2011/12/10

感電注意

いよいよこの季節がやってきたね・・・。
そう、乾燥した冬の時期に人類を恐怖のずんどこに陥れる、静電気!
ドアノブにさわろうとして、電車の手すりに触れようとして、はたまた、人にさわろうとしただけでビリビリと来るのだ(>o<)
ボクなんかこの前シャツを脱ぐときに目の前に「青い稲妻」が見えたよ。

静電気は電気を通さない絶縁体が摩擦されるとそこに正又は負の電荷が蓄積したもの。
これが一気に放電されるとびりっと来るのだ。
なんだか自分が電撃を受けているようだけど、実際は自分の指先から放電されていることもあるんだよ(これはどっちに帯電しているかによるのだ。)。
空気が湿っていると静電気が空気中に逃げやすいのでそんなに気にならないんだけど、乾燥していると体に電気が残ったままの帯電状態が続くのだ。
それで金属のような電気を通しやすいものに近づくと放電してしまうわけ。
羊毛や化学繊維だと特に帯電しやすいので、柔軟剤を使って摩擦を少なくしたりするのが予防策だよ。
繊維の中に金属が織り込まれていて、静電気を逃がしやすくしている特殊な服もあるみたい。

でも、最近では、キーホルダー型の静電気除去装置、というか、静電気を先に逃がしてくれる便利なグッズがあるのだ。
手に持って先に金属にくっつけると、そこで接地(アース)して、帯電した電気をやんわりと逃がしてくれるのだ。
静電気でびりっと来るのは一気に放電されるからで、ゆっくりと電気を移動させてあげれば何も感じないんだよ。
それを助けてくれるグッズなのだ。

原理は意外と簡単で、抵抗値の高い導電性のゴム又はシリコンゴムから電気を逃がすようにしてあるんだ。
自分が帯電していると、まわりと比べて電位(電圧)が高くなったり、低くなったりしている状態なのだ。
その差分を埋めようと放電して電気が流れるとびりっと来るわけ。
人間の体はほぼ絶縁体なので、通常は電気が流れないんだけど、一定の条件を越えると(電位の差の大きさと距離)、火花放電(スパーク)の形で長短時間のうちに一気に電気が移動するのだ。
この電流が流れるとき、間に抵抗値の高い導電体を入れておくと、スムーズに、そして小さな電流が流れることで帯電状態が解消されるんだ。
電流が少なくてすむのは抵抗値が高いからで、オームの法則によるんだよ(電圧=抵抗値×電流なので、抵抗値が大きいと電流が小さくなる!)。

最近のものは電気を逃がすと液晶が光るようになっていたりするよね。
それがまた電気が動いているのが実感できて楽しいのだ♪
これは電気を逃がすときにちょっとだけその電気を使って光らせているのだ。
本体の中には放電管が入っていて、導電体から外に流れる電流のほか、一部が放電管に来るようになっているんだ。
帯電している量が多いほど、放電管に流れる電流も多くなるんだけど、比例するわけではないから、だいたいの目安くらい。
それでも、おっ、たくさん帯電していたな、とわかるとなんだかうれしいよ(笑)
びりっ!、なしで外に逃がしているしね。

で、このグッズの主役の導電性ゴムがどういうものかというと、それ自体では絶縁体のゴムやシリコンゴムに導電体である黒鉛の粉(カーボンブラック)や金属の微粉末を混ぜ込んだものなんだ。
本体自体は絶縁体だけど、中にちょっとだけ電気を通すものがまぶされているので、全体としてちょっとだけ電気が流れるようになっているのだ。
導電体を混ぜる量で電気の流れやすさが変わるので、用途に応じて使い分けるんだって。

その用途というのは何も静電気のびりっ!を防止するだけじゃないのだ。
精密機械工場だとちょっとの静電気で電子回路がダメになるので、入口のゴムの静電気除去パッドを踏むんだよね。
それも導電性ゴム。
もっと身近なものでは、リモコンのボタンやキーボードのボタンの裏側にあるシリコンなんかもこれだよ。
キーボードでここにほこりがつくと反応が悪くなるんだよね。
柔軟に動くゴムを使うことでスイッチングを容易にしているのだ。
このゴムが回路に接触した瞬間に電気が流れてON、離れるとOFFといったカンジだよ。

この導電性ゴムは導電性ポリマーの一種なんだけど、もう一つ種類があるのだ。
それが白川英樹博士がノーベル化学賞を取った導電性プラスチック。
こっちは導電体を混ぜ込むのではなくて、もともと電気を流すプラスチックなのだ。
高分子樹脂なんかは基本的には電気を流さない絶縁体なんだけど(天然ゴム自体が高分子樹脂だよね。)、炭素間の二重結合やベンゼン環(いわゆる「亀の子」)が規則的に並ぶような高分子は少し電気を流すのだ。
これは、構造式で書くようには二重結合の位置はきちんと決まっておらず、全体にπ電子と呼ばれる電子が偏在しているような状態になっているんだ。
このπ電子を介してところてん方式で電子の動きが伝えられるので、電気が流れるというわけ。

混ぜ込み型の導電性ポリマーよりもよく電気を流すところがポイント。
よく言われるのは折りたたみ型の携帯電話のヒンジ部に使われているという話だよね。
銅線でも曲げること自体は可能なわけだけど、何度も曲げたり伸ばしたりすると金属疲労で断線してしまうのだ・・・。
なので、もともと柔軟に動く電気を通す物質が重要だったんだ。
スマホになるとありがたみが薄れるような気もするけど、別に活躍の場はそこだけじゃないからね(笑)

0 件のコメント: