2012/05/26

日食を裸眼で見てしまった人は注意!!

5月21日(月)の金環日食が見事だったねぇ♪
当初はくもりで観測できないかも、と心配されたけど、雲の合間から観測できたのだ!
けっこう観測できる地域では広く見えたんじゃないかな?
今回ほど広域で観測できるのは300年くらい後だというから、見られてよかったよ。

でもでも、今回はくもりだったこともあって、けっこう裸眼で見た人が多いのだ・・・。
事前に「裸眼で見ると目を傷めるおそれがあるのでやめてください。」という注意喚起がなされていたけど、そんなにまぶしくなければ見ちゃうんだろうねorz
日食グラスを持ってなくても見えそうだったら見てしまう心理もわかるのだ。
ピンホールで影を見たり、木漏れ日から観測するのは面倒だしね(笑)

でも、そんな人で今頃目になってがしょぼしょぼする、視力が低下した気がする、目が痛い、なんて思っている人は要注意(>o<)/
日食網膜症になっている可能性があるので、眼科にかかった方がよいかもしれないのだ。
ボクも調べてみてしったんだけど、これって見た直後じゃなくて、見てから数時間~数日経って発症するものらしいのだ。
ということは、金環日食を見たときは、「裸眼でも平気じゃん」なんて思っていても、後で痛い目を見ることになるということ・・・(ToT)

太陽などの強い光で目を傷めることは古くから知られていて、あのガリレオ・ガリレイさんも望遠鏡の見過ぎで視力が低下していたと言われているのだ。
さすがに普段だと太陽を直視するのはまぶしすぎるからやる人はまずいないけど、日食になると光が弱まるので、裸眼で見る人が当然出てくるのだ。
で、そんな中に視力が低下したり、目の痛みを訴える人が多く出てきたので、日食網膜症(当初は日食盲と呼ばれたらしいよ。)というものが知られるようになったんだ。
はじめのうちは、太陽の強い光を受け、網膜が熱傷を起こしているのだろうと考えられていたようなんだけど、最近では異なる作用機序が考えられているよ。
というのも、例え太陽の光が強くても、熱で網膜の中のタンパク質がおかしくなるほどの熱が発生するとは想定しづらいことと、日食網膜症の症状が太陽を見てから時間差で生じる例もあることから考えると、別の機構を考えた方がしっくり来るからなのだ。

今想定されているのは、太陽の強い光によって網膜にある視色素が光化学反応を起こし、フリーラジカルや活性酸素が発生して周りにあるタンパク質を変性させるというもの。
人間などの視覚は、網膜に視色素を持つ視細胞が並んでいて、これが光を感知しているのだ。
視色素は、ビタミンAのアルデヒド体であるレチナールとオプシンというタンパク質が結合したもので、光を受けてレチナールの化学構造が変化すると、それをタンパク質部分で感知する仕組みなのだ。
明暗だけ見ている細胞(桿体)と、オプシンの構造の違いにより光の三原色を区別する細胞(錐体)があるんだ。
で、この視細胞の近くにはビタミンB2であるフラビン(黄色)や不飽和脂肪酸の過酸化によってできるリポフスチン(褐色)なんていう色素もあるんだ。
で、あまりにも強い光だと、これらの色素が過剰に反応して、フリーラジカルや活性酸素が出てくるというわけ。
可視光の中でも特に波長の短い青い光が原因になるんだとか。
近赤外線も原因と言われているのは、多少なりとも熱の影響があるかららしいのだ。

間に活性酸素などが介在しているため、強い光を見た直後だけではなく、しばらくしてから症状が出るのだ。
目が痛いと思ったときには実はもう遅いというわけ。
さらに、熱が直接的原因ではないため、途中に休憩を入れたりしてもダメで、活性酸素などが累積していくから、トータルでどれだけの時間見てしまったかが重要なんだよ。
日食とは言えある程度まぶしいからそんなに長い時間は直視できないけど、すぐに目が痛くならないからとちらちらと何度も見るのも危険。
子どもは特に眼球の透明度が高いので、強い光の影響を受けやすいそうなのだ。
なので、事前に予防するために日食グラスのように目に優しいレベルまで遮光する道具を使うとか、ピンホールや木漏れ日、反射光など間接的に観測することが必要なんだ。

似たような症状に「雪目(雪眼炎)」があるけど、これはまったく違うもの。
雪目は紫外線によって角膜の表面がびらん状の炎症を起こしている状態なのだ。
わかりやすく言えば、角膜が日焼けしてしまっているわけ。
角膜の上皮は代謝により入れ替わっていくので、数日以内で回復することが多いのだ(火傷と同じである程度ひどくなると回復できない部分も出てくるけど・・・。)。

でも、日食網膜症の場合は、通常は数週間以内には回復するらしいんだけど、場合によっては網膜に不可逆的な変性が起こってしまって視力障害が残るおそれもあるのだ。
活性酸素ができた先はどこに障害が出るかは確率論の世界なので、常に視力低下のリスクがつきまとうんだよ。
これはおそろしい・・・。
眼科に行って眼底所見を見てもらえばどれだけのダメージが発生しているのかわかるので、危ないと思ったらすぐ受診=3
でも、今のところ有効な治療法はないということなので、ひどくしない、という程度だけどね。
なので、何より予防が大事なんだ。
もう終わっちゃってから気づいたけど、これは大変だよ。
身の回りに目の異常を訴えている人がいたら気をつけてあげよう。

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