2009/03/21

薄っぺらいのにすごいやつ

バブルの時期のころからか、食べ物にワンポイントで金箔がふってあることがあるよね。
最初こそ「食べても大丈夫?」なんて話題にもなったけど、今ではかなり普通なのだ。
でも、金の場合は王水にしか溶けないから、実はそのまま排出されてしまうんだよね。
なので、完全におかざりなのだ。
でも、この金箔って、西洋のメッキとは違ってまさに金属の金をたたいて引き延ばしたもの。
日本の伝統工芸なのだ。
というわけで、今回は少し金箔について調べてみたよ。

一般に見られる金箔の薄さは1万分の2~3mmというから、0.2~0.3ミクロン。
大腸菌は1ミクロンくらいだから、それよりもさらにうすっぺらいのだ!
5円玉と同じ3.75gの金を使うと、畳一畳分にもなるだとか。
金箔にはいろいろと種類があるようだけど、よくあるのは銀と銅を少し混ぜ込んだ合金なんだって。
これは金箔に加工するときに伸びやすく、破れにくくするためなのだ。
純金の金箔もあるらしいけど、あまり一般的ではないみたい。
で、この合金の割合で色が決まるんだって。
金箔といっても単色ではないのだ。
ちなみに、銀も銅も微量だし、金とともに食品添加物に認められているから食べても平気なんだって。

この金箔、基本は紙の間には実たたきまくって作るのだ。
まずは合金を作って薄く延伸し、薄板を作るのだ。
この時点で薄さは0.02~0.05mmというから、髪の毛の太さくらい。
これを適当な大きさに切って、紙に挟んでたたいて伸ばし、それをまた大きな紙に挟み直してたたいていくのだ。
こうして2~3ミクロンまで薄くするんだよ。
その後、小さく切り分けで紙の間に挟んだものを重ね、皮の袋に入れて最終工程の引き延ばし。
たたいては出てきた熱を冷まし、というやり方で伸ばしていくんだけど、均一に広がるように注意品刈ればならないのだ。
これが10分の1の薄さになると金箔のできがりというわけ。

かつては全部手仕事だったわけだけど、今は機械打ちもできるようになっているみたい。
さすがに紙から薄く延びた金をはがすのはできないけどね。
でも、今でも金箔職人の名人はいて、機械よりもはるかに薄く、きれいに伸ばすことができるのだ。
向こう側がすけるくらいなんだそうだよ。

この金箔の作成過程で間に挟む紙は、金を伸ばすのに使われた後にあぶらとり紙に転用されるのだ。
この紙は薬品につけたりしてから使うらしいんだけど、何回か使うと金を伸ばすのには使えなくなるんだって。
その紙を「ふるや紙」というだけど、これがあぶらとり紙に使われるのだ。
おそらく、なんどもたたかれて紙の繊維が細かくなって毛細管現象による吸い取り効果があがっているんじゃないかな?
有名なようじやのやつなんて、くっつけただけで油を吸い取るよね!

さらに、金箔製造の最終工程に使う皮はタヌキの皮。
たたいても丈夫ということのようなのだ。
で、ここから来たんじゃないかというのがいわゆる「八畳敷き」。
タヌキは自分の玉袋をかぶって変化したり、それを赤い毛氈に見せかけて人をだますなんて言うけどど、タヌキ=広がる、というイメージを与えたのはどうも金箔作りのようなのだ。
実際にはタヌキのやつはむしろ小さくて、丸いしっぽがまたの間から見えるので大きいと勘違いされていたっていうのもあるみたいだけどね。

この金箔作り、発祥は室町以前にさかのぼるのだ。
金閣寺こと鹿苑寺は金箔張りだけど、あのこrはまだ江戸時代より分厚い金箔だったそうだよ。
江戸時代になるとこれが幕府に独占されるんだけど、加賀藩では隠れて作っていて、ずっと幕府に産業として認めるように求めていたそうなのだ。
で、実際にものもよくて闇で流通して広まったので、いつしか加賀の金箔は公にも認められるようになったんだそうな。
それが今も続く加賀の金箔なのだ。

金箔ができる前は、水銀に金を溶かし込んで液体の合金にして、それを塗ってから水銀をとばしたんだよね。
その方法で作ったと言われているのが奈良の大仏。
造立当時は金ぴかだったのだ!
でも、この大工事の時には相当数の人が水銀中毒でやられてしまったみたい・・・。
水銀-金合金を塗った後に周りで火をたいて水銀をおばすそうなんだけど、あたりは水銀の蒸気でいっぱいになるのだ(>_<)
金箔ができるようになると、それを表面に張っていくだけになるので、そういう被害はなくなっていくのだ。
これも技術のおかげだよね。
ま、ただ張るわけじゃなくて、そこにも技術が生まれ、またそこから文化が生まれてきているのだ。
それが今は食文化にも入ってきているということだよね。

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