2010/10/16

この時期は足下に気をつけろっ!

すっかりこの季節となったねぇ。
何かって言うとギンナン。
せっかくキンモクセイのよい香りがしてきたなぁ、なんて思っていると、街路樹の近くではあの独特の異臭が・・・。
普通に道に落ちているので、誤って踏むと1日中くさくなるのだ!
このギンナンがひとしきり落ちると今度は黄葉してすっかり秋の色合いに変わるんだよね。

ギンナンはイチョウのみなんだけど、見た目はオレンジ色のサクランボのような形。
外側にある果肉のように見える部分(実は外皮)がにおいの素で、その中に堅いからに包まれた淡い緑色のギンナンが入っているのだ。
火を通すとうっすらと黄色になって、秋の料理の彩りによく使われるよね。
ほんのり苦くて、大人の味なのだ。

調べてみて知ったんだけど、ギンナンっていうのは気になっている状態ではくさくないのだ!
で、これが地上に落ちて、軸が外れるとそこからにおいがしてくるのだ。
当然、踏まれて実がつぶれるともっとにおいが立ちこめるよ。
つまり、軸がついたままならそんなにくさくないので、もし拾うなら軸つきのままで集めるのがよいよ。
肉質化した外皮の表面以外が空気に触れると独特の異臭が発生するのだ。

この異臭の主な成分は酪酸。
実は足のくさい人のにおいの成分と同じで、ウシなどの反すうする草食動物のゲップのくささにも関与している物質なんだ。
もともとはバターの中から発見されたのでこの名前があって、ナチュラル・チーズの独特のにおいもこれ。
皮膚や粘膜に対して腐食性があるので、ギンナンを素手でさわってつぶれたりするとかぶれることがあるよ!
拾うときは要注意。
ちなみに、揮発性が低くてなかなかにおいがとれないので、その点でも注意が必要だよ。

このにおいのせいでニホンザルやネズミ、タヌキなどは忌避して食べないんだけど、なぜかアライグマなんかはそのまま食べてしまう見たい。
雑食界の横綱?
人間もくさいのを我慢して中身を取り出して食べているんだから、大関くらいはいっているかな(笑)
進化の過程で(といっても古代からそのまま残っている植物だけど)、実を食べられないようにくさくなったみたい。
でも、その戦略がうまくいったのか、中国大陸には原生代まで生き続け、それが日本にわたり、日本から世界各地に広まったのだ。

よく公園とかで拾っている人を見かけるけど、拾った後の後処理が大変なんだよね。
標準的には、水につけて水中でごしごし外皮をはいでいく、水につけたり土中に埋めたりしてしばらくまって外皮が腐ったところで水で洗い流す、などの方法で外皮を取り除くがあるのだ。
どちらにせよ、においを我慢しての作業だよ。
その後、から付きのまま乾燥させ、固いからを割って、薄皮をとって、とやると見慣れたギンナンになるよ。
しかも、外皮をとってしまうとけっこう実が小さいのだ(ToT)
売られているのは食品用に栽培されている種で、中粒~大粒らしいんだけど、一般的には小粒なんだよね。
ちなみに、農家の場合は大量に処理する必要があるので、洗濯機に入れてがっしゃんがっしゃんと洗って、その後からのまま天日干しするみたい。

ギンナンが好きな人はけっこういるけど、気をつけなくてはいけないのは中毒。
中にビタミンBの類似物質が入っていて、これが体内でビタミンBのじゃまをするのだ。
そうすると、ビタミンBの欠乏症の症状が出てくるわけ。
大人だとそんなに大量に食べなければ大丈夫だけど、子どもとかは気をつけた方がよいらしいよ。
食べ過ぎるとけいれんなどを起こすそうなのだ。
というわけで、秋の味覚を楽しむのもほどほどに。

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