2010/06/05

夏期軽装励行の候

うちの職場では6月から「夏期軽装の励行」、いわゆる「クール・ビズ」が始まったのだ。
ノージャケット、ノーネクタイに開襟シャツというラフなスタイルが認められるわけ。
ボクなんかはお仕事中はネクタイをしていないと落ち着かない方なので軽装にならないんだけど、かなりのマイノリティ。
なぜかみんなネクタイを外したがるんだよね(笑)

最近ではかなり浸透してきた感があるクール・ビズだけど、始まったのはつい最近の2005年。
小泉政権下で地球温暖化対策のひとつのシンボルとして開始されたんだ。
小泉元総理から「軽装による冷房の節約」についてアドバイスを受けた時の環境大臣の小池百合子さんが、持ち前のアピール戦術を使ってみごとに認知度を高めたんだよね。
閣議でも閣僚が沖縄の半袖開襟シャツの「かりゆし」を着るなんて慣例もできていて、この前は亀井大臣だけスーツにネクタイと「造反」したのだ。
前からクール・ビズをだらしないと批判していたんだよね。

でもでも、もともとはネクタイを外すことが目的ではなくて、冷房の設定温度は28度に上げる代わりに、その環境下でも快適に過ごせる服装にしましょう、ということ。
必然的に室温が上がるので、開襟シャツでいいよね?、というものなんだよ。
中央官庁なんかでは確かに冷房の設定温度を上げて、それに合わせてクール・ビズにしているんだけど、けっこうネクタイを外すだけ、と思っているところが多いような・・・。
冷房に使う消費電力を減らすことが目的なので、本当はそれでは困るのだ!

これに対してはネクタイ業界からは当然批判が出ていて、スーツの売上げも下がったようなんだよね。
でも、逆に開襟シャツ、特にクール・ビズ用の少しおしゃれな男性ものは売れ行きがよくなっているのも確か。
もともとクール・ビズという言葉自体も服飾メーカーのグンゼが公募で提案したものなんだとか。
どのみちスーツやネクタイは冬に必要だから、開襟シャツの新規需要が伸びた方がよいのかな?
夏用の薄手のスーツは売れなくなるけど。

これが一気に広まったのは小池大臣の手腕もあるんだけど(宣伝上手だからね。)、それ以上に、業界からの支援もあったからなのだ。
グンゼのようなクール・ビズのスタイルを売る服飾メーカーはもとより、電力会社からの賛同も得られていたのだ。
もともと電力会社では夏の電力ピークを抑える取組をやっていて、それにこれが合致したわけ。
電力会社は、夏の最大ピークを満たせるように発電所などの設備を整える必要があるんだけど、ピーク時にしか使わないから余剰な設備でもあるんだよね。
ピークが抑えられれば、設備投資に回す資本が節減できるので、ピークカットにむかしから取り組んでいるのだ。
でんこちゃんも冷房の設定温度を少し高めにしましょう♪って宣伝してたよね。

この差が如実に出たのは、クール・ビズと対照的なウォーム・ビズ。
冬に暖房の設定温度を下げて、その分あたたかい格好をしようということなんだけど、こちらは言葉自体もあまり普及していないのだ。
電力会社からすれば、冬は電力設備に余裕があるので、別に電力消費を抑えてもらう必要がなく、むしろ、電気を使ってもらった方が売上げも伸びるし、発電所の投資効率もよくなるので、このウォーム・ビズには乗ってこなかったのだ。
服飾業界としても、ベストやセーター、ひざかけなんかが売れるにしても、開襟シャツのように毎日変えるものでもないので、そんなに売上げが伸びないんだよね・・・。
というわけで、ウォーム・ビズの方は業界があまり乗ってこないので普及しないというわけ。

コンセプトは同じなのに、おもしろいものだねぇ。
ちなみに、クール・ビズのはるか前に、省エネルックという半袖のスーツを着ましょう、というものもあったのだ。
羽田元総理でおなじみだけど、はっきり言ってかっこわるいということで当時としてもほとんど浸透しなかったんだよね(笑)
そこ行くと、クール・ビズは打ち出しがよくて、おしゃれなものも出てきているので続いているのだ。
やっぱりそういう部分も大事なんだね。
あとは、それに合わせてしっかりと電力消費の節減をしてもらわないと!

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