2012/01/14

じっくり火を通そう♪

なんとなく食べたくなって、家でふかし芋をしたのだ。
レンジでやると簡単だけど、ちゃんと蒸して作ったんだよね。
そうしたら、焼き芋並みに甘~いっ!
時間はかかるけど、これはなかなかいけるかも。

で、調べてみると、サツマイモって、じっくり熱を通すと甘くなるのだ。
その秘密は、サツマイモの中に大量に含まれているデンプンが麦芽糖に分解されるから。
もともとサツマイモの中にはアミラーゼというデンプン分解酵素が含まれていて、60~70度くらいでじっくりと熱を通すと、この酵素のおかげでデンプンが糖に変わって甘みが増すんだよ。
石焼き芋が理想的な熱の通し方なんだけど(さらに水分も飛んで甘みが凝縮されるしね。)、その次くらいがふかし芋なんだ。
沸騰させないようにゆでたりしてもいいけど、けっこうめんどくさいよね。
一番ダメなのは電子レンジでの加熱で、一気に暖めてしまうので、ぱさぱさとして甘みがないのだ(>o<)

このアミラーゼは唾液にも含まれていることでおなじみ。
小学校でごはん粒を口の中で租借してからヨウ素液を垂らすと紫色になる実験をするよね。
人間の口の中でもデンプンはアミラーゼにより分解され、麦芽糖やオリゴ糖などができるのだ。
ごはんやパンをかみ続けるとちょっとずつ甘くなるのはそのため。
古代のアルコール醸造はこの唾液のアミラーゼを活用していたんだよね。
ごはんやパンを租借したものを壺などに入れて発酵させたのだ!
デンプンのままでは発酵できないので、一度唾液のアミラーゼで糖化して、それをアルコールに発酵させたわけ。
お酒を「かもす」はもともと「かむ」から来ているとも言われているよ。
なんだかちょっとばっちい感じもするけどね・・・。

でも、この動物の唾液や膵液などの消化液に含まれているのはαアミラーゼという酵素で、植物に含まれているβアミラーゼとはまた別のもの。
αアミラーゼはランダムにデンプンの糖鎖の結合を切っていくんだけど、βアミラーゼは必ず2つずつの単位(麦芽糖)に切っていくのだ。
端から糖を2個ずつ切り離していくイメージだよね。
この植物由来のアミラーゼで有名なのは大根に含まれるジアスターゼ。
大根おろしを一緒に食べると胃もたれしない、というのはこのジアスターゼやプロテアーゼ、リパーゼなどの大根由来の酵素が消化を助けてくれるからだよ。
お正月の時期だと、大根からみ餅は胃もたれしづらいと言われるのだ。
これはもともと消化しづらいお餅の消化を大根のジアスターゼ(アミラーゼ)が助けてくれるからで、さらに、お餅自体が甘くなるという効果もあるのだ!

このβアミラーゼなんだけど、デンプンを分解できるのはデンプンが水分子を抱え込んで膨潤している状態だけなんだ。
デンプンはまだ粒が残っている状態で水に懸濁してもさらさらなんだけど、適度に膨潤するとゲル状になってどろどろになるのだ。
これが「糊化」された状態で、このときだけβアミラーゼは反応できるというわけ。
これはデンプンの結晶の構造が少しゆるんで、その間に水分子が抱え込まれている状態なんだけど、あんまり熱を加えすぎると結晶構造自体が崩れてまたさらさらな状態にもどってしまうのだ。
片栗粉でとろみをつけるとき火を止めてから水溶き片栗粉を入れるのはこのため。
片栗でとろみをつけたあんを電子レンジで加熱するととろみがまったくなくなるのでわかるよ!(中華料理をレンジであたためるときは注意しよう。)

これはデンプンの糊化が60~70度くらいのときに最適化されるからで、いったん火を止めたくらいから徐々に冷めていく過程でちょうどよい温度になっているのだ。

一度とろみがついたものは火で温める程度なら問題ないんだけど、電子レンジの場合は熱を発生させるために水分子の運動自体を活性化してしまうので、デンプンの結晶構造の隙間に水分子が抱え込まれているという状態が維持できなくなるのだ(ToT)
で、話はもどって、サツマイモはじっくりと熱を通した方が甘くなる理由もまさにここで、サツマイモのデンプンがアミラーゼで分解されやすい糊化された状態にするためにはゆっくりと熱をかけるのがいい、ということなんだ。

さらに、サツマイモを食べるときにはほくほく派とねっとり派で好みが分かれるよね。
このほくほくとねっとりもデンプンの状態に依存しているようなのだ。
もともとサツマイモはデンプンの粒子が細かいので、ジャガイモやトウモロコシなんかと比べてなめらかな舌触りなんだよね。
さらに粒子の細かいサトイモになると、あの独特のねっとりした食感になるのだ。
サツマイモの場合、長時間かけて熱をけけると、細胞壁が壊れてゲル状に糊化したデンプンがくっつきあうようになるのだ。
これがねっとりした状態のサツマイモ。
逆に、細胞壁が壊れず、各細胞の中で小さな粒子状に糊化した状態のデンプンがある状態がほくほくのサツマイモだよ。

これは単純に細胞壁が残っているかどうかなので、サツマイモの種類や調理方法により変わるのだ。
ベニアズマのような種類だとほくほくに仕上がりやすいし、ベニマサリや安納芋の場合はねっとりとなりやすいんだ。
ちなみに、もともとデンプンが糊化しないとねっとりした食感にはならないので、電子レンジではムリなのだ。
電子レンジでの加熱の場合、急激な温度変化なので細胞壁は壊れるけど、デンプンは糊化しないので、ぱさぱさした感じに仕上がるよ。
逆に言うと、粘りなどがでないので、いもきんとんやいもあんを作るときはそっち方が便利なこともあるんだよね。

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