2013/04/06

茎が葉っぱで葉っぱが茎で

ここ最近スーパーで見かけるようになって気になっている野菜があったのだ。
それは「ミョウガタケ」。
ミョウガが長ネギのように伸びたものだよ。
で、買って食べてみたら、思ったよりもかたくて、ミョウガの風味も弱いんだね。
春の食材と言うけど、もっとおいしい食べ方があったのかな?

このミョウガタケは、魚料理に添えられるはじかみや長ネギと同じように薄い皮が何枚も巻き付いている構造で、実は葉っぱなのだ。
一見茎に見えるので、偽茎と呼ばれるんだ。
アシやイネのように葉っぱが丸まって巻き付くものを葉鞘といって、その葉鞘がタイトに巻き付いて管状・筒状になっているのが偽茎なのだ。
バナナなんかもそうで、バナナの実がなっている木の幹に見える部分はやっぱり偽茎なんだ。

偽茎の場合、葉っぱが丸まって巻き付いているので、水平断面はバームクーヘンのような同心円。
まさにネギの輪切りのようになっているのだ。
一方、本当の茎は中に栄養や水分を運ぶ維管束が通っていて、筒の中に穴が開いているよ。
極端な例えだとレンコン状ということだけど、フキを思い浮かべるとわかりやすいかな?
葉鞘は1枚1枚はがせるので偽茎は外側の部分をはがすのが簡単だけど、茎はそういう構造ではないから皮をむくのは難しいのだ。
ネギならさっと表面をむけるけど、フキの皮むきは大変だよね・・・。

偽茎を形成する植物の典型的なものは2つあって、ひとつは地下茎が発達していて、地上には偽茎が出てくるもの。
ショウガ科の植物がそうで、ショウガやミョウガが代表選手。
地下茎は土壌からの栄養を吸収しないことで根からは区別されるけど、引き抜くと根のように地下をはいまわっているのだ。
地下茎としてはイモ類やタケ類が有名だよね。
ちなみに、サトイモは球茎といって茎の基部に栄養がたまったもの、ジャガイモは塊茎といって茎の一部に栄養がたまったものだよ。
サトイモの場合は葉鞘が乾燥してできた薄皮に包まれているんだけど、ジャガイモは包まれていないのだ。
なお、サツマイモは根が栄養をためて肥大化したもので、地下茎ではないよ。
タケノコは根のように地中を伸びる根茎というものなのだ。

もうひとつの典型は茎が非常に短いもの。
これは長ネギなんかがそうで、根の上の1cmくらいだけが茎で、あとは偽茎=葉っぱが丸まったもの。
葉っぱの基部にだけ茎があるイメージだね。
長ネギは例外的に鱗茎を形成しないけど、地中ににんにくのような鱗茎を持っていることが多いのだ。
タマネギ、エシャロット、ラッキョウなんかがそうだよ。
構造自体は似ているけど、長ネギとタマネギだと食べているところが全然違うのだ!

偽茎とは逆に、葉が退化して茎で光合成まで行うようになった植物もあるのだ。
カニサボテンやウチワサボテンは茎を扁平にして光合成を効率よく行っているよ。
サボテン類は葉っぱがトゲに進化しているので、基本的には茎主体の植物なのだ(笑)
乾燥に強いように葉っぱが肉厚になって(「多肉」)、茎という感じではなくなってしまっているけど。
アスパラガスも茎主体の植物で、葉っぱはほぼ退化していて、長く伸びた茎で光合成しているそうなのだ。
巻き付いている鱗状のものが本来の葉っぱなんだって。
料理するときにはずすやつだよね。

というわけで、よく街中で見かける野菜でも、いろいろと不思議な生態があるものなのだ。
そういうのは気にせず食べちゃっているけど、よくよく観察してみるとおもしろいかもね。
ま、食べるだけなら葉っぱとか茎とか根っことかを区別する必要はないんだけど(笑)

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