2009/09/19

年輪を重ねるように

最近新宿伊勢丹の地下に新しくバウムクーヘンのお店ができたのだ。
我が家でもさっそく買ってきて食べたんだけど、おいしかったよ♪
よく結婚式の引出物でもらったりするけど、実は普通のケーキよりカロリーが高かったりするので敬遠されることもあるのだ。
でも、ボクはけっこう好きなお菓子なので、今回はちょっとバウムクーヘンについて調べてみたよ。

よく知られているように、バウムクーヘンはその切り口の見た目から年輪に例えられていて、それが故に結婚式の引出物にも選ばれるのだ。
ドイツ語でバウムクーヘン(Baumkuchen)は「木+ケーキ」の造語で、まさに木のお菓子、という意味。
質実剛健を旨とする(?)、あまり食べ物に華があるとは言えないドイツの料理・お菓子の中では日本でもっともポピュラーなんじゃないかな?
ドイツでは「お菓子の王様」とも呼ばれていて、ドイツ菓子組合のシンボルにもなっているらしいよ。

このバウムクーヘン、日本ではいろんなバリエーションがあるけど、本場ドイツでは厳格な品質基準があって、原材料は小麦粉、バター、砂糖、卵のみで、かつ、その割合が1:1:1:2でないといけないんだって。
日本ではさっくり感を出そうとショートニングを使ったり、ふわふわ感を出そうとふくらし粉や重曹を使ったり、しっとり感を出そうと水飴を使ったりするけど、ドイツではそういう材料を使うとバウムクーヘンとは名乗れないんだって。
もちろん、食品添加物などもってのほかなので、日本のちまたで見かけるもののほとんどはバウムクーヘンとは言えないのだ!

焼き方も手間がかかっていて、通常は専用のオーブンで焼かれるよ。
心棒がバナーの上で自動的に回転するような形で、生地をつけてくるくると回しながら焼くと薄い生地の層ができるのだ。
この上にさらに生地をつけて重ね焼きをしていって、10層から20層くらいまで重ねるんだって。
むかしはカシの木の心棒に生地をつけ、手動で回していたというんだから、さらに手間がかかっていたのだ。
日本だと焼き上がったままの、焦げ目のついた茶色い表面のものがよく売られているけど、これに砂糖でコーティングしてグレージングしたり、チョコレート・コーティングでアイシングしたりもするんだよね。
で、結果として、カロリーの高いお菓子ができあがるのだ(笑)
確かに、材料を見ても、作り方を見てもがっしりしているよね。
バウムクーヘンはパウンドケーキなんかと比べるとぎっしりつまっている感じがするよね。

このバウムクーヘンを日本で最初に焼いたのが、洋菓子のユーハイムの創始者のカール・ユーハイムさん。
もともとは青島で菓子店を開いていたそうなんだけど、第一次世界大戦で進軍してきた日本軍に連行され、広島に連れて行かれたそうなのだ。
その広島の広島物産陳列館(現在の原爆ドーム)で開催された俘虜作品展示即売会で出品されたんだって。
時に1919年というから大正8年なのだ。
この時はカシの木の心棒に生地をかけ、手で回しながら焼き上げるという手間のかかる手法で作っていて、そのあまりのおいしさにすぐに売り切れたということなのだ!

俘虜解放後、日本で菓子店を開業するんだけど、それが今のユーハイム。
戦後国外退去となったので一時お店は閉められていたみたいだけど、一家は再来日し、再び菓子店を開いたそうなのだ。
店頭のディスプレイに飾られたバウムクーヘンは当初「ピラミッドケーキ」の名前で親しまれていたらしいんだけど、1960年代にバウムクーヘンと改められ、日本の高度成長期とともに国中に広まっていったんだとか。
ボクらの世代では物心ついた時からあったからそんなでもないけど、今でも年配の人がバウムクーヘンをこじゃれたお菓子だと認識しているのにはそういう時代背景もあるのだ。

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