2014/03/15

コットンで吸収せよ

もう東日本大震災から3年が経ったんだね。
がれきの山は消えても、まだ復興は道半ば・・・。
福島の除染の問題ばかり騒がれるけど、実際は津波により海水をかぶってしまった田畑の再生も大きな課題なのだ!
東北はもともと農業が主要産業だから、塩害により商品作物ができなくなったんじゃお手上げなんだよね(>o<)

実際にはどうやっているかと調べてみると、けっこう大変そうなのだ。
まずは、すでに塩が浮いている表土を削り取るのだ。
海水は当然地下へとしみこんでいるけど、やっぱり表面が塩分濃度が一番高いので、ここを除去するのが最初。
その上で、田んぼの場合は、真水をふんだんに入れて代掻きをし、土中の塩分をその水に溶かしてから排水する、ということを繰り返すのだ。
徐々に薄めていくというわけだけど、この希釈だけで元に戻すのは難しいみたい。
そもそも何度も代掻きをするという作業が大作業だし。
そして、津波で灌漑設備が破壊されてしまっている場合、この方法は使えないのだorz

そんな中、塩害に強い作物を育てながら、徐々に田畑の塩分を取り除いていこう、というプロジェクトも行われているのだ。
有名なのは、いろんな企業も協賛している「東北コットンプロジェクト」。
綿花は耐塩性が高い植物として知られていて、綿花を栽培しつつ、塩分を取り除くとともに、その綿花は商品作物なので、農家の収入源にもなるというわけ。
これで雇用対策にも貢献できるし、離農を防げるというのもあるのだ。
協賛企業はそこで収穫された綿花を市価より高めに買い取って、木綿の商品を展開するんだ。
こういうのがもっと有名になってくれるとよいのだけど。

植物の中には土中の塩分濃度に敏感で、少しでも塩分濃度が高いと育たないものから、マングローブ林を構成する植物のように、海水につかっていても成長できる塩分に強いものまでいろいろあるのだ。
例えば、荒れ地に強いサツマイモやトウモロコシは塩害には弱いんだよね。
イネも同じで、やはり塩害には弱く、今回のように津波被害を受けるとなかなか水田耕作を復帰させるのは難しいのだ。
逆に塩害にわりと強いのは、ダイズやササゲ、かなり強いのはオオムギ、テンサイ、ワタなんだって。
トマトも塩分に強いんだけど、トマトは塩分濃度の高い土地で育てると糖度が高くなることが知られていて、わざと塩分濃度の高い土で栽培することもあるんだって!

ワタは古来から開拓してすぐに育てられる植物として知られていて、これは土中の余計な塩分を吸収してくれるかららしいのだ。
マングローブ林を構成する植物の場合は、細胞内の液胞に塩分を貯めておいて、光合成の時にはの表面から塩分を排出するというようなシステムになっているようなのだ。
あらかじめ根で水分を吸うときに塩分を濾過するような植物もいるんだとか。
ワタの場合は、すでに生命活動を停止している古い葉の中などに塩分を貯めるようにしていて、それを離脱させることで土壌から塩分を吸収し、体外に排出しているみたい。
けっこう効果はあるようで、1年綿花を栽培しただけでかなり土中塩分濃度は下がるみたいだよ。
ただし、稲作ができるようになるまでにはやはり数年のオーダーで時間がかかるわけだけど・・・。

こうしてみてくると、自然の摂理っていうのは偉大だよね。
もともと川の河口付近とか汽水域の近辺に自生しているような植物は耐塩性が高いんだろうけど、今回のように津波で思わぬ塩害が発生することは人類誕生以前からあったはずなのだ。
でも、それによって未来永劫不毛の土地になってはいないので、津波後に耐塩性の高い植物がまず生えて、ある程度土中の塩分を吸収してくれたから他の植物も生えるようになって、最終的には元と同じような状況になる、ということがシステムとしてできあがったんじゃないかな?
場合によっては大きく植生が変わることもあったろうけど、それでも、きちんと自然は再生するんだね。

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