2009/06/14

さえぎってなんぼ

今日は新居に引っ越す準備の一環でカーテンを買いに行ったのだ。
事前に窓の大きさを調べておいて、サイズを合わせてオーダーするんだよね。
窓枠にぴったりで意味がないので、この寸法をとるのが重要なんだよね。
むかしの集合住宅だと窓の大きさは規格化されて固定されていたからカーテンもそれに合わせたサイズを買えばよかったけど、このごろはできるだけ窓を大きくとろうとしたりして、窓の大きさがまちまちなので、それにカーテンを合わせる必要があるのだ。

このカーテンの大事な役割のひとつは遮光。
文字どおり外からの光をさえぎることで、特にベッドルームでは強い光が差し込むと寝ていられなくなるので、光をさえぎることが必要なんだよね。
でも、リビングルームなんかだと完全に光をさえぎってしまうと暗くなってしまうので、レースのカーテンで半透明にして、一部光が入るようにしているのだ。
普通の生地でもある程度は光を通すけど、完全に遮光したい場合はもっと密に生地が編まれている遮光カーテンというのがあって、この場合は光をほとんど通さないのだ。
そのかわり、一度閉めてしまうと真っ暗なので、部屋の中に電気をつけないと行けないのだ。
写真を現像するときの暗幕なんてのはまさに遮光性がもっとも強いものだよね。

一方、カーテンの役割としてはその逆で、中からの光が外に漏れないようにする、というのもあるのだ。
まわりに人家がなければ光が漏れても大して問題ないけど、夜になってあたりが暗くなっているときに部屋の中の光が漏れるということは、部屋の中が丸見えになるということなのだ!
それを防ぐという意味もあるわけ。
昼間にある程度光を通すことを前提にしているレースカーテンの場合は、外からの光が入る分、中の光が外に漏れ、おぼろげながら中が見えてしまうのだ(>_<)
これを避けるため、最近では表面加工がしてあって、部屋の内側を向く方(つまりカーテンの表)は光を乱反射してあまり光が透過しないようにして、中を見えづらくしているものもあるのだ。
そういうのをミラーカーテンというそうだよ。

この西洋のカーテンに似ているのが日本のすだれ。
やっぱり窓にたらして外からの光を防いだり、中が見えないようにしたりするのだ。
すだれの場合も密に編んで遮光性を高めたり、粗に編んで光の透過性を高めたりするよね。
偉い人や神聖なものを直接見えないようにするために間に入れる、という使い方も似ているのだ。
いわゆる御簾とヴェールだよ。

でも、大きな違いは、カーテンはたいてい床すれすれまで丈があるのに対し、すだれの場合はわりと下は空いているくらいの丈だということ。
これは湿気が多くて家屋全体の開放度の高い日本ならではなのかな?
西洋はむしろ冬が寒くて保温効果を高める必要があるので、しっかり床まであることが大事なのだ。
現代でもよく使われているすだれは、すき間から風は通すけど光は一部遮蔽して暑さを和らげるものだよね。
逆に、カーテンは省エネの観点で冷暖房の効果を高めるために使われるのだ。
やっぱり似たようなものでも使い方が違うんだよね。

このカーテンが日本で普及してきたのは住宅の西洋化が進んできてから。
それまではまさに障子しかなかったわけで、障子は薄い紙を通じて光はそれなりにはいるけど、けっこう保温効果もあるという優れものなんだよ。
平安時代ころまでは大きな部屋があって、そこの間仕切りとして屏風やふすまが使われていたのだ。
夏の蒸し暑さに対応するためにしっかりとした壁はなく、ふすまを使っていたわけだけど、閉めておくと位し暑いので、多くは開放されただだっ広い部屋だったのだ。
源氏物語の世界では、そんな開放された部屋の中、屏風のような間仕切りのすぐ向こうで男女が愛を語らっていたんだから、今から考えるとすごいよね・・・。

でもでも、時代が下ると障子が発明され、それで部屋を仕切るようになったのだ。
障子の場合は明かりがある程度透過するので、暑いとき以外は閉めておけるという利点があるのだ。
これにより明かり取りのために開けっ放しにする必要がなくなったんだよね。
これでかなり個々の部屋の独立性が高まったはずなのだ。
そんな障子もカギがかけられるわけではなく、すぐに開け放てるのでやっぱりまだまだ開放的なんだけどね。

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