2012/11/14

【号外】いきなり解散でどうなる?

総理が党首討論でいきなり16日解散を打ち出したのだ!
年内解散が確定して、12月4日公示、16日投票だって。
いやあ、いきなり動いて驚いたねぇ。
でも、問題となっていた特例公債法とかってどうなるの?、ということで調べたよ。

もともと、特例公債法というのは赤字国債を発行するための法律。
我が国では、財政法第4条第1項で「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」と規定していて、借金をして歳出をまかなってはいけない原則が存在しているのだ。
でも、そのすぐうしろに「ただし書」として「但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」とも規定していて、公共事業などに使われる建設公債は例外的に認められているんだ。
これは、後世に渡って国民が広く利用できる社会インフラを整備するものだから、という理由なんだけど、対象経費は厳密に予算で定められていて、人件費や事務経費は使えないのだ。

で、その原則の下で、財源に充てるために国債を発行してまかなうのが赤字国債。
財政法では原則禁止されていることなので、特別法でオーバーライドする必要があるのだ。
それこそが特例公債法だよ。
昭和40年にはじめて成立したもので、その後10年間はなかったんだけど、昭和50年から平成元年までは連続して制定されたのだ。
その後しばらくバブルの時期は税収が大幅増だったので赤字国債を発行しなくても大丈夫だったんだけど、バブル崩壊後は、いきなり歳出が絞れない一方で歳入が減っていったので、またまた特例公債法の出番となり、平成6年から毎年制定されているよ。

これがないと赤字国債が発行できず、歳出に見合った歳入が期待できないので、「執行抑制」をする必要が出てくるのだ・・・(>o<)
これが「特例公債法を盾に国民を苦しめる・・・」と言われる所以なんだよね。
国民生活に必要な予算であっても「ない袖は振れぬ」で支出できない、と脅すことになる、というわけ。
実際には本当に必要なところ(例えば警察や消防の活動費など)は優先的に支出していくはずなんだけど。
一応、去年今年の反省もあって、政争の具とならないよう、今回の与野党合意で平成27年までの赤字国債発行が見込まれる予定なのだ。

実際に平成24年度の政府予算の歳入歳出を見てみると、歳入は、税収や雑収入のいわゆる真水の収入が46兆円で、国債を発行してまかなう公債金が44兆円で、全体は90兆円規模(つまりは半分は借金でまかなっている!)。
そのうち、特例公債金(=赤字国債)は38兆円にもなるよ。
歳出で見ると、国債の償還や利払いに使われる国債費が22兆円で、残りの68兆円が基礎的財政収支対象経費と言われる、国が事業を行う予算。
44兆円借金しておきながら、22兆円しか返済に回していないので、借金はふくらむばかり・・・。
いわゆる「基礎的財政収支(プライマリーバランス)の均衡」というのは、国債を発行する額と返済する額が釣り合っている状態(=それ以上借金が増えていかない状態)をさしたものだよ。
それでも自転車操業なんだけど(ToT)

で、この特例公債法を通さないと国の財政は立ちゆかないので、なんとか通さないといけない、という話になっていて、今週から野党の協力の下で質疑が始まっていたのだ。
で、今日の党首討論で、定数削減を次期通常国会で確約してもらえれば今週末にも解散すると言いはなって、それが実現することになったんだけど、そうなると、特例公債法はどうなるの?、ということになるよね。
憲法では、第54条第2項で「衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。」としていて、衆議院が解散されると国会が自動的に閉会になってしまうので、法案が成立できなくなるのだ。
ただし、この条項にもただし書があって、「但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。」となっていて、衆議院が解散されても重要な議題があるときは参議院だけが緊急集会を開いて審議することもできるのだ。
これは解散総選挙の間に国会機能が完全に不能にならないようにするセーフティガードだよ。

ただし、今回は参議院でも成立させてから、ということのようなので、金曜日までに仕上げる必要があるのだ・・・。
今日は衆議院で財務金融委員会の審議・議決が終わったばかりで、明日衆議院本会議で議決をするので、明日中に参議院に送っても1日で仕上げる必要があるわけ。
通常は国会での審議は本会議だけで議論するのではなく、委員会に付託して議論を尽くしてから本会議で議決するんだよね(重要広範法案は先に本会議で議論してから委員会に付託するよ。)。
でも、これにも例外規定があって、国会法第56条第2項で「議案が発議又は提出されたときは、議長は、これを適当の委員会に付託し、その審査を経て会議に付する。但し、特に緊急を要するものは、発議者又は提出者の要求に基き、議院の議決で委員会の審査を省略することができる。」と定めていて、原則は委員会に付託するけど、本会議だけで議決してもよいことになっているのだ。
おそらく、今回はこれを使って委員会審査を省略すると思われるのだ。
※けっきょく15日(木)に衆議院で可決された後、夕方から参議院の財政金融委員会で審査をしたみたい。

というわけで、明日明後日と国会議員の先生はけっこういそがしい日程になるんじゃないかな?
当初はTPP解散なんて言われていてけど、また今日の状況を踏まえて、「いきなり明後日解散」とかなんとかそんな名前がつくかもね(笑)
このまま民主党がそのまま政権にとどまるとも思えないので、政局はまた流動化するんだろうなぁ。
米国は大統領が再任したのにね。

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