2012/05/26

日食を裸眼で見てしまった人は注意!!

5月21日(月)の金環日食が見事だったねぇ♪
当初はくもりで観測できないかも、と心配されたけど、雲の合間から観測できたのだ!
けっこう観測できる地域では広く見えたんじゃないかな?
今回ほど広域で観測できるのは300年くらい後だというから、見られてよかったよ。

でもでも、今回はくもりだったこともあって、けっこう裸眼で見た人が多いのだ・・・。
事前に「裸眼で見ると目を傷めるおそれがあるのでやめてください。」という注意喚起がなされていたけど、そんなにまぶしくなければ見ちゃうんだろうねorz
日食グラスを持ってなくても見えそうだったら見てしまう心理もわかるのだ。
ピンホールで影を見たり、木漏れ日から観測するのは面倒だしね(笑)

でも、そんな人で今頃目になってがしょぼしょぼする、視力が低下した気がする、目が痛い、なんて思っている人は要注意(>o<)/
日食網膜症になっている可能性があるので、眼科にかかった方がよいかもしれないのだ。
ボクも調べてみてしったんだけど、これって見た直後じゃなくて、見てから数時間~数日経って発症するものらしいのだ。
ということは、金環日食を見たときは、「裸眼でも平気じゃん」なんて思っていても、後で痛い目を見ることになるということ・・・(ToT)

太陽などの強い光で目を傷めることは古くから知られていて、あのガリレオ・ガリレイさんも望遠鏡の見過ぎで視力が低下していたと言われているのだ。
さすがに普段だと太陽を直視するのはまぶしすぎるからやる人はまずいないけど、日食になると光が弱まるので、裸眼で見る人が当然出てくるのだ。
で、そんな中に視力が低下したり、目の痛みを訴える人が多く出てきたので、日食網膜症(当初は日食盲と呼ばれたらしいよ。)というものが知られるようになったんだ。
はじめのうちは、太陽の強い光を受け、網膜が熱傷を起こしているのだろうと考えられていたようなんだけど、最近では異なる作用機序が考えられているよ。
というのも、例え太陽の光が強くても、熱で網膜の中のタンパク質がおかしくなるほどの熱が発生するとは想定しづらいことと、日食網膜症の症状が太陽を見てから時間差で生じる例もあることから考えると、別の機構を考えた方がしっくり来るからなのだ。

今想定されているのは、太陽の強い光によって網膜にある視色素が光化学反応を起こし、フリーラジカルや活性酸素が発生して周りにあるタンパク質を変性させるというもの。
人間などの視覚は、網膜に視色素を持つ視細胞が並んでいて、これが光を感知しているのだ。
視色素は、ビタミンAのアルデヒド体であるレチナールとオプシンというタンパク質が結合したもので、光を受けてレチナールの化学構造が変化すると、それをタンパク質部分で感知する仕組みなのだ。
明暗だけ見ている細胞(桿体)と、オプシンの構造の違いにより光の三原色を区別する細胞(錐体)があるんだ。
で、この視細胞の近くにはビタミンB2であるフラビン(黄色)や不飽和脂肪酸の過酸化によってできるリポフスチン(褐色)なんていう色素もあるんだ。
で、あまりにも強い光だと、これらの色素が過剰に反応して、フリーラジカルや活性酸素が出てくるというわけ。
可視光の中でも特に波長の短い青い光が原因になるんだとか。
近赤外線も原因と言われているのは、多少なりとも熱の影響があるかららしいのだ。

間に活性酸素などが介在しているため、強い光を見た直後だけではなく、しばらくしてから症状が出るのだ。
目が痛いと思ったときには実はもう遅いというわけ。
さらに、熱が直接的原因ではないため、途中に休憩を入れたりしてもダメで、活性酸素などが累積していくから、トータルでどれだけの時間見てしまったかが重要なんだよ。
日食とは言えある程度まぶしいからそんなに長い時間は直視できないけど、すぐに目が痛くならないからとちらちらと何度も見るのも危険。
子どもは特に眼球の透明度が高いので、強い光の影響を受けやすいそうなのだ。
なので、事前に予防するために日食グラスのように目に優しいレベルまで遮光する道具を使うとか、ピンホールや木漏れ日、反射光など間接的に観測することが必要なんだ。

似たような症状に「雪目(雪眼炎)」があるけど、これはまったく違うもの。
雪目は紫外線によって角膜の表面がびらん状の炎症を起こしている状態なのだ。
わかりやすく言えば、角膜が日焼けしてしまっているわけ。
角膜の上皮は代謝により入れ替わっていくので、数日以内で回復することが多いのだ(火傷と同じである程度ひどくなると回復できない部分も出てくるけど・・・。)。

でも、日食網膜症の場合は、通常は数週間以内には回復するらしいんだけど、場合によっては網膜に不可逆的な変性が起こってしまって視力障害が残るおそれもあるのだ。
活性酸素ができた先はどこに障害が出るかは確率論の世界なので、常に視力低下のリスクがつきまとうんだよ。
これはおそろしい・・・。
眼科に行って眼底所見を見てもらえばどれだけのダメージが発生しているのかわかるので、危ないと思ったらすぐ受診=3
でも、今のところ有効な治療法はないということなので、ひどくしない、という程度だけどね。
なので、何より予防が大事なんだ。
もう終わっちゃってから気づいたけど、これは大変だよ。
身の回りに目の異常を訴えている人がいたら気をつけてあげよう。

2012/05/19

リングのキング

いよいよ、世紀の天体ショー、金環日食の日が迫ってきたのだ!
日本で観測できるのは江戸時代後期の1839年(天保10年)以来の173年ぶり!!
これは貴重な機会なのだ。
今回は、午前7時32分から5分程度観測できるということで、登校中に事故がないよう、始業時間を早めたり遅めたりする学校もあるほど。
でも、これは見る価値あると思うよ。
あとは、天気を祈るばかりだね。

日食は地球から見て太陽の前を月が横切るときに起きる現象だけど、太陽の天球での見かけ上の軌道である黄道と、月の天球での見かけ上の軌道である白道は約5度の傾きでずれているため、なかなかそういう位置関係にならないのだ。
満月の時は、太陽-地球-月の並びなので、黄道と白道が一致していれば必ず月食が起きるし、逆に新月の時は、太陽-月-地球の並びで日食になるのだ。
でも、太陽の方が圧倒的に大きいので、黄道と白道の交点付近でないと太陽の光が月や地球の影に阻まれずに届いてしまうので、影がうまく重なり合わないというわけ。
交点付近で月の朔望があると日食・月食があるんだけど、地球の公転周期は1年、月の公転周期は約1ヶ月なので、自ずと日食・月食が発生しやすい時期が周期的に出てくるのだ。
太陽がその交点付近にいるときは日食・月食が発生しやすいので、「食の季節」と言うらしいよ。

日食は地域によって見え方が異なってくるけど、それも太陽が大きいため。
観測点から見て、太陽と月の中心がそろっているときに日食が観測できるのだ。
大きくずれていると全く欠けて見えないけど、ほんの少しずれているだけだと一部が欠ける部分日食が観測できるよ。
これはけっこう見られるのだ。
で、かなり中心が合っていると、中心食と言われる、すっぽり重なり合う日食になるのだ。

この中心食のうち、完全に月が太陽を隠してしまうのを皆既日食、同心円状に重なって太陽が環状に残って見えているのを金環日食と言うんだ。
今回はその金環日食。
皆既日食でも白いコロナが黒くなった太陽のまわりに見えるようになるけど、それとは違って、もっと明るく輪が見えるらしいよ。
皆既日食だと夜のように暗くなるけど、部分日食だとけっこう明るいから、それくらいの違いはあるんだろうね。

この原因は、地球の公転軌道も、月の公転軌道も楕円だから。
交点軌道上の位置によって地球との距離が変わるので、見かけの大きさが大きくなったり、小さくなったりするのだ。
月の影が十分に大きければ皆既日食に、太陽の見かけの大きさより小さければ金環日食になるんだ。
もちろん、同じ金環日食でも、リングが肉厚(?)な場合と、ものすごい細い場合とがあるはずだよ。
月と太陽の中心が少しずれていれば、一方が厚く、もう一方は薄い金環日食にもなるのだ(この場合は正確には「同心円状」とは言えないよね。)。

ちなみに、日本語では金環日食というおしゃれな名前だけど、英語では「annular eclipse」で「環状日食」という呼び方をするのだ。
皆既日食は「total eclipse」。
なんか味気ないよね(笑)
皆既日食になる直前に一部だけ太陽の光が残る「ダイアモンドリング」は日英で共通なのにね。

部分日食や金環日食の場合は思っている以上に太陽の光が強いので、観測には注意が必要なのだ(>o<)
裸眼で見たりすると網膜を痛めるおそれがあるよ!http://www2.blogger.com/img/blank.gif
黒っぽい下敷きやサングラスなんかでは十分に遮光できないので、専用の遮光フィルターや日食観察グラスを使う方が無難。
もう売り切れているのが多いけどね・・・。
簡便な方法としては、ピンホールで影の中にできる光の点が「金環」になっているのを見る、鏡で壁などに反射させて見るなどの方法もあるよ。

今回の金環日食に関する情報は、国立天文台が特集ページを作っているので、そこを参照するとよいのだ。
観察方法や撮影方法、どこでいつ見られるかなどの必要な情報がまとまっているよ。
おそらく、生きているうちにもう一度日本で金環日食が見られることはないだろうから、このチャンスを活かさないと。
万全の準備をして臨もう!

2012/05/12

月が綺麗ですね

「I love you.」を「我君ヲ愛ス」と訳した学生に、「月が綺麗ですね」とでも言えば想いは伝わる、と言ったといわれているのは夏目漱石さん。
さすがに明治の文豪は風流だねぇ。
これが現代で通じるかというと「?」だけど(笑)
それでも、そんな「月が綺麗ですね」という現象がついこの間あったのだ。
それは、「スーパームーン」。

これは天文学の用語でもなんでもなく、もともとは占星術で使われていた言葉らしいんだけど、月が地球に近づいていて、いつもより満月が大きく見える、ということなのだ。
月は地球のまわりを回る唯一の衛星だけど、その軌道は真円ではなく楕円なのだ。
遠地点距離(=半長径)は405,495km、近地点距離(=半短径)は363,304kmで、その差は42,000km以上!
そりゃあ大きさも変わって見えるよね。
5月5日~6日にかけての「スーパームーン」(地球との距離が356,955km、去年のスーパームーンの方が近かったみたい。)は月が遠地点にある場合(=一番小さく見える場合)に比べ、14%大きく、30%明るいんだそうだよ(NASA発表資料より)。
※ちなみに、スーパームーン時の地球と月の距離が近地点距離を下回っているのは太陽などの他の天体の影響で、月の公転軌道は地球と月だけで考えたものよりずれるのだ。

もともとの占星術では、月が近い(=大きい)と、それだけ月の影響力が強くなって、いろんなことが起こると考えられていたんだ。
海の潮の満ち引きは月の引力によるので、確かに潮の干満には物理的に影響が出るだろうけど、人間の精神や自然災害の発生にも影響が出ると見なすのだ。
人間の血液も月の引力の影響を受けるので、新月や満月の日に犯罪が多いとか言うよね。
(ちなみに、カニやカメが満月の日に散乱するのは単に干満の差が大きく、それだけ海が近くまで来るからで、精神的な影響じゃないよ!)
自然災害も不吉なことが起きる、というところから来ているみたいなんだけど、これってマーフィーの法則で、たまたま満月や新月の日によくないことが発生したことが強く記憶に残っているだけで、その発生確率に影響を与えているとは思えないのだ・・・。

そんなことはさておき、確かに5日の夜半に外を見たら、やけに明るかったのでびっくりしたのだ。
それも該当とかの明かりじゃなく、月明かりの、ほのかに黄色い明かりだからね♪
これはロマンチックかも。
大きさについては目に見えて多きという気はしなかったんだけどね(笑)
でもでも、それもそのはずで、面積比で14%増ということは、その平方根をとると1.068、つまり、半径では7%弱しか大きくなっていないのだ!
明るさと比べるとちょっと認識しづらいのは確か。
むしろ、明るいからいつもより大きく見える、という効果の方が大きいかも。

これはそこそこまれな現象なんだけど(と言いつつ、去年の3月にもあったし、来月もあるらしいけど。)、非常にまれな現象としてブルームーンというのがあるのだ。
スーパームーンは周期的に起きるけど、ブルームーンはそうではないのだ。
ブルームーンというのは大気中のちりなどの影響で月が青く見える現象。
物理的に言えば、大気中に漂うちりなどにより、長波長の可視光が散乱されやすくなり、短波長の可視光がより多く透過して青く見えている、ということ。
普段は波長の長い葵光の方が散乱されやすいので、昼間の空は青く見えるし、夕焼けは赤く見えるんだけど、それと逆のことが起こるのだ(ちなみに、これと同じ原理で、月が赤く見えることはままあるのだ。)。

火山噴火や大きな隕石の落下の後に見られるということなんだけど、まず見られないんだよね。
なんとなく青い月っていうのはイメージしやすいけど、スーパームーンのように予測してねらって見られるものとは違うのだ。
そのため、英語では「once in a blue moon」なんていう慣用句もあって、これは「非常にまれなこと」、「あり得ないこと」といった意味になるんだよ。
ブルームーンという単語だけでもそういう滅多にないことの代名詞的に使われることも。

ところが、どこで勘違いされたか、一部の人の間では別の意味にとられているのだ。
それは、1ヶ月のうちに2回満月があるときの2回目の満月を指す場合。
太陽暦では太陰暦と違って月の周期(約29.5日)と暦の月がずれるので、30日や31日ある月(すなわち2月以外)の初めに満月が来ると、月終わりにも満月が来ることがあるのだ。
そのときの1回目の満月をファーストムーン、2回目をブルームーンと呼ぶんだって。
でも、実はこれは予測できる話で、珍しいのは珍しいけど、正真正銘のブルームーンほどレアではないのだ。
ま、まれな現象だから勘違いでブルームーンと呼ばれるようになってしまったのかもしれないけど。

というわけで、世紀のスーパーショートまではいかないまでも、けっこう全世界的にスーパームーンは話題にあんったようだね。
ボクは当日まで知らなかったけど(笑)
でもでも、東京でも見られる天体といえば、月や金星くらいしかないから、もう少し気にしてもよいかも。
そうしたら、幸運にもブルームーンに出会えるかもしれないしね。
今度そんな月を見たら、想い人にそれとなく「月が綺麗ですね」って伝えてみるのもよいかも(^o^)/

2012/05/05

じゃじゃーん

香港に行ってきたのだ。
今ではもう中国ではあるけど、食事とかの面ではちょっと安心だよね(笑)
香港の人たちも日本食材を買いたがるそうだから、同じ認識なのかな?
本当は本場物の味って言うのがあるはずなんだけどね。

そんな香港でおいしかったのがXO醤。
日本で中華料理を食べているときには特に意識したことはなかったけど、香港で中華料理を食べてみて、濃厚なコクにびっくりしたのだ!
本当はこういうものだったんだね、と。
最初はただ乾物系の出汁が入っているのかと思っていたのは内緒だけど(^o^;)

このXO醤は、ペニンシュラ香港のシェフが考案したと言われている香港発祥の調味料。
調味料というだけでなく、それだけでおつまみ的に食べられたりもするのだ。
ミソみたいなあつかいかな?
確かにミソっぽいところもあるよね。
レストランによってはお皿にXO醤を入れて出してくれるので、そのままなめてもよいし、料理に足してもいいんだよ。

作り方は秘伝で、各レストランで固有のレシピがあるようなんだけど、主要な材料は干しエビ、干し貝柱、金華ハム、生姜、唐辛子、ニンニク、油。
エビや貝柱、豚肉の出汁が濃厚に出るのだ。
もどした干しエビや貝柱と中華ハムをみじん切りにしてから水分がなくなるまでよく炒め、唐辛子、生姜、ニンニクなどの香味を加えて、紹興酒、オイスターソース、豆板醤などで味を調えるんだって。
できたら瓶詰めにして完成。
特にここから熟成させる、というものでもないみたい。
実は食べるラー油と同じようにごはんにあうかも。

ちなみに、オイスターソースはカキ油とも言われることからわかるように牡蠣のうまみを凝縮したもの。
これも広東料理出身だよ。
牡蠣のゆで汁が捨てられているのを見かね、そこからグリコーゲンを取り出してお菓子のグリコが作られた話は有名だけど、オイスターソースもその牡蠣のゆで汁を原料にしているのだ(牡蠣や貝柱はゆでてから日干しにするのだ。)。
牡蠣のゆで汁を煮詰め、小麦粉やデンプンでとろみをつけてからカラメルで色をつけ、砂糖などで甘みを調節したらできあがり。
グリコーゲンのほか、アミノ酸や核酸が豊富でうまみがたっぷりなんだ。
でも、やっぱりただの調味料なんだよね。
そのままでも高級料理になる高級食材を調味料のために使っているXO醤とは比較にならないのだ(笑)

ボクは「XO」というくらいだから、ブランデーのXO(「Extra Old」)が関係していると思ったんだけど、「最高級の調味料」ということを表すだけなんだって。
ブランデーを使っているレシピもあるのかもしれないけど。
とにかく、高級な食材を使ってぎゅっとうまみを濃縮させた調味料なのだ。
ボクが香港で食べたものは特に干しエビの味が強かったね。
何食べてもエビの味がしたけど(笑)

現在では、上記のレシピを「参考」にして、大量生産品も作られているのだ。
それがスーパーなんかで売っているもの。
でも、正直普通のオイスターソースとの差がよくわからなかったんだよね。
なので、オイスターソース的なものを作るときにブランデーで漬けているとかなんとかと誤解していたのだ(>o<)
本場のものは全くの別物で、確かにこれなら最高級調味料というのもわかるよ、というものだったね!

一説には、XO醤を日本に広めたのは「炎の料理人」周富徳さんとも言われているんだって、
ちょうど「料理の鉄人」なんかの対決型グルメ番組の人気がピークだったから、よく耳にするようにはなったんだよね。
それで多くの日本人の知るところになって、広まった可能性はあるのだ。
ただし、ボクも含めてそうだけど、音で知っているだけで、何であるかはよくわかっていなかったんだけど(笑)

今では世界中に広まっているらしいよ。
香港発の世界の味になったのだ!
飲茶が世界に広がったのも香港からだけど、まさに国際都市の面目躍如。
今の中国ができて社会主義体制になってからは香港とマカオ、台湾だけが開かれた中国だったからね。
その中でも、イギリス統治下で栄えた香港の影響力は大きいと思うのだ。
米国にいたときに見かけた中国料理はほとんど広東料理で、おそらく香港発だろうからね。
今では特別行政区と言いながら中国の一部になってしまって、最近の上海の台頭に比べて影が薄くなりがちだけど、今回のXO醤のように意識していないところで香港の影響が出ていることを知ると、やっぱり世界を代表するアジアの都市なんだなぁと思ったよ。

2012/04/28

本来は女性がダメってことではないんだよ

また再び皇位継承問題が議論され始めているよね。
今上天皇直系に男子皇族が不在だったときに大きく議論され、秋篠宮家に悠仁親王殿下が御誕生になってからは一時期下火になっていたのだ。
ところが、また「女性宮家創設問題」として再燃しているんだよね・・・。
政府は皇位継承問題とは切り離す、と言っているけど、将来的な男系継承の不安が払拭できないこともあって、先に手を打とうとしていると言われているのだ。

そもそも、皇位継承については、日本国憲法第二条において「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」と定められているんだ。
で、その皇室典範では、その第一条で「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」としていて、さらに第二条で皇位継承順位を定めているよ。
皇長子(長男)=>皇長孫(長男の男児)=>その他の皇長子の子孫(長男系の子孫)=>皇次子及びその子孫 (次男系の子孫)=>・・・。
旧家族制度の嫡男が家を継ぐ、というのと同じなのだ。

これを現在の皇室に当てはめると、皇位継承順位第一位、すなわち東宮(皇太子)は徳仁親王殿下で、皇太子家には他に男性皇族がいらっしゃらないので、第二位は皇太弟たる文仁親王殿下(秋篠宮)で、第三位がその長男になる悠仁親王殿下なのだ。
なので、ここまではとりあえず皇嗣は保たれているんだけど、その先が不安だというんだよね。
というのも、戦後の皇室では側室を廃止しているので、一夫一婦制の元で男児を設ける必要があるのだ。
精子の遠心分離を使った産み分け(精子は♀になるX染色体を持つものと♂になるY染色体を持つもので主さが違うので、ある程度遠心分離で分けられるのだ。)なんかもあるにはあるけど、極力自然な形で皇嗣を保ちたい、ということなんだよね。

この議論でよく誤解されるのが、女系天皇と女性天皇。
保守的な人たちは、皇室は神武天皇以来万世一系を保ってきていて、それがここで崩れる、という主張なんだけど、あれ?、女性の天皇っていなかったっけ?、ということになるのだ。
もちろん、聖徳太子が補佐した推古天皇や、百人一首で「衣ほすてふ天の香具山」と詠んでいる持統天皇は女性天皇として有名だよね。
でも、これまで10代8名在位した女性天皇はすべて「男系」の継承なのだ。
つまる、父方の祖先をたどっていくと神武天皇行き着くというわけ。
「女系」というのは母方だけが皇室の血を引く継承なので、父系をたどっていくとあるところで入り婿の祖先の方に行ってしまうのだ。
ま、実際には実在がほぼ確実と言われているのは15代応神天皇だし、その後25代武烈天皇から26代継体天皇のところはあやしさもあるし、さらに、南北朝のところでもちょっと気になるところはあるけど(笑)
とは言え、父系・男系でつないできているのは確かなんだよね。
古代日本では女性の方が力を持っていた(卑弥呼とか?)とも言われるけど、それとこれとは別みたい。

実際に在位した女性天皇がどうなっているかというと、わかりやすいのは持統天皇・元明天皇・元正天皇の流れなのだ。
41代持統天皇は38代天智天皇の皇女で40代天武天皇の皇后だったわけだけど、皇太子たる嫡男の草壁皇子は即位前に夭折してしまうのだ。
でも、すでに皇太孫たる軽皇子が生まれていたので、この孫に皇位継承をさせようと画策したんだよね。
ここで問題となったのは、当時は父から子へ、子から孫へという直系皇位継承だけなく、兄弟相承と言って兄から弟へという継承のかなりポピュラーだったのだ。
このとき、天武天皇は皇族でない女性との間に生まれた長男の高市皇子という皇族がいたのだ(同じく皇族を母親とする大津皇子は謀反の罪で殺されているのだ。)。
ただし、皇位継承順としては皇女の系統が重んじられたため、草壁皇子が立太子し、高市皇子は太政大臣などとして執政に当たっていたんだよね。
で、普通なら草壁皇子が亡くなると、次に有力な高市皇子が台頭してきてもおかしくないんだけど、天武天皇薨去後しばし皇后として国を治めていた持統天皇は我が孫に皇位を次がせるため、幼い皇太孫に代わって自らがリリーフとして即位し、軽皇子に立太子させたのだ。

軽皇子は後に即位して42代文武天皇となるんだけど、やっぱり幼い子(首皇子)を残して若くして薨去されるのだ。
で、やっぱりその子には皇位継承をまださせられないので、文武天皇の母である43代元明天皇が即位(皇太子妃から皇后を経ずに即位。)。
さらに、その後文武天皇の妹の44代元正天皇(唯一の独身で即位した女性天皇)につないだ上で、首皇子は45代聖武天皇として即位するんだ。
このとき持ち出してきたと言われるのが「不改常典(あらたむまじきつねののり)」というもの。
天智天皇が定めた、ということで出てくるんだけど、実は明文化されたものではなく、元明天皇以降即位の詔で言及されているだけのものなのだ。
これが直系継承の基本となる理論とされていて、兄弟相承でなく直系継承こそが皇位継承の原則である、とするとしているんだ。
当然この間にも有力な男性皇族はいたわけで、やっぱりここまでの継投策はけっこう無理があったようで、こういう理屈を持ち出す必要に迫られたようなのだ。

でも、こうして古代日本社会で皇位継承の原理原則が確立し、以降はそれに則ってつながれてきているんだよね。
とは言え、聖武天皇の後の孝謙天皇のところですでにあやしくなっているんだけど、けっきょくはかなり離れたところからでも男系の皇族を見つけてきて即位させているのだ。
これが現在の皇位継承問題で話題になっている、女性宮家の創設ではなく、皇籍離脱した男性の元皇族の皇籍復帰の議論にもつながるのだ。
実際に、継体天皇なんかは応神天皇の5世孫とか言われるし(ほとんどたどれないよね・・・。)、聖武天皇皇女で皇位を継いだ46代孝謙天皇の次代の47代淳仁天皇は天武天皇の孫にあたるので、聖武天皇・孝謙天皇から見るとかなり遠い親戚になっているのだ。
しかも、淳仁天皇は恵美押勝の乱の後に上皇だった孝謙天皇に退位させられてしまい、その後は孝謙天皇が重祚して48代称徳天皇になるのだ。
でもその次は天智天皇の孫に当たる49代光仁天皇が即位するんだよ。
もう行ったり来たりでわけわかめ(>o<)

そんなわけで、特に古代は複雑に皇位継承をしてきたんだけど、一応男系継承は守られているみたい。
で、上で出てきた「不改常典」は明治維新後、旧皇室典範の第一条「大日本国皇位ハ祖宗ノ皇統ニシテ男系ノ男子之ヲ継承ス」という形で明文化され、現在の皇室典範につながるんだ。
これで正式に男系直系の継承が原則として定められたわけ。
この伝統を最大限重視するなら、女系継承につながる女性宮家創設よりは、皇籍復帰で男性宮家の復活をするということになるのだ。
正直、ボクにはどうするのがよいかまだよくわからないけど。
ただ、皇室が日本国の象徴であり、世界に誇れるものであることは確かなので、しっかり皇室制度が維持できるよう考えていかなければならないことなのだ。

2012/04/21

もっくもくにしてやんよ

冬は寒い代わりにからっと晴れることが多かったけど、春の天気は不安定でくもちがちなのだ。
そぼそぼと雨が降ることも多いよね(>o<)
これは、冬はいわゆる「西高東低」の冬型の気圧配置で安定していたのがくずれるから。
冬はシベリアの寒気団が南下してきて乾いた冷たい空気で安定しているのだけど、それが退くと張り出した高気圧がないので、偏西風に乗って熱帯海上で発生した湿った低気圧がやってきて雨を降らすんだよね。

雲ができる仕組みはわりと簡単で、熱帯地域等で海が温められると、その上に湿った暖かい空気の固まりができるのだ。
空気は気温が高いほど密度が低いので軽く、浮力が働いて上昇していくんだよね。
これが上昇気流。
通常の大気は高度が上がれば上がるほど気圧と気温は下がっていくんだけど、気温の低下は100mごとに0.6℃程度。
ところが、空気は熱伝導率がひくので、上昇していく空気は熱交換がほとんど行われないまままわりの気圧の低下に伴って断熱膨張してしまうので、冷却されるのだ。
この断熱冷却による効果は100mごとに1℃程度。
なので、100m上昇するごとに0.4℃ずつ差が埋まっていくのだ。

まわりの空気と上昇してきた空気の温度が同じになったところで上昇は終了。
このとき、通常は露点(空気を冷却していったときに、含まれている水蒸気が凝結して液体の水が出てくる温度。)を下回っているので、温かかった空気の中には小さな液体の水の粒子が分散している状態になるんだ。
上昇した先が零下の気温なら、小さな氷の粒になっていることもあるよ。
これが雲の正体。
水や氷の粒子が光を乱反射するので白く見えるのだ。

例えば、インド洋上空で発生した暖かい空気が日本上空に来ることを考えてみるとわかりやすいよ。
インドは熱帯なので年間を通じて気温はほぼ一定なんだけど、だいたい35~40℃くらい。
今回は計算しやすいように温められた空気の温度は36℃にするのだ。
これが春の日本上空に来るとすると、日本の春の気温はだいたい10~20℃。
これを18℃と仮定すると、温度差は36-18=16℃なので、16÷0.4×100=4,000m=4kmなので、上空4kmまで上昇するのだ!
ただし、途中で空気の気温が露点を下回ると、水蒸気が凝結するときに出る熱のせいで気温の低下率は100mごとに0.5℃に下がるのだ。
含まれていた水蒸気がすべて凝結するとまた100mで1℃ずつの低下率にもどるので、水蒸気がどれだけ含まれているかで上昇高度はもう少し上がるよ。
でも、この時点ですでに富士山よりさらに高いから、童謡のように「頭を雲の上に出し♪」というわけにはいかないね(笑)
これくらいだと、ちょうど雨を降らせる高度(2~6km程度)の雲だね。

しかし、実際には温められた空気が来る以外にも雲ができることがあるのだ。
その場合はもっと低い高度だよ。
例えば、高い山脈が海の近くにある場合、海からの湿った風が山に当たるとそのまま山の斜面に沿って上昇していくのだ。
すると、水蒸気がどんどん凝結して水になり、山の海側の低い高度のところに雲ができて雨を降らしながら山を越えるのだ。
山を越えるころには空気が乾燥しているので、今度は乾いた風として逆側に吹き下ろすわけ。
海側では湿っていたので100mで0.5℃ずつ温度が低下していくんだけど、逆側ではすでに乾燥しているので100mで1℃ずつ上昇していくのだ。
すると、海側で18℃だった湿った空気(すでに水蒸気が飽和していると仮定。)が2,000mの山を越えると、山の頂上で8℃、これが山の逆側の海抜0mに吹き下ろすと28℃になるのだ。
これがいわゆるフェーン現象で、上州名物のからっ風もこのたぐいのものなのだ。

他にも、湖や大きな川の水面上に薄く雲が広がることがあるんだよね。
これは水面上の湿った空気が冷たい外気に冷やされることで凝結するもの。
湖に冷たい風が吹いてきたりするとできるのだ。
昼間の湖で北風が吹くと霧が発生しやすくなるのだ。
逆に、十分に冷えた湖の上に湿った暖かい空気が吹いてくると、そこで霧が発生することもあるよ。
これは朝方に南風が吹いたときなどだよ。

というわけで、雲の発生には風と空気の湿度が大きく関係しているのだ。
それを踏まえて天気図を見ると、自分でもある程度雲ができるかどうかはわかるんだよね。
天気図を見なくても、その場その場で吹いてくる風の暖かさ/冷たさと湿気を感じることができれば、天気の移り変わりはある程度予測できるのだ。
きっと先人の知恵はこういうのを感じ取っていたんだろうね。

2012/04/14

緊急情報発信!

北朝鮮のロケット打上げ(ミサイル?)問題でJ-ALERTが注目されているのだ。
なんかけっきょくうまく打上げも警報もうまくいかなかったみたいだけど(ToT)
これは消防庁が整備した「全国瞬時警報システム」のことで、地震、津波、火山噴火などの大規模自然災害の発災時や、今回のミサイル発射、テロなどの武力攻撃事態が発生した場合、対象地域の国民に瞬時に、一斉に、直接情報を伝達するシステムなんだ。
21世紀に入ってから危機管理意識が高まり、国の主導で導入されたんだよね。
それまでは、自治体ごとに有線放送や行政無線を使っていたんだけど、これはその自治体ごとなので、情報の内容にも質の差があるし、伝わる速度もまちまち・・・(>o<)
そこで、こういうシステムが考案されたわけ。

具体的には、静止軌道上の通信衛星を介して国からの情報を地方自治体に送信し、その内容が市町村役所や公立病院、公立図書館などで館内放送として流されたり、地域衛星通信ネットワークに接続された同報系市町村防災行政無線を通じて屋外にあるサイレンから流れたりするのだ。
このとき、瞬時に、直接伝えるために、自動的に防災行政無線が起動され、誰かが操作しなくても放送が流されるところがミソ。
これにより一律に素早く情報伝達ができるわけなのだ。

情報の流れは、自然災害なら気象庁が、武力攻撃事態なら内閣官房が状況を察知し、システムの運用者である消防庁に連絡を入れるのだ。
消防庁の側ではあらかじめテンプレートとしていくつか「メッセージ」が用意されているので、事態に応じてそれを選び、対象地域向けに発信。
これを自治体側が受け取って館内放送なり、防災行政無線なりでそのメッセージが流れるんだ。
このとき、対象地域やメッセージの内容はコード管理をされていて、消防庁からは全国一律にとりあえず情報発信するんだけど、受け手である自治体側の受信機で自分に関係あるコードのものだけ取り出す仕組み。
でも、今回のミサイル問題に備えた沖縄での試験では、この部分がうまくいかなかったわけ。
でも、それには一定の理由があるのだ。

消防庁のサイトにあるJ-ALERTの概要資料によると、J-ALERTで発信される情報には3種類あって、原則同報無線を自動起動するもの、同報無線の自動起動を選択できるもの、普通に情報を流すだけのものがあるのだ。
必ず自動起動するものには、今回のような弾道ミサイル情報、大規模テロ情報、緊急地震速報、津波警報(大津波・津波)などがあるんだ。
自治体ごとの設定で自動起動が選べるものは、噴火情報、地震速報、津波注意報、土砂災害警戒情報、竜巻注意情報など。
その他は、記録的短時間大雨情報、指定河川洪水情報、噴火予報、気象注意報など。

で、このメッセージの種類と対象地域をコード管理しているわけだけど、受信機側でその設定をする必要があるんだよね。
そこに不備があると対象地域なのに反応しなかったり、選んでいたはずなのに自動起動がうまくいかなかったりするんだ。
今回は事前にわかったからまだ対処のしようがあるけど、1年に一度くらいは確認するようにした方がよいんだろうね。
せっかくのシステムが役に立たないのでは困るのだ(ToT)

でも、実はこのJ-ALERTの普及率はいまいち。
消防庁の資料によると、昨年12月1日現在で受信機の運用は全地方自治体のうちの98.4%まで来ているけど、自動起動できるような端末を整備しているのは66.0%、さらに自動起動を実施しているのは61.8%まで落ちるのだ・・・。
なんでこんな事態になっているかというと、受信設備の整備や、自動起動端末と防災行政無線をつなげるのにお金がかかるから。
単純な話だけど、小さい自治体だとバカにならないんだよね。

そこで活躍しているのが緊急情報ネットワークシステム。
ニュースでも出てくるEm-Netだよ。
これは国と地方自治体を結ぶ総合行政ネットワーク「LGWAN」を利用して、官邸と自治体を双方向通信でつなぎ、緊急情報を流すものなのだ。
これだと、通常のパソコンに専用ソフトウェアをインストールするだけで使えて、後はスピーカーなど情報を流す設備があればよいのだ。
電子メールの一斉送信みたいなものだけど、相手端末に強制的に受信させ、着信と同時にアラームが鳴って注意喚起するようになっているのだ。
パソコン画面上では地域指定でメッセージも送れるので、アラームが鳴ったらパソコンを確認し、メッセージを確認して初動体制がとれるわけ。
送信側から相手端末が起動しているかどうかも確認でき、受信可能な状況かどうかもわかるんだって。

こういうのはひとつのシステムに過度に依存するとそこに障害が発生したときに対応できなくなるから、複数のシステムを整備しておいた方がよいんだよね。
自治体側では複数のシステムを導入して運用するのは大変だけど、ことは緊急事態なわけで、情報の漏れは致命的なのだ。
今回の件を契機に危機意識が高まれば、また整備が進むかな?