どちらに入れました?
日本では衆議院総選挙、米国では大統領選挙がちょっと驚きの結果で終わったのだ。
選挙は水物、ふたを開けてみるまでわからない、とは言うけど。
日本の場合、投票率は低めだけど、注目度は高いわけで、マスコミは投票締め切り後すぐに開票速報を出し始めるのだ。
で、いきなり「当選確実」が出たりするんだよね。
これには「出口調査」のデータが重要なのだ。
出口調査はその名のとおり、投票所の出口で待ち構えて「どこに投票しましたか?」というのをアンケートで聞いて、その結果を集計したもの。
当落予想には、各マスコミが独自の基準を持っていていろんなデータを加味するようなんだけど、出口調査の結果は最重要なものと位置付けられているよ。
ボクも一度だけ聞かれたことがあるのだ。
でも、日本では、公職選挙法第52条で「投票の秘密保持」が定められていて、「何人も、選挙人の投票した被選挙人の氏名又は政党その他の政治団体の名称若しくは略称を陳述する義務はない。」ということなので、出口調査のアンケートには必ずしも答える必要はないよ。
で、そういう回答率が100%ではないということも踏まえて、おおむね実際の選挙結果を推定できるようにアンケートを行う必要があるのだ。
テレビの視聴率は統計学的にはけっこういい加減なところがあるというけど(サンプルの絶対数が少ない。)、こっちは当落予想をしていて大きく外すと問題になるので、各社工夫しているようなのだ。
一般的には、統計学でいうところの二段階抽出で、まずは対象の選挙区の中のどの投票所でアンケートするかを選ぶのだ。
このとき、統計学上必要なサンプル数は決まっているので、あまりにも小さい規模の投票所は最初から除外されるよ(例えば、東京都の選挙区の離党の投票所など)。
さらに、選挙の場合は特定の地域で特定の政党や候補の支持が異様に高いということがあるので(いわゆる組織票)、小規模投票所を除いて完全にランダムで投票所を選んでしまうと、確率的にこういう全体の分布より偏った分布を持つことが容易に想定される投票所が多く選ばれてしまう可能性も出てくるのだ。
なので、そこも補正が必要なんだよ。
そうして投票所を選んだら、そこに調査員を派遣して、投票所から出てきた人を無作為抽出で捕まえて投票先を聞くのだ。
だけど、ここでも完全にランダムにやってしまうと、年来や性別等が偏ってしまうので、そういうか頼りに配慮しながら声をかける人を調節するみたい。
てゃいえ、年代別でけっこう投票率は変わるので、実際には高齢者は多めに聞かないといけないはず。
なので、その辺はけっこう選び方が難しいはずなのだ。
それと、最近の傾向として、期日前投票がけっこう増えている、というのも重要な要素。
期日前投票についても時々出口調査をするんだけど、投票日だけ張り付けばよいのと違って、あまり人が来ない期日前投票に1週間以上も人を張り付けるわけにはいかないので、初日と中日と最終日と、とか日を決めて調査するみたい。
この間の総選挙でも期日前投票のデータでは・・・、と選挙速報で言っていたので、それなりの規模ではやっているみたい。
こっちは見たことないけど。
で、こうして投票先の動向を予測するんだけど、実際に当落の予想をするときは、他にもいろんな要素を加味するんだって。
そのひとつが、あらかじめ行っている世論調査。
支持する政党だとかなんだとか聞いておいて、全体のトレンドをつかんでおくのだ。
投票の動向とは完全一致しないけど、どの政党が人気で、どの政党がそうでないかはわかるよね。
実際には、各選挙区にすべての政党が立候補者を立てるわけではないので、入れる先がない、ということで必ずしも指示していない政党に投票するケースもあるので、そのあたりも考慮に入れる必要があるよ。
さらに、開票が始まると、まずはな目だけ確認して各候補者ごとに投票用紙の山を分けるんだって。
で、いくつかの山に分けた後で、一票一票名前をさらに確認しながら集計していくのだ。
マスコミはこの作業を見ていて、その山の大きさで、圧倒的な差がついているのか、僅差で接戦になるのかを判断するとか。
これができると数分以内で「当選確実」が打てるんだよね。
でも、t表締め切り直後に出ているものもあるような・・・。
どうも、そういうのは世論調査などの結果で明らかに「圧倒的有利」になっていて、かつ、出口調査でも問題なく大きく優勢、ということみたい。
こんな感じでデータを集め、あとは各社の判断で「当選確実」を出していくんだけど、選挙特番をはしごすると、微妙にずれているのがよくわかるのだ。
これは、世論調査や出口調査は各社の独自データであるため(世論調査はニュース配信会社のものを使う場合もあり。)。
まさに腕の見せ所なわけだけど・・・。
大きく間違うと責任問題になるので、けっこう大変みたい。
ま、当選確実をいつ出すかで大きく視聴率が変わるとも思えないので、早い、よりは、より確からしい、方が大事なんだと思うけど。
でも、投票結果が数十票差で当落が分かれる、なんて大接戦も過去にはあったようで、なかなか難しい作業なのだ。
それと、最近は比例との重複立候補で「復活当選」もあるので、さらに難しいんだよね。
「復活当選」するかどうかは、選挙区での惜敗率(当選者の獲得した票数に対してどれだけ迫っていたか)が関係するので、やはり「票読み」が大事なのだ。
(比例の順位は同率が認められているため、惜敗率が高い方から当選になっていくのだ。)
この辺は開票が進まないとなかなか全容がつかめないものではあるんだけどね。
だれが当選するかはそうなんだけど、比例で何人当選しそうかは票数に依存するので、選挙後の各党の勢力図変化はわかるのだ。
今回も「与党は過半数割れしそう」、「立件民主党や国民民主党が躍進しそう」というのは締め切り直後から出ていたしね。