2013/04/13

ぷっちもち

最近コンビニで気になっているのが、「もち麦入りおにぎり」という商品。
いわゆる麦飯のおにぎりなんだけど、麦粒がかたくなくて、ぷっちぷちでもちもちしているのだ。
これはなかなかおもしろい食感。
ボクは割と麦飯が好きなんだけど、これはよいよ。

麦飯に使われる麦はオオムギで、オオムギには大きく分けて2種類あるのだ。
脱穀したときに穀皮が一緒にはがれてしまうハダカムギと、皮が残ったままのカワムギの2つ。
もともとはカワムギが基本で、突然変異で皮がはがれやすいオオムギが出てきたみたい。
自然界ではメリットがないけど、人間が栽培することで増えてきたのだ。
ハダカムギは押麦にして麦飯として食べたり、麦味噌の原料にされるみたいだよ。
カワムギは麦茶になったり、切断麦にして麦飯として食べたり、ビールの原料になったりするのだ。

オオムギにはもうひとつ分け方があって、それは穂の付き方。
茎の軸に沿って2列になるのが二条オオムギ、4列になるのが四条オオムギ、6列になるのが六条オオムギ。
上から見るとそれぞれ直線状、十字状、アスタリスク状に見えるよ。
京都の地名とはまったく関係ないのだ(笑)
もともとは二条オオムギが野生種に近く、穂を多くつける種が突然変異でできて広まったみたい。
ちなみに、ハダカムギ、カワムギそれぞれに二条や六条があるけど、現在主に栽培されているのは、六条ハダカムギと二条カワムギ(=ビール大麦)なんだって。

二条オオムギは主にビールや麦焼酎の原料にされるんだけど、これは麦芽にして発酵させるのに都合がよいからなんだ。
もともと穂の列の数が違うこともあって、二条オオムギは六条オオムギに比べて粒が大きく、デンプンも豊富なので醸造に適しているみたい。
日本でビールの原料となる二条オオムギはあらかじめビール会社と農家が契約して栽培しているそうで、勝手に作ってもビール醸造用には買ってくれないそうだよ。
栽培段階から品質管理にこだわっているのかな?

六条オオムギは麦飯として食べるのが主なんだけど、米と比べて煮えにくいので、そのまま混ぜてもうまく炊けないのだ。
西洋では砕いてかゆにして食べることが多かったみたいだけど、日本の場合は、古くは大まかに砕いたひき割り麦を混ぜたりしたんだ。
先にオオムギだけにてにじること冷まして作るえまし麦(麦粒が割れて「笑った」ように見えるので「笑まし」というらしいよ。)なんかにもして混ぜ込んだみたい。
えまし麦を作った煮汁には麦からデンプンが出ているので、洗濯のりに使ったそうだよ。

現在の麦飯に使われるのは、押麦、切断麦、米粒麦のどれか。
押麦というのはよくとろろごはんの麦飯で見かける平たくつぶされた麦粒のことで、外皮をはいでから水と熱を加えて上下のローラーでつぶしたものなんだって。
こうすることで水の吸収が改善されるのだ。
切断麦というのは、オオムギの特徴でもある麦粒中心部の黒条のところで2つに切ってから、水と熱を加えてローラーでつぶしたもの。
麦飯を嫌う人の多くがこの黒条のところが口に引っかかるというので、これを取り除くために切るんだよ。
黒条がなくなるので「白麦(はくばく)」とも言うのだ。
米粒麦というのは、黒条で半分に切ってからさらに削って米粒のような形にしたもので、麦飯にしてもぱっと見それと気づかないという利点があるのだ。
なので、学校給食なんかに登場しているみたい。
食味はぱらっとしていて、食べてみると白飯とは違うみたい。

今でこそ麦飯の方が高級になったけど、むかしは白飯より安かったので、貧乏人の食べ物と見なされていたのだ。
「貧乏人は麦を食え」なんて発言もあったくらいで。
で、この麦飯っていうのは、時間がたつと黄色~褐色に色がつくんだよね。
なので、麦飯の弁当を持ってきている子どもはふたで中身を隠しながら食べたそうなのだ。
この色の正体はオオムギに多量に含まれるポリフェノール。
オオムギはビタミンBなんかが多いだけでなく、にポリフェノールやタンニンも多いのでいまいち食味が悪いとされるんだけど、今ではかえってそのポリフェノールが健康志向にばっちり合っているんだよね。
食物繊維も米より多いし、ホリエモンの監獄ダイエットの成功でますます注目を集めているかも。

で、問題のもち麦。
もち米と同じで、アミロースとアミロペクチンの含有量の違いで、デンプンに粘りがあるかさらっとしているかの違いが出るのだ。
もち米がほぼアミロースの含有量がゼロなのに比べると、もち麦の場合はアミロースも多少含まれているんだって。
このもち性の麦は日中韓三国にしかないそうで、日本でも九州北部と中国・四国の瀬戸内海沿岸地域でのみ栽培されていたとか。
しかも、いったん昭和30年頃に栽培が途絶えたものを復活させたらしいよ。
それがまた着目されるようになったみたい。
このもち麦は穂がすみれ色だそうで、実ると麦畑一面があざやかな色になるんだとか。
いやあ、春(麦秋)だねぇ。

0 件のコメント: