2009/07/11

洗濯の後はびしっと!

ボクはアイロンがけをしなくてもよいように、お仕事用のワイシャツは形状記憶のものを使っているんだけど、それでも、ときどきアイロンをかけてびしっとしてあげた方が長持ちするとか言われるよね。
ちょっと高級なオーダーメイドシャツなんかを着ている人の場合は、びちっとのりをきかせてアイロンがかかったワイシャツを着ているのだ。
毎回毎回家できっちりアイロンかけるのは大変だけど、袖口や襟だけでもかけるときちっとして見えるなんて言うよね。
そこで、今回は、アイロンまわりについて調べてみたのだ。

アイロンは英語だとironでまさに「鉄」。
もともとは熱と重みで衣服のしわを伸ばすもののことなんだけど、主に鉄製のものが使われたのでアイロンと呼ばれるようになったのだ。
もともと日本にも鉄製の片手鍋の中に炭火を入れたような「火のし」という道具が中国から伝わっていて、これをしわ伸ばしに使っていたのだ。
江戸時代中頃から戦後しばらく間で使われていたそうだよ。
一方、明治になると西洋式の炭火アイロンが入ってきたのだ。
いわゆるアイロンの形のこて状のもので、中に炭火を入れるようになっているんだ。

日本は良質な炭があって、火の粉がはじけないので火のしや炭火アイロンも使いやすかったらしいんだけど、西洋には、日本式の高温で蒸し焼きにした炭がなく、普通に薪を焼いただけの炭しかないので、炭がはぜて火の粉が飛んだらしいのだ。
それで衣服に穴があくこともあったそうだよ。
そこで、中に炭を入れず、アイロンストーブと呼ばれるアイロン専用のストーブの上にフライパンのようなアイロンの本体のみをのせて温めてから使うものもあったそうなのだ。
でもでも、場所をとるからお金持ちとかの使うものだったようだけどね。

これに変わって出てきたのが電気式アイロン。
電熱式にすることで火の粉が出ないので、安心して使えるのだ。
あたたまり過ぎて福を焦がしちゃうことは今でもあるけどね(笑)
普通にこて状のアイロンの底の部分に電熱コイルが入っているのが旧来のもので、そこに電気を通して熱を発生させるのだ。
従来のものはコードがついていて、それがひっかかったり、自由な動きを制限したりしたんだけど、それを解消したのがコードレスのもの。
携帯の充電器のような構造で、その上にアイロンの本体をのせておくと、電気を通電してあたためておいてくれるのだ。

そして、電気式アイロンでよくある機能がスチーム。
むかしの炭火アイロンでも事前に霧吹きで水を吹きかけてからアイロンがけしたりしたんだけど、今ではボタンひとつでしゅーっと高温の水蒸気が出てくるのだ。
水蒸気が布地につくと、その部分の繊維がほぐれるんだよね。
これは熱と水分で繊維同士を弱く結びつけていた水素結合(分子の中の電気的な偏りの間でできる弱い結合のことだよ。)とかが外れるからで、羊毛をお湯で洗濯すると縮んでしまうのは、熱でふわふわに結合していた繊維がほどけて、それがぐしゃっと密にからまってしまうからなのだ。
アイロンの場合は繊維をきれいに並べてしわを取りたいわけなので、繊維がほぐれたところに熱と重みを加えることで繊維のからみ方をきれいにして、しわを取りやすくするのだ。
一度こうやってしわを取ると、次にしわがつきづらくなるんだよ。

さらにびしっと固めるために使われるのが洗濯のり。
これは接着剤の一種のポリビニルアルコール系接着剤が主成分。
接着力はそんなに強くないんだけど、溶媒の水分がとぶと、薄い膜状のシートを形成するのが特徴。
これが繊維の間に入って、繊維を巻き込んで固まるので、しわがつかなくなるとともに、びじっと固まるわけだよ。
これが洗濯ノリとして使われる理由は水に溶けること。
水に溶けているのでアイロンをかければ水分が飛ぶし、次に洗濯したときに水で洗い流せるのだ!

こうやってアイロンをかけるのを面倒くさがる人たちが来ているのが形状記憶のシャツ。
麻や綿だけだとどうしてもしわになりやすいんだけど、その間に化学繊維を混ぜ込むことでしわがつきづらくしているのだ。
麻や綿はどうしてもとなりの繊維とからみやすく、さらにその間に水素結合ができたりしてしわくちゃになってしまうのだけど、その間に非極性(分子の中に電気的な偏りがないことだよ。)の化学繊維をかませることで、水素結合ができづらくしてあげると、となりの繊維同士が結びつかないので、しわにならないし、洗っただけですっと布地が伸びるというわけ。
よくできたものなのだ。
最近はほとんどが形状記憶になってきているけど、着心地とかにこだわると、面倒でもアイロンがけが必要な綿のシャツを着ることになるのだ。

というわけで、洗濯の後処理ひとつをとっても奥が深いんだよね。
洗濯して干すときにぱんぱんたたいて伸ばすのも、繊維を伸ばしてまっすぐな形で乾かそうということで、これと関係があるんだよね。
羊毛のものが縮むのもそうだし、科学的に見ていくと、けっこう生活面で役に立つかもなのだ。

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