2011/03/26

レッツ!セッツ♪電

まだまだ東北地方太平洋沖地震は事態の収拾がつなかいねぇ・・・。
余震が続いていることもそうだけど、福島の原発が予断を許さない状況なのだ!
本邦初の原子力発電所での大災害なので、否が応でも緊張感が走るよね。
でもでも、この原発問題が一段落しても、容易にかたがつかないのは電力不足問題。
以前にも新潟の柏崎刈羽原発が止まったときに夏の電力不足問題が発生したことがあったけど、そのときは他の電力会社からの融通、発電事業者からの買電、全体的な節電、そして、冷夏の影響でなんとか乗り切ったのだ。
ところが、今回は津波被害で大型の火力発電所も止まっていて、早急に供給力の復帰は見込めそうにないんだよね(ToT)
そこで、蓮舫大臣が節電普及啓発担当大臣に任命され、政府を挙げて節電に取り組む姿勢を打ち出したのだ。

と言っても、とりあえず無駄な灯りは消す、待機電力を使わないようにこまめにプラグをぬく、冷暖房の設定温度は控えめに、くらいはわかるとしても、本格的に節電するとなるとどうしたらいいかわからないよね(笑)
実際に官邸からも何も具体的なガイドラインが示されていないのだ(>o<)
原発で東京電力もそれどころじゃないんだろうけど、これはみんなで乗り切らないといけない事態なので、個人的にちょっとまとめてみることにしたのだ。

一般に節電というと電気の使用量を減らすことだと思われるけど、全体の消費を減らすというのは実際はむずかしいよね。
それこそ昭和40年代の家電がまだそんなに家庭になくて、カラーテレビ、冷蔵庫、洗濯機が白物家電の三種の神器と呼ばれていた時代の生活にもどれれば話は別だけど、電化で便利になった今の生活レベルを極力維持したままで、となるとそうはいかないのだ。
確かに上で書いたようなことで電力消費量は個人レベルでも減らせるけど、春まではもっても夏は乗り切れない可能性があるのだ。
そこで重要なのが、いかに電気をうまく、効率よく使うか、という概念なんだ。

これが「負荷平準化」という考え方で、通常電気はある時間帯にはたくさん使われるけど、またある時間帯にはほとんど使われない、というような消費傾向があるのだ。
例えば、今の季節なら暖房需要が大きな割合を占めていて、そこに夕ごはんの支度などの家事で電気の使用量が増える夕方にピークが来るんだ(これは最近の報道でもおなじみだよね。)。
一方、夏だと、気温が高くなるお昼頃がピークになるんだよ。
で、実際に電力消費量の1日の推移を見ていくと、ピーク時とボトム時では最大で2倍以上違うのだ。
ということは、もう少し電気の使い方をならしてあげれば、同じ発電容量でもより多くの電力消費ができるはずなんだよね。
なので、負荷平準化というのだ。

ちなみに、東京電力管内で言うと、1年で最も多くの電気が使われる夏のピークは最大で6,500万kWくらい。
でも、今はそれが3,800万kWくらいしか供給量が確保できていないんだよね(今後もう少し努力するみたいで、夏までにはそれなりの回復も見られるようだけど。)。
なので、その上限を意識しつつ、その範囲の中で最大限電気を効率よく使うことを考えないといけないのだ。
先日から東京電力が公開している電気予報を見ると、一番低い時期だと3,000万kWを切っているので、供給余力の800万kWで何かできないか、という話になるのだ。

一般に負荷平準化には、電力消費のピークの時間帯をずらすピークシフト、ピーク時の電力消費を抑えるピークカット、深夜などの電力消費が低い時間帯の電気を有効に使うボトムアップという3つの対策があるのだ。
ピークカットの究極的手法はまさに今実施されている「計画停電」(輪番停電)で、強制的に電気を使えないようにするのだ。
米国でもカリフォルニア電力危機なんかのときに行われているんだ。
日本では戦後すぐのインフラ未整備時代以来らしいけど・・・。

もう少しソフトなピークカットは大口需要家との間の「需給調整契約」。
あらかじめ需給逼迫時には電気を止める可能性があることを条件に電気料金が割引になるオプションメニューなのだ。
基本的にはどういう場合になったらどれだけ止めるなどの条件を相手側と合いたい契約でつめるので、詳細はよくわからないんだよね。
とにかく、今回のような電力不足になると真っ先に「お願い」されて電気がストップすることになるんだ。
一般消費者がエアコンの設定温度をマイルドにしたり、エレベーターやエスカレーターを止める、無駄な電灯を消すなんていう今やられている取組もピークカットに資するものだよ。

これと大きくコンセプトが異なるのがピークシフトとボトムアップ。
どちらもピーク時には電力消費を抑えて、もっと余裕のある時間の電気を使う、という考え方なんだ。
専門的に言うと供給余力を効率的に使う手法なのだ。
ピークシフトは名前のとおりだけど、自分の電気の消費特性を踏まえて、一番電気を多く使う時間を他の人たちが使う時間からずらす、ということ。
夏だと昼間にピークが来るので、自分のピークを朝や夕方に来るように電気の使い方を変えることなのだ。
ボトムアップは一番電気が使われない深夜の電気を有効活用するもの。
今でもあまった深夜電力は揚水発電に使われるんだけど、お弁当工場のように操業自体を深夜に移したりするのがこれにあたるのだ。
個人ベースでも、深夜電力料金というオプションメニューがあって、電気料金は割引になるんだよ。
直接深夜に電気を使わなくても、深夜電力を活用して熱エネルギーとしてためておいて、その熱エネルギーを昼間に使う「蓄熱」というのもあるのだ。
一時期よく宣伝していたエコアイスとかエコキュートなんていうのがそのシステム。
深夜のあまっていて安い電気で氷を作っておいて、その熱(冷たさ)を冷房などに使うんだ。

というわけで、こうしてみると、普段できる限り電気の消費を抑える節電に努めるとともに、洗濯機は夜に回す、充電は深夜にするなどなどの個人消費での負荷平準化にはまだまだ可能性があるよ。
こういうのって、追求してみるのもまたおもしろいよね(笑)
そうやってみんなが興味を持ってくれると、うまく大事にならずに乗り切れるかも、なのだ。

ちなみに、東京電力では、古くなった火力発電所を復帰させるとともに、新規の火力発電所の稼働も考えているようだけど、やっぱり供給力の確保においては原子力発電の再開が不可欠なんだよね。
柏崎刈羽はまもなく全機動かせるかもだけど、今回の震災による地元の理解が問題なんだよね・・・。
もちろん、それは今回の自己で比較的ダメージが少ないと見込まれる福島第二原発もそうなのだ。
東北電力の女川原発も動き出せば東京電力に融通できるけど、動かせるかは微妙だよね。
さらに、東京電力は東通に新しい原発を作る計画もあるけど、それも見通しは明るくないと思うのだ。

加えて、他の電力会社からの融通も実はそんなに見込めないんだ。
というのも、有名なこととして、東日本と西日本では電気の周波数が違っていて、中部・関西・北陸・中国・四国・九州の6電力はネットワークがつながっていて融通しやすいんだけど、東京電力と中部電力の間は周波数の違いから3つの周波数変換所(東京電力、中部電力、電源開発=Jパワーの持ち物だよ。)でしかつながっていないのだ。
流せる電気の量に制限があるので、無制限に応援できないわけ。
さらに、北海道電力は周波数は同じなんだけど、地理的に離れていて、東北電力と北海道電力の間は交流じゃなくて直流でつながれているのだ(北本連系)。
こっちも流せる容量に制限があるので、北海道のあまった電気を自由にもらうこともできないわけ。
すると、周波数変換所を増やしたり、北本連系を太くするしかないんだけど、それには発電所を作る以上に時間がかかるのだ。

だとすると、この節電はけっこう長期的に考えないといけないんだよね。
実は身近に貢献できる話でありながら、日本のエネルギー問題の根本問題でもあるということ。
これを機に国民がもっとエネルギーのことを考えてくれると、よりよい方向に行くかもだけど、たいていは、「のど元過ぎれば・・・」なんだよね(>_<)
今回はなかなか「のど元」を過ぎないと思うけど。

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