2009/04/12

ついだりさしたり

東京では桜も散ってきていて、これからはいよいよ八重桜の季節になるねぇ。
で、その後は街路樹としてもたくさん植えられているツツジがたくさんの花をつけるよね。
でも、実はこれらの植物は種をまいて育てているわけではなくて、おなじ遺伝情報を持つ植物個体を増やす技術のクローン技術で増やされているのだ!
しかも、それは」今始まったことじゃなくむかしから行われていたんだよ。
けっこう農業技術って奥が深いんだよね、ということで、今回はこれらの方法について調べてみたのだ。

日本の桜としておなじみのソメイヨシノは江戸時代に駒込近辺の染井村で生まれたのだ。
当初はヤマザクラの一種と思われていて、ヤマザクラの名品・吉野桜にかけて染井吉野と命名されたのだ。
でも、実際はヒガンザクラの一種だったんだけどね(葉が花の後に出てくるんだよ。)。
でも、このソメイヨシノは園芸品種として作成されたので、基本的には最初の一本しかないんだよね。
しかも、ソメイヨシノはごくごく小さな実はなるんだけど、そこから芽の出る種は取れないのだ(>_<)
というわけで、「接ぎ木」で増やしていったんだ。

これはよく見かける八重桜も同じで、八重桜は百人一首に「いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな」と詠まれているように、もともとは奈良の名物として知られていたもので、それが全国に広まっていったんだ。
それがナラノヤエザクラという品種だよ。
でも、八重桜は、重弁化といって花びらやおしべなどが増えてしまう突然変異なんだけど、たいていはほとんど芽が出る種ができないのだ。
なので、ソメイヨシノと同じように接ぎ木で増やしていったんだ。
というわけで、すでに平安時代には接ぎ木の技術はあったんだよね。

野菜や果物でも接ぎ木は行われていて、一般にスイカやメロンはより丈夫なカボチャやユウガオ(カンピョウにするやつだよ。)に出てきたフタバを接ぎ木するんだよ。
こうすると病気にも強くなるのだ。
リンゴとかナシの場合も新品種ができると、そこから種を取って・・・、とやると時間がかかるし、どうしても父方と母方の遺伝情報が混ざってしまって元通りの品種になるとは限らないので、クローン技術で同じ個体を増やす方が効率的なわけ。
なので、そうやって広めていくんだよ。

接ぎ木の場合は、より丈夫な木や草の上の部分を切って、そこに接ぎ木するものを差し込むのだ。
このとき斜めに切ったものをさす、とか、さした後しばらく布を巻いておいてそこをしめらせておくとか、いろいろ技術がるんだよ。
桜の場合は他の丈夫な桜の木の太い枝を先から落として、そこにソメイヨシノの枝を差し込むんだ。
スイカやメロンは、カボチャの地上から出ている根元の部分から切ってしまって、そこにフタバを接ぐのだ。
接いだ部分はいわるキメラになるんだけど、先の方まで融合しないので、花や実はもとの品種のままなんだよ。
でも、根からの水の吸い上げや病気への強さは向上するのだ!
ちなみに、人間の臓器移植などと違って、植物は免疫反応・拒絶反応がないのでこれができるんだよ。

もっと簡単なのは「挿し木」。
こっちは土や砂にそのまま切った枝や茎をさすだけ。
すると、切り口の部分が少しふくらんで、そこから不定根というのが生えてくるのだ。
水にさしておくだけで根が生えてくることがあるよね。
少しふくらんでくるのは、その中では細胞が脱分化して未分化の細胞になり、増殖するとともに新たに根や茎などの他の細胞に分化していくのだ。
この方法で増える代表選手はイモだよね。
ジャガイモは根がふくらんだものだけど、サツマイモやレンコンは地下茎がふくらんだものなので、まさに茎を植えているようなものなのだ。
パイナップルやバナナも挿し木でやっているそうで、サツキやツツジなどの園芸植物も挿し木で増やしていて、どのあたりから切るか、いつくらいに挿し木にするかなどでかなりスキルがあるみたいだよ。
これも種で荒廃させるとせっかくできた園芸品種がそのまま保存できないので、挿し木でクローン増殖させるのだ。

というわけで、けっこう身近なところに接ぎ木や挿し木は多いみたいだねぇ。
単に種をまけばいい、というわけではないのだ。
そうやって周りの植物を見回してみるのもおもしろいかもしれないのだ。

0 件のコメント: