2012/09/15

世界のスパイス王

インドカレー屋さんの中には、レジのところにクミンシードが置いてあるところがあるよね。
糖衣になっているやつ。
食後に食べると口の中がさっぱりするのだ。
口の中につぶつぶが残るけどね。
そんなクミン、実は世界中で使われているスパイスなんだって。

クミンはもともとナイル川の渓谷に生育していた、エジプト原産のセリ科の1年草。
和名は馬芹、インドではジーラと呼ばれるようなのだ。
古代エジプトではミイラの防腐剤としても使われていたそうだよ。
そのむかし、エジプトのミイラは粉にして薬として使われていたこともあったんだけど、これはミイラを製造する際に使われているクミン、没薬(もつやく、ミルラ)、歴世(天然アスファルト)などが多少なりとも効果をもたらした可能性があるんだよね。
それぞれ民間療法で薬として使われるものだし。

エジプト原産のクミンは古くからエジプトや西アジアで栽培され、様々な料理に使われていたらしいのだ。
今でもそうだけど、油で熱すると独特のすがすがしい香りが出るんだよね。
この香り成分はクミンアルデヒドというものだって。
それと、少しだけ辛みを与えるので、スパイスとしてちょうどよいのだ。
アラビア料理やトルコ料理でのクミンの使用はここから端を発するんだよ。

このクミンがメソポタミア地方に伝わり、さらにカルタゴ経由でアルプスを越えることとなるのだ。
まずはイベリア半島南部に建国された新カルタゴ王国(今のスペインのあたり)に広まり、そこから欧州全体に広がったんだって。
こうして、古代ローマの時代にほかのスパイスと同様に欧州世界にも伝わり、珍重されることになるのだ。
一方で、アラビア世界からインドにも伝わり、インドではほぼ必須と言ってもよいくらいのスパイスになるんだよ。
ガラムマサラやチャツネには欠かせないのだ。
このせいで、いわゆるカレーの香りはクミンの香りなんだよね(ちなみに、カレーの色はターメリックの黄色。)。
アラビア料理やトルコ料理などのオリエント料理がカレーのようなにおいと感じるのはこのため。
ソーセージなんかでもクミンを使うとちょっとカレーっぽいにおいになるんだよね。
むかしの魚肉入り皮なしウインナーなんかがそうだったのだ。

スペインでは、他の欧州諸国と違って、一時期イスラム勢力に占領されていたこともあり、より根強く料理に取り入れられているとか。
でも、スペインはやがて強国となり、大航海時代に世界帝国になるので、スペインから新世界へも広がっていくのだ。
まずはメキシコに伝わり、そこから南北へ広がっていくんだ。
南米のテクス・メクス料理に欠かせないチリパウダーもクミンが入っていて、これがチリコンカーンの香りになっているのだ。
メキシコ料理もちょっとカレーのにおいがするときあるよね(笑)

もちろん、インドに伝われば中国にも伝わるもの。
中国では中医薬(いわゆる漢方)取り入れられ、健胃・消化促進などの効果が期待されたのだ。
特有の香りで食欲が増進されるのもあるけどね。
中国の中でも、ヒツジ肉などちょっと臭みのある肉をよく食べる満州料理でよくつかわれるみたい。
もともと騎馬民族で中央アジア一帯を支配していたというのもあるんだろうね。
というわけで、世界中に広まっていったのだ。
和食にはそんなに取り入れられていないけどね(>o<)

古代ギリシアではそのまんま食欲をそそるので食欲のシンボルだったらしいんだけど、中世欧州ではなぜか「貞節」を象徴するようになったとか。
恋人の心変わりを防ぐ特効薬と信じられていて、戦場に赴く若い男性に持たせたり、恋人同士が結婚式を挙げる際にポケットにクミンを忍ばせる風習なんてのもあったらしいよ。
ということは、恋人同士でインド料理を食べに行ったら、確実にクミンをかじるようにしなきゃね(笑)
浮気っぽいパートナーは、クミンの香りのする料理で胃袋をつかむのが大事だよ!

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