2008/05/25

洋風酒粕

最近どうもミネラル不足っぽい感じがしてきたので、今日は時代遅れ(?)のビール酵母を買ってきたのだ。
米国に留学していたときは自分で気を遣って野菜を多めにとったりと工夫していたんだけど、やっぱり日本にもどってきてお仕事をするようになるとそうもいかなくなるのだ。
で、注目したのは留学前にも食べていたビール酵母なのだ。
おいしくないけど、必須アミノ酸や必須脂肪酸、ビタミン、ミネラルなんかがバランスよく入っているんだよね。

で、その正体は、名前のとおり、ビールを造るときの酵母(イースト)なのだ。
ビールは大麦の麦芽から作るんだけど、麦芽になるとアミラーゼという酵素が出てきて、それがデンプンを加水分解して麦芽糖が出てくるのだ。
この麦芽糖を酵母が分解するとアルコールと炭酸ガスが発生するんだけど、樽に詰めたまま炭酸ガスを抜かないと液中にに炭酸ガスが溶けてビール独特のしゅわしゅわの飲み口になるのだ。
この発酵が終わった後、濾過して酵母や未分解の麦芽をのぞくんだけど、濾過しただけなのが生ビール、熱処理して酵母の活性を抑えているのが「生」でないビールなのだ。

で、濾過して残った酵母はこれまでは肥料にするくらいで捨てられることが多かったんだけど、栄養素がバランスよく含まれていることから栄養食品として注目されるようになったんだ。
酵母も人も体を構成する物質はほとんど同じで、細胞膜はリン脂質からできているし、酵素はタンパク質と糖鎖からできているし、DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)は物質的には何も変わらないのだ。
で、ビール酵母はこの酵母をすりつぶして作ったものなので、人間にとっても必要な栄養素がバランスよく含まれているというわけ。
大腸菌を実験的に培養するときには培地にイーストエクストラクトというのを加えるんだけど、これは酵母から抽出したものということでものは同じなのだ。
大腸菌の成長・増殖に必要な微量栄養素なんかをバランスよく含ませるために混ぜているんだよ。
いちいちそれぞれのミネラル分を量って入れるんじゃ大変だからね。

さらに、オーストラリアやニュー・ジーランドではメジャーな調味料のベジマイトもこの酵母のペーストを主成分としたものなんだ。
独特の香ばしい感じの風味でなじみがない人は苦手にするんだけど、慣れるとみそのようなもので何でもかんでも入れるんだって。
栄養的にはビール酵母とまったく同じなので栄養的にはよいものなのだ。

お酒を造ったときの副産物で、酵母が入っているという点では日本酒を造った後の酒粕も同じ。
ボクなんかは酒粕の方が風味もすがすがしいし好きだよね(笑)
やっぱりそれが米と大麦の違いなのかな?
成分的には似たようなもので、栄養素に富んでいるのだ。
調味料として使うなら酒粕の方がよいね。
ワインの澱も同じようなものだけど、ワインの澱の場合はあんまりそういう使い方はないよね。

2008/05/18

ただの草じゃないよ

今日テレビを見ていて知ったのだけど、なんと、牧草というのはただの雑草とは大きく違うそうなのだ!
牧場に生えている草が牧草で、雑草とそんなに違わないと思っていたんだけど、牧草の場合はチモシーやアルファルファ、シロツメクサ(クローバー)などの専用の草をわざわざ生やしているんだって。
草が生えるのを放ってあるだけではないのだ。

なんでも、牧草に使われる草はいわゆる雑草なんかに比べて栄養豊富で、牛や馬も好んで食べる草なんだって。
ぺんぺん草(ナズナ)なんかはどこでも生えるけど、そういうのじゃダメみたい。
でも、クローバーなんかは雑草としても生えているよね(笑)
ところが、クローバーやアルファルファ(こっちはサラダに使うので人間も食べるのだ。)は実は重要で、このふたつはマメ科なので根っこのところに根粒菌という細菌がいるのだ。
この根粒菌は空気中の窒素を取り込んで有機窒素に変えるんだよね。
それが牧草全体の肥料になるので、他のイネ科なんかの牧草の生長もよくなるそうだよ。

遊牧の場合は草を食べきってしまったら場所を移動するわけだけど、牧場の場合は定位置で牧畜をするので常に家畜の飼料が必要なのだ。
モンゴルの遊牧民はそれこそ北アジアを長距離移動するし、アルプスの少女ハイジでもペーターは牧草地を求めて山に入って放牧しているよね。
でも、定位置で牧畜する場合は草がなくなったらそれまでで、どうしても秋の終わりから冬にかけては牧草が育たないので、干し草を作っておいてそれを食べさせるのだ。
干し草は夏の間に草を刈って乾燥させておいただけのもので、日持ちするようにしただけのものなのだ。

これに対して、サイロなんかに入れて作られるサイレージというのはもっと進んでいるんだ。
サイロの中では嫌気性細菌によって乳酸発酵が行われ、うまく発酵させると栄養源となる乳酸などの有機酸を多く含む飼料になるのだ。
草食動物の場合は反芻しながら長時間かけて消化するんだけど、胃の中には細菌がいて牧草に含まれるセルロースを細菌に分解してもらって、そこから栄養を手に入れているのだ。
サイレージの場合はあらかじめ跛行しているので、もっと楽に栄養が吸収できるわけ。
発酵食品(?)にすることで日持ちもするようになるし、栄養価も上がっているというわけなのだ。
忍下名食べる発酵食品と同じだよね(笑)

こうしてみると、牧草をはじめ、家畜用の飼料も奥が深いのだ。
狂牛病のときに話題になったけど、乳牛にはカルシウム分を効率よくとらせるために肉骨粉を飼料に混ぜていたりしたわけだけど、ただ草を食べさせておけばいいというわけではないんだね。
肉骨粉はちょっと問題ありだけど、牛の場合にはカルし無分を多く含む牧草にするとか、きっと工夫が必要なのだ。
競走馬なんかはもっと気を遣っているんだろうね。

2008/05/11

魚とは虫類では違うのだ!

魚とは虫類の共通点と言えばウロコがあること。
でも、魚とは虫類では同じウロコと言われていても、まったく違うものなのだ。
確かに、ワニ皮やヘビ側はハンドバックやベルトになるけど、魚のウロコのついた皮では革製品は作らないよね。
魚のウロコはせいぜい素揚げしておつまみになる程度なのだ(笑)

魚のウロコは真皮の内部に発達した骨格で、ようは骨の一種なのだ。
なので、主成分は骨と同じリン酸カルシウム。
その表面に粘膜性の表皮が覆っているのだ。
ウロコは歯と同じような構造で、コラーゲンなどの繊維質からなる繊維層に骨質層が重なっていて、古い魚類ではその間に象牙質やエナメル質があるんだって。
新しい魚ではその部分は退化していて、より軽くてやわらかいウロコに変化しているそうだよ。
ハリセンボンのハリはこのウロコが発達したものなんだけど、あのハリの方が骨っぽい感じがするよね。
ちなみに、ほ乳類のヤマアラシやハリネズミのハリは毛が太くなったものなので、普通の毛と同じように抜けるのだ!

一方、は虫類のウロコは表皮が硬くなったもので、主成分はケラチンなどのタンパク質からなる角質。
なので、ツメなんかと同じようなものなんだ。
魚類のウロコは皮膚の表層に板状のウロコが埋め込まれた構造になっているので、ウロコ取りで逆側からなでてやる塘路湖が歯が得るんだよね。
でも、は虫類のウロコは皮膚の表面がかたい角質になって、動きやすいように小片化しているものなので、はがれることはないのだ。
ヘビが脱皮してもそのままウロコは離れずにくっついたままになっているのはこのためだよ。

この角質のウロコは鳥類やほ乳類でも一部見られるのだ。
鳥の足の部分やネズミのしっぽの部分なんかがそうだよ。
あれはは虫類のウロコと同じようなものなのだ。
センザンコウなんかだと全身がウロコに覆われているよね。

というわけで、同じウロコといわれているものでも、魚とは虫類ではまったく違うものなのだ。
でも、体の表面をかたくして守っているという点では機能は似たようなものなんだよね。
こういうもともとは違うものから進化していて似たような機能を持つことを相似性(analogy)というのだ。
コウモリの翼手と昆虫の羽なんかがそうだけど、同じ飛ぶという目的に使われるものでもまったく進化の過程で別のルートからできているんだよね。
ウロコの場合もそれと同じということだよ。

2008/05/10

ふくらめふくらめ

日本に帰ってきてからうれしいことはパンがおいしいこと!
どうも米国の人たちはかたいパンが好きみたいで、ふかふかしたパンが少ないんだよねぇ。
それに比べて日本のパンはふっくらしていておいいしのだ。
もちもちした生地はそれはそれでよいんだけどね。

で、このパンのふっくら具合は製造工程中の発酵の度合いによるんだよね。
焼き上げて作るいわゆる普通のパンの場合、小麦粉とバター、塩、水を練って作ったパン生地にイーストを加えてしばらく置いておいて発酵させるのだ。
すると、イーストがパン生地の中で糖分を分解して炭酸ガスが出てくるんだよね。
1~2時間置いておくとものすごくふっくらふくらむのがそれだよ。
で、生地の中には炭酸ガスのつまった小さな泡ができているんだけど、その生地を焼くとその泡の中の炭酸ガスが温められてさらにふくらむのだ。
これでパンがふっくらするというわけ。
発酵をたくさんさせればよりふっくらするんだよ。
逆に、ベーグルのように無発酵だともっちりしたかたい歯ごたえになるのだ。

でも、ケーキやお菓子の場合は、イーストじゃなくてベーキングパウダーを使うことも多いのだ。
ベーキングパウダーの主成分は重曹(炭酸水素ナトリウム)だけど、これは熱を加えると分解して、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)と炭酸ガスになるんだよね。
で、発酵させたときと同様に炭酸ガスが出てきて生地の中に泡ができて、それでふっくら又はさっくりした感じになるのだ。
でも、重曹の場合は炭酸ガスと同時に苛性ソーダも出てくるので、あまり入れすぎると苦くなってしまうのだ(>_<)

この重曹のふくらし粉としての作用を利用したのがカルメ焼きなのだ。
カルメ焼きは、ザラメをお玉の上かなんかで熱して、融けてきたところで重曹を加えてお箸とかで勢いよくかき回すのだ。
すると、重曹から出てきた炭酸ガスで泡が出てきて、それが粘性の高い融けたザラメの中にうまく泡としてまざるとあの独特の軽石状のカルメ焼きになるのだ。
かき回し方がけっこう難しくて、失敗するとうまくふくらまなくて、あわあわの入ったべっこう飴になってしまうのだ。
最近ではこの熱反応を見て感じとれるということで、学校の理科の実験なんかでもやるんだって。
そういう授業だと楽しいよね♪

2008/05/05

境目は?

今日はこどもの日。
むかしでいうところの端午の節句なのだ。
「国民の祝日に関する法律」では「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」日とされているんだよ。
で、気になったのが、「子ども」と「青少年」の違い。
なんだか「青少年」だと「子ども」よりちょっと年長の気がするものの、中学生くらいだと重複しそうな気もするよね。

で、調べてみると、どっちもきちんとした定義はないのだ・・・(>_<)
「子ども」の場合、通常は未成年なので20歳未満を指すことが多いけど、選挙権やお酒・タバコが20歳を境にしているのに対して、自動車普通免許なんかは18歳からとれたりするので微妙なのだ。
今度成人年齢を18歳に引き下げようなんて議論もあるしね。
さらに、電車やバスの料金だと、小学生までが子ども料金で、中学生からは大人料金になってしまうよね。
つまりは、通常は20歳未満の未成年を指すことが多いけど、場合によって範囲はまちまちということなのだ。

さらに「青少年」になるともっと複雑。
どうもはっきりしないんだけど、かなり下の年齢から、20代前半までを指すようなのだ。
そういう意味では、成人も含むので「子ども」より範囲は広めみたい。
似た言葉に「青年」というのがあるけど、これは厚生労働省の資料なんかでは15歳から24歳までを指すみたい。
どうも「子ども」と「青年」を足すと「青少年」になるようなのだ。
でもでも、その一方で、有名な各自治体の青少年育成保護条例では18歳未満とされていることが多くて、その意味では「子ども」と変わらないのだ。

一方で、児童や幼児、乳児という定義ははっきりしているのだ。
児童は小学校就学から18歳未満まで。
いわゆる学校教育法にいう生徒の概念とかぶっているんだけど、留年や休学の場合もあるので必ずしも一致しないのだ。
幼児はその下で満1歳から小学校未就学まで。
乳児は生後から満1歳までなのだ。
乳幼児というと小学校未就学の子どもを指すんだよ。

というわけで、なんだか複雑なんだよねぇ。
どうも法律的な権利が与えられる年齢と、社会通念條大人の仲間入りが許される年齢、肉体的・精神的に一人前になる年齢などなど、様々な面で区切りを入れているので錯綜しているようなのだ。
確かに、そのときどきの局面で適切な分け方をしようとするとそうなるんだよね。
むかしから変だと思っているけど、中学校を卒業して働いて自ら税金を納めるようになっても、選挙権も認められないんだよね。
このあたりは社会システムとしてちょっと矛盾しているのかも。