のなのだ。
この黄斑部は、網膜の中でも特に□という感覚にとって重要な部分で、黄斑部の中心にある中心窩(ちゅうしんか)のまわりには明るいところで色の識別をする錐体細胞がたくさんあって、そのまわりには暗いところで白黒で明暗を判別する桿体細胞がたくさんあるのだ。
どちらの細胞も網膜に広く分布しているんだけど、特に黄斑部に多いので、ここがダメになると視力に大きく影響が出るようなのだ。

症例的には、黄斑部にダメージが蓄積され、眼底部に新生血管を生じたりするのだ。
血管ができてしまうとそれに遮られて光受容ができなくなるので、視力が低下してしまうんだよね。
そのため、治療としては、血管新生を抑える薬を使ったり、できてしまった血管をレーザー光で焼き切ったり、外科的手術で取り除いたりするみたい。
いずれにしても、なんか痛そう(ToT)
ちなみに、血管ができるわけでもなく、単に黄斑部の萎縮などが起こる症例では、有効な治療法がないのでサプリメントの投与くらいしかやることがないんだとか・・・。

まだ原因が明確にわかっているわけではないんだけど、ここに青い光が影響してそうだ、と言われているのだ。
視細胞は光を感知するとき、光受容体の視物質の化学物質の変化で認識しているのだ。
ロドプシンとか有名だよね。
で、一回光が当たると視物質が変化して、それが電気信号に変換されて脳に送られるわけだけど、そのままだと二度と光が感知できなくなってしまうので、再び光が感知器で切るように視物質が回復する代謝経路があるのだ。
視物質が元の状態にもどるまでの時間は一時的に光が感知できないラグは生じてしまうけど。
ちなみに、強い光を見てしばらく視覚がダメになる(いわゆる「目くらまし」)のはこのためだよ。
通常は全部の視細胞が反応するわけでないので残っているものが対応するわけだけど、強い光でほとんどの視細胞が反応してしまうと、もう反応できる細胞がないために一時的に視覚が使い物にならなくなるのだ。

で、この視細胞は基本的には可視光に反応するわけだけど、波長が短くエネルギーの強い、青い光は網膜にも届きやいことが知られているんだ。
すると、この視物質が元にもどるまでのラグの間にさらに光が来て、別の反応を起こして悪さをすることがあるのだ。
そのときに活性酸素なんかが出てくると黄斑部の変性につながってしまうわけ・・・。
青い可視光は太陽光にも含まれているので常に見ているんだけど、パソコンが特に問題視されるのにはそれなりの理由もあるようなのだ。

現在のパソコンのバックライトは多くの場合LEDを使っているんだよね。
人間の視覚では、光の三原色の組み合わせで色の違いを理解しているので、それを逆に応用して、LEDでフルカラーにするには三色のLED発光素子を使っているのだ。
全部の光を混ぜると白色光になるわけだけど、LEDの場合、青色発光が強いみたいなんだよね。
しかも、その波長が網膜に傷害を与えやすいと考えられている波長とほぼ一致するのだとか!
なので、ここ最近パソコンの光から目を守れ、という感じになってきているようだよ。
目の酷使というだけでなく、物理的・エネルギー的・生理学的な原因があるかもしれないのだ。

こうなってくるともう気をつけたくなるよね。
ちょっと危機感を持つのだ。
市場に出ているパソコン用メガネは、一義的には悪い作用を及ぼすかもしれない青い光の透過度を下がることで目を守るんだけど、そのままでは色のバランスが悪くなるので、他の領域の光の透過度も変えることで全体的に見やすくしているんだって。
まずは青い光を遮るフィルターとかをつけるのでもよいけど、画面を見やすくするための工夫でそういうところも大事みたい。

実際どこまでどう影響があるのかよくわからないけど、それこそ仕事をしている間中パソコンとずっとにらめっこしている、という状況は最近になって生じたことだから、リスクは未知数だよね。
10年後、20年後に加齢黄斑変性が増えているかもしれないし、意外に変わらないかもしれないし・・・。
むずかしいところだけど、そういうリスクがあるということは認識しておいて、多少気を遣った方がよいのかもね。
とりあえず、パソコン画面からはできるだけ顔を話すことにしようっと。

2012/06/16

Hey Say Junk!

ボクは普段から割と食べるものには気を遣っているんだよね。
カロリーを抑えたり、野菜が多めのものを選んだり。
でも、どうしても時々ジャンクな食べ物が恋しくなるのだ(笑)
悪そうな油を使った揚げ物とか、脂ぎとぎとのラーメンとかね。

これらはいわゆる「ジャンクフード」。
ジャンクフードには明確な定義はないんだけど、一般論として言えば、熱量(カロリー)は高いが、ビタミンやミネラル、食物繊維などがあまり含まれない食品のことを指すみたい。
その場しのぎのエネルギーは補えるけど、体を維持するのに必要な栄養はそれだけではまかなえない、ということなのだ!
燃料はあるけどエンジンオイルはない、みたいなものかな?
低価格なものが多いけど、「安くておなかはふくれるけど、栄養素としては乏しい」というイメージがつきまとうね・・・。

代表的なものと言えば、ハンバーガー、フライドポテト、フライドチキン、ラーメン、スナック菓子などなど。
日本でもあまり子どもには食べさせたくない、と思われているものが多いよね。
でも、子どもは逆に好きだったりするから困るのだ(笑)
でも、ディズニーなんかは子どもの成長に悪影響を与えるとしてジャンクフードの広告規制をしたりもしているんだよ。
米国の場合、州によってはハッピーセットが禁止なのだ。
おもちゃで子どもを釣ってジャンクフードに触れさせることになるからね。
なので、米国のマクドナルドには、サラダやカット果物、脂肪を抑えたサンドウィッチ(マクドナルドで言うサンドウィッチはいわゆる「ハンバーガー」)、無糖・無脂肪ヨーグルトなんかがメニューにあるのだ。
でもでも、米国のサブウェイはなぜかサンドウィッチとスナック菓子のセットを売っていたりするけどね(>o<)

油脂とか砂糖って人間にとってはおいしく感じる要素で、くせになってどんどんほしくなるのも確かなのだ。
ボクが時々どうしても食べたくなるっていうのも本能的なものなのかも。
特に、黄色人種(モンゴロイド)は脂肪をためやすいので、ジャンクフードばかり食べているとすぐ肥満体型にorz
たいていの場合塩分も多いので、血圧まで上がってしまうのだ!
そんな食生活じゃ体がおかしくなるよね。

でも、貧困だと、どうしてもこれに近い食生活になるのも確か。
米国のジャンクフードを見ていると、やっぱり黒人系の人が好むものが多いのも事実なんだよね。
なにしろ、肉体労働でたくさんエネルギーを消費するけど、所得は高くないのでとりあえずカロリーの高いものを、となると必然的にジャンクフードを食べることになってしまうよね。
フライドチキンやハンバーガーなんてまさにそう。

日本でも、江戸の庶民はおかずなんてそんなに食べられないので、少しの漬け物や納豆・豆腐のような豆の加工品、少量の魚くらいしかなかったんだ。
それでお米をたくさん食べていたんだけど、白飯ばかりを食べるので栄養失調になるのだ。
江戸でビタミンB不足から来る「脚気」が蔓延したのもそれが原因。
一方、農村部ではあまりお米を食べることはできず、食べても玄米。
多くは粟や稗、稷、麦などの雑穀と多くの野菜を使った雑炊なのだ。
なので、栄養面でははるかに都市部より優れていたわけ。
脂肪過多による生活習慣病病とは無縁だったかもね・・・。
(江戸時代は保存性の関係でしょうゆや味噌の塩分が濃かったので、循環器系の病気は多かったかもしれないのだ。)

とは言え、これは食べちゃいけない、というほどのものでもなくて、ようは「節度を持って」というだけなんだよね。
あんまり気にしすぎるとストレスになってしまってかえってよろしくないし。
でも、米国なんかは気にしすぎているので、成分無調整の生乳もジャンク扱いする場合もあるよ。
米国のスーパーに行けばわかるけど、基本はスキムミルク(無脂肪乳)か低脂肪乳しか売っていないのだ!
全乳(ホールミルク)なんてよほど探さないと手に入らないよ。
そのくせピザを1枚まるまる食べたり、砂糖より甘いデザートにたっぷりの生クリーム・チョコレートソースをかけたりするんだから不思議だよね。

ルーマニアには「ジャンクフード税」、デンマークには「脂肪税」、ハンガリーには「ポテトチップス税」なんて感じで欧州ではジャンクフードに課税をしてあまり食べさせないようにする動きもあるくらいなのだ。
それくらい肥満とそれに起因する健康障害、ひいては医療費負担が問題になっているんだよね。
で、ジャンクフードの本場たる米国でもかなり気にする人は木にするんだけど、「わかっちゃいるけどやめられない」というのがこの世界なので(?)、通称「チーズバーガー法」とも呼ばれる食品消費個人責任法という法律がていしゅつされたこともあったのだ。
これは、ジャンクフードを食べ過ぎて肥満になったと言って食品産業を訴えられないようにした法律案だよ。
肥満が大きな問題になっていたため、下院は通過したけど上院で否決されて法律には至っていないけど、好きで食べていたくせに太ったからと医ってファストフード店が訴えられたんじゃたまったもんじゃないよね・・・。

というわけで、やっぱり最後は「自制」あるのみ。
適度に息を抜きつつ、でも、食べ過ぎないようにして、「たしなむ」程度で楽しめばよいのだ♪
禁欲期間を経た後のぎとぎと脂は格別かもよ?

2012/06/09

太陽のほくろ

6月6日(水)は21世紀最後の「金星の太陽面通過」。
東京はあいにくのくもりだったけど、ボクはなんとか雲の合間から見られたよ。
実は先日の金環日食よりレアな現象だったのだ!
いまいちマイナーだけどね(笑)
でも、すぐ前に金環日食があって日食グラスを持っている人も多かったから、観測した人も意外といるかな?

「太陽面通過」又は「日面経過」というのは、太陽と地球の間に内惑星が入って、太陽に影ができる現象。
ボクたちの住んでいる太陽系には内惑星は水星と金星があるので、それぞれあるのだ。
でも、水星の場合は見かけの大きさがきわめて小さいので、望遠鏡で見ないとわからないんだって。
金星の場合は、見かけの大きさが太陽の30分の1くらいなので、太陽の上をほくろのような黒い点が動いていく現象として観測されるんだ。
今回は午前中いっぱいくらい見られるみたいだから、かなり観測の条件はよいね♪
(正確には、午前7時過ぎから午後2時前まで約6時間半あるので、多少雲があってもその合間から見えるかも!?)

もともと、太陽と地球と他の惑星が一直線上に並ぶ現象を「合(ごう)」と言うんだけど、内惑星の場合は、内惑星-太陽-地球という並び順の「外合」と、太陽-内惑星-地球という並びの「内合」があるのだ。
この内合の時に「太陽面通過」が起きるわけだけど、毎回起こるわけではないんだ。
それは、内惑星の公転軌道と地球の公転軌道は同一平面上になくて、少し傾いているから。
金星の場合は3.4度の傾きがあるんだって。
しかも、金星の見た目の大きさは小さいので、内合の状態になっても太陽の上や下を通過することになってしまって、太陽の上に黒い影が投影されないのだ。
うまいこと交点軌道面の交点近くで内合になると晴れて観測できるんだよ。
このためにまれな事象なんだ。

その周期は時代とともに少し変わるらしいんだけど、今のところは8年、121.5年、8年、105.5年という周期で繰り返すそうなのだ。
前回は2004年6月8日だったので、今回はその8年後の周期。
ということは、次は121.5年後の2117年12月11日になってしまうんだ!
というわけで、21世紀で最後のレア・イベントというわけさ。
これは見逃してはならないよ。

この現象を世界ではじめて予測したのはかのヨハネス・ケプラーさん。
さすが惑星の軌道の研究をしていただけあるね。
で、実際に彼が生きていた1631年に発生することを予測したのだ。
でもでも、このときの予測の精度は少し悪くて、数時間程度ずれていたようなんだよね。
日没間際に通過するはず、と思っていたんだけど、実際に通過するのは欧州では日没後の時間で観測できないものだったのだorz
ケプラーさんはその次の通過を1761年と予測していたので、ここで観測をあきらめちゃったんだよね。

ところが、英国の天文学者のエレミア・ホロックスさんが改めて計算したところ、8年後の1639年にも通過が起こりそうだ、ということがわかったのだ。
ただし、この時も計算の精度がよくないので、ホロックスさんはそれこそ1日中観測をしていたらしいよ。
そして、日没の1時間ほど前、雲がきれて晴れ間がのぞいたところで観測できたんだって!
これが人類で最初の予測した金星の太陽面通過の観測だよ。
でも、この観測結果は彼の死後まで発表されなかったんだとか・・・。

この太陽面経過を正確に観測すると、太陽と地球の距離が測定できるんだ。
惑星までの距離は、惑星の天球上の見かけ上の動きから、太陽と地球の間の距離である1天文単位の何倍かで測れるんだけど、問題の1天文単位の絶対値はわからないのだ。
今、金星は動いていないと仮定すると、太陽面通過にかかる時間を計測すると三角測量の原理で地球と太陽の距離が計算で求められるんだ。
でも、実際には金星も動いているので、2地点以上で観測しないと答えが出ないけど。
ホロックスさんも友人と協力して見積もってみたらしいよ。

ところが、この太陽面通過の時間を正確に求めるのが難しいんだ。
入るときと出るときは太陽の縁の光がゆがんで影が水滴状の形に見え、いつ入ったのか、いつ出たのかが正確にわからないのだ。
このため、かなり誤差が出ていたらしいよ。
ただし、これは光学機器の発達でかなり防げるようなので(遮光を強くして光の強度を抑えた上で解像度をよくすればかなり防げるみたいで、当時の望遠鏡ではピントがきちんと合わなかったことが原因みたい。)、今はけっこう正確に観測できるらしいよ。

ホロックスさんの後、18世紀になってからもこの方法による太陽までの距離の見積もりが行われて、あの彗星に名前を残しているハレーさんの提唱で世界で初めての国際的な共同研究で各地で観測が行われたみたい。
19世紀になると、開国から間もない日本にも観測隊が来たみたい。
明治政府は正直「?」だったみたいだけど、長崎や横浜で観測が行われたみたい。
横浜にはそのときの記念碑もあるみたいだよ。

と、けっこうむかしから全世界で注目されていた現象なんだよ。
見られた人はラッキー♪
見られなかった人はなんとか22世紀まで長生きしてもらうしかないね(笑)

2012/06/02

芽が出て甘くなる!

まもなくうっとうしい梅雨の時期がやってくるね・・・。
日本の四季の中でももっともうっとうしい時期なのだ(>o<)
そんなとき、意外にすっきりするのが伝統的な清涼飲料水。
冷やし甘酒なんかの場合は夏ばて対策も含めて飲まれていたけど、純粋に清涼飲料水という意味では、関西でよく見られる「冷やし飴」だよね!
これは今ではすっかり温かい飲み物として定着した甘酒とは逆で、むかしは暖かい状態(「飴湯」と呼ばれるよ。)で飲まれていたものが、明治になって「冷やし」で飲まれるようになったものなのだ。

冷やし飴や飴湯は、伝統的な製法で作った琥珀色の水飴を水又はお湯に溶き、生姜やニッキを少量加えて飲み口をすっきりさせたもの。
ただ甘いだけじゃない、というところが「すっきりさ」を感じさせるんだろうけど、これはジンジャーエールでも同じだよね。
普通の砂糖水じゃカブトムシみたいな気持ちになるし(笑)
最初不思議な味に感じるけど、なかなかおいしいものなのだ。

これに使われる伝統的な水飴というのは、お米のデンプンを麦芽に含まれる酵素で糖化したものだよ。
ヒトの唾液の中にも含まれる酵素のアミラーゼというのが麦芽中に多く含まれていて、それがデンプンを二糖の麦芽糖に分解していくのだ。
口の中でお米をよくかむと甘くなっていくのと同じ。
麦芽糖は甘さも控えめで、わりとすっきりした甘さなんだよね。
そのむかしは発芽玄米を使っていたようなんだけど、麦芽の方が酵素の量が多いので、次第に麦芽が主流になったのだ。
ビールやウィスキーの醸造にも麦芽をつくけど、あれも大麦などに含まれるデンプンを麦芽で糖化し、その後酵母でアルコール発酵させているんだ。
日本酒や焼酎の場合は麹(バクテリア)の力を借りて一次発酵(デンプンを単糖のブドウ糖にまで分解するよ。)させているのだ(実際には麹による糖化と酵母によるアルコール発酵が同じ並行的に起こっているので並行複発酵と言うのだ。)。

工業的な製法では、ジャガイモなどから精製したデンプンにシュウ酸を加え、酸性条件下で加水分解を行うのだ。
加水分解の時間・条件によってオリゴ糖、二糖、単糖というレベルまで分解できて、反応を終わらせるときに炭酸カルシウムを加えるんだ。
すると、シュウ酸はシュウ酸カルシウムという水に溶けない物資になるので、それを濾過して取り除くわけ。
濾過した液体を熱して少しにつめると粘りけのある、透明な水飴ができるよ。
一方、麦芽水飴の場合は、デンプンの供給源であるお米にミネラル分なんかが含まれるので、できあがりは少し茶色がかっているのだ。
これが「飴色」というやつ。

麦芽は、大麦やはだか麦を水にさらしておくと、発芽・発根してくるんだよね。
それをそのまま畑にまけば成長するわけだけど、これをよく乾燥させてから粉々に砕いたのが麦芽。
なんと、乾燥して砕いてからでも酵素の活性はほぼ失われないんだよね!
で、60度くらいにさましたおかゆに乾燥粉末麦芽を加え、よくかき混ぜるのだ。
このまま温度を保ちながら5~8時間くらいおくと、どろどろだったおかゆの上部に透明な駅ができてくるんだって、
これが酵素反応が進んだ証拠で、デンプンが分解されて糖液ができているのだ。
これを布などでこして、そのしぼり汁を根紅入れて泡を鳥ながら煮詰めてやると、褐色の水飴のできあがり♪
ちなみに、60度という温度は経験則からきたものだけど、60度より高いと酵素の糖化力が失われ、50度より低いと他の雑菌が繁殖するようなのだ。
そのぎりぎりのラインを見極めているみたいだよ。
さすが先人の知恵!

ちなみに、原理的には、煮詰める前の絞り汁に酵母を加えればそこでアルコール発酵もできるはずなのだ。
日本でも古代のお酒は口でお米をかんだ後に瓶に入れて発酵させていたんだよ(これを「口噛み酒」と言うのだ。)。
なので、お米を麦芽糖まで分解して醸造する場合もあったのだ。
あんまいr飲みたくないけど・・・。
ただし、日本ではその後麹を使った醸造法が定着したので、口噛み酒はもう残っていないけどね。
でも、小学校の理科の実験では、お米をかんでからヨウ素液を垂らすと紫色になる、なんていうのはやるよね(笑)

これって手間はかかるけど、そんなに特殊な道具を使ったりするわけでないので、高学年であれば夏休みの自由研究でやることができるかもね。
けっこうおもしろそう。
全部を水飴にせず、一部は少量の濁り酒とまぜればおそらくアルコール発酵もさせられるよ。
酒気帯び運転防止用に呼気中のアルコールを測定する機械はわりと簡単に手にはいるので、それを使えばアルコールができているかどうかもわかるはずなのだ(飲んでから息をはいてもいいけど、雑菌が繁殖している可能性もあるので、ビニール袋に少量入れてよく振ってから、その袋の中の空気を調べればよいのだ。)。