2012/08/04

いつまでも続けられると思うなよ?

最近は家庭菜園をやっていたり、ベランダでプランター農業をやっていたりするけど、肥料をやっているのに育ちが悪くことがあるのだ(>o<)
1年目はしっかり収穫できたのに、2年目、3年目とできが悪くなってくる・・・、ということも。
でも、これって実は農業としては当たり前のことかもしれないんだよ。
それは「連絡障害」というやつなのだ。

農業の素人であるボクらは、それこそ農家の人は同じ田・畑で同じものを作り続けていると思っているけど、さにあらず。
同じ作物を育て続けると、土壌に変化が起こったり、病害が蔓延したりして収穫量ががくんと落ちるのだ。
これを連絡障害と言って、むかしから対策が講じられてきているんだよ。
日本の主要作物である水稲の場合は、湛水(たんすい)していることもあって連絡障害を起こしづらく、たまに休耕田はあっても常に同じ稲を作り続けているからそのイメージが薄いんだよね。
でも、畑作の作物なんかは同じものを作らず、複数の作物を循環させて作ったりするんだよ(これを「輪作」と言うのだ。)。

連作障害の主な原因は、作物を生育させることに起因する土壌の変化と、土壌における病害の蔓延。
例えば、土壌の変化でいうと、作物によって吸収しやすい栄養素が違ったりするので、特定の微量元素やミネラルが不足したり、過剰に余ったりするのだ。
これが適切に生育する範囲を越えると生育不良が発生し、連作障害となるわけ。
病害の方は、細菌や虫、ウイルスなど原因はいろいろとあるけど、同じ作物を育て続けるとその作物につく病害の原因が土壌に蔓延しやすくなり、病気にかかりやすい土壌となってしまうのだorz
これは灌漑用水や農具・農業機械で伝播するおそれもあって、けっこう危険なんだよ。
こうなるともう消毒しかないので、燻蒸したり、黒いビニールで表面を覆って太陽熱を集めて土壌温度を高くしたり(これってけっこう見かけるよね。)、熱湯をかけたりといろいろ方法があるみたい。

で、病害の方はなんとか防ぐとしても、土壌の変化は作物を育てる以上避けられないのだ。
稲も水稲だと連絡障害は起こりにくいけど、陸稲だとダメなのだ。
これは水をはっているかどうかの違いで、水が張られている田んぼは多様な生物が生息していてひとつの生態系が構築されているので、天然に有機物が供給されるシステムになっているのだ。
冬の間に水を抜いても、そこにはミミズなどが繁殖し、土をよくかき混ぜてくれるんだよね。
そう考えると、水田というのは実によくできた農業システムで、まさに米ばかり食べていた日本を支えていたのだ。

水田のようなシステムを持っていない場合は、他から土を持ってきて入れ替えたり、深く掘り返して土壌の室改善をしたりもするよ。
もっと極端なものだと、南米で問題になっているような焼き畑農業になるのだ。
もともと栄養分に乏しい赤土の層が薄くしかないのが熱帯雨林の特徴で、その上にシダやこけ、下草が生えることで保水性が維持され、ジャングルを支えているのだ。
でも、そのまま開墾したのでは農業には適していないので、それらを焼き払って一時的に有機物を添加し、農業に使うんだよね。
とは言え、すぐにその有機物は枯渇してしまうので、連絡障害が起こり、次の農地を獲得するためにまた火をつける、ということで森林がどんどんなくなっていくんだ・・・。

そのような消耗戦をし続けるわけにもいかないので、古来からローテーションで作る作物を変える、ということが行われてきたんだ。
これが輪作。
例えば、コムギ、オオムギなどの穀物は土壌の窒素分をよく吸収するので、土壌がやせ衰えていくのだ。
そこで、空気中の窒素を固定する根粒菌と共生するマメ科の植物を途中で栽培すると、土壌中の窒素が増え、地力が復活するわけ。
家畜用飼料作物であるクローバーやダイズ、白インゲンなどの豆類が栽培されるのはこのためだよ。
キャベツや白菜などのアブラナ科の結球する野菜は、連作するとまるまらなくなるので、同じアブラナ科であるダイコンやカブ、コマツナなどもダメなんだ。
セリ科のニンジン、ナス科のピーマン、ナス、トマト、ジャガイモ、ウリ科のキュウリ、シロウリ、マメ科のダイズ、エンドウマメ、ソラマメなどに変える必要があるよ。
おそらく、家庭菜園でうまくいかないのはこの辺なのだ。
アブラナ科は栽培しやすいからついつい連作になってしまうのだ。
その場合は、ウリ科のゴーヤや、マメ科のダイズやエンドウマメなんかを栽培したらいいんじゃないかな?

欧州で中世から行われてきたのは三圃式農業。
コムギのような冬穀(春に収穫する穀物)、オオムギ、ライムギのような夏穀(秋に収穫する穀物)、休耕地でローテーションを回すのだ。
には家畜(ウシ、ヒツジ、ヤギ)を放牧し、その排泄物で土壌を回復させるんだよ。
これがさらに発展したのが、農業革命とも言われた英国のノーフォーク農法。
夏穀=>クローバー=>冬穀=>カブの4周期で回すんだけど、これだと休耕地がいらないし(クローバーは家畜の飼料にもなるし、蜂蜜もとれるのだ。)、カブは不足しがちな冬季の家畜用飼料になるんだ。
これで一気に農業生産力が上がったんだって。

連作障害を防ぐには肥料や有機堆肥をどんどん追加していくっていう方法もあるんだけど、どうしても余計なものが残ったりして土地がやせていくことになるので、やっぱりむかしながらの輪作が持続可能な形態みたい。
今ではそれこそいろんな栽培用植物があるから、うまく回せればもともと土地がやせている場所でも農業が可能になっているのだ。
どこまで人口が増えるのか、増やしていいのかはよくわからないけど、現に食糧難は存在しているから、ローテクでもこういう技術がもっと発展して広がっていけばいいんだけどね。
持続発展型農業というのはこれからの課題なのだ。

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