2016/11/26

パリでテ

パリの飲み物というとついついカフェオレと思ってしまうけど、よく昼間見かけるのはエスプレッソだし、イギリスほどではないのかもしれないけど、紅茶もかなり飲まれているのだ。
日本でも有名なマリアージュ・フレールはパリが本店だし、パリ土産として人気のあるクスミ・ティーも紅茶だよね。
で、マドレーヌのフォションに行けば、やっぱり紅茶なのだ。
というわけで、パリでは紅茶も相当好まれて、飲まれているんだけど、個人的感想から言うと、日本以上にフレーバー・ティーが多い!
フルーツやら花やら多種多様なフレーバーの紅茶が売られているし、サロン・ド・テではオリジナルのブレンドの紅茶で人気が出たりするらしいのだ。

で、これは紅茶だけじゃなくて、緑茶(テ・ヴェール)でも同じなんだよね・・・。
パリには虎屋もあるし、寿月堂という日本茶専門店もあるのだ。
なので、日本式のお茶が浸透していて、その影響で「抹茶」風味がはやっていると思っていたんだけど、どうも真相はそうじゃないみたい。
確かに、日本茶をそのまま楽しむこともあるみたいだけど、緑茶にもいろんなフレーバーを足して楽しんでいるみたい。
さらに、日本茶と中国茶をブレンドしたり。
日本茶はわりとすっきりとした味わいなので、中東風にミントを足したり、柑橘系のフルーツと合わせたりするようなのだ。
でも、ボクが求めているのはそういうのじゃない(笑)
やっぱり日本食材を扱っているお店で日本茶のティーバッグを買った方が、イメージしていたものが飲めるよ。
ま、フレーバー緑茶はそれはそれとして楽しめばよいのだけど。

そういえば、米国にいたときも、緑茶と言えば甘くなっているのが普通だったっけ。
そもそも紅茶自体も甘くしないと飲まない米国人なので、緑茶をほの苦いまま飲むことはなくて、「朝鮮人参と蜂蜜」とか「ザクロ風味」とか、そういうのがコンビニで売られていたっけ。
全く同じものがフランスのスーパーでも並んでいるんだけど(笑)、茶葉やティーバッグとしては、フレーバーだけがついているものが売られているよ。
たまたま見つけたフレーバーなしの緑茶を買ってみたんだけど、やっぱりちょっと紅茶風の感じで、いわゆる日本茶ではなかったので、製法とかも微妙に異なるのかも。

でも、実は緑茶にフレーバーをつけるというのは変わったことではないことがわかったのだ!
日本でもかなり広く飲まれているよ。
それは、ジャスミン茶。
あれって、緑茶に茉莉花(ジャスミン)のフレーバーをつけたものなんだってね。
はじめて知った・・・。
やっぱり慣れてないから違和感を感じるのであって、慣れてくればそれはそれとして楽しめるということだね。

それと、緑茶の加工品ということでは、プーアル茶もそうなんだって。
緑茶は、茶葉の中にもともとある酵素で発酵しないように加熱処理をしたもので、加熱処理せずに完全に発酵させたのが紅茶、途中で加熱処理をして半発酵の状態で止めるのが烏龍茶に代表される青茶。
で、プーアル茶などの黒茶と呼ばれるものは、緑茶を後から発酵させて作るものなんだって。
作り方も二つあって、緑茶を加熱処理した後でも少しだけ酵素が残っているので、これによって長年かけて熟成させて作る「生茶」というものと、加熱処理した緑茶に麹菌をつけてカビにより発酵させる「熟茶」というのがあるのだ(これらを「後発発酵」というみたい。)。
もともとは長年熟成させる「生茶」が生産されていて、短時間で同じような風味になる「熟茶」の製法が出てきたみたい。
いずれにせよ、その熟成過程で独t区のフレーバーがつくというわけ。
これも一種のフレーバーティーではあるね。

ここでも面白い発見があったんだけど、その製造過程からもわかるとおり、紅茶よりも時間をかけて作られることもあって、黒茶はほぼビタミンCを含んでいないのだ。
でも、モンゴルの遊牧民は、ビタミンCの補給のために、一日に何度も黒く固めた茶団子(これは黒茶なのだ。)乳と塩入の茶(ツァイ)を飲んでるんじゃなかったっけ?
調べてみると、やはり遊牧民が飲んでいる茶にはビタミンCは含まれておらず、むしろ、馬乳酒(アイラグ)からビタミンCを補給しているようなのだ(乳酸菌による発酵過程でビタミンCが産生されているのだ。)。
そうなると、なんで茶を飲む習慣ができたんだろねぇ。
水分・塩分の補給はわかるけど、かなりの貴重品として茶が扱われているので、もう少し何かありそうなものだけど。
やっぱりカフェインが入っているから嗜好品なのかな?

2016/11/19

ノー読解力

人工知能(AI)に学習させて東大合格を目指していて「東ロボくん」が、東大合格というゴールをあきらめたようなのだ。
センター試験の問題を解かせると、数学や物理では高得点、世界史などではそこそこの得点がとれるんだけど、国語と英語がダメで、プロジェクト期間内では合格水準に達することはできない、と判断されたみたい。
最近はAIが将棋やチェスで名人を打ち負かしたりしているけど、受験勉強ではまだまだのようなのだ。
でも、どうもこれには構造的な問題があるようなんだよね。

研究者のひとたちが分析した結果、国語や英語でいい点が取れないのは、主に「読解力がないから」というのが理由みたい。
基本的にAIの場合は、問題文の中の単語の羅列をパターン化して、こういう単語が並んでいる場合はこういう問題だから、これが答えになるはず、と膨大なデータを検索しつつ推測しているんだよね。
でも、これは文章の意味を理解しているわけじゃないので、微妙な表現の違いで全く異なることを聞いてくることがある国語や英語の問題には十分に対応できないようなのだ。
逆に、数学や物理なんかは問題がパターン化しやすいので高得点がとれ、選択式の世界史も多くの場合問題がパターン化できるので答えられるみたい。

さらに、ここで研究者の人たちが気づいた点があったんだよね。
確かにAIは国語や英語の点数は高くないのだけど、それでも偏差値でいうと45くらいあって、点でダメというわけではなく、平均よりちょっとしたくらい、というもの。
そうだとすると、ひょっとして、普通に試験を受けている子供の中にも実は問題文の意味が理解できていない子供がいるんじゃないか、と考えついたわけ。
そこで、このプロジェクトの研究者たちは、小学生を対象にきちんと文章が読めているのかどうかを調査する、読解力テスト(リーディング・スキル・テスト)というのをやってみたらしいんだ。
すると、やはりパターン認識はできていても、文章の意味を正確にできていない子供がいるということがわかってきたんだって!
これは驚き。
知識を問う問題ならパターン認識で対応できるけど、文章の意味を理解して、それに的確な答えを出さなくちゃいけない問題は解けないということなのだ。
今度は調査範囲をもっと広げて、どうやったら読解力を上げるような学習ができるのかを含め、深掘りをしていくようだよ。

たまに話がなかなか伝わらない人がいるけど、実はこういうこと?
一部の知的障害を持った人たちも、パターン化された言語・行動は認識できるけど、そうでないものを知覚するとパニックを起こすことが知られているよね。
実はそういう現象は白黒はっきりと教会が分かれているわけじゃなくて、こういう「読解力がない」、「空気が読めない」みたいなものも含めてグラデーションになっているのかも、と思ったよ。
なので「よく読めばわかるでしょ」と言っても、相手はそれを読んでも正確に意味が理解できるとは限らないのだ・・・。
これは早急に「読解力」を養う学習法を確立したいね。

で、同じような話は、自動翻訳の世界でもあるのだ。
最近、googleの自動翻訳の精度が上がったと話題になっているけど、これはニューラルネット技術の導入によるものなんだて。
それだと意味がわからないけど(笑)、平たく言うと、これまは単語ごとに適当な訳語をあてがって訳していたんだけど、新たなシステムでは、文章全体を読み込んだ上で訳語をあてているようなのだ。
機械は文章の意味は理解できないんだけど、こういうパターンで単語が並ぶ文章の場合はこういう訳されている場合が多い、という情報が付け加わることで、とんちんかんな訳語がはめられなくなるのだ。
これで相当精度が上がるみたいなんだよね。
英語の場合、runとっかtakeとかhaveとかって多様な意味を持っているけど、文章の流れのパターン認識によってどういう意味で使われているのかがある程度推測できるというわけ。
前のシステムだと、本来「経営する」の意味で使われていた「run」に「走る」という訳語を当ててしまったりもしたわけだけど、こういうのがなくなるということだよ。

googleのディープ・ラーニングによる機械翻訳はそうやって進化しているわけだけど、これもパターン認識を精緻化しているだけで、文章の意味を理解しているわけではないんだよね。
そこはやはり機械では無理なのだ。
でも、最近お仕事で仏語で送られてきた文書をgoogleで英語に翻訳したらかなりきれいな、意味の取った英語が出てきたので驚いたんだよね。
ひょっとしたら、人間でもどうしても読解力が向上しない人は、こういう訓練が必要なのかも・・・。
機械と違って無尽蔵のデータベースを検索できるわけじゃないから、難しいけど。
でも、外国語は話せなくても、相手の声の調子や顔色を見て適当にごまかすなんてことはやっているわけで、それくらいならできるはずなんだよね。

2016/11/12

ジャンクなパリジャン

フランスはパンとハムとチーズがおいしいから、サンドイッチもめちゃくちゃおいしいのだけど、いかんせん、秋冬の寒い時期に冷たいものを食べる気にならないんだよね・・・。
そこで代わりに食べるのが、パリでは「グレック・サンドイッチ」と呼ばれるもの。
日本で言うケバブサンドなのだ!
通常は、単体だと5~6ユーロで、フライドポテト(ポムフリット)と缶ジュースがつくセット(menu)で6~7ユーロくらい。
イメージとしては、マックやサブウェイのようなジャンクフードだよね。
土日も夜遅くもやっているし、量も多めなので、若い人や男性に人気なのだ。
イタリア発祥のホット・サンドイッチのパニーニもあるけど、こっちは土日や夜には食べられないのが難点。

パリ以外では「グレック」とは呼ばないらしいんだけど、この「グレック」は「ギリシアの」という意味。
ケバブサンドはトルコのものと思いがちだけど、ギリシア経由で入ってきたから、とか言われているのだ。
でも、調べてみると、実はややこしいことがわかってきた・・・。
ケバブサンドに使われるのはドネルケバブで、「ドネル」は「回転」、「ケバブ」は中東地域でよく食べられる「串焼き肉」のこと。
長い串に羊肉や鶏肉を刺して大きな塊を作り、それを回転させながら焼くという今のドネルケバブは、トルコ発祥と考えられているのだ。
それをサラダとともにパンにはさんでサンドイッチにしたのは、ドイツのトルコ系移民のお店が最初と言われているんだよね。
でも、ギリシアにもケバブとほぼ同じ料理で「ギロ」というのがあって、これをピタにはさむ「ギロピタ」というのがあるのだ。
パリについてはこっちが伝わったってこと?

実際にはケバブサンドの正式な発祥はよくわかっていなくて、19世紀くらいにドネルケバブをサラダと一緒にパンにはさんで食べる習慣ができて、それが欧米ではファストフードとして広まった、ということみたい。
日本に広まったのは21世紀だからだいぶ時間がかかっているよね。
ちなみに、日本人にはきついスパイスや羊肉はあまりなじまないので、日本で食べられるケバブサンドは本場の味とはかなり遠いと言われているよ。
タコスなんかもそうだけど、相当日本風にアレンジされているのだ。
ボクがパリで買っているグレック・サンドイッチも、羊肉の臭さや強いスパイスを感じないから、やっぱりフランス人の口に合うようにアレンジされているみたい。
どうも、中東のケバブは肉自体に強めの味がついているので、サンドイッチにするにしてもあまりソースは使わないみたいだけど、欧米に広まっているものは肉の味が弱めなので、サンドイッチにするときにはケチャップやマヨネーズ、ハリッサと呼ばれるチュニジア風の唐辛子ソース、サムライソース(ケチャップとマヨネーズを混ぜてハリッサを加えたもの)などを使うのだ。
あまりチェーン展開されていなくて、中東系の移民が独自に店を開くスタイルが主流で、そこがハンバーガーとはちょっと違うみたい。

パリにおけるグレック・サンドイッチにもいろいろとメニューがあって、ドネルケバブを挟むだけではないのだ。
ケフタ(kefta)というのはトルコ料理でキョフテと呼ばれるミートボールをはさむもの。
ステック(steak)は、ハンバーガーにはさむミートパティを使うのだ。
ブロシュット(brochette)は、本来は串焼きの肉の意味だけど、たいていはスパイシーなタレに漬け込んだ鶏肉を焼いたものがはさまれるのだ。
エスカロップ(escalope)は鶏胸肉をカツレツにしたもの。
メルゲ(merguez)は、中東風の生ソーセージを焼いたものをはさむよ。
いずれにしても、ちょっとオリエントな味わいになるんだよね。
これに目玉焼きやチーズなどのトッピングもできるんだ。

ファストフードとしてはなかなかよくできていて、数分待つと温かいサンドイッチが食べられるよ。
店にある簡易なイス席で食べてもいいし(「sur place」)、持ち帰ってもよいのだ(「a emporter」)。
フライドポテトをつけるのはフランスの特徴みたい。
それと、飲み物(「boisson」)は基本は冷たい缶ジュースで、なぜかホットコーヒーとかは選べないのだ。
これはフランスのファストフード全体に言えることで、アジア系総菜屋(「traiteur asiatique」)でも、料理はレンジで温めてくれるんだけど、ついてくるのは冷たい飲み物なんだよね。
温かいお茶とかがあればいいのに、といつも思う。
っていうか、日本のように温かいソフトドリンクがあるのって逆に珍しいのかな?

2016/11/05

フランスの時間

10月31日の深夜から、フランスは夏時間が冬時間に切り替わったのだ!
夏時間3:00になった瞬間に冬時間2:00になるんだ。
なので、1時間得するわけ。
逆に、冬時間から夏時間になるときは・・・。
朝がつらそうだね(笑)

フランスは標準時として中央ヨーロッパ時間を採用しているんだ。
これは協定世界時(UTC)と比べて1時間進んでいるので、UTC+1と呼ばれる標準時だよ。
ちなみに、夏時間になると1時間早くなるのでUTC+2。
日本標準時は、UTC+9で、夏時間は採用していないから、夏時間だと時差が7時間、冬時間だと時差が8時間になるんだ。

UTCはむかしのグリニッジ天文時をもとにしているので、基本的にはロンドンの 時間なんだよね。
で、ここでふと疑問。
ロンドンとパリって、あまり経度は変わらないのでは?
地図で見てもほぼ南北の関係だよね。
とすると、1時間も時差があるのはおかしい?
東京と北京の時差が1時間だけど、そこまで感覚的に離れていないよね・・・。

調べてみると、フランスの標準時に中央ヨーロッパ時間が持ち込まれたのは名地図/ドイツに占領されていた時代!
第二次大戦中のことなのだ。
それが戦後も残ってしまっているみたい。
確かに、ベルリンであればロンドンと時差が1時間くらいあっても不思議じゃないよね。
パリ、ブリュッセル、アムステルダムなどは、無理矢理ベルリン時間につき合わされたということみたい。
統治する方としては時差がない方がいいだろうからね。

純粋に経度だけで見ると、パリなんかは完全にUTCゾーンになるのだ。
なので、今の標準時はそもそも1時間近くずれていて、太陽が南中するのは冬時間では13:00ちょっと前、冬時間になると14:00近く・・・。
東京の場合は、南中時刻がだいたい11:56なので、ほぼ正午。
最初このギャップに戸惑ったんだよね。
これなら夜になっても明るいわけだ。
東京に比べたら、2時間時計が進んでいるのと同じだから。

逆に言うと、朝が暗い・・・。
日の出の時間は イメージとして東京より1時間遅いというrだからね。
これがますますパリがなんだか薄暗いイメージを持っているのにつながっているのかなぁ。
もともときれいに晴れ上がることもなくて、薄ぐもりで空が灰色のことが多いのだけど、イタリアのように真っ青な空という感じではないんだよね。
きっと、機構のみならず、日本人に染みついている時間と太陽との関係からもそう感じているのだ。