2015/07/04

自然に黄色

日本の漬け物の代表格と言えば沢庵漬け。
あの黄色い色と独特のにおいが食欲を誘うのだ。
外国人には納豆と同じくらい「臭く」感じるらしいけど。
発酵食品の場合は自分の食文化に取り込まれていないとどうしてもそうなるよね。
日本人も海外の発酵食品は苦手なことが多いし。

たくあんは、ただのぬか漬けと違ってかなり手の込んだ作業工程がいるんだ。
でも、そのおかげもあってポリポリとした歯ごたえ、甘みがあって、江戸時代には食卓に欠かせないごはんの友になったみたい。
まず、大根を干して水分を飛ばし、手で曲げられるくらいしわしわにするのだ。
そのしわしわになった大根を米ぬかと塩で漬けるんだよね。
これが1ヶ月から数ヶ月。
この間に、米ぬかに含まれる麹によってデンプンが分解されて糖になるので甘みが出てくるのだ。
さらに、米ぬかには枯草菌の一種も含まれていて、その代謝で大根中の辛み成分であるからし油が分解されて黄色の色素になるのだ。
こうして、独特の甘み、臭い、色、食感ができあがるわけ。

伝統的な作り方はそうなんだけど、スーパーなんかで売っているのは例のごとくもう少し簡略化され、大量生産ベースに乗った製造法に変わっているのだ。
例えば、最初に干す工程は多くの場合省略されていて、濃いめの塩水につけて水分を抜く方法がとられることが多いみたい。
発酵過程も、天然色素だと色むらも出るので、クチナシ色素などの黄色の色素を転化することが多いのだ。
さらに、風味付けのために甘味料なんかも加えられるんだよね。
というわけで、実は伝統的なたくあんと市販されているたくあんでは甘みも色も食感も異なっているんだ!

これはちょっとショック。
確かに一般に売られているものでもだいぶ歯ごたえは違うし、塩分の濃さや風味も違うよね。
いわゆる「たくあん」類似漬け物というだけで、新しい漬け物になっている可能性すらあるのだ!
でも、ボクは梅酢風味のたくあんはけっこう好きだけどね。
でも、本来的には干した大根をぬか漬けしたものなので、梅酢風味はつくはずがないのだ(笑)

ちなみに、たくあんの黄色い色は日に当たると退色するので、漬け樽から出して時間が経つとしらっちゃけてくるんだ。
古くなったかどうかのひとつの目安にはなるんだよね。
それと、黄色の色素は辛み成分がもとなので、もともと辛みが強いものは濃い色になるし、そうでないものは淡い色なのだ。
なので、むかしの作り方であれば、たくあんの色を見るといろいろと情報が得られるんだよね。
今は着色しちゃっているのでダメだけど。

たくあんは普及したがゆえに、そのまま気って食べる以外の食べ方も地方によっていろいろとあるのだ。
有名なのは古くなったたくわんを塩抜きして油炒めにしたりするよね。
高菜とかもそうだけど、漬け物の油炒めはそのまま食べるのとはまた違ったおいしさがあるのだ。
さらに、ボクは見たこともないんだけど、たくあんの煮物というのもあるみたい。
京都や滋賀、石川、富山、福井なんかで食べるみたい。
ちょっと興味あるかも。
新しいものでは、滋賀名物(?)のサラダパンというのもあるよね。
コッペパンにたくあんのみじん切りをマヨネーズで和えたものがはさまっているのだ。

とにかく、一番の驚きはむかしながらのたくあんは着色していなかったという事実だね。
こうなると、俄然伝統的なたくあんを食べてみたくなるよ。
きっと市販されているものより塩が強かったりするんだろうけどね。
どっかで食べられる機会がないものかなぁ。

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