2010/04/15

直接描く絵の具

たまたまつけていたテレビでクレヨンとクレパスの違いを紹介していたのを見たのだ。
実は同じものだと思っていたので「目からウロコ」の興味深い話。
で、自分でももう少し掘り下げて調べてみたよ。

最大の違いは、クレヨンは一般名称だけど、クレパスはサクラクレパスの登録商標なんだって。
つまりは商品名で、その一般名称はオイルパステルというらしいのだ。
見た目の違いとしては、クレヨンはかたくて先がとがっているけど、クレパスはやわらかめで先がとがっていないのだ。
で、ここまでわかるともう区別はつくよね。

で、まずはクレヨンの正体だけど、もともとは顔料をろう(固形ワックス)で固めたもので、色鉛筆よりもなめらかに紙に描くことができる画材として使われるのだ。
顔料というのは水や油に溶けない色のついた細かい粒子のことで(逆に水や油に溶けるものを染料と言うよ。)、その細かい色のついた粒子がろうの中で分散しているというわけ。
紙の上で滑らせると、紙の表面のでこぼこによって顔料入りのろうがけずられ、紙の上に付着するんだ。
顔料だけだと紙に付着しづらいけど、ろうによって定着するというわけなのだ。
ちなみに、現在国内で販売されているクレヨンは顔料とろうだけでなく、そこに体質顔料(水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化チタンのような白い不溶性の粉末に染料で色をつけたもの)と液体油も付加されていて、よりしっとり(?)、よりやわらかく、描きやすくできているそうだよ(海外のものはいまだに顔料とろうのみなので、日本のものに比べて固いそうなのだ。)。

一方、クレパスというのは、一般に固くて描きにくいというクレヨンを改良したもので、海外でデッサンなどに使われるパステルのようなやわらかい書き味を実現しようと発明されたものなのだ。
具体的には、クレパスでは体質顔料と液体油の含有量が多くなっていて、よりなめらかに紙の上に描けるようになっていて、それで混色したり、色をのばしてぼやかしたり、なんてことができるようになっているんだ。
ただし、輪郭線をしっかりと描きたい場合はクレヨンの方がしっかり描けるので向いているみたい。
クレパスの先がとがっていないのは、クレヨンのような線描ではなく、パステルのように面描するのに向いているということがあるみたい。

で、そのパステルはというと、顔料を粘着剤でゆるく固めたもので、よくデッサンに使われるのだ。
でも、顔料を紙に塗りつけるだけで粉がぼろぼろ出るし、きちんと定着させるためには定着液を噴霧しないといけないなどのプロ仕様の画材なんだよね。
とは言え、パステルカラーなんて言葉があるように、原色だけでない、中間的な淡い色合いを出すことができるし、重ね塗りで混色もできるしと、色合いに広がりを持った画材なんだよね。
で、クレヨンのような定着の良さでパステルのような色合いを出せる、ということでクレパスが誕生したのだ。

似たようなものに、やはり同じサクラクレパスが開発したクーピーペンシルというのがあるよね。
こちらは全体が色鉛筆の芯というモチーフで考案されたもので、顔料を合成樹脂やワックスで固めたものなんだそうだよ。
色鉛筆と違って消しゴムで消せるという特徴があって、折れづらい、削りやすい、手に色がつかないなどのメリットもあるのだ。
最近はその使いやすさからクレヨンやクレパスに取って代わって子どものお絵かきに使われることが多いよね。

クレヨンやパステルはそのまま描ける絵の具として考案されたもののようだけど、それがさらに進化して使いやすいものになってきているのだ。
その一方で、芸術家の観点からは、使いやすさだけでなく、色合いや色の定着の特性などもあるので、どれもなくなることはなく、棲み分けているんだよね。
大人になったらそういう特性もふまえながら画材を選ばないとね(笑)
最近は100円ショップなんかでも売っているし、ひさびさにお絵かきをしてみたくなったよ。

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