2009/08/29

いろんな投票

いよいよ総選挙の投票日が近づいてきたねぇ。
マスコミもすっかり選挙モードなのだ。
ニュースでは、アンケート調査の結果として97%近くの人が投票をする意向があると言っているけど、まさにそれだけ国民の関心があるのかな?
でも、その一方でかなり選挙後の体制の予測もなされているし、もうだいたい結果は出てるよね、という冷めた空気もあるよね・・・。

そんな中、けっこうテレビなんかでも取り上げているのが、当日以外に投票をする方法。
いろいろな投票方法があるだけど、国民の参政権を確保するため、そしてより多くの国民に政治に興味をもってもらって投票率を上げるため、さまざまな工夫がなされているのだ。
これが調べてみるとなかなか奥が深いよ。

ボクに特になじみが深かったのは在外選挙という制度。
ちょうど米国に留学しているときに参議院選挙があったんだよね。
2000年から比例代表への投票ができるようになり、2007年からは選挙区への投票できるようになったのだ。
外国に在留している国民が選挙に参加するための制度なわけだけど、その前提として、在外選挙人名簿に名前を載せる必要があって、大使館や領事館を通じてあらかじめ手続をしておくことが必要なんだ。
その際、きちんと国内で転出届を出しておくことが必要で、国内に住民票を残したままだとその住民票のある市町村の選挙人名簿に名前が載ってしまうよ(ようは、長期の旅行扱いだよね。)。
最終的に住民票があった市町村(転出届の最後の住所地)の選挙区で選挙権が発生するんだけど、国外出生(つまりは海外生まれ)の場合は、本籍地になるみたい。
大使館・領事館と市町村との間でやりとりするので、手続にはけっこう時間がかかるみたい。
ニュースでも在外選挙制度を利用する人が増えていると言っていたけど、問題は立候補者の情報で、どの選挙区で誰が立候補しているかがわかりやすくまとめられている情報は海外では手に入らないので、誰に入れたらよいかを決めるのが大変だと言っていたよ。

もっと身近に感じられるものは期日前投票。
これは公示日から投票日前日までに選挙管理委員会に指定された投票場所で事前に投票する方法で、通常の選挙と同様に投票用紙に立候補者の氏名や政党名を書いて投票するのだ(最高裁判所裁判官国民審査の場合は投票日の7日前からだよ。)。
投票日当日になんらかの理由があって選挙に行けない場合に使うものだけど、その理由はレジャーとかでもよくて、そんなに理由を問い詰められることはないみたい。
そうしないと棄権しちゃうからね・・・(>_<)
「見込み」でよいというのがこの制度のポイントで、要件を緩和することでより選挙に参加しやすくなったのだ。
それでも、2003年からの制度なんだよね。
やっと浸透してきたのかな?
ちなみに、法律上は漢字でしか書いていないので、「きじつまえ」なのか「きじつぜん」なのかもめているそうで、総務省は正式には「きじつぜん」としているそうだよ。

その前からあるのが不在者投票という制度。
老人ホームや病院に入院している人、身体に障害があって選挙に行くのが困難な人などが選挙日前に投票できる制度なのだ。
外洋を航行中の船員さんがFAXで投票するというのもあるんだって。
でも、不在者投票の場合は、あらかじめ書いておいたものを封筒に入れて厳重に保管し、選挙日当日にそれを書いた人が選挙権があるかどうかを確認して選挙管理委員会の人が投票するらしいのだ。
本人が直接投票箱に投函する期日前投票とは違うんだって。

その他にも期日前投票とは違うところがあって、不在者投票だと選挙日当日に20歳になっていれば投票が認められるけど、期日前投票の場合は、その投票をする時点で20歳になっていないといけないのだ。
それに、期日前投票はすでに投票してしまっているのだけど、投票した人が選挙日までの間に選挙権を失った場合は後で無効票扱いにしないといけないのだ。
例えば、事故や病気などで亡くなってしまった場合なんかがそれにあたるのだ。
不在者投票の場合は選挙日に確認してから投函するので最初から投票されなかった扱いになるそうだよ。
それと、立候補者が途中で辞退した場合にその人に投票していると、それも無効票になるのだ。

不在者投票はけっこう厳格な制度で、選挙日当日に投票を行うことが確実に困難な場合のみ利用できるものだったため、けっこう根掘り葉掘り理由を聞かれたらしいんだよね。
そうなると、プライバシーの侵害の問題などもあって非常に使いづらい制度だったらしいのだ。
そこで、より要件を緩和して、「いないかもしれないので事前に投票したい」という場合でも投票できるようにしたのが期日前投票だよ。
こうすることでぐっと利用者が増えたのだ。

一般国民が政治に関与できるのはまさに選挙だけだから、とにかく投票という形で積極的に参加していくことが必要だよね。
そういう意味では、こういう制度が整備されるとそれだけ参加しやすくなるのだ。
本当の国民の声を反映するためには必要なことだよね。
将来的にはネットで投票なんてのも出てくるのかな?

2009/08/21

辛麺

今日のお昼は、ラーメン好きのうちの職場の人が絶賛していた担々麺のお店に行ったのだ。
最近は辛いものがブームなのか、韓国料理屋やインドカレー屋なんかも増えてきているけど、担々麺を出す店も増えたよね。
本場風の激辛麻婆豆腐の店もよく見かけるようになったし。
で、ボクも辛いものが好きなので、けっこう食べるんだけど、ふと、本場の中国の「担担麺(擔擔麪)」は日本のものとは違うというので、ちょっと調べてみたのだ。

担々麺は中国は四川省の麺料理。
四川は亜熱帯でかなり蒸し暑いので、麻婆豆腐や回鍋肉などの辛みのある料理が多いよね。
つい最近はやっていた「レッド・クリフ」の世界、三国志の蜀の国があったところなのだ。
中国四千年の歴史とは別に、古代文明が栄えていたところとも言われているんだよ。
黄河文明とはまた別の文明があったと言われているのだ。
今ではパンダの育成と保護を行っている「パンダ保育園」でも有名なのだ!

そんな四川では、いわゆる「ぼてふり」と呼ばれる天秤棒でかついで売られていた麺料理なんだって。
担々麺の「担」はまさに「かつぐ」の意味で、天秤棒で担いで売り歩いたのでその名がついたそうだよ。
※「担担」で天秤棒という意味もあるんだって。
で、天秤棒で担ぐという性質から、重くなるスープを持ち歩けなかったため、汁気のない、辛いタレと薬味をからませた麺として売られていたのだ。
ゆで麺に唐辛子と花椒(麻婆豆腐の「麻」のしびれるような辛さの味のもとだよ。)の辛みとと芝麻醤(すり胡麻と油を練り混ぜた中華風の胡麻ペースト)の甘みをきかせたたれを少量入れ、そこにそぼろ肉、刻みネギなどの具や薬味を加えてできあがり。
今の日本で言う「汁なし担々麺」みたいなものだね。

天秤棒の片側は七輪、もう片側は鍋で、その鍋には仕切りがあって、半分は具、半分はタレだったんだって。
で、ゆでた麺にあたたかくしたタレと具をまぜ、小さなお椀に入れて提供したらしいのだ。
今みたいな「食事」という体裁ではなく、「おやつ」とか「軽食」といった扱いで、むしろ当時のファストフードだったみたい。
四川のものは本当に辛いんだけど、上海なんかでは辛いのが苦手な人も多いので、かなりマイルドになっているんだって。
日本と同じだね(笑)

こうして見ていくと近いのが、江戸時代の日本の屋台そば。
だけど、日本のそばの場合はいわゆる「かけそば」で、しっかりと汁も一緒に運んでいたんだよね。
軽食にしていたという扱いは一緒だけど、そこが大きく違うのだ。
おそらく、江戸と四川の違いは、飲料水にできるグレードの水がすぐに手にはいるかどうかだと思うんだよね。
日本のそばの場合、持ち歩くのはいわゆる「かえし」で、これにお湯を加えて「つゆ」にするのだ。
つまり、その薄めるお湯やそばをゆでるお湯は現地調達というわけ。
そうすると、四川の天秤棒と同じものだけを持ち歩いても、汁そばが提供できるのだ!

話を担々麺にもどすと、今みたいな辛いスープと肉そぼろの麺になったのは日本に導入されてから。
最初に日本に紹介したのは、何を隠そう、「四川の神様」こと四川飯店のオーナーシェフ・陳建民さん。
中華の鉄人・陳建一さんのお父さんだよね。
陳建民さんは、NHKの「きょうの料理」などの料理番組に出演して、自分のお店で出している日本風にアレンジされた四川料理を紹介していったのだ。
それで麻婆豆腐や回鍋肉、エビチリなどが一般的になっていったんだよ。
で、今はさらにそれにとどまらず、本場の味が志向されて、本場の四川料理が持ち込まれてきているわけ。

担々麺の場合は、激辛の少量のタレでゆで麺を混ぜたものだったんだけど、辛みの苦手な日本人にあわせてスープで薄めて辛みを弱くし、麺の量も増やして一食の「食事」になるようにしたのだ。
それが日本風の担々麺だよ。
食事に見合うものにするために、ここに野菜などの具がどんどん加えられていって現在のバリエーションがあるのだ。
最近は干しエビのダシをきかせたものとか、刻んだザーサイを入れたもの、豚のあばら肉の唐揚げの「排骨」をいれたものなど様々だよね。
さらに、ボリュームを増すとともに辛さを軽減させるためにごはんをサービスで提供するお店も多いのだ。
現在ではこうした日本風の担々麺が香港などに逆輸入されているんだそうだよ。
日本風のカレーライスがインドにはいるようなものなのだ(笑)

2009/08/14

本人たすき

実際にボクも街で見かけたんだけど、月末の衆議院総選挙に向けて立候補予定者が活動を活発化させているのだ。
そこで特に目を引くのは「本人」と書いてあるタスキ!
なんだこれは?、と最初は思ったんだけど、どうもこれは法律上自分の名前や所zくする政党の名前を書いたタスキをするのがアウトになる可能性があるカラなんだって。
というわけで、今回はその辺を少し調べてみたよ。

今回の衆議院選挙は、7月21日に麻生総理が衆議院を解散したことに基づくもので、8月18日に公示が、同30日に選挙が行われる予定になっているのだ。
解散した日の臨時閣議で「衆議院議員総選挙の施行公示について」として公示日と投票日を閣議決定しているので、このスケジュールを変えるにはまた別に閣議決定をして改正する必要があるんだよ。
日本国憲法では、衆議院議員の任期は原則4年だけど、通常は解散があるので、それより短い任期となるのだ。
今回はけっこうギリギリまでねばった(?)んだけど、けっきょく解散したんだよね。
ちなみに、衆議院の解散は天皇の国事行為で、内閣の助言と承認に基づき天皇が行うのだ。
そのとき出されるのがいわゆる「解散詔書」だよ。
これは行政官で唯一モーニングを職務上着用すると言われる内閣総務官が宮中で陛下の御名・御璽をいただき、官邸に持ち帰って総理に副署してもらうんだ。
その後、官房長官を通じて衆議院議長にわたされるんだよ。
でも、実際に国会で読み上げられているのは詔書の本物ではなく写しで、陛下の署名と御璽の押捺の部分が「御名・御璽」という言葉に置き換わっているんだって。

日本国憲法では、衆議院が解散された場合、40日以内に総選挙を行い、選挙の日から30日以内に国会を召集することになっているんだ。
今回は7月21日に解散したわけだけど、そのちょうど40日後が選挙日の8月30日だよ。
選挙後に招集されるのが特別会、通称「特別国会」で、ここでは首班指名と呼ばれる内閣総理大臣氏名選挙を行うんだよ。
で、その結果が出て新たに内閣総理大臣が選出されるまでは前政権が引き続き行政権を担当するのだ。
すなわち、麻生総理は少なくとも8月30日から30日以内に開催される特別国会までは総理だっていうことだよ。

この解散から40日以内の選挙は公職選挙法でも定められていて、この法律では任期満了の場合の選挙期日についても定めているのだ。
満了の場合は任期が終わる日から30日以前に行わなくてはならないんだけど、その30日間が国会が開会中又は閉会から23日以内にかかる場合は、国会閉会の日から24日以後30日以内に行うこととされているんだ。
なんだかややこしいよね(>_<)
で、肝心なのは、この期日を定めるのと同じ条文で定められている選挙の公示に関する規定で、衆議院の総選挙の場合は選挙日の少なく十12日前に公示をしなくてはならないのだ。
今回は8月30日を選挙日にしようとしているので、ギリギリの12日前で8月18日公示となるわけ。

で、この公職選挙法では、選挙の公示日以降に立候補の届出をした人にしか選挙活動を認めていないのだ。
つまり、公示日前は立候補予定者が勝手に「選挙ではよろしくお願いします。」と選挙活動をしてはいけないわけ。
なので、「当選したら○○をします。」とか、「選挙では○○に清き1票を!」とかは言ってはいけないのだ。
もし言ってしまうと公職選挙法違反になってしまうよ。

そこで解散から公示日までに行われるのが、自分の政治信条や自分が理想とする社会を住民に訴える、という活動なのだ。
このとき、議員になったらとかを言ってはいけないので、自分はこういう社会にしたいと思っている、と主張するのに留めないといけないんだよ。
さらに、単独で氏名・政党名付きのポスターを貼ると選挙活動と見なされてしまうので、必ずツーショット以上のポスターになるわけ。
よく党首や任期の議員とのツーショットのポスターを見かけるよね。
話題になった女性タレントとのツーショットのポスターもここに端を発しているんだよ。
あのポスターにはよく「弁士」と書いてあって、どこどこで政策集会をやるとか、講演会をやるとか書いてあるけど、主要な目的はその会合の日時を知らせることではなくて自分の顔と名前を売ることなので、期日が過ぎてもはずさないのだ(笑)

さらに、自分の名前や政党名を書いたタスキも選挙活動に当たる可能性があるということで避けられているんだ。
そこから出てきたのが「本人」と書いたタスキ。
自分の名前と政策を大声で言いながら本人と書いたタスキをして街中をうろうろすることで、事実上の「選挙活動」をしているわけ。
こうして、公示日までは法の網の目をかいくぐって、立候補予定者があの手この手で自分を売り込む活動を展開するのだ。
今回は解散からギリギリの40日後に選挙が行われるというめずらしい長期戦になったので、それが目立つようになったんだよね。

2009/08/08

夏の風物詩-蝉時雨

いやぁ、街でもセミが鳴いているねぇ。
セミの鳴き声を聞くと夏を感じるのだ。
でも、これって欧米にはない文化で、ただ音がしているとか、虫が鳴いているとしか思わないらしいよ。
もったいないことなのだ(>_<)
で、気になったのが、セミの鳴く原理。
つい昨日職場の窓のすぐ外の壁にセミがとまって鳴いていたんだけど、あんまり動きがあるわけでもないのに大音量で鳴いていたのだ!
これは気になるよね。

セミで鳴くのはオスだけで、このためにおそらくメスを呼ぶために鳴いているんだろう、とむかしから考えられているのだ。
これはいわゆる「ハンディキャップ理論」というやつで、大音量で鳴くことでメスだけじゃなく鳥などの天敵も呼んでしまうわけだけど、それでも生き残れるほど優秀なんだよ、と示すことでメスにアピールしているんじゃないか、ということなのだ。
なので、基本的には鳴き声が大きいセミの方がもてるのだ。
これは秋に鳴くキリギリスやスズムシ、マツムシ、コオロギなどと一緒なのだ。

鳴く時間帯もセミの種類で棲み分けられていて、早朝に鳴くのはニイニイゼミ、午前中は特に声が大きいクマゼミ(これまでは南の方にしか生息していなかったけど、最近はヒートアイランド現象とかで都会にもいるよ。)、午後はおなじみのアブラゼミやツクツクボウシが鳴くのだ。
なので、アブラゼミやツクツクボウシの鳴き声のイメージが強いよね。
で、朝夕の薄暗い時間に鳴くのがその名もヒグラシで、夕方ヒグラシがカナカナカナと鳴くとちょっと悲しい気分になるのだ。
さすがに真っ昼間の暑い時間には鳴いていないらしいけど、常にセミの声がしているような気がするよね(笑)
ちなみに、太陽が完全に沈んでから夜に鳴くセミは今のところいないようなのだ。
ただし、街灯があったりして明るいとその近くで鳴いていることはあるみたい・・・。

で、肝心の鳴く仕組みだけど、これは、オスのおなかに発音筋と発音膜というのがあって、発音筋で発音膜をふるわせて鳴いているらしいのだ。
さらに、オスのおなかには共鳴室と呼ばれる空洞があって、そこで音を増幅しているのだ。
腹部を伸び縮みさせることで共鳴室の大きさを変えたり、発音膜の外側にある腹弁というフタ状のものですき間の形を変えることで増幅される共鳴周波数を変え、音の高低を変えているんだって。
トロンボーンや笛と同じ原理だよね。
メスの場合はこの発音機構のあるところに卵巣があって、たっぷりと卵がつまっているらしいのだ。

セミは大声で鳴いているのでだいたいの居場所はすぐにわかるんだけど、さすがに保護色で茶色くなっているから実際には見つけづらいんだよね。
で、やっとの思いで見つけて捕まえようとすると「おしっこ」を引っかけられて逃げるのだ。
でも、あれはただ単に飛ぶ前に体を軽量化するために余計な水分を排出しているだけでほとんどが水で、その他は消化中の樹液なので、いわゆる「おしっこ」とは違うものなのだ。
とは言え、ものすごく「してやられたり」感はあるけどね。

2009/08/01

かたい?やわらかい?

最近はミネラルウォーターを飲んでいる人が多いよね。
それこそボクが子どものころは水をお金を出して買う人なんてごくごく限られていたけど、今では自動販売機でも売っているし、下手なジュースやお茶よりもさっぱり飲めると人気。
エヴィアンやコントレックス、六甲のおいしい水、南アルプス天然水などの有名ブランドから、各スーパーのプライベートブランドまでそれこそ種々雑多にあるのだ。
で、そんな水を見ていて気になったのが水の「硬度」。
よく話題になるけど実はそんなによくわからないので、この際調べてみたのだ。

水の硬度というのは、水の中に含まれる鉱質成分、すなわちミネラルで、主にカルシウムとマグネシウムの量だそうなのだ。
日本では、米国式の炭酸カルシウム塩に換算して数値化したものだそうだよ。
戦前はドイツ式で酸化カルシウム量に換算していたんだって。
でも、炭酸カルシウム(CaCO3)は質量数が100でわかりやすいので、米国式の硬度計算だとイオン濃度への変換も楽というメリットがあるみたい。

水中には、カルシウムイオンとマグネシウムイオンがあるんだけど、これが炭酸塩、硫酸塩、塩化物として溶け込んでいるのだ。
このうち、炭酸塩、すなわち、炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムは煮沸すると沈殿して不溶性になるので、これを一時硬度というみたい。
一方、その他のものは煮沸しても溶けたままなので永久硬度というらしいのだ。
この二つを足すと総硬度で、これが0~60だと軟水、60~120だと中硬水(中程度の軟水)、120~180だと硬水、180以上が非常な硬水と定義されているそうだよ。
日本の場合は関東の一部と沖縄をのぞいてほぼ軟水で、逆に欧州ではほとんどが硬水なのだ。
東京都水道局では、おいしい水の条件の水質基準として水の硬度を10~100になるように調節しているそうなのだ。

硬水は一般には洗濯、飲み水、工業用水には適さないとされていて、それで比較的硬度の低い地下水をミネラルウォーターとして飲料水にする文化が生まれたようなのだ。
ただしヴィッテルやエヴィアンは硬度が300くらいあるので「非常な硬水」にあたるんだけど。
硬水の場合、水中に含まれるマグネシウムイオンが吸収されづらいので、そのイオンが水和して水分子をひきつけて、腸での水分吸収をさまたげるのだ。
これが硬水を飲み過ぎるとおなかを下す理由だよ。
日本人が飲み慣れないエヴィアンを飲み過ぎるのはよくないのだ!

さらに、カルシウムやマグネシウムがあると、せっけんの泡立ちが悪くなるのだ。
せっけんは脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩なんだけど、これが水中のマグネシウムイオンと一緒になると不溶性の塩を形成してしまうのだ。
それで泡立ちが悪くなるとともにせっけんカスができたり、せっけんじみができるわけ。
さらに、カルシウムイオンは色落ちした色素と反応して不溶性の色素を形成するので、洗濯による色ムラの原因にもなるんだって。
このため、欧州では一度煮沸して炭酸塩を除去してから生活用水に使う必要があるのだ。

さらに、硬水にはカルシウム塩やマグネシウム塩が多量に含まれるので、お皿や車を洗った後にそのまま乾かしておくと白い斑点ができるのだ。
これは水分が蒸発した後に析出してしまった塩だよ。
ただし、悪いことばかりでもなくて、アクの成分とすぐに不溶性の塩を形成するので、アク抜きをするときは硬水の方がよいのだ。
コンソメスープなんかをきれいにおいしく作るにはむしろ硬水の方があくが抜けてよいみたい。

これに対して軟水は飲み口が柔らかで飲料水、炊飯、工業用水なんかに適しているといわれるのだ。
余計なものが少ないから使いやすいってことかな?
お茶やコーヒーにもむいていて、硬水だとタンニンなんかの成分が不溶物として析出してしまうのでおいしくなくなるのだ。
いわゆる茶渋がまさにそれだよ。
カルシウムの不溶性塩であることが多いので、重曹(炭酸水素ナトリウム:NaHCO3)で洗うとよく落ちるのだ。
鍾乳洞にできる鍾乳石や石筍も地下水中の炭酸カルシウムが長い間に析出して積み重なったものだよね。
ちなみに、苦いのが苦手な人は硬水で入れると苦くなく入れられるよ(笑)
日本産のミネラルウォーターだと軟水だからよいのだけど、海外のものだと大概硬水なのでおいしくないのだ。
そういうときは、硬度的にはちょうどよい水道水を煮沸するなどしてカルキを抜いてから使うとよいそうだよ。
適度に硬度もあっておいしく入れられるらしいのだ。