2015/07/11

ワーカホリックを脱せよ、日本

7月から「ゆう活」が始まったのだ。
勤務時間を朝に1時間シフトして、夕方の時間を活用しようというもの。
中央省庁の国家公務員は9:30~18:15が標準の勤務時間なので、これが8:30~17:15に変わるんだよね。
で、政府部内だけでなく、民間企業にも同様の取組を推奨しているんだ。
民間企業の中にはすでに朝方勤務を奨励して、残業時間を少なく、効率的に仕事をしよう、という取組をしているところもあるみたい。

で、よく世間で言われているのは、サマータイムの導入の代わりにやっているんじゃないかという指摘。
でも、よくよく見てみると、ちょっと観点が違うみたい。
というのも、欧米式のサマータイムというのは、英語でdaylight-savingと言われていることからも明らかなように、省エネがその目的の中心なのだ。
夏期の長い昼の時間を有効活用して、照明需要や冷房需要を減らすことが大事なんだよね。
なので、そもそも標準時を1時間前倒しにするのだ。
よって、社会全体の時計の針が進むわけ。

一方、「ゆう活」は一部の取組であって、社会全体の話ではないのだ。
もともと日本でも昭和20年代にサマータイムを取り入れたことがあったんだけど、それがうまくいかなかったので早々に取りやめた歴史があるのだ。
その後もことあるごとに欧米式のサマータイムを導入する話は出てきてはいるんだけど、やはりそのまま日本社会に組み入れるのは難しいみたいなんだよね。
で、そういう流れがあるので、今回の勤務時間を前倒しにする「ゆう活」が日本版サマータイムなどと言われるのだ。

ところが、「ゆう活」の資料をよく見てみると、サマータイムとは観点が違うんだよね。
もっとも重要なポイントは、「ゆう活」の目的はワークライフバランスの是正にあるという点。
したがって、「ゆう活」のポイントは、朝1時間早く仕事を始めると言うだけでなくて、それも含めて業務を効率化し、残業を減らして早く帰るところまでがセットなんだ!
よく言われる批判は、朝早く来ても営業終了時間が変わらなければ労働強化になる(1日あたり残業が1時間増えるだけ)というのがあるけど、「ゆう活」の本来的な趣旨からするとそれは許されないことなんだよね。
ただし、始業時間を早めるのと同じように早く帰らせることがルールかしづらいので、朝早く帰るのは確定で、夜早く帰るのは「できるだけ」という設計に見えるのが問題なのだ(>o<)

「ゆう活」のメリットを見ていても、早く帰って英語の勉強するとか、家族との団らんの時間を増やす、趣味に当てるなどいろいろあるけど、これってサマータイムのように時計の針を進めてしまうとメリットにならないんだよね。
だって、本来のサマータイムでは就寝時間も1時間早まるので、時間的余裕が出てくるわけではないから。
もともと「帰ったら寝るだけ」だった人が「ゆう活」で1時間の時間的余裕を持った場合、それは単純に睡眠時間が1時間削られただけになってしまう点に注意が必要だよ。
そのまま1時間シフトするのではなくて、朝方に勤務形態を切り替えることで全体の業務効率化を目指すことが何より求められているのだ。
ここをはき違えてしまうと、何のためにやるのかまったくわからないんだよね。

だからといって、朝早く来れば自動的に業務が効率化されるわけではないのだ、個人も、職場全体も工夫をしなくちゃいけないんだ。
むしろ、そういうところを「ゆう活」の広報の中でもアピールすべきなんだけど。
今は、朝が早いと通勤ラッシュから逃れられるとか、明るい時間に帰ることができるのでプライベートも充実するとかだけど、そもそも社会全体で「ゆう活」が採用されれば通勤ラッシュも朝方にシフトするし、早く帰るための工夫がなければ明るいうちには帰ることはできないのだ。
だから、それぞれが意識を持って少しでも早く帰ろうというスタンスで仕事に臨むべきなんだよね。
逆に言うと、そういう雰囲気が職場で形成されれば、実際に無駄な残業や、明日以降に先延ばししても大丈夫な仕事をその日のうちにやるようなこともなくなるはずなのだ。
取組は理想的にはよいものなので、うまくいってくれるといいんだけどなぁ。
でも、極論すると、職場の意識が変わればいいので、朝方に勤務時間帯をシフトする必要性はないんだけど(笑)

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