2012/05/05

じゃじゃーん

香港に行ってきたのだ。
今ではもう中国ではあるけど、食事とかの面ではちょっと安心だよね(笑)
香港の人たちも日本食材を買いたがるそうだから、同じ認識なのかな?
本当は本場物の味って言うのがあるはずなんだけどね。

そんな香港でおいしかったのがXO醤。
日本で中華料理を食べているときには特に意識したことはなかったけど、香港で中華料理を食べてみて、濃厚なコクにびっくりしたのだ!
本当はこういうものだったんだね、と。
最初はただ乾物系の出汁が入っているのかと思っていたのは内緒だけど(^o^;)

このXO醤は、ペニンシュラ香港のシェフが考案したと言われている香港発祥の調味料。
調味料というだけでなく、それだけでおつまみ的に食べられたりもするのだ。
ミソみたいなあつかいかな?
確かにミソっぽいところもあるよね。
レストランによってはお皿にXO醤を入れて出してくれるので、そのままなめてもよいし、料理に足してもいいんだよ。

作り方は秘伝で、各レストランで固有のレシピがあるようなんだけど、主要な材料は干しエビ、干し貝柱、金華ハム、生姜、唐辛子、ニンニク、油。
エビや貝柱、豚肉の出汁が濃厚に出るのだ。
もどした干しエビや貝柱と中華ハムをみじん切りにしてから水分がなくなるまでよく炒め、唐辛子、生姜、ニンニクなどの香味を加えて、紹興酒、オイスターソース、豆板醤などで味を調えるんだって。
できたら瓶詰めにして完成。
特にここから熟成させる、というものでもないみたい。
実は食べるラー油と同じようにごはんにあうかも。

ちなみに、オイスターソースはカキ油とも言われることからわかるように牡蠣のうまみを凝縮したもの。
これも広東料理出身だよ。
牡蠣のゆで汁が捨てられているのを見かね、そこからグリコーゲンを取り出してお菓子のグリコが作られた話は有名だけど、オイスターソースもその牡蠣のゆで汁を原料にしているのだ(牡蠣や貝柱はゆでてから日干しにするのだ。)。
牡蠣のゆで汁を煮詰め、小麦粉やデンプンでとろみをつけてからカラメルで色をつけ、砂糖などで甘みを調節したらできあがり。
グリコーゲンのほか、アミノ酸や核酸が豊富でうまみがたっぷりなんだ。
でも、やっぱりただの調味料なんだよね。
そのままでも高級料理になる高級食材を調味料のために使っているXO醤とは比較にならないのだ(笑)

ボクは「XO」というくらいだから、ブランデーのXO(「Extra Old」)が関係していると思ったんだけど、「最高級の調味料」ということを表すだけなんだって。
ブランデーを使っているレシピもあるのかもしれないけど。
とにかく、高級な食材を使ってぎゅっとうまみを濃縮させた調味料なのだ。
ボクが香港で食べたものは特に干しエビの味が強かったね。
何食べてもエビの味がしたけど(笑)

現在では、上記のレシピを「参考」にして、大量生産品も作られているのだ。
それがスーパーなんかで売っているもの。
でも、正直普通のオイスターソースとの差がよくわからなかったんだよね。
なので、オイスターソース的なものを作るときにブランデーで漬けているとかなんとかと誤解していたのだ(>o<)
本場のものは全くの別物で、確かにこれなら最高級調味料というのもわかるよ、というものだったね!

一説には、XO醤を日本に広めたのは「炎の料理人」周富徳さんとも言われているんだって、
ちょうど「料理の鉄人」なんかの対決型グルメ番組の人気がピークだったから、よく耳にするようにはなったんだよね。
それで多くの日本人の知るところになって、広まった可能性はあるのだ。
ただし、ボクも含めてそうだけど、音で知っているだけで、何であるかはよくわかっていなかったんだけど(笑)

今では世界中に広まっているらしいよ。
香港発の世界の味になったのだ!
飲茶が世界に広がったのも香港からだけど、まさに国際都市の面目躍如。
今の中国ができて社会主義体制になってからは香港とマカオ、台湾だけが開かれた中国だったからね。
その中でも、イギリス統治下で栄えた香港の影響力は大きいと思うのだ。
米国にいたときに見かけた中国料理はほとんど広東料理で、おそらく香港発だろうからね。
今では特別行政区と言いながら中国の一部になってしまって、最近の上海の台頭に比べて影が薄くなりがちだけど、今回のXO醤のように意識していないところで香港の影響が出ていることを知ると、やっぱり世界を代表するアジアの都市なんだなぁと思ったよ。

2012/04/28

本来は女性がダメってことではないんだよ

また再び皇位継承問題が議論され始めているよね。
今上天皇直系に男子皇族が不在だったときに大きく議論され、秋篠宮家に悠仁親王殿下が御誕生になってからは一時期下火になっていたのだ。
ところが、また「女性宮家創設問題」として再燃しているんだよね・・・。
政府は皇位継承問題とは切り離す、と言っているけど、将来的な男系継承の不安が払拭できないこともあって、先に手を打とうとしていると言われているのだ。

そもそも、皇位継承については、日本国憲法第二条において「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」と定められているんだ。
で、その皇室典範では、その第一条で「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」としていて、さらに第二条で皇位継承順位を定めているよ。
皇長子(長男)=>皇長孫(長男の男児)=>その他の皇長子の子孫(長男系の子孫)=>皇次子及びその子孫 (次男系の子孫)=>・・・。
旧家族制度の嫡男が家を継ぐ、というのと同じなのだ。

これを現在の皇室に当てはめると、皇位継承順位第一位、すなわち東宮(皇太子)は徳仁親王殿下で、皇太子家には他に男性皇族がいらっしゃらないので、第二位は皇太弟たる文仁親王殿下(秋篠宮)で、第三位がその長男になる悠仁親王殿下なのだ。
なので、ここまではとりあえず皇嗣は保たれているんだけど、その先が不安だというんだよね。
というのも、戦後の皇室では側室を廃止しているので、一夫一婦制の元で男児を設ける必要があるのだ。
精子の遠心分離を使った産み分け(精子は♀になるX染色体を持つものと♂になるY染色体を持つもので主さが違うので、ある程度遠心分離で分けられるのだ。)なんかもあるにはあるけど、極力自然な形で皇嗣を保ちたい、ということなんだよね。

この議論でよく誤解されるのが、女系天皇と女性天皇。
保守的な人たちは、皇室は神武天皇以来万世一系を保ってきていて、それがここで崩れる、という主張なんだけど、あれ?、女性の天皇っていなかったっけ?、ということになるのだ。
もちろん、聖徳太子が補佐した推古天皇や、百人一首で「衣ほすてふ天の香具山」と詠んでいる持統天皇は女性天皇として有名だよね。
でも、これまで10代8名在位した女性天皇はすべて「男系」の継承なのだ。
つまる、父方の祖先をたどっていくと神武天皇行き着くというわけ。
「女系」というのは母方だけが皇室の血を引く継承なので、父系をたどっていくとあるところで入り婿の祖先の方に行ってしまうのだ。
ま、実際には実在がほぼ確実と言われているのは15代応神天皇だし、その後25代武烈天皇から26代継体天皇のところはあやしさもあるし、さらに、南北朝のところでもちょっと気になるところはあるけど(笑)
とは言え、父系・男系でつないできているのは確かなんだよね。
古代日本では女性の方が力を持っていた(卑弥呼とか?)とも言われるけど、それとこれとは別みたい。

実際に在位した女性天皇がどうなっているかというと、わかりやすいのは持統天皇・元明天皇・元正天皇の流れなのだ。
41代持統天皇は38代天智天皇の皇女で40代天武天皇の皇后だったわけだけど、皇太子たる嫡男の草壁皇子は即位前に夭折してしまうのだ。
でも、すでに皇太孫たる軽皇子が生まれていたので、この孫に皇位継承をさせようと画策したんだよね。
ここで問題となったのは、当時は父から子へ、子から孫へという直系皇位継承だけなく、兄弟相承と言って兄から弟へという継承のかなりポピュラーだったのだ。
このとき、天武天皇は皇族でない女性との間に生まれた長男の高市皇子という皇族がいたのだ(同じく皇族を母親とする大津皇子は謀反の罪で殺されているのだ。)。
ただし、皇位継承順としては皇女の系統が重んじられたため、草壁皇子が立太子し、高市皇子は太政大臣などとして執政に当たっていたんだよね。
で、普通なら草壁皇子が亡くなると、次に有力な高市皇子が台頭してきてもおかしくないんだけど、天武天皇薨去後しばし皇后として国を治めていた持統天皇は我が孫に皇位を次がせるため、幼い皇太孫に代わって自らがリリーフとして即位し、軽皇子に立太子させたのだ。

軽皇子は後に即位して42代文武天皇となるんだけど、やっぱり幼い子(首皇子)を残して若くして薨去されるのだ。
で、やっぱりその子には皇位継承をまださせられないので、文武天皇の母である43代元明天皇が即位(皇太子妃から皇后を経ずに即位。)。
さらに、その後文武天皇の妹の44代元正天皇(唯一の独身で即位した女性天皇)につないだ上で、首皇子は45代聖武天皇として即位するんだ。
このとき持ち出してきたと言われるのが「不改常典(あらたむまじきつねののり)」というもの。
天智天皇が定めた、ということで出てくるんだけど、実は明文化されたものではなく、元明天皇以降即位の詔で言及されているだけのものなのだ。
これが直系継承の基本となる理論とされていて、兄弟相承でなく直系継承こそが皇位継承の原則である、とするとしているんだ。
当然この間にも有力な男性皇族はいたわけで、やっぱりここまでの継投策はけっこう無理があったようで、こういう理屈を持ち出す必要に迫られたようなのだ。

でも、こうして古代日本社会で皇位継承の原理原則が確立し、以降はそれに則ってつながれてきているんだよね。
とは言え、聖武天皇の後の孝謙天皇のところですでにあやしくなっているんだけど、けっきょくはかなり離れたところからでも男系の皇族を見つけてきて即位させているのだ。
これが現在の皇位継承問題で話題になっている、女性宮家の創設ではなく、皇籍離脱した男性の元皇族の皇籍復帰の議論にもつながるのだ。
実際に、継体天皇なんかは応神天皇の5世孫とか言われるし(ほとんどたどれないよね・・・。)、聖武天皇皇女で皇位を継いだ46代孝謙天皇の次代の47代淳仁天皇は天武天皇の孫にあたるので、聖武天皇・孝謙天皇から見るとかなり遠い親戚になっているのだ。
しかも、淳仁天皇は恵美押勝の乱の後に上皇だった孝謙天皇に退位させられてしまい、その後は孝謙天皇が重祚して48代称徳天皇になるのだ。
でもその次は天智天皇の孫に当たる49代光仁天皇が即位するんだよ。
もう行ったり来たりでわけわかめ(>o<)

そんなわけで、特に古代は複雑に皇位継承をしてきたんだけど、一応男系継承は守られているみたい。
で、上で出てきた「不改常典」は明治維新後、旧皇室典範の第一条「大日本国皇位ハ祖宗ノ皇統ニシテ男系ノ男子之ヲ継承ス」という形で明文化され、現在の皇室典範につながるんだ。
これで正式に男系直系の継承が原則として定められたわけ。
この伝統を最大限重視するなら、女系継承につながる女性宮家創設よりは、皇籍復帰で男性宮家の復活をするということになるのだ。
正直、ボクにはどうするのがよいかまだよくわからないけど。
ただ、皇室が日本国の象徴であり、世界に誇れるものであることは確かなので、しっかり皇室制度が維持できるよう考えていかなければならないことなのだ。

2012/04/21

もっくもくにしてやんよ

冬は寒い代わりにからっと晴れることが多かったけど、春の天気は不安定でくもちがちなのだ。
そぼそぼと雨が降ることも多いよね(>o<)
これは、冬はいわゆる「西高東低」の冬型の気圧配置で安定していたのがくずれるから。
冬はシベリアの寒気団が南下してきて乾いた冷たい空気で安定しているのだけど、それが退くと張り出した高気圧がないので、偏西風に乗って熱帯海上で発生した湿った低気圧がやってきて雨を降らすんだよね。

雲ができる仕組みはわりと簡単で、熱帯地域等で海が温められると、その上に湿った暖かい空気の固まりができるのだ。
空気は気温が高いほど密度が低いので軽く、浮力が働いて上昇していくんだよね。
これが上昇気流。
通常の大気は高度が上がれば上がるほど気圧と気温は下がっていくんだけど、気温の低下は100mごとに0.6℃程度。
ところが、空気は熱伝導率がひくので、上昇していく空気は熱交換がほとんど行われないまままわりの気圧の低下に伴って断熱膨張してしまうので、冷却されるのだ。
この断熱冷却による効果は100mごとに1℃程度。
なので、100m上昇するごとに0.4℃ずつ差が埋まっていくのだ。

まわりの空気と上昇してきた空気の温度が同じになったところで上昇は終了。
このとき、通常は露点(空気を冷却していったときに、含まれている水蒸気が凝結して液体の水が出てくる温度。)を下回っているので、温かかった空気の中には小さな液体の水の粒子が分散している状態になるんだ。
上昇した先が零下の気温なら、小さな氷の粒になっていることもあるよ。
これが雲の正体。
水や氷の粒子が光を乱反射するので白く見えるのだ。

例えば、インド洋上空で発生した暖かい空気が日本上空に来ることを考えてみるとわかりやすいよ。
インドは熱帯なので年間を通じて気温はほぼ一定なんだけど、だいたい35~40℃くらい。
今回は計算しやすいように温められた空気の温度は36℃にするのだ。
これが春の日本上空に来るとすると、日本の春の気温はだいたい10~20℃。
これを18℃と仮定すると、温度差は36-18=16℃なので、16÷0.4×100=4,000m=4kmなので、上空4kmまで上昇するのだ!
ただし、途中で空気の気温が露点を下回ると、水蒸気が凝結するときに出る熱のせいで気温の低下率は100mごとに0.5℃に下がるのだ。
含まれていた水蒸気がすべて凝結するとまた100mで1℃ずつの低下率にもどるので、水蒸気がどれだけ含まれているかで上昇高度はもう少し上がるよ。
でも、この時点ですでに富士山よりさらに高いから、童謡のように「頭を雲の上に出し♪」というわけにはいかないね(笑)
これくらいだと、ちょうど雨を降らせる高度(2~6km程度)の雲だね。

しかし、実際には温められた空気が来る以外にも雲ができることがあるのだ。
その場合はもっと低い高度だよ。
例えば、高い山脈が海の近くにある場合、海からの湿った風が山に当たるとそのまま山の斜面に沿って上昇していくのだ。
すると、水蒸気がどんどん凝結して水になり、山の海側の低い高度のところに雲ができて雨を降らしながら山を越えるのだ。
山を越えるころには空気が乾燥しているので、今度は乾いた風として逆側に吹き下ろすわけ。
海側では湿っていたので100mで0.5℃ずつ温度が低下していくんだけど、逆側ではすでに乾燥しているので100mで1℃ずつ上昇していくのだ。
すると、海側で18℃だった湿った空気(すでに水蒸気が飽和していると仮定。)が2,000mの山を越えると、山の頂上で8℃、これが山の逆側の海抜0mに吹き下ろすと28℃になるのだ。
これがいわゆるフェーン現象で、上州名物のからっ風もこのたぐいのものなのだ。

他にも、湖や大きな川の水面上に薄く雲が広がることがあるんだよね。
これは水面上の湿った空気が冷たい外気に冷やされることで凝結するもの。
湖に冷たい風が吹いてきたりするとできるのだ。
昼間の湖で北風が吹くと霧が発生しやすくなるのだ。
逆に、十分に冷えた湖の上に湿った暖かい空気が吹いてくると、そこで霧が発生することもあるよ。
これは朝方に南風が吹いたときなどだよ。

というわけで、雲の発生には風と空気の湿度が大きく関係しているのだ。
それを踏まえて天気図を見ると、自分でもある程度雲ができるかどうかはわかるんだよね。
天気図を見なくても、その場その場で吹いてくる風の暖かさ/冷たさと湿気を感じることができれば、天気の移り変わりはある程度予測できるのだ。
きっと先人の知恵はこういうのを感じ取っていたんだろうね。

2012/04/14

緊急情報発信!

北朝鮮のロケット打上げ(ミサイル?)問題でJ-ALERTが注目されているのだ。
なんかけっきょくうまく打上げも警報もうまくいかなかったみたいだけど(ToT)
これは消防庁が整備した「全国瞬時警報システム」のことで、地震、津波、火山噴火などの大規模自然災害の発災時や、今回のミサイル発射、テロなどの武力攻撃事態が発生した場合、対象地域の国民に瞬時に、一斉に、直接情報を伝達するシステムなんだ。
21世紀に入ってから危機管理意識が高まり、国の主導で導入されたんだよね。
それまでは、自治体ごとに有線放送や行政無線を使っていたんだけど、これはその自治体ごとなので、情報の内容にも質の差があるし、伝わる速度もまちまち・・・(>o<)
そこで、こういうシステムが考案されたわけ。

具体的には、静止軌道上の通信衛星を介して国からの情報を地方自治体に送信し、その内容が市町村役所や公立病院、公立図書館などで館内放送として流されたり、地域衛星通信ネットワークに接続された同報系市町村防災行政無線を通じて屋外にあるサイレンから流れたりするのだ。
このとき、瞬時に、直接伝えるために、自動的に防災行政無線が起動され、誰かが操作しなくても放送が流されるところがミソ。
これにより一律に素早く情報伝達ができるわけなのだ。

情報の流れは、自然災害なら気象庁が、武力攻撃事態なら内閣官房が状況を察知し、システムの運用者である消防庁に連絡を入れるのだ。
消防庁の側ではあらかじめテンプレートとしていくつか「メッセージ」が用意されているので、事態に応じてそれを選び、対象地域向けに発信。
これを自治体側が受け取って館内放送なり、防災行政無線なりでそのメッセージが流れるんだ。
このとき、対象地域やメッセージの内容はコード管理をされていて、消防庁からは全国一律にとりあえず情報発信するんだけど、受け手である自治体側の受信機で自分に関係あるコードのものだけ取り出す仕組み。
でも、今回のミサイル問題に備えた沖縄での試験では、この部分がうまくいかなかったわけ。
でも、それには一定の理由があるのだ。

消防庁のサイトにあるJ-ALERTの概要資料によると、J-ALERTで発信される情報には3種類あって、原則同報無線を自動起動するもの、同報無線の自動起動を選択できるもの、普通に情報を流すだけのものがあるのだ。
必ず自動起動するものには、今回のような弾道ミサイル情報、大規模テロ情報、緊急地震速報、津波警報(大津波・津波)などがあるんだ。
自治体ごとの設定で自動起動が選べるものは、噴火情報、地震速報、津波注意報、土砂災害警戒情報、竜巻注意情報など。
その他は、記録的短時間大雨情報、指定河川洪水情報、噴火予報、気象注意報など。

で、このメッセージの種類と対象地域をコード管理しているわけだけど、受信機側でその設定をする必要があるんだよね。
そこに不備があると対象地域なのに反応しなかったり、選んでいたはずなのに自動起動がうまくいかなかったりするんだ。
今回は事前にわかったからまだ対処のしようがあるけど、1年に一度くらいは確認するようにした方がよいんだろうね。
せっかくのシステムが役に立たないのでは困るのだ(ToT)

でも、実はこのJ-ALERTの普及率はいまいち。
消防庁の資料によると、昨年12月1日現在で受信機の運用は全地方自治体のうちの98.4%まで来ているけど、自動起動できるような端末を整備しているのは66.0%、さらに自動起動を実施しているのは61.8%まで落ちるのだ・・・。
なんでこんな事態になっているかというと、受信設備の整備や、自動起動端末と防災行政無線をつなげるのにお金がかかるから。
単純な話だけど、小さい自治体だとバカにならないんだよね。

そこで活躍しているのが緊急情報ネットワークシステム。
ニュースでも出てくるEm-Netだよ。
これは国と地方自治体を結ぶ総合行政ネットワーク「LGWAN」を利用して、官邸と自治体を双方向通信でつなぎ、緊急情報を流すものなのだ。
これだと、通常のパソコンに専用ソフトウェアをインストールするだけで使えて、後はスピーカーなど情報を流す設備があればよいのだ。
電子メールの一斉送信みたいなものだけど、相手端末に強制的に受信させ、着信と同時にアラームが鳴って注意喚起するようになっているのだ。
パソコン画面上では地域指定でメッセージも送れるので、アラームが鳴ったらパソコンを確認し、メッセージを確認して初動体制がとれるわけ。
送信側から相手端末が起動しているかどうかも確認でき、受信可能な状況かどうかもわかるんだって。

こういうのはひとつのシステムに過度に依存するとそこに障害が発生したときに対応できなくなるから、複数のシステムを整備しておいた方がよいんだよね。
自治体側では複数のシステムを導入して運用するのは大変だけど、ことは緊急事態なわけで、情報の漏れは致命的なのだ。
今回の件を契機に危機意識が高まれば、また整備が進むかな?

2012/04/07

タッチ、タッチ、ここにタッチ♪

4月になって4年間使い続けていた携帯を機種変更し、スマートフォンを導入したのだ!
まだ「便利ぃ~♪」というよりは、使いにくいなぁ(>o<)という感じだけど、最低限の操作は覚えてきたよ。
でも、まだぎこちないのはタッチパネルの操作。
指が太いからか、なれていないからか、ミスタッチが多くて関係ないものを選択することがしばしば。
これが一番いらつくね。

最近はスマートフォンやタブレット型端末が注目されがちだけど、もともとは駅の券売機や銀行のATMなんかに使われていたよね。
意外と歴史はあるけど、大画面じゃなくても使えるようになった、画面の鮮明度が上がった、っていうのが今般の躍進の肝みたい。
ま、券売機やATMだったら最低限の認識でもよいわけだからね。

基本的な原理としては、画面表面に接触される或いは表面が押されることでその位置を認識しているのだ。
ここで重要なのは、その信号発信・認識機構は画面の裏側にあるので、薄く透明である必要があるのだ!
薄く、透明度が高くなるほど、画面の鮮明度も上がるわけ。
タッチパネル式の場合、画面を見ながらの操作が直感的でわかりやすいとか、ソフトウェアの更新でボタンの並びなどに自由度を盛らせられるなどのメリットがある一方、画面が汚れると認識が悪くなる、「押した感」がないのでミスタッチや入力のぎこちなさが出てくる、視覚に障害を持った人には対応していない、というデメリットもあるんだ。
最近はこういった特徴を理解した上で発展が続いているそうだよ。

もともとのタッチパネルは、画面の裏に碁盤の目状に小さな電極スイッチが並んでいて、指などで画面を押すと、その後ろにあるスイッチが押され、どの位置が押されたかがわかる仕組みだったのだ。
これはマトリクス・スイッチよう方式で非常にわかりやすいけど、初期の電子手帳などに使われていただけで今ではほとんど使われていないんだって・・・。
というのも、スイッチの並び方次第で認識の制約が出てくるし(画面の構成をスイッチの並びに合わせる必要がある。)、もともとおおざっぱにしか位置を把握できないのだ。
それでも、透明電極スイッチがないと実現しない技術なので、ブレイクスルーではあったんだけど。

現在の多くの携帯電話に使われているのは2枚の透明電極がプリントされた膜(抵抗膜)を使う抵抗膜方式。
膜の間にスペーサーをかまして隙間をあけておいて、画面に触れたときだけ膜が少しゆがんで2枚の膜が接触して電気が流れるようになっているのだ。
で、その電気が流れた箇所を認識するわけ。
実際には片方の膜だけに電圧をかけておいて、接触するともう片方の特定の場所に電圧が検出される、という仕組みなのだ。
でも、この場合、計測された電圧で膜状の相対的位置がわかるだけなので、画面が大きいと位置特定精度は下がってしまうのだ。
でも、携帯電話くらいの大きさならかなりの高精度で位置特定できるので、スマホには向いているわけ。
今ではかなり廉価に作製できるようになったので普及しているんだって。
ただし、透明電極が比較的硬いのに対して膜のゆがみを使うので、どうしても寿命が短いのだ。
特に、どうしてもタッチパネルって反応してくれないときに強く押しがちだから・・・。
また、2枚の透明電極の膜をかませるので、どうしても鮮明度は落ちるみたい。
圧力だけを検出するので指以外でも反応してくれるのはいいんだけどね。

その透明度の低さと寿命の短さを克服したのが表面弾性波方式というもの。
ガラス基盤の周囲に圧電素子をつけておいて、振動波を発生させておくのだ。
この画面表面に指などが触れるとそこだけ波が吸収されたり、跳ね返ったりするわけ。
その波の吸収や反射は電圧の違いとなって圧電素子に認識されて、逆にどこをさわったかがわかるわけ。
これはガラス基盤そのものなので透明度も高く、構造もしっかりしているので寿命も長いのだ。
指以外で抑えてもかなり認識してくれる(ただし、手袋や爪はダメ)などメリットも多いんだけど、いかんせん高くて重いので、なかなか使いどころが難しいんだよね。

ちまたで大人気のiPhoneで使われているのは静電容量方式というもの。
コンデンサーに電圧をかけるとコンデンサの両側に正負の電荷がたまるけど、それを静電容量というのだ。
この静電容量はコンデンサを構成する物質の導電性(電気の通しやすさ)で変わって、金属のような導電性が高いものでつなげば電子がそのまま電流として流れてしまうのでコンデンサーには為らず静電容量は0。
逆に絶縁体のような電気を通さないものにすれば電荷が多くたまって静電容量が上がるのだ。
iPhoneで実装されているのは投影方式というもので、ガラスやプラスチックなどの絶縁体フィルムの下に透明電極、さらにその下にIC基盤がある構造で、絶縁体の膜に指などが触れると、そこだけ少し導電性が上がるので電圧が変化するのだ。
それをフィルムの下にある透明電極が検出し、位置を特定するわけ。
電極のパターンを複雑にしておくと多点検出(複数箇所さわったときに別々に認識できる!)が可能なのだ。
その代わり、電極の抵抗が大きくなるので大画面には向かないのだ。
むかしは高価だったけど、製造技術の構造で割と安くできるようになったので、小型のiPhoneに採用されたんだそうだよ。
多くのタブレット型端末にも使われているみたい。

このほかにもいろいろと方式があるようだけど、代表的なのはこんな感じなのだ。
ボクも使っているINFOBAR C01はおそらく静電容量方式のマルチタッチだよ。
そんなこと言われても使っている間はわからないけどね(笑)
本当はよくわからないことも多いけど、なんとなくさわっただけで動く仕組みがわかったような気がするから、まいっか、かな?

ちなみに、タッチパネルの基幹とも言うべき透明電極に使われているのがITOこと、酸化インジウムスズ、というもの。
透明なフィルム状に電子回路をプリントするんだけど、普通の金属を使うと線が出てしまうよね。
このITOは可視光領域の透過性がとても高いので、フィルムに蒸着させるとほぼ透明なのだ!
でも、しっかり電気は通すので、フィルム上で透明な回路が構築できるというわけ。
ただ、実際には完全に透明ではないので、ちょっとは可視光を遮ってしまうんだけど。
また、インジウムはとても高価な物質で、安定供給が危ぶまれているし、物性として硬くてもろく、薄膜を作るときも真空でないと行けないなど製造過程もコスト高なので、代替物質の開発も盛んなのだ。
いくつか候補はあるみたいだけど、実際に使われ始めたのは透明な導電性ポリマー(白川博士がノーベル賞を受賞したやつだよ。これのおかげで折りたたみ式の携帯電話が実現したのだ。)を銀行のATMなどに使った例。
半導体レベルなので導電性が低く、位置特定精度は低いんだけど、柔軟性があって耐久力があるので、定型的な操作しかしないATMなんかには使えるのだ。
製造工程も環境に優しく安価なんだって。
今後はこういうのに変わっていくのかも。

2012/03/31

インディゴはインドアイより出でて徐々に薄くなる

4月と言えば新入社員が入ってくる季節♪
それまでの学生生活からはがらっと変わるよね。
生活リズムもそうだけど、服装も変わるのだ。
多くの人はスーツで職場に行くことになるけど、それこそ学生時代はジーンズとTシャツでもよかったわけだから、最初のうちはその窮屈さに辟易とするのさ(笑)

でも、むかしはジーンズで学校に行くと怒る先生もいたんだよね。
それは、ジーンズがもともと作業着として作られたもので、作業着で神聖な授業に来るとは何事だっ!、ということなのだ。
日本の場合は戦後に米国文化の象徴のように、憧憬を伴って入ってきたからそんなイメージはあまりないけど、米国の大学ではそうだったみたい。
むかしは米国帰りでそういうのに感化された先生がいたんだろうね。
今でも米国の大学ではジーンズじゃダメなことがあるから注意が必要なのだ。

このジーンズが生まれたのはゴールドラッシュに沸く19世紀後半の米国。
1870年に仕立屋のヤコブ・デービスさんが馬車の幌やテントに使われていた丈夫なデニム生地でズボンを作ったのだ。
金鉱山で働く鉱夫からはすぐにすれてズボンがすり切れてしまうので丈夫なものが求められていたんだよね。
これが好評を博したので、類似商品が出回らないうちに特許を取ろうとしたんだけど、お金がない!
そこでデニム生地のメーカーと権利を折半することにして、メーカーを通じて特許を取ったのだ。
そのメーカーこそ、今もジーンズの一大ブランドであるリーバイス社。
リーバイ・ストラウスさんの会社なので「Levi's」なのだ。
こうして、ジーンズの原型が生まれたわけ。

ところが、この当時のジーンズはまだ青くないのだ。
幌とかテントとかの生地の転用だったので白っぽかったんだよね。
これが青くなるのはインディゴという染料で染められるようになったから。
当時、インディゴで染めると虫除け・蛇除けになると考えられていて、開拓時代のフロンティアでおそれられていたガラガラヘビ対策とか言われているよ。
ところがどっこい、すでにこの時代のインディゴにはそういう効果はなかったというのが通説。

天然のインディゴはインドのコマツナギから取られてものが有名で、欧州ではインド・東南アジアから輸入していたのだ。
ローマ時代から知られていたらしく、香辛料と並んで超貴重品だったみたい。
大航海時代になって海路も開拓されるとかなり広がりを見せるようになるけど、まだまだ貴重品なのだ。
ところが、19世紀の終わり、インディゴの化学合成に成功するのだ。
こうして、安価にインディゴが使えるようになり、ジーンズのような作業着にも使えるようになったわけ。
もともと天然インディゴにはジョチュウギクに含まれるような殺虫成分のあるものが微量に含まれているので「虫除け」になったんだけど、すでに合成インディゴになった時点でその効果は望めないのだ。
もはや「気持ちの問題」だね。

インディゴ自体は水に溶けないので、まずは水に溶ける形にしてから染める必要があったんだよね。
これもインディゴ染めが高価だった原因の一つで、毒性のあるインディゴを多段階の危険な作業が伴う染め方で染めていたんだそうだよ。
さらに、そういう性質なので選択で色落ちしやすい染料でもあるのだ(>o<)
古来からいろいろと工夫されているようだけど、欧州で18世紀までに使われていたのは腐った尿に溶かして染めるというもの。
尿中の尿素などによりインディゴが還元され、水溶性のインディゴ白という状態にしていたのだ。
このときは黄緑色の染料で、布を染めて乾かしていると、その間に再びインディゴ白が空気中の酸素で酸化されて青くなっていくんだって。
19世紀になると尿素が合成できるようになったので、尿素と合成インディゴで工業的に大量に染められるようになったのだ。
英国では、還元剤としての硫化ヒ素(III)と混ぜてから染めるペンシルブルー法(濃く染めることが可能)、直接繊維に不溶性のインディゴを塗りつけてから硫酸鉄(II)のそうに浸して繊維に浸透させるチャイナブルー法(色は薄いが細かい模様が描ける)などが19世紀に出てきたんだって。
化学が発達して、いろいろと工業的に工夫できるようになったのだ。

このインディゴを使った染めは日本でも発達していたのだ。
それは藍染めで、日本に自生するタデアイもインディゴの前駆体であるインディカンを含んでいて、その色素を利用して染色を行ってきたのだ。
ちなみに、アイヌの人たちが利用していたのはウォード、琉球で使われていたのはリュウキュウアイというもので、別の植物なんだって。
6世紀ころに中国から伝わり、江戸時代の徳島で大きく発展したんだって。
それまでは薄くしか染められなかったものが、「藍玉」が作られるようになってから、今の藍染めの作務衣なんかで見るような濃い色での染色ができるようになったんだよ。

古くは生葉染めといって生葉をたたきつけたり、生葉の絞り汁で染めたりするんだけど、インディゴは水に不用なので淡くしか染まらないのだ。
これは前駆体のインディカンは水に溶ける性質を利用して、インディカンのうちに繊維に染みこませているんだよ。
次に出てきたのが乾燥葉染め。
これではもうインディゴになってしまっているので、還元反応をしながら染める必要があるのだ。
古来どうやってきたかはよくわからないけど、おそらく木灰汁や石灰などのアルカリ溶液で還元しながらやったんじゃないかな?
でも、これもやっぱり淡い色にしか染められないのだ。

そこで登場するのがすくも染めという方法。
乾燥した葉を室の中で発酵させ、それをつき固めて「藍玉」を作るのだ。
この藍玉は持ち運びもでき、乾燥・発酵過程を経ることで色素も濃縮されているので便利なんだ。
ちなみに、インドの場合は、生葉を水につけて発酵させ、石灰で色素を抽出して固めるんだって(こっちの方法の方が不純物は少ないらしいよ。)。
やっぱり木灰や石灰で還元してから染液を作るのだ。
藍玉を木灰汁(草木の灰を熱湯に入れて上澄みをすくったもの)に入れ、そこにふすま、石灰、日本酒などと瓶に入れて攪拌すると染液ができるのだ。
10日くらい経つと、水面に藍色の泡「藍の華」が出てくるんだけど、これが染め頃。
何度もこの染液に染めることで日本独特の藍染め「ジャパン・ブルー」ができあがるのだ。

藍染めは布や糸を何度も染めて青く青くするけど、ジーンズに使うデニム生地の場合は縦糸だけ染めてあって、横糸は白いままで綾織りにするんだ。
なので、表は青いけど、中は白いというようになるわけ。
使い込みによる色落ちは藍染めやジーンズの醍醐味だけど、ジーンズの場合は過度に色落ちしないように裏返してから漂白剤を含まない洗剤で洗うのがよいそうだよ。
剣道着なんかはあんまりあざやかな色だと素人っぽいから早く色を抜きたいかもしれないけどね。

2012/03/24

かっふ~ん

春の訪れは花粉の訪れ。
まだまだ寒いというのに、すでに花粉症の人はつらそうだよね(>o<)
幸いにしてボクはまだそのおそろしさは未体験なので平気の平左なのだけど、苦しんでいる人を見ていると、いつか自分も?、と怖くなるのだ。
そんなくしゃみと涙を誘発する花粉だけど、そもそも花粉ってなんだっけ、ということがいまいちよくわからなかったので調べてみることにしたのだ。

花粉は植物の有性生殖に関与しているので、動物の精子と同じで単細胞なのかと思ったら大間違い!
ことはそんなに単純ではなさそうなのだ。
花粉も生殖細胞なので、まずは減数分裂するんだけど、花粉母細胞から4つの細胞ができるのだ。
動物の場合はここからそのまま生殖細胞へと分化していくんだけど、植物の場合はその先にさらに体細胞分裂をするのだ。
花粉自体は細胞壁で覆われていてひとつの細胞のように見えるんだけど、中は細胞分裂して分かれているというわけ。
これは受粉のメカニズムにも関係しているのだ。

花粉は花粉管細胞と生殖細胞に分かれていて、あわせて小胞子と呼ばれるのだ。
生殖細胞(又はその前駆体細胞)は花粉管細胞の「中」にある状態で、ミトコンドリアのように細胞内に取り込まれている状態なのだ。
花粉はめしべの先端にある柱頭に付着して受粉すると、花粉管という管をめしべの中に伸ばしていって、生殖細胞のある胚珠まで行くのだ。
花粉管が伸びている途上で生殖細胞は分化していくんだけど、常に花粉管の先端に来るようになっているんだって。

イチョウなどの裸子植物の場合は、生殖細胞は精子になり、胚珠中の卵細胞と受精するのだ。
植物で精子が形成されることがわかったのはけっこうな発見で(しかも、東洋にだけ残る生きた化石のイチョウで!)、東大の小石川植物園にはその発見碑があるくらいだよ。
被子植物の場合は、生殖細胞はほとんど原形質を持たない細胞核そのもののようなもので、それが胚珠の中の卵細胞と受精するんだけど、花粉管の中にある間にさらに二つに分かれていて、「重複受精」という特殊な受精の仕方をするのだ。
ひとつはそのまま胚となって固体まで成長するんだけど、もう片方は胚乳となって、趣旨が発芽するときの栄養成分となるのだ。
なので、それぞれを生殖受精と栄養受精と呼ぶみたい。

とにかく、受粉してから受精するまでに雄性生殖細胞を雌性生殖細胞まで届ける必要があるので、花粉管細胞の中に取り込まれていて、それが放出されるという特殊な形態になっているのだ。
ま、動物から見ると不思議だけど、植物から見たら当たり前なんだよね(笑)
なので、花粉は単細胞ではなく、複数の細胞からなる細胞の集合体なのだ。
いやあ、高校生物をとらなかったとは言え、まったく知らなかったよ。

受粉と言えば、自家受粉と他家受粉の2つがあるよね。
自家受粉は同一個体内で花粉がめしべに受粉して受精することだけど、花が開く勢いとか、少し風などで揺れてなどで受粉するのだ。
この場合、楽は楽だけど、遺伝的な多様性の確保の点からはあまりよいことではないんだよね。
近くに同種の植物がいない場合は有利だけど、そうでない場合は単性生殖と同じようになってしまうのだ!
そこで、自分の花粉で受粉しないようにしたのが他家受粉。
自家不和合性というのが発達していて、自分自身が非常に近縁な個体からの花粉では受粉しないメカニズムが構築されているのだ。
そうなると、よその花粉をどうやって受粉するかという問題が出てくるわけ。

被子植物の多くでは、昆虫などの動物によって花粉を運んでもらうという戦略をとっているのだ。
昆虫なら虫媒、鳥なら鳥媒だよ。
ただし、ただで花粉だけ運んでもらうわけにはいかないので、蜜を作ることで動物をおびき寄せ、その蜜を取りに来たついでに花粉を運んでもらう、ということにしているんだよね。
媒介してもらう動物によって花粉がつきやすいように花の構造も様々に発達しているのだ。
イチジクのように特定の昆虫(イチジクコバチ)に特化して花粉を運んでもらうという戦略をとっている植物もいるよ。
商品作物なんかだと人間が綿棒で受粉させたりもしているけど、多くはハチなどに花粉を運んでもらっているのだ。
なので、ミツバチの原因不明の個体数減は大きく農業に影響しているんだよね・・・。

一方で、イネなどの一部の被子植物やほとんどの裸子植物はまさに風任せで「風」に運んでもらうのだ。
これが風媒花。
動物に運んでもらう場合は蜜を作ったり、動物を呼び寄せる花を発達させるなどのコストがあるけど、風媒花の場合はコストのほとんどを花粉を作ることに傾注していて、大量に作って大量にとばして受粉させるようにしているのだ。
花粉症の人からすると迷惑千万な話だけど(笑)
風媒花の場合、風任せなので行き当たりばったり的な要素は多いけど、不特定に広範囲広げることはできるのだ。
ただし、風が吹いてくる方向はそんなに大きく変わらないから、どうしても風下方向にしか広がっていかないけどね。
動物による媒介の場合は動物の行動範囲にもよるけど、間に風を遮る障害物があっても動物に乗り越えてもらえるという利点があるんだよね。

そんなわけで、スギやヒノキが花粉を飛ばすのはけしからんと言いつつも、植物の性質だから仕方がないことなのだ。
ヒトが登場するよりもはるかむかしから続けていたことだしね。
でも、花粉症の原因が、微粘膜に付着した花粉が花粉管を伸ばし、それが粘膜を刺激して・・・、とかだったら少し気持ち悪いよね。