2012/01/28

三大を取り戻せ

農業や漁業に従事している人たちは現金収入が少ないこともあって低所得者層に分類されるんだけど、実はそうではないのだ!
というのも、農家の人であれば自分で作った農作物については自家消費できるし、自分で漁をしている漁師さんも自分でとった魚で市場に卸さないものは自分で食べているのだ。
実はそれがとても新鮮なもので、買おうとすると高価だったりするんだよね・・・。
なので、その分の価値を換算すると、決して所得が低いわけではないのだ!
そう言えば、漁師さんは普通にうにやらあわびやらを漁師料理にふんだんに使っているよね。

で、それを思い知ったのは三陸の漁業復興の話を見ていたときなのだ。
三陸沖は世界三大漁場のひとつに数えられるくらいの漁獲量の多い優良な漁場だったのだ!
今は震災のダメージでどこまで復活できるか未知数だけど・・・。
日本の海の幸を守るためにも、海産物とともに生きてきた日本の伝統をつなげていくためにも、三陸漁場は復興させたいよね。
ちなみに、文部科学省ではこんな取組をしていて、科学的な手法で復興を目指すみたい。

もともと三陸沖は日本を代表する海流の日本海流(黒潮)と千島海流(親潮)がぶつかる潮境(潮目)なんだよね。
それぞれ暖流と寒流なんだけど、残り2つの世界三大漁場(アイスランド・イギリス・ノルウェー沖、アメリカ・カナダ東海岸)も同じような場所のようなのだ。
黒潮は栄養分に乏しい暖かい海流で、水の透明度が高いから黒く見えるんだよね。
そこから「黒潮」と呼ばれるのだ。
でも、この黒潮の流れに乗って、南海の回遊魚が北上してくるんだ。
寒流である親潮は栄養分に富んでいて、海の生物を育むところからその名が来ているのだ。
プランクトンが大量にいて、緑がかった色や茶色に見えるらしいよ。

その二つの海流がぶつかるのが三陸沖のあたりで、冷たい親潮が暖かい黒潮の下に潜り込む感じで混ざるんだって。
このとき、黒潮に乗ってきたイワシなどの小型の回遊魚が親潮が運んできたプランクトンを食べ、さらにそれをカツオやマグロなどの大型回遊魚が食べる、という流れで優良な漁場が形成されているんだよ♪
親潮は北から流れてくるわけだけど、北海道の釧路沖なんかではウニやカニなんかを育てているんだよね。
まさに我が国の漁業にとっては生命線とも言うべきものだよ。

黒潮や親潮はよく見ると見た目でその流れが確認できるんだけど、三陸沖の潮目はもっとよくわかるみたいだよ。
2つの海流は密度も気温も違うので、そこに陽炎のようなゆらゆらとして境目が確認できるそうなのだ。
海藻や木片などもその潮目にぷかぷかととどまる傾向にあるので、そういうところを目指していくことになるよ。
むかしの漁師さんは魚群探知機なんて持っていないから、まさにそういう「潮目」を読んで漁をしたんだろうね。

今回の震災では海底の地形が変わってしまっていると考えられるので、この海流の流れにも影響があるはずなんだ。
すると、三陸漁場にもおそらく影響が出るわけで、それがいったいどういうものなのかをまず調べてみよう、というのが文部科学省の研究事業だよ。
海底にたまったゴミを取り除いたりして普及できるところはあるけど、不可逆的な変化についてはこれからどうなるのかを予測し、それに合わせた漁業・水産業を考えていく必要もあるのだ。
こうして三陸の漁業を復興させていかないと、我が国の漁業全体にも大きな影響が出てしまうんだよね(>o<)

しかも、海流は漁場に影響を与えるだけでなく、気候にも関係しているのだ。
よく北海道並みに緯度が高いのにパリやロンドンが比較的暖かいのは暖流のおかげ、というけど、まさにそういう話が日本でもあるんだよね。
一般に日本の本州の夏が蒸し暑いのは黒潮が関係していると言われているんだ。
ちょうど季節風が黒潮の上を通ってくるので、その際に湿度が高くなって、蒸し暑くなるのだ。
逆に、冬は季節風が逆向きになるので、黒潮のおかげで寒さが緩和されることがないんだよね・・・。
北海道の場合は親潮の影響で夏は季節風が冷やされ、気温が上がりにくく涼しいのだ。
さらに、冷却されるとともに湿度も高くなるので霧が発生しやすくなるんだって。

こういう影響があるので、海流の流れが変わると日本の気候全体に変化がある可能性があるんだ。
実際に冷夏や暖冬の時にも海流の流れが少し変わっていることが知られているよ。
今回の大地震による海底地形の変化もゆくゆくはそういうところにまで影響を与えかねないんだよね。
すると、漁業だけでなく、農業にも及んでくるのだ。
いやはや、今回の話は三陸だけにとどまらないのだ。
地球規模でものを考えないとだめなんだね。

2012/01/21

乾かして固めよう

報道でびっくりしたんだけど、まだ震災から1年たっていないのに、汚染コンクリートってかなり広がっているんだね!
それだけ復興需要で資材不足になっているということなのかも。
前に海砂を使った質の悪いコンクリートの問題があったけど、これは強度的にはほとんど問題ないから、まさにその放射線をどれだけ許容するかの問題なんだよね。
レベルが高い場合は、建てたばかりでも撤去しなくちゃだからね・・・。

で、これで気になるのは、コンクリートがなぜ汚染されたか?、だよね。
もともとコンクリートというのは、単純に言うと砂利や砂にセメントと水を混和したものを固めたもの。
この砂利や砂が福島の汚染された地域由来のものだったのでコンクリ自身も汚染されることになったのだ。
おそらく放射性セシウムなんかが付着していたんだろうね。
一度水で洗うなりすれば容易に除染できるし、汚染されていない砂利や砂を使えばいいだけなので、今後はきっと大丈夫なのだ。
問題は、すでに固まってしまったコンクリートをどう処理するかだろうね。

コンクリートの固まる前のものがいわゆる「生コン」。
これを型に流すと徐々に固まっていくのだ。
人工石としていろんな形に成型できるというのが魅力なんだよね。
一方、圧縮する力には強いものの、引っ張る力には弱いので、建材として使う場合は鉄筋を入れた「鉄筋コンクリート」にして補強する必要があるんだ。
木材に比べれば耐火性にも優れているし、現代の建材としては主流だよね。

そのコンクリートを固める接着剤がセメント。
高分子系の接着剤は重合して固まるときに回りのものを巻き込んで接着するわけだけど、セメントは乾いて固まるときに回りのものを巻き込むのだ。
「乾く」というのもただ乾けばいいだけじゃなくて、伝統的なセメントである石灰を使う場合は、二酸化炭素の存在が重要なんだよ。
石灰を用いたセメントは古代エジプトから連綿と使われている技術なんだけど、これは、水酸化カルシウムは水に溶けるけど、炭酸カルシウムは水に溶けない、という性質を利用しているのだ。

石灰石を高温で加熱すると、二酸化炭素が発生して生石灰(CaO)が残るのだ。
これを水と反応してできるのが消石灰(Ca(OH)2)。
これは水によく溶ける化合物で、溶けるときに熱を発生する性質があるんだ。
この性質を利用して、乾燥剤として使われたり、お弁当を温めるのに使われたりもするよ。
この消石灰=水酸化カルシウム水溶液が空気中の二酸化炭素を吸収すると、炭酸水素カルシウム(重炭酸カルシウム、CaHCO3)ができるのだ。
さらに二酸化炭素との反応が進むと、炭酸カルシウム(石灰、Ca(CO3)2ができるんだ。
ここで重要なのは、炭酸水素カルシウムは水に溶けるけど、炭酸カルシウムは水に溶けないということ。
小学校の理科実験で使う石灰水は炭酸水素カルシウムの水溶液で、ここに二酸化炭素を通すと水に溶けない炭酸カルシウムが生じて白く濁るのだ。

セメントの場合は、水酸化カルシウムのうちは水溶液になっているわけだけど、徐々に二酸化炭素を吸って炭酸カルシウムができてくるとその部分が固体として固まってくるのだ(これを「気硬性」と言うのだ。)。
そうして炭酸カルシウムの結晶ができていくうちに、炭酸カルシウムが軽石のように網目状の構造で固まっていくんだ。
で、コンクリートの場合はその間に砂利や砂が巻き込まれているというわけ。
石灰だけだとすぐぱりぱりはがれて強度が弱いけど、そこに砂利や砂といった骨材を加えることで建材としてのコンクリートになるのだ。

その中間くらいのが、モルタルや漆喰。
モルタルはセメントに砂を加えたもので、かつては日本の住宅でも外壁によく使われていたし、欧米ではれんがとれんがを接着する目地材として使われていたのだ。
日本が伝統的に使ってきた漆喰は、海藻(フノリ)を炊いて作ったのりで麻の繊維のくずと消石灰を混ぜたもの。
木材建築が中心だった日本では、木の骨組みに土壁が基本なんだけど、その壁面に不燃材の漆喰を塗ることで建物の耐水性・耐火性を上げることができたのだ。
それをきれいに薄く塗るのが左官の技術だったわけだよね。
また、土壁に塗って補強したり、漆喰の上に絵を描いて装飾に使われたりしたのだ(海外のフレスコ画や日本の古墳の壁画なんかが漆喰に描かれたものだよ。)。
海外でも接着剤としていわゆる漆喰が使われていたのがわかっているんだけど、日本の海鼠塀のようなきれいな白い漆喰はなかったみたい。

今では石灰系だけでなく、様々な化合物を使ってセメントやコンクリートを作っているようだけど、原理的には似たようなものなのだ。
ま、価格の安さや手法の容易さからまだまだ石灰が使われているんだけどね。
より耐火性を上げたい、水を使わずに固めたい、強度を上げたいとかなると、ちょっと効果になるけど特殊なセメントを使うみたい。
そういう意味では、セメントは古くて新しい建材なんだよね。

2012/01/14

じっくり火を通そう♪

なんとなく食べたくなって、家でふかし芋をしたのだ。
レンジでやると簡単だけど、ちゃんと蒸して作ったんだよね。
そうしたら、焼き芋並みに甘~いっ!
時間はかかるけど、これはなかなかいけるかも。

で、調べてみると、サツマイモって、じっくり熱を通すと甘くなるのだ。
その秘密は、サツマイモの中に大量に含まれているデンプンが麦芽糖に分解されるから。
もともとサツマイモの中にはアミラーゼというデンプン分解酵素が含まれていて、60~70度くらいでじっくりと熱を通すと、この酵素のおかげでデンプンが糖に変わって甘みが増すんだよ。
石焼き芋が理想的な熱の通し方なんだけど(さらに水分も飛んで甘みが凝縮されるしね。)、その次くらいがふかし芋なんだ。
沸騰させないようにゆでたりしてもいいけど、けっこうめんどくさいよね。
一番ダメなのは電子レンジでの加熱で、一気に暖めてしまうので、ぱさぱさとして甘みがないのだ(>o<)

このアミラーゼは唾液にも含まれていることでおなじみ。
小学校でごはん粒を口の中で租借してからヨウ素液を垂らすと紫色になる実験をするよね。
人間の口の中でもデンプンはアミラーゼにより分解され、麦芽糖やオリゴ糖などができるのだ。
ごはんやパンをかみ続けるとちょっとずつ甘くなるのはそのため。
古代のアルコール醸造はこの唾液のアミラーゼを活用していたんだよね。
ごはんやパンを租借したものを壺などに入れて発酵させたのだ!
デンプンのままでは発酵できないので、一度唾液のアミラーゼで糖化して、それをアルコールに発酵させたわけ。
お酒を「かもす」はもともと「かむ」から来ているとも言われているよ。
なんだかちょっとばっちい感じもするけどね・・・。

でも、この動物の唾液や膵液などの消化液に含まれているのはαアミラーゼという酵素で、植物に含まれているβアミラーゼとはまた別のもの。
αアミラーゼはランダムにデンプンの糖鎖の結合を切っていくんだけど、βアミラーゼは必ず2つずつの単位(麦芽糖)に切っていくのだ。
端から糖を2個ずつ切り離していくイメージだよね。
この植物由来のアミラーゼで有名なのは大根に含まれるジアスターゼ。
大根おろしを一緒に食べると胃もたれしない、というのはこのジアスターゼやプロテアーゼ、リパーゼなどの大根由来の酵素が消化を助けてくれるからだよ。
お正月の時期だと、大根からみ餅は胃もたれしづらいと言われるのだ。
これはもともと消化しづらいお餅の消化を大根のジアスターゼ(アミラーゼ)が助けてくれるからで、さらに、お餅自体が甘くなるという効果もあるのだ!

このβアミラーゼなんだけど、デンプンを分解できるのはデンプンが水分子を抱え込んで膨潤している状態だけなんだ。
デンプンはまだ粒が残っている状態で水に懸濁してもさらさらなんだけど、適度に膨潤するとゲル状になってどろどろになるのだ。
これが「糊化」された状態で、このときだけβアミラーゼは反応できるというわけ。
これはデンプンの結晶の構造が少しゆるんで、その間に水分子が抱え込まれている状態なんだけど、あんまり熱を加えすぎると結晶構造自体が崩れてまたさらさらな状態にもどってしまうのだ。
片栗粉でとろみをつけるとき火を止めてから水溶き片栗粉を入れるのはこのため。
片栗でとろみをつけたあんを電子レンジで加熱するととろみがまったくなくなるのでわかるよ!(中華料理をレンジであたためるときは注意しよう。)

これはデンプンの糊化が60~70度くらいのときに最適化されるからで、いったん火を止めたくらいから徐々に冷めていく過程でちょうどよい温度になっているのだ。

一度とろみがついたものは火で温める程度なら問題ないんだけど、電子レンジの場合は熱を発生させるために水分子の運動自体を活性化してしまうので、デンプンの結晶構造の隙間に水分子が抱え込まれているという状態が維持できなくなるのだ(ToT)
で、話はもどって、サツマイモはじっくりと熱を通した方が甘くなる理由もまさにここで、サツマイモのデンプンがアミラーゼで分解されやすい糊化された状態にするためにはゆっくりと熱をかけるのがいい、ということなんだ。

さらに、サツマイモを食べるときにはほくほく派とねっとり派で好みが分かれるよね。
このほくほくとねっとりもデンプンの状態に依存しているようなのだ。
もともとサツマイモはデンプンの粒子が細かいので、ジャガイモやトウモロコシなんかと比べてなめらかな舌触りなんだよね。
さらに粒子の細かいサトイモになると、あの独特のねっとりした食感になるのだ。
サツマイモの場合、長時間かけて熱をけけると、細胞壁が壊れてゲル状に糊化したデンプンがくっつきあうようになるのだ。
これがねっとりした状態のサツマイモ。
逆に、細胞壁が壊れず、各細胞の中で小さな粒子状に糊化した状態のデンプンがある状態がほくほくのサツマイモだよ。

これは単純に細胞壁が残っているかどうかなので、サツマイモの種類や調理方法により変わるのだ。
ベニアズマのような種類だとほくほくに仕上がりやすいし、ベニマサリや安納芋の場合はねっとりとなりやすいんだ。
ちなみに、もともとデンプンが糊化しないとねっとりした食感にはならないので、電子レンジではムリなのだ。
電子レンジでの加熱の場合、急激な温度変化なので細胞壁は壊れるけど、デンプンは糊化しないので、ぱさぱさした感じに仕上がるよ。
逆に言うと、粘りなどがでないので、いもきんとんやいもあんを作るときはそっち方が便利なこともあるんだよね。

2012/01/07

よ、4回も・・・

新年も明けたけど、まだまだ日本の政治状況は不透明だねぇ。
現政権が増税路線をとりまとめ、野党と協議しようとしているけど、閣僚の進退問題でもめているからどうなることやら・・・。
このまま行くといつ通常国会が開けるのかもわからないのだ!

その通常国会といえば、戦後処理をまだしていた昭和22年以来の第4次補正予算案(補正予算案第4号)の審議をする予定なんだよね。
その後に24年度の政府予算案が来るわけだけど、あまりにもめるようだと、近年あまり見られなかった年度内の予算不成立に陥るかも・・・。
民主党政権になってから何度か危機が叫ばれたもののうまく回避したけど、今回はどうなることやら。

で、その補正予算だけど、すでに3次までは成立しているのだ。
憲法では、第86条で「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」と定めていて、これが通常の予算の根拠規定になっているのだ。
これを受ける形で、財政法第27条では「内閣は、毎会計年度の予算を、前年度の一月中に、国会に提出するのを常例とする。」としているので、毎年毎年8月末に概算要求をし、年末までに政府予算案をとりまとめているんだ。
で、通常1月中に開会される通常国会に提出し、3月までに審議を行うわけ。

一方、財政法では第29条で「内閣は、次に掲げる場合に限り、予算作成の手続に準じ、補正予算を作成し、これを国会に提出することができる。」と定めていて、一定の条件下で補正予算を作ることを来てしているのだ。
その「次に掲げる場合」とは、「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合」と「予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合」の2つ。
日本の場合は緊急対策というよりも、例年「経済対策」の名の下に編成されてきた歴史があるんだよね。
今回の震災対応なんかは珍しい例なのだ。

なお、補正予算は追加的な支出をするだけではなくて、不要な支出をとりやめる「減額補正」もあるんだよ。
トータルで減額になるような「倹約令」みたいなものはないけど(米国の補正予算ではあるんだよね。)、一部の予算の不要を取り崩して他に必要な予算の財源に充てることはよくあるのだ。
例えば、今回の補正でも、2次補正でつけた予算の一部を3次補正で減額し、他の財源に充てていたりするのだ。

その減額された予算というのは「予備費」という費目。
これはあらかじめ「不測の事態」に備えるために積んでおく性質のもので、有事の際に使途を定めて支出するのだ。
憲法87条第1項で「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。」と規定されているのが根拠だよ。
基本的に国会開会中は補正予算で対応するんだけど、閉会中で特に緊急を要して対応が必要な場合は予備費が充てられるのだ。
ただし、憲法第83条で「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」となっているように、国の歳入・歳出は原則として議会の承認を得ることになっているので、第83条第2項で「すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。」という事後承諾の規定がついているのだ。

この予備費は、財務大臣が管理していて、予備費の支出が必要となった段階で所管大臣から財務大臣に調書を作成・提出し、財務大臣から閣議にかけるんだ。
閣議決定を経て予備費の支出が決まるんだよ。
閣議決定をするので、いつ予備費の支出が決まったのかは閣議の案件を見ればわかるのだ。
例えば、最新の予備費使用の決定は昨年の12月20日の閣議だよ。
今回の震災対応では、あらかじめ積んでおいた予備費が不足する事態になったので、改めて2次補正で積み増しをしたんだけど、思ったより使わないですみそうだ、ということで3次補正で減額したんだ。
ややこしいね(笑)

ちなみに、補正予算も予備費も当該年度の対応として支出されるわけなので、その年度中に使う必要があるのだ。
とは言え、例えば4次補正なんてこれから国会で審議をするわけで、いつ使えるようになるかわからないよね。
しかも、2月くらいに成立しても残り1ヶ月くらいしかないのだ!
これまでの「財政支出拡大」の目的で行われてきた補正予算も予算案と同時提出で2~3ヶ月予算で執行される例が多かったけど、とてもじゃないけど、まともに全部使い切ることは不可能なのだ。

そこで出てくる制度が「繰越し」。
基本的に国の予算は憲法第86条「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」に基づいて単年度主義なんだけど、それだけじゃどうしてもまわせないので、一部の予算を翌年度に繰り越して使うことが認められているのだ。
それは財政法第14条の3第1項に「歳出予算の経費のうち、その性質上又は予算成立後の事由に基き年度内にその支出を終らない見込のあるものについては、予め国会の議決を経て、翌年度に繰り越して使用することができる。」と規定されているんだ。
ただ、やみくもに繰り越されてもいけないので、認められる事由というのが決まっているのだ。
制度繰越事由については財務省のHPに掲載されているよ。

予算というのは、前の年に一定の歳入・歳出の予測の上に作るわけだけど、どうしても年度途中に発生した事由で実態にそぐわない部分が出てきてしまうんだよね(>o<)
それをうまく合わせる仕組みがこの補正予算と予備費なのだ。
実際に適切に使われているのかどうかはよくわからないけど・・・。
なんとなく税金負担と連動した国費の適正使用という観点ではどうしても本予算だけが注目を集めがちだけど、補正予算や予備費にもしっかりと目をつけておいた方がよいのだ!